車両の前部構造
【課題】
この発明は、車両の前部構造において、カウルパネルの一部に凹状の収容部を設けた場合の剛性低下を、タワーバーを利用して補強するにあたり、確実にカウルパネルの補強を行い、有効にカウルパネルの剛性低下を防ぎ、車両全体の車体剛性の低下を確実に防止することができる車両の前部構造を提供することを目的とする。
【解決手段】
本実施形態では、タワーバー組体10をカウルパネル5、具体的にはセンターカウルパネル51に連結することにより、タワーバー組体10の車幅方向の剛性を利用してカウルパネル5の剛性低下を抑制し、車体剛性を確保している。
この発明は、車両の前部構造において、カウルパネルの一部に凹状の収容部を設けた場合の剛性低下を、タワーバーを利用して補強するにあたり、確実にカウルパネルの補強を行い、有効にカウルパネルの剛性低下を防ぎ、車両全体の車体剛性の低下を確実に防止することができる車両の前部構造を提供することを目的とする。
【解決手段】
本実施形態では、タワーバー組体10をカウルパネル5、具体的にはセンターカウルパネル51に連結することにより、タワーバー組体10の車幅方向の剛性を利用してカウルパネル5の剛性低下を抑制し、車体剛性を確保している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車体構造を含めた車両の前部構造に関し、特に、車体前部に設けた左右の所謂ストラットタワーを車幅方向に延びて連結するタワーバーを備えた車両の前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両重量の前後バランスの最適化等のために、車両前部のエンジンルーム内に配置されるエンジンを、できるだけ車室側に後退させて配置する車両レイアウトが採用されつつある。
【0003】
もっとも、このようにエンジンを車室側に後退配置した場合には、エンジンルームと車室を区画するダッシュパネル上部のカウルパネルの下方に、エンジンを潜り込ませるように配置することになるため、エンジンのサービス性をどのように確保するか問題となる。
【0004】
この問題に対して、下記特許文献1では、カウルパネルの一部を分離可能に構成し、エンジンのサービスを行う場合には、この一部をカウルパネルから分離することでサービス性を確保できるようにしている。
【0005】
一方、車両前部には、車両の操安性を向上するため、左右の所謂ストラットタワーを略車幅方向に延びて連結するタワーバーを備えることも知られている。
【0006】
こうしたタワーバーの中には、ストラットタワーの内倒れを防止するだけでなく、さらに、捩れ入力に対する剛性を高めるため、タワーバーの中央部を車両後方側に折り曲げ、その中央部をダッシュパネルにソフトマウント(弾性支持)するものも、下記特許文献2で知られている。
【特許文献1】特開平4−129824号公報
【特許文献2】特開2000−118443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前述のように、エンジンを車室側に後退配置する場合、例えば、エンジンとカウルパネルの位置が近接している場合には、車体の構成部品であるカウルパネルに、一部を凹状に抉った収容部を設けることが考えられる。
【0008】
このようにカウルパネルの一部に凹状の収容部を設けた場合は、車幅方向に延びるカウルパネルの剛性を低下させることになり、結果的に、モノコックボディ等で構成される車両全体の車体剛性を低下させるといった問題を生じさせるおそれがある。
【0009】
この問題に対しては、例えば、エンジンルーム内に配置されたタワーバーを利用してカウルパネルを補強する構造が考えられる。しかし、前述の特許文献2のように、単にカウルパネルにタワーバーを弾性支持した構造では、固定部が弾性支持であるがゆえ、カウルパネルの剛性低下は避けられず、また、特許文献2のカウルパネルには、そもそも凹状の収容部もないため、カウルパネルのどの位置にタワーバーを固定すれば、有効に剛性低下が防げるのかも不明である。
【0010】
そこで、この発明は、車両の前部構造において、カウルパネルの一部に凹状の収容部を設けた場合の剛性低下を、タワーバーを利用して補強するにあたり、確実にカウルパネルの補強を行い、有効にカウルパネルの剛性低下を防ぎ、車両全体の車体剛性の低下を確実に防止することができる車両の前部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の車両の前部構造は、車両前部のエンジンルームと車室とを区画するダッシュパネルの上方で車幅方向に延びるカウルパネルと、該エンジンルームの車両左右側端部に設けられ、サスペンション装置の上部を固定するストラットタワーと、該左右のストラットタワーとカウルパネルを略車幅方向に延びて連結するタワーバーとを備える車両の前部構造であって、前記カウルパネルの車幅方向中央に、車両正面視で車両上方側に凹状に抉った収容部を形成し、該収容部の車幅方向両側縁のカウルパネルに、前記タワーバーを連結固定したものである。
【0012】
上記構成によれば、カウルパネルの車幅方向中央に、車両上方側に凹状に抉った収容部を形成し、その収容部の車幅方向両側縁のカウルパネルに、略車幅方向に延びるタワーバーを連結固定することになる。
【0013】
すなわち、収容部の車幅方向両側縁にタワーバーを連結固定することで、タワーバーの車幅方向の剛性が、収容部を設けたカウルパネルの剛性低下に対して効果的に作用することになり、カウルパネルの車幅方向の剛性を確保することができる。
【0014】
なお、タワーバーの形状等については、特に限定はなく、車幅方向に直線状であっても、ハット状、湾曲状であってもよく、左右のストラットタワーとカウルパネルを連結する構造であれば、全て本発明のタワーバーに含まれるものである。また、車幅方向に直線状に延びるタワーバーに車両後方側に延びる補助バーを設け、補助バーの後端を収容部の車幅方向両側縁に連結するような構造のタワーバーであっても良い。
【0015】
この発明の一実施態様においては、前記カウルパネルに、該カウルパネルの車幅方向中央部を構成し、前記収容部を形成する、分離可能な分離パネル部材を設けたものである。
【0016】
上記構成によれば、カウルパネルに、車幅方向中央部を構成して収容部を形成する分離可能な分離パネル部材を設けることになる。
【0017】
このため、カウルパネルの車幅方向中央部を分離パネル部材で分離できるため、例えば、カウルパネルの中央部に抉り形状を持たせなければならない、カウルパネルとエンジン等との間の隙が十分に確保できない車両であっても、分離パネル部材を分離することでエンジン等のサービス性を向上することができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、前記分離パネル部材の板厚を、他のカウルパネルの板厚よりも肉厚に設定したものである。
【0019】
上記構成によれば、分離パネル部材の板厚を、他のカウルパネルの板厚よりも肉厚に設定することで、分離パネル部材の剛性を高めることができる。
【0020】
このため、分離パネル部材を設け、開口部を形成したことによるカウルパネル自体の剛性低下が、剛性の高い分離パネル部材で補強されることで、抑えられることになる。
【0021】
よって、分離パネル部材を設けたことによるカウルパネルの剛性低下というデメリットを抑えて、カウルパネルの剛性を確保することができる。
【0022】
この発明の一実施態様においては、前記タワーバーを、前記ストラットタワーと前記収容部の車幅方向側縁とを連結する左右各々のサイドバーと、該収容部の車幅方向左側縁と右側縁とを連結するセンターバーとで構成したものである。
【0023】
上記構成によれば、タワーバーを、左右のサイドバーとセンターバーの三分割構造として構成することになる。
【0024】
このため、本発明のように、タワーバーの連結ポイントが、左右のストラットタワーと収容部の車幅方向両側縁といった四箇所に設定されるタワーバーにおいて、タワーバー自体の生産精度や車体側の生産精度をさほど高めなくても、二箇所ずつ連結ポイントを各バーで連結していけば、容易にタワーバーを車体に組付けることができる。
【0025】
よって、本発明のように連結ポイントが四箇所に設定されるタワーバーを採用するにあたり、タワーバー及び車体側の生産性を高めることができる。
【0026】
この発明の一実施態様においては、前記センターバーと前記サイドバーを、前記カウルパネルに対して取付けブラケットを介して連結固定し、該センターバーを、該取付けブラケットよりも車両上方側に位置するように、車両下方側に延びる延出部で、該取付けブラケットに連結したものである。
【0027】
上記構成によれば、センターバーとサイドバーを、取付けブラケットを介して連結固定し、このうち、センターバーを、車両下方側に延びる延出部で、取付けブラケットに連結することで、取付けブラケットよりもセンターバーを車両上方側に配置させることになる。
【0028】
このため、センターバーが車幅方向中央で車両上方側に配置されるため、例えば、エンジンルーム内の車幅方向中央に配置される縦置きエンジンや補機等のレイアウトスペースをエンジンルームの上方部分まで有効に確保することができる。
【0029】
この発明の一実施態様においては、前記センターバーと前記サイドバーを、共締め固定したものである。
【0030】
上記構成によれば、センターバーとサイドバーを共締め固定することで、車両に組付けた状態で、一本の完全なタワーバーに構成することができる。
【0031】
よって、サスペンション装置からの入力荷重を、カウルパネルだけではなく、反対側のストラットタワーへも伝達及び分散することができるため、ストラットタワーの内倒れを防ぐというタワーバーの機能も確実に確保することができる。
【発明の効果】
【0032】
この発明によれば、収容部の車幅方向両側縁にタワーバーを連結固定することで、タワーバーの車幅方向の剛性が、収容部を設けたことによるカウルパネルの剛性低下に対して効果的に作用することになり、カウルパネルの車幅方向の剛性を確保することができる。
【0033】
したがって、車両の前部構造において、カウルパネルの一部に凹状の収容部を設けた場合の剛性低下を、タワーバーを利用して補強するにあたり、確実にカウルパネルの補強を行い、有効にカウルパネルの剛性低下を防ぎ、車両全体の車体剛性の低下を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
まず、図1〜図3で本実施形態の車両の前部構造について説明する。図1は、車両前部のエンジンルーム内におけるカウル部分の近傍を車両前方斜め上方から見た車体斜視図、図2は車体前部の正面図、図3はその平面図、図4は車幅方向中央の断面側面図である。
【0035】
本実施形態の車体構造は、車両前後方向に延びる一対のフロントサイドフレーム1,1と、該一対のフロントサイドフレーム1,1を車幅方向に延びて連結する第一クロスメンバー2と、フロントサイドフレーム1,1後部から下方に屈曲して車室フロアの下部を車両前後方向に延びるフロアサイドフレーム3,3とを備え、フロントサイドフレーム1,1の後方には、車両上下及び車幅方向に延びて車室SとエンジンルームEとを区画するダッシュパネル4と、該ダッシュパネル4の上方で車幅方向に延びて空調ユニットへ外気を導入するカウルパネル5とを設けている。また、フロントサイドフレーム1,1の車両外方側には、エンジンルームE内に膨出し前輪(図示せず)を収容するホイールハウス6及びホイールエプロン7等を設けている。
【0036】
さらに、このホイールハウス6には、前輪サスペンション装置のダンパー(図示せず)上端を固定する円筒形状のストラットタワー8を設けている。このストラットタワー8の前後位置には、ストラットタワー8の車両前後方向剛性を高める2つの補強プレート9,9を設けている。
【0037】
なお、破線で示したのは、エンジンと変速機からなるパワーユニットPの配置ラインである。この配置ラインに示すように、本実施形態の車両においては、通常の縦置きエンジンの車両よりパワーユニットPの配置位置を車両後方側に設定している。具体的には、第一クロスメンバー2の車両後方側に配置して、パワーユニットPの後端を、ダッシュパネル4より後方側(車室S側)に突出するように設定し、カウルパネル5の下側に潜り込むように配置している。
【0038】
このように、パワーユニットPを配置することにより、車両重量の前後バランスの最適化を図れ、操安性の優れた車両にすることができる。
【0039】
そして、前述のストラットタワー8の上端部には、左右のストラットタワー8,8を略車幅方向に延びて連結するタワーバー組体10を締結固定している。
【0040】
このタワーバー組体10は、左右のストラットタワー8,8から各々カウルパネル5の車幅方向中央部に向かって後傾する左右のサイドバー11,11と、カウルパネル5の中央部分で該左右のサイドバー11,11を連結するセンターバー12との三分割構造で構成している。このタワーバー組体10を構成する各バー11,11,12は、カウルパネル5の車幅方向中央に設けた分離可能なセンターカウルパネル51に対して取付けブラケット50を介して締結固定している。
【0041】
なお、これらタワーバー組体10とセンターカウルパネル51の具体構造については、後述する。
【0042】
次に、前述のダッシュパネル4及びカウルパネル5の詳細構造について説明する。
図5〜図7は、図3のA−A線矢視断面図、B−B線矢視断面図、C−C線矢視断面図である。
【0043】
まず、図5に示すように、本実施形態のダッシュパネル4は、エンジンルームEと車室Sを仕切るように上下方向に延び、その上部フランジ41でカウルパネル5の前壁5a下端部を接合している。
【0044】
なお、ダッシュパネル4のエンジンルームE側面(車両前方側面)には、前述のフロントサイドフレーム1の後端部を接合し、その下方には前述のフロアサイドフレーム3を接合している。
【0045】
また、ダッシュパネル4の車室S側面(車両後方側面)には、ダッシュパネル4の剛性を高めるとともに、フロントサイドフレーム1からの前突荷重を受けるダッシュクロスメンバー42を接合している。
【0046】
ダッシュパネル4の上部フランジ41に接合された前述のカウルパネル5は、上方を開放した樋状断面に形成しており、そのカウルパネル5の上面には、カウルパネル5の内部の一部を閉断面構造とするアッパカウルパネル52を接合している。
【0047】
図6に示すB−B線矢視断面は、前述のセンターカウルパネル51をカウルパネル5に締結固定する部分の断面である。
【0048】
この部分においても、A−A線矢視断面同様にダッシュパネル4の上部フランジ41に、カウルパネル5の前壁5a下端部を接合することで、カウルパネル5を、ダッシュパネル4の上方に位置させている。また、アッパカウルパネル52もカウルパネル5の上面に接合することでカウルパネル5の内部の一部を閉断面構造としている。なお、フロントサイドフレーム1及びダッシュクロスメンバー42も、A−A線矢視断面と同様に、ダッシュパネル4のエンジンルームE側面と車室S側面にそれぞれ接合している。
【0049】
一方、この部分においては、センターカウルパネル51を、カウルパネル5の前壁5aに二本の締結ボルト53,53で固定することで、カウルパネル5に対して分離可能に構成している。このセンターカウルパネル51は、組付けた状態でカウルパネル5の前壁5a後方側に位置し、その上部に設けた嵌合係止部51aで、カウルパネル5の前部フランジ5bを嵌合することで、カウルパネル5と完全に一体化するように構成している。
【0050】
また、この図6から分かるように、センターカウルパネル51の板厚t1は、カウルパネル5の板厚t2より肉厚に設定している。これにより、センターカウルパネル51の剛性が高まるため、センターカウルパネル51を設けて開口を形成したことによるカウルパネル5の剛性低下を確実に抑制することができる。
【0051】
図7に示すC−C線矢視断面は、A−A線矢視断面とは反対側(車両左側)のフロントサイドフレーム1後端の接合位置にあたる部分である。この部分においても、ダッシュパネル4の上部フランジ41にカウルパネル5の前壁5a下端部を接合することで、カウルパネル5をダッシュパネル4の上方に位置させている。
【0052】
もっとも、アッパカウルパネル52によって構成される閉断面構造は、A−A線矢視断面やB−B線矢視断面より小さくなっており、加えて、アッパカウルパネル52を接合した下方位置には、第二閉断面を構成するロアカウルパネル54を接合している。
【0053】
以上のように、カウルパネル5は、車両前部で車幅方向全域にわたり樋状断面で延びており、これにより、車両前部の車幅方向の剛性を高めている。よって、この断面形状を一部変形させると剛性低下を招き、結果的にモノコックボディで構成される車両全体の車体剛性を低下させることになる。
【0054】
本実施形態では、前述のように、パワーユニットPを後方配置し、パワーユニットPの後端をカウルパネル5の下側に潜り込ませるように配置しているため、カウルパネル5の車幅方向中央にあたるセンターカウルパネル51に、下側部分を車両上方側に抉った凹状の収容部55を形成している(図1等参照)。この凹状の収容部55をセンターカウルパネル51に形成したことにより、カウルパネル5の断面形状が車幅方向中央部で変化するため、カウルパネル5の車幅方向の剛性が低下することになる。
【0055】
そこで、本実施形態では、タワーバー組体10をカウルパネル5、具体的にはセンターカウルパネル51に連結することにより、タワーバー組体10の車幅方向の剛性を利用してカウルパネル5の剛性低下を抑制し、車体剛性を確保している。
【0056】
このセンターカウルパネル51とタワーバー組体10の各構造及び連結構造について、図8〜図11を利用して説明する。図8はセンターカウルパネル51の単品斜視図、図9はタワーバー組体10の平面図、図10はサイドバー11,11の単品図、図11はセンターバー12の単品図である。
【0057】
図8に示すようにセンターカウルパネル51は、車両上下及び車幅方向に延びる前壁部51bと、水平及び車幅方向に延びる底壁部51cと、これら前壁部51bと底壁部51cの間で車両後方側斜め上方に膨出した収容部55とからなるパネル部材で構成している。このうち、収容部55には、収容部55の車幅方向の剛性を高めるために車幅方向に延びるビード部55a,55aを形成し、収容部55を設けたことによる、センターカウルパネル51の車幅方向の剛性低下をできるだけ少なくしている。なお、前壁部51bの上端部には前述の嵌合係止部51aを設けている。
【0058】
このセンターカウルパネル51の前壁部51bと底壁部51cの周縁には、カウルパネル5に締結するための複数の締結孔56…を設けている。この締結孔56…に前述の締結ボルト53…(図6参照)を挿通して、カウルパネル5の前壁5aと底面5bに締結固定を行う。
【0059】
このように、締結ボルト53によって、センターカウルパネル51を締結固定することで、センターカウルパネル51をカウルパネル5から分離することが可能となるため、カウルパネル5とパワーユニットPとの間の隙を十分に確保できない本実施形態のような車両においても、センターカウルパネル51を分離して、分離部分の開口(切欠き開口)からエンジン等を露出させ、エンジンや補機等のサービスを行うことが可能となる。
【0060】
なお、サービスが終わった後、再度、センターカウルパネル51をカウルパネル5に締結する場合には、始めに前壁部51bの締結ボルト53を締結し、後で底壁部51cの締結ボルト53を締結するのが望ましい。このような順番で締結すると、前壁部51bの締結孔56…とカウルパネル5の前壁5aの対応する孔(図示せず)との間で上下方向のズレが生じないため、締結作業を容易に行うことができるからである。
【0061】
そして、各締結孔56…の外側には、センターカウルパネル51の周囲を取り囲むように、シール部材57を設けている。分離部分からエンジンルームE内に雨水などが浸入しないようにするためである。
【0062】
また、センターカウルパネル51の前壁部51bのエンジンルームE側には、前述の取付けブラケット50,50を、収容部55の両側縁位置に左右一対で接合している。これにより、タワーバー組体10の連結固定位置を収容部55の車幅方向両側位置とすることができるため、タワーバー組体10の車幅方向の剛性を利用して、カウルパネル5の車幅方向の剛性低下を抑制することができる。すなわち、収容部55を形成したことによる剛性低下を、タワーバー組体10、具体的にはセンターバー12の車幅方向の剛性を有効利用して抑えることができるのである。
【0063】
この取付けブラケット50は、上下二枚のプレート部材の後端を上下それぞれに折り曲げることで接合フランジ50a,50bを形成し、この上下の接合フランジ50a,50bをセンターカウルパネル51の前壁部51bに接合することで、接合強度を高めてセンターカウルパネル51に固定している。
【0064】
この取付けブラケット50の先端には、タワーバー組体10を締結固定するスタッドボルト58,59を長短二本、各取付けブラケット50に車両上方側に突出するように設けている。
【0065】
このようにスタッドボルト58,59を二本設けることにより、サイドバー11の取付けブラケット50側の取付け位置が二点で固定されるため、サイドバー11のストラットタワー8側の位置が確実に規定され、ストラットタワー8の内倒れを確実に防止することができる。加えて、サイドバー11が取付けブラケットに対して二点で締結されることから、ストラットタワー8からの入力荷重も分散して確実に取付けブラケット50に伝達できる。
【0066】
また、車両中央側のスタッドボルト58を長く設定することで、このスタッドボルト58に、サイドバー11とセンターバー12の二本を共締めすることができ、確実にサイドバー11,11とセンターバー12を一体化することが可能となる。
【0067】
すなわち、タワーバー組体10は、車両中央側のスタッドボルト58で共締め固定されることで、左右のストラットタワー8,8を連結固定する一本のタワーバーとして構成され、一般的なタワーバーと同様に、確実に一方のストラットタワー8から他方のストラットタワー8に荷重を伝達することが可能となる。
【0068】
また、図9に示すように、タワーバー組体10は、取付けブラケット50側を締結ナット60で締結固定し、ストラットタワー8側も締結ナット60で締結固定している。よって、タワーバー組体10は、これらの締結ナット60を取り外すことで、車体に対して着脱自在にすることができる。
【0069】
なお、ストラットタワー8側の締結固定は、ストラットタワー8の上端で前輪サスペンション装置のダンパーと共締め固定された三ヶ月状のブラケット部材61を介して行っている。
【0070】
タワーバー組体10は、前述のように、左右一対のサイドバー11,11とセンターバー12の三分割構造で構成している。このうちサイドバー11,11は、図10に示すように、サイドバー本体71とタワー固定部72とで構成している。
【0071】
サイドバー本体71は、中央が屈曲した(図2、図4参照)所定の剛性を有する丸パイプ部材で形成して、取付けブラケット50側(図10で右側)端部を圧潰して取付けフランジ73を設け、その取付けフランジ73に、前述のスタッドボルト58,59を挿通する二つの挿通孔74,75を穿設して構成している。
【0072】
また、タワー固定部72は、サイドバー本体71のストラットタワー8側(図10で左側)に接合したガセット部材で構成し、ストラットタワー8からの荷重を有効にサイドバー本体71に伝達できるようコーン状に膨出した膨出座部76を形成し、車両前方側及び外方側にブラケット部材61のスタッドボルト(図示せず)を挿通する挿通孔77,78を穿設して構成している。
【0073】
一方、センターバー12は、センターバー本体81とスペーサー固定部82,82とで構成している。
【0074】
センターバー本体81は、車幅方向に直線状に延びる所定の剛性を有する丸パイプ部材で形成して、両端部を圧潰して取付けフランジ83,83を設け、その取付けフランジ83,83に前述のスタッドボルト58,58を挿通する挿通孔84,84を穿設して構成している。
【0075】
また、取付けフランジの挿通孔84,84の下側には、車両下方側に延びる円筒状のスペーサー固定部82,82を接合して、スペーサー固定部82,82の内周が挿通孔84,84に一致するように構成している。
【0076】
スペーサー固定部82,82を設けることで、センターバー12を取付けブラケット50に締結固定した状態で、スペーサー固定部82の高さ分、センターバー12を取付けブラケット50よりも車両上方側に配置することができる。よって、エンジンルームE内の車幅方向中央部に、センターバー12の下方に広いスペースを確保することができ、このスペースにエンジンや補機を有効にレイアウトすることが可能となる。
【0077】
なお、このスペーサー固定部82の代わりに、取付けフランジ83の端部を屈曲し延長部を形成し、この延長部を取付けブラケット50に直接締結固定するように構成してもよい。この場合も、エンジンルームE内の車幅方向中央部に広いスペースを確保することができる。
【0078】
以上のように、本実施形態では、センターカウルパネル51とタワーバー組体10を上述のように構成することで、タワーバー組体10の車幅方向の剛性を有効に利用してカウルパネル5の剛性低下を抑制し、車両前部の車体剛性を確保することができる。
【0079】
特に、本実施形態では、タワーバー組体10を三分割構造として構成しているため、タワーバー組体10の車幅方向中央部をセンターカウルパネル51に連結することで、タワーバー組体10の連結ポイントを、左右のストラットタワー8,8の上端部二箇所とセンターカウルパネル51の二箇所の計四箇所としても、各バーを二箇所ずつで連結していけば、容易にタワーバー組体10を車体に組付けることができる。よって、タワーバー側の生産精度や車体側の生産精度を高めなくても、容易にタワーバー組体10を車体に組付けることができ、生産性を高めることができる。
【0080】
また、タワーバー組体10を三分割構造として構成したことにより、タワーバーの取付け角度や形状を自由に設定することができ、レイアウト性も向上させることができる。
【0081】
なお、タワーバー組体10を三分割構造とせずに、一本のバーで構成した場合には、このような効果は得られないが、確実に左右のストラットタワー8,8を連結することになるため、ストラットタワー8,8の内倒れを確実に防止することができる。
【0082】
また、一本のバーで構成した場合、バー形状等については、車幅方向に直線状であっても、ハット状、湾曲状であってもよく、左右のストラットタワー8,8とカウルパネル5を強固に連結する構造であれば、全ての実施形態で本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0083】
さらに、車幅方向に直線状に延びるタワーバーに車両後方側に延びる補助バーを設け、補助バーの後端でセンターカウルパネル51の収容部55の車幅方向両側縁を連結固定してもよい。この場合も、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
以上、この発明の構成と、前述の実施形態との対応において、
この発明のタワーバーは、実施形態のタワーバー組体10に対応し、
以下同様に、
分離パネル部材は、センターカウルパネル51に対応し、
延出部は、スペーサー固定部82に対応するも、
この発明は、前述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、全ての車両の前部構造に適用する実施形態を含むものである。例えば、車室が一般のセダンタイプの車両よりも車両前方側にレイアウトされる所謂ミニバンタイプの車両においても適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本実施形態の車両の前部構造におけるカウル部分近傍の車体斜視図。
【図2】本実施形態の車体の前部正面図。
【図3】本実施形態の車体の前部平面図。
【図4】本実施形態の車体の車幅方向中央の断面側面図。
【図5】図3のA−A線矢視断面図。
【図6】図3のB−B線矢視断面図。
【図7】図3のC−C線矢視断面図。
【図8】センターカウルパネルの単品斜視図。
【図9】タワーバー組体の平面図。
【図10】サイドバーの単品図。
【図11】センターバーの単品図。
【符号の説明】
【0086】
4…ダッシュパネル
5…カウルパネル
8…ストラットタワー
10…タワーバー組体(タワーバー)
51…センターカウルパネル(分離パネル部材)
55…収容部
【技術分野】
【0001】
この発明は、車体構造を含めた車両の前部構造に関し、特に、車体前部に設けた左右の所謂ストラットタワーを車幅方向に延びて連結するタワーバーを備えた車両の前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両重量の前後バランスの最適化等のために、車両前部のエンジンルーム内に配置されるエンジンを、できるだけ車室側に後退させて配置する車両レイアウトが採用されつつある。
【0003】
もっとも、このようにエンジンを車室側に後退配置した場合には、エンジンルームと車室を区画するダッシュパネル上部のカウルパネルの下方に、エンジンを潜り込ませるように配置することになるため、エンジンのサービス性をどのように確保するか問題となる。
【0004】
この問題に対して、下記特許文献1では、カウルパネルの一部を分離可能に構成し、エンジンのサービスを行う場合には、この一部をカウルパネルから分離することでサービス性を確保できるようにしている。
【0005】
一方、車両前部には、車両の操安性を向上するため、左右の所謂ストラットタワーを略車幅方向に延びて連結するタワーバーを備えることも知られている。
【0006】
こうしたタワーバーの中には、ストラットタワーの内倒れを防止するだけでなく、さらに、捩れ入力に対する剛性を高めるため、タワーバーの中央部を車両後方側に折り曲げ、その中央部をダッシュパネルにソフトマウント(弾性支持)するものも、下記特許文献2で知られている。
【特許文献1】特開平4−129824号公報
【特許文献2】特開2000−118443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前述のように、エンジンを車室側に後退配置する場合、例えば、エンジンとカウルパネルの位置が近接している場合には、車体の構成部品であるカウルパネルに、一部を凹状に抉った収容部を設けることが考えられる。
【0008】
このようにカウルパネルの一部に凹状の収容部を設けた場合は、車幅方向に延びるカウルパネルの剛性を低下させることになり、結果的に、モノコックボディ等で構成される車両全体の車体剛性を低下させるといった問題を生じさせるおそれがある。
【0009】
この問題に対しては、例えば、エンジンルーム内に配置されたタワーバーを利用してカウルパネルを補強する構造が考えられる。しかし、前述の特許文献2のように、単にカウルパネルにタワーバーを弾性支持した構造では、固定部が弾性支持であるがゆえ、カウルパネルの剛性低下は避けられず、また、特許文献2のカウルパネルには、そもそも凹状の収容部もないため、カウルパネルのどの位置にタワーバーを固定すれば、有効に剛性低下が防げるのかも不明である。
【0010】
そこで、この発明は、車両の前部構造において、カウルパネルの一部に凹状の収容部を設けた場合の剛性低下を、タワーバーを利用して補強するにあたり、確実にカウルパネルの補強を行い、有効にカウルパネルの剛性低下を防ぎ、車両全体の車体剛性の低下を確実に防止することができる車両の前部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の車両の前部構造は、車両前部のエンジンルームと車室とを区画するダッシュパネルの上方で車幅方向に延びるカウルパネルと、該エンジンルームの車両左右側端部に設けられ、サスペンション装置の上部を固定するストラットタワーと、該左右のストラットタワーとカウルパネルを略車幅方向に延びて連結するタワーバーとを備える車両の前部構造であって、前記カウルパネルの車幅方向中央に、車両正面視で車両上方側に凹状に抉った収容部を形成し、該収容部の車幅方向両側縁のカウルパネルに、前記タワーバーを連結固定したものである。
【0012】
上記構成によれば、カウルパネルの車幅方向中央に、車両上方側に凹状に抉った収容部を形成し、その収容部の車幅方向両側縁のカウルパネルに、略車幅方向に延びるタワーバーを連結固定することになる。
【0013】
すなわち、収容部の車幅方向両側縁にタワーバーを連結固定することで、タワーバーの車幅方向の剛性が、収容部を設けたカウルパネルの剛性低下に対して効果的に作用することになり、カウルパネルの車幅方向の剛性を確保することができる。
【0014】
なお、タワーバーの形状等については、特に限定はなく、車幅方向に直線状であっても、ハット状、湾曲状であってもよく、左右のストラットタワーとカウルパネルを連結する構造であれば、全て本発明のタワーバーに含まれるものである。また、車幅方向に直線状に延びるタワーバーに車両後方側に延びる補助バーを設け、補助バーの後端を収容部の車幅方向両側縁に連結するような構造のタワーバーであっても良い。
【0015】
この発明の一実施態様においては、前記カウルパネルに、該カウルパネルの車幅方向中央部を構成し、前記収容部を形成する、分離可能な分離パネル部材を設けたものである。
【0016】
上記構成によれば、カウルパネルに、車幅方向中央部を構成して収容部を形成する分離可能な分離パネル部材を設けることになる。
【0017】
このため、カウルパネルの車幅方向中央部を分離パネル部材で分離できるため、例えば、カウルパネルの中央部に抉り形状を持たせなければならない、カウルパネルとエンジン等との間の隙が十分に確保できない車両であっても、分離パネル部材を分離することでエンジン等のサービス性を向上することができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、前記分離パネル部材の板厚を、他のカウルパネルの板厚よりも肉厚に設定したものである。
【0019】
上記構成によれば、分離パネル部材の板厚を、他のカウルパネルの板厚よりも肉厚に設定することで、分離パネル部材の剛性を高めることができる。
【0020】
このため、分離パネル部材を設け、開口部を形成したことによるカウルパネル自体の剛性低下が、剛性の高い分離パネル部材で補強されることで、抑えられることになる。
【0021】
よって、分離パネル部材を設けたことによるカウルパネルの剛性低下というデメリットを抑えて、カウルパネルの剛性を確保することができる。
【0022】
この発明の一実施態様においては、前記タワーバーを、前記ストラットタワーと前記収容部の車幅方向側縁とを連結する左右各々のサイドバーと、該収容部の車幅方向左側縁と右側縁とを連結するセンターバーとで構成したものである。
【0023】
上記構成によれば、タワーバーを、左右のサイドバーとセンターバーの三分割構造として構成することになる。
【0024】
このため、本発明のように、タワーバーの連結ポイントが、左右のストラットタワーと収容部の車幅方向両側縁といった四箇所に設定されるタワーバーにおいて、タワーバー自体の生産精度や車体側の生産精度をさほど高めなくても、二箇所ずつ連結ポイントを各バーで連結していけば、容易にタワーバーを車体に組付けることができる。
【0025】
よって、本発明のように連結ポイントが四箇所に設定されるタワーバーを採用するにあたり、タワーバー及び車体側の生産性を高めることができる。
【0026】
この発明の一実施態様においては、前記センターバーと前記サイドバーを、前記カウルパネルに対して取付けブラケットを介して連結固定し、該センターバーを、該取付けブラケットよりも車両上方側に位置するように、車両下方側に延びる延出部で、該取付けブラケットに連結したものである。
【0027】
上記構成によれば、センターバーとサイドバーを、取付けブラケットを介して連結固定し、このうち、センターバーを、車両下方側に延びる延出部で、取付けブラケットに連結することで、取付けブラケットよりもセンターバーを車両上方側に配置させることになる。
【0028】
このため、センターバーが車幅方向中央で車両上方側に配置されるため、例えば、エンジンルーム内の車幅方向中央に配置される縦置きエンジンや補機等のレイアウトスペースをエンジンルームの上方部分まで有効に確保することができる。
【0029】
この発明の一実施態様においては、前記センターバーと前記サイドバーを、共締め固定したものである。
【0030】
上記構成によれば、センターバーとサイドバーを共締め固定することで、車両に組付けた状態で、一本の完全なタワーバーに構成することができる。
【0031】
よって、サスペンション装置からの入力荷重を、カウルパネルだけではなく、反対側のストラットタワーへも伝達及び分散することができるため、ストラットタワーの内倒れを防ぐというタワーバーの機能も確実に確保することができる。
【発明の効果】
【0032】
この発明によれば、収容部の車幅方向両側縁にタワーバーを連結固定することで、タワーバーの車幅方向の剛性が、収容部を設けたことによるカウルパネルの剛性低下に対して効果的に作用することになり、カウルパネルの車幅方向の剛性を確保することができる。
【0033】
したがって、車両の前部構造において、カウルパネルの一部に凹状の収容部を設けた場合の剛性低下を、タワーバーを利用して補強するにあたり、確実にカウルパネルの補強を行い、有効にカウルパネルの剛性低下を防ぎ、車両全体の車体剛性の低下を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
まず、図1〜図3で本実施形態の車両の前部構造について説明する。図1は、車両前部のエンジンルーム内におけるカウル部分の近傍を車両前方斜め上方から見た車体斜視図、図2は車体前部の正面図、図3はその平面図、図4は車幅方向中央の断面側面図である。
【0035】
本実施形態の車体構造は、車両前後方向に延びる一対のフロントサイドフレーム1,1と、該一対のフロントサイドフレーム1,1を車幅方向に延びて連結する第一クロスメンバー2と、フロントサイドフレーム1,1後部から下方に屈曲して車室フロアの下部を車両前後方向に延びるフロアサイドフレーム3,3とを備え、フロントサイドフレーム1,1の後方には、車両上下及び車幅方向に延びて車室SとエンジンルームEとを区画するダッシュパネル4と、該ダッシュパネル4の上方で車幅方向に延びて空調ユニットへ外気を導入するカウルパネル5とを設けている。また、フロントサイドフレーム1,1の車両外方側には、エンジンルームE内に膨出し前輪(図示せず)を収容するホイールハウス6及びホイールエプロン7等を設けている。
【0036】
さらに、このホイールハウス6には、前輪サスペンション装置のダンパー(図示せず)上端を固定する円筒形状のストラットタワー8を設けている。このストラットタワー8の前後位置には、ストラットタワー8の車両前後方向剛性を高める2つの補強プレート9,9を設けている。
【0037】
なお、破線で示したのは、エンジンと変速機からなるパワーユニットPの配置ラインである。この配置ラインに示すように、本実施形態の車両においては、通常の縦置きエンジンの車両よりパワーユニットPの配置位置を車両後方側に設定している。具体的には、第一クロスメンバー2の車両後方側に配置して、パワーユニットPの後端を、ダッシュパネル4より後方側(車室S側)に突出するように設定し、カウルパネル5の下側に潜り込むように配置している。
【0038】
このように、パワーユニットPを配置することにより、車両重量の前後バランスの最適化を図れ、操安性の優れた車両にすることができる。
【0039】
そして、前述のストラットタワー8の上端部には、左右のストラットタワー8,8を略車幅方向に延びて連結するタワーバー組体10を締結固定している。
【0040】
このタワーバー組体10は、左右のストラットタワー8,8から各々カウルパネル5の車幅方向中央部に向かって後傾する左右のサイドバー11,11と、カウルパネル5の中央部分で該左右のサイドバー11,11を連結するセンターバー12との三分割構造で構成している。このタワーバー組体10を構成する各バー11,11,12は、カウルパネル5の車幅方向中央に設けた分離可能なセンターカウルパネル51に対して取付けブラケット50を介して締結固定している。
【0041】
なお、これらタワーバー組体10とセンターカウルパネル51の具体構造については、後述する。
【0042】
次に、前述のダッシュパネル4及びカウルパネル5の詳細構造について説明する。
図5〜図7は、図3のA−A線矢視断面図、B−B線矢視断面図、C−C線矢視断面図である。
【0043】
まず、図5に示すように、本実施形態のダッシュパネル4は、エンジンルームEと車室Sを仕切るように上下方向に延び、その上部フランジ41でカウルパネル5の前壁5a下端部を接合している。
【0044】
なお、ダッシュパネル4のエンジンルームE側面(車両前方側面)には、前述のフロントサイドフレーム1の後端部を接合し、その下方には前述のフロアサイドフレーム3を接合している。
【0045】
また、ダッシュパネル4の車室S側面(車両後方側面)には、ダッシュパネル4の剛性を高めるとともに、フロントサイドフレーム1からの前突荷重を受けるダッシュクロスメンバー42を接合している。
【0046】
ダッシュパネル4の上部フランジ41に接合された前述のカウルパネル5は、上方を開放した樋状断面に形成しており、そのカウルパネル5の上面には、カウルパネル5の内部の一部を閉断面構造とするアッパカウルパネル52を接合している。
【0047】
図6に示すB−B線矢視断面は、前述のセンターカウルパネル51をカウルパネル5に締結固定する部分の断面である。
【0048】
この部分においても、A−A線矢視断面同様にダッシュパネル4の上部フランジ41に、カウルパネル5の前壁5a下端部を接合することで、カウルパネル5を、ダッシュパネル4の上方に位置させている。また、アッパカウルパネル52もカウルパネル5の上面に接合することでカウルパネル5の内部の一部を閉断面構造としている。なお、フロントサイドフレーム1及びダッシュクロスメンバー42も、A−A線矢視断面と同様に、ダッシュパネル4のエンジンルームE側面と車室S側面にそれぞれ接合している。
【0049】
一方、この部分においては、センターカウルパネル51を、カウルパネル5の前壁5aに二本の締結ボルト53,53で固定することで、カウルパネル5に対して分離可能に構成している。このセンターカウルパネル51は、組付けた状態でカウルパネル5の前壁5a後方側に位置し、その上部に設けた嵌合係止部51aで、カウルパネル5の前部フランジ5bを嵌合することで、カウルパネル5と完全に一体化するように構成している。
【0050】
また、この図6から分かるように、センターカウルパネル51の板厚t1は、カウルパネル5の板厚t2より肉厚に設定している。これにより、センターカウルパネル51の剛性が高まるため、センターカウルパネル51を設けて開口を形成したことによるカウルパネル5の剛性低下を確実に抑制することができる。
【0051】
図7に示すC−C線矢視断面は、A−A線矢視断面とは反対側(車両左側)のフロントサイドフレーム1後端の接合位置にあたる部分である。この部分においても、ダッシュパネル4の上部フランジ41にカウルパネル5の前壁5a下端部を接合することで、カウルパネル5をダッシュパネル4の上方に位置させている。
【0052】
もっとも、アッパカウルパネル52によって構成される閉断面構造は、A−A線矢視断面やB−B線矢視断面より小さくなっており、加えて、アッパカウルパネル52を接合した下方位置には、第二閉断面を構成するロアカウルパネル54を接合している。
【0053】
以上のように、カウルパネル5は、車両前部で車幅方向全域にわたり樋状断面で延びており、これにより、車両前部の車幅方向の剛性を高めている。よって、この断面形状を一部変形させると剛性低下を招き、結果的にモノコックボディで構成される車両全体の車体剛性を低下させることになる。
【0054】
本実施形態では、前述のように、パワーユニットPを後方配置し、パワーユニットPの後端をカウルパネル5の下側に潜り込ませるように配置しているため、カウルパネル5の車幅方向中央にあたるセンターカウルパネル51に、下側部分を車両上方側に抉った凹状の収容部55を形成している(図1等参照)。この凹状の収容部55をセンターカウルパネル51に形成したことにより、カウルパネル5の断面形状が車幅方向中央部で変化するため、カウルパネル5の車幅方向の剛性が低下することになる。
【0055】
そこで、本実施形態では、タワーバー組体10をカウルパネル5、具体的にはセンターカウルパネル51に連結することにより、タワーバー組体10の車幅方向の剛性を利用してカウルパネル5の剛性低下を抑制し、車体剛性を確保している。
【0056】
このセンターカウルパネル51とタワーバー組体10の各構造及び連結構造について、図8〜図11を利用して説明する。図8はセンターカウルパネル51の単品斜視図、図9はタワーバー組体10の平面図、図10はサイドバー11,11の単品図、図11はセンターバー12の単品図である。
【0057】
図8に示すようにセンターカウルパネル51は、車両上下及び車幅方向に延びる前壁部51bと、水平及び車幅方向に延びる底壁部51cと、これら前壁部51bと底壁部51cの間で車両後方側斜め上方に膨出した収容部55とからなるパネル部材で構成している。このうち、収容部55には、収容部55の車幅方向の剛性を高めるために車幅方向に延びるビード部55a,55aを形成し、収容部55を設けたことによる、センターカウルパネル51の車幅方向の剛性低下をできるだけ少なくしている。なお、前壁部51bの上端部には前述の嵌合係止部51aを設けている。
【0058】
このセンターカウルパネル51の前壁部51bと底壁部51cの周縁には、カウルパネル5に締結するための複数の締結孔56…を設けている。この締結孔56…に前述の締結ボルト53…(図6参照)を挿通して、カウルパネル5の前壁5aと底面5bに締結固定を行う。
【0059】
このように、締結ボルト53によって、センターカウルパネル51を締結固定することで、センターカウルパネル51をカウルパネル5から分離することが可能となるため、カウルパネル5とパワーユニットPとの間の隙を十分に確保できない本実施形態のような車両においても、センターカウルパネル51を分離して、分離部分の開口(切欠き開口)からエンジン等を露出させ、エンジンや補機等のサービスを行うことが可能となる。
【0060】
なお、サービスが終わった後、再度、センターカウルパネル51をカウルパネル5に締結する場合には、始めに前壁部51bの締結ボルト53を締結し、後で底壁部51cの締結ボルト53を締結するのが望ましい。このような順番で締結すると、前壁部51bの締結孔56…とカウルパネル5の前壁5aの対応する孔(図示せず)との間で上下方向のズレが生じないため、締結作業を容易に行うことができるからである。
【0061】
そして、各締結孔56…の外側には、センターカウルパネル51の周囲を取り囲むように、シール部材57を設けている。分離部分からエンジンルームE内に雨水などが浸入しないようにするためである。
【0062】
また、センターカウルパネル51の前壁部51bのエンジンルームE側には、前述の取付けブラケット50,50を、収容部55の両側縁位置に左右一対で接合している。これにより、タワーバー組体10の連結固定位置を収容部55の車幅方向両側位置とすることができるため、タワーバー組体10の車幅方向の剛性を利用して、カウルパネル5の車幅方向の剛性低下を抑制することができる。すなわち、収容部55を形成したことによる剛性低下を、タワーバー組体10、具体的にはセンターバー12の車幅方向の剛性を有効利用して抑えることができるのである。
【0063】
この取付けブラケット50は、上下二枚のプレート部材の後端を上下それぞれに折り曲げることで接合フランジ50a,50bを形成し、この上下の接合フランジ50a,50bをセンターカウルパネル51の前壁部51bに接合することで、接合強度を高めてセンターカウルパネル51に固定している。
【0064】
この取付けブラケット50の先端には、タワーバー組体10を締結固定するスタッドボルト58,59を長短二本、各取付けブラケット50に車両上方側に突出するように設けている。
【0065】
このようにスタッドボルト58,59を二本設けることにより、サイドバー11の取付けブラケット50側の取付け位置が二点で固定されるため、サイドバー11のストラットタワー8側の位置が確実に規定され、ストラットタワー8の内倒れを確実に防止することができる。加えて、サイドバー11が取付けブラケットに対して二点で締結されることから、ストラットタワー8からの入力荷重も分散して確実に取付けブラケット50に伝達できる。
【0066】
また、車両中央側のスタッドボルト58を長く設定することで、このスタッドボルト58に、サイドバー11とセンターバー12の二本を共締めすることができ、確実にサイドバー11,11とセンターバー12を一体化することが可能となる。
【0067】
すなわち、タワーバー組体10は、車両中央側のスタッドボルト58で共締め固定されることで、左右のストラットタワー8,8を連結固定する一本のタワーバーとして構成され、一般的なタワーバーと同様に、確実に一方のストラットタワー8から他方のストラットタワー8に荷重を伝達することが可能となる。
【0068】
また、図9に示すように、タワーバー組体10は、取付けブラケット50側を締結ナット60で締結固定し、ストラットタワー8側も締結ナット60で締結固定している。よって、タワーバー組体10は、これらの締結ナット60を取り外すことで、車体に対して着脱自在にすることができる。
【0069】
なお、ストラットタワー8側の締結固定は、ストラットタワー8の上端で前輪サスペンション装置のダンパーと共締め固定された三ヶ月状のブラケット部材61を介して行っている。
【0070】
タワーバー組体10は、前述のように、左右一対のサイドバー11,11とセンターバー12の三分割構造で構成している。このうちサイドバー11,11は、図10に示すように、サイドバー本体71とタワー固定部72とで構成している。
【0071】
サイドバー本体71は、中央が屈曲した(図2、図4参照)所定の剛性を有する丸パイプ部材で形成して、取付けブラケット50側(図10で右側)端部を圧潰して取付けフランジ73を設け、その取付けフランジ73に、前述のスタッドボルト58,59を挿通する二つの挿通孔74,75を穿設して構成している。
【0072】
また、タワー固定部72は、サイドバー本体71のストラットタワー8側(図10で左側)に接合したガセット部材で構成し、ストラットタワー8からの荷重を有効にサイドバー本体71に伝達できるようコーン状に膨出した膨出座部76を形成し、車両前方側及び外方側にブラケット部材61のスタッドボルト(図示せず)を挿通する挿通孔77,78を穿設して構成している。
【0073】
一方、センターバー12は、センターバー本体81とスペーサー固定部82,82とで構成している。
【0074】
センターバー本体81は、車幅方向に直線状に延びる所定の剛性を有する丸パイプ部材で形成して、両端部を圧潰して取付けフランジ83,83を設け、その取付けフランジ83,83に前述のスタッドボルト58,58を挿通する挿通孔84,84を穿設して構成している。
【0075】
また、取付けフランジの挿通孔84,84の下側には、車両下方側に延びる円筒状のスペーサー固定部82,82を接合して、スペーサー固定部82,82の内周が挿通孔84,84に一致するように構成している。
【0076】
スペーサー固定部82,82を設けることで、センターバー12を取付けブラケット50に締結固定した状態で、スペーサー固定部82の高さ分、センターバー12を取付けブラケット50よりも車両上方側に配置することができる。よって、エンジンルームE内の車幅方向中央部に、センターバー12の下方に広いスペースを確保することができ、このスペースにエンジンや補機を有効にレイアウトすることが可能となる。
【0077】
なお、このスペーサー固定部82の代わりに、取付けフランジ83の端部を屈曲し延長部を形成し、この延長部を取付けブラケット50に直接締結固定するように構成してもよい。この場合も、エンジンルームE内の車幅方向中央部に広いスペースを確保することができる。
【0078】
以上のように、本実施形態では、センターカウルパネル51とタワーバー組体10を上述のように構成することで、タワーバー組体10の車幅方向の剛性を有効に利用してカウルパネル5の剛性低下を抑制し、車両前部の車体剛性を確保することができる。
【0079】
特に、本実施形態では、タワーバー組体10を三分割構造として構成しているため、タワーバー組体10の車幅方向中央部をセンターカウルパネル51に連結することで、タワーバー組体10の連結ポイントを、左右のストラットタワー8,8の上端部二箇所とセンターカウルパネル51の二箇所の計四箇所としても、各バーを二箇所ずつで連結していけば、容易にタワーバー組体10を車体に組付けることができる。よって、タワーバー側の生産精度や車体側の生産精度を高めなくても、容易にタワーバー組体10を車体に組付けることができ、生産性を高めることができる。
【0080】
また、タワーバー組体10を三分割構造として構成したことにより、タワーバーの取付け角度や形状を自由に設定することができ、レイアウト性も向上させることができる。
【0081】
なお、タワーバー組体10を三分割構造とせずに、一本のバーで構成した場合には、このような効果は得られないが、確実に左右のストラットタワー8,8を連結することになるため、ストラットタワー8,8の内倒れを確実に防止することができる。
【0082】
また、一本のバーで構成した場合、バー形状等については、車幅方向に直線状であっても、ハット状、湾曲状であってもよく、左右のストラットタワー8,8とカウルパネル5を強固に連結する構造であれば、全ての実施形態で本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0083】
さらに、車幅方向に直線状に延びるタワーバーに車両後方側に延びる補助バーを設け、補助バーの後端でセンターカウルパネル51の収容部55の車幅方向両側縁を連結固定してもよい。この場合も、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
以上、この発明の構成と、前述の実施形態との対応において、
この発明のタワーバーは、実施形態のタワーバー組体10に対応し、
以下同様に、
分離パネル部材は、センターカウルパネル51に対応し、
延出部は、スペーサー固定部82に対応するも、
この発明は、前述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、全ての車両の前部構造に適用する実施形態を含むものである。例えば、車室が一般のセダンタイプの車両よりも車両前方側にレイアウトされる所謂ミニバンタイプの車両においても適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本実施形態の車両の前部構造におけるカウル部分近傍の車体斜視図。
【図2】本実施形態の車体の前部正面図。
【図3】本実施形態の車体の前部平面図。
【図4】本実施形態の車体の車幅方向中央の断面側面図。
【図5】図3のA−A線矢視断面図。
【図6】図3のB−B線矢視断面図。
【図7】図3のC−C線矢視断面図。
【図8】センターカウルパネルの単品斜視図。
【図9】タワーバー組体の平面図。
【図10】サイドバーの単品図。
【図11】センターバーの単品図。
【符号の説明】
【0086】
4…ダッシュパネル
5…カウルパネル
8…ストラットタワー
10…タワーバー組体(タワーバー)
51…センターカウルパネル(分離パネル部材)
55…収容部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前部のエンジンルームと車室とを区画するダッシュパネルの上方で車幅方向に延びるカウルパネルと、該エンジンルームの車両左右側端部に設けられ、サスペンション装置の上部を固定するストラットタワーと、該左右のストラットタワーとカウルパネルを略車幅方向に延びて連結するタワーバーとを備える車両の前部構造であって、
前記カウルパネルの車幅方向中央に、車両正面視で車両上方側に凹状に抉った収容部を形成し、
該収容部の車幅方向両側縁のカウルパネルに、前記タワーバーを連結固定した
車両の前部構造。
【請求項2】
前記カウルパネルに、該カウルパネルの車幅方向中央部を構成し、前記収容部を形成する、分離可能な分離パネル部材を設けた
請求項1記載の車両の前部構造。
【請求項3】
前記分離パネル部材の板厚を、他のカウルパネルの板厚よりも肉厚に設定した
請求項2記載の車両の前部構造。
【請求項4】
前記タワーバーを、前記ストラットタワーと前記収容部の車幅方向側縁とを連結する左右各々のサイドバーと、
該収容部の車幅方向左側縁と右側縁とを連結するセンターバーとで構成した
請求項1〜3記載の車両の前部構造。
【請求項5】
前記センターバーと前記サイドバーを、前記カウルパネルに対して取付けブラケットを介して連結固定し、
該センターバーを、該取付けブラケットよりも車両上方側に位置するように、車両下方側に延びる延出部で、該取付けブラケットに連結した
請求項4記載の車両の前部構造。
【請求項6】
前記センターバーと前記サイドバーを、共締め固定した
請求項4又は5記載の車両の前部構造。
【請求項1】
車両前部のエンジンルームと車室とを区画するダッシュパネルの上方で車幅方向に延びるカウルパネルと、該エンジンルームの車両左右側端部に設けられ、サスペンション装置の上部を固定するストラットタワーと、該左右のストラットタワーとカウルパネルを略車幅方向に延びて連結するタワーバーとを備える車両の前部構造であって、
前記カウルパネルの車幅方向中央に、車両正面視で車両上方側に凹状に抉った収容部を形成し、
該収容部の車幅方向両側縁のカウルパネルに、前記タワーバーを連結固定した
車両の前部構造。
【請求項2】
前記カウルパネルに、該カウルパネルの車幅方向中央部を構成し、前記収容部を形成する、分離可能な分離パネル部材を設けた
請求項1記載の車両の前部構造。
【請求項3】
前記分離パネル部材の板厚を、他のカウルパネルの板厚よりも肉厚に設定した
請求項2記載の車両の前部構造。
【請求項4】
前記タワーバーを、前記ストラットタワーと前記収容部の車幅方向側縁とを連結する左右各々のサイドバーと、
該収容部の車幅方向左側縁と右側縁とを連結するセンターバーとで構成した
請求項1〜3記載の車両の前部構造。
【請求項5】
前記センターバーと前記サイドバーを、前記カウルパネルに対して取付けブラケットを介して連結固定し、
該センターバーを、該取付けブラケットよりも車両上方側に位置するように、車両下方側に延びる延出部で、該取付けブラケットに連結した
請求項4記載の車両の前部構造。
【請求項6】
前記センターバーと前記サイドバーを、共締め固定した
請求項4又は5記載の車両の前部構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−111162(P2006−111162A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−301542(P2004−301542)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]