車両の回転スライドシート用の回転機構
【課題】高さを低くでき、かつ、部品点数を削減できる車両のシート回転装置を提供する。
【解決手段】スライド部材13と回転部材14とは、スライド部材13と回転部材14との間に複数の第2転動球22を含んで設けられた第1摺動機構と、回転部材14に固定された連結部材21の環状部21aとスライド部材13との間に複数の第1転動球24を含んで設けられた第2摺動機構とにより回動自在な状態で連結される。
【解決手段】スライド部材13と回転部材14とは、スライド部材13と回転部材14との間に複数の第2転動球22を含んで設けられた第1摺動機構と、回転部材14に固定された連結部材21の環状部21aとスライド部材13との間に複数の第1転動球24を含んで設けられた第2摺動機構とにより回動自在な状態で連結される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば車両シートへの身体障害者の乗降を補助する乗降補助装置等に備えられた車両の回転スライドシート用の回転機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、身体障害者を車両のシートに乗せるために、車内の着座位置と車外の乗降位置との間でシートを移動させるようにした乗降補助装置が使用されている。この装置は、例えば、車体フロアに固定されるスライド装置、このスライド装置のスライド部材上に支持される回転機構、この回転機構に支持される回転部材、この回転部材上に支持される昇降装置等により構成され、昇降装置にシート本体が支持されている。
【0003】
上記回転機構としては、例えば特許文献1に開示される構成がある。この回転機構は、図15に示すように、スライド部材60上に固定される内輪部材61と、回転部材62に固定される外輪部材63とを、複数の転動球64を介して互いに回動可能に連結した軸受構成のものである。
【0004】
一方、特許文献2に記載のシート回転装置は、図16及び図17に示すように、板材から環状にプレス成形された固定板70と回転板71にそれぞれ環状溝70a,71aを形成し、この両環状溝70a,71a間に転動球72を支持させた構成を備える。さらに、固定板70の開口周縁70bには、板材により環状に形成された保持板73が固定され、この保持板73は、回転板71の開口71bを通じて回転板71の内側周縁部の上方に支持されている。そして、回転板71の内側周縁部と保持板73とにも環状溝71c,73aがそれぞれ形成され、この両環状溝71c,73a間に転動球74が支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−211284号公報
【特許文献2】特開平11−59242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の回転装置は、軸受のように、内輪部材61、外輪部材63、転動球64等により構成されているため、部品点数が多かった。また、軸受構成を備えているため、内輪部材61及び外輪部材63の厚さによりスライド部材60上の回転部材62の位置が高くなり、この結果、シート本体の位置が無用に高くなる問題があった。
【0007】
一方、特許文献2の回転装置は、板材からプレス成形された固定板70と回転板71とを結合するための保持板73の分だけ特許文献1の回転装置よりも部品点数が多くなっている。また、固定板70と回転板71との間に転動球72,74を支持させた構成は、軸受と同様に、厚さが大きかった。
【0008】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、高さを低くでき、かつ、部品点数を削減できる車両の回転スライドシート用の回転機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、車体フロアに固定されるスライド装置のスライド部材に対して、シート本体が設けられた回転部材を、回転自在に支持する車両の回転スライドシート用の回転機構であって、前記スライド部材及び前記回転部材のいずれか一方を第1部材とし、他方を第2部材とし、前記第1部材に形成された貫通孔を通じて前記第2部材に対して固定された連結部材が設けられ、前記連結部材には、前記第1部材における前記第2部材側とは反対側の側面に対面する環状部が設けられ、前記貫通孔の周部において、前記第1部材と前記第2部材との間には、複数の転動体を含む第1摺動機構が設けられるとともに、前記環状部と前記第1部材との間には、複数の転動体を含む第2摺動機構が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項1の発明によれば、スライド部材と回転部材とは、スライド部材と回転部材との間に複数の転動体を含んで設けられた第1摺動機構と、いずれか一方の貫通孔を通じて他方に固定された連結部材の環状部とその一方との間に複数の転動体を含んで設けられた第2摺動機構とを介して回動自在な状態で連結される。そして、第1摺動機構は、スライド部材と回転部材との間に、転動体を含んで構成され、第2摺動機構は、スライド部材又は回転部材と環状部との間に、転動体を含んで構成される。従って、外輪部材及び内輪部材を有する球軸受構成の回転機構をスライド部材と回転部材との間に設けた構成よりも部品点数が少なくなり、かつ、回転部材とスライド部材とを合わせた厚さを小さくできる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1部材がスライド部材であり、前記第2部材が回転部材であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記第1部材が回転部材であり、前記第2部材がスライド部材であることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のうちのいずれか一項の発明において、前記スライド部材の上面と前記回転部材の下面との間において、前記回転部材の回動中心を中心として、前記第1摺動機構及び第2摺動機構よりも外側の位置には、複数の転動体を含む第3摺動機構が設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明によれば、回転部材から離れるように車室外へシート本体が移動されたとき、シート本体は、第1摺動機構及び第2摺動機構に加えて、両機構とシート本体との間の第3摺動機構によっても支持される。ゆえに、シート本体から第1摺動機構及び第2摺動機構に加わる偏荷重が低減される。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項の発明において、前記第1摺動機構及び第2摺動機構の転動体は、転動球であることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項の発明において、前記第1摺動機構及び第2摺動機構の少なくともいずれか一方の機構の転動体は、転動球であり、残りはコロ体であることを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項の発明において、前記第1摺動機構及び第2摺動機構の転動体は、コロ体であり、第1摺動機構のコロ体は、その回動中心が前記回転部材の回動中心に向かって上向きとなるように支持され、第2摺動機構のコロ体は、同じく下向きとなるように支持されていることを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項の発明において、前記第1摺動機構乃至第3摺動機構の少なくともいずれか1つの機構の転動体は、転動球であり、残りはコロ体であることを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8のうちいずれか一項の発明において、前記連結部材及び環状部は、板材から一体にプレス成形されていることを特徴とする。
請求項9の発明によれば、連結部材及び環状部を少ない工数で一体に形成することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、高さを低くでき、かつ、部品点数を削減できる車両の回転スライドシート用の回転機構を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の回転機構を備えた回転スライドシートを示す模式図。
【図2】回転スライドシートの作動状態を示す車両の平面図。
【図3】回転スライドシートの作動状態を示す車両の斜視図。
【図4】第1実施形態の回転機構を示す分解斜視図。
【図5】回転機構を示す縦断面図。
【図6】回転機構の要部を示す縦断面図。
【図7】回転機構の要部を示す縦断面図。
【図8】(a)はスライド部材及び回転部材の着座状態での位置関係を示す平面図、(b)は同じく乗降状態での位置関係を示す平面図。
【図9】第2実施形態の回転機構を示す分解斜視図。
【図10】回転機構の要部を示す縦断面図。
【図11】第3実施形態の回転機構を示す分解斜視図。
【図12】回転機構を示す縦断面図。
【図13】第4実施形態の回転機構を示す分解斜視図。
【図14】回転機構を示す縦断面図。
【図15】従来の回転スライドシート用の回転機構を示す縦断面図。
【図16】同じく回転機構を示す斜視図。
【図17】図16におけるa−a線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
次に、この発明を具体化した第1実施形態について図1〜図8を参照して説明する。
図1に示すように、乗降補助装置10は、車室フロア11上に固定されるスライド装置12、このスライド装置12のスライド部材13上に後述する回転機構を介して回動可能に支持される回転部材14、この回転部材14上に固定された昇降装置15等により構成され、この昇降装置15にはシート本体16が上下前後移動可能に支持されている。この実施形態では、スライド部材13が第1部材であり、回転部材14が第2部材である。
【0021】
この乗降補助装置10による乗降時には、図示しない駆動機構の作動により、まず、スライド装置12のスライド部材13が前方へ移動されるとともに回転部材14が回動される。すると、着座位置にあったシート本体16が前方へ移動するととともに外側を向く状態となる。次に、昇降装置15が作動され、図2及び図3に示すように、シート本体16全体が車室外に出るとともに乗降位置まで下降する。
【0022】
図4に示すように、前記回転機構20は、前記スライド部材13と回転部材14とをその構成要素として次のように構成されている。
板材からプレス形成されたスライド部材13には、回転部材14の回動中心Oを中心とする貫通孔13aが形成されている。
【0023】
図4、図5及び図6に示すように、板材からプレス形成された回転部材14の下面には、上側が閉じられた筒状の連結部材21が貫通孔13aに対して回動自在に挿通された状態で固定されている。連結部材21の下側開口の外側周縁、すなわち、回転部材14に対する固定側部位とは反対側の端部外周には、スライド部材13の下方において貫通孔13aの周縁部に対面するフランジ状の環状部21aが一体形成されている。
【0024】
図4、図6及び図7に示すように、スライド部材13の上面には、回転部材14の回動中心Oと同心の第3環状溝13bが形成されている。第3環状溝13bは、プレス成形によりスライド部材13の上面に形成されている。一方、回転部材14の下面には、第3環状溝13bと同心かつ同径の第4環状溝14aが形成されている。第4環状溝14aは、プレス成形により回転部材14の下面に形成されている。そして、第3環状溝13bと第4環状溝14aとの間には、転動体としての複数の第2転動球22が保持部材23により等間隔に保持された状態で支持されている。従って、スライド部材13の上面と回転部材14の下面との間には、第3環状溝13b、第4環状溝14a及び第2転動球22により第1摺動機構が構成されている。
【0025】
また、図6及び図7に示すように、スライド部材13の下面には、回転部材14の回動中心Oと同心の第1環状溝13cが形成されている。一方、連結部材21の環状部21aの上面には、第1環状溝13cと同心かつ同径の第2環状溝21bが形成されている。そして、第1環状溝13cと第2環状溝21bとの間には、転動体としての複数の第1転動球24が保持部材23により等間隔に保持された状態で支持されている。従って、スライド部材13の下面と環状部21aの上面との間には、第1環状溝13c、第2環状溝21b及び第1転動球24により第2摺動機構が構成されている。
【0026】
また、図4及び図5に示すように、スライド部材13の上面には、貫通孔13aに対して左側に、回転部材14の回動中心Oと同心の第1円弧溝25が形成されている。この第1円弧溝25は、回転部材14すなわちシート本体16が前向きの状態から左側方に略90度方向転換できる円弧長さ、すなわち円弧を規定する角度αを有する。一方、回転部材14の下面には、第1円弧溝25に対応する第2円弧溝26が接形成されている。そして、第1円弧溝25と第2円弧溝26との間には、転動体としての複数の第3転動球27が保持部材28により等間隔に保持された状態で支持されている。従って、スライド部材13の上面と回転部材14の下面との間において、回転部材14の回動中心Oを中心として前記第1摺動機構及び第2摺動機構よりも外側の位置には、第1円弧溝25、第2円弧溝26、第3転動球27及び保持部材28により第3摺動機構が構成されている。
【0027】
上記のように構成された車両の回転スライドシート用の回転機構の作用を説明する。
回転部材14は、スライド装置12のスライド部材13に対して、第3環状溝13b及び第4環状溝14a間の第2転動球22により回動可能に支持される。また、回転部材14は、第1環状溝13c及び第2環状溝21b間の第1転動球24を介した環状部21aの係合により、スライド部材13に対して回動可能に連結されている。そして、図示しない駆動装置により回転部材14が駆動されると、第3環状溝13b及び第4環状溝14a間における第2転動球22の転動と、第1環状溝13c及び第2環状溝21b間における第1転動球24の転動とにより、シート本体16がスライド部材13に対して円滑に回動する。
【0028】
図8(a)はシート本体16が着座位置にあるときの回転機構20の状態を示し、この状態からシート本体16が回動されると、回転部材14は、スライド部材13上面の第1円弧溝25と回転部材14下面の第2円弧溝26との間に支持されている第3転動球27の転動を伴って回動する。そして、図8(b)に示すように、シート本体16が車体の側方へ向いた状態においては、回転部材14の回動中心Oに対して第3転動球27が側方に位置する。このため、昇降装置15により回転部材14から離れて車室外へ移動されたシート本体16は、図8(a)の状態に対応する図5に示すように、回転部材14の回動中心Oに対してシート本体16側の第2転動球22とその反対側の第1転動球24に加えて、同第2転動球22とシート本体16との間に位置する第3転動球27によっても支持される。従って、シート本体16から第1摺動機構及び第2摺動機構に加わる偏荷重が低減される。
【0029】
以上詳述したこの実施形態では、以下の特徴を有する。
(1) スライド部材13と回転部材14とは、スライド部材13と回転部材14との間に複数の第2転動球22を含んで設けられた第1摺動機構と、回転部材14に固定された連結部材21の環状部21aとスライド部材13との間に複数の第1転動球24を含んで設けられた第2摺動機構とにより回動自在な状態で連結される。
【0030】
従って、特許文献1,2のように外輪部材及び内輪部材を有する球軸受構成の回転機構を設けた構成よりも部品点数が少なくなり、かつ、回転部材14とスライド部材13とを合わせた厚さを小さくできる。ゆえに、この実施形態によれば、回転機構20の高さを低くしてシート本体16の高さを低くすることができる。しかも、部品点数を削減して組立工数を削減できる。
【0031】
(2) スライド部材13の上面と回転部材14の下面との間において、回転部材14の回動中心Oを中心として第1摺動機構よりも外側の位置には、第3摺動機構が設けられている。従って、回転部材14から離れるように車室外へシート本体16が移動されたとき、シート本体16は、第1摺動機構及び第2摺動機構に加えて、両機構とシート本体16との間の第3摺動機構によっても支持される。ゆえに、シート本体16から第1摺動機構及び第2摺動機構に加わる偏荷重が低減されるため、回転機構20の耐久性を高めることができる。また、第2転動球22及び第1転動球24を支持するスライド部材13及び回転部材14に加わる負荷が低減されるので、これらの板厚を下げることができ、この結果、シート本体16の高さを低くして乗降性を向上できる。
【0032】
(3) 連結部材21と環状部21aとは、板材から一体にプレス成形されている。従って、部品点数と組立工数の増加を避けることができる。
(第2実施形態)
次に、この発明を具体化した第2実施形態について図9及び図10を参照して説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については符号を同じにしてその説明を省略し、第1実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0033】
この実施形態の回転機構20は、次のように構成されている。
図9に示すように、回転部材14には、その回動中心Oを中心とする貫通孔14bが形成されている。
【0034】
図10に示すように、スライド部材13の上面には、下側が閉じられた筒状の連結部材21が前記貫通孔14bに対して回動自在に挿通された状態で固定されている。
連結部材21の上側開口の外側周縁部、すなわち、スライド部材13に対する固定側部位とは反対側の端部外周には、回転部材14の上方において貫通孔14bの周縁部に対面するフランジ状の環状部21aが一体形成されている。この実施形態では、回転部材14が第1部材であり、スライド部材13が第2部材である。
【0035】
図9及び図10に示すように、スライド部材13の上面には、回転部材14の回動中心Oと同心の第3環状溝13bが形成されている。一方、回転部材14の下面には、第3環状溝13bと同心かつ同径の第4環状溝14aが形成されている。そして、第3環状溝13bと第4環状溝14aとの間には、転動体としての複数の第2転動球22が保持部材23により等間隔に保持された状態で支持されている。従って、スライド部材13の上面と回転部材14の下面との間には、第3環状溝13b、第4環状溝14a及び第2転動球22により第1摺動機構が構成されている。
【0036】
また、回転部材14の上面には、この回転部材14の回動中心Oと同心の第1環状溝31が形成されている。一方、連結部材21の環状部21aの下面には、第1環状溝31と同心かつ同径の第2環状溝32が形成されている。そして、第1環状溝31と第2環状溝32との間には、転動体としての複数の第1転動球24が保持部材23により等間隔に保持された状態で支持されている。従って、回転部材14の上面と環状部21aの下面との間には、第1環状溝31、第2環状溝32及び第1転動球24により第2摺動機構が構成されている。
【0037】
上記のように構成されたこの実施形態は、上記第1実施形態と同様の作用を有し、上記(1)〜(3)の効果を有する。
(第3実施形態)
次に、この発明を具体化した第3実施形態について図11及び図12を参照して説明する。なお、この実施形態は前記第2実施形態と基本的に同一であるので、第2実施形態と同じ構成については符号を同じにしてその説明を省略し、第2実施形態と異なる構成についてのみ説明する。なお、この実施形態は、第2実施形態と同様に、回転部材14が第1部材であり、スライド部材13が第2部材である。
【0038】
図11及び図12に示すように、回転部材14には、その回動中心Oを中心とする貫通孔14bが、第2実施形態よりも右寄りに形成されている。
スライド部材13の上面と回転部材14の下面との間には、転動体としての複数のコロ体40aが環状の保持部材40bにより放射状に等間隔で保持された状態で支持されている。従って、スライド部材13の上面と回転部材14の下面との間には、コロ体40a及び保持部材40bにより第1摺動機構が構成されている。
【0039】
また、スライド部材13の上面には、回転部材14の回動中心Oに対して右側に、回動中心Oと同心の円弧状とされた案内溝41がプレス成形により形成されている。この案内溝41は、突条により扇状の領域を区画することで形成されており、回転部材14すなわちシート本体16が前向きの状態から左側方に略90度方向転換できる円弧長さ、すなわち円弧長さを規定する角度βを有している。そして、この案内溝41内において、スライド部材13の上面と回転部材14の下面との間には、転動体としての複数のコロ体42aが扇状の保持部材42bにより放射状に等間隔で保持された状態で支持されている。従って、スライド部材13の上面と回転部材14の下面との間において、回転部材14の回動中心Oを中心として前記第1摺動機構及び第2摺動機構よりも外側の位置には、案内溝41、コロ体42a及び保持部材42bにより第3摺動機構が構成されている。
【0040】
上記のように構成されたこの実施形態は、上記第1実施形態と同様の作用を有し、上記(1)〜(3)の効果に加えて、以下の効果を有する。
(4) スライド部材13に連結部材21を固定し、かつ、第1摺動機構としてコロ体40aを用いたので、前記第1実施形態の構成とは異なり、連結部材21の環状部21aとスライド部材13の左側縁のR部分A(図5、図12に図示)との干渉を避け、同左側縁の近傍に連結部材21を配置することができる。従って、回転部材14すなわちシート本体16の回動中心Oをスライド部材13の左側縁近傍に設定することができるため、設計の自由度を大きくすることができる。
【0041】
(第4実施形態)
次に、この発明を具体化した第4実施形態について図13及び図14を参照して説明する。なお、この実施形態では第2実施形態と異なる構成についてのみ説明する。なお、この実施形態は、第1実施形態と同様に、スライド部材13が第1部材であり、回転部材14が第2部材である。
【0042】
図13及び図14に示すように、スライド部材13の上面における貫通孔13aの周縁部には、回転部材14の回動中心Oと同心の円錐面に含まれるテーパ状の環状受け面13dがプレス成形により形成されている。この環状受け面13dは、周部から回動中心へ行くほど上方へ向かうように形成されている。また、スライド部材13の下面における貫通孔13aの周縁部には、環状受け面13dと同心の円錐面に含まれるとともに環状受け面13dと同径のテーパ状の環状受け面13eがプレス成形により形成されている。この環状受け面13eは、周部から回動中心へ行くほど下方へ向かうように形成されている。
【0043】
一方、回転部材14における前記貫通孔13aの対応位置には、円形凹状とされるとともに中央に貫通孔を有する連結部50が一体形成されている。また、回転部材14の下面における連結部50の周部には、前記環状受け面13dと平行で、すなわち環状受け面13dと同心かつ同径のテーパ状の環状受け面14cが形成されている。
【0044】
連結部50の下面には、スライド部材13の貫通孔13aを通じて、全体として略環状の連結部材51がボルト55により締め付け固定されている。連結部材51の周部は、スライド部材13における回転部材14とは反対側の側面(すなわち下面)に対面する環状部52とされている。その環状部52の上面には、前記環状受け面13eと平行で、すなわち環状受け面13eと同心かつ同径のテーパ状の環状受け面52aが一体形成されている。
【0045】
スライド部材13の環状受け面13dと、回転部材14の環状受け面14cとの間には、転動体としての複数のコロ体53が保持部材54により等間隔に保持された状態で支持されている。コロ体53は、テーパ状の環状受け面13d及び環状受け面14cにより、その回動中心が回転部材14の回動中心Oに向かって所定角度γの上向きとなるように支持されている。本実施形態では、前記所定角度γは5度としているが限定するものではない。従って、スライド部材13の上面と回転部材14の下面との間には、環状受け面13d、環状受け面14c及びコロ体53により第1摺動機構が構成されている。
【0046】
また、スライド部材13の環状受け面13eと、環状部52の環状受け面52aとの間には、転動体としての複数のコロ体53が保持部材54により等間隔に保持された状態で支持されている。コロ体53は、テーパ状の環状受け面13e及び環状受け面52aにより、その回動中心が回転部材14の回動中心Oに向かって所定角度γの下向きとなるように支持されている。従って、スライド部材13の下面と環状部52の上面との間には、環状受け面13e、環状受け面52a及びコロ体53により第2摺動機構が構成されている。
【0047】
上記のように構成されたこの実施形態の作用を説明する。
回転部材14は、スライド部材13との間に設けられた第1摺動機構及び第2摺動機構により、スライド部材13に対して回動可能な状態で支持される。図示しない駆動装置により回転部材14が回動されるとき、回転部材14の回動中心Oに向かって所定角度γの上向きとなるようにコロ体53が支持された第1摺動機構と、同じく所定角度γの下向きとなるようにコロ体53が支持された第2摺動機構とによる自動調芯作用により、回転部材14は、回動中心Oからのずれが防止される。
【0048】
従って、この実施形態は、上記第1実施形態の(1)〜(3)の効果に加えて、以下の効果を有する。
(5) 第1摺動機構を、回転部材14の回動中心Oに向かって所定角度γの上向きとなるように支持されたコロ体53を含むように構成し、第2摺動機構を、同じく所定角度γの下向きとなるように支持されたコロ体53を含むように構成した。従って、回転部材14がその回動中心Oに対して自動調芯されるため、回転部材14の回動に伴うがたつきの発生を防止してシート本体16を円滑に回動させるとともに耐久性を向上することができる。
【0049】
(他の実施形態)
なお、本発明の実施形態は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように変更しても良い。
【0050】
・ 前記第1実施形態の第1摺動機構を、第3実施形態と同様に、コロ体40a及び保持部材40bにより構成してもよい。
・ 前記第1実施形態の第3摺動機構を、第3実施形態と同様に、案内溝41、コロ体42a及び保持部材42bにより構成してもよい。
【0051】
・ 前記第2実施形態において、第1実施形態と同様に、スライド部材13の上面に設けた第1円弧溝25と、回転部材14の下面に設けた第2円弧溝26と、この両溝間に支持させた第3転動球27とからなる第3摺動機構を設けてもよい。
【0052】
・ 前記第2実施形態において、第3実施形態と同様に、案内溝41、コロ体42a及び保持部材42bからなる第3摺動機構を設けてもよい。
・ 前記第3実施形態の第1摺動機構を、第1実施形態と同様に、スライド部材13の上面に設けた第3環状溝13bと、回転部材14の下面に設けた第4環状溝14aと、第2転動球22とにより構成してもよい。
【0053】
・ 前記第3実施形態の第2摺動機構を、第1摺動機構と同様のコロ体40a及び保持部材40bにより構成してもよい。
・ 前記第1、第2実施形態では、連結部材21を板材からプレス成形して環状部21aを一体に形成したが、別部材で形成した環状部21aを合体して連結部材21を構成してもよい。
【0054】
・ 前記第1実施形態では、上側が閉じられた筒状の連結部材21を、回転部材14の下面に固定したが、図6に二点鎖線で示すように、連結部材21を、回転部材14に形成した貫通孔に嵌合させた状態で固定してもよい。
【0055】
・ 前記第2実施形態では、下側が閉じられた筒状の連結部材21を、回転部材14の上面に固定したが、図10に二点鎖線で示すように、連結部材21を、回転部材14に形成した貫通孔に嵌合させた状態で固定してもよい。
【0056】
・ 前記第4実施形態では、スライド部材13に形成した貫通孔13aを通じて、回転部材14に形成した連結部50に連結部材51を固定したが、回転部材14に形成した貫通孔を通じて、スライド部材13に形成した連結部に連結部材51を固定した構成としてもよい。
【0057】
・ 前記第4実施形態では、第1摺動機構のコロ体53を、回転部材14の回動中心Oに向かって所定角度γの上向きに支持し、第2摺動機構のコロ体53を、同じく所定角度γの下向きに支持した。これを、第1摺動機構のコロ体53を、所定角度γの下向きに支持し、第2摺動機構のコロ体53を上向きに支持した構成としてもよい。すなわち、具体的には、上記環状受け面13dを、周部から回動中心へ行くほど下方へ向かうテーパ状に形成し、上記環状受け面13eを、周部から回動中心へ行くほど上方へ向かうテーパ状に形成する。また、上記環状受け面14cを、環状受け面13dと平行であるとともに同心かつ同径のテーパ状に形成し、上記環状受け面52aを、環状受け面13eと平行であるとともに同心かつ同径のテーパ状に形成する。このような構成によっても、自動調芯作用により回転部材14のがたつきを防止することができる。
【0058】
(その他の技術的思想)
・ 請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の車両の回転スライドシート用の回転機構において、前記第1摺動機構及び第2摺動機構の転動体は、コロ体であり、第1摺動機構のコロ体は、その回動中心が前記回転部材の回動中心に向かって下向きとなるように支持され、第2摺動機構のコロ体は、同じく上向きとなるように支持されていることを特徴とする車両の回転スライドシート用の回転機構。
【符号の説明】
【0059】
O…回動中心、12…スライド装置、13…スライド部材、13a…貫通孔、13b…第1摺動機構を構成する第3環状溝、13c…第2摺動機構を構成する第1環状溝、13d…第1摺動機構を構成する環状受け面、13e…第2摺動機構を構成する環状受け面、14…回転部材、14a…第1摺動機構を構成する第4環状溝、14b…貫通孔、14c…第1摺動機構を構成する環状受け面、16…シート本体、20…回転機構、21…連結部材、21a…環状部、21b…第2摺動機構を構成する第2環状溝、22…第1摺動機構を構成する転動体としての第2転動球、24…第2摺動機構を構成する転動体としての第1転動球、25…第3摺動機構を構成する第1円弧溝、26…同じく第2円弧溝、27…第3摺動機構を構成する転動体としての第3転動球、28…同じく保持部材、31…第2摺動機構を構成する第1環状溝、32…同じく第2環状溝、40a…第1摺動機構及び転動体としてのコロ体、41…第3摺動機構を構成する案内溝、42a…同じくコロ体、42b…同じく保持部材、51…連結部材、52…環状部、52a…第2摺動機構を構成する環状受け面、53…第1摺動機構及び第2摺動機構を構成するコロ体。
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば車両シートへの身体障害者の乗降を補助する乗降補助装置等に備えられた車両の回転スライドシート用の回転機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、身体障害者を車両のシートに乗せるために、車内の着座位置と車外の乗降位置との間でシートを移動させるようにした乗降補助装置が使用されている。この装置は、例えば、車体フロアに固定されるスライド装置、このスライド装置のスライド部材上に支持される回転機構、この回転機構に支持される回転部材、この回転部材上に支持される昇降装置等により構成され、昇降装置にシート本体が支持されている。
【0003】
上記回転機構としては、例えば特許文献1に開示される構成がある。この回転機構は、図15に示すように、スライド部材60上に固定される内輪部材61と、回転部材62に固定される外輪部材63とを、複数の転動球64を介して互いに回動可能に連結した軸受構成のものである。
【0004】
一方、特許文献2に記載のシート回転装置は、図16及び図17に示すように、板材から環状にプレス成形された固定板70と回転板71にそれぞれ環状溝70a,71aを形成し、この両環状溝70a,71a間に転動球72を支持させた構成を備える。さらに、固定板70の開口周縁70bには、板材により環状に形成された保持板73が固定され、この保持板73は、回転板71の開口71bを通じて回転板71の内側周縁部の上方に支持されている。そして、回転板71の内側周縁部と保持板73とにも環状溝71c,73aがそれぞれ形成され、この両環状溝71c,73a間に転動球74が支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−211284号公報
【特許文献2】特開平11−59242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の回転装置は、軸受のように、内輪部材61、外輪部材63、転動球64等により構成されているため、部品点数が多かった。また、軸受構成を備えているため、内輪部材61及び外輪部材63の厚さによりスライド部材60上の回転部材62の位置が高くなり、この結果、シート本体の位置が無用に高くなる問題があった。
【0007】
一方、特許文献2の回転装置は、板材からプレス成形された固定板70と回転板71とを結合するための保持板73の分だけ特許文献1の回転装置よりも部品点数が多くなっている。また、固定板70と回転板71との間に転動球72,74を支持させた構成は、軸受と同様に、厚さが大きかった。
【0008】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、高さを低くでき、かつ、部品点数を削減できる車両の回転スライドシート用の回転機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、車体フロアに固定されるスライド装置のスライド部材に対して、シート本体が設けられた回転部材を、回転自在に支持する車両の回転スライドシート用の回転機構であって、前記スライド部材及び前記回転部材のいずれか一方を第1部材とし、他方を第2部材とし、前記第1部材に形成された貫通孔を通じて前記第2部材に対して固定された連結部材が設けられ、前記連結部材には、前記第1部材における前記第2部材側とは反対側の側面に対面する環状部が設けられ、前記貫通孔の周部において、前記第1部材と前記第2部材との間には、複数の転動体を含む第1摺動機構が設けられるとともに、前記環状部と前記第1部材との間には、複数の転動体を含む第2摺動機構が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項1の発明によれば、スライド部材と回転部材とは、スライド部材と回転部材との間に複数の転動体を含んで設けられた第1摺動機構と、いずれか一方の貫通孔を通じて他方に固定された連結部材の環状部とその一方との間に複数の転動体を含んで設けられた第2摺動機構とを介して回動自在な状態で連結される。そして、第1摺動機構は、スライド部材と回転部材との間に、転動体を含んで構成され、第2摺動機構は、スライド部材又は回転部材と環状部との間に、転動体を含んで構成される。従って、外輪部材及び内輪部材を有する球軸受構成の回転機構をスライド部材と回転部材との間に設けた構成よりも部品点数が少なくなり、かつ、回転部材とスライド部材とを合わせた厚さを小さくできる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1部材がスライド部材であり、前記第2部材が回転部材であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記第1部材が回転部材であり、前記第2部材がスライド部材であることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のうちのいずれか一項の発明において、前記スライド部材の上面と前記回転部材の下面との間において、前記回転部材の回動中心を中心として、前記第1摺動機構及び第2摺動機構よりも外側の位置には、複数の転動体を含む第3摺動機構が設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明によれば、回転部材から離れるように車室外へシート本体が移動されたとき、シート本体は、第1摺動機構及び第2摺動機構に加えて、両機構とシート本体との間の第3摺動機構によっても支持される。ゆえに、シート本体から第1摺動機構及び第2摺動機構に加わる偏荷重が低減される。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項の発明において、前記第1摺動機構及び第2摺動機構の転動体は、転動球であることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項の発明において、前記第1摺動機構及び第2摺動機構の少なくともいずれか一方の機構の転動体は、転動球であり、残りはコロ体であることを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項の発明において、前記第1摺動機構及び第2摺動機構の転動体は、コロ体であり、第1摺動機構のコロ体は、その回動中心が前記回転部材の回動中心に向かって上向きとなるように支持され、第2摺動機構のコロ体は、同じく下向きとなるように支持されていることを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項の発明において、前記第1摺動機構乃至第3摺動機構の少なくともいずれか1つの機構の転動体は、転動球であり、残りはコロ体であることを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8のうちいずれか一項の発明において、前記連結部材及び環状部は、板材から一体にプレス成形されていることを特徴とする。
請求項9の発明によれば、連結部材及び環状部を少ない工数で一体に形成することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、高さを低くでき、かつ、部品点数を削減できる車両の回転スライドシート用の回転機構を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の回転機構を備えた回転スライドシートを示す模式図。
【図2】回転スライドシートの作動状態を示す車両の平面図。
【図3】回転スライドシートの作動状態を示す車両の斜視図。
【図4】第1実施形態の回転機構を示す分解斜視図。
【図5】回転機構を示す縦断面図。
【図6】回転機構の要部を示す縦断面図。
【図7】回転機構の要部を示す縦断面図。
【図8】(a)はスライド部材及び回転部材の着座状態での位置関係を示す平面図、(b)は同じく乗降状態での位置関係を示す平面図。
【図9】第2実施形態の回転機構を示す分解斜視図。
【図10】回転機構の要部を示す縦断面図。
【図11】第3実施形態の回転機構を示す分解斜視図。
【図12】回転機構を示す縦断面図。
【図13】第4実施形態の回転機構を示す分解斜視図。
【図14】回転機構を示す縦断面図。
【図15】従来の回転スライドシート用の回転機構を示す縦断面図。
【図16】同じく回転機構を示す斜視図。
【図17】図16におけるa−a線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
次に、この発明を具体化した第1実施形態について図1〜図8を参照して説明する。
図1に示すように、乗降補助装置10は、車室フロア11上に固定されるスライド装置12、このスライド装置12のスライド部材13上に後述する回転機構を介して回動可能に支持される回転部材14、この回転部材14上に固定された昇降装置15等により構成され、この昇降装置15にはシート本体16が上下前後移動可能に支持されている。この実施形態では、スライド部材13が第1部材であり、回転部材14が第2部材である。
【0021】
この乗降補助装置10による乗降時には、図示しない駆動機構の作動により、まず、スライド装置12のスライド部材13が前方へ移動されるとともに回転部材14が回動される。すると、着座位置にあったシート本体16が前方へ移動するととともに外側を向く状態となる。次に、昇降装置15が作動され、図2及び図3に示すように、シート本体16全体が車室外に出るとともに乗降位置まで下降する。
【0022】
図4に示すように、前記回転機構20は、前記スライド部材13と回転部材14とをその構成要素として次のように構成されている。
板材からプレス形成されたスライド部材13には、回転部材14の回動中心Oを中心とする貫通孔13aが形成されている。
【0023】
図4、図5及び図6に示すように、板材からプレス形成された回転部材14の下面には、上側が閉じられた筒状の連結部材21が貫通孔13aに対して回動自在に挿通された状態で固定されている。連結部材21の下側開口の外側周縁、すなわち、回転部材14に対する固定側部位とは反対側の端部外周には、スライド部材13の下方において貫通孔13aの周縁部に対面するフランジ状の環状部21aが一体形成されている。
【0024】
図4、図6及び図7に示すように、スライド部材13の上面には、回転部材14の回動中心Oと同心の第3環状溝13bが形成されている。第3環状溝13bは、プレス成形によりスライド部材13の上面に形成されている。一方、回転部材14の下面には、第3環状溝13bと同心かつ同径の第4環状溝14aが形成されている。第4環状溝14aは、プレス成形により回転部材14の下面に形成されている。そして、第3環状溝13bと第4環状溝14aとの間には、転動体としての複数の第2転動球22が保持部材23により等間隔に保持された状態で支持されている。従って、スライド部材13の上面と回転部材14の下面との間には、第3環状溝13b、第4環状溝14a及び第2転動球22により第1摺動機構が構成されている。
【0025】
また、図6及び図7に示すように、スライド部材13の下面には、回転部材14の回動中心Oと同心の第1環状溝13cが形成されている。一方、連結部材21の環状部21aの上面には、第1環状溝13cと同心かつ同径の第2環状溝21bが形成されている。そして、第1環状溝13cと第2環状溝21bとの間には、転動体としての複数の第1転動球24が保持部材23により等間隔に保持された状態で支持されている。従って、スライド部材13の下面と環状部21aの上面との間には、第1環状溝13c、第2環状溝21b及び第1転動球24により第2摺動機構が構成されている。
【0026】
また、図4及び図5に示すように、スライド部材13の上面には、貫通孔13aに対して左側に、回転部材14の回動中心Oと同心の第1円弧溝25が形成されている。この第1円弧溝25は、回転部材14すなわちシート本体16が前向きの状態から左側方に略90度方向転換できる円弧長さ、すなわち円弧を規定する角度αを有する。一方、回転部材14の下面には、第1円弧溝25に対応する第2円弧溝26が接形成されている。そして、第1円弧溝25と第2円弧溝26との間には、転動体としての複数の第3転動球27が保持部材28により等間隔に保持された状態で支持されている。従って、スライド部材13の上面と回転部材14の下面との間において、回転部材14の回動中心Oを中心として前記第1摺動機構及び第2摺動機構よりも外側の位置には、第1円弧溝25、第2円弧溝26、第3転動球27及び保持部材28により第3摺動機構が構成されている。
【0027】
上記のように構成された車両の回転スライドシート用の回転機構の作用を説明する。
回転部材14は、スライド装置12のスライド部材13に対して、第3環状溝13b及び第4環状溝14a間の第2転動球22により回動可能に支持される。また、回転部材14は、第1環状溝13c及び第2環状溝21b間の第1転動球24を介した環状部21aの係合により、スライド部材13に対して回動可能に連結されている。そして、図示しない駆動装置により回転部材14が駆動されると、第3環状溝13b及び第4環状溝14a間における第2転動球22の転動と、第1環状溝13c及び第2環状溝21b間における第1転動球24の転動とにより、シート本体16がスライド部材13に対して円滑に回動する。
【0028】
図8(a)はシート本体16が着座位置にあるときの回転機構20の状態を示し、この状態からシート本体16が回動されると、回転部材14は、スライド部材13上面の第1円弧溝25と回転部材14下面の第2円弧溝26との間に支持されている第3転動球27の転動を伴って回動する。そして、図8(b)に示すように、シート本体16が車体の側方へ向いた状態においては、回転部材14の回動中心Oに対して第3転動球27が側方に位置する。このため、昇降装置15により回転部材14から離れて車室外へ移動されたシート本体16は、図8(a)の状態に対応する図5に示すように、回転部材14の回動中心Oに対してシート本体16側の第2転動球22とその反対側の第1転動球24に加えて、同第2転動球22とシート本体16との間に位置する第3転動球27によっても支持される。従って、シート本体16から第1摺動機構及び第2摺動機構に加わる偏荷重が低減される。
【0029】
以上詳述したこの実施形態では、以下の特徴を有する。
(1) スライド部材13と回転部材14とは、スライド部材13と回転部材14との間に複数の第2転動球22を含んで設けられた第1摺動機構と、回転部材14に固定された連結部材21の環状部21aとスライド部材13との間に複数の第1転動球24を含んで設けられた第2摺動機構とにより回動自在な状態で連結される。
【0030】
従って、特許文献1,2のように外輪部材及び内輪部材を有する球軸受構成の回転機構を設けた構成よりも部品点数が少なくなり、かつ、回転部材14とスライド部材13とを合わせた厚さを小さくできる。ゆえに、この実施形態によれば、回転機構20の高さを低くしてシート本体16の高さを低くすることができる。しかも、部品点数を削減して組立工数を削減できる。
【0031】
(2) スライド部材13の上面と回転部材14の下面との間において、回転部材14の回動中心Oを中心として第1摺動機構よりも外側の位置には、第3摺動機構が設けられている。従って、回転部材14から離れるように車室外へシート本体16が移動されたとき、シート本体16は、第1摺動機構及び第2摺動機構に加えて、両機構とシート本体16との間の第3摺動機構によっても支持される。ゆえに、シート本体16から第1摺動機構及び第2摺動機構に加わる偏荷重が低減されるため、回転機構20の耐久性を高めることができる。また、第2転動球22及び第1転動球24を支持するスライド部材13及び回転部材14に加わる負荷が低減されるので、これらの板厚を下げることができ、この結果、シート本体16の高さを低くして乗降性を向上できる。
【0032】
(3) 連結部材21と環状部21aとは、板材から一体にプレス成形されている。従って、部品点数と組立工数の増加を避けることができる。
(第2実施形態)
次に、この発明を具体化した第2実施形態について図9及び図10を参照して説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については符号を同じにしてその説明を省略し、第1実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0033】
この実施形態の回転機構20は、次のように構成されている。
図9に示すように、回転部材14には、その回動中心Oを中心とする貫通孔14bが形成されている。
【0034】
図10に示すように、スライド部材13の上面には、下側が閉じられた筒状の連結部材21が前記貫通孔14bに対して回動自在に挿通された状態で固定されている。
連結部材21の上側開口の外側周縁部、すなわち、スライド部材13に対する固定側部位とは反対側の端部外周には、回転部材14の上方において貫通孔14bの周縁部に対面するフランジ状の環状部21aが一体形成されている。この実施形態では、回転部材14が第1部材であり、スライド部材13が第2部材である。
【0035】
図9及び図10に示すように、スライド部材13の上面には、回転部材14の回動中心Oと同心の第3環状溝13bが形成されている。一方、回転部材14の下面には、第3環状溝13bと同心かつ同径の第4環状溝14aが形成されている。そして、第3環状溝13bと第4環状溝14aとの間には、転動体としての複数の第2転動球22が保持部材23により等間隔に保持された状態で支持されている。従って、スライド部材13の上面と回転部材14の下面との間には、第3環状溝13b、第4環状溝14a及び第2転動球22により第1摺動機構が構成されている。
【0036】
また、回転部材14の上面には、この回転部材14の回動中心Oと同心の第1環状溝31が形成されている。一方、連結部材21の環状部21aの下面には、第1環状溝31と同心かつ同径の第2環状溝32が形成されている。そして、第1環状溝31と第2環状溝32との間には、転動体としての複数の第1転動球24が保持部材23により等間隔に保持された状態で支持されている。従って、回転部材14の上面と環状部21aの下面との間には、第1環状溝31、第2環状溝32及び第1転動球24により第2摺動機構が構成されている。
【0037】
上記のように構成されたこの実施形態は、上記第1実施形態と同様の作用を有し、上記(1)〜(3)の効果を有する。
(第3実施形態)
次に、この発明を具体化した第3実施形態について図11及び図12を参照して説明する。なお、この実施形態は前記第2実施形態と基本的に同一であるので、第2実施形態と同じ構成については符号を同じにしてその説明を省略し、第2実施形態と異なる構成についてのみ説明する。なお、この実施形態は、第2実施形態と同様に、回転部材14が第1部材であり、スライド部材13が第2部材である。
【0038】
図11及び図12に示すように、回転部材14には、その回動中心Oを中心とする貫通孔14bが、第2実施形態よりも右寄りに形成されている。
スライド部材13の上面と回転部材14の下面との間には、転動体としての複数のコロ体40aが環状の保持部材40bにより放射状に等間隔で保持された状態で支持されている。従って、スライド部材13の上面と回転部材14の下面との間には、コロ体40a及び保持部材40bにより第1摺動機構が構成されている。
【0039】
また、スライド部材13の上面には、回転部材14の回動中心Oに対して右側に、回動中心Oと同心の円弧状とされた案内溝41がプレス成形により形成されている。この案内溝41は、突条により扇状の領域を区画することで形成されており、回転部材14すなわちシート本体16が前向きの状態から左側方に略90度方向転換できる円弧長さ、すなわち円弧長さを規定する角度βを有している。そして、この案内溝41内において、スライド部材13の上面と回転部材14の下面との間には、転動体としての複数のコロ体42aが扇状の保持部材42bにより放射状に等間隔で保持された状態で支持されている。従って、スライド部材13の上面と回転部材14の下面との間において、回転部材14の回動中心Oを中心として前記第1摺動機構及び第2摺動機構よりも外側の位置には、案内溝41、コロ体42a及び保持部材42bにより第3摺動機構が構成されている。
【0040】
上記のように構成されたこの実施形態は、上記第1実施形態と同様の作用を有し、上記(1)〜(3)の効果に加えて、以下の効果を有する。
(4) スライド部材13に連結部材21を固定し、かつ、第1摺動機構としてコロ体40aを用いたので、前記第1実施形態の構成とは異なり、連結部材21の環状部21aとスライド部材13の左側縁のR部分A(図5、図12に図示)との干渉を避け、同左側縁の近傍に連結部材21を配置することができる。従って、回転部材14すなわちシート本体16の回動中心Oをスライド部材13の左側縁近傍に設定することができるため、設計の自由度を大きくすることができる。
【0041】
(第4実施形態)
次に、この発明を具体化した第4実施形態について図13及び図14を参照して説明する。なお、この実施形態では第2実施形態と異なる構成についてのみ説明する。なお、この実施形態は、第1実施形態と同様に、スライド部材13が第1部材であり、回転部材14が第2部材である。
【0042】
図13及び図14に示すように、スライド部材13の上面における貫通孔13aの周縁部には、回転部材14の回動中心Oと同心の円錐面に含まれるテーパ状の環状受け面13dがプレス成形により形成されている。この環状受け面13dは、周部から回動中心へ行くほど上方へ向かうように形成されている。また、スライド部材13の下面における貫通孔13aの周縁部には、環状受け面13dと同心の円錐面に含まれるとともに環状受け面13dと同径のテーパ状の環状受け面13eがプレス成形により形成されている。この環状受け面13eは、周部から回動中心へ行くほど下方へ向かうように形成されている。
【0043】
一方、回転部材14における前記貫通孔13aの対応位置には、円形凹状とされるとともに中央に貫通孔を有する連結部50が一体形成されている。また、回転部材14の下面における連結部50の周部には、前記環状受け面13dと平行で、すなわち環状受け面13dと同心かつ同径のテーパ状の環状受け面14cが形成されている。
【0044】
連結部50の下面には、スライド部材13の貫通孔13aを通じて、全体として略環状の連結部材51がボルト55により締め付け固定されている。連結部材51の周部は、スライド部材13における回転部材14とは反対側の側面(すなわち下面)に対面する環状部52とされている。その環状部52の上面には、前記環状受け面13eと平行で、すなわち環状受け面13eと同心かつ同径のテーパ状の環状受け面52aが一体形成されている。
【0045】
スライド部材13の環状受け面13dと、回転部材14の環状受け面14cとの間には、転動体としての複数のコロ体53が保持部材54により等間隔に保持された状態で支持されている。コロ体53は、テーパ状の環状受け面13d及び環状受け面14cにより、その回動中心が回転部材14の回動中心Oに向かって所定角度γの上向きとなるように支持されている。本実施形態では、前記所定角度γは5度としているが限定するものではない。従って、スライド部材13の上面と回転部材14の下面との間には、環状受け面13d、環状受け面14c及びコロ体53により第1摺動機構が構成されている。
【0046】
また、スライド部材13の環状受け面13eと、環状部52の環状受け面52aとの間には、転動体としての複数のコロ体53が保持部材54により等間隔に保持された状態で支持されている。コロ体53は、テーパ状の環状受け面13e及び環状受け面52aにより、その回動中心が回転部材14の回動中心Oに向かって所定角度γの下向きとなるように支持されている。従って、スライド部材13の下面と環状部52の上面との間には、環状受け面13e、環状受け面52a及びコロ体53により第2摺動機構が構成されている。
【0047】
上記のように構成されたこの実施形態の作用を説明する。
回転部材14は、スライド部材13との間に設けられた第1摺動機構及び第2摺動機構により、スライド部材13に対して回動可能な状態で支持される。図示しない駆動装置により回転部材14が回動されるとき、回転部材14の回動中心Oに向かって所定角度γの上向きとなるようにコロ体53が支持された第1摺動機構と、同じく所定角度γの下向きとなるようにコロ体53が支持された第2摺動機構とによる自動調芯作用により、回転部材14は、回動中心Oからのずれが防止される。
【0048】
従って、この実施形態は、上記第1実施形態の(1)〜(3)の効果に加えて、以下の効果を有する。
(5) 第1摺動機構を、回転部材14の回動中心Oに向かって所定角度γの上向きとなるように支持されたコロ体53を含むように構成し、第2摺動機構を、同じく所定角度γの下向きとなるように支持されたコロ体53を含むように構成した。従って、回転部材14がその回動中心Oに対して自動調芯されるため、回転部材14の回動に伴うがたつきの発生を防止してシート本体16を円滑に回動させるとともに耐久性を向上することができる。
【0049】
(他の実施形態)
なお、本発明の実施形態は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように変更しても良い。
【0050】
・ 前記第1実施形態の第1摺動機構を、第3実施形態と同様に、コロ体40a及び保持部材40bにより構成してもよい。
・ 前記第1実施形態の第3摺動機構を、第3実施形態と同様に、案内溝41、コロ体42a及び保持部材42bにより構成してもよい。
【0051】
・ 前記第2実施形態において、第1実施形態と同様に、スライド部材13の上面に設けた第1円弧溝25と、回転部材14の下面に設けた第2円弧溝26と、この両溝間に支持させた第3転動球27とからなる第3摺動機構を設けてもよい。
【0052】
・ 前記第2実施形態において、第3実施形態と同様に、案内溝41、コロ体42a及び保持部材42bからなる第3摺動機構を設けてもよい。
・ 前記第3実施形態の第1摺動機構を、第1実施形態と同様に、スライド部材13の上面に設けた第3環状溝13bと、回転部材14の下面に設けた第4環状溝14aと、第2転動球22とにより構成してもよい。
【0053】
・ 前記第3実施形態の第2摺動機構を、第1摺動機構と同様のコロ体40a及び保持部材40bにより構成してもよい。
・ 前記第1、第2実施形態では、連結部材21を板材からプレス成形して環状部21aを一体に形成したが、別部材で形成した環状部21aを合体して連結部材21を構成してもよい。
【0054】
・ 前記第1実施形態では、上側が閉じられた筒状の連結部材21を、回転部材14の下面に固定したが、図6に二点鎖線で示すように、連結部材21を、回転部材14に形成した貫通孔に嵌合させた状態で固定してもよい。
【0055】
・ 前記第2実施形態では、下側が閉じられた筒状の連結部材21を、回転部材14の上面に固定したが、図10に二点鎖線で示すように、連結部材21を、回転部材14に形成した貫通孔に嵌合させた状態で固定してもよい。
【0056】
・ 前記第4実施形態では、スライド部材13に形成した貫通孔13aを通じて、回転部材14に形成した連結部50に連結部材51を固定したが、回転部材14に形成した貫通孔を通じて、スライド部材13に形成した連結部に連結部材51を固定した構成としてもよい。
【0057】
・ 前記第4実施形態では、第1摺動機構のコロ体53を、回転部材14の回動中心Oに向かって所定角度γの上向きに支持し、第2摺動機構のコロ体53を、同じく所定角度γの下向きに支持した。これを、第1摺動機構のコロ体53を、所定角度γの下向きに支持し、第2摺動機構のコロ体53を上向きに支持した構成としてもよい。すなわち、具体的には、上記環状受け面13dを、周部から回動中心へ行くほど下方へ向かうテーパ状に形成し、上記環状受け面13eを、周部から回動中心へ行くほど上方へ向かうテーパ状に形成する。また、上記環状受け面14cを、環状受け面13dと平行であるとともに同心かつ同径のテーパ状に形成し、上記環状受け面52aを、環状受け面13eと平行であるとともに同心かつ同径のテーパ状に形成する。このような構成によっても、自動調芯作用により回転部材14のがたつきを防止することができる。
【0058】
(その他の技術的思想)
・ 請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の車両の回転スライドシート用の回転機構において、前記第1摺動機構及び第2摺動機構の転動体は、コロ体であり、第1摺動機構のコロ体は、その回動中心が前記回転部材の回動中心に向かって下向きとなるように支持され、第2摺動機構のコロ体は、同じく上向きとなるように支持されていることを特徴とする車両の回転スライドシート用の回転機構。
【符号の説明】
【0059】
O…回動中心、12…スライド装置、13…スライド部材、13a…貫通孔、13b…第1摺動機構を構成する第3環状溝、13c…第2摺動機構を構成する第1環状溝、13d…第1摺動機構を構成する環状受け面、13e…第2摺動機構を構成する環状受け面、14…回転部材、14a…第1摺動機構を構成する第4環状溝、14b…貫通孔、14c…第1摺動機構を構成する環状受け面、16…シート本体、20…回転機構、21…連結部材、21a…環状部、21b…第2摺動機構を構成する第2環状溝、22…第1摺動機構を構成する転動体としての第2転動球、24…第2摺動機構を構成する転動体としての第1転動球、25…第3摺動機構を構成する第1円弧溝、26…同じく第2円弧溝、27…第3摺動機構を構成する転動体としての第3転動球、28…同じく保持部材、31…第2摺動機構を構成する第1環状溝、32…同じく第2環状溝、40a…第1摺動機構及び転動体としてのコロ体、41…第3摺動機構を構成する案内溝、42a…同じくコロ体、42b…同じく保持部材、51…連結部材、52…環状部、52a…第2摺動機構を構成する環状受け面、53…第1摺動機構及び第2摺動機構を構成するコロ体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フロアに固定されるスライド装置のスライド部材に対して、シート本体が設けられた回転部材を回転自在に支持する車両の回転スライドシート用の回転機構であって、
前記スライド部材及び前記回転部材のいずれか一方を第1部材とし、他方を第2部材とし、
前記第1部材に形成された貫通孔を通じて前記第2部材に対して固定された連結部材が設けられ、
前記連結部材には、前記第1部材における前記第2部材側とは反対側の側面に対面する環状部が設けられ、
前記貫通孔の周部において、前記第1部材と前記第2部材との間には、複数の転動体を含む第1摺動機構が設けられるとともに、前記環状部と前記第1部材との間には、複数の転動体を含む第2摺動機構が設けられていることを特徴とする車両の回転スライドシート用の回転機構。
【請求項2】
前記第1部材がスライド部材であり、前記第2部材が回転部材であることを特徴とする請求項1に記載の車両の回転スライドシート用の回転機構。
【請求項3】
前記第1部材が回転部材であり、前記第2部材がスライド部材であることを特徴とする請求項1に記載の車両の回転スライドシート用の回転機構。
【請求項4】
前記スライド部材の上面と前記回転部材の下面との間において、前記回転部材の回動中心を中心として、前記第1摺動機構及び第2摺動機構よりも外側の位置には、複数の転動体を含む第3摺動機構が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の車両の回転スライドシート用の回転機構。
【請求項5】
前記第1摺動機構及び第2摺動機構の転動体は、転動球であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の車両の回転スライドシート用の回転機構。
【請求項6】
前記第1摺動機構及び第2摺動機構の少なくともいずれか一方の機構の転動体は、転動球であり、残りはコロ体であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の車両の回転スライドシート用の回転機構。
【請求項7】
前記第1摺動機構及び第2摺動機構の転動体は、コロ体であり、第1摺動機構のコロ体は、その回動中心が前記回転部材の回動中心に向かって上向きとなるように支持され、第2摺動機構のコロ体は、同じく下向きとなるように支持されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の車両の回転スライドシート用の回転機構。
【請求項8】
前記第1摺動機構乃至第3摺動機構の少なくともいずれか1つの機構の転動体は、転動球であり、残りはコロ体であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の車両の回転スライドシート用の回転機構。
【請求項9】
前記連結部材及び環状部は、板材から一体にプレス成形されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のうちいずれか一項に記載の車両の回転スライドシート用の回転機構。
【請求項1】
車体フロアに固定されるスライド装置のスライド部材に対して、シート本体が設けられた回転部材を回転自在に支持する車両の回転スライドシート用の回転機構であって、
前記スライド部材及び前記回転部材のいずれか一方を第1部材とし、他方を第2部材とし、
前記第1部材に形成された貫通孔を通じて前記第2部材に対して固定された連結部材が設けられ、
前記連結部材には、前記第1部材における前記第2部材側とは反対側の側面に対面する環状部が設けられ、
前記貫通孔の周部において、前記第1部材と前記第2部材との間には、複数の転動体を含む第1摺動機構が設けられるとともに、前記環状部と前記第1部材との間には、複数の転動体を含む第2摺動機構が設けられていることを特徴とする車両の回転スライドシート用の回転機構。
【請求項2】
前記第1部材がスライド部材であり、前記第2部材が回転部材であることを特徴とする請求項1に記載の車両の回転スライドシート用の回転機構。
【請求項3】
前記第1部材が回転部材であり、前記第2部材がスライド部材であることを特徴とする請求項1に記載の車両の回転スライドシート用の回転機構。
【請求項4】
前記スライド部材の上面と前記回転部材の下面との間において、前記回転部材の回動中心を中心として、前記第1摺動機構及び第2摺動機構よりも外側の位置には、複数の転動体を含む第3摺動機構が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の車両の回転スライドシート用の回転機構。
【請求項5】
前記第1摺動機構及び第2摺動機構の転動体は、転動球であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の車両の回転スライドシート用の回転機構。
【請求項6】
前記第1摺動機構及び第2摺動機構の少なくともいずれか一方の機構の転動体は、転動球であり、残りはコロ体であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の車両の回転スライドシート用の回転機構。
【請求項7】
前記第1摺動機構及び第2摺動機構の転動体は、コロ体であり、第1摺動機構のコロ体は、その回動中心が前記回転部材の回動中心に向かって上向きとなるように支持され、第2摺動機構のコロ体は、同じく下向きとなるように支持されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の車両の回転スライドシート用の回転機構。
【請求項8】
前記第1摺動機構乃至第3摺動機構の少なくともいずれか1つの機構の転動体は、転動球であり、残りはコロ体であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の車両の回転スライドシート用の回転機構。
【請求項9】
前記連結部材及び環状部は、板材から一体にプレス成形されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のうちいずれか一項に記載の車両の回転スライドシート用の回転機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−52140(P2013−52140A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192989(P2011−192989)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【出願人】(503225593)株式会社緑技研 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【出願人】(503225593)株式会社緑技研 (2)
【Fターム(参考)】
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