説明

車両の後部車体構造

【課題】リヤヘッダーとクォーターピラーの閉断面構造を連続的に形成して車体剛性を向上させることができる車両の後部車体構造を提供する。
【解決手段】後部車体構造は、サイドレール部53とクォーターピラー25のインナーパネル33との間に設けられ、このインナーパネル33との間で第4閉断面C4を形成するジョイント部材47を有している。このジョイント部材47は、リヤヘッダー15の第1閉断面C1とクォータピラー25の第2閉断面C2とを連続的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の後部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、5ドアハッチバックなどの車両は、車体後部にバックドアが取り付けられる開口部が設けられており、この開口部の上方には車幅方向に沿ってリヤヘッダーが延設されている。また、リヤホイールのホイールハウス近傍からは上方に向かってクォーターピラーが延設されている。このクォーターピラーの上端部はリヤヘッダーの車幅方向外方の端部と結合されている。リヤヘッダーは車幅方向に延びる閉断面を有し、クォーターピラーは上方に延びる閉断面を有している。これらの閉断面はともに前後方向は塞がれ、車幅方向または上下方向に延びる中空を有している。
【0003】
リヤヘッダーの車幅方向外方には、ルーフの両サイドに前後方向に沿って延設されたルーフサイドレールと、このルーフサイドレールの後端部からさらに後方に向かって前記開口部の両サイドに延設されたリヤピラーとが設けられている。これらのルーフサイドレールおよびリヤピラーは、前記結合部にそれぞれつながっている。
【0004】
ところで、従来から、車両の後部車体構造の剛性を向上させるための種々の技術が提案されている。例えば特許文献1には、リヤヘッダーとピラーとの結合部を連続する閉断面構造とすることにより車体剛性を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−137208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術を上記のような5ドアハッチバックなどの車両に適用するのは以下の理由により困難であった。
【0007】
すなわち、ルーフサイドレールは、前後方向に延びる閉断面を有しており、その閉断面がリヤヘッダーとクォータピラーとの結合部につながっている。したがって、上記結合部はルーフサイドレールの閉断面に連通する構造となり、前後方向にも開口することになる。このため、リヤヘッダーの閉断面とクォーターピラーの閉断面が上記結合部において途切れてしまい、これらの閉断面を連続的に形成するのが困難であった。
【0008】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、リヤヘッダーとクォーターピラーの閉断面構造を連続的に形成して車体剛性を向上させることができる車両の後部車体構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の車両の後部車体構造は、車体後部の開口部上方において車幅方向に延設され、これと同方向に延びる第1閉断面を有するリヤヘッダーと、前記リヤヘッダーの車幅方向外方の端部から下方に延設され、上下方向に延びる第2閉断面を有するクォータピラーと、前記リヤヘッダーの車幅方向外方の端部から前方に延設され、前後方向に延びる第3閉断面を有するルーフサイドレールとを備えている。前記クォーターピラーは、上下方向に延びて前記クォーターピラーのインナーパネルとの間で前記第2閉断面を形成するピラー部と、前記ピラー部の上端につながり、前記リヤヘッダーと前記クォーターピラーとの結合部またはその近傍に配置され、前記ルーフサイドレールに沿って前後方向に延びかつ前記第3閉断面に連通するサイドレール部とが一体に形成されたクォーターレインフォースメントを有している。そして、本発明の後部車体構造は、前記サイドレール部と前記クォーターピラーのインナーパネルとの間に設けられ、このインナーパネルとの間で第4閉断面を形成して前記第1閉断面と前記第2閉断面とを連続的に接続するジョイント部材を備えていることを特徴としている。
【0010】
この構成では、リヤヘッダーの第1閉断面とクォーターピラーのピラー部における第2閉断面とをジョイント部材を介して連続させることができるので、車体剛性を向上させて操縦安定性を高めることができる。
【0011】
前記ジョイント部材は、前記第1閉断面と前記第4閉断面との間を仕切る節部を有しているのが好ましい。
【0012】
この構成では、リヤヘッダーとクォーターピラーとの結合部においてジョイント部材の一部を利用した節部が設けられているので、車体剛性がさらに向上する。
【0013】
前記リヤヘッダーは、前記リヤヘッダーの車幅方向外方側において前記リヤヘッダーのアウターパネルとの間で閉断面を形成するヒンジレインフォースメントを有し、前記ヒンジレインフォースメントは、前記第1閉断面と前記第4閉断面との間を仕切る節部を有しているのが好ましい。
【0014】
この構成では、リヤヘッダーとクォーターピラーとの結合部においてヒンジレインフォースメントの一部を利用した節部が設けられているので、車体剛性がさらに向上する。また、この節部とジョイント部材の節部とをともに設けることによって車体剛性をより一層向上させることができる。
【0015】
また、前記ジョイント部材の前記節部と前記ヒンジレインフォースメントの前記節部とが所定の間隔で配置され、これらの節部の間で第5閉断面が形成されている場合には、車体剛性をさらに向上させることができる。
【0016】
前記リヤヘッダーのアウターパネルにおける車幅方向外方側の端部と、前記ヒンジレインフォースメントにおける車幅方向外方側の端部とが前記ジョイント部材に積層され、この積層部分において前記リヤヘッダーのアウターパネル、前記ヒンジレインフォースメントおよび前記ジョイント部材の3つの部材が接合されているのが好ましい。
【0017】
この構成では、上記積層部分において上記3つの部材が接合されているので、これら3つの部材の結合強度を向上させて車体剛性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、リヤヘッダーの閉断面とクォーターピラーの閉断面とをジョイント部材を介して連続させることができるので、車体剛性を向上させて操縦安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる車両の後部を示す斜視図である。
【図2】リヤヘッダーとクォーターピラーの結合部の周辺におけるインナパネルの構造を示す斜視図である。
【図3】図2の結合部にジョイント部材を配置した状態を示す斜視図である。
【図4】図3の構造にさらにサイドレールのレインフォースメント、ヒンジレインフォースメントおよびリヤピラーのレインフォースメントをそれぞれ配置した状態を示す斜視図である。
【図5】図4の構造にさらにクォーターピラーのレインフォースメントを配置した状態を示す斜視図である。
【図6】図5の構造にさらにリヤヘッダーのアウタパネルを配置した状態を示す斜視図である。
【図7】図6のVII−VII線断面図である。
【図8】図6のVIII−VIII線断面図である。
【図9】図6のIX−IX線断面図である。
【図10】図6のX−X線断面図である。
【図11】図6のXI−XI線断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態にかかる閉断面構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態にかかる車両11の後部を示す斜視図である。図1に示すように、この車両11は、5ドアハッチバックタイプであり、図略のはね上げ式のドアが取り付けられる開口部71を後部に有している。
【0022】
この車両11の上部には、ルーフパネル13と、このルーフパネル13の後部に車幅方向に沿って延設されたリヤヘッダー15と、ルーフパネル13の両サイドに前後方向に沿って延設されたルーフサイドレール17とが設けられている。
【0023】
車両11の下部には、図略のフロアの両サイドに前後方向に沿って延設されたサイドシル19と、このサイドシル19の後端側に位置するホイールハウス23とが設けられている。
【0024】
車両11の側部には、前方から順に、図略のフロントピラーと、センターピラー21と、クォーターピラー25と、リヤピラー27とが設けられている。センターピラー21はルーフサイドレール17とサイドシル19との間に上下方向に立設されている。クォーターピラー25は、ホイールハウス23から上方に立設されており、その上端は結合部29においてリヤヘッダー15の車幅方向外方側の端部、ルーフサイドレール17の後端部およびリヤピラー27の前端部と結合されている。リヤピラー27は、結合部29からさらに後方に向かって開口部71に沿って延設されている。
【0025】
クォーターピラー25、リヤピラー27およびホイールハウス23に囲まれた領域には、いわゆる三角窓用の窓開口として略三角形の開口部73が形成されている。また、ルーフサイドレール17、センターピラー21、サイドシル19、ホイールハウス23およびクォーターピラー25に囲まれた領域には図略のリヤドアパネルが取り付けられる開口部75が形成されている。
【0026】
図2は、リヤヘッダー15とクォーターピラー25の結合部29の周辺の構造を示す斜視図である。なお、この図2では、結合部29周辺の車体構成部品として最も車室内側の壁部を構成するインナーパネルのみを図示している。図2に示すように、結合部29の周辺には、リヤヘッダー15のヘッダーインナーパネル31、クォーターピラー25のクォーターインナーパネル33、ルーフサイドレール17のサイドインナーパネル35、リヤピラー27のリヤインナーパネル37などのインナーパネルが配置されている。
【0027】
クォーターインナーパネル33は、上下方向に延びる主部33aと、この主部33aからサイドインナーパネル35側に突出する突出部33bとを有している。主部33aには、車幅方向内方側に凹む凹部が上下方向に沿って連続して形成されており、後述するクォーターレインフォースメント39との間で上下方向に中空が延びる第2閉断面C2を形成する。
【0028】
クォーターインナーパネル33の主部33aの上端部はヘッダーインナーパネル31の車幅方向外方側の端部に結合されている。クォーターインナーパネル33の前方側の端部、すなわち突出部33bの端部はサイドインナーパネル35の後端部と結合されている。クォーターインナーパネル33の後方側の部位はリヤインナーパネル37の前端部と結合されている。各インナーパネル同士は溶接などの接合手段により結合されている。
【0029】
図3は、図2の結合部29の近傍にジョイント部材を配置した状態を示す斜視図である。図3に示すように、ジョイント部材47は、ヘッダーインナーパネル31とクォーターインナーパネル33とにより構成される車幅方向および上下方向につづく一連のラインと、サイドインナーパネル35とリヤインナーパネル37とにより構成される前後方向につづく一連のラインとが交差する交差部に設けられている。
【0030】
ジョイント部材47は、クォーターインナーパネル33の表面に取り付けられており、クォーターインナーパネル33との間で上下方向に中空が延びる第4閉断面C4(図11参照)を形成している。
【0031】
このジョイント部材47は、クォーターインナーパネル33の表面から離隔して配置された天面部47aと、この天面部47aの前方側の端部、後方側の端部、車幅方向内方側の端部および車幅方向外方側の端部からそれぞれ折れ曲がってクォーターインナーパネル33の表面まで延設された前面部47b、後面部47c、内側面部47dおよび外側面部47eを有している。
【0032】
前面部47a、後面部47cおよび内側面部47dの各先端部にはクォーターインナーパネル33の表面に沿って延設されたフランジ部47fがそれぞれ設けられている。ジョイント部材47は、これらのフランジ部47fにおいてクォーターインナーパネル33の表面と結合されている。
【0033】
外側面部47eは、天面部47aにおける車幅方向外方側の端部から折り曲げられてクォーターインナーパネル33の表面に沿って下方側に延設されている。外側面部47eの下端部E(図11参照)はクォーターインナーパネル33の表面とは離隔している。したがって、ジョイント部材47は、前面側、後面側および車幅方向内方側の三方が閉じられ、下方が開口した構造を有している。この下方の開口は、後述するピラー部における閉断面C2に連通している。
【0034】
図4は、図3の構造にさらにサイドレインフォースメント41、リヤレインフォースメント43およびヒンジレインフォースメント45をそれぞれ配置した状態を示す斜視図である。図4に示すように、サイドレインフォースメント41は、サイドインナーパネル35に沿って設けられており、サイドインナーパネル35との間で閉断面C3を形成している。このサイドレインフォースメント41は、サイドインナーパネル35に沿った両サイドに設けられたフランジ部においてサイドインナーパネル35と結合されている。
【0035】
リヤレインフォースメント43は、リヤインナーパネル37に沿って設けられており、リヤインナーパネル37との間で第6閉断面C6を形成している(図8参照)。このリヤレインフォースメント43は、リヤインナーパネル37に沿った両サイドに設けられたフランジ部43aにおいてリヤインナーパネル37と結合されている。
【0036】
ヒンジレインフォースメント45は、リヤヘッダー15の車幅方向の両サイドにそれぞれ設けられている。これらのヒンジレインフォースメント45は、開口部71を塞ぐ図略のはね上げ式ドアの先端部が図略のヒンジを介して回動自在に取り付けられる部位である。各ヒンジレインフォースメント45は、ヘッダーインナーパネル31の車幅方向外方側の一部を覆うように設けられている。各ヒンジレインフォースメント45は、その前方側端部および後方側端部にフランジ部45aが設けられており、これらのフランジ部45aにおいてリヤインナーパネル37と結合されている。ヒンジレインフォースメント45における車幅方向外方側は、ジョイント部材47の内側面部47dと天面部47aの形状に沿った形状に傾斜部45b、先端部45cの順に折り曲げ加工されており、上記内側面部47dと天面部47aの一部を覆っている。
【0037】
図5は、図4の構造にさらにクォーターピラー25のクォーターレインフォースメント39を配置した状態を示す斜視図である。図5に示すように、クォーターレインフォースメント39は、上下方向に延びるピラー部51と、ジョイント部材47の一部を覆うようにして前後方向に延びるサイドレール部53とが一体で形成された略T字形の部材である。
【0038】
ピラー部51は、上下方向の両サイドに設けられたフランジ部においてクォーターインナーパネル33と結合されている。このピラー部51の幅方向の中央付近は車幅方向外方側に突出した凸部が上下方向に沿って連続して形成されている。これにより、ピラー部51はクォーターインナーパネル33との間で閉断面C2を形成している(図8参照)。
【0039】
サイドレール部53は、その前方側の端部がサイドレインフォースメント41の後端に結合されている。サイドレール部53の後方側の端部はリヤレインフォースメント43の前端に結合されている。
【0040】
図6は、図5の構造にさらにリヤヘッダーのヘッダーアウタパネル49を配置した状態を示す斜視図である。図6に示すように、ヘッダーアウタパネル49は、ヘッダーインナーパネル31に沿って配置されており、その車幅方向中央部はヘッダーインナーパネル31と結合され、車幅方向の両サイドはヒンジレインフォースメント45と結合されている。このヘッダーアウタパネル49は、図7に示すようにヘッダーインナーパネル31およびヒンジレインフォースメント45との間で第1閉断面C1を形成している。
【0041】
図7〜10に示すように、本実施形態の車両11では、リヤヘッダー15は車幅方向に沿って形成された第1閉断面C1を有し、クォーターピラー25は、クォーターレインフォースメント39のピラー部51とクォーターインナーパネル33との間で上下方向に沿って形成された第2閉断面C2を有し、ルーフサイドレール17は、前後方向に沿って形成された第3閉断面C3を有し、リヤピラー27は、ルーフサイドレール17の第3閉断面C3の延長線上に前後方向に沿って形成された第6閉断面C6を有している。
【0042】
このように各閉断面が形成された後部車体構造において、リヤヘッダー15、クォーターピラー25におけるピラー部51、ルーフサイドレール17およびリヤピラー27の各端部が集まる結合部29の近傍では、上記した第1閉断面C1、第2閉断面C2、第3閉断面C3および第6閉断面C6が互いに連通することになる。従来のように結合部29またはその近傍にジョイント部材が設けられていない場合には、リヤヘッダー15の閉断面とクォーターピラー25の閉断面とは、上記結合部29の近傍において途切れており、これらの閉断面は不連続であった。
【0043】
一方、本実施形態にかかる後部車体構造では、結合部29の近傍、すなわち交差部にジョイント部材47を設けることにより、リヤヘッダー15の第1閉断面C1とピラー部の第2閉断面C2とがジョイント部材47における第4閉断面C4によって連続的に接続されている。すなわち、図9および図11に示すように、交差部にジョイント部材47を設けることによって交差部の前方側にはジョイント部材47の前面部47bが配置され、後方側にはジョイント部材47の後面部47cが配置されることにより交差部において第4閉断面C4の前後方向が塞がれている。
【0044】
一方、ジョイント部材47の下端部E側がピラー部51の上端側の部位に覆われてジョイント部材47の下端部E側の一部が第2閉断面C2内に配置されている。すなわち、ジョイント部材47の第4閉断面C4の下方側は第2閉断面C2内に存在する。これにより、第2閉断面C2と第4閉断面C4は上下方向に沿って閉断面構造が連続している。また、ジョイント部材47の第4閉断面C4の上方側は、内側面部47dを介してリヤヘッダー15の第1閉断面C1と隣接して配置されている。これにより、リヤヘッダー15からピラー部51の下端まで第1閉断面C1、第4閉断面C4および第2閉断面C2の順に閉断面が連続して形成されている。
【0045】
また、リヤヘッダー15からピラー部51までの一連の閉断面は、図10および図11に示すようにジョイント部材47の内側面部47dおよびヒンジレインフォースメント45の傾斜部45bにより仕切られている。これらの内側面部47dおよび傾斜部45bは、上記一連の閉断面における節として機能し、車体剛性の向上に寄与している。内側面部47dおよび傾斜部45bからなる節部は、クォーターインナーパネル33から車幅方向外方に向かって斜め上方に延設されている。
【0046】
また、図11に示すように、ヘッダーアウターパネル49の車幅方向外方側の先端部49aとヒンジレインフォースメント45の車幅方向外方側の先端部45cとは、ジョイント部材47の天面部47aに積層されている。この積層部分においてヘッダーアウターパネル49、ヒンジレインフォースメント45およびジョイント部材47の3つの部材が結合されている。これらの3つの部材は、例えばレーザー溶接、ウェルドボンドなどの接合方法を用いて結合される。なお、レーザー溶接により接合する場合は、例えばクォーターインナーパネル33等に溶接作業用の開口を設けるとよい。
【0047】
以上説明したように、本実施形態における後部車体構造は、サイドレール部53とクォーターインナーパネル33との間に設けられ、このインナーパネル33との間で第4閉断面C4を形成して第1閉断面C1と第2閉断面C2とを連続的に接続するジョイント部材47を備えている。したがって、リヤヘッダー15の第1閉断面C1とクォーターピラー25のピラー部51における第2閉断面C2とをジョイント部材47を介して連続的に配置することができる。これにより、車体剛性を向上させて操縦安定性を高めることができる。
【0048】
また、本実施形態では、ジョイント部材47が第1閉断面C1と第4閉断面C4との間を仕切る節部となる内側面部47dを有しているので、車体剛性がさらに向上する。
【0049】
また、本実施形態では、リヤヘッダー15が、このリヤヘッダー15の車幅方向外方側においてヘッダーアウターパネル49との間で第1閉断面C1を形成するヒンジレインフォースメント45を有し、このヒンジレインフォースメント45が第1閉断面C1と第4閉断面C4との間を仕切る節部となる傾斜部45bを有しているので、車体剛性がさらに向上する。
【0050】
また、本実施形態では、内側面部47dおよび傾斜部45bからなる2つの節部が並設されているので、車体剛性をより一層向上させることができる。
【0051】
また、本実施形態では、ヘッダーアウターパネル49における車幅方向外方側の先端部49aと、ヒンジレインフォースメント45における車幅方向外方側の先端部45cとがジョイント部材47に積層され、この積層部分においてヘッダーアウターパネル49、ヒンジレインフォースメント45およびジョイント部材47の3つの部材が接合されているので、これら3つの部材の結合強度を向上させて車体剛性の向上を図ることができる。
【0052】
<第2実施形態>
図12は本発明の第2実施形態にかかる後部車体構造を示す断面図である。ここでは実施形態1と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0053】
図12に示すように、節部として機能するジョイント部材47の内側面部47dとヒンジレインフォースメント45の傾斜部45aは所定の間隔で配置されている。これらの内側面部47dと傾斜部45aの間で第5閉断面C5が形成されている。これにより、車体剛性がさらに向上する。
【0054】
<他の実施形態>
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、上記実施形態では、ジョイント部材が節部として機能する内側面部を有し、ヒンジレインフォースメントが節部として機能する傾斜部を有している場合を例示したが、これに限定されない。例えば、ジョイント部材およびヒンジレインフォースメントのいずれか一方が節部を有している形態であってもよく、これらがともに節部を有していない形態であってもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、節部が第1閉断面と第4閉断面との間に設けられている場合を例示したが、例えば節部は第2閉断面と第4閉断面との間に設けられていてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、ヘッダーアウターパネル、ヒンジレインフォースメントおよびジョイント部材の3つの部材がこれらの積層部分において接合されている場合を例示したが、例えばこれら3つの部材がすべて同じ箇所で接合されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0057】
11 車両
15 リヤヘッダー
17 ルーフサイドレール
25 クォーターピラー
27 リヤピラー
29 結合部
31 ヘッダーインナーパネル
33 クォーターインナーパネル
37 リヤインナーパネル
39 クォーターレインフォースメント
43 リヤレインフォースメント
45 ヒンジレインフォースメント
47 ジョイント部材
49 ヘッダーアウターパネル
51 ピラー部
53 サイドレール部
55 クォーターアウターパネル
71,73,75 開口部
C1 第1閉断面
C2 第2閉断面
C3 第3閉断面
C4 第4閉断面
C5 第5閉断面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体後部の開口部上方において車幅方向に延設され、これと同方向に延びる第1閉断面を有するリヤヘッダーと、前記リヤヘッダーの車幅方向外方の端部から下方に延設され、上下方向に延びる第2閉断面を有するクォータピラーと、前記リヤヘッダーの車幅方向外方の端部から前方に延設され、前後方向に延びる第3閉断面を有するルーフサイドレールとを備えた車両の後部車体構造において、
前記クォーターピラーは、上下方向に延びて前記クォーターピラーのインナーパネルとの間で前記第2閉断面を形成するピラー部と、前記ピラー部の上端につながり、前記リヤヘッダーと前記クォーターピラーとの結合部またはその近傍に配置され、前記ルーフサイドレールに沿って前後方向に延び、かつ、前記第3閉断面に連通するサイドレール部とが一体に形成されたクォーターレインフォースメントを有し、
前記サイドレール部と前記クォーターピラーのインナーパネルとの間に設けられ、このインナーパネルとの間で第4閉断面を形成して前記第1閉断面と前記第2閉断面とを連続的に接続するジョイント部材を備えていることを特徴とする車両の後部車体構造。
【請求項2】
前記ジョイント部材は、前記第1閉断面と前記第4閉断面との間を仕切る節部を有していることを特徴とする請求項1に記載の車両の後部車体構造。
【請求項3】
前記リヤヘッダーは、前記リヤヘッダーの車幅方向外方側において前記リヤヘッダーのアウターパネルとの間で閉断面を形成するヒンジレインフォースメントを有し、
前記ヒンジレインフォースメントは、前記第1閉断面と前記第4閉断面との間を仕切る節部を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の車両の後部車体構造。
【請求項4】
前記リヤヘッダーは、前記リヤヘッダーの車幅方向外方側において前記リヤヘッダーのアウターパネルとの間で閉断面を形成するヒンジレインフォースメントを有し、
前記ヒンジレインフォースメントは、前記第1閉断面と前記第4閉断面との間を仕切る節部を有し、
前記ジョイント部材の前記節部と前記ヒンジレインフォースメントの前記節部とが所定の間隔で配置され、これらの節部の間で第5閉断面が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の車両の後部車体構造。
【請求項5】
前記リヤヘッダーのアウターパネルにおける車幅方向外方側の端部と、前記ヒンジレインフォースメントにおける車幅方向外方側の端部とが前記ジョイント部材に積層され、この積層部分において前記リヤヘッダーのアウターパネル、前記ヒンジレインフォースメントおよび前記ジョイント部材の3つの部材が接合されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両の後部車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−179763(P2010−179763A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24755(P2009−24755)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】