説明

車両の故障診断制御装置及びその故障診断制御方法

【課題】従来、故障診断サービスを行うために、車両に搭載される全ての電子制御装置に対して故障診断サービス機能を設けてきた。しかし、コスト低減等の要求から電子制御装置に搭載できる不揮発メモリの容量や電子制御装置の開発工数が制限され、一部の電子制御装置は故障診断サービス機能を備えられないことがある。
【解決手段】複数の電子制御装置が搭載され、各電子制御装置が通信可能に相互に接続された車両において、診断テスタによる故障診断サービス機能を備えていない電子制御装置の当該機能を、当該機能を備えている電子制御装置で代替する。さらに、当該機能を備えていない電子制御装置のプログラム書換えを行う場合には、当該機能を備えていない電子制御装置が、当該機能を代替していた電子制御装置に成りすまして診断テスタと通信を行うことで、当該機能を備えていない電子制御装置の診断テスタによるプログラム書換え制御が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の故障診断制御装置とその故障診断制御方法に係り、特に、複数の電子制御装置が各々通信可能に接続された状態で搭載された車両において、各カーメーカで準備している診断テスタを介して故障診断サービスを行う車両の故障診断制御装置とその故障診断制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両制御の電子化が進み、1台の車両に複数の電子制御装置(以下、「ECU」という)が各々通信可能に接続された状態で搭載されている。そして、車両販売やアフターサービスを行うディーラー等において、各カーメーカで準備している診断テスタを介して、車両の故障部位の特定や、市場履歴や学習情報等の情報取得を行う故障診断サービスが各ECUで行われている。また、この診断テスタを使用することで、各ECUのプログラムの書換え(以下、「リプロ」という)も可能となっている。
【0003】
従来の車両故障診断制御装置10'においては、図5で示すように、車両に搭載された全てのECU1',2'に故障診断サービス機能やテスタによるリプロ機能が備えられ、診断テスタ5'と各ECU1',2'との間で通信されて、故障診断サービスやプログラムの書換えが行われてきた。
【0004】
ここで、車両の通信回線を介して効率的にECUのプログラムの書換えを行うシステムとしては、特許文献1で開示されているプログラム書換えシステムが挙げられる。このプログラム書換えシステムは、車両に搭載されたECUのうち、リプロ対象外ECUとリプロ不可ECUの通信を停止し、リプロ対象ECUとの間でのみ通信を確立することで、効率的にプログラムの書換えを行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−286191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年においては、車両のコスト低減や軽量化、それによる各部品の低コスト化や軽量化、小型化の要求から、各ECUにおいても搭載できる不揮発メモリの容量が制限されると共に、ECUの開発工数の削減が望まれている。そのため、一部のECUについては故障診断サービス機能を備えることができないことがある。
【0007】
本発明は、前記点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、故障診断サービス機能を備えることができないECUの故障診断サービス機能を、既に故障診断サービス機能を備えているECUで代替すると共に、さらに診断テスタで双方のECUのリプロを可能とする車両の故障診断制御装置及びその故障診断制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記する課題を解決するために、本発明の車両の故障診断制御装置とその故障診断制御方法においては、故障診断サービス機能が備えられていないECUの故障診断サービス機能を、既に故障診断サービス機能が備えられたECUで代替する。さらに診断テスタで双方のECUのリプロを可能とするために、たとえば特別な車両操作によって、前記機能が備えられていないECUのリプロか、あるいは前記機能が備えられたECUのリプロかを判定し、前記機能が備えられていないECUのリプロと判定された場合には、前記機能が備えられていないECUが、前記機能が備えられたECUに成りすまして診断テスタと通信を行うことで、前記機能が備えられていないECUのリプロが可能となる。
【0009】
さらに、本発明の車両の故障診断制御装置とその故障診断制御方法においては、故障診断サービス機能が備えられていないECUの前記機能を代替えをしていたECUが故障等により診断テスタとの通信が停止した場合には、前記機能が備えられた別のECUで、前記機能が備えられていないECUの前記機能を代替する。また、前記機能が備えられていないECUのリプロを行う場合には、前記機能が備えられていないECUが診断テスタとの通信が停止したECUに成りすまして診断テスタと通信を行うことで、前記機能が備えられていないECUのリプロが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から理解できるように、本発明によれば、搭載できる不揮発メモリの容量や開発工数に制約が生じ、故障診断サービス機能を備えることができないECUが搭載されている場合においても、そのECUの故障診断サービスと診断テスタによるリプロが可能となる。
【0011】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の故障診断制御装置の一実施例を説明した図であって、(a)はECU同士の通信を説明するブロック図、(b)は故障診断サービスの時のブロック図、(c)はプログラム書換えの時のブロック図。
【図2】本発明の故障診断制御の、診断テスタによるプログラム書換えを説明するフロー図。
【図3】本発明の故障診断制御装置の他の実施例を説明した図であって、(a)はECU同士の通信を説明するブロック図、(b)は故障診断サービスの時のブロック図、(c)はプログラム書換えの時のブロック図。
【図4】本発明の故障診断制御の、診断テスタによる他のプログラム書換えを説明するフロー図。
【図5】従来技術による診断テスタと各ECUの通信を説明するブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面を参照して説明する。
【0014】
[実施例1]
図1は本発明の故障診断制御装置の実施例1であり、本実施例1では、自動変速機(以下、「AT」という)用電動オイルポンプのECU(以下、「EOP」という)は、故障診断サービス機能が備えられていないECUであり、ATのECU(以下、「ATCU」という)は、故障診断サービス機能が備えられ、前記EOPの故障診断サービス機能を代替できるECUである。
【0015】
図1(a)はECU同士の通信を説明したブロック図、(b)は故障診断サービスを説明したブロック図、(c)はリプロを説明したブロック図である。
【0016】
図1(a)に示すように、故障診断制御装置10はATCU1とEOP2とから少なくとも構成されていて、通信切換え手段4を介して診断テスタ5と通信可能に接続される。なお、通信切換え手段4は、故障診断制御装置10内に設けられる形態や診断テスタ5内に設けられる形態であっても良い。ここで、ATCU1とEOP2とはコントロールエリアネットワーク(以下、「CAN」という)で繋がっており、双方はCAN ID.aaaで通信している。また、ATCU1は、ATCU1のリプロか、あるいはEOP2のリプロかのリプロ対象ECUを判定できるリプロ対象判定手段6を備えている。
【0017】
車両がディーラー等に持ち込まれ、診断テスタ5が車両の故障診断制御装置10に接続されると、図1(b)で示すように、診断テスタ5とATCU1とはCAN ID.bbbとCAN ID.cccで相互通信を行うことで、診断テスタ5からのサービス要求や、ATCU1で記憶している市場履歴、学習情報等のやり取りを行う。
【0018】
実施例1においては、EOP2に故障診断サービス機能が備えられていないために、EOP2の市場履歴や学習情報等の情報を直接診断テスタ5に送信することができない。そこで、EOP2の故障診断サービス機能をATCU1で代替するために、EOP2は、その故障診断サービスにて必要な情報をCAN ID.aaaを使用してATCU1へ送信する。ここで、EOP2の故障診断サービスを実現するためにEOP2の市場履歴や学習情報を記憶しておく必要がある場合には、EOP2の記憶している情報をCAN ID.aaaを使用してATCU1へ送信しておき、ATCU1でこれらの情報を記憶しておくこともできる。これにより、EOP2はEEPROM等の故障診断サービスのための不揮発メモリが不要となり、EOP2の製造コストを低減できる。
【0019】
そして、EOP2の故障診断サービスを行う場合には、診断テスタ5とATCU1との通信で使用するCAN ID.bbbとCAN ID.cccを使用し、診断テスタ5とATCU1との間で、診断テスタ5からのサービス要求や、ATCU1で記憶しているEOP2の市場履歴、学習情報等の診断情報のやり取りを行うことで、EOP2の故障診断サービス機能をATCU1で代替することができる。このように、ATCU1から診断テスタ5へ送信される情報にEOP2用の割当てを定義するだけで、診断テスタ5側を変更することなく、EOP2の故障診断サービスが可能となる。
【0020】
次に、図1(c)は、診断テスタ5によるEOP2のリプロについて説明したものである。このリプロ機能を実現するために、通信インターフェースをATCU1と同等なものとしたリプロ機能をEOP2が備えておく必要がある。さらにシフト操作、例えば変速機のレンジをP→N→R→N→Pとする操作を10回行う等といった特別な操作によって、この所定の操作が行われた場合にはEOP2のリプロ、そうでない場合にはATCU1のリプロというように、ATCU1のリプロなのか、あるいはEOP2のリプロなのかを判定できる切換えロジックをATCU1とEOP2との双方に設けておく。そして、前記切換えロジックを備えたリプロ対象判定手段6によって、EOP2のリプロであると判定された場合には、その判定情報がATCU1からEOP2へ送信され、通信切換え手段4によって診断テスタ5とATCU1の通信が禁止され、診断テスタ5とEOP2の通信が許可されて、EOP2のリプロが可能となる。
【0021】
図2は、実施例1における診断テスタによるリプロの具体的な制御フローを説明したものである。
【0022】
まず、既述するような特別なシフト操作等によって、EOP2のリプロなのか、あるいはそうでないのかをATCU1側で判定する(S101)。その際、診断テスタ5との通信は、ATCU1側で許可、EOP2側で禁止としておく。そして、前記判定(S101)によってEOP2リプロモードではないと判定されれば、現在の通信状態を継続する。一方で、前記判定(S101)によってEOPリプロモードと判定された場合には、その判定情報を、たとえばCAN ID.aaaとは異なる通信回線のCAN ID.aa2を使用してATCU1からEOP2へ送信する(S102)。EOP2側でそのEOP2リプロの判定情報を受信し、EOP2リプロモードであると判定すると(S103)、禁止状態であった診断テスタ5との通信を許可し(S104)、ATCU1側では、許可していた診断テスタ5との通信を禁止する(S105)。
【0023】
これにより、故障診断サービス機能が備えられていないために、通常は直接診断テスタ5と通信することができないEOP2であっても、特別なシフト操作等を行えば、ATCU1に替わって、EOP2がATCU1に成りすまして診断テスタとの通信を行うことができ、EOP2のリプロが可能となる。なお、特別なシフト操作が行われなければ、通常通りATCU1のリプロが可能である。
【0024】
[実施例2]
図3は本発明の故障診断制御装置の実施例2であり、この実施例2は、実施例1におけるATCUが故障等により診断テスタとの通信が停止された場合に、別のECUがATCUに替わってEOPの故障診断サービス機能を代替するシステムである。ここで、ATCUに替わってEOPの故障診断サービス機能を代替できるECUには、既に故障診断サービス機能が備えられた、エンジン用のECU(以下、「ECM」という)やブレーキ用のECU(以下、「BCM」という)等が適用できる。実施例2では、ECMで代替する場合について説明する。
【0025】
図3(a)はECU同士の通信を説明したブロック図、(b)は故障診断サービスを説明したブロック図、(c)はリプロを説明したブロック図である。
【0026】
図3(a)に示すように、故障診断制御装置20はATCU11とEOP12とECM13とから少なくとも構成されていて、通信切換え手段14を介して診断テスタ15と通信可能に接続される。ATCU11とEOP12とECM13とはCANで繋がっており、それらはCAN ID.aaaで相互通信している。また、ECM13は、ATCU11のリプロ対象判定手段16と同様のリプロ対象ECUを判定できるリプロ対象判定手段16'と、診断テスタ15とATCU11との通信の停止状態を判定できる停止判定手段17とを備えている。なお、診断テスタ15とECM13との通信の停止状態を判定するための停止判定手段をATCU11に設ける等、ECM13のみならず、他のECUにも前記停止判定手段を設けることができる。
【0027】
図3(b)で示すように、実施例2においても、EOP12には故障診断サービス機能が備えられていないために、EOP12の市場履歴や学習情報等の情報を直接診断テスタ15に送信することができない。そこで、ATCU11が故障等により診断テスタ15との通信が停止された場合に、EOP12の故障診断サービス機能をECM13でも代替できるようにするために、CAN ID.aaaをECM13でも受信できるようにしておき、EOP12の故障診断サービスで必要な情報をCAN ID.aaaを使用してECM13へ送信する。また、故障診断サービスを実現するためにEOP12の市場履歴や学習情報を記憶しておく必要がある場合には、EOP12の記憶すべき情報をCAN ID.aaaを介してECM13でも受信しておき、ECM13でこれらの情報を記憶しておく。
【0028】
なお、この場合、診断テスタ15とECM13はCAN ID.dddとCAN ID.eeeで通信を行い、診断テスタ15からのサービス要求や、ECM13で記憶している市場履歴、学習情報等のやり取りを行うものである。
【0029】
既述するように、ATCU11の正常時においてEOP12の故障診断サービスを行う場合には、診断テスタ15とATCU11がCAN ID.bbbとCAN ID.cccで通信を行い、診断テスタ15からのサービス要求や、ATCU11で記憶しているEOP12の市場履歴、学習情報の診断情報のやり取りを行うことができる。しかしながら、図3(b)で示すように、ATCU11が故障等により診断テスタ15とATCU11との通信が停止されている場合には、それをECM13側の停止判定手段17で検知し、ECM13が診断テスタ15との通信で使用しているCAN ID.dddとCAN ID.eeeを使用して、診断テスタ15からのサービス要求や、ECM13で記憶しているEOP12の市場履歴、学習情報等の診断情報のやり取りを行う。これにより、EOP12の故障診断サービス機能をECM13で代替することができ、ECM13から診断テスタ15へ送信される情報にEOP12用の割当てを定義するだけで、診断テスタ15側を変更することなく、EOP12の故障診断サービスが可能となる。
【0030】
次に、図3(c)は、ATCU11故障時の診断テスタ15によるEOP12のリプロについて説明したものである。このリプロ機能を実現するために、通信インターフェースをATCU11と同等なものとしたリプロ機能をEOP12が備えておく必要がある。さらに、ATCU11故障時においてもECM13側のリプロ対象判定手段16'で判定可能な、例えばシフト操作等の特別な操作によって、EOP12のリプロかどうかを判定する切換えロジックをECM13にも設けておく。なお、後述するように、リプロ対象判定手段16'によるEOP12のリプロかどうかの判定は、ATCU11と診断テスタ15との通信が停止していることをAND条件としている。また、その判定の際には、EOP12と診断テスタ15との通信は禁止されている。
【0031】
ATCU11と診断テスタ15との通信が停止され、かつEOP12のリプロであると判定された場合には、その判定情報がECM13からEOP12へ送信され、通信切換え手段14によって、通信が禁止されていた診断テスタ15とEOP12の通信が許可される。それにより、EOP12のリプロが可能となる。なお、このとき、EOP12は通信が停止されているATCU11に成りすまして診断テスタ15と通信を行うため、ECM13と診断テスタ15との通信状態を継続したまま、診断テスタ15とEOP12の通信を行うことができる。
【0032】
図4は、実施例2における診断テスタによるリプロの具体的な制御フローを説明したものである。
【0033】
まず、ECM13側で、ATCU11と診断テスタ15との通信が停止されているかどうかを判定する(S111)。その通信が停止されていると判定されれば、既述するような特別なシフト操作等によって、EOP12のリプロなのか、あるいはそうでないのかをECM13側で判定する(S112)。その際、診断テスタ15との通信は、ECM13側で許可、EOP12側で禁止としておく。仮に、前記判定(S112)によってEOP12リプロモードではないと判定されれば、現在の通信状態を継続する。一方で、前記判定(S112)によってEOPリプロモードと判定された場合には、その判定情報を、たとえばCAN ID.aaaとは異なる通信回線のCAN ID.aa3を使用してECM13からEOP12へ送信する(S113)。EOP12側でEOP12リプロの判定情報を受信し、EOP12リプロモードであると判定すると(S114)、禁止状態であった診断テスタ15との通信を許可する(S115)。このとき、EOP12は通信が停止されているATCU11に成りすまして診断テスタ15と通信を行うため、ECM13側で診断テスタ15との通信を禁止する必要はない。
【0034】
これにより、故障診断サービス機能が備えられていないために、通常は直接診断テスタ15と通信することができないEOP12であっても、特別なシフト操作等を行えば、ATCU11故障時に、EOP12がATCU11に成りすまして診断テスタ15との通信を行うことができ、EOP12のリプロが可能となる。
【0035】
なお、本発明の実施形態は必ずしも上記装置に限定されるものではなく、ECUを備えた全ての装置が含まれる。
【0036】
また、本発明は上記した実施例1,2に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例1,2は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例1,2の構成の一部を他の実施例1,2の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例1,2の構成に他の実施例1,2の構成を加えることも可能である。また、各実施例1,2の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0037】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0038】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1,11…ATCU(故障診断サービス機能が備えられている自動変速機の電子制御装置ECU)
2,12…EOP(故障診断サービス機能が備えられていない自動変速機用電動オイルポンプの電子制御装置ECU)
13…ECM(故障診断サービス機能が備えられているエンジン用の電子制御装置ECU)
4,14…通信切換え手段
5,15…診断テスタ
6,16,16'…リプロ対象判定手段
17…停止判定手段
10,20…故障診断制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子制御装置が搭載された車両の故障診断制御装置であって、
前記複数の電子制御装置を通信可能に相互に接続すると共に、該複数よりも小さい少なくとも一つの電子制御装置は、診断テスタによる故障診断サービス機能を備え、
該故障診断サービス機能を備えた前記電子制御装置は、前記故障診断サービス機能を備えていない他の電子制御装置の情報を記憶しておき、該他の電子制御装置に代替えして該他の電子制御装置の故障診断を行うことを特徴とする車両の故障診断制御装置。
【請求項2】
前記故障診断サービス機能を備えていない前記電子制御装置は、該電子制御装置のプログラム書換えを行う場合に、前記故障診断サービス機能を備えた前記電子制御装置に成りすまして前記診断テスタと通信を行うことで、前記診断テスタによる前記故障診断サービス機能を備えていない前記電子制御装置のプログラム書換え制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両の故障診断制御装置。
【請求項3】
前記故障診断サービス機能を備えた前記電子制御装置が複数搭載されている場合であって、
前記故障診断サービス機能を備えていない電子制御装置の代替えをする前記故障診断サービス機能を備えた電子制御装置が、故障により前記診断テスタとの通信が停止した際には、前記故障診断サービス機能を備えた他の前記電子制御装置が、前記故障診断サービス機能を備えていない前記電子制御装置の情報を記憶して、該電子制御装置に代替えして該電子制御装置の故障診断を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の車両の故障診断制御装置。
【請求項4】
前記故障診断サービス機能を備えていない前記電子制御装置は、該電子制御装置のプログラム書換えを行う場合に、前記故障診断サービス機能を備え、故障により前記診断テスタとの通信が停止した前記電子制御装置に成りすまして前記診断テスタと通信を行うことで、前記診断テスタによる前記故障診断サービス機能を備えていない前記電子制御装置のプログラム書換え制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の車両の故障診断制御装置。
【請求項5】
複数の電子制御装置が搭載された車両の故障診断制御方法であって、
前記複数の電子制御装置を通信可能に相互に接続すると共に、該複数よりも小さい少なくとも一つの電子制御装置には、診断テスタによる故障診断サービス機能を備えさせ、
前記故障診断サービス機能を備えた前記電子制御装置が、前記故障診断サービス機能を備えていない他の電子制御装置の情報を記憶しておき、前記診断テスタと通信を行うことで、前記他の電子制御装置に代替えして該他の電子制御装置の故障診断を行うことを特徴とする車両の故障診断制御方法。
【請求項6】
前記故障診断サービス機能を備えていない前記電子制御装置が、該電子制御装置のプログラム書換えを行う場合に、前記故障診断サービス機能を備えた前記電子制御装置に成りすまして前記診断テスタと通信を行うことで、前記診断テスタによる前記故障診断サービス機能を備えていない前記電子制御装置のプログラム書換え制御を行うことを特徴とする請求項5に記載の車両の故障診断制御方法。
【請求項7】
前記故障診断サービス機能を備えた前記電子制御装置が複数搭載されている場合であって、
前記故障診断サービス機能を備えていない電子制御装置の代替えをする前記故障診断サービス機能を備えた電子制御装置が、故障により前記診断テスタとの通信が停止した際には、前記故障診断サービス機能を備えた他の前記電子制御装置が、前記故障診断サービス機能を備えていない前記電子制御装置の情報を記憶して、前記診断テスタと通信を行うことで、該電子制御装置に代替えして該電子制御装置の故障診断を行うことを特徴とする請求項5または6に記載の車両の故障診断制御方法。
【請求項8】
前記故障診断サービス機能を備えていない前記電子制御装置が、該電子制御装置のプログラム書換えを行う場合に、前記故障診断サービス機能を備え、故障により前記診断テスタとの通信が停止した前記電子制御装置に成りすまして前記診断テスタと通信を行うことで、前記診断テスタによる前記故障診断サービス機能を備えていない前記電子制御装置のプログラム書換え制御を行うことを特徴とする請求項7に記載の車両の故障診断制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−96763(P2012−96763A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248634(P2010−248634)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】