説明

車両の油圧制御装置

【課題】冷間時に、トルクコンバータで発生する熱を有効に利用し、容易にかつ早期にオイルを昇温することが可能な車両の油圧制御装置を提供する。
【解決手段】無段変速機12と、ロックアップ機構付きトルクコンバータ6とを備えた車両の油圧制御装置において、オイルポンプ3から吐出されてトルクコンバータ6に供給されたオイルをオイル供給部位13へ供給した後にオイルポンプ3へ還流させる通常油路1,14と、トルクコンバータ6に供給されたオイルを直接オイルポンプ3へ還流させる直結油路15と、トルクコンバータ3から排出されるオイルの流動先を通常油路11,14と直結油路15とに選択的に切り替える切替バルブ10と、油温が閾値として予め定めた所定温度よりも低い場合に、切替バルブ10を動作させてオイルの流動先を直結油路15に切り替える切替制御手段10,16とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載される変速機やそれに関連する各種装置にオイルを供給するための油圧制御装置であって、特に、無段変速機およびロックアップ機構付きのトルクコンバータを搭載した車両の油圧制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される変速機や、例えばトルクコンバータやデフケースなど各種の動力伝達装置には、制御油圧あるいは潤滑油としてオイルが供給されている。通常、オイルは、その油温が低いほど粘性が大きいので、始動直後や低温時の油温が低い状態では、オイルの粘性が大きくなり、油圧の応答性が低下したり、粘性抵抗による損失が大きくなってしまう。そこで、油温を早期に上昇させて、油圧の応答性を改善し、また損失を低減することを目的とした装置やシステムが開発されている。
【0003】
上記のような油温の早期昇温を目的とした装置の一例が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された変速機用オイルポンプの駆動制御装置は、エンジンにて駆動する機械式オイルポンプと、電動機にて駆動する電動式オイルポンプとを油圧源として、コントロールバルブユニットにATF(オイル)を供給するものであって、オイルの油温を検出する油温センサと、コントロールバルブユニットの下流に油路を介して連通するATFウォーマと、電動式オイルポンプをコントロールバルブユニットの上流と下流の油路に対して選択的に連通自在な油路切替ユニットと、油路切替ユニットと電動機とを制御する制御ユニットとを備えている。そして、オイルの油温が低油温判定値以下の場合に、油路切替ユニットを動作させて電動式オイルポンプを下流側の油路に連通させるとともに、電動式オイルポンプを駆動させてオイルをATFウォーマへ供給するように構成されている。
【0004】
また、特許文献2には、内燃機関と自動変速機との間に設けられたトルクコンバータと、そのトルクコンバータの係合側油室および解放側油室のオイルの油圧に応じて係合作動させられるロックアップクラッチとが搭載された車両の制御装置に関する発明が記載されている。この特許文献2に記載された装置は、トルクコンバータの係合側油室または解放側油室のいずれか一方にオイルを供給して他方からオイルを排出させるロックアップ切替バルブと、解放側油室からロックアップ切替バルブを通して排出されるオイルの圧力を調整することによりロックアップクラッチのスリップ量を調整するロックアップ制御バルブとを備えている。そして、この特許文献2には、低油温時の走行・停車の際に、ロックアップ切替バルブをONとし、かつロックアップ制御バルブをOFFとする制御を行うことにより、トルクコンバータの油圧回路を遮断し、トルクコンバータで暖められたオイルが、トルクコンバータの外部で冷却されることを防止して、低油温時の走行・停車中におけるオイルの熱損失を低減するようにした構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−307950号公報
【特許文献2】特開2010−127380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1に記載されている装置は、オイルの油温が低い場合に、電動式オイルポンプとATFウォーマとが下流側の油路を介して直結されるとともに、その電動式オイルポンプが駆動される。そのため、電動オイルポンプから吐出されるオイルが、コントロールバルブユニットを経由することなく、ATFウォーマへ直接供給されるので、低温時のオイルを早期に昇温することができる、とされている。
【0007】
しかしながら、上記の特許文献1に記載されているATFウォーマなどの従来のオイルの昇温手段は、一般にエンジンで発生する熱を熱源としているので、エンジン始動直後の冷間時には、エンジン自体がある程度昇温するまでは昇温手段によるオイルの昇温効果が期待できない場合があった。
【0008】
また、上記の特許文献2に記載されている装置では、トルクコンバータの内部で発生する熱について着目されている。一般に、トルクコンバータは、ロックアップクラッチが作動しないコンバータ領域においては、ポンプインペラとステータとの間、あるいはタービンランナとステータとの間でオイルの撹拌やせん断が生じるので、その際のオイルの粘性による摩擦によって熱が発生する。そのため、トルクコンバータを含む油圧回路の中では、通常はトルクコンバータで発生する熱量が最も大きくなる。したがって、そのトルクコンバータで発生する熱を利用して冷間時のオイルを昇温させることが考えられる。
【0009】
しかしながら、例えば図4に示すような従来の構成では、トルクコンバータから排出されるオイルは、例えば無段変速機のベルトおよびプーリやデフケースなどのオイル供給部位およびオイルパンやストレーナなどを経由して、オイルポンプに還流させられる。そのため、トルクコンバータの熱で昇温されたオイルは、それらオイル供給部位やオイルパンを通過する際に放熱して油温が低下してしまう。すなわち、従来の構成は、トルクコンバータで発生する熱を効果的に利用できていなかった。
【0010】
それに対して、上記の特許文献2に記載されている装置は、トルクコンバータの熱で昇温されたオイルが、トルクコンバータの外部に排出されて放熱してしまうことを抑制するように構成されている。しかしながら、その特許文献2に記載されている装置も、トルクコンバータで発生する熱に着目してはいるものの、そのトルクコンバータの熱を利用して積極的にオイルの昇温を行う構成にはなっておらず、トルクコンバータで発生する熱を有効に利用し、容易にかつ早期にオイルを昇温するには、未だ改良の余地があった。
【0011】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、低温時や始動直後の冷間時に、エンジンで発生する熱を熱源とする昇温手段や特別な加熱手段などを用いることなく、トルクコンバータで発生する熱を有効に利用し、容易にかつ早期にオイルを昇温することが可能な車両の油圧制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、無段変速機と、ロックアップ機構付きトルクコンバータと、それら前記無段変速機および前記ロックアップクラッチならびに前記トルクコンバータに対してオイルを給排するための油圧回路とを備えた車両の油圧制御装置において、前記油圧回路は、オイルポンプから吐出されて前記トルクコンバータに供給されたオイルを前記トルクコンバータから前記無段変速機各部のオイル供給部位へ供給した後に前記オイルポンプへ還流させる通常油路と、前記トルクコンバータに供給された前記オイルを前記トルクコンバータから直接前記オイルポンプへ還流させる直結油路と、前記トルクコンバータから排出される前記オイルの流動先を前記通常油路と前記直結油路とに選択的に切り替える切替バルブとを有し、前記オイルの油温が閾値として予め定めた所定温度よりも低い場合に、前記切替バルブを動作させて前記オイルの流動先を前記直結油路に切り替える切替制御手段を備えていることを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記油圧回路が、前記オイルポンプと前記トルクコンバータとの間に設けられて前記ロックアップクラッチの係合・解放を設定するための油圧を制御するロックアップコントロールバルブと、前記オイルポンプと前記ロックアップコントロールバルブとの間に設けられる油温センサとを更に有し、前記切替制御手段が、前記油温センサにより検出した油温を基に前記通常油路と前記直結油路との切り替えを判断する手段を含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、オイルの油温が低く粘性が高くなる冷間時には、オイルポンプからトルクコンバータへ供給されたオイルが、トルクコンバータから排出された後に、他のオイル供給部位やオイルパン等を経由することなく、直接オイルポンプへ戻されるようになる。そのため、トルクコンバータの内部で昇温されたオイルが油圧回路を循環する際の放熱による油温の低下を抑制するとともに、トルクコンバータで発生する熱を有効に利用してオイルを昇温させることができ、冷間時のオイルの昇温を容易に促進することができる。その結果、オイルの粘性抵抗による損失を低減することができ、ひいては、車両の燃費を向上させることができる。
【0015】
また、請求項2の発明によれば、冷間時に直結油路に切り替えられてオイルポンプとトルクコンバータとの間で形成される直結の油圧回路内に、ロックアップコントロールバルブおよび油温センサが設けられる。そのため、トルクコンバータで発生する熱を積極的にかつ効果的に利用して、冷間時のオイルの昇温を行うことができる。その結果、オイルの昇温を促進させることにより、油温をトルクコンバータのロックアップ機構におけるロックアップ許可油温まで早期に上昇させてロックアップ機構によるロックアップ状態の頻度を高めることができ、その点においても、車両の燃費を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明による油圧制御装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】無段変速機やトルクコンバータにおけるオイルの粘性抵抗による摩擦損失特性を説明するための模式図である。
【図3】オイルポンプにおけるオイルの粘性抵抗による摩擦損失特性を説明するための模式図である。
【図4】従来の油圧制御装置の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
つぎに、この発明を具体例を参照して説明する。図1に、この発明で対象とする車両の油圧制御装置であって、無段変速機およびロックアップ機構付きトルクコンバータを搭載した車両の油圧制御装置の一例が模式的に示してある。この図1に示す油圧制御装置の油圧回路Cは、オイルパン1のオイルを、ストレーナ2などを介してオイルポンプ3で吸引し、そのオイルポンプ3で発生させた油圧を、油路4およびその油路4の途中に設けられたロックアップコントロールバルブ5を経由してトルクコンバータ6へ供給するようになっている。すなわち、この油圧回路Cは、オイルポンプ3で油圧を発生させて、トルクコンバータ6に対して、制御油圧あるいは潤滑油としてオイルを供給するように構成されている。また、上記のオイルポンプ3とロックアップコントロールバルブ5との間であって、オイルポンプ3の吐出口3o付近に、油路4内を流動するオイルの油温を検出する油温センサ7が設けられている。
【0018】
なお、上記のトルクコンバータ6は、ロックアップクラッチ8を備えたいわゆるロックアップ機構付きのトルクコンバータであり、ロックアップクラッチ8を係合させることにより、トルクコンバータ6を機械的に直結状態にすることが可能な構成となっている。ロックアップクラッチ8の係合・解放状態は、周知のトルクコンバータのロックアップ機構と同様に、車速やエンジン回転数などの車両の走行状態に応じて油圧により制御される。すなわち、前述のロックアップコントロールバルブ5から給排される制御油圧に基づいて、ロックアップクラッチ8の係合・解放動作が制御されるようになっている。
【0019】
ロックアップクラッチ8の係合・解放動作を油圧制御する際の油温が低い場合は、オイルの粘性が高くなるので、油圧制御の応答性が低下したり、クラッチの係合・解放動作が適切に行われなくなる可能性がある。そのため、ロックアップクラッチ8の係合・解放動作が、その作動に支障のない所定温度以上の油温の下で行われるようするために、ロックアップ許可油温が設定されている。このロックアップ許可油温は、使用するオイルの性状や装置の構造等が考慮されて、予め適宜設定されている。
【0020】
また、この油圧回路Cは、上記のようにトルクコンバータ6に供給されたオイルを、トルクコンバータ6の内部、すなわちポンプインペラとタービンランナとの間を経由させた後にトルクコンバータ6から排出させ、そしてその排出されたオイルを、トルクコンバータ6の排出部6oに連通する油路9および切替バルブ10ならびに油路11を介して、ベルト式無段変速機12各部のオイル供給部位13へ供給するように構成されている。そして、オイル供給部位13に供給されたオイルは、油路14を経由してオイルパン1に戻されるようになっている。したがって、この油圧回路Cは、オイルポンプ3から吐出されてトルクコンバータ6に供給されたオイルを、そのトルクコンバータ6から油路9および油路11を介してオイル供給部位13に供給した後に、油路14およびオイルパン1ならびにストレーナ2などを介して、オイルポンプ3へ還流させる構成となっている。
【0021】
なお、上記のベルト式無段変速機12に用いられるベルトは、例えば、多数のエレメントとリングとによって構成される押圧式のベルトであってもよく、あるいは、チェーン構造の無段変速機用ベルトであってもよい。
【0022】
また、上記の切替バルブ10は、1つの吸入ポート10iと、2つの吐出ポート10a,10bのいずれ一方とを選択的に連通する構成のものであり、この油圧回路Cでは、上記のように、吸入ポート10iに油路9が連通され、一方の吐出ポート10aに油路11が連通されている。そして、他方の吐出ポート10bには、油路15が連通されている。この油路15は、上記のように、その一端が切替バルブ10および油路9を介して、トルクコンバータ6の排出部6oに連通されるとともに、その他端がオイルポンプ3の吸入口3iに連通されている。すなわち、この油路15は、トルクコンバータ6に供給されたオイルを、そのトルクコンバータ6から直接オイルポンプ3へ還流させるための油路であって、この発明における直結油路として機能するものである。
【0023】
これに対して、前述の油路11および油路14は、通常時に、オイルポンプ3から吐出されてトルクコンバータ6に供給されたオイルを、そのトルクコンバータ6から油路9および油路11を介してオイル供給部位13に供給した後に、油路14およびオイルパン1ならびにストレーナ2などを介して、オイルポンプ3へ還流させるための油路であって、この発明における通常油路として機能するものである。
【0024】
そして、上記のように構成された油圧回路C各部の動作を、具体的には、上記のロックアップコントロールバルブ5や切替バルブ10の動作を、電気的に制御するための電子制御装置(ECU)16が設けられている。この電子制御装置16は、一例としてマイクロコンピュータを主体として構成され、入力されたデータおよび予め記憶しているデータ等に基づいて所定のプログラムに従って演算を行い、ロックアップコントロールバルブ5や切替バルブ10を動作させるためのソレノイドバルブなどの動作状態の制御を実行するように構成されている。そして、この電子制御装置16に対しては、例えば、前述の油温センサ7や各回転部材の回転数を検出する回転数センサ(図示せず)あるいは車速センサ(図示せず)などの検出信号が入力されるようになっている。
【0025】
したがって、上記の油圧回路Cを備えたこの発明における油圧制御装置は、油温センサ7で検出した油温に基づいて、切替バルブ10の切り替え動作を制御することができる。すなわち、オイルポンプ3から吐出されるオイルの油温に応じて、トルクコンバータ6から排出されるオイルの流動先を、油路11およびオイル供給部位13ならびに油路14と、油路15とに選択的に切り替えることができる。例えば、前述のロックアップ許可油温やオイルの粘性抵抗による摩擦損失などを考慮して、予め閾値としての基準温度を設定しておくことにより、油圧回路C内の油温がその基準値よりも低い場合に、切替バルブ10により、油路9の連通先が油路15に設定し、もしくは切り替えて、トルクコンバータ6の排出部6oとオイルポンプ3の吸入口3iとを直結することができる。
【0026】
例えば、図2,図3に示すように、ベルトやプーリなどのベルト式無段変速機12におけるオイル供給部位13やトルクコンバータ6においては、オイルの粘性抵抗による摩擦損失の温度依存性がほとんどないのに対して、オイルポンプ3においては、オイルの粘性抵抗による摩擦損失の温度依存性が大きい。すなわち、オイルポンプ3では、油温が低くオイルの粘性が高くなると、そのオイルの粘性抵抗による摩擦損失も大きくなる。したがって、油温が低くオイルの粘性が高い冷間時に、上記のように、油路15によってトルクコンバータ6の排出部6oとオイルポンプ3の吸入口3iとを直結することにより、トルクコンバータ6内部の発熱により暖められたオイルを、オイル供給部位13やオイルパン1などを流通させることなく、直接オイルポンプ3に還流させることができ、冷間時の油圧回路Cのオイルを効率良く昇温することができる。その結果、特にオイルポンプ3におけるオイルの粘性抵抗による損失を、効果的に低減させることができる。
【0027】
なお、上記のオイル供給部位13には、図示していないが、油圧回路Cとは別の系統からもオイルを供給することができる。例えば、セカンダリレギュレータバルブ(図示せず)により調圧される油圧系統からも、オイル供給部位13へオイルを供給するように構成することができる。そのため、上記のように冷間時に、トルクコンバータ6から排出されたオイルの流動先が油路15に切り替えられた場合であっても、オイル供給部位13には他の系統からオイルが供給されるので、オイルが不足してしまうようなことはない。
【0028】
以上のように、この発明の油圧制御装置によれば、オイルの油温が低く粘性が高くなる冷間時には、オイルポンプ3からトルクコンバータ6へ供給されたオイルが、トルクコンバータ6から排出された後に、オイル供給部位3やオイルパン1等を経由することなく、直接オイルポンプ3へ還流される。そのため、トルクコンバータ3の内部で昇温されたオイルが、オイル供給部位3やオイルパン1等を流通する際に放熱してその油温が低下してしまうことを防止することができる。したがって、トルクコンバータ3の内部で昇温されたオイルが、油圧回路Cを循環する際の放熱による油温の低下を大幅に抑制することができる。そして、トルクコンバータ6で発生する熱を有効に利用してオイルを昇温させることができ、冷間時のオイルの昇温を容易に促進することができる。
【0029】
また、冷間時に油路15に切り替えられてオイルポンプ3とトルクコンバータ6との間で形成される直結の油圧回路内に、ロックアップコントロールバルブ5および油温センサ7が設けられている。そのため、トルクコンバータ6で発生する熱を積極的にかつ効果的に利用して、冷間時のオイルの昇温を促進させることができ、それによって油圧回路C内の油温をトルクコンバータ6のロックアップクラッチ8に対するロックアップ許可油温まで早期に上昇させることができる。その結果、ロックアップクラッチ8を係合させることによるトルクコンバータ6の直結状態の頻度を高めることができ、ひいては、車両の燃費を向上させることができる。
【符号の説明】
【0030】
3…オイルポンプ、 5…ロックアップコントロールバルブ、 6…トルクコンバータ、 7…油温センサ、 8…ロックアップクラッチ、 10…切替バルブ、 11,14…油路(通常油路)、 12…無段変速機、 13…オイル供給部位、 15…油路(直結油路)、 16…電子制御装置(ECU)、 C…油圧回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無段変速機と、ロックアップ機構付きトルクコンバータと、それら前記無段変速機および前記ロックアップクラッチならびに前記トルクコンバータに対してオイルを給排するための油圧回路とを備えた車両の油圧制御装置において、
前記油圧回路は、オイルポンプから吐出されて前記トルクコンバータに供給されたオイルを前記トルクコンバータから前記無段変速機各部のオイル供給部位へ供給した後に前記オイルポンプへ還流させる通常油路と、前記トルクコンバータに供給された前記オイルを前記トルクコンバータから直接前記オイルポンプへ還流させる直結油路と、前記トルクコンバータから排出される前記オイルの流動先を前記通常油路と前記直結油路とに選択的に切り替える切替バルブとを有し、
前記オイルの油温が閾値として予め定めた所定温度よりも低い場合に、前記切替バルブを動作させて前記オイルの流動先を前記直結油路に切り替える切替制御手段を備えている
ことを特徴とする車両の油圧制御装置。
【請求項2】
前記油圧回路は、前記オイルポンプと前記トルクコンバータとの間に設けられて前記ロックアップクラッチの係合・解放を設定するための油圧を制御するロックアップコントロールバルブと、前記オイルポンプと前記ロックアップコントロールバルブとの間に設けられる油温センサとを更に有し、
前記切替制御手段は、前記油温センサにより検出した油温を基に前記通常油路と前記直結油路との切り替えを判断する手段を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の油圧制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−219977(P2012−219977A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89136(P2011−89136)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】