説明

車両の窓開閉ユニット

【課題】揺動開閉自在な窓板材を中間揺動姿勢に保持する窓開閉ユニットを構成する。
【解決手段】主軸芯X周りで揺動自在に連結された第1揺動リンクL1と第2揺動リンクL2とで構成される開閉リンク機構Lを、車体側の中間フレーム22とサイドガラス27との間に備えている。第1揺動リンクL1と第2揺動リンクL2との重なり合う部位の一方に凹部56を形成し、他方に凸部64を形成し、サイドガラス27が中間揺動姿勢Fmにある状態で凹部56に凸部64が主軸芯Xに沿う方向から弾性的に係合するように保持機構Kを構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビンに揺動開閉自在に支持される窓板材の揺動姿勢を設定する開閉リンク機構が備えられている車両の窓開閉ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成された車両の窓開閉ユニットとして特許文献1には、トラクタのキャビンの後縦フレームに対して縦軸芯周りで揺動自在にサイドガラス(本発明の窓板材)が支持され、キャビンの中縦フレームとサイドガラスの前端側との間にリンク部材とバックル部材(本発明の開閉リンク機構)を備えた構成が記載されている。
【0003】
この特許文献1では、中縦フレームに対して後方に突出する形態の支持部材が備えられ、サイドガラスに対してキャビン内に突出する形態の連係部材が備えられ、この支持部材の後端と連係部材の突出端との間にリンク部材とバックル部材とが縦軸芯周りで揺動自在に連結されている。そして、リンク部材とバックル部材とが折り畳む姿勢にある場合にサイドガラスを閉位置に維持でき、リンク部材とバックル部材とを展開させることでサイドガラスを開位置に操作できるものとなる。
【0004】
また、車両の窓開閉ユニットとして、特許文献2には、トラクタのキャビンの後フレームに対してサイドガラス(本発明の窓板材)の後端側が開閉自在に支持され、キャビンのサイドフレームとサイドガラスの前端側と間にロック装置を備えた構成が記載されている。
【0005】
この特許文献2では、後フレームに備えたボス状の固定部に対し、サイドガラスに連結する枢支軸を回転自在に支持することでサイドガラスを開閉自在に支持するヒンジが備えられている。ボス部の上面には周方向の複数箇所に係合凹部を形成しており、枢支軸部には係合凹部に係脱可能な規制ピンが固定され、この規制ピンを係合凹部に付勢するコイルスプリングが備えられている。このような構造からサイドガラスを開閉操作した場合には複数の係合凹部の何れかに規制ピンが係合することにより半開き位置においてもサイドガラスを保持できるように構成されている。尚、この特許文献2の他の実施例では枢支軸に形成した係合凹部に係脱するボールと、このボールを付勢するバネを有したデテント機構も示されている。
【0006】
また、揺動開閉するものではないが、車両の窓開閉ユニットとして特許文献3には、乗用車の後部に備えた前ガラス(本発明の窓板材)をスライド操作することで開閉できる構成が示されている。この特許文献3では前ガラスに対して開閉リンク機構に相当するものとしてガイドローラの支持枠に支持されるヒンジが示され、このヒンジに対して揺動自在に前ガラスが支持されている。
【0007】
また、前ガラスを閉じ状態に維持するロック機構を備えており、この特許文献3の構成で前ガラスを開放する際には、ロック機構のロックを解除した状態で前ガラスを後方にスライドさせることにより、ヒンジの揺動により前ガラスが後ガラスの外側に揺動する形態で押し出される。このように押し出される際にヒンジの一部がストッパーの軸に係止されることにより揺動姿勢が決まり、この姿勢の状態で後ガラスの外側において前ガラスを後方にスライド操作できることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002‐347437号公報
【特許文献2】特開2008‐196134号公報
【特許文献3】特開平1‐244919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
トラクタを例に挙げると、作業時には、主として換気を行うためにキャビンに備えた窓板材(ガラス)を開放することが行われており、窓板材が揺動開閉する構成のものでは、窓板材を開放姿勢に操作する場合に限界まで開放せず中間姿勢に維持することもある。
【0010】
このような観点から、窓板材を中間の揺動姿勢に維持するため特許文献2に記載されるように、枢支軸の部位に係脱構造を備えることも考えられる。しかしながら、枢支軸の部位において窓板材を保持するためには、大きい保持トルクを必要とするため、強力なバネや深い溝状の係合凹部を備えた強力な係合構造を備えることになり部材の大型化、構造の重量化を招く点において改善の余地がある。
【0011】
これに対して、特許文献3に示すように窓板材と一体的に作動する部材にストッパーを備え、これに係脱する軸を備えることで窓部材を中間姿勢に維持する構造を小型にすることも考えられる。しかしながら、この特許文献3では、ヒンジと支持枠との相対的な揺動角が変化する際に、軸体に対して相対移動する構成のストッパーを備える必要があり、しかも、ストッパーがヒンジと一体的に長手方向に変位する構造であるため、例えば、窓板材を複数の中間姿勢で保持する場合には、複数の長手方向の複数箇所に凹部を必要とすることになり、ストッパーの大型化を招く点において改善の余地がある。
【0012】
本発明の目的は、窓板材を中間揺動姿勢において確実に保持し得る窓開閉ユニットを合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の特徴は、キャビンに揺動開閉自在に支持される窓板材の揺動姿勢を設定する開閉リンク機構が備えられている車両の窓開閉ユニットであって、
前記開閉リンク機構が、主軸芯周りで折り曲げ自在に連結された第1揺動リンクと第2揺動リンクとを有し、前記第1揺動リンクの前記主軸芯と反対側の端部を前記キャビンのフレームに対し前記主軸芯と平行姿勢の第1軸芯周りで揺動自在に支持し、前記第2揺動リンクの前記主軸芯と反対側の端部を前記窓板材に対し前記主軸芯と平行姿勢の第2軸芯周りで揺動自在に支持することで、前記主軸芯周りでの第1揺動リンクと第2揺動リンクとの折り曲げ角の設定により前記窓板材の揺動開閉姿勢が決まるように構成され、
前記窓板材が閉塞姿勢と開放限界姿勢との中間となる中間揺動姿勢にある状態における前記折り曲げ角を保持する保持機構を備え、
この保持機構は、前記第1揺動リンクと第2揺動リンクとの主軸芯側の端部に前記主軸芯と直交し、互いに対向する姿勢に設けた2つの中間面の一方に形成された凹部と、他方に形成された凸部とを備え、前記中間揺動姿勢において前記凹部と前記凸部とが弾性的に係合する位置関係で配置された点にある。
【0014】
この構成によると、窓板材を揺動操作した場合には、第1揺動リンクと第2揺動リンクとの折り曲げ角が変化する。これにより、窓板材が中間揺動姿勢にある状態に対応する折り曲げ角にある場合に凹部と凸部とが係合することで窓板材を中間揺動姿勢に保持できる。また、凹部と凸部とが主軸芯を中心とする領域に配置できるため、例えば、凹部と凸部とが直線的に相対移動するものと比較すると、保持機構を構成するために、凹部と凸部とを形成するために大型の部材を用いる必要がなく、特別の部材を付加する必要もない。また、第1揺動リンクと第2揺動リンクとが主軸芯周りで折れ曲がる構成であるため、主軸芯を基準にして配置される凹部と凸部との相対的な位置精度を高く維持でき、凹部と凸部とを確実に係合させることが可能となる。
従って、大型の部材を用いなくも、窓板材を中間揺動姿勢において確実に保持し得る窓開閉ユニットが構成された。
【0015】
本発明は、前記保持機構が、前記一方の中間面において前記主軸芯を直径方向に通過する仮想直線と前記主軸芯を中心とする仮想円周との交点に形成された2つの前記凸部と、前記第1揺動リンクと第2揺動リンクとが前記中間揺動姿勢にある場合に2つの前記凸部が係入するように前記他方の中間面に形成される2つの前記凹部とを備えて構成されても良い。
【0016】
これによると、窓板材が中間揺動姿勢にある場合には2つの凹部に対して2つの凸部が係合することになり、1つの凹部と1つの凸部とが係合するものと比較して強い保持力を得て、窓板材を中間揺動姿勢に保持できる。
【0017】
本発明は、前記窓板材が前記閉塞姿勢と前記開放限界姿勢とにある状態での前記第1揺動リンクと第2揺動リンクとの折り曲げ角の差が180度に設定され、
前記窓板材が前記閉塞姿勢と前記開放限界姿勢とにある状態において2つの前記凸部が係入する2つの補助凹部が前記他方の中間面に形成されても良い。
【0018】
これによると、窓板部材が閉塞姿勢と開放限界姿勢とにある場合には2つの補助凹部に対して2つの凸部が係合し、この係合では2つの補助凹部に係合する2つの凸部の位置が入れ替わることになる。これにより、2つの補助凹部を形成するだけで、窓板部材が閉塞姿勢と開放限界姿勢との何れの姿勢にある状態でも強い保持力によって窓板材の姿勢を維持できる。
【0019】
本発明は、前記第1揺動リンクと第2揺動リンクとの一方の主軸芯側の端部に前記中間面として2つの主中間面を有するブロック部が形成され、前記第1揺動リンクと第2揺動リンクとの他方に前記中間面として前記主中間面に対向配置される2つの副中間面を有し前記ブロック部を挟み込む形状のフォーク部が形成されると共に、
前記主軸芯と同軸芯に配置され前記ブロック部と前記フォーク部とに貫通する主連結軸が備えられ、前記フォーク部の間隔の拡大方向への変位を規制する規制部材が主連結軸と前記フォーク部との間に形成されても良い。
【0020】
これによると、ブロック部に形成された2つの中間面を、フォーク部の2つの中間面が挟み込む位置に夫々が配置されるため、2組の中間面に凹部と凸部とを形成して強い保持力を得ることが可能となる。また、夫々の中間面を貫通する位置で主軸芯と同軸芯上に主連結軸が配置され、フォーク部の間隔の拡大方向への変位が規制部材によって規制されるため、凹部と凸部との係合力の低下を抑制して長期に亘って強い保持力を得る。
【0021】
本発明は、前記主連結軸を前記開閉リンク機構から突出させることにより、この主連結軸を人為操作用のハンドルとして用いても良い。
【0022】
これによると、主連結軸をハンドルとして人為操作した場合には主軸芯の位置を変化させ、位置の変化に伴い第1揺動リンクと第2揺動リンクと折り曲げ角を容易に変化させることになり、結果として、窓板材の揺動姿勢を容易に設定できるものとなる。
【0023】
本発明は、前記凹部と前記凸部との前記主軸芯に沿う方向で係合方向への付勢力を、人為操作により任意に設定可能な付勢手段が備えられても良い。
【0024】
これによると、人為操作によって凹部と凸部との係合方向に作用する付勢力を人為的に設定することにより、例えば、凹部と凸部との係合力が摩耗によって低下した場合にも、付勢力を高めることにより必要とする保持力を得ることが可能となる。
【0025】
本発明は、前記第1揺動リンクと第2揺動リンクとの主軸芯側の端部の一方に前記主軸芯と直交する方向に凹状となる被係合部が形成され、他方に前記主軸芯と直交する方向に凸状となる係合部が形成されると共に、前記窓板材が前記中間揺動姿勢にある状態において、前記被係合部と前記係合部とが係合するように相対的な位置関係が設定されても良い。
【0026】
これによると、窓板材が中間揺動姿勢にある状態において、第1揺動リンクと第2揺動リンクとの一方の被係合部に対して他方の係合部が係合する状態に達するので、この係合による保持力と、保持機構の保持力とを合わせた力によって窓板材を中間揺動姿勢に一層確実に保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】トラクタの全体側面図である。
【図2】サイドガラスの開閉構造を示す断面図である。
【図3】閉塞姿勢における開閉リンク機構の平面図である。
【図4】中間揺動姿勢における開閉リンク機構の平面図である。
【図5】開放限界姿勢における開閉リンク機構の平面図である。
【図6】開閉リンク機構の断面図である。
【図7】開閉リンク機構の分解斜視図である。
【図8】別実施の形態(a)の主連結軸の部位の断面図である。
【図9】別実施の形態(b)の主連結軸の部位の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1に示すように、操向操作(操舵)自在な左右一対の前車輪1と、左右一対の後車輪2とを備えた車体Bの前部のエンジンボンネット3の内部にエンジン4を備え、車体Bの後部の左右の後輪フェンダー5の間に運転座席6を備え、この運転座席6を収容する運転空間を形成するキャビンCを備えて車両としてのトラクタが構成されている。
【0029】
このトラクタは、エンジン4からの動力が伝えられるミッションケース7が運転座席6の下側に配置され、このミッションケース7の後端部に油圧シリンダ(図示せず)の作動により、突出端が上下方向に作動する左右一対のリフトアーム8が備えられ、このミッションケース7の後端には動力取出軸9が備えられている。
【0030】
このような構成から、車体Bの後端に3点リンク機構等を介して昇降自在にロータリ耕耘装置(図示せず)を連結し、3点リンク機構をリフトアーム8により昇降作動自在に連結し、ロータリ耕耘装置に対して動力取出軸9から駆動力を伝えることにより、ロータリ耕耘装置を駆動する形態で耕耘作業が可能となる。また、車体Bの後端にプラウ(図示せず)を連結することにより鋤起こし作業も可能となる。
【0031】
キャビンCの内部で、運転座席6の前部位置には前車輪1の操向操作を行うステアリングホイール10が配置され、ステアリングホイール10の両側の下方側にはクラッチペダル等の操作ペダル11が配置されている。キャビンCは外部の塵埃や騒音等の運転空間内への侵入を阻止する気密構造を備えると共に、ルーフ部の後部に冷房と暖房とを行うエアコンディショナー12を備えることで運転環境の向上を図る。
【0032】
〔キャビン〕
キャビンCは、前部で支柱状となる左右一対の前フレーム21と、前後方向の中間で支柱状となる左右一対の中間フレーム22と、後部で支柱状となる左右一対の後フレーム23と、これらの上部に連結するルーフ24を有している。また、キャビンCの前部位置にフロントガラス25を備え、両側部にガラス製のドア26を備え、このドア26の後方位置にサイドガラス27を備え、後部位置にリヤガラス28を備えている。
【0033】
中間フレーム22と、後フレーム23と、ルーフ24とには鋼材が使用されている。中間フレーム22には、その前部外側角部に全長又は略全長に亘ってドア26に装着されたウエザーストリップ35を入り込ませる凹部22Aが形成されるように、かつ、その後部外側角部に全長又は略全長に亘ってサイドガラス27に装着されたウエザーストリップ35を入り込ませる凹部22Aが形成されるように、その前後中間部が外側に矩形状に凸出した断面形状に形成されている。なお、中間フレーム22の前後中間部の凸出した部分の外面22Bにドア26のドアヒンジ32が取り付けられ、中間フレーム22の外面22Bとドア26の外面及びサイドガラス27の外面とが略面一になるように構成されている。フロントガラス25と一対のドア26と一対のサイドガラス27とリヤガラス28は透明なガラス板が使用されている。尚、これらドア26と、一対のサイドガラス27と、リヤガラス28とは一部が着色されたものであって良く、透明な樹脂を用いても良い。サイドガラス27が本発明の窓板材の一例であり、このサイドガラス27として前述したように樹脂板を用いることや、不透明な枠体に透明ガラスや透明樹脂を嵌め込んだものを用いても良い。
【0034】
フロントガラス25は、両側部が左右の前フレーム21に支持される状態でエンジンボンネット3の両側部からエンジンボンネット3の上部に亘る領域に配置されている。ドア26は、前フレーム21と中間フレーム22との間に配置されるものであり、前部側に開閉操作のためのドアハンドル31を備え、後部側がドアヒンジ32により中間フレーム22に揺動自在に支持されている。これによりドア26はドアハンドル31の操作により前方を外方に引き出す形態となる開放操作が可能となる。
【0035】
リヤガラス28は、左右の後フレーム23の間に配置されるものであり、上部位置がルーフ24の下面側に部位にヒンジ(図示せず)により横向き姿勢の軸芯周りで揺動自在に支持されている。これにより、下端側を後方上方に跳ね上げる形態での開放操作が可能となる。
【0036】
サイドガラス27は、前部側が直線状で後部側が外方に凸状に湾曲した曲面ガラスで構成され、上部側が前方に位置する傾斜姿勢で配備された中間フレーム22と後フレーム23との間に配置されるものであり、図2に示すように、後端側が後フレーム23に対してウインドウヒンジ33により縦向き姿勢の開閉軸芯P周りで揺動自在に支持されている。このサイドガラス27の揺動開閉を人為的に行う開閉リンク機構LがキャビンCの内部側に備えられている。ウインドウヒンジ33と、開閉リンク機構Lとを含む構成を窓開閉ユニットと称しており、開閉リンク機構Lの詳細を以下に説明する。なお、サイドガラス27としては、上述した後部側が湾曲したものに限らず、全体的に湾曲したものや、前部側又は前後中間部のみが湾曲したものであっても良く、また、曲面ガラスに限らず平面ガラスであっても良い。
【0037】
図2に示す如く、後フレーム23はパイプ状に成形され、この内部に開閉軸芯Pと同軸芯でヒンジ軸33Aが固設され、後フレーム23のうちヒンジ軸33Aの前部側に開口部23Aが形成されている。このヒンジ軸33Aに対して回転自在にヒンジブラケット33Bの基端側が支持され、このヒンジブラケット33Bの延出側の端部を開口部23Aから延出し、これにサイドガラス27の後端側がヒンジボルト34により連結されている。
【0038】
このようにヒンジ軸33Aとヒンジブラケット33Bとで前述したウインドウヒンジ33が構成され、この構成からサイドガラス27は、前端側が車体Bの外方に揺動する形態での開放が可能になる。サイドガラス27の外周部分には、全周に亘ってゴム製のウエザーストリップ35が備えられ、サイドガラス27が閉塞姿勢にある場合には、ウエザーストリップ35が中間フレーム22や後フレーム23等に密着することにより雨水や外気の侵入を阻止する。尚、図2に示す如く、リヤガラス28の外周部分にもウエザーストリップ35が備えられている。
【0039】
特に、サイドガラス27の後端側を支持する構成は、同図に示すものに限るものではなく、後フレーム23は同図に示される断面形状でなくとも良く、例えば、角パイプ等の単純な断面形状のものであっても良い。尚、後フレーム23として角パイプ状のものを用いる場合に、後フレーム23の外面の前部に対してサイドガラス27のウエザーストリップ35を接触させる構成としても良く、この後フレーム23の外面の後部に対してリヤガラス28のウエザーストリップ35を接触させる構成としても良い。また、例えば、後フレーム23の外面にヒンジ軸33Aを支持し、このヒンジ軸33Aに対してヒンジブラケット33Bを支持するものであっても良い。
【0040】
中間フレーム22は、凹部22A、22Aによって、サイドガラス27のウエザーストリップ35の接触面と、ドア26のウエザーストリップ35の接触面とが段状に形成されたチャンネル状材料を縦長でキャビン内方に開放する姿勢で用いている。この中間フレーム22は前述したように鋼材であり、この中間フレーム22の外面には後述するフレームブラケット43を連結する支持フレーム15が後方突出姿勢で溶接等の技術により連結されている。また、この中間フレーム22の開放部には前後位置の内壁面に溶接等により連結するアーチ状の複数の連結片16が固設されている。この複数の連結片16は上下方向で所定の間隔で中間フレーム22に固設されるものであり、これらの連結片16に対してキャビン内方側から樹脂製のカバー体17がビス等により取り付けられている。このような構成から、中間フレーム22の開放部をカバー体17によって閉塞できることになり、このカバー体17の分離した状態では中間フレーム22の内部空間に電気配線を配設でき、電気配線を配設した場合にはカバー体17を分離することで電気配線のメンテナンスも容易に行えることになる。
【0041】
〔開閉リンク機構〕
図2〜図7に示すように、開閉リンク機構Lは、主軸芯X周りで折り曲げ自在に連結された第1揺動リンクL1と第2揺動リンクL2とを有している。第1揺動リンクL1の主軸芯Xと反対側の端部が中間フレーム22に対し主軸芯Xと平行姿勢の第1軸芯Y1周りで揺動自在に支持され、第2揺動リンクL2の主軸芯Xと反対側の端部がサイドガラス27(窓板材の一例)に対し主軸芯Xと平行姿勢の第2軸芯Y2周りで揺動自在に支持されている。
【0042】
サイドガラス27は図2に示す閉塞姿勢Fcと開放限界姿勢Feとの間の領域で開閉自在に構成されるものである。開閉リンク機構Lは、サイドガラス27を図2に示す閉塞姿勢Fcと、開放限界姿勢Feと、中間揺動姿勢Fmとに保持する保持力を作用させるデテント式の保持機構Kを備えると共に、サイドガラス27を中間揺動姿勢Fmに保持する保持力を作用させる補助保持機構Mを備えている。この保持機構Kと補助保持機構Mとについては後述する。
【0043】
特に、サイドガラス27が閉塞姿勢Fcにある場合には、図3に示す如く第1揺動リンクL1と第2揺動リンクL2とが折り畳まれる姿勢に達し、開閉リンク機構Lがバックルとして機能することによりサイドガラス27を閉塞姿勢Fcに維持する。具体的には、サイドガラス27が閉塞姿勢Fcにある状態では、平面視において第1軸芯Y1と第2軸芯Y2とを直線状に結ぶ仮想限界線を越えて主軸芯Xが車体外側に変位して安定状態に達するため、サイドガラス27の前端を外方に変位させる力が作用しても主軸芯Xを車体外方側に変位させる力を作用させることがなく閉塞姿勢Fcが維持される。
【0044】
第1揺動リンクL1と第2揺動リンクL2とが、主軸芯Xと同軸芯上に配置した主連結軸36によって折り曲げ自在(揺動自在)に連結されている。また、中間フレーム22の支持フレーム15に固定ボルト44によって連結されたフレームブラケット43と第1揺動リンクL1とが、第1軸芯Y1と同軸芯上に配置した第1支軸41によって揺動自在に連結されている。また、サイドガラス27に対して連結ボルト46によって連結されたガラスブラケット45と第2揺動リンクL2とが、第2軸芯Y2と同軸芯上に配置した第2支軸42によって揺動自在に連結されている。尚、第1支軸41と第2支軸42とはスプリングピンで構成されている。
【0045】
主連結軸36として、連結状態で開閉リンク機構Lの主軸芯Xに沿う方向での厚さより充分に長い寸法のものが用いられ、この主連結軸36の下端側を開閉リンク機構Lの下側に突出させている。このような構造から、主連結軸36の突出部分をハンドルとして作業者が操作してサイドガラス27の開閉が可能となる。
【0046】
〔開閉リンク機構:第1揺動リンク〕
第1揺動リンクL1は、板状の第1リンク本体51と、その側部のリブ状部52と、一方の端部(主軸芯側の端部)の連結部53と、他方の端部のボス部54と、この他方の端部側のストッパー部55とが樹脂により一体的に形成されている。
【0047】
連結部53は、ブロック部として構成されるものであり、主軸芯Xを中心とする円盤状で第1リンク本体51の両面に突出形成され、この連結部53には主軸芯Xと同軸芯の第1貫通孔H1が形成されている。この連結部53には主軸芯Xに直交する姿勢となる2つの主中間面53Sが形成され、この2つの主中間面53Sには、主軸芯Xを直径方向に通過する仮想直線と主軸芯Xを中心とする仮想円周との交点となる位置に2つの凹部56が形成されると共に、仮想円周上に更に2つの補助凹部57が形成されている。2つの補助凹部57は、主軸芯Xを直径方向に通過する補助仮想直線と仮想円周との交点に形成されている。
【0048】
ボス部54は、第1リンク本体51の両面に突出形成され、これに第1軸芯Y1と同軸芯のフレーム側貫通孔Hfが形成されている。このボス部54に近接する位置にストッパー部55が第1リンク本体51の両面に突出形成されている。
【0049】
〔開閉リンク機構:第2揺動リンク〕
第2揺動リンクL2は、第2リンク本体61と、平行姿勢で形成されフォーク部として構成される一対の突出片62と、端部に形成された連結支持部63とが樹脂により一体的に形成されている。
【0050】
この第2揺動リンクL2は、第2リンク本体61と一対の突出片62とにより断面形状が「コ」字状に成形され、一対の突出片62の一方の端部(主軸芯側の端部)に主軸芯Xと同軸芯の第2貫通孔H2が形成さている。この第2リンク本体61の他方の端部に前述した連結支持部63が形成され、この連結支持部63には第2軸芯Y2と同軸芯のブラケット側貫通孔Hbが形成されている。尚、一対の突出片62は運転者が指先で摘んで操作することもあるため、表面には滑り止め用の凹凸面が形成されている。
【0051】
一対の突出片62の対向する面のうち主軸芯Xに近接する部位には、主軸芯Xに直交する姿勢の副中間面62Sが形成され、この2つの副中間面62Sにおいて主軸芯Xを直径方向に通過する仮想直線と主軸芯Xを中心とする仮想円周との交点に2つの凸部64が形成されている。
【0052】
〔開閉リンク機構:主連結軸による連結〕
第1揺動リンクL1と第2揺動リンクL2とが主連結軸36によって連結された状態では、第1揺動リンクL1の一対の主中間面53Sを第2揺動リンクL2の一対の副中間面62Sが挟み込む位置関係となる。この連結状態でサイドガラス27が中間揺動姿勢Fmにある場合には、第1リンク本体51の連結部53の2つの主中間面53Sに形成された2つの凹部56(合計4つの凹部56)と、第2リンク本体61の一対の突出片62の副中間面62Sに形成された2つの凸部64(合計4つの凸部64)とが弾性的に係合する状態に達し保持力を作用させる。このように、2つの凹部56(合計4つの凹部56)と、2つの凸部64(合計4つの凸部64)とで保持機構Kが構成されている。
【0053】
また、サイドガラス27が閉塞姿勢Fcと開放限界姿勢Feとの姿勢に達した場合には2つの主中間面53Sに形成された2つの補助凹部57(合計4つの補助凹部57)に対して2つの凸部64(合計4つの凸部64)が弾性的に係合する。
【0054】
また、第1リンク本体51の主軸芯側の端部において主軸芯Xと直交する外周面に凹状となる被係合部59が形成され、第2リンク本体61の主軸芯側の端部において主軸芯Xと直交する外周面に凸状となる係合部65が形成され、この被係合部59と係合部65とで補助保持機構Mが構成されている。第1揺動リンクL1と第2揺動リンクL2とが主連結軸36によって連結された状態では、第1リンク本体51の主軸芯側の端部の外周に近接する位置に係合部65が配置される位置関係となり、サイドガラス27が中間揺動姿勢Fmにある場合には、被係合部59と係合部65とが弾性的に係合する状態に達して保持力を作用させる。
【0055】
第2揺動リンクL2においてフォーク部を構成する一対の突出片62の主軸芯側の近傍位置には主軸芯Xと直交する姿勢で貫通孔に達する固定孔66が形成され、この固定孔66に対応して主連結軸36には軸芯と直交する姿勢の一対の連結孔36Aが形成されている。
【0056】
そして、開閉リンク機構Lを組み立てる際には、第1揺動リンクL1の第1貫通孔H1と、第2揺動リンクL2の第2貫通孔H2とに主連結軸36を挿通し、一対の突出片62の固定孔66と、主連結軸36の連結孔36Aとに亘ってスプリングピンで成る規制ピン37(規制部材の一例)を挿通する。これにより主連結軸36の抜け止めを実現すると同時に、一対の突出片62の間隔の拡大方向への変位の規制を実現する。
【0057】
特に、規制ピン37がスプリングピンで構成されるため、主連結軸36による連結状態では、一対の突出片62が拡大方向に弾性変形させる外力が作用することがあっても、規制ピン37の弾性的な復元力によって拡大方向への変形を良好に規制する。また、この連結状態では、主連結軸36の端部が開閉リンク機構Lの下方に突出する。尚、主連結軸36は開閉リンク機構Lの上方に突出して良く、上方と下方との双方に突出しても良い。
【0058】
更に、第1揺動リンクL1のフレーム側貫通孔Hfと、フレームブラケット43の貫通孔とに亘ってスプリングピンで成る第1支軸41を挿通して夫々を揺動自在に連結する。これと同様に第2揺動リンクL2のブラケット側貫通孔Hbと、ガラスブラケット45の貫通孔とに亘って第2支軸42を挿通して夫々を揺動自在に連結する。
【0059】
この後、フレームブラケット43を中間フレーム22に固定ボルト44で連結固定し、ガラスブラケット45をサイドガラス27に連結ボルト46で連結することにより、開閉リンク機構Lが中間フレーム22とサイドガラス27との間に配置されることになり、この開閉リンク機構Lの操作によってサイドガラス27の開閉操作が可能となる。
【0060】
〔作動形態〕
このような構成から、図3に示すようにサイドガラス27が閉塞姿勢Fcにある状態では、第1揺動リンクL1と、第2揺動リンクL2とが折り畳まれバックルとして機能するため、この開閉リンク機構Lがサイドガラス27を閉塞姿勢Fcに保持する。更に、主中間面53Sの合計4つの補助凹部57に対して副中間面62Sの合計4つの凸部64が弾性的に係合するため、この係合による保持力によってもサイドガラス27が閉塞姿勢Fcに保持される。尚、サイドガラス27が閉塞姿勢Fcにある状態では、第1揺動リンクL1の第1リンク本体51が、第2揺動リンクL2の一対の突出片62の間の空間に入り込む状態にあり、平面視では夫々が重なり合うことになる。
【0061】
次に、主連結軸36の下端のハンドル部分や、第2揺動リンクL2を運転者が開放方向に操作することでサイドガラス27は中間揺動姿勢Fmに達する。この中間揺動姿勢Fmでは、保持機構Kを構成する合計4つの凹部56に対して合計4つの凸部64が同時に弾性的に係合し、これと同時に補助保持機構Mを構成する被係合部59に対して係合部65が弾性的に係合するため、開閉リンク機構Lがサイドガラス27を中間揺動姿勢Fmに保持する。
【0062】
凸部64は、第2揺動リンクL2の突出片62に一体的に突出形成されるものであるため、凹部56に係入する際には、突出片62を構成する素材(樹脂材料)の弾性力による主軸芯Xに沿う方向への変位により係合する状態に達する。
【0063】
次に、主連結軸36の下端のハンドル部分や、第2揺動リンクL2を運転者が開放方向に更に操作することで、サイドガラス27は開放限界姿勢Feに達する。この開放限界姿勢Feでは、第1揺動リンクL1のストッパー部55がフレームブラケット43の端部に接当することにより開放方向への限界が決まる。これと同時に、主中間面53Sの合計4つの補助凹部57に対して副中間面62Sの合計4つの凸部64が弾性的に係合するため、この係合による保持力によってサイドガラス27が開放限界姿勢Feに保持される。
【0064】
また、窓開閉ユニットでは、主軸芯Xを直径方向に通過する仮想直線で主軸芯Xを挟んで対向する位置に2つの凸部64が配置され、主軸芯Xを直径方向に通過する補助仮想直線で主軸芯Xを挟む位置に2つの補助凹部57が配置されている。従って、サイドガラス27を閉塞姿勢Fcから開放限界姿勢Feに操作した場合には、主軸芯Xを中心にして第1揺動リンクL1と第2揺動リンクL2とが相対的に180度回転し、2つの凸部64が配置される仮想直線と、2つの補助凹部57が配置される補助仮想直線が相対的に180度回転する。このような理由から、閉塞姿勢Fcと開放限界姿勢Feとの間で操作を行った場合には、2つの凸部64が係合する2つの補助凹部57が主軸芯Xを中心にして相対回転する形態で入れ替わることになり、閉塞姿勢Fcと開放限界姿勢Feとに対応して2つずつの補助凹部57を独立しなくとも、2つの補助凹部57の兼用により閉塞姿勢Fcと開放限界姿勢Feとの保持が実現する。
【0065】
この作動形態では、サイドガラス27を閉塞姿勢Fcから開放限界姿勢Feに操作した際の係脱を説明したが、サイドガラス27を開放限界姿勢Feから閉塞姿勢Fcの方向に操作した際にも、サイドガラス27が開放限界姿勢Feと、中間揺動姿勢Fmと、閉塞姿勢Fcとにある場合において保持機構Kと補助保持機構Mとによりサイドガラス27の姿勢が維持される。
【0066】
このように、開閉リンク機構Lを構成する第1揺動リンクL1と第2揺動リンクL2との折り曲げ角を保持するように主軸芯Xの近傍に保持機構Kを備えたので、例えば、サイドガラス27の開閉軸芯Pの近傍位置に保持機構Kを備えた場合のように大きいトルクに抗する構造を備えずとも揺動姿勢の維持が可能となる。そして、この保持機構Kでは凹部56に対して凸部64が係合する際にクリック感を感ずることができるので、中間揺動姿勢Fmに達したことを指先の感触からも把握できることになる。これと同様にサイドガラス27が閉塞姿勢Fc達した場合や開放限界姿勢Feに達した際もクリック感を感じてサイドガラス27の揺動姿勢を把握することが可能となる。
【0067】
更に、サイドガラス27が中間揺動姿勢Fmにある場合には、補助保持機構Mが係合状態に達して保持力を作用させるので、保持機構Kの保持力に加えて保持機構Kの保持力によってサイドガラス27を中間揺動姿勢Fmに強力に保持できる。
【0068】
特に、主連結軸36に連結する規制ピン37がスプリングピンで構成されているため、一対の突出片62の間隔が拡大する方向への変位する状況でも、規制ピン37の弾性力によりこの変位を規制することが可能となり、長期に亘って使用した場合でも、フォーク部を構成する一対の突出片62の間隔が拡大することはなく、係合力が低下する不都合が抑制される。
【0069】
〔別実施の形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い。
【0070】
(a)図8に示すように、第1揺動リンクL1を構成する第1リンク70の主軸芯側の端部を上下から挟み込むように、第2揺動リンクL2を構成する第2リンク75の断面形状が「コ」字状に成形されている。この第1リンク70の主中間面70Sに凹部71が形成され、第2リンク75と一体的に回転する保持部材76の副中間面76Sに対して凸部77が形成されている。主軸芯Xと同軸芯で、第1リンク70と第2リンク75と保持部材76とを貫通して配置される主連結軸36が備えられ、第1リンク70の主中間面70Sと、保持部材76の副中間面76Sとを圧接させる方向に付勢力を作用させる複数の皿バネ78(付勢手段の一例)が主連結軸36に外嵌する状態で、保持部材76と第2リンク75との間に配置されている。これにより凹部71と凸部77とによって保持機構Kが構成されることになる。
【0071】
主連結軸36としてボルトが用いられ、そのネジ部に対してナット36Nが螺合し、このナット36Nと下側の皿バネ78(付勢手段の一例)との間には第2リンク75に貫通する構造のブッシュ79が備えられている。このような構成から、ナット36Nの操作により複数の皿バネ78から第1リンク70の主中間面70Sと、保持部材76の副中間面76Sとの間に作用する付勢力を任意に設定できる。従って、例えば、凸部77の摩耗により係合による保持力が低下した場合でも、付勢力を増大させることで保持機構K(凹部71と凸部77)の保持力を必要とする値に設定することも可能となる。
【0072】
(b)図9に示すように、この別実施形態(b)は前述した別実施形態(a)と基本的に共通する構成を有しており(共通する番号・符号には同じ番号・符号を付した)、皿バネ78が第1リンク70の下側にのみ配置された点において別実施形態(a)と異なる。この別実施形態(b)においても、第1リンク70の主中間面70Sと、保持部材76の副中間面76Sとを圧接させる方向に付勢力を作用させる複数の皿バネ78を主連結軸36に外嵌する位置に配置しており、凹部71と凸部77とによって保持機構Kが構成されている。
【0073】
このような構成から、ナット36Nの操作により複数の皿バネ78から第1リンク70の主中間面70Sと、保持部材76の副中間面76Sとの間に作用する付勢力を任意に設定でき、保持機構K(凹部71と凸部77)の保持力を必要とする値に設定することも可能となる。
【0074】
(c)主中間面53S、70Sに凸部64、77を形成し、副中間面62S、76Sに凹部56、71を形成して保持機構Kを構成しても良い。また、保持機構Kとして、凸部64、77を、バネの付勢力によって主軸芯Xに沿う方向に突出付勢されるボールやロッド等で構成することや、凸部64、77をバネ板材によって構成しても良い。特に、保持機構Kを構成する凹部56、71と凸部64、77の数は1組でも、多数組でも良い。
【0075】
(d)サイドガラス27が、閉塞姿勢Fcと開放限界姿勢Feとの間の揺動領域に複数の中間揺動姿勢Fmにある状態で、夫々の揺動姿勢を維持できるように保持機構Kを構成しても良い。このように構成する場合でも副中間面62S、76Sに対して複数の凸部64、77形成することで済む。
【0076】
(e)開閉リンク機構Lをサイドガラス27の上下中間部に設けた例を示したが、開閉リンク機構Lをサイドガラス27の上部又は下部に設けて良く、複数の開閉リンク機構Lをサイドガラス27の上下複数箇所に設けても良い。また、サイドガラス27の前部側を支点にして揺動開閉するように構成して開閉リンク機構Lをサイドガラス27の後部側に設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、キャビンに対して開閉自在に備えられる窓板材の姿勢を設定するための機構として、サイドガラスに限らずキャビンの他の窓板材の開閉にも利用することができ、乗用車やトラック等を含む車両全般に利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
22 フレーム(中間フレーム)
27 窓板材(サイドガラス)
36 主連結軸
37 規制部材(規制ピン)
53 ブロック部
53S、70S 中間面(主中間面)
56、71 凹部
57 補助凹部
59 被係合部
62 フォーク部
62S、76S 中間面(副中間面)
64、77 凸部
65 係合部
78 付勢手段(皿バネ)
C キャビン
Fc 閉塞姿勢
Fe 開放限界姿勢
Fm 中間揺動姿勢
K 保持機構
L 開閉リンク機構
L1 第1揺動リンク
L2 第2揺動リンク
X 主軸芯
Y1 第1軸芯
Y2 第2軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビンに揺動開閉自在に支持される窓板材の揺動姿勢を設定する開閉リンク機構が備えられている車両の窓開閉ユニットであって、
前記開閉リンク機構が、主軸芯周りで折り曲げ自在に連結された第1揺動リンクと第2揺動リンクとを有し、前記第1揺動リンクの前記主軸芯と反対側の端部を前記キャビンのフレームに対し前記主軸芯と平行姿勢の第1軸芯周りで揺動自在に支持し、前記第2揺動リンクの前記主軸芯と反対側の端部を前記窓板材に対し前記主軸芯と平行姿勢の第2軸芯周りで揺動自在に支持することで、前記主軸芯周りでの第1揺動リンクと第2揺動リンクとの折り曲げ角の設定により前記窓板材の揺動開閉姿勢が決まるように構成され、
前記窓板材が閉塞姿勢と開放限界姿勢との中間となる中間揺動姿勢にある状態における前記折り曲げ角を保持する保持機構を備え、
この保持機構は、前記第1揺動リンクと第2揺動リンクとの主軸芯側の端部に前記主軸芯と直交し、互いに対向する姿勢に設けた2つの中間面の一方に形成された凹部と、他方に形成された凸部とを備え、前記中間揺動姿勢において前記凹部と前記凸部とが弾性的に係合する位置関係で配置されている車両の窓開閉ユニット。
【請求項2】
前記保持機構が、前記一方の中間面において前記主軸芯を直径方向に通過する仮想直線と前記主軸芯を中心とする仮想円周との交点に形成された2つの前記凸部と、前記第1揺動リンクと第2揺動リンクとが前記中間揺動姿勢にある場合に2つの前記凸部が係入するように前記他方の中間面に形成される2つの前記凹部とを備えて構成されている請求項1記載の車両の窓開閉ユニット。
【請求項3】
前記窓板材が前記閉塞姿勢と前記開放限界姿勢とにある状態での前記第1揺動リンクと第2揺動リンクとの折り曲げ角の差が180度に設定され、
前記窓板材が前記閉塞姿勢と前記開放限界姿勢とにある状態において2つの前記凸部が係入する2つの補助凹部が前記他方の中間面に形成されている請求項2記載の車両の窓開閉ユニット。
【請求項4】
前記第1揺動リンクと第2揺動リンクとの一方の主軸芯側の端部に前記中間面として2つの主中間面を有するブロック部が形成され、前記第1揺動リンクと第2揺動リンクとの他方に前記中間面として前記主中間面に対向配置される2つの副中間面を有し前記ブロック部を挟み込む形状のフォーク部が形成されると共に、
前記主軸芯と同軸芯に配置され前記ブロック部と前記フォーク部とに貫通する主連結軸が備えられ、前記フォーク部の間隔の拡大方向への変位を規制する規制部材が主連結軸と前記フォーク部との間に形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両の窓開閉ユニット。
【請求項5】
前記主連結軸を前記開閉リンク機構から突出させることにより、この主連結軸を人為操作用のハンドルとして用いる請求項4記載の車両の窓開閉ユニット。
【請求項6】
前記凹部と前記凸部との前記主軸芯に沿う方向で係合方向への付勢力を、人為操作により任意に設定可能な付勢手段が備えられている請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両の窓開閉ユニット。
【請求項7】
前記第1揺動リンクと第2揺動リンクとの主軸芯側の端部の一方に前記主軸芯と直交する方向に凹状となる被係合部が形成され、他方に前記主軸芯と直交する方向に凸状となる係合部が形成されると共に、前記窓板材が前記中間揺動姿勢にある状態において、前記被係合部と前記係合部とが係合するように相対的な位置関係が設定されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両の窓開閉ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−140043(P2012−140043A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292181(P2010−292181)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】