説明

車両の障害物検知装置

【課題】車検等のテスト時にシャシーローラー上で車両を走行させている際、車両の作動機器が作動するのを防いでテストを正常に行えるようにする。
【解決手段】自車両1の前方の障害物50を検知するミリ波レーダ3(障害物検知手段)と、ミリ波レーダ3による障害物50の検知状態に応じて車両の作動機器を制御する制御ユニット10(作動制御手段)とを設ける。ミリ波レーダ3によって検知された障害物50が自車両1に対して相対的に移動しているか否かを判断する障害物移動判定手段31と、障害物移動判定手段31によって自車両1に対して相対的に移動する障害物50が検知されなくなってから所定時間をカウントするタイマ手段33と、車両の障害物検知装置2全体の機能を停止するシステム停止手段34とを設ける。タイマ手段33によって所定時間カウントされたときに、システム停止手段34によってシステム全体を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害物検知手段による検知状態に応じて車両の作動機器を制御する車両の障害物検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自車両前方の障害物を検知する障害物検知手段と、該障害物検知手段による障害物の検知状態に応じて車両の作動機器を制御する作動制御手段とを備えた車両の障害物検知装置は知られている。
【0003】
例えば、特許文献1のように、ミリ波レーダによって自車両の進路における障害物(先行車、路測物)を検出して障害物情報に応じて車両の作動を制御する車両用制御装置において、作動制御を行う対象となる障害物領域を自車両の走行する車線エリアに応じて変更するものが知られている。この車両用制御装置では、レーンの外の障害物に対する誤検出を効果的に予防して障害物に対する車両制御を有効に行うことを可能としている。
【特許文献1】特開2004−136785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車検時には、シャシーローラー上に車両を載置してブレーキテスト、スピードメータテスト等の各種テストを行う。駆動輪をシャシーローラー上で駆動させてテストを行っているときには、駆動輪を駆動することにより、駆動輪に設けた駆動輪速度センサーによって計測される車速が上昇していても、実際には自車両は走行しない。このような場合には、上記特許文献1のような車両の障害物検知装置においても、装置全体のシステムが起動されていれば、障害物検知手段によって所定の検知領域内に障害物(例えば、ドライバー以外のテスト人員)が侵入してきたことを検知すると、作動制御手段によって車両の作動機器(警報装置、ブレーキ、シートベルトプリテンショナ等)が作動してしまい、正常にテストが行えないという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車検等のテスト時にシャシーローラー上で車両を走行させている際、車両の作動機器が作動するのを防いでテストを正常に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明では、シャシーローラー上での走行のように、実際に自車両が走行していないような場合には、車両の障害物検知装置のシステム全体を停止するようにした。
【0007】
具体的には、第1の発明では、自車両前方の障害物を検知する障害物検知手段と、該障害物検知手段による障害物の検知状態に応じて車両の作動機器を制御する作動制御手段とを備えた車両の障害物検知装置を対象とし、
上記障害物検知手段によって検知された障害物が自車両に対して相対的に移動しているか否かを判断する障害物移動判定手段と、
上記障害物移動判定手段によって自車両に対して相対的に移動する障害物が検知されなくなってから所定時間をカウントするタイマ手段と、
上記車両の障害物検知装置全体の機能を停止するシステム停止手段とを備え、
上記タイマ手段によって所定時間カウントされたときに、上記システム停止手段によってシステム全体を停止するように構成されている。
【0008】
すなわち、駆動輪をシャシーローラー上で駆動させてテストを行っているときには、装置全体が起動されていれば、車両が走行していると判断し、障害物検知手段によって所定の検知領域内に障害物(例えば、ドライバー以外のテスト人員)が侵入してきたことを検知すると、作動制御手段によって車両の作動機器が作動してしまう。しかし、上記の構成によると、障害物移動判定手段が障害物検知手段によって検知された障害物が自車両に対して相対的に移動しているか否かを判断し、タイマ手段が自車両に対して相対的に移動する障害物が検知されなくなってから所定時間をカウントすると、通常の走行ケースではなく、シャシーローラー上での走行であると判断し、システム停止手段に命令を送ってシステム全体を停止させる。
【0009】
第2の発明では、自車両前方の障害物を検知する障害物検知手段と、該障害物検知手段による障害物の検知状態に応じて車両の作動機器を制御する作動制御手段とを備えた車両の障害物検知装置を対象とし、
上記障害物検知手段によって検出されていた障害物が自車両に対して相対的に接近しているか否かを判断する障害物接近判定手段と、
上記障害物接近判定手段によって自車両に対して相対的に接近する障害物が検知されなくなってから所定時間をカウントするタイマ手段と、
上記車両の障害物検知装置全体の機能を停止するシステム停止手段とを備え、
上記タイマ手段によって所定時間カウントされたときに、上記システム停止手段によってシステム全体を停止するように構成されている。
【0010】
すなわち、駆動輪をシャシーローラー上で駆動させてテストを行っているときには、装置全体が起動されていれば、車両が走行していると判断し、障害物検知手段によって所定の検知領域内に障害物(例えば、ドライバー以外のテスト人員)が侵入してきたことを検知すると、作動制御手段によって車両の作動機器が作動してしまう。しかし、上記の構成によると、障害物接近判定手段が、障害物検知手段によって検出されていた障害物が自車両に対して相対的に接近しているか否かを判断し、タイマ手段が自車両に対して相対的に接近する障害物が検知されなくなってから所定時間をカウントすると、通常の走行ケースではなく、シャシーローラー上での走行であると判断し、システム停止手段に命令を送ってシステム全体を停止させる。
【0011】
第3の発明では、駆動輪に設けた駆動輪速度センサーによって計測される車速が、所定車速以上のときに作動するように構成されている。
【0012】
上記の構成によると、自車両が走行していないようなケースで障害物が所定の検知領域内に侵入してきたときに、作動制御手段によって作動機器を作動させることが防止される。
【0013】
第4の発明では、上記作動機器は、乗員に危険状態を報知する報知手段とする。
【0014】
上記の構成によると、実際には自車両が走行していない、シャシーローラー上でのテスト時の報知手段の誤動作が防止されるので、不必要な報知が行われない。
【0015】
第5の発明では、上記作動機器は、車両に制動力を加えるブレーキ手段とする。
【0016】
上記の構成によると、実際には自車両が走行していない、シャシーローラー上でのテスト時のブレーキ手段の誤動作が防止されるので、不必要な制動が行われない。
【0017】
第6の発明では、上記作動機器は、シートベルトを強制的に引き込むシートベルトプリテンショナとする。
【0018】
上記の構成によると、実際には自車両が走行していない、シャシーローラー上でのテスト時のシートベルトプリテンショナの誤動作が防止されるので、不必要にシートベルトを引き込んでテストドライバーを拘束することがない。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、上記第1の発明によれば、障害物移動判定手段によって、自車両に対して相対的に移動する障害物が所定時間検知されないときに、システム停止手段によってシステム全体を停止するようにしている。このため、車検等のテスト時にシャシーローラー上で車両を走行させている際、車両の作動機器が作動するのを防いでテストを正常に行うことができる。
【0020】
上記第2の発明によれば、障害物接近判定手段によって、自車両に対して相対的に接近する障害物が所定時間検知されないときに、システム停止手段によってシステム全体を停止するようにしている。このため、車検等のテスト時にシャシーローラー上で車両を走行させている際、車両の作動機器が作動するのを防いでテストを正常に行うことができる。
【0021】
上記第3の発明によれば、駆動輪速度センサーによって計測される車速が所定車速以上のときに車両の障害物検知装置が作動するように構成している。このため、自車両が走行していないようなケースでの作動機器の誤作動を防止することができる。
【0022】
上記第4の発明によれば、作動機器を乗員に危険状態を報知する報知手段とし、シャシーローラー上でのテスト時の報知手段の誤動作を防止している。このため、車検等のテスト時にシャシーローラー上で車両を走行させている際、報知手段が作動するのを防いでテストを正常に行うことができる。
【0023】
上記第5の発明によれば、作動機器を車両に制動力を加えるブレーキ手段とし、シャシーローラー上でのテスト時のブレーキ手段の誤動作を防止している。このため、車検等のテスト時にシャシーローラー上で車両を走行させている際、ブレーキ手段が作動して駆動輪が停止するのを防いでテストを正常に行うことができる。
【0024】
上記第6の発明によれば、作動機器をシートベルトを強制的に引き込むシートベルトプリテンショナとし、シャシーローラー上でのテスト時のシートベルトプリテンショナの誤動作を防止している。このため、車検等のテスト時にシャシーローラー上で車両を走行させている際、シートベルトプリテンショナが作動してテストドライバーを不必要に拘束するのを防いでテストを正常に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1に本発明の実施形態にかかる車両の障害物検知装置2を備えた車両1を示す。この障害物検知装置2は、自車両1の前方の障害物50を検知する障害物検知手段としてのミリ波レーダ3を備えている。ミリ波は、鋭い指向性を持たせることができたり、高速な通信用に広帯域を確保できたり、部品を小型化・マイクロ化できたりする等の特長を有している。ミリ波レーダ3の検知範囲は、距離が略100m以内で、放射状に広がるものとなっている。なお、障害物検知手段を赤外線レーザーなどで構成してもよい。
【0027】
図2に示すように、障害物検知装置2は、上記ミリ波レーダ3による障害物の検知状態に応じて後述する車両1の作動機器を制御する作動制御手段としての制御ユニット10を備えている。この制御ユニット10は、ミリ波レーダ3、衝突センサー11、駆動輪28に設けた駆動輪速度センサー29等の各種センサーからの情報により、作動機器を作動させる役割等様々な機能を有している。車両1は、作動機器として、乗員に危険状態を報知する報知手段を備えている。この報知手段は、例えば、ホーン等の警報装置13よりなる。なお、報知手段は、インストルメントパネル上の警告ランプ、カーナビ上の警告表示等で構成してもよい。警報装置13は、障害物50が所定の検知領域(例えば、衝突まで2.0秒)に侵入してきたことをミリ波レーダ3が検知したときに、制御ユニット10によって作動されるようになっている。
【0028】
また、車両1は、作動機器として車両1に制動力を加えるブレーキ手段14やシートベルト16のたるみを取り、乗員の拘束力を高めるシートベルトプリテンショナ15も備えている。
【0029】
ブレーキ手段14は、所定の検知領域(例えば、衝突まで1.0秒)に障害物50が侵入したことをミリ波レーダ3が検知したときに、制御ユニット10によって作動されるようになっている。
【0030】
シートベルトプリテンショナ15は、第1シートベルトプリテンショナ15aと第2シートベルトプリテンショナ15bとで構成されており、ミリ波レーダ3によって、障害物50が所定距離(例えば、衝突まで0.4秒)まで近付いたことを検知したときに第1シートベルトプリテンショナ15aによってシートベルト16をリトラクタ(図示せず)に引き込んで乗員を所定の張力(衝突回避操作に影響しない程度)で拘束するようになっている。第2シートベルトプリテンショナ15bは、車両が衝突したことを衝突センサー11によって検出したときに、さらにシートベルト16を引き込んで乗員を強い拘束力で拘束するものである。なお、第1シートベルトプリテンショナ15aは電動モータ(図示せず)によってシートベルト16を引き込むように構成されている。第2シートベルトプリテンショナ15bは火薬などのインフレータ(図示せず)によってシートベルト16を引き込むように構成されている。
【0031】
車両の障害物検知装置2は、ミリ波レーダ3によって検知された障害物50が自車両1に対して相対的に移動しているか否かを判断する障害物移動判定手段31を備えている。ミリ波レーダ3で検知された障害物50の座標が変化していれば、障害物50が移動していると判断する。
【0032】
また、車両の障害物検知装置2は、ミリ波レーダ3によって検出されていた障害物50が自車両1に対して相対的に接近しているか否かを判断する障害物接近判定手段32とを備えている。ミリ波レーダ3で検知された障害物50の座標が自車両1に徐々に近付いていれば、障害物50が接近していると判断する。
【0033】
なお、これら障害物移動判定手段31及び障害物接近判定手段32の機能を制御ユニット10に設けてもよいし、別途設けてもよい。
【0034】
また、車両の障害物検知装置2は、障害物移動判定手段31によって自車両1に対して相対的に移動する障害物50が検知されなくなってから所定時間をカウントするタイマ手段33を備えている。さらに、このタイマ手段33は、障害物接近判定手段32によって自車両に対して相対的に接近する障害物50が検知されなくなってから所定時間をカウントするように構成されている。
【0035】
車両の障害物検知装置2は、装置全体の機能を停止するシステム停止手段34を備えている。上記タイマ手段33によって所定時間カウントされたときに、システム停止手段34によってシステム全体を停止するように構成されている。なお、システム停止手段34は、手動で操作可能に構成されていてもよいし、手動では操作できないように構成されていてもよい。
【0036】
−車両の障害物検知装置の作動−
次に、本実施形態にかかる車両の障害物検知装置2の作動について図3及び図4を用いて説明する。なお、説明を簡略化するために、作動機器としてシートベルトプリテンショナ15が作動する様子について説明する。
【0037】
図3に示すように、車検等の特別な走行ケースではない通常の車両1の使用ケースでは、車両1の停止時には、ミリ波レーダ3が止まっている3つの障害物50を検知し、その情報が制御ユニット10に送られる。この場合、障害物50は停止しているため、制御ユニット10は、障害物50の衝突の危険性はないと判断し、シートベルトプリテンショナ15に対して命令を発しない。
【0038】
一方、車両1が前方に向かって走行しているときには、ミリ波レーダ3は自車両1に対して接近する3つの障害物50を検知し、その情報を制御ユニット10に送る。そして、障害物50が所定の領域に近付くと、衝突の可能性があると判断して、第1シートベルトプリテンショナ15aを作動させる。そして、衝突センサー11によって衝突が検知されると、制御ユニット10は、第2シートベルトプリテンショナ15bを作動させる。
【0039】
一方、車検時には、シャシーローラー27上に車両1を載置してブレーキテスト、スピードメータテスト等の各種テストが行われる。駆動輪28をシャシーローラー27上で駆動させてテストを行っているときには、駆動輪28を駆動しても自車両1は走行しない。例えば、駆動輪速度センサー29が車速30km/hを計測していても、周囲の物体は止まったままという通常の車両1の使用時ではあり得ない状況が発生する。
【0040】
上記通常のケースであるか、車検等のテスト時のシャシーローラー27上のケースであるかの判断を行う制御について、図4を用いて説明する。
【0041】
まず、ステップS1において、システム全体が起動(ON)しているかどうかを判断する。ONの場合には、ステップS2に進む。OFFの場合には、システム自体が停止しているため、制御ユニット10からの命令は発せられず、第1シートベルトプリテンショナ15aの誤作動という問題はなく、ステップS1を繰り返す。
【0042】
ステップS2において、駆動輪速度センサー29から検出される車速が設定車速以上か否かが判断する。設定車速以上のときには、ステップS3に進む。設定車速以下のときは、通常のケースにおける車両1が止まった、又は微速での走行状態であるので、ステップS2を繰り返す。
【0043】
ステップS3において、障害物移動判定手段31によって、ミリ波レーダ3が検知した障害物50が移動しているのを認知したかどうかが判断される。この場合、障害物50は車両1に対して相対的に移動していればよく、自車両1に衝突する可能性については判断されない。移動する障害物50を認知した場合には、ステップS4に進む。認知しない場合には、ステップS5に進む。
【0044】
ステップS4において、障害物接近判定手段32が、ミリ波レーダ3で検知された障害物50の軌跡を追って障害物50が自車両1に接近しているか否かが判断される。接近している場合には、通常の走行ケースと判断し、ステップS6に進む。接近していない場合には、ステップS7に進む。
【0045】
ステップS6では、障害物50が自車両1に衝突する可能性があるか否かが判断される。具体的には、所定の検知領域内に障害物50が侵入したときには、衝突の可能性があると判断し、ステップS8に進む。衝突の可能性がない場合には、ステップS6を繰り返す。
【0046】
ステップS8では、制御ユニット10が信号を発して第1シートベルトプリテンショナ15aを作動させて乗員を拘束し、ステップS9に進む。
【0047】
ステップS9では、自車両1が障害物50に衝突したか否かが判断される。衝突センサー11からの信号で制御ユニット10が衝突したと判断したときには、ステップS10に進み、第2シートベルトプリテンショナ15bを作動させ、終了する。衝突していないと判断されたときには、ステップS11に進む。
【0048】
ステップS11において、衝突が回避されたかが判断される。所定時間経過しても衝突センサー11からの信号がない場合には、衝突の危険性はなくなったと判断して、第1シートベルトプリテンショナ15aを解除し、ステップS4に戻る。
【0049】
ステップS5において、障害物50の自車両1に対する相対的な移動が認知されないと、タイマ手段33に命令が送られ、所定時間カウントされた場合には、ステップS13に進む。所定時間経過する前に障害物50の移動が認知されると、ステップS3に戻る。
【0050】
ステップS7において、障害物50が自車両1に接近していないと判断すると、タイマ手段33に命令が送られ、所定時間カウントされた場合には、ステップS13に進む。所定時間経過する前に障害物50が自車両1に接近してると判断すると、ステップS4に戻る。
【0051】
ステップS13において、制御ユニット10は、シャシーローラー27上での走行であり、障害物50の衝突の危険はないと判断し、システム停止手段34によって、障害物検知装置2のシステム全体が停止され、終了する。
【0052】
なお、警報装置13及びブレーキ手段14の場合について説明すると、図4におけるステップS6において、それぞれの検知領域に障害物50が侵入してきたかが判断され、衝突の危険性があると判断したときには、ステップS8において、警報装置13又はブレーキ手段14が作動する。
【0053】
−実施形態の効果−
したがって、本実施形態にかかる車両の障害物検知装置2によると、障害物移動判定手段31によって、自車両1に対して相対的に移動する障害物50が所定時間検知されないときに、システム停止手段34によってシステム全体を停止するようにしている。このため、車検等のテスト時にシャシーローラー27上で車両1を走行させている際、車両1の作動機器が作動するのを防いでテストを正常に行うことができる。
【0054】
また、障害物接近判定手段32によって、自車両1に対して相対的に接近する障害物50が所定時間検知されないときに、システム停止手段34によってシステム全体を停止するようにしている。このため、車検等のテスト時にシャシーローラー27上で車両1を走行させている際、車両1の作動機器が作動するのを防いでテストを正常に行うことができる。
【0055】
また、駆動輪速度センサー29によって計測される車速が所定車速以上のときに車両の障害物検知装置2が作動するように構成している。このため、自車両が走行していないようなケースでの作動機器の誤作動を防止することができる。
【0056】
また、作動機器を乗員に危険状態を報知する警報装置13とした場合に、シャシーローラー27上でのテスト時の警報装置13の誤動作を防止している。このため、車検等のテスト時にシャシーローラー27上で車両1を走行させている際、警報装置13が作動するのを防いでテストを正常に行うことができる。
【0057】
また、作動機器を車両1に制動力を加えるブレーキ手段とした場合に、シャシーローラー27上でのテスト時のブレーキ手段の誤動作を防止している。このため、車検等のテスト時にシャシーローラー27上で車両1を走行させている際、ブレーキ手段が作動して駆動輪28が停止するのを防いでテストを正常に行うことができる。
【0058】
さらに、作動機器をシートベルトを強制的に引き込むシートベルトプリテンショナ15とした場合に、シャシーローラー27上でのテスト時のシートベルトプリテンショナ15の誤動作を防止している。このため、車検等のテスト時にシャシーローラー27上で車両1を走行させている際、シートベルトプリテンショナ15が作動してテストドライバーを不必要に拘束するのを防いでテストを正常に行うことができる。
【0059】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上説明したように、本発明は、ミリ波レーダなどの障害物検知手段と、この障害物検知手段による障害物の検知状態に応じて車両の作動機器を制御する作動制御手段とを備えた車両の障害物検知装置について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態にかかる車両の障害物検知装置を備えた車両の概念図である。
【図2】車両の障害物検知装置を示すブロック図である。
【図3】通常のケース及びシャシーローラー上のケースにおけるミリ波レーダの検出状況を示す概念図である。
【図4】システム停止制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
1 車両
2 障害物検知装置
3 ミリ波レーダ(障害物検知手段)
10 制御ユニット(作動制御手段)
13 警報装置(作動機器、報知手段)
14 ブレーキ手段(作動機器)
15 シートベルトプリテンショナ(作動機器)
28 駆動輪
29 駆動輪速度センサー
31 障害物移動判定手段
32 障害物接近判定手段
33 タイマ手段
34 システム停止手段
50 障害物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両前方の障害物を検知する障害物検知手段と、該障害物検知手段による障害物の検知状態に応じて車両の作動機器を制御する作動制御手段とを備えた車両の障害物検知装置であって、
上記障害物検知手段によって検知された障害物が自車両に対して相対的に移動しているか否かを判断する障害物移動判定手段と、
上記障害物移動判定手段によって自車両に対して相対的に移動する障害物が検知されなくなってから所定時間をカウントするタイマ手段と、
上記車両の障害物検知装置全体の機能を停止するシステム停止手段とを備え、
上記タイマ手段によって所定時間カウントされたときに、上記システム停止手段によってシステム全体を停止するように構成されていることを特徴とする車両の障害物検知装置。
【請求項2】
自車両前方の障害物を検知する障害物検知手段と、該障害物検知手段による障害物の検知状態に応じて車両の作動機器を制御する作動制御手段とを備えた車両の障害物検知装置であって、
上記障害物検知手段によって検出されていた障害物が自車両に対して相対的に接近しているか否かを判断する障害物接近判定手段と、
上記障害物接近判定手段によって自車両に対して相対的に接近する障害物が検知されなくなってから所定時間をカウントするタイマ手段と、
上記車両の障害物検知装置全体の機能を停止するシステム停止手段とを備え、
上記タイマ手段によって所定時間カウントされたときに、上記システム停止手段によってシステム全体を停止するように構成されていることを特徴とする車両の障害物検知装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両の障害物検知装置において、
駆動輪に設けた駆動輪速度センサーによって計測される車速が、所定車速以上のときに作動することを特徴とする車両の障害物検知装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の車両の障害物検知装置において、
上記作動機器は、乗員に危険状態を報知する報知手段であることを特徴とする車両の障害物検知装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の車両の障害物検知装置において、
上記作動機器は、車両に制動力を加えるブレーキ手段であることを特徴とする車両の障害物検知装置。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の車両の障害物検知装置において、
上記作動機器は、シートベルトを強制的に引き込むシートベルトプリテンショナであることを特徴とする車両の障害物検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−153198(P2007−153198A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−353382(P2005−353382)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】