説明

車両の駐車過程用の幾何学的形状データを検出するための方法

車両の駐車過程用の幾何学的形状データを検出するための方法において、車両が駐車スペースに沿って側方を走行する間、複数回に渡り、相前後し、車両と車道縁との間の側方間隔が、車両固定式で配設されている間隔センサを用いて測定される。車両縦軸線と車道縁との間の角度が次の検出により決定される、即ち、駐車スペースに沿った走行時に車両の横運動から得られる、目下の車両縦方向と規定の縦方向との間の横運動角度を検出すること、車道縁の輪郭延在態様から得られる、規定の縦方向と車道縁との間の車道縁角度を検出すること、及び、横運動角度と車道縁角度とを加算することによって目下の車両縦軸線と車道縁との間の角度を検出することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1に従う、車両の駐車過程用の幾何学的形状データ(ジオメトリデータ)を検出するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
将来の車両世代では益々と運転者援助システム(運転者アシストシステム)が使用されることになる。既に駐車補助システムが普及していて、これらの駐車補助システムでは、駐車時に超音波センサを用いて車両の前領域及び/又は後領域における障害物との間隔が測定され、運転者が音響応答を取得する。
【0003】
特許文献1から、前方に駐車している車両と後方に駐車している車両との間の駐車隙間(駐車余地)の長さを検出するための方法が知られている。駐車隙間長を測定するために、駐車すべき車両には超音波送受信装置又はレーダ送受信装置が配設されている。駐車している車両を駐車すべき車両が遅い速度で通り過ぎる間、駐車すべき車両のポジションが、走行方向において、後方に駐車している車両の前端に対して相対的に検出され、このポジションから出発し、前方に駐車している車両と駐車すべき車両との距離が検出される。その後、それらの測定値から、駐車している両方の車両の間隔、即ち駐車隙間の長さが検出され得る。更に、走行している車両のポジションを後方の車両の前端に対して相対的に検出するために、後方に駐車している車両と走行している車両との側方間隔を測定して考慮することが合目的であり得ると述べられている。しかし、このことがどのように詳細に行われるべきであるかについて特許文献1では詳しく説明されていない。
【0004】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第19616447A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、できるだけ少ない技術手間で、駐車過程のために重要なできるだけ正確な幾何学的形状データを検出可能とする方法を創作することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題は、特許請求項1に記載した特徴により解決される。本発明の有利な形態と他の構成は下位請求項から読みとれる。
【0007】
本発明の出発点は、駐車スペース或いは駐車隙間の側方を通り過ぎる、駐車すべき車両のために、駐車過程或いは電子制御式の駐車過程にとって重要である幾何学的形状データを決定することである。重要な事項は、特に
− 車両縦軸線と車道縁(即ち車道境界線)との間の角度、並びに、これから導出可能な
− 車両におけるセンサ点と車道縁との間の間隔、即ち、車両と車道縁との間の間隔、並びに
− 駐車スペース或いは駐車隙間の有効な(即ち実質的な)長さである。
【0008】
本発明の核は、車両縦軸線と車道縁との間の角度を決定する際に、「駐車スペースに対して横向き(左右方向)の或いは駐車隙間に対して横向き(左右方向)の」駐車すべき車両の横運動を考慮するということにある。車両縦軸線と車道縁との間の角度を決定するために車両には間隔センサが設けられていて、この間隔センサは、例えば、超音波センサ、又はレーダセンサ、又はレーザセンサであり、この間隔センサを用い、車両と、又はより正確に言うと車両におけるセンサ点と、車道縁との間の側方間隔が測定される。
【0009】
本発明に従い、車両縦軸線と車道縁との間の角度は「横運動角度」と「車道縁角度」との合計として解釈される。駐車過程では、多くの場合、運転者が駐車隙間を正確に平行な状態で通り過ぎることはないということが観察されるべきである。つまり、多くの場合、駐車隙間の最初の三分の一又は中央のところで車両は駐車隙間に向かう方向に少し曲げられ、引き続き、前方へ斜めに更に走行され、引き続いて後退して(バックで)駐車するために停止される。従って、運転者の操舵行動に依存し、駐車すべき車両は駐車隙間を通り過ぎる際にある程度の横運動を行う。以下では、駐車スペース或いは駐車隙間を通り過ぎる際の目下の車両縦方向と「規定の(即ち予め定められた)縦方向」との間の角度が「横運動角度」と理解される。「規定の縦方向」としては、例えば、操舵して曲がり始まる前、即ち「車両コース変更」前における車両の走行方向と理解される。極めて一般的に、規定の縦方向としては、直進走行時の車両の走行方向と理解され得る。規定の縦方向は実質的に車道縁と平行であり得る。
【0010】
また、車両が直進走行するが車道縁に対して斜めに走行することもあり得る。その際、車道縁は、選択された規定の縦方向と平行ではない。規定の縦方向と車道縁との間の角度は、以下では「車道縁角度」と称される。車両縦軸線と車道縁との間の求められる角度は、横運動角度と車道縁角度との合計として得られる。
【0011】
本発明の他の構成により、横運動角度は、「道程比率」から、即ち「横運動・間隔成分」と、駐車スペース或いは駐車隙間に沿った走行時に車両が2つの測定点間で進んだ道程(移動距離)とから検出される。「横運動・間隔成分」としては、規定の縦方向に対する、車両のセンサ点の横運動と理解される。この横運動・間隔成分は、駐車スペースに沿った走行時に車両が2つの測定点間で進んだ道程の測定と、運転者により調節された操舵状態の測定、即ち操舵コラムにおける操舵角度又は操舵された車輪の操舵角度の測定とにより検出される。2つの測定点間で進んだ道程と、操舵状態とから、規定の数学的な車両モデルと、三角法の変形とを介し、2つの測定点間の横運動・間隔成分が検出され得る。これから、更なる簡単な三角法の変形により横運動角度が得られる。
【0012】
車道縁角度の検出は次のように行われる。先ず、車両固定のセンサ点と車道縁との間の2つの間隔測定値の差が検出される。この差から、引き続き、先に検出された横運動・間隔成分が減算される。そうして得られた差は、以下では「車道縁・間隔成分」と称される。この車道縁・間隔成分は、基礎とされている規定の縦方向に対する、車道縁の「傾斜度」と解釈され得る。車道縁・間隔成分と、駐車スペース或いは駐車隙間に沿った走行時に車両が進んだ道程とから、三角法の変形により、車道縁角度が検出され得る。既述のように、車道縁角度は規定の縦方向と車道縁との間の目下の角度である。
【0013】
引き続き、車道縁角度と横運動角度とが加算され、それにより車両縦方向と車道縁との間の求められる角度が得られる。
【0014】
車両縦軸線と走行可能な縁との間の角度の「横運動角度」と「車道縁角度」への「分割」は、達成可能な測定精度の観点に関し、求められる角度を相次いで連続する2つの間隔測定値から「直接的に」検出することに比べ、極めて本質的な長所を有する。
【0015】
横運動角度は比較的問題なく高精度で決定され得る。つまりこのためには、充分に正確な車両モデルと、例えばABSセンサを介して決定され得る、2つの測定点間で車両が進んだ道程と、例えば操舵可能な車輪又は操舵コラムにおける操舵角度センサにより測定され得る、車両の操舵状態とが必要なだけである。
【0016】
遥かに問題であるのは、車道縁角度のできるだけ正確な検出である。つまりそのためには、先ず、車両固定の間隔センサと車道縁との間の間隔が検出されなくてはならない。この間隔測定には様々な妨害ファクタにより誤差が生じ得る。測定誤差は、例えば「曲線状の」縁石、車道上にある砂利、排水孔の蓋、車道縁にある物体などに起因し得る。
【0017】
従って、車道縁角度の決定の際に測定誤差を「平滑化」するために、車両の走行方向で見て例えば2.5cmという短い間隔で間隔測定を実施することは有意義である。このようにして多数の測定値が得られる。車道縁角度を検出するための上述の方法を繰り返すことにより、対応的に複数の車道縁角度が得られ、これらの車道縁角度から、平均値、即ち平均的な車道縁角度が形成され得る。この種の「平均化」により、個々の「異常値」が広範囲に渡って除去され得て、車道縁角度のために十分に正確な結果が取得され得る。
【0018】
駐車過程の自動制御或いは自動調整のための極めて本質的な他のパラメータは、車両と車道縁との目下の間隔、又はより正確に言うと、車両固定のセンサ点と車道縁との間隔である。
【0019】
原則的に間隔は簡単な間隔測定により検出され得る。既述のようにこの際には様々な測定誤差が発生し得る。その結果、個々の測定値の精度を評価することは困難なことである。極端な場合、個別測定が完全に役に立たないこともあり得る。この理由からここでも「間隔平均値」を検出することが有利である。
【0020】
この際には、本発明の他の構成により、次のように処理が成される。先ず、駐車隙間を車両が通り過ぎる間、相前後し、車両固定のセンサ点と車道縁との間の複数の間隔値が測定される。測定されたそれらの間隔値から、各々、上述の「横運動・間隔成分」と「車道縁・間隔成分」とが減算される。その後、得られたそれらの値から平均値が形成される。
【0021】
簡単に表現すると、つまり、先ず、個々の間隔測定値から、各々、横運動・間隔成分と車道縁・間隔成分とが「引き算」される。得られたそれらの値から平均値が形成される。その後、車両固定のセンサと車道縁との目下の間隔が、得られた平均値を、先に引き算された横運動・間隔成分と車道縁・間隔成分と加算することにより得られる。このようにして、車両固定のセンサと車道縁との目下の実際の間隔が高精度で検出され得る。計算に入れられる間隔測定値の数が大きいほど、測定誤差はより良く「平滑化」される。
【0022】
駐車過程の自動化のための本質的な他のパラメータは、有効な駐車隙間長である。既述のように、多くの運転者は、駐車隙間を通り過ぎる際に先ず駐車隙間に向かって少し曲がり、それから前方へ斜めに更に走行し、停止し、引き続いて後退して駐車する。つまり、駐車隙間の領域で車両が進んだ道程は湾曲していて、従って有効な駐車隙間長よりも長いものである。上述の方法を用い、駐車隙間を通り過ぎる際、多数の測定点において、各々、車両縦軸線と車道縁との間の角度が検出され得る。本発明の他の構成により、車両トラジェクトリ(車両軌跡)の「投影」、即ち車道縁上への車両が進んだ道程の「投影」により、有効な駐車隙間長が得られる。
【0023】
従って数学的にみて、有効な駐車隙間長は、測定インターバルごとに、三角法の変形により、車両が進んだ道程と、車両縦軸線と車道縁との間の角度とから、個々の測定インターバルにおいて検出され得る。
【0024】
駐車隙間の前端或いは後端は測定技術的に次のように検出され得る。駐車すべき車両が駐車隙間を通り過ぎる際、後方の駐車隙間端を間隔センサが通過する時、間隔測定信号内には正のジャンプが発生する。つまり、間隔センサにより記録される、車道縁に対する間隔は「衝撃的に」増加する。それに対応し、間隔センサが前方の駐車隙間端を通過する時には、測定される間隔が負のジャンプを行う。
【0025】
妨害値を排除する或いは測定誤差を平滑化するために、駐車隙間の後端及び前端の決定時に、相前後して測定される複数の測定信号も考慮され得る。例えば、規定の最小数の測定値が、規定の値よりも大きくこれまでの間隔平均値からずれている場合に初めて駐車隙間端が認識されることが意図され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、図面と関連して本発明を詳しく説明する。
【実施例1】
【0027】
図1は、車両2の縦軸線1と、ここでは概要的に縁石3として描かれている車道縁(即ち車道境界線)との間の角度を決定するための基本原理を説明する。車両縦軸線1と車道縁3との間の角度は、ここではγで示されている。ここで示されている実施例において、車両2の前方右側のフェンダ領域には間隔センサ4が配設されている。
【0028】
より容易な理解のために、更に道程座標xが書き込まれている。xの「左側」の領域において車両2は直進走行し、更にxで車両は左側へ曲がり、このことはコース変更を導く。符号5は、車両2の走行過程中の「センサ軌跡」を示している。
【0029】
既述のように車両2はxの左側の領域において直進走行する。それに対応してこの領域ではセンサ軌跡5が同様に直線である。車両2が直進走行することは、例えば、操舵可能な車輪又は操舵スピンドルにおける操舵センサにより検出され得る。xの左側の領域におけるセンサ軌跡5の方向、即ち直進走行時、その方向は、以下では「規定の(即ち予め定められた)縦方向」と称される。
【0030】
角度γを検出する際、以下では「横運動角度」αと「車道縁角度」βとが区別される。横運動角度αは、目下の車両縦方向1と規定の縦方向5との間の角度である。車道縁角度βは、以下では、規定の縦方向5と車道縁3との間の角度として定義されている。図1から見てとれるように、角度γは角度αとβの合計として得られる。
【0031】
横運動角度αは次のように検出される。先ず「横運動・間隔成分」sαが検出され、この横運動・間隔成分sαは、規定の縦方向5に対して横向き(左右方向)の、相次いで連続する2つの測定点xm1とxm2との間の車両の横運動から、結果として得られる。相次いで連続する2つの測定点xm1とxm2との間の横運動・間隔成分sαは、両方の測定点xm1とxm2との間で車両2が進んだ道程(移動距離)の測定と、両方の測定点xm1とxm2との間の領域における車両2の操舵状態の測定と、車両2の規定の運動モデルの測定とにより検出される。両方の測定点xm1とxm2との間で車両2が進んだ道程は、例えば車輪回転数センサ(ABSセンサ)により測定され得る。車両2の操舵状態は、車輪又は操舵コラムにおける操舵角度センサにより測定され得る。三角法の変形により、両方の測定点xm1とxm2との間で車両2が進んだ道程と、横運動・間隔成分sαとから、測定インターバル[xm1,xm2]のための横運動角度αが得られる。上記のように、多数の測定インターバル[xmi,xmi+1]のために、各々、横運動・間隔成分sα並びに横運動角度αが検出され得る。
【0032】
車道縁角度βは次のように検出される。先ず、測定点xm1とxm2において間隔センサ4を用い、各々、間隔センサ4と車道縁3との間の間隔s、sが検出される。引き続き、両方の間隔測定値の差s−sから、横運動・間隔成分sαが減算される。これから、測定インターバル[xm1,xm2]のための「車道縁・間隔成分」が得られる。この車道縁・間隔成分は、以下ではsβで示される。測定インターバル[xm1,xm2]内で車両2が進んだ道程と、車道縁・間隔成分sβとから、三角法の変形により、車道縁角度βが検出され得る。
【0033】
求められている角度γは、α+βからの合計として得られる。
【0034】
間隔センサ4と車道縁3との間隔の測定時には妨害値或いは測定誤差が発生し得るので、車道縁角度βは幾度も相前後して検出されるべきである。その後、多少なりともばらつきの強い車道縁角度βから、平均的な車道縁角度βが形成され得て、例えば算術平均によってである。
【0035】
図2は、車道縁3と、車両2又はより正確に述べると車両固定の間隔センサ4との間隔を決定するための基本原理を説明する。
【0036】
駐車隙間を車両2が通り過ぎる際、規則的な間隔で、即ち多数の測定点xm1, … xmnにおいて、間隔センサ4を用いた間隔測定が実施される。それに対応して間隔センサ4は測定値s, s, … sを提供する。
【0037】
駐車過程時、運転者は、通常、先ず駐車隙間を通り過ぎ、停止し、後退して(バックで)駐車する。駐車隙間を通り過ぎる際、多くの運転者は、駐車隙間に向かって右側へ少し曲がり、そのあと再び左前方へ斜めに更に走行する。この種の「車両トラジェクトリ(車両軌跡)」は図2においてセンサ軌跡5により描かれている。
【0038】
センサ4と車道縁3との間の目下の間隔を決定するためには、原則的には数回の間隔測定で充分であろう。既述のように、個々の測定結果は測定誤差或いは妨害値により多大に狂いが生じ得る。この理由から、次のように決定される間隔平均値が検出される。測定された複数の間隔値sから、各々の横運動・間隔成分と各々の車道縁・間隔成分と(上記参照)が減算される。減算後、得られたそれらの値から平均値が形成される。この平均値に対し、個々の測定インターバルにおいて、先に引き算された横運動・間隔成分と車道縁・間隔成分とが加算され、それにより目下の間隔が得られる。
【0039】
多くの測定は平均値のための基礎を形成するので、算出された間隔値は、個別測定の場合におけるよりも遥かに良好に実際の間隔と一致する。
【0040】
図3は、駐車隙間の有効な(即ち実質的な)長さを検出するための基本原理を説明する。ここで駐車隙間は、後方の駐車隙間縁6と、前方の駐車隙間縁7と、側方の車道縁或いは駐車隙間縁3とを有する。
【0041】
図2の場合のように、ここで示されている実施例において車両2は、駐車隙間を通り過ぎる際に駐車隙間の領域で右側へ少し曲がり、そして左前方へ斜めに更に走行する。このことはセンサ軌跡5或いは走行された軌跡8で見ることができる。
【0042】
センサ軌跡5或いは走行された軌跡8を直線9上に展開すると「車両固有運動を考慮しない駐車隙間長」が得られる。車両固有運動を考慮しない駐車隙間長、即ち区間9が「車両固有運動を考慮した駐車隙間長」即ち区間10よりも長いことが見てとれる。この区間10は有効な駐車隙間長に対応する。有効な駐車隙間長10は、進んだ道程を投影することにより、即ち、走行された軌跡8或いはセンサ軌跡5を車道縁3上に投影することにより検出され得る。
【0043】
このことは計算により次のことにより達成される。即ち、駐車隙間の領域で、各測定インターバルのために、個々の測定インバーバル内で車両2が進んだ道程が、各々、車両縦軸線と車道縁と(上記参照)の間の先に検出された角度を使用しながら、有効な縦部分に換算され、個々の測定インターバルに渡って合計されることによってである。
【0044】
後方の駐車隙間端6或いは前方の駐車隙間端7の位置は次のことにより検出され得る。即ち、間隔センサ4により提供される間隔信号が、間隔センサ4が後方の駐車隙間端6を通過する場合には正のジャンプを有し、間隔センサ4が前方の駐車隙間端7を通過する場合には負のジャンプを有することによってである。
【0045】
つまり駐車隙間の長さは、駐車隙間の通過時に進まれた車両道程を介して検知される。数学的な車両モデルと、車両縦方向と車道縁との間の角度検知とを考慮することにより、車両が駐車隙間を平行な或いは直線的な軌道で通り過ぎない場合にも、有効な駐車隙間長の正確な決定が可能である。
【0046】
車両固有運動を考慮することにより、更なる車両運動時、車両に対して相対的に認識される駐車隙間の正確な位置が計算され得る。まとめると、本発明を用い、以下の長所が達成される:
【0047】
− 運転者を支援するために、駐車隙間の長さが例えばコックピット内で表示され得る
− 自動駐車システムのためのスタートポジションが自動的に決定され得る
− 操舵運動或いは速度変更が測定結果に影響を及ぼすことなく、駐車隙間の正確な測定が可能である
− 使用可能な状態にある正確な数学的な車両モデルに基づき、簡単で低コストのセンサが使用され得る
− 複雑な周囲検知アルゴリズムに比べ、計算手間が比較的僅かである
− 車両に固定式で配設されている間隔センサで駐車隙間の正確な検知のためには充分であり、周囲の走査が車両運動中に行われる
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】車両縦方向と車道縁との間の角度を検出するための基本原理を示す図である。
【図2】車道縁に対する側方間隔を検出するための基本原理を示す図である。
【図3】有効な駐車隙間長を検出するための基本原理を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 車両縦軸線
2 車両
3 車道縁/縁石
4 間隔センサ
5 センサ軌跡
6 後方の駐車隙間縁
7 前方の駐車隙間縁
8 走行軌跡
9 直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(2)の駐車過程用の幾何学的形状データを検出するための方法において、
車両(2)が駐車スペースに沿って側方を走行する間、少なくとも2回、特に複数回に渡り、相前後し、車両(2)と車道縁(3)との間の側方間隔(s)が、車両固定式で配設されている間隔センサ(4)を用いて測定され、
車両縦軸線(1)と車道縁(3)との間の角度(γ)が、
− 駐車スペースに沿った走行時に車両(2)の横運動から得られる、目下の車両縦方向(1)と規定の縦方向(5)との間の横運動角度(α)を検出すること、
− 車道縁(3)の輪郭延在態様から得られる、規定の縦方向(5)と車道縁(3)との間の車道縁角度(β)を検出すること、及び、
− 横運動角度(α)と車道縁角度(β)とを加算することによって目下の車両縦軸線(1)と車道縁(3)との間の角度(γ)を検出すること
により決定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
規定の縦方向(5)として、横運動開始前の直進走行時の車両(2)の走行方向が使用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
横運動角度(α)が次のように検出されること:
− 規定の縦方向(5)に対して横向きである車両(2)の横運動から結果として得られる横運動・間隔成分(sα)を検出すること、ここで横運動・間隔成分(sα)は、駐車スペースに沿った走行時に車両(2)が進んだ道程の測定と、車両(2)の操舵状態の測定とにより、車両(2)の規定の運動モデルを用いて決定される、及び、
− 横運動・間隔成分(sα)と、駐車スペースに沿った走行時に車両(2)が進んだ道程とから、横運動角度(α)を検出すること
を特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
車道縁角度(β)が次のように検出されること:
− 車道縁(3)の輪郭延在態様から結果として得られる車道縁・間隔成分(sβ)を検出すること、ここで車道縁・間隔成分(sβ)は、相前後して測定された2つの間隔の差(s−s)とそれに対応する横運動・間隔成分(sα)との差から検出される、及び、
− 車道縁・間隔成分(sβ)と、駐車スペースに沿った走行時に車両(2)が進んだ道程とから、車道縁角度(β)を検出すること
を特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
通過走行時に複数回に渡って相前後して車道縁角度(β)が決定され、測定誤差を平滑化するために車道縁角度(β)から平均的な車道縁角度(β)が形成されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
車両縦軸線(1)と車道縁(3)との間の角度(γ)が、横運動角度(α)と平均的な車道縁角度(β)とを加算することにより検出されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
間隔センサ(4)と車道縁(3)との間の目下の間隔(s)が間隔平均値であること、ここでは、
− 測定された複数の間隔値(s)から、各々の横運動・間隔成分(sα)と各々の車道縁・間隔成分(sβ)とが減算され、この減算から得られた間隔値から平均値が形成される、及び、
− 目下の間隔(s)が、その平均値と、横運動・間隔成分(sα,i)と、車道縁・間隔成分(sβ,i)とを加算することにより検出されること
を特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
駐車隙間において駐車隙間の長さが決定されること、ここでは、
− 駐車隙間に沿った車両(2)の走行時に車両(2)が進んだ道程と、個々の測定点(x)で検出された、車両縦軸線(1)と車道縁(3)との間の角度(γ)とから、有効な駐車隙間長(10)が検出され、この駐車隙間長(10)が、駐車隙間の領域内で車両(2)が進んだ道程を車道縁(3)上に投影したものに対応すること
を特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
駐車隙間の後端(6)が、間隔センサ(4)と車道縁(3)との間の検出間隔において規定の値を超過する正のジャンプ(s−s)と見なされ、駐車隙間の前端(7)が、間隔センサ(4)と車道縁(3)との間の検出間隔において規定の値を超過する負のジャンプ(s16−s15)と見なされることを特徴とする、請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−504962(P2006−504962A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548751(P2004−548751)
【出願日】平成15年10月17日(2003.10.17)
【国際出願番号】PCT/EP2003/011509
【国際公開番号】WO2004/042423
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(391009671)バイエリッシェ モートーレン ウエルケ アクチエンゲゼルシャフト (194)
【氏名又は名称原語表記】BAYERISCHE MOTOREN WERKE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】