説明

車両ルーフ支柱アセンブリ

【課題】本発明は、第1支柱と、第2の支柱とを含む車両ルーフ支柱アセンブリを提供する。
【解決手段】本発明の車両ルーフ支柱アセンブリにおいて、第1の支柱は、第1の側面を備えた第1の中空体を有し、そして、第2の支柱は、第2の側面を備えた第2の中空体を有している。第2の支柱は、組立て又は使用の際に、第1の中空体に隣接して配置されている。第1及び第2の側面は、それらの垂直範囲の少なくとも一部において互いに接触されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2009年2月2日に提出された米国特許仮出願第61/149,262号に基づく優先権を伴う出願である。この優先権の基礎となった米国仮出願の内容は、その全体として本明細書に含まれるものとする。
【0002】
本発明は、車体(vehicle body)、特に、車両のフレーム構造(vehicle frame structure)に関する。
【背景技術】
【0003】
車両のフレーム構造は、車体パネル及びルーフのような車両の部品を保持することができる。ルーフ支柱(pillar)又はポスト(post)は、例えば、自動車のルーフを支えるか、又は、支持する。ルーフ支柱(loop support pillar)は、自動車のデザイン及び構成、並びに、支柱の位置に基づいて、通常A,B,C,Dなどの文字によって区別される。B−支柱は、通常前部ドア(front door)と後部ドア(rear door)との間に長手方向に(longitudinally)配置され、ロッカーパネル(rocker panel)とルーフレール(roof rail)との間に垂直方向に(即ち、縦に)延設されている。B−支柱は、転覆事故(roll-over accident)又は側面衝突(side-impact crash)の際に自動車の乗員を保護する。通常のB−支柱は、互いに溶接された多重層の型打ちした金属シート(stamped sheet metal)を含むか、又は、押出し金属成形法(extrusion metalforming process)によって製造される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、車体、特に、車両のフレーム構造、具体的に、車両ルーフ支柱アセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1以上の具体例において、車両ルーフ支柱アセンブリは、第1の支柱及び第2の支柱を含んでも良い。第1の支柱は、第1の側面を備えた第1の中空体を有し得る。第2の支柱は、第1の中空体に隣接して配置され得る。また、第2の支柱は、第2の側面を備えた第2の中空体を有し得る。ここで、第1の側面及び第2の側面は、それらの垂直範囲の少なくとも一部において互いに接触されていても良い。
【0006】
1以上の具体例において、補助車両ルーフ支柱アセンブリは、第1の補助支柱及び第2の補助支柱を含み得る。第1の補助支柱は、前記主車両ルーフ支柱の少なくとも一部に沿って垂直方向に延設され、かつ、主車両ルーフ支柱に付着される第1の中空体を有し得る。第2の補助支柱は、第1の中空体に隣接した主車両ルーフ支柱の少なくとも一部に沿って垂直方向に延設された第2の中空体を有し得る。第1及び第2の補助支柱が主車両ルーフ支柱を補強するように、第2の補助支柱は、主車両ルーフ支柱に付着できるように構成されている。
【0007】
1以上の具体例において、車両ルーフ支柱アセンブリは、主車両ルーフ支柱と、補助車両ルーフ支柱と、を含んでも良い。補助車両ルーフ支柱アセンブリは、第1の補助支柱及び第2の補助支柱を含み得る。第1の補助支柱は、前記主車両ルーフ支柱の少なくとも一部に沿って垂直方向に延設された第1の中空体を有し得る。第2の補助支柱は、第1の中空体に隣接して配置され、かつ、主車両ルーフ支柱の少なくとも一部に沿って垂直方向に延設された第2の中空体を有し得る。第1の補助支柱と第2の補助支柱とが併せられて、主車両ルーフ支柱を補強することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の支柱は、ロッカーパネルとルーフレールとの間に必要とされる主たる支持を提供し得る。また、本発明の支柱は、支柱の長さに沿った破壊、極端なバックリング、屈曲、及び、変形に耐えられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、自動車本体のフレームの一例に組み込まれた車両ルーフ支柱アセンブリに係る第1の具体例の斜視図である。
【図2】図2は、図1の車両ルーフ支柱アセンブリの正面斜視図である。
【図3】図3は、図1の車両ルーフ支柱アセンブリの背面斜視図である。
【図4】図4は、図1の車両ルーフ支柱アセンブリの側面図である。
【図5】図5は、図1の車両ルーフ支柱アセンブリにおける第1の支柱の具体例の斜視図である。
【図6】図6は、図1の車両ルーフ支柱アセンブリにおける第2の支柱の具体例の斜視図である。
【図7】図7は、図1の車両ルーフ支柱アセンブリにおける下部を示す拡大正面図である。
【図8】図8は、図7の下部の拡大背面図である。
【図9】図9は、図1の車両ルーフ支柱アセンブリにおける上部の拡大正面図である。
【図10】図10は、図9の上部の拡大背面図である。
【図11】図11は、図9の上部の拡大図である。
【図12】図12は、図1の矢印12−12線断面図である。
【図13】図13は、図1の矢印13−13線断面図である。
【図14】図14は、図1の矢印14−14線断面図である。
【図15】図15は、車両ルーフ支柱アセンブリに係る第2の具体例を含んだ自動車本体のフレームの一例の部分拡大図である。
【図16】図16は、図15の車両ルーフ支柱アセンブリの斜視図である。
【図17】図17は、図15の車両ルーフ支柱アセンブリに用いられる第1のブラケットの具体例の斜視図である。
【図18】図18は、図15の車両ルーフ支柱アセンブリに用いられる第2のブラケットの具体例の斜視図である。
【図19】図19は、図15の自動車本体のフレームに組み込まれた図15の車両ルーフ支柱アセンブリの(前記車両ルーフ支柱アセンブリの上部で取った)断面図である。
【図20】図15のルーフ支柱アセンブリの第1及び第2の支柱の具体例の正面斜視図である。
【図21】図20の第1及び第2の支柱の背面斜視図である。
【図22】図20の第1及び第2の支柱の上部で取った斜視図である。
【図23】図20の第1及び第2の支柱の下部で取った斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に示す本発明に係る好ましい具体例については、添付した図面に基づいて詳細に説明していく。
【0011】
添付した図面を参照すると、自動車本体のフレーム用のB−支柱のような車両ルーフ支柱アセンブリの具体例は、ハイドロホーミング工程(hydroforming process)又はその他の金属加工工程によってそれぞれ成形された一対の支柱を有しても良い。自動車本体のフレームは、乗用車、トラック、スポーツ・ユーティリティー・ビークルズ(sport-utility-vehicle)、クロスオーバー車(crossover vehicle)等であり得る。支柱(support pillar)は、強度を最大化し、パッケージング要求条件を満たし、かつ、重量及びコストを下げることを可能にするために、車両ルーフ支柱アセンブリのデザインを最適化する。本明細書ではB−支柱について説明しているが、この車両ルーフ支柱アセンブリは、A−支柱又はC−支柱などその他の支柱に使用し、又は、車両におけるその他の関連構造体に使用するために構成・修正され得る。
【0012】
車両ルーフ支柱アセンブリの第1の具体例10が図1〜14に示されている。ルーフ支柱アセンブリ10は、自動車のパッセンジャー・コンパートメント上の車両ルーフ(図示せず)を補強し(即ち、支持又は固定し)、前部ドア及び/又は後部ドア(図示せず)の様々な部品を保持し、かつ、転覆事故及び側面衝突の際に自動車の乗員を保護する。図1によれば、ルーフ支柱アセンブリ10、又は、一例のB−支柱は、前部ドア及びその窓と、後部ドア及びその窓との間に(本体側の内部パネルとして図示)長手方向に(longitudinally)配置されていても良い。ルーフ支柱アセンブリ10は、ロッカーパネル12とルーフレール14との間に垂直方向又は縦方向につながるか、又は、延びている。そのロッカーパネル12は、型打ち工程によって製造され、そして、ルーフレール14はハイドロホーミング工程によって製造されても良い。この具体例(図示)において、ルーフ支柱アセンブリ10は、多重アセンブリ(multi-piece assembly)であり、かつ、ロッカーパネルアタッチメント(rocker panel attachment)16と、ルーフレールアタッチメント(roof rail attachment)18と、第1の支柱20と、第2の支柱22と、様々な部品のキャリヤ及びブラケットと、を含んでも良い。ルーフ支柱アセンブリ10は、ここに示した部品全てを必須的に必要とするものではなく、ここに示されていない他の部品を有することもあり得る。本明細書に使用された方向座標(directional coordinate)は自動車本体のフレームに対して定められる。ここで、「車を横切る方向(cross-car)」とは、ドライバー側のドアから乗客側のドアまでのフレーム(又は、乗客側のドアからドライバー側のドアまでのフレーム)を横切る方向をいい、「長手方向(longitudinal)」とは、前部バンパーから後部バンパーまでのフレーム(又は、後部バンパーから前部バンパーまでのフレーム)を横切る方向をいい、そして、「垂直方向(vertical)」とは、地面から車両ルーフまでの方向(又は、車両ルーフから地面までの方向)をいう。
【0013】
ロッカーパネルアタッチメント16は、ロッカーパネル12を第1及び第2の支柱20、22につなげる中間部材(intermediate piece)である。図1,2,3,7、及び8によれば、ロッカーパネルアタッチメント16は、型打ち加工を施して製造されるか、又は、それ以外の方法によって製造された金属製のもので、直立部(upright portion)24と、第1のアーム26と、第2のアーム28と、を含み得る。この直立部24は、第1及び第2の支柱20、22の一部に沿って垂直方向に延設され、かつ、それに沿って支柱を支持し得る。直立部24は、開口30を有して、第1及び第2の支柱20,22の下部(underlying portion)へのアクセスを提供する。これらの第1及び第2のアーム26,28は、直立部24に中心として、長手方向に反対側へ延設されている。第1及び第2のアーム26,28は、それぞれブラケット、機械的相互接続(相互連結)、溶接、又は、その他の適当なジョイントを通じて、ロッカーパネル12の異なる部分につながっていても良い。第1及び第2の支柱20,22をロッカーパネルアタッチメント16の方につなげるために、多重ミグ溶接部(multiple mig weld)を用いても良い。無論、支柱をアタッチメントにつなげるために別の方法を用いても良い。即ち、その接続方法は、ブラケット取付(bracketing)、ボルト締め若しくはリベット打ちのような機械的相互接続、その他の溶接、又は、その他の適当なジョイントに限られない。
【0014】
ルーフレールアタッチメント18は、ルーフレール14を第1及び第2の支柱20,22につなげる中間部材である。図1〜4、及び、9〜11によれば、ルーフレールアタッチメント18は、型打ち加工され、又は、それ以外の方法によって成形された金属製のもので、凹部34、第1のフランジ36、及び、第2のフランジ38を含んでも良い。この凹部34は、第1及び第2の支柱20、22にぴったり合って、その内部に支柱を収容し得る。第1のフランジ36は、第1及び第2の支柱20,22につながり、そして、第2のフランジ38は、ルーフレール14につながる。
【0015】
第1および第2の支柱20,22は、それらが置かれるべき(即ち、組み込まれるべき)自動車の構造に基づいてデザインされ、かつ、構成され得る。第1及び第2の支柱20,22は、車両ルーフによって放出された静的力(static force)、及び、自動車本体のフレームに関連したその他の力を支持するために設計・構成されたものであり得る。言い換えれば、この具体例において、第1及び第2の支柱20,22は、ロッカーパネル12とルーフレール14との間に必要とされる主たる支持(principal support)を提供し得る。即ち、ロッカーパネルアタッチメント16及びルーフレールアタッチメント18以外の別の支持構造体(supporting-structural-component)は、場合によっては、(使用することが可能ではあるが)不要となり得る。これらの第1及び第2の支柱20,22は、支柱の長さに沿った破壊、極端なバックリング、屈曲、及び、変形に耐えられる。
【0016】
第1及び第2の支柱20は、第2の支柱22に比べて、(相対的に)前部ドアの方に最も近い前方(fore or leading position)のほうに配置され得る。第1の支柱20は、第2の支柱22とは分離された別の部品であっても良い。第1の支柱20は、ハイドロホーミング工程又はその他の金属加工工程によって製造され得る第1の中空体(hollow body)40を有している。ハイドロホーミング法(いわゆる、油圧成形法(pressure-sequence hydroforming process))の一例において、先ずチューブ状のブランク(tubular blank)を所定のサイズに切断して、ハイドロホーミング機械内に第1及び第2のダイ半分(die halves)の間に配置する。チューブ状のブランクの端部をシールし、チューブ状のブランクの内部に内部水圧(内部油圧)(internal hydraulic pressure)(例えば、1,000psi)を加える。第1及び第2のダイ半分を次第に近づけることで、チューブ状のブランクを次第に変形させる。その後、第1及び第2のダイ半分を完全に閉じて、チューブ状のブランクの内部に比較的増加された内部水圧(内部油圧)(例えば、10,000psi)を加える。このチューブ状のブランクは、閉じられたダイ半分の形状を持つようになり、そのダイ半分が開き、新たに形成された第1の中空体40が取り除かれる。この種のハイドロホーミング工程において、チューブ状のブランクの断面は、膨張されない。言い換えれば、チューブ状のブランクの壁厚は、目に見えるほど薄くならない。その代わりに、この工程の際に単に断面の形状が変わるだけで、壁断面(cross-sectioned wall)の外周(周辺)長さ(perimeter length)に変化はない。無論、ハイドロホーミング工程に関する別の例において、チューブ状のブランクは、膨張され得る。
【0017】
ハイドロホーミング工程は、別の実施例では異なる方法にて実施され得る。例えば、前述したステップ及び詳細は異なってくる場合がある。即ち、前述したステップ全てを必ずしも実施する必要はない。例えば、いったんダイ半分が完全に閉じられて、内部水圧(内部油圧)を加えて部品を形成する際に、専ら単一の比較的高い内部水圧(内部油圧)を加える代わりに、第1の内部水圧(内部油圧)を徐々に上げていくことも可能であるし、金属加工工程のような更なるステップを行うことも可能である。正確なハイドロホーミング工程又は金属加工工程は、第1の支柱20の所定の最終形状などによって異なってくる。一例の金属加工工程において、第1の中空体40の第1の半分(first half)は、型打ち加工によって形成され、かつ、第1の中空体の第2の半分(second half)は、型打ち加工によって形成され得る。その後、第1の半分と第2の半分とがともに溶接されて、第1の中空体を形成する。
【0018】
こうして形成された第1の中空体40は、例えば、細長く、概して長方形の形状を有し、かつ、その垂直方向において概して弓状(arcuate)となっている(図4参照)。その長さに沿っての(即ち、垂直方向)異なる位置において、第1の中空体40は、異なる断面形状を有し、かつ、第1の下部42から第1の上部44までの長手方向の幅が徐々に狭くなる本体(primary body)を有しても良い。こうした形状は、関連ドアと窓間の受け入れ(receipt)を円滑にすることができる。例えば、第1の下部42は、第1の中間部46よりも長手方向の幅がより広くなっていても良い。第1の上部44の近傍において、第1の中空体40の本体は、図14に相当する断面における上部よりも、図13に相当する断面における長手方向の断面幅(cross-sectional width)のほうがより広くなっている。第1の中空体40は、前述したものと異なる形状を有しても良い。例えば、第1の下部42は、長手方向に沿って前方に(fore longitudinal direction)曲げられていても良い。
【0019】
この具体例(図示)において、第1の中空体40は、第1の下部自由端(lower free end)48と、第1の上部自由端(upper free end)50とを有していても良い。この第1の下部自由端48は、図5に示すように、最終的な閉端(eventual closed end)に向けて深さ方向に(in depth)次第に細くなっていても良い。その原因の一つに、ロッカーパネルアタッチメント16に第1の中空体40をつなげることが挙げられる。他方で、第1の上部自由端50は、そこで(その時に)放出される力により良く耐えられるようその開放状態を保持しても良い。第1の中空体40は、第1の下部自由端48と第1の上部自由端50との間に垂直方向に延設された第1の側面(side surface)52を有していても良い。第1の側面52は、第1の側面の全範囲(entire extent)において第2の支柱22と向かい合っている(即ち、対面している)。それは、第1の側面が第2の支柱と直接的に又は間接的に面しているか、又は、第2の支柱と(それに沿って)直接的に接触していることを意味する。第1の中空体40は、反対側の側面(opposite side surface)54を有し、パッセンジャー・コンパートメントに向かう内側面(inboard surface)56を有し、かつ、外側面(outboard surface)58を有し得る。第1の側面52と同様に、これらの面は、第1の下部自由端48から第1の上部自由端50までに垂直方向に延設されている。
【0020】
図9,10、13、及び14によれば、第1の支柱20は、第1のフランジ60と、バルジ(bulge)62と、を有し得る。これらの第1のフランジ60及びバルジ62は、それぞれ第1の上部44に配置され得る。第1のフランジ60及びバルジ62は、ハイドロホーミング工程を用いる場合に(しかし、必ずしもハイドロホーミング工程を用いる必要はない。)、チューブ状のブランクの過剰な材料から形成され得る。言い換えれば、第1の下部42よりも狭い第1の上部44の本体を造るために、その本体に必要とされない前記材料を用いて第1のフランジ60及びバルジ62を形成する。第1のフランジ60は、第1の中空体40から前方に延設され得る。この第1のフランジ60は、中空となるように形成され、一部の場合においては、第1の支柱20をルーフレール14、又は、自動車のその他の本体フレームにつなげるために用いられる。別の具体例において、第1のフランジ60は、第1の上部44から第1の中間部46及び/又は第1の下部42まで垂直方向に延設されている。バルジ62は、車を横切る方向(内側)に延設され、かつ、第1の上部44における力に耐えるのに役立つ。
【0021】
第2の支柱22は、第1の支柱に比べて、(相対的に)後部ドアに最も近い後部(aft)又は後縁(trailing)位置において第1の支柱20に隣接して配置され得る。第1及び第2の支柱20、22は、2片の並んだ(即ち、隣り合った)構造(two-piece side-by-side structure)を形成している。第1及び第2の支柱20、22は、類似した形状を有し、また、垂直方向の長さにおいて同一の外延を持つ(coextensive)ことができるが、図示した具体例では、それらが正確なミラーイメージをなしていない(勿論、それらが正確なミラーイメージをなしていても良い。)。第2の支柱22は、第1の支柱20について前述したようなハイドロホーミング工程によって形成され得る第2の中空体64を有する。
【0022】
こうして形成された第1の中空体64は、例えば、細長く、概して長方形の形状を有し、かつ、その垂直方向において概して弓状となっている。第1の中空体40と同様に、その長さに沿って異なる位置において、第2の中空体64は、異なる断面形状を有し、かつ、第2の下部66から第2の上部68までの長手方向の幅が徐々に狭くなる本体(primary body)を有しても良い。こうした形状は、関連ドアと窓間の受け入れを円滑にすることができる。例えば、第2の下部66は、第2の中間部70よりも長手方向の幅が広くなっていても良い。
【0023】
この具体例(図示)において、第2の中空体64は、第2の下部自由端72と、第2の上部自由端74とを有していても良い。この第2の下部自由端72は、図6に示すように、最終的な閉端に向けて深さ方向に次第に細くなっていても良い。その原因の一つに、ロッカーパネルアタッチメント16に第2の中空体64をつなげることが挙げられる。他方で、第2の上部自由端64は、そこで(その時に)放出される力により良く耐えられるよう開放状態を保持しても良い。第2の中空体64は、第2の下部自由端76と第2の上部自由端74との間に垂直方向に延設された第2の側面76を有していても良い。第2の側面76は、両方の側面の全範囲に沿って第1の支持側面52と向かい合っている(即ち、対面している)。第2の中空体64は、反対側の側面78、内側面80と、外側面82と、を有していても良い。
【0024】
図9、10、13、及び14によれば、第2の支柱22は、第2のフランジ84と、バルジ86と、を有し得る。これらの第2のフランジ及びバルジはそれぞれ第2の上部68に配置され得る。第2のフランジ84及びバルジ86は、ハイドロホーミング工程を用いる場合に(しかし、必ずしもハイドロホーミング工程を用いる必要はない。)、チューブ状のブランクの過剰な材料から形成され得る。第2のフランジ84は、第2の中空体64から後方に(aft)延設され得る。この第2のフランジ84は、中空となるように形成され、一部の場合においては、第2の支柱22をルーフレール14、又は、自動車のその他の本体フレームにつなげるために用いられる。別の具体例において、第2のフランジ84は、第2の上部68から第2の中間部70及び/又は第2の下部66まで垂直方向に延設されている。バルジ86は、車を横切る方向(内側)に延設され、かつ、第2の上部68における力に耐えるのに役立つ。
【0025】
並んで(side-by-side)組み立てられる場合、第1及び第2の支柱20、22は、第1及び第2の上部44、46よりも第1及び第2の下部42、66においてその長手方向の幅がより広くなっていても良い。即ち、第1及び第2の支柱20、22は、その下部から上部に向かって次第に薄くなる本体を有していても良い。第1及び第2の下部42、66は、場合によっては、車両ルーフの重量のような大きい力に耐えられる必要性の点から、より広い長手方向の幅を有することもあり得る。他方で、第1及び第2の上部44、68は、別の車両の部品内に円滑に収容できるようにより狭い幅を有する場合もあり得る。
【0026】
1以上の具体例において、単一の(チューブ)支柱とは対照的に、ルーフ支柱アセンブリ10内に1対の(チューブ)支柱を設けることで、下部42、66から上部44、68に向けてよりはっきりした(即ち、より顕著な)テーパー状を形成することができる。それは、1対のチューブそれぞれの伸び(elongation)及び成形(shaping)に必要とされる材料の量が、同じテーパー効果を生み出すのに単一のチューブに必要とされる材料の量よりも少ないからである。場合によっては、ハイドロホーミング工程によって形成された1対の支柱は、ハイドロホーミング工程によって形成された単一の支柱に比べてより強度の高い材料の使用を可能にし得る。より強度の高い材料は、強度の低い材料に比べて、破損しやすく割れやすい傾向がある。これは、ハイドロホーミング工程における材料の伸び(量)及び成形を制限する。ハイドロホーミング工程によって形成された1対の支柱を用いる場合、より低度の材料伸び及び成形で足りるので、より強度の高い材料を用いることができる。また、場合によっては、より低度の(即ち、より少ない量の)伸び及び/又は成形が必要とされるために、より薄いゲージの材料(thinner gauge material)を用いることができ、その結果として、全体的なコスト及び重量を減らすことができる。一例において、単一のチューブを有するルーフ支柱は、4.0〜4.5インチの直径及び2.3mmの壁厚を有するDP600スチール(steel)製の円筒状、チューブ状のブランクを必要とする。ハイドロホーミング工程によって形成された場合、この単一のチューブは、19%まで引き延ばされる。この実施例において、1対のチューブを有するルーフ支柱は、2.0インチの直径及び2.0mmの壁厚を有するDP780スチール製の円筒状、チューブ状のブランクを有し得る。ハイドロホーミング工程によって形成された場合、1対のチューブはそれぞれ12%まで引き延ばされる。無論、別の実施例も可能である。
【0027】
また、単一の(チューブ)支柱とは対照的に、ルーフ支柱アセンブリ10内に1対の(チューブ)支柱を設けることで、各々の支柱の垂直範囲に沿ってより顕著でより強い曲げ(more pronounced and tighter bend)を可能にすることができる。DP789スチール又はその他の材料のようなより強度の高い材料で構成されたチューブ状のブランクの場合、チューブ状のブランクは、チューブブランクの外径の約3倍(3×)の曲げ半径(bend radius)を有するように、金属曲げ工程を通じて適切に曲げられる。それぞれ外径1.5インチを有する1対のチューブと、外径3.0インチを有する単一のチューブを比較した場合、1対のチューブは、曲げ半径が約4.5インチ(3×1.5)で曲げられるのに対して、単一のチューブは曲げ半径が約9インチ(3×3)で曲げられるだけである。場合によっては、より強い曲げは、その他の利点のうち、パッケージングを向上させる。勿論その他の実施例も可能である。
【0028】
また、並んで組み立てられた場合、具体例(図示)において、第1及び第2の支柱20,22は、第1のポケット88、非接触領域90、接触領域92、及び、第2のポケット94を生じ得る。第1のポケット88は、シートベルトリトラクタ(seat belt retractor)を収容するために用いられる。図8によれば、第1のポケット88は、第1及び第2の下部42,66において第1及び第2の支柱20,22間に部分的に配置され得る。第1のポケット88は、ルーフ支柱アセンブリ10の車を横切る内側(cross-car inboard side)に形成され、かつ、第1及び第2の凹部96、98によって部分的に形成され得る。いったん開口30及び第1のポケット88内に収容されると、シートベルトリトラクタは、そこで1以上の溶接部(weld)を介して、又は、それ以外の別の適当な方法によって、ロッカーパネルアタッチメント16の方に固定される。
【0029】
非接触領域90は、部分的にルーフ支柱アセンブリ10のテーパー状の外観を提供すると共に、第1及び第2の支柱20、22間における工程配線(routing wiring)又はその他のアイテムのための隙間(clearance)を提供し得る。図2、3、9及び12によれば、非接触領域90は、互いに間隔を置いて配置されて、直接的な接触をしない第1及び第2の側面52、76によって形成され得る。それによって形成されたキャップは、非接触領域90を形成する。非接触領域90は、第1及び第2の下部42、66から第1及び第2の中間部46、70までに延設されている。その全ての範囲を通じて、非接触領域90は、異なる長手方向の幅を有していても良い。それにより、第1及び第2の側面52、76は,第1及び第2の上部44、68の近傍で合流し(converge)、直接的な接触をつくって接触領域92を形成することができる。接触領域92は、第1及び第2の上部44、68に向上された強度及び剛性を提供することができる。図2、9、13及び14によれば、接触領域92は、第1及び第2の上部44、68を通って第1及び第2の上部自由端50、74までに延設されている。接触領域92を通して、第1及び第2の側面52、76は,界面100において直接的な接触を保持しているが、その界面100は、第1及び第2の側面によって形成されて、図13、14における断面において示したような完全な接触を形成する。第1および第2の側面52、76は、接触領域92の垂直範囲の大部分を通して完全な接触を保持しているか、または、接触領域の垂直範囲の一部(即ち、前述した大部分より小さい。)において完全な接触を保持している。
【0030】
第2のポケット94は、部品キャリヤ、ブラケット、または、部品キャリヤとブラケットの両方を収容するために用いられる。図10によれば、第2のポケット94は、第1及び第2の上部44、68において第1及び第2の支柱20、22間に配置され得る。この第2のポケット94は、ルーフ支柱アセンブリ10の車を横切る内側上に形成され、かつ、第1及び第2の凹部102、104によって形成され得る。
【0031】
前述したとおり、ルーフ支柱アセンブリ10のデザイン及び構造は、特定の自動車の本体(前記アセンブリ20が取り付けられる位置または場所である。)によって少なくとも部分的に説明することができる。場合によっては、これは、前述した構造または部品よりも多い、少ない、及び/または、前述した構造または部品とは異なる構造または部品を用いることができることを意味する。例えば、1以上のさらなるポケットまたは接触領域を設けても良く、ロッカーパネルアタッチメントを設けなくも良く、または、非接触領域を設けなくても良い(この場合、接触領域は、ルーフ支柱アセンブリの垂直範囲を通して広がり、それにより、チャネルが配線のための隙間を提供する。)。
【0032】
この具体例において、様々な部品キャリヤ及びブラケットは、第1のドアブラケット106、ストライカプレートキャリヤ(striker plate carrier)108、第2のドアブラケット110、ハンドルキャリヤ112、及び、D−ループメカニズムキャリヤ(D-loop mechanism carrier)114を含んでも良い。第1のブラケット106は、第1及び第2の支柱20、22を共に保持し(hold)、支柱を強くし、かつ、下部ドアヒンジを保持するために用いられる。図7によれば、第1のブラケット106は、第1及び第2の下部42、66において、第1のポケット88の近くで、かつ、ルーフ支柱アセンブリ10の車を横切る外側上に配置され得る。第1のブラケット106は、第1及び第2の支柱20、22の間に延設され、かつ、1以上の溶接部又はその他の手段によってそこに固定され得る。このストライカプレートキャリヤ108は、ストライカプレートを支持し得る。別の具体例において、ストライカプレートキャリヤ108は、ストライカプレート自体によって置き換えられ得る。このストライカプレートキャリヤ108は、第1の支柱22の外側面82、及び、側面78上に配置され、かつ、1以上の溶接部、機械的な相互接続(例えば、ボルト、又は、リベット)、又は、その他の適切な方法によって、そこに固定され得る。
【0033】
第2のブラケット110は、第1及び第2の支柱20、22を共に保持し、支柱を強くし、かつ、下部ドアヒンジを保持するために用いられる。図9によれば、第2のブラケット110は、第1及び第2の中間部46、70においてルーフ支柱アセンブリ10の車を横切る外側上に配置され得る。第2のブラケット110は、第1及び第2の支柱20、22の間に延設され、かつ、1以上の溶接部又はその他の手段によってそこに固定され得る。ハンドルキャリヤ112は、乗客にアクセス可能なハンドルを支持し得る。別の具体例において、ハンドルキャリヤ112は、ハンドル自体によって置き換えられ得る。図11によれば、ハンドルキャリヤ112は、第1の上部44において第2の支柱22の内側面80、及び、側面78上に配置され、かつ、1以上の溶接部、機械的な相互接続(例えば、ボルト、又は、リベット)、又は、その他の適切な方法によって、そこに固定され得る。D−ループメカニズムキャリヤ114は、取付片(mounting piece)、トラック(track)、又は、調整可能なD−ループシートベルトメカニズムのそれ以外の部品を支持することができる。図10によれば、D−ループメカニズムキャリヤ114は、第1のキャリヤ116及び第2のキャリヤ118を含み得る。各キャリヤ116、118は、第1の支柱20、22の間に延設され、かつ、1以上の溶接部又はその他の適切な方法によって、そこに固定され得る。
【0034】
車両ルーフ支柱アセンブリに係る第2の具体例207(図15〜23)は、補助ルーフ支柱アセンブリ210(auxiliary vehicle roof support pillar assembly)(以下、「補助支柱アセンブリ」とも呼ぶ。)、及び、主車両ルーフ支柱(primary vehicle roof support pillar assembly)213(以下、「主支柱」とも呼ぶ。)を含み得る。補助支柱アセンブリ210は、主支柱213内に形成又は取り付けられて、主支柱の強度を増強させて、それを補強する。図15によれば、主支柱213は、いわゆる「主たる」ものであるが、それは、この主支柱213が関連自動車に既に存在し、若しくは、予め組み込まれたルーフ支柱であるか、又は、自動車本体のフレーム215におけるルーフ支柱に必要とされる主要支持体を提供し得る。組み込まれた場合、主支柱213は、前部ドア及びその窓と、後部ドア及びその窓との間に長手方向に配置され、ロッカーパネル212とルーフレール214との間に垂直又は縦方向につながると共に延びる。
【0035】
主支柱213のデザイン及び構成は、少なくとも部分的に特定の自動車本体の構造(前記支柱がその一部をなす。)によって説明することができる。これは、前記支柱が前述したデザイン及び構造とは異なるデザイン及び構造を有することがあり、そして、前述した部品よりも多い、少ない、及び/または、前述した構造または部品とは異なる部品を用いることがあることを意味する。この具体例(図示)において、主支柱213は、押出し工程、又は、その他の金属加工工程によって、型打ち金属シートから製造され得る。図15によれば、主支柱213は、内部支柱パネル(inner pillar panel)217及び外部支柱パネル219を含み得る。これらのパネル217、219が組み立てられて、主支柱を形成する。また、主支柱213は、シートベルト構造221を有しても良い。内部支柱217は、物理的に外部支柱219よりもパッセンジャー・コンパートメントの方に近くなるように設けられ得る。シートベルト構造221は、調整可能なシートベルトアセンブリ(自動車の一部ではあるものの、主支柱213に設けなくても良い。)を支持することができる。
【0036】
1以上の具体例において、補助支柱アセンブリ210は、主支柱213に組み込まれ、主支柱に更なる強度、支持力、及び、構造的完全性(structural integrity)を与えることができる。補助支柱アセンブリ210は、いわゆる「補助的な(予備の)」ものである。それは、補助支柱アセンブリ210が、既に主支柱213によって与えられた強度、支持力、及び構造的完全性に加えて更なる又は二次的な強度、支持力、及び、構造的完全性を提供し、主支柱を補強するからである。補助支柱アセンブリ210のデザイン及び構成は、少なくとも部分的に特定の主支柱(この補助支柱アセンブリが組み込まれる場所又は位置である。)によって説明することができる。この具体例(図示)において、補助支柱アセンブリ210は、主支柱213の上部223に組み込まれ、かつ、位置付けられ;別の例において、例えば、補助支柱アセンブリは、主支柱の下部又は中間部に組み込まれ、かつ、位置付けられるか、又は、前記下部及び中間部の両方に組み込まれ、かつ、位置付けられる。図15〜23によれば、補助支柱アセンブリ210は、第1の支柱又は第1の補助支柱220(以下、「第1の支柱」という。)、第2の支柱又は第2の補助支柱222(以下、「第2の支柱」という。)、第1のブラケット225、及び、第2のブラケット227を含み得る。
【0037】
第1の支柱220は、第2の支柱222に比べて、(相対的に)前部ドアに最も近い前方の位置に配置され得る。第1の支柱220は、第2の支柱222とは別個の明確に区別できる片(piece)であり得る。第1の支柱220は、第1の具体例について前述したハイドロホーミング工程のようなハイドロホーミング工程によって形成されたか、又は、別の金属加工工程によって形成された第1の中空体240を有しても良い。いったん形成されると、第1の中空体240は、非中空体に比べて、その垂直方向の長さに沿った破壊、極端なバックリング、屈曲、及び、変形をより良く耐えられる。第1の中空体240は、細長い形状を有し、かつ、その垂直方向の長さに沿った異なる位置において異なる断面を有し得る。第1の中空体240は、第1の下部242から第1の上部244に向かう長手方向の横方向幅(longitudinal lateral width)において、より広くなり得る。第1の下部242において、第1の中空体240は、長方形の断面を有し(図23)、そして、第1の上部244において、第1の中空体240は、S字状の断面に移行する形状、又は、S字状の断面形状を有し得る(図22)。
【0038】
図示した具体例において、第1の中空体240は、第1の下部自由端248と、第1の上部自由端250と、を有し得る。第1の下部及び上部自由端248、250は、(これらのうち一方又は両方が、車を横切る深さ方向に最終的に閉端となるように次第に細くなっている場合であっても)開放端を形成することで、そこへ放出される力に耐えられる。この第1の中空体240は、第1の下部自由端248から第1の上部自由端に向かって垂直方向に延設された第1の側面252を有していても良い。この第1の側面252は、第1の側面の全範囲に沿って第2の支柱222と向かい合っている(即ち、対面している)。それは、第1の側面が第2の支柱と直接的に若しくは間接的に面しているか、又は、第2の支柱と(それに沿って)直接的に接触していることを意味する。第1の中空体240は、反対側の側面254を有し、自動車のパッセンジャー・コンパートメントに向かう内側面256を有し、かつ、外側面258を有し得る。第1の側面252と同様に、これらの面254、256、258は、第1の下部自由端248から第1の上部自由端までに垂直方向に延設されている。
【0039】
図19〜23によれば、第1の中空体240は、その中空体内に配され、かつ、第1の上部自由端248から第1の上部自由端250まで垂直方向に延設された第1のチャネル259を有し、第1の上部244に配置された第1のフランジ260を有し得る。この実施例において、第1の中空体を主支柱213にあわせるために、第1のフランジ260は第1の中空体240内へ形成されている。第1の中空体240は、別の部品に付着させるための取付孔261(mounting hole)を含み、かつ、構造(formation)263を有し得る。
【0040】
図15〜23によれば、第2の支柱222は、第1の支柱に比べて、(相対的に)後部ドアに最も近い後部(aft)又は後縁(trailing)位置において第1の支柱220に隣接して配置され得る。第1及び第2の支柱220、222は、2片の並んだ(即ち、隣り合った)構造を形成し、互いに対して垂直方向の長さにおいて同一の外延を持ち、かつ、互いに対してほぼミラーイメージをなしている。第2の支柱222は、第1の中空体240について述べたようなハイドロホーミング工程、又は、その他の金属加工工程によって形成された第2の中空体264を有し、かつ、第1の中空体と同様の構造を有し得る。
【0041】
いったん形成された第2の中空体264は、非中空体に比べて、その垂直方向の長さに沿った破壊、極端なバックリング、屈曲、及び、変形により良く耐えられる。第2の中空体264は、細長い形を有し、かつ、その長さに沿った垂直方向の異なる位置において、異なる断面形状を有し得る。第2の中空体264は、長手方向の幅において、第2の下部266から第2の上部268に向かってより広くなっている。第2の下部266において、第2の中空体264は、長方形の断面を有し(図23)、そして、第2の上部268において、第2の中空体264は、S字状の断面に移行する形状、又は、S字状の断面形状を有し得る(図22)。
【0042】
図示した具体例において、第2の中空体264は、第2の下部自由端272と、第2の上部自由端274と、を有し得る。第2の下部及び上部自由端272、274は、(これらのうち一方又は両方が、車を横切る深さ方向に最終的に閉端となるように次第に細くなっている場合であっても)開放端を形成することで、そこへ放出された力に耐えられる。この第2の中空体264は、第2の下部自由端272から第1の上部自由端274に向かって垂直方向に延設された第2の側面276を有していても良い。この第2の側面276は、第2の側面の全範囲において第1の側面252と向かい合っている(即ち、対面している)。第2の中空体264は、反対側の側面278を有し、自動車のパッセンジャー・コンパートメントに向かう内側面280を有し、かつ、外側面282を有し得る。第2の側面276と同様に、これらの面278,280、282は、第2の下部自由端272から第2の上部自由端274までに垂直方向に延設されている。
【0043】
図19〜23によれば、第2の中空体264は、その中空体内に配され、かつ、第2の上部自由端272から第2の上部自由端274まで垂直方向に延設された第2のチャネル283を有し、第2の上部268に配置された第2のフランジ284を有し得る。この実施例において、第2の中空体を主支柱213にあわせるために、第2のフランジ284は第2の中空体264内へ形成されている。
【0044】
少なくとも一つの具体例において、単一の補助支柱(チューブ)とは対照的に、1対の補助支柱(チューブ)にて補助支柱アセンブリ210を構成することによって、補助支柱アセンブリの形状におけるより顕著で著しい変化(全体的な変化)をもたらすことができる。それは、一対のチューブのそれぞれに対するハイドロホーミング工程に必要とされる材料の伸び量及び/又は成形(程度)が、単一のチューブに対し同程度の変化(即ち、全体的な形状の変化)をもたらすために必要とされるものよりも少ないからである。場合によっては、ハイドロホーミング工程によって形成された1対の支柱は、ハイドロホーミング工程によって形成された単一の支柱に比べて、より強度の高い材料の使用を可能にする。より強度の高い材料は、強度の低い材料に比べて、破損しやすく割れやすい傾向がある。これが、ハイドロホーミング工程における材料の伸び量及び成形量を制限する場合もあり得る。ハイドロホーミング工程によって形成された1対の補助支柱を用いる場合、より低度の材料伸び及び成形で足りるので、より強度の高い材料を用いることができる。また、より低度(即ち、より少ない)の伸び及び/又は成形が必要とされるために、より薄いゲージの材料(thinner gauge material)を用いることができるので、全体的なコスト及び重量を減らすことができる。また、単一の補助支柱(チューブ)とは対照的に、1対の補助支柱(チューブ)で補助支柱アセンブリ210を構成することで、各々の補助支柱の垂直方向に沿ってより顕著でより強い曲げ(more pronounced and tighter bend)を可能にする。第1の具体例について前述した比較実験(即ち、3×曲げ半径)は、この具体例にも適用され得る。
【0045】
また、図15,18、及び19〜23によれば、並んで組み立てられた場合に、第1及び第2の支柱220,222は、非接触領域290、接触領域292、及び、ポケット294を生じさせる。非接触領域290は、互いに間隔を置いて配置されて(即ち、互いに離れて)、互いに直接的な接触をしない第1及び第2の側面252、276によって形成され得る。その結果としてそれらの間に生じたキャップは、非接触領域を形成する。その範囲を通して、非接触領域290は、さまざまな長手方向の幅を有していても良く、異なる垂直方向の長さを有していても良い。それにより、第1及び第2の側面252、276は,第1及び第2の支柱の上部で合流する(converge)とともに、直接的な接触をつくって接触領域292を形成することができる。接触領域292は、補助支柱アセンブリ210の強度及び剛性を向上させることができる。接触領域292を通して、第1及び第2の側面252、276は、互いに直接的な接触を保持し得る。また、別の具体例において、接触領域292は、異なる垂直方向の長さを有し得る。歩毛と294は、1以上の部品キャリヤ、ブラケット、又は、両方(部品キャリヤ及びブラケット)を収容ために用いられる。ポケット294は、第1及び第2の上部244、268において、第1及び第2の支柱220、222間に配置され得る。このポケット294は、補助支柱アセンブリ210の車を横切る内側上に形成され、かつ、これらの支柱の一対の凹部(depression)によって形成され得る。また、並んで組み立てられる際に、補助支柱アセンブリ210は、概して上部244、268よりも下部242,266において長手方向により広くなっている。これは、主支柱213を収容するためであり得るが、別の具体例においては必修ではない。
【0046】
図16及び17によれば、第1の又は上部ブラケット225は、第1及び第2の中空体240、264を共に保持し(hold)、及び/又は、第1及び第2の中空体を主支柱213に付着させることができる。第1のブラケット225は、1以上の溶接部、機械的な相互接続(例えば、ボルト、又は、リベット)、又は、その他の適切な方法によって、中空体240,264、及び、主支柱213にそれぞれ付着され得る。例えば、第1のブラケット225は、溶接スポット293においてルーフレール214に溶接されるので、第1及び第2の中空体240、264に付着される必要はない。つまり、中空体は単に第1のブラケットに接触されている(bear against)。第1のブラケット225は、第1及び第2の中空体240、264と、主支柱213との間に力を伝える。第1のブラケット225は、金属で造られ、かつ、型打ち又はその他の方法によって金属加工されて、各々の上部244、268における第1及び第2の中空体240、264の形状、及び/または、ルーフレール214の形状を補完する。
【0047】
図18によれば、第2の又は下部のブラケット227は、第1及び第2の中空体240、264を共に保持し、及び/又は、第1及び第2の中空体を主支柱213に付着させることができる。第2のブラケット227は、1以上の溶接部、機械的な相互接続(例えば、ボルト、又は、リベット)、又は、その他の適切な方法によって、中空体240,264、及び、主支柱213の方にそれぞれ付着され得る。例えば、第2のブラケット227は、第1及び第2の中空体240、264の方にそれぞれ溶接され、かつ、ボルト又はその他の締め具(fastener)を介して外側支柱219に付着され得る。第2のブラケット227は、第1及び第2の中空体240、264と、主支柱213との間に力を伝える。第2のブラケット227は、金属で造られ、かつ、型打ち又はその他の方法で金属加工されて、各々の下部242、266における第1及び第2の中空体240、264の形状、及び/または、(そこにある)主支柱213を補完する。一例において、第2ンブラケット227は、主支柱213における既存の部品(例えば、通常の構造を有するドアヒンジブラケット、又は、補助支柱アセンブリ210を収容するために変形された形態のドアヒンジブラケット)であっても良い。
【0048】
場合によっては、第1及び第2のブラケット225、227を設ける必要はない。その代わりに、第1及び第2の中空体240、264は、1以上の溶接部、機械的な相互接続(例えば、ボルト、又は、リベット)、又は、その他の適切な方法によって、互いに直接的に付着されるか、及び/又は、主支柱213に直接的に付着され得る。溶接の例として、スポット(spot)又はミグ溶接(mig weld)などを挙げることができるが、その他の溶接も可能である。
【0049】
前述したとおり、補助支柱アセンブリ210のデザイン及び構造は、特定の主支柱(前記補助支柱アセンブリ210が組み込まれる位置または場所である。)の構造によって少なくとも部分的に説明することができる。場合によっては、これは、補助支柱アセンブリ210の内側よりも多い、少ない、及び/または、それとは異なるデザイン、構造、または、部品を用いることができるということを意味する。例えば、1以上の更なるブラケットを設けても良く、接触領域が第1及び第2の支柱の垂直方向の全範囲を通して広がっている場合には、非接触領域を設ける必要はなく、及び/または、第1及び第2の中空体を、異なる長さ及び断面形状にするなど、異なる形状となるように形成しても良い。
【0050】
本明細書に記載した実施形態は、好ましい具体例を示したに過ぎず、それ以外に多くの実施形態が可能である。本明細書は、こうした全ての実施形態を言及したものではない。本明細書に使用された用語は、単に記述的であり、本発明の技術的思想を制限するものではない。したがって、本発明の技術的思想の範囲内では様々な変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 車両ルーフ支柱アセンブリ(第1の具体例)
12 ロッカーパネル12
14 ルーフレール
16 ロッカーパネルアタッチメント
18 ルーフレールアタッチメント
20 第1の支柱
22 第2の支柱
24 直立部
26 第1のアーム
28 第2のアーム
30 開口
34 凹部
36 第1のフランジ
38 第2のフランジ
40 第1の中空体
42 第1の下部42
44 第1の上部44
46 第1の中間部
48 第1の下部自由端
50 第1の上部自由端
52 第1の側面
54 反対側の側面
56 内側面
58 外側面
60 第1のフランジ60
62 バルジ(bulge)
64 第2の中空体
66 第2の下部
68 第2の上部
70 第2の中間部
72 第2の下部自由端
74 第2の上部自由端
76 第2の側面
78 反対側の側面
80 内側面
82 外側面
84 第2のフランジ
86 バルジ
88 第1のポケット
90 非接触領域
92 接触領域92
94 第2のポケット94
96 第1の凹部
98 第2の凹部
100 界面
102 第1の凹部
104 第2の凹部
106 第1のドアブラケット
108 ストライカプレートキャリヤ
110 第2のドアブラケット
112 ハンドルキャリヤ
114 D−ループメカニズムキャリヤ
116 第1のキャリヤ
118 第2のキャリヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側面を備えた第1の中空体を有する第1の支柱と、
前記第1の中空体に隣接して配置された、第2の側面を備えた第2の中空体を有する、第2の支柱と、
を含む車両ルーフ支柱アセンブリであって、
前記第1の側面及び前記第2の側面が、それらの垂直範囲の少なくとも一部において互いに接触されている
ことを特徴とする車両ルーフ支柱アセンブリ。
【請求項2】
前記車両ルーフ支柱アセンブリが、前記第1の中空体と、前記第2の中空体とをつなぐ1以上のブラケットを含むことを特徴とする請求項1に記載の車両ルーフ支柱アセンブリ。
【請求項3】
前記第1及び第2の側面が、互いに間隔をおいて配置されて、前記第1及び第2の中空体における各々の第1及び第2の下部において互いに接触されず、かつ、前記第1及び第2の中空体における各々の第1及び第2の上部において互いに接触されるように、前記第1及び第2の側面が、前記各々の第1及び第2の上部において互いに向かって合流されていることを特徴とする請求項1に記載の車両ルーフ支柱アセンブリ。
【請求項4】
前記第1の支柱が、前記第1の中空体から長手方向に沿って前方に延設され、かつ、前記第1の中空体における第1の上部に配置された第1のフランジを有し、そして、前記第2の支柱が、前記第2の中空体から長手方向に沿って後方に延設され、かつ、前記第2の中空体における第2の上部に配置された第2のフランジを有していることを特徴とする請求項1に記載の車両ルーフ支柱アセンブリ。
【請求項5】
前記車両ルーフ支柱アセンブリが、前記第1及び第2の支柱における第1及び第2の下部に接続されたロッカーパネルアタッチメントと、前記第1及び第2の支柱における第1及び第2の上部に接続されたルーフレールアタッチメントと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両ルーフ支柱アセンブリ。
【請求項6】
前記車両ルーフ支柱アセンブリが、前記第1及び第2の中空体の各々の第1及び第2の下部において前記第1支柱と前記第2の支柱との間に部分的に配置された、シートベルトリトラクタを収容できる大きさのポケットを含むことを特徴とする請求項1に記載の車両ルーフ支柱アセンブリ。
【請求項7】
前記車両ルーフ支柱アセンブリが、前記第1及び第2の中空体における第1及び第2の下部に配置され、かつ、互いに離れた前記第1及び第2の側面によって部分的に形成された非接触領域を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両ルーフ支柱アセンブリ。
【請求項8】
前記第1の支柱が、前記第1の支柱の第1の中間部よりも長手方向の幅がより広いテーパー状の閉じられた第1の下部自由端を有し、そして、前記第2の支柱が、前記第2の支柱の第2の中間部よりも長手方向の幅がより広いテーパー状の閉じられた第2の下部自由端を有していることを特徴とする請求項1に記載の車両ルーフ支柱アセンブリ。
【請求項9】
前記第1の支柱が、開放された第1の上部自由端を有し、そして、前記第2の支柱が、開放された第2の上部自由端を有していることを特徴とする請求項1に記載の車両ルーフ支柱アセンブリ。
【請求項10】
前記第1及び第2の中空体が、ハイドロホーミング工程によって形成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両ルーフ支柱アセンブリ。
【請求項11】
主車両ルーフ支柱と、
第1及び第2の補助支柱を含む補助車両ルーフ支柱アセンブリと、
を有する車両ルーフ支柱アセンブリであって、
前記第1の補助支柱が、前記主車両ルーフ支柱の少なくとも一部に沿って垂直方向に延設された第1の中空体を有し、
前記第2の補助支柱が、前記第1の中空体に隣接した前記主車両ルーフ支柱の少なくとも一部に沿って垂直方向に延設された第2の中空体を有し、そして、
前記第1及び第2の補助支柱が、前記主車両ルーフ支柱を補強する機能を有する
ことを特徴とする車両ルーフ支柱アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−173634(P2010−173634A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−20153(P2010−20153)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(510029612)ヴァリ−フォーム インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】