説明

車両用エアクリーナ装置

【課題】 エアクリーナ装置のエレメントがブローバイガスに含まれるオイルで汚損されるのを防止するとともにエアクリーナ装置のケーシングの膜面振動を防止し、更にブローバイガス導入口に導入されたブローバイガスのオイル分が凍結するのを防止する。
【解決手段】 ブローバイガス導入口22fの近傍とエア導出口22gの近傍とをオイル案内部材32で接続し、ブローバイガス中に含まれるオイルをオイル案内部材32でエア導出口22gへと案内することで、オイルがエレメント24に付着するのを防止することができる。しかも低温時にブローバイガスがブローバイガス導入口22fからケーシング23の内部に導入されたとき、そのブローバイガス導入口22fに臨むオイル案内部材32が第1側面22bに接続する部分を遮断壁22h,22p,22qで覆ったので、低温のエアを遮断壁22h,22p,22qで遮ってブローバイガス導入口22fに直接接触し難くすることで、ブローバイガスのオイル分の凍結を未然に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアに含まれるダストを捕捉するエレメントをエアクリーナ装置のケーシングの内部に配置することで、前記エレメントの下側および上側にそれぞれダーティチャンバおよびクリーンチャンバを形成し、前記ダーティチャンバにエア導入口を設けるとともに、前記クリーンチャンバにブローバイガス導入口およびエア導出口を設けた車両用エアクリーナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンに供給するエアに含まれるダストをエレメントで濾過するエアクリーナ装置にエンジンからのブローバイガスを供給し、ブローバイガスに含まれる燃料蒸気およびオイルミストを吸気と共にエンジンで燃焼させて大気への放散を防止することが行われている。この場合、ブローバイガスに含まれるオイルミストがエアクリーナ装置の内部で液滴化したオイルがエレメントに付着すると、エレメントが目詰まりしてダストの濾過性能が低下する問題がある。
【0003】
そこで、エアクリーナ装置のエレメントに対向するケーシングの壁部にブローバイガス導入口およびエア導出口を相互に隣接するように開口させ、ブローバイガス導入口からエア導出口に跨がるようにブローバイガス反転案内具を配置することで、ブローバイガスがエレメントに直接吹き付けられないようにしてオイルによるエレメントの汚損を防止するものが、下記特許文献1により公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3177800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来のものは、ブローバイガス反転案内具がケーシングのエア導出口を直接覆っているため、ケーシングの内部からエア導出口へのエアの流通が阻害されて圧力損失が増加するだけでなく、ブローバイガス反転案内具がケーシングの剛性向上に殆ど寄与しないために、ケーシングが膜面振動して騒音の原因となる可能性があった。
【0006】
また外気温が氷点下のときでもエンジンからエアクリーナ装置に供給されるブローバイガスの温度は比較的に高温であるが、エアクリーナ装置の内部に導入された氷点下の外気でブローバイガスが冷やされてオイル分が凍結し、エアクリーナ装置のブローバイガス導入口を塞いでしまう可能性がある。しかしながら上記従来のものは、低外気温時にブローバイガスのオイル分の凍結を防止する手段を持たないため、何らかの対策を施すことが望ましい。
【0007】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、エアクリーナ装置のエレメントがブローバイガスに含まれるオイルで汚損されるのを防止するとともにエアクリーナ装置のケーシングの膜面振動を防止し、更にブローバイガス導入口に導入されたブローバイガスのオイル分が凍結するのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、エアに含まれるダストを捕捉するエレメントをエアクリーナ装置のケーシングの内部に配置することで、前記エレメントの下側および上側にそれぞれダーティチャンバおよびクリーンチャンバを形成し、前記ダーティチャンバにエア導入口を設けるとともに、前記クリーンチャンバにブローバイガス導入口およびエア導出口を設けた車両用エアクリーナ装置であって、前記ブローバイガス導入口および前記エア導出口は前記ケーシングの相互に対向する第1、第2側面にそれぞれ設けられており、前記ブローバイガス導入口の近傍の前記第1側面と前記エア導出口の近傍の前記第2側面とを、ブローバイガス中に含まれるオイルミストが凝集したオイルを案内するオイル案内部材で接続し、前記オイル案内部材が前記第1側面に接続する部分を遮断壁で覆ったことを特徴とする車両用エアクリーナ装置が提案される。
【0009】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記オイル案内部材は、前記ブローバイガス導入口から導入されたブローバイガスが衝突する遮蔽部を備えることを特徴とする車両用エアクリーナ装置が提案される。
【0010】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1または請求項2の構成に加えて、前記エアクリーナ装置を車両に搭載した状態で、前記オイル案内部材は前記ブローバイガス導入口側から前記エア導出口側に向かって低くなるように傾斜して配置されることを特徴とする車両用エアクリーナ装置が提案される。
【0011】
また請求項4に記載された発明によれば、請求項1〜請求項3の何れか1項の構成に加えて、前記オイル案内部材は一つの底壁と二つの側壁とからなる断面略コ字状の部材であることを特徴とする車両用エアクリーナ装置が提案される。
【0012】
また請求項5に記載された発明によれば、請求項4の構成に加えて、前記二つの側壁のうちの一方の側壁は、前記ブローバイガス導入口側の高さが前記エア導出口側の高さよりも高いことを特徴とする車両用エアクリーナ装置が提案される。
【0013】
尚、実施の形態の第1遮断壁22h、第2遮断壁22pおよび第3遮断壁22qは本発明の遮断壁に対応し、実施の形態の第1側壁32bおよび第2側壁32cは本発明の側壁に対応する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の構成によれば、エアクリーナ装置のケーシングのエア導入口からダーティチャンバに供給されたダストを含むエアは、エレメントを下から上に通過する際にダストを濾過されてクリーンチャンバに流入し、そこでブローバイガス導入口から導入された燃料蒸気およびオイルミストを含むブローバイガスと混合してエア導出口から導出される。ブローバイガス導入口およびエア導出口はケーシングの相互に対向する第1、第2側面にそれぞれ設けられており、ブローバイガス導入口の近傍の第1側面とエア導出口の近傍の第2側面とをオイル案内部材で接続したので、ブローバイガス中に含まれるオイルミストが凝集したオイルをオイル案内部材に沿ってエア導出口へと案内することで、前記オイルがエレメントに付着して濾過性能が低下するのを防止することができる。しかもオイル案内部材はケーシングの相互に対向する第1、第2側面を接続するので、前記第1、第2側面の剛性を高めて膜面振動の発生を防止し、吸気騒音の低減に寄与することができる。更に、低外気温時にブローバイガスがブローバイガス導入口からケーシングの内部に導入されたとき、そのブローバイガス導入口に臨むオイル案内部材がケーシングの第1側面に接続する部分を遮断壁で覆ったので、ケーシングの内部にエア導入口から導入された低温のエアを遮断壁で遮ってブローバイガス導入口に直接接触し難くすることで、ブローバイガスのオイル分が凍結してブローバイガス導入口を塞ぐのを未然に防止することができる。
【0015】
また請求項2の構成によれば、オイル案内部材はブローバイガス導入口から導入されるブローバイガスが衝突する遮蔽部を備えるので、ブローバイガスに含まれるオイルミストを効率的に液滴化してオイル案内部材に確実に付着させることができる。
【0016】
また請求項3の構成によれば、エアクリーナ装置を車両に搭載した状態で、オイル案内部材はブローバイガス導入口側からエア導出口側に向かって低くなるように傾斜して配置されるので、オイル案内部材に付着したオイルをエア導出口側にスムーズに案内することができる。
【0017】
また請求項4の構成によれば、オイル案内部材は一つの底壁と二つの側壁とからなる断面略コ字状の部材であるので、オイル案内部材に沿って流れるオイルが途中で滴下してエレメントに付着するのを防止することができる。
【0018】
また請求項5の構成によれば、オイル案内部材の二つの側壁のうちの一方の側壁は、ブローバイガス導入口側の高さがエア導出口側の高さよりも高いので、ブローバイガス導入口から導入されたブローバイガスを側壁の高い部分に衝突させて効果的に液滴化しながら、ブローバイガスが衝突しないエア導出口側の側壁を低くすることで、オイル案内部材の重量の削減、エアの流通抵抗の低減、ケーシングの容積の拡大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】自動車の吸気装置の斜視図。
【図2】図1の2方向矢視図。
【図3】図2の3−3線断面図。
【図4】図3の4−4線断面図。
【図5】図3の5−5線断面図。
【図6】図3の6−6線断面図。
【図7】アッパケーシングおよびオイル案内部材の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1〜図7に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1に示すように、自動車の吸気装置は、先端をエアインテークカバー11で覆われたエアインテークダクト12と、エアインテークダクト12の下流側に接続されたエアクリーナ装置13と、エアクリーナ装置13の下流側に接続されたエアフロチューブ14とを備えており、エアフロチューブ14の下流側はエンジンEの吸気系に接続される。またエンジンEのクランクケースに上流側を接続されたブリーザチューブ15の下流側は、エアクリーナ装置13に接続される。ブリーザチューブ15の外周は、ゴム製の保温チューブ16で覆われる。
【0022】
次に、図2〜図7に基づいてエアクリーナ装置13の構造を説明する。
【0023】
エアクリーナ装置13は、ロアケーシング21およびアッパケーシング22よりなるケーシング23を備える。ロアケーシング21は、上面が開放した容器状の部材であり、一つの矩形状の底面21aと、その四つの辺から立ち上がる第1〜第4側面21b〜21eとを備えており、底面21aの下面には複数本の補強リブ21f…が平行に形成されるとともに、第1〜第4側面21b〜21eの縁部に沿って外向きに張り出す結合フランジ21gが形成される。結合フランジ21gが第3側面21dおよび第4側面21eに臨む位置には、各2個の結合突起21h…が突設される。
【0024】
アッパケーシング22は、円弧状に湾曲する天井面22aと第1、第2側面22b,22cとを備えて下面が開放する容器状の部材であって、天井面22aおよび第1、第2側面22b,22cの縁部に、前記ロアケーシング21の結合フランジ21gと同一形状を成して外向きに張り出す結合フランジ22dが形成される。結合フランジ22dが天井面22aの両端に臨む位置には、各2個の結合突起22e…が突設される。
【0025】
エア中に含まれるダストを濾過するエレメント24は、シート状の濾材を蛇腹状に折り曲げたエレメント本体25と、エレメント本体25の周囲が固定される矩形枠状のフレーム26と、フレーム26の外周に固定されたシール部材27とで構成される。シール部材27をロアケーシング21の結合フランジ21gとアッパケーシング22の結合フランジ22dとの間に挟持した状態で、ロアケーシング21の結合突起21h…およびアッパケーシング22の結合突起22e…をボルト28…およびナット29…で締結することで、ケーシング23の内部にエレメント24を挟んで下側のダーティチャンバ30および上側のクリーンチャンバ31が区画される。
【0026】
ロアケーシング21の第3側面21dには、エアインテークダクト12の下流端が接続されるエア導入口21iと、レゾネータ17に連通する連通孔21jとが並設される。またアッパケーシング22の第1側面22bには、ブリーザチューブ15の下流端が接続されるブローバイガス導入口22fが形成されるとともに、アッパケーシング22の第2側面22cには、エアフロチューブ14の上流端が接続されるエア導出口22gが形成される。ブローバイガス導入口22fおよびエア導出口22gは、アッパケーシング22の相互に平行な第1、第2側面22b,22cにそれぞれ垂直に形成されているため、それらブローバイガス導入口22fおよびエア導出口22gの軸線は相互に平行であるが、エアクリーナ装置13の長手方向に若干ずれている。
【0027】
ブローバイガス導入口22fが外向きに突設されるアッパケーシング22の第1側面22bには、ブローバイガス導入口22fの周囲を同心に取り巻く短円筒状の保温壁22mが形成される。保温壁22mの周方向の一部には切欠き22nが形成されており、この切欠き22nを通してブリーザチューブ15を抜け止めするクリップ33の着脱を行えるようになっている。
【0028】
アッパケーシング22の天井面22aの内面には、第1、第2側面22b,22cと平行に延びる三日月状の第1遮断壁22hが突設されており、第1遮断壁22hの下端に形成された切欠き22iを通過するように、ブローバイガス導入口22fの近傍の第1側面22bとエア導出口22gの近傍の第2側面22cとを接続するオイル案内部材32が配置される。第1遮断壁22hと第1側面22bとが、相互に平行に延びる連結壁22o、第2遮断壁22pおよび第3遮断壁22qで接続される。従って、アッパケーシング22の内部に開口するブローバイガス導入口22fは、天井面22a、第1側面22b、第1遮断壁22h、第2遮断壁22pおよび第3遮断壁22qによって下方を除く5方を囲まれることになる。また第1遮断壁22h、連結壁22o、第2遮断壁22pおよび第2側面22cによって、一端がクリーンチャンバ31に開口する四角断面のレゾネータチャンバ22rが構成される。
【0029】
オイル案内部材32は略コ字状断面を有する樋状の部材であって、底壁32aと、底壁32aの両側縁から立ち上がる第1、第2側壁32b,32cと、底壁32の両端を第1、第2側壁32b,32cの両端から突出するように延長した一対の取付部32d,32eとを備える。オイル案内部材32の第1側壁32bは、ブローバイガス導入口22f側の高さに比べてエア導出口22g側の高さが低くなっており、その高さが高い部分が遮蔽部32fとされる。またアッパケーシング22の第1、第2側壁22b,22cの内面にはそれぞれ凸部22j,22kが形成されており、それらの凸部22j,22kにオイル案内部材32の一対の取付部32d,32eがそれぞれ接着により固定される。
【0030】
第1遮断壁22hと交差するオイル案内部材32には、第1遮断壁22hとの干渉を回避するための2個のスリット32g,32h(図7参照)が形成される。従って、オイル案内部材32をアッパケーシング22に組み付けた状態では、第1遮断壁22hと交差するオイル案内部材32の底部に、第1遮断壁22hの切欠き22iによってオイルが流通可能な流路が確保される。
【0031】
エアクリーナ装置13を車両に搭載した状態で、オイル案内部材32のブローバイガス導入口22f側の端部の高さは、エア導出口22g側の端部高さよりも若干高くなる。言い換えると、オイル案内部材32は、ブローバイガス導入口22f側の端部からエア導出口22g側の端部に向かって若干下向きに傾斜して配置される(図3参照)。またオイル案内部材32は、底壁32aおよび第2側壁32cの角部が最も低くなるように傾いて配置される(図5参照)。またオイル案内部材32の第1側壁32bのうち、その高さが高くなった遮蔽部32fの内面がブローバイガス導入口22fの軸線の延長線と交差するように配置される。更に、オイル案内部材32のエア導出口22g側の端部は、エア導出口22gの上方位置に配置される(図5および図7参照)。オイル案内部材32がエア導出口22gに臨む下流側端部には、第2側壁32cを切り欠いた切欠き32jが形成される。
【0032】
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
【0033】
エアインテークカバー11で覆われた先端からエアインテークダクト12に導入されたエアはエアクリーナ装置13の内部に導入され、そこでエレメント24をダーティチャンバ30側からクリーンチャンバ31側に通過してダストが除去されたエアは、エアフロチューブ14を介してエンジンEの吸気系に供給される。またエンジンEの排気系から導入された燃料蒸気およびオイルミストを含むブリーザガスは、ブリーザチューブ15を介してエアクリーナ12のクリーンチャンバ31に供給され、そこからエアフロチューブ14を介してエンジンEの吸気系に供給されることで、前記燃料蒸気およびオイルミストの大気への拡散が防止される。
【0034】
ブローバイガスに含まれるオイルミストが液滴化したオイルがエレメント24のエレメント本体25に付着すると、エレメント本体25が目詰まりしてダストの濾過性能が低下してしまうため、オイルをエレメント本体25に付着させることなくエア導出口22gからエンジンEに供給して混合気と共に燃焼させることが望ましい。
【0035】
本実施の形態によれば、ブローバイガス導入口22fからクリーンチャンバ31に導入されたブローバイガスは、オイル案内部材32の第1側壁32bの遮蔽部32fに衝突することで、そのブローバイガスに含まれるオイルミストが液滴化してオイルとなり、オイル案内部材32の底壁32aに沿って下方に流下することで、底壁32aおよび第2側壁32cの角部に一旦保持される。
【0036】
オイル案内部材32はブローバイガス導入口22f側からエア導出口22g側に向かって下り傾斜に配置されるため、オイルは底壁32aおよび第2側壁32cの角部に沿ってエア導出口22gに向かって流れ、第2側壁32cの下流側端部から滴下する。このとき、クリーンチャンバ31内のエアはエアフロチューブ14の負圧に引かれてエア導出口22gに勢い良く流入するため、第2側壁32cの下流側端部の切欠き32jから滴下したオイルは前記エアの流れによってエア導出口22gに吸い込まれ、エア導出口22gの下方のエレメント本体25に付着することが防止される。
【0037】
オイル案内部材32の下流側端部はエア導出口22gの上方に位置していて該エア導出口22gを覆っていないため、オイル案内部材32によってエアクリーナ装置13内のエアの流れが阻害されることが最小限に抑えられる。またオイル案内部材32の第1側壁32bの下流側部分は、オイルミストを液滴化する機能もオイルの流れを案内する機能も果たさないが、その部分の高さをオイルミストを液滴化する遮蔽部32fよりも低くすることで、オイル案内部材32を可及的に小型化し、重量の軽減およびエアクリーナ装置13の容積確保に寄与することができる。
【0038】
またアッパケーシング22の第1、第2側面22b,22cは比較的に大面積の平坦面であるため、膜面振動を起こして騒音の原因となる可能性があるが、オイル案内部材32の両端の取付部32d,32eが第1、第2側面22b,22cの凸部22j,22kに固定されているため、オイル案内部材32によって第1、第2側面22b,22cの剛性を高めて膜面振動の発生を防止することができる。
【0039】
さて外気温が氷点下になる低温時に、エア導入口21iからケーシング23の内部に導入された低温のエアがブローバイガス導入口22fに直接接触すると、ブローバイガスが冷やされてオイル分が凍結することでブローバイガス導入口22fを詰まらせる可能性がある。
【0040】
しかしながら本実施の形態によれば、アッパケーシング22の内部に開口するブローバイガス導入口22fの近傍、即ちオイル案内部材32がアッパケーシング22の第1側面22bに接続する部分が第1遮断壁22h、第2遮断壁22pおよび第3遮断壁22qによって3方から囲まれるため、低温のエアがブローバイガス導入口22fに直接接触し難くなることで、ブローバイガスで温められたブローバイガス導入口22fが冷やされ難くなり、ブローバイガスのオイル分の凍結によるブローバイガス導入口22fの詰まりを未然に防止することができる。
【0041】
またブローバイガス導入口22fがアッパケーシング22の外部に突出する部分も、低温の外気に接触して冷やされ易くなるが、その部分を短円筒状の保温壁22mで囲んだことで、ブローバイガス導入口22fを冷やされ難くしてブローバイガスのオイル分の凍結を一層確実に防止することができる。
【0042】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0043】
例えば、実施の形態では第1遮断壁22h、第2遮断壁22pおよび第3遮断壁22qを設けているが、遮断壁の数や形状は実施の形態に限定されるものではない。
【0044】
またオイル案内部材32の形状も実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0045】
13 エアクリーナ装置
21i エア導入口
22b 第1側面
22c 第2側面
22f ブローバイガス導入口
22g エア導出口
22h 第1遮断壁(遮断壁)
22p 第2遮断壁(遮断壁)
22q 第3遮断壁(遮断壁)
23 ケーシング
24 エレメント
30 ダーティチャンバ
31 クリーンチャンバ
32 オイル案内部材
32a 底壁
32b 第1側壁(側壁)
32c 第2側壁(側壁)
32f 遮蔽部
32i 遮蔽部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアに含まれるダストを捕捉するエレメント(24)をエアクリーナ装置(13)のケーシング(23)の内部に配置することで、前記エレメント(24)の下側および上側にそれぞれダーティチャンバ(30)およびクリーンチャンバ(31)を形成し、前記ダーティチャンバ(30)にエア導入口(21i)を設けるとともに、前記クリーンチャンバ(31)にブローバイガス導入口(22f)およびエア導出口(22g)を設けた車両用エアクリーナ装置であって、
前記ブローバイガス導入口(22f)および前記エア導出口(22g)は前記ケーシング(32)の相互に対向する第1、第2側面(22b,22c)にそれぞれ設けられており、前記ブローバイガス導入口(22f)の近傍の前記第1側面(22b)と前記エア導出口(22g)の近傍の前記第2側面(22c)とを、ブローバイガス中に含まれるオイルミストが凝集したオイルを案内するオイル案内部材(32)で接続し、前記オイル案内部材(32)が前記第1側面(22b)に接続する部分を遮断壁(22h,22p,22q)で覆ったことを特徴とする車両用エアクリーナ装置。
【請求項2】
前記オイル案内部材(32)は、前記ブローバイガス導入口(22f)から導入されたブローバイガスが衝突する遮蔽部(32f,32i)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の車両用エアクリーナ装置。
【請求項3】
前記エアクリーナ装置(13)を車両に搭載した状態で、前記オイル案内部材(32)は前記ブローバイガス導入口(22f)側から前記エア導出口(22g)側に向かって低くなるように傾斜して配置されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の車両用エアクリーナ装置。
【請求項4】
前記オイル案内部材(32)は一つの底壁(32a)と二つの側壁(32b,32c)とからなる断面略コ字状の部材であることを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両用エアクリーナ装置。
【請求項5】
前記二つの側壁(32b,32c)のうちの一方の側壁(32b)は、前記ブローバイガス導入口(22f)側の高さが前記エア導出口(22g)側の高さよりも高いことを特徴とする、請求項4に記載の車両用エアクリーナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−92076(P2013−92076A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233538(P2011−233538)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】