説明

車両用シートのクラッチ機構

【課題】車両の後突によって生じる乗員の背凭れ荷重によって操作ケーブル等に張力を作用させるとき、その乗員の背凭れ荷重が重い場合であっても、操作ケーブル等に対して張力を過剰に作用させることを防止できる車両用シートのクラッチ機構を提供することである。
【解決手段】後突によって生じる慣性力がウェイト64に作用した状態で、受圧部材50がシートに着座した乗員の背凭れ荷重を受けて回動すると、その回動によって連結アーム60がバックフレームに組み付けられた第1の揺動部材70を回動させることで、乗員の背凭れ荷重を第1の揺動部材70へ伝達する。第1の揺動部材70の回動に伴って、その回動方向と逆方向へ回動する第2の揺動部材75がバックフレームに組み付けられており、第1の揺動部材70が所定の角度を超えて回動した場合でも、第2の揺動部材75は、第1の揺動部材70が所定の角度に到達したときの回動状態に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートのクラッチ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用シートのクラッチ機構として、例えば、図8に示される技術が知られている。この技術では、シートバックのフレーム(図示しない)側に回動可能に組み付けられた受圧部材150にウェイト164を有する連結アーム160が枢着されており、車両の後突によって生じる慣性力がウェイト164に作用した状態で、受圧部材150が車両用シートに着座した乗員の背凭れ荷重を受けて回動すると、その回動によって連結アーム160がシートバックのフレーム側に組み付けられた揺動部材170を回動させる構造となっている。そして、揺動部材170の回動を利用して操作ケーブル180に張力を作用させて、アクティブヘッドレスト(図示しない)を乗員の後頭部側に向けて瞬時に移動させている。これにより、車両に後突が発生すると、乗員の後頭部を瞬時に受け止めることができる。
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2005−95237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、乗員の背凭れ荷重の大きさに応じて揺動部材170の回動量も増加するため、例えば、体重が重い乗員の背凭れ荷重を受けると、揺動部材170は必要以上に回動してしまい、結果として、操作ケーブル180に張力を過剰に作用させるといった問題が発生していた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、車両の後突によって生じる乗員の背凭れ荷重によって操作ケーブル等に張力を作用させるとき、その乗員の背凭れ荷重が重い場合であっても、操作ケーブル等に対して張力を過剰に作用させることを防止できる車両用シートのクラッチ機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、シートバックのフレーム側に回動可能に組み付けられた受圧部材にウェイトを有する連結アームが枢着されており、車両の後突によって生じる慣性力がウェイトに作用した状態で、受圧部材が車両用シートに着座した乗員の背凭れ荷重を受けて回動すると、その回動によって連結アームがシートバックのフレーム側に組み付けられた第1の揺動部材を回動させることで、乗員の背凭れ荷重を第1の揺動部材へ伝達する車両用シートのクラッチ機構であって、第1の揺動部材の回動に伴って、その回動方向と逆方向へ回動する第2の揺動部材がシートバックのフレーム側に組み付けられており、第1の揺動部材が所定の角度を超えて回動した場合でも、第2の揺動部材は、第1の揺動部材が所定の角度に到達したときの回動状態に保持されることを特徴とする。
この構成によれば、車両の後突によって生じる乗員の背凭れ荷重によって操作ケーブル等に張力を作用させるとき、その乗員の背凭れ荷重が重い場合であっても、操作ケーブル等に対して張力を過剰に作用させることを防止できる。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用シートのクラッチ機構であって、シートバックには、ロック機構を備えており、ロック機構は、伝達部材を介して揺動部材と接続されており、揺動部材の回動に伴って、伝達部材を介してロック機構のロック解除が行われることを特徴とする。
この構成によれば、揺動部材の回動を利用して伝達部材に張力を作用させてロック機構のロック解除を行うことができる。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両用シートのクラッチ機構であって、シートバックには、乗員の後頭部側に向けて飛び出し可能な支承板を備えたアクティブヘッドレストが組み付けられており、支承板は、ロック機構によって飛び出し前の状態に保持されていると共に、ロック機構のロック解除によって乗員の後頭部側に向けて飛び出すことを特徴とする。
この構成によれば、車両の後突によって生じる乗員の背凭れ荷重によって支承板を乗員の後頭部側に向けて飛び出させることができる。そのため、車両に後突が発生すると、支承板によって乗員の後頭部を瞬時に受け止めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図1〜7を用いて説明する。図1は、本発明の実施例に係る車両用シートのクラッチ機構を適用させた車両用シートの全体概略図である。図2は、図1の車両用シートのクラッチ機構の拡大図である。図3は、図1の側面図である。図4は、図1の正面模式図である。図5は、図4において、車内の後突によって背凭れ荷重を受け始めたときの正面模式図である。図6は、図5において、大きな背凭れ荷重を受けたときの正面模式図である。図7は、図6において、引き続き、大きな背凭れ荷重を受けたときの正面模式図である。
【0010】
なお、図1では、シートクッション10、シートバック20およびアクティブヘッドレスト30から構成される車両用シート1の内部構造を分かり易く示すために、これらのクッション構造および表皮構造を省略し内部のフレーム構造のみを示している。また、以下の説明にあたって、上、下、前、後、左、右とは、上述した図に記載した、上、下、前、後、左、右の方向、すなわち、車両用シート1を基準にしたときの上、下、前、後、左、右の方向を示している。
【0011】
まず、本発明の実施例に係る車両用シート1の全体構成を説明する。図1に示すように、車両用シート1は、乗員が着座するシートクッション10と、着座した乗員の背凭れ部となるシートバック20と、着座した乗員の後頭部を支承するアクティブヘッドレスト30とから構成されている。
【0012】
これらの構成部材のうち、シートバック20とアクティブヘッドレスト30のフレーム構造についてそれぞれ詳述する。はじめに、シートバック20のフレーム構造について詳述する。シートバック20のフレームは、左右一対のサイドフレーム22、22と、これら両サイドフレーム22の上部を橋渡す格好のアッパフレーム24と、これら両サイドフレーム22の下部を橋渡す格好のロアフレーム26とから構成されている。
【0013】
両サイドフレーム22の下端は、リクライニング機構(図示しない)を介してシートクッション10の左右一対のクッションフレーム12、12の後端にそれぞれ組み付けられている。これにより、シートバック20をシートクッション10に対して傾動させることができ、その傾動範囲のうち所望する位置でシートバック20を保持させることができる。
【0014】
アッパフレーム24には、左右一対のホルダ24a、24aがそれぞれ組み付けられている。この両ホルダ24aには、後述するアクティブヘッドレスト30の左右一対のステー34、34をそれぞれ挿入係止可能なサポート24bがそれぞれ組み付けられている。これにより、シートバック20にアクティブヘッドレスト30を組み付けることができる。
【0015】
なお、両サポート24bのうち、一方のサポート24b(図1において、右側のサポート24b)の内部には、アクティブヘッドレスト30のロック機構Rを解除させるためのロック解除部材(図示しない)が設けられている。このロック解除部材は、操作ケーブル80を介して後述する第2の揺動部材75と接続されている。この操作ケーブル80とは、筒状に形成されたアウタケーブル82と、このアウタケーブル82の内部を移動可能に差し込まれたワイヤー状のインナケーブル84とから構成された2重構造のケーブル部材である。この操作ケーブル80が特許請求の範囲に記載の「伝達部材」に相当する。
【0016】
このように、ロック解除部材には、操作ケーブル80のアウタケーブル82とインナケーブル84の一方側の端部(上端)がそれぞれ掛け止めされている。そして、このインナケーブル84に張力が作用すると、ロック解除部材はロッド38を介してロック機構Rを解除させる構造となっている。
【0017】
次に、アクティブヘッドレスト30のフレーム構造について詳述する。アクティブヘッドレスト30のフレームは、アクティブヘッドレスト30の輪郭をなす基部32と、この基部32と一体に組み付けられた左右一対のステー34、34と、この基部32に引っ張りばねとリンク機構(いずれも図示しない)を介して組み付けられた支承板36とから構成されている。車両に後突が発生する前の常時、支承板36は引っ張りばねの付勢力に抗して基部32に対して略一体となるようにロック機構Rによってロックされている。
【0018】
そして、ロック機構Rのロック解除が行われると、引っ張りばねの付勢力によってリンク機構が作動することで、支承板36はリンク機構を介して基部32に対して前方向に瞬時に飛び出る構造となっている。これにより、乗員の後頭部を瞬時に支承することができる。なお、上述したシートバック20およびアクティブヘッドレスト30の各フレーム構造は公知の構成であるため、さらなる詳細な説明は、ここでは省略する。
【0019】
次に、上述した車両用シート1に組み付けられるクラッチ機構を説明する。このクラッチ機構は、図2〜4に示すように、ベースプレート40と、受圧部材50と、連結アーム60、第1の揺動部材70および第2の揺動部材75とから主として構成されている。以下に、これら各構成部材40、50、60、70、75を個別に説明していく。
【0020】
はじめに、ベースプレート40を説明する。ベースプレート40は、クラッチ機構のベースを成すプレート状に形成された部材である。このベースプレート40は、ロアフレーム26の前面に締結されている。
【0021】
次に、受圧部材50を説明する。受圧部材50は、車両用シート1に着座した乗員の背凭れ荷重を受け止め可能に略板状に形成された部材である。この受圧部材50は、ベースプレート40に形成された左右一対の第1のリブ41、41にピン51を介して車幅方向を軸方向とする軸回りに回動可能に組み付けられている。このとき、受圧部材50は、その先端がパッド(図示しない)を支える屈曲ばね28に接触する方向(図3において、矢印A方向)へトーションばね52を介して付勢状態で組み付けられている。
【0022】
次に、連結アーム60を説明する。連結アーム60は、車両の後突によって生じた乗員からの背凭れ荷重のみを後述する第1の揺動部材70に伝達する略く字状に形成された部材である。この連結アーム60の略く字の折れ曲がり部位には、ベースプレート40の第2のリブ42に形成された長孔43の内部を移動可能なピン65が形成されている。また、この連結アーム60の先端側には、ウェイト64が組み付けられている。
【0023】
そして、この連結アーム60は、その基端が受圧部材50に形成されたリブ54にピン61を介して車幅方向を軸方向とする軸回りに回動可能に組み付けられている。このとき、連結アーム60は、自身のピン65が長孔43の前面43aに接触する方向(図3において、矢印B方向)へトーションばね62を介して付勢状態で組み付けられている。
【0024】
続いて、第1の揺動部材70を説明する。第1の揺動部材70は、上述した連結アーム60からの背凭れ荷重を後述する第2の揺動部材75に伝達する略L字状に形成された部材である。この第1の揺動部材70の一端側には、連結アーム60のピン65が押し当てられるリブ73が形成されている。また、この第1の揺動部材70の他端側の外周面には、後述するピン71の軸芯を中心とする同心円を成す円弧面74が形成されている。
【0025】
そして、この第1の揺動部材70は、その略L字の折れ曲がり部位がベースプレート40にピン71を介してベースプレート40の面に対して垂直方向を軸方向とする軸回りに回動可能に組み付けられている。このとき、第1の揺動部材70は、その他端側がベースプレート40に形成された第2のフック45に接触する方向(図4において、矢印C方向)へトーションばね72を介して付勢状態で組み付けられている。
【0026】
最後に、第2の揺動部材75を説明する。第2の揺動部材75は、上述した第1の揺動部材70からの背凭れ荷重によって操作ケーブル80を引っ張る部材である。この第2の揺動部材75には、第1の揺動部材70の他端側の縁70aが押し当てられるフック78が形成されている。また、この第2の揺動部材75には、操作ケーブル80のインナケーブル84の他端(下端)が掛け止めされている。このとき、操作ケーブル80のアウタケーブル82の他端(下端)は、ベースプレート40に形成された第1のフック44に掛け止めされている。
【0027】
そして、この第2の揺動部材75は、その略中央部位がベースプレート40にピン76を介してベースプレート40の面に対して垂直方向を軸方向とする軸回りに回動可能に組み付けられている。このとき、第2の揺動部材75は、そのフック78が第1の揺動部材70の他端側の縁70aに接触する方向(図4において、矢印D方向)へトーションばね77を介して付勢状態で組み付けられている。
【0028】
続いて、図4〜7を参照して、上述したクラッチ機構の動作を説明する。図4に示す状態から、車両に後突が発生することによって受圧部材50が乗員から背凭れ荷重を受けると、受圧部材50は後方に向かって回動していく。そして、この回動に伴って、連結アーム60は、受圧部材50に対して回動しながら下方に向かって押し込まれていく。すると、この押し込みに伴って、連結アーム60のピン65も長孔43の内部を下方に向かって移動していく。
【0029】
このとき、連結アーム60のウェイト64には、車両の後突によって後方に向けて慣性力が作用しているため、連結アーム60のピン65は、連結アーム60に作用するトーションばね62の付勢力に抗して長孔43内の前後面のうち後面43bに沿って下方に向かって移動していく。すると、連結アーム60のピン65は、第1の揺動部材70のリブ73に干渉するため、この干渉に伴って第1の揺動部材70は、自身に作用するトーションばね72の付勢力に抗して回動していく。
【0030】
このとき、第1の揺動部材70の他端側の縁70aが第2の揺動部材75のフック78を押し当てるため、この押し当てに伴って第2の揺動部材75も、自身に作用するトーションばね77の付勢力に抗して回動していく。すると、操作ケーブル80のインナケーブル84が引っ張られ、その引っ張られたインナケーブル84に張力が作用するため、既に説明したように、ロック機構Rのロック解除が行われてアクティブヘッドレスト30が乗員の後頭部側に向けて飛び出ていく(図5参照)。
【0031】
なお、上述したクラッチ機構の動作の説明において、乗員の体重が重い場合、連結アーム60のピン65は長孔43の内部を下方に向かって大きく移動していく。このとき、第1の揺動部材70の回動量も増加するため、第1の揺動部材70の他端側の縁70aが第2の揺動部材75のフック78を乗り越える(図6参照)。
【0032】
これにより、第1の揺動部材70の他端側の円弧面74が第2の揺動部材75のフック78を押し当てる状態になる。すると、既に説明したように、円弧面74は同心円状を成すために、第1の揺動部材70の回動量が増加しても、この増加に伴って第2の揺動部材75の回動量も増加することがない。このように、第1の揺動部材70の他端側の円弧面74が第2の揺動部材75のフック78を押し当てる状態になると、以降において、さらに、第1の揺動部材70が回動しても、第2の揺動部材75は回動することはなく、そのままの回動状態(図6の回動状態)に保持される(図7参照)。
【0033】
このことが、特許請求の範囲に記載の「第1の揺動部材が所定の角度を超えて回動した場合でも、第2の揺動部材は、第1の揺動部材が所定の角度に到達したときの回動状態に保持される」に相当する。なお、この所定の角度とは、この実施例では、第2の揺動部材75がインナケーブル84を引っ張ってロック機構Rを解除させるために必要な張力を作用させるときの第1の揺動部材70の回動量に相当する角度であり、設計的な事項である。
【0034】
また、上述したクラッチ機構の動作の説明において、車両に後突が発生することなく受圧部材50が単に乗員から背凭れ荷重を受けると、すなわち、乗員が単にシートバック20の凭れ掛かったことによって受圧部材50が乗員から背凭れ荷重を受けると、連結アーム60のピン65は、連結アーム60に作用するトーションばね62の付勢力によって長孔43内の前後面のうち前面43aに沿って下方に向かって移動していく。これにより、連結アーム60のピン65は、第1の揺動部材70のリブ73に干渉することがなく、第1の揺動部材70も回動することはない。したがって、アクティブヘッドレスト30が乗員の後頭部側に向けて飛び出ていくこともない。
【0035】
本発明の実施例に係るクラッチ機構は、上述したように構成されている。この構成によれば、車両の後突によって生じる乗員の背凭れ荷重によって操作ケーブル80に張力を作用させるとき、その乗員の背凭れ荷重が重い場合であっても、操作ケーブル80に対して張力を過剰に作用させることを防止できる。
【0036】
また、この構成によれば、車両の後突によって生じる乗員の背凭れ荷重によってロック機構Rのロック解除を行うことができる。そして、このロック解除によってアクティブヘッドレスト30の支承板36を乗員の後頭部側に向けて飛び出させることができる。そのため、車両に後突が発生すると、乗員の後頭部を瞬時に受け止めることができる。
【0037】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
実施例では、連結アーム60は、受圧部材50に対して回動しながら下方に向かって押し込まれていく構成を例に説明した。しかし、これに限定されるものでなく、連結アーム60は、受圧部材50に対して回動しながら上方に向かって押し込まれていく構成であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、本発明の実施例に係る車両用シートのクラッチ機構を適用させた車両用シートの全体概略図である。
【図2】図2は、図1の車両用シートのクラッチ機構の拡大図である。
【図3】図3は、図1の側面図である。
【図4】図4は、図1の正面模式図である。
【図5】図5は、図4において、車内の後突によって背凭れ荷重を受け始めたときの正面模式図である。
【図6】図6は、図5において、大きな背凭れ荷重を受けたときの正面模式図である。
【図7】図7は、図6において、引き続き、大きな背凭れ荷重を受けたときの正面模式図である。
【図8】図8は、従来技術に係る車両用シートのクラッチ機構の拡大図である。
【符号の説明】
【0039】
20 シートバック
22 バックフレーム
30 アクティブヘッドレスト
36 支承板
50 受圧部材
60 連結アーム
64 ウェイト
70 第1の揺動部材
75 第2の揺動部材
80 操作ケーブル(伝達部材)
R ロック機構




【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックのフレーム側に回動可能に組み付けられた受圧部材にウェイトを有する連結アームが枢着されており、車両の後突によって生じる慣性力がウェイトに作用した状態で、受圧部材が車両用シートに着座した乗員の背凭れ荷重を受けて回動すると、その回動によって連結アームがシートバックのフレーム側に組み付けられた第1の揺動部材を回動させることで、乗員の背凭れ荷重を第1の揺動部材へ伝達する車両用シートのクラッチ機構であって、
第1の揺動部材の回動に伴って、その回動方向と逆方向へ回動する第2の揺動部材がシートバックのフレーム側に組み付けられており、
第1の揺動部材が所定の角度を超えて回動した場合でも、第2の揺動部材は、第1の揺動部材が所定の角度に到達したときの回動状態に保持されることを特徴とする車両用シートのクラッチ機構。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シートのクラッチ機構であって、
シートバックには、ロック機構を備えており、
ロック機構は、伝達部材を介して揺動部材と接続されており、
揺動部材の回動に伴って、伝達部材を介してロック機構のロック解除が行われることを特徴とする車両用シートのクラッチ機構。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用シートのクラッチ機構であって、
シートバックには、乗員の後頭部側に向けて飛び出し可能な支承板を備えたアクティブヘッドレストが組み付けられており、
支承板は、ロック機構によって飛び出し前の状態に保持されていると共に、ロック機構のロック解除によって乗員の後頭部側に向けて飛び出すことを特徴とする車両用シートのクラッチ機構。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−64584(P2010−64584A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232019(P2008−232019)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】