車両用センターピラー
【課題】側面衝突荷重が負荷されても座屈しにくく、かつ、軽量な車両用センターピラーを提供すること。
【解決手段】アウター部材と、インナー部材と、アウター部材とインナー部材との間に配置され、車両の前後方向における前側および後側にそれぞれフランジ部を有し、2つのフランジ部に挟まれた部分の前後方向の中心がフランジ部よりも車両の外側にある補強部材と、を有し、補強部材は、上下方向の上側から下側に向うに従って車両外側の端部と車両内側の端部との距離が徐々に大きくなり、ベルトライン付近で距離が最大となり、その後、距離が徐々に小さくなる凹凸部を有することで、上記課題を解決する。
【解決手段】アウター部材と、インナー部材と、アウター部材とインナー部材との間に配置され、車両の前後方向における前側および後側にそれぞれフランジ部を有し、2つのフランジ部に挟まれた部分の前後方向の中心がフランジ部よりも車両の外側にある補強部材と、を有し、補強部材は、上下方向の上側から下側に向うに従って車両外側の端部と車両内側の端部との距離が徐々に大きくなり、ベルトライン付近で距離が最大となり、その後、距離が徐々に小さくなる凹凸部を有することで、上記課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用センターピラーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、補強部材を備える車両用のピラーの技術が知られている。例えば、特許文献1には、アウター部材と、このアウター部材と車両前後方向の両端部で結合されたインナー部材と、これらのアウター部材とインナー部材との間の内部空間に配置され、アウター部材およびインナー部材と車両前後方向の両端部で結合された補強部材とを含んで構成される車両のセンターピラー構造が記載されている。また、補強部材の車両前後方向の途中部に、この補強部材の車両前後方向の両端部と対応する位置を越えて車両内外方向へ延びる延出成分を有している少なくとも1個の壁部を形成することも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−314845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているように、補強部材を設けることで、センターピラーの強度を向上させることができ、側面衝突荷重に対する変形体力を大きくすることができる。また、単一の補強部材の構造により側面衝突荷重に対する変形体力を大きくできるため、装置を軽量化することができる。しかしながら、特許文献1に記載の形状の補強部材を設けた場合でも、側面衝突荷重が負荷した場合に座屈する恐れがあり、意図しない位置で座屈が発生してしまう恐れもある。これらを抑制するために補強部材を追加で配置すると装置の重量が増加してしまう。
【0005】
本発明の目的は、側面衝突荷重が負荷されても座屈しにくく、かつ、軽量な車両用センターピラーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用センターピラーは、車両の上下方向に延在し、前記車両の前後方向における前側および後側にそれぞれフランジ部を有し、2つの前記フランジ部に挟まれた部分が前記フランジ部よりも車両の外側に凸となるアウター部材と、前記上下方向に延在し、前記前後方向における前側および後側にそれぞれ、前記アウター部材のフランジ部と係合するフランジ部を有し、前記アウター部材よりも車両の内側に配置されたインナー部材と、前記アウター部材と前記インナー部材との間に配置され、前記車両の前後方向における前側および後側にそれぞれフランジ部を有し、2つの前記フランジ部に挟まれた部分の前後方向の中心が前記フランジ部よりも車両の外側にある補強部材と、を有し、前記補強部材は、前記上下方向の上側から下側に向うに従って車両外側の端部と車両内側の端部との距離が徐々に大きくなり、ベルトライン付近で距離が最大となり、その後、距離が徐々に小さくなる凹凸部を有することを特徴とする。
【0007】
ここで、前記凹凸部は、前記上下方向の上側の端部が車両のベルトアンカの上側端部よりも上側にあることが好ましい。
【0008】
また、前記凹凸部は、前記上下方向の上側の端部が車両のベルトアンカの上側端部の近傍にあることが好ましい。
【0009】
また、前記凹凸部は、前記上下方向の下側の端部が車両のドアヒンジの上端よりも下側にあることが好ましい。
【0010】
また、前記凹凸部は、前記上下方向の下側の端部が車両のドアヒンジの上端の近傍にあることが好ましい。
【0011】
また、前記凹凸部は、前記前後方向の中心付近に形成され、前記車両外側に凸となる凸部を含むことが好ましい。
【0012】
また、前記凹凸部は、複数の前記凸部が前記前後方向に連結して形成されていることが好ましい。
【0013】
また、前記凹凸部は、前記前後方向の中心付近に形成され、前記車両内側に凸となる凹部を含むことが好ましい。
【0014】
また、前記凹凸部は、前記前後方向の端部近傍の少なくとも一方に形成され、前記車両内側に凸となる端側凹部を含むことが好ましい。
【0015】
本発明の車両用センターピラーは、車両の上下方向に延在するアウター部材とインナー部材とに挟持される補強部材を有し、前記補強部材に形成された凸部の高さまたは凹部の深さをベルトライン付近で最大とし、前記ベルトラインから上側または下側に向かって前記凸部の高さまたは前記凹部の深さを減少させることを特徴とする。
【0016】
本発明の車両用センターピラーは、車両の上下方向に延在するアウター部材とインナー部材とに挟持される補強部材を有し、前記補強部材に形成された凸部または凹部の加工量をベルトライン付近で最大とし、前記ベルトラインから上側または下側に向かって前記凸部または前記凹部の加工量を減少させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる車両用センターピラーは、補強部材に凹凸の幅方向の距離が徐々に変化し、ベルトラインで距離が最大となる凹凸部を設けることで、車両の上下方向における強度を適切な状態にすることができ、一部にひずみが集中することを抑制でき、側面衝突荷重が負荷されても座屈しにくくすることができる。また、単一の補強部材の形状により、座屈しにくくすることができるため、構成部材の増加を抑制でき、装置を軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、実施形態にかかる車両用センターピラーを有する車両の側面図である。
【図2】図2は、実施形態に係るセンターピラーの正面図である。
【図3】図3は、図2のA−A線断面図である。
【図4】図4は、図2のB−B線断面図である。
【図5】図5は、図2のC−C線断面図である。
【図6】図6は、側面衝突荷重負荷時に図4に示すセンターピラーに作用する力の分布を示す説明図である。
【図7】図7は、他の実施形態に係るセンターピラーの正面図である。
【図8】図8は、図7に示すセンターピラーの断面図である。
【図9】図9は、他の実施形態に係るセンターピラーの正面図である。
【図10】図10は、図9に示すセンターピラーの断面図である。
【図11】図11は、側面衝突荷重負荷時に図10に示すセンターピラーに作用する力の分布を示す説明図である。
【図12】図12は、他の実施形態に係るセンターピラーの正面図である。
【図13】図13は、図12に示すセンターピラーの断面図である。
【図14】図14は、他の実施形態に係るセンターピラーの正面図である。
【図15】図15は、図14に示すセンターピラーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明にかかる車両用センターピラーの一実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0020】
[実施形態]
以下、図1から図6を用いて、本実施形態にかかる車両用センターピラー(以下単に「センターピラー」ともいう。)について説明する。図1は、実施形態にかかる車両用センターピラーを有する車両の側面図である。図2は、実施形態に係るセンターピラーの正面図である。図3は、図2のA−A線断面図であり、図4は、図2のB−B線断面図であり、図5は、図2のC−C線断面図である。図6は、側面衝突荷重負荷時に図4に示すセンターピラーに作用する力の分布を示す説明図である。
【0021】
なお、以下の説明では、特に断りのない限り、車両1の走行方向に沿った方向を車両前後方向(単に「前後方向」ともいう。)、車両1の高さ方向を車両上下方向(単に「上下方向」ともいう。)、車両前後方向および車両上下方向に直交する方向を車両幅方向という。典型的には、車両1の車輪が平坦な路面に設置した状態で車両上下方向は、鉛直方向に沿った方向であり、車両前後方向、車両幅方向は、水平方向に沿った方向である。また、車両1の客室が区画される車両1の内側の空間側を車室内側、車両1の外側の外気側の空間を車室外側という。
【0022】
図1に示すように、車両1は、車両1は、車体2の骨格を構成する高強度、高剛性の車体骨格部品として、フロントピラー(Aピラー)3、センターピラー(Bピラー)4、リアピラー(Cピラー)5、ルーフサイドレール6、ロッカ7などを含んで構成される。また、車両1は、車体2の側面に相当する車体側部8のフロントピラー3とセンターピラー4との間に、窓13と、サイドパネル14とを含むドアが配置されている。また、車両上下方向において、窓13は、サイドパネル14の上側に配置されており、窓13とサイドパネル14との間が境界15となる。また、センターピラー4には、ドアと連結するドアヒンジ17と、シートベルトのスリップジョイントを支持するシートベルトアンカ18とが連結されている、なお、ドアヒンジ17は、センターピラー4と、センターピラー4とリアピラー5との間に配置されたドア(車両前後方向において後ろ側のドア)と、を連結する。
【0023】
フロントピラー3、センターピラー4およびリアピラー5は、支柱状の部材であり、車両1の車体側部8に車両上下方向すなわち鉛直方向に延在して設けられる。フロントピラー3は、車体側部8の車両前後方向の前部に、センターピラー4は、車体側部8の車両前後方向の中間部に、リアピラー5は、車体側部8の車両前後方向の後部に、それぞれ配置される。ルーフサイドレール6およびロッカ7は、梁状の部材であり、車体側部8に車両車両前後方向すなわち水平方向に延在して設けられる。ルーフサイドレール6は、車体側部8の車両上下方向の上部に、ロッカ7は、車体側部8の車両上下方向の下部に配置される。フロントピラー3、センターピラー4、リアピラー5、ルーフサイドレール6およびロッカ7は、連結されることで車体2の骨格をなしている。なお、以下の説明では、車両用構造体は、センターピラー4に適用するものとして説明するが、これに限らない。車両用構造体は、車両1の車体2を構成する構造体であればよく、例えば、フロントピラー3やリアピラー5に適用してもよい。
【0024】
次に、センターピラー4について詳細に説明する。
【0025】
以下の説明において、車両幅方向における車室内側を単に「内側」と記載し、車室外側を単に「外側」と記載する。また、車両上下方向における上側を単に「上側」と記載し、車両1の車両上下方向における下側を単に「下側」と記載する。また、車両前後方向における前側を単に「前側」と記載し、車両1の車両前後方向における後側を単に「後側」と記載する。センターピラー4は、図1から図5に示すように、車両1の内外を隔てる部材であり、ほぼ車両上下方向に沿って、すなわちほぼ鉛直方向に沿って形成される。センターピラー4は、車両上下方向の上端部がルーフサイドレール6に結合され、下端部がロッカ7に結合される。図1および図5に示すように、センターピラー4は、センターピラーアウタ(サイドメンバーアウターパネル、アウター部材)21、センターピラーインナ(インナー部材)22およびアウタリインフォース(補強部材)24を有する。なお、図2では、サイドメンバーアウターパネル21の図示を省略している。
【0026】
センターピラーアウタ21およびセンターピラーインナ22は、センターピラー4のピラー本体である。センターピラーアウタ21およびセンターピラーインナ22は、車両1の車両上下方向に延在している。センターピラーアウタ21は、前側および後側にそれぞれフランジ部34が設けられている。センターピラーアウタ21は、前側に設けられたフランジ部であるフランジ部34と後側に設けられたフランジ部34との間に、外側に向けて突出する突出部が形成されている。センターピラーアウタ21は、このように、センターピラー4の延在する方向と直交する断面形状が、外側に向けて突出するハット形状となっている。
【0027】
センターピラーインナ22は、前側および後側にそれぞれフランジ部30が設けられている。センターピラーインナ22は、前側に設けられたフランジ部30と後側に設けられたフランジ部30との間に内側に向けて突出する突出部が形成されている。このように、センターピラーインナ22は、センターピラー4の延在する方向と直交する断面形状が、内側に向けて突出するハット形状となっている。
【0028】
センターピラーインナ22は、図2から図5に示すように、車両上下方向の位置によって形状が変化する。具体的には、図4に示すように、センターピラー4の中腹の一部に外側に凸となる凸面22aが形成されている。つまり、センターピラーインナ22は、B−B線断面に、基準面22bよりも外側に凸となる凸面22aが形成されている。なお、突出部22aは、車両前後方向の中心を含む領域に形成されている。基準面22bは、車両前後方向において、凸面22aの前後側にそれぞれ配置されている。つまり、凸面22aは、車両前後方向の端部がそれぞれ基準面22bと連結している。2つの基準面22bは、車両前後方向の中心側の端部がそれぞれ凸面22aと連結し、中心から遠い側の端部がフランジ部30と連結している。次に、凸面22aが形成されている領域において、凸面22aと基準面22bとの距離(幅方向における距離)は、車両上下方向の上端から下側に向かうに従って徐々に大きく(長くなり)、その後、徐々に小さく(短く)なる。つまり、凸面22aは、図2に示すように、基準面22bから徐々に離れ、その後徐々に近づく形状である。センターピラーインナ22は、ベルトライン近傍で凸面22aと基準面22bとの距離が最大となる。
【0029】
アウタリインフォース24は、ピラー本体における前側のフランジ部と後側のフランジ部とを接続する補強部材として機能する。アウタリインフォース24における前側および後側には、それぞれフランジ部32が設けられている。アウタリインフォース24は、前側に設けられたフランジ部32と後側に設けられたフランジ部32との間に、外側に向けて突出する突出部が形成されている。このように、アウタリインフォース24は、基本的にセンターピラー4の延在する方向と直交する断面形状が、外側に向けて突出するハット形状となっている。
【0030】
次に、アウタリインフォース24の突出部について説明する。アウタリインフォース24は、図2から図5に示すように、車両上下方向の位置によって形状が変化する。具体的には、図4に示すように、センターピラー4の中腹の一部に外側に凸となる第1凸面24aと第2凸面24bと基準面24cとで構成される凹凸部が形成されている。具体的には、アウタリインフォース24は、突出部のB−B線の断面が、基準面24cよりも外側に凸となる第2凸面24bと、第2凸面24bよりも外側に凸となる第1凸面24aと、を含む形状となる。
【0031】
第1凸面24aは、車両前後方向の中心を含む領域に形成されている。第2凸面24bは、車両前後方向において第1凸面24aの中心から離れた側にそれぞれ配置されている。基準面24cは、車両前後方向において第2凸面24bの中心から離れた側にそれぞれ配置されている。つまり、第1凸面24aは、車両前後方向の両端がそれぞれ第2凸面24bと連結している。2つの第2凸面24bは、車両前後方向の中心側の端部がそれぞれ第1凸面24aと連結し、中心から遠い側の端部がそれぞれ基準面24cと連結している。2つの基準面24cは、車両前後方向の中心側の端部がそれぞれ第2凸面24bと連結し、中心から遠い側の端部がそれぞれフランジ部32と連結している。このように、凹凸部は、車両前後方向の端部から中心に向かってフランジ部32、基準面24c、第2凸面24b、第1凸面24aの順で配置され、より中心に向かうに従ってより外側に凸となる階段状の凹凸が形成されている。
【0032】
ここで、第1凸面24aおよび第2凸面24bが形成されている領域において、第1凸面24aと基準面24cとの距離(幅方向における距離)および第2凸面24bと基準面24cとの距離(幅方向における距離)は、車両上下方向の上端から下側に向かうに従って徐々に長くなり、その後、徐々に短くなる。つまり、第1凸面24aおよび第2凸面24bは、図2に示すように、基準面24cから徐々に離れ、その後徐々に近づく形状である。アウタリインフォース24は、ベルトライン近傍で第1凸面24aと基準面24cとの距離および第1凸面24aと基準面24cとの距離が最大となる。すなわち、ベルトライン近傍でアウタリインフォース24の加工量が最大となり最大剛性を保持する部位となる。ここで、加工量とは、板状部材を変形させてアウタリインフォースを製造した場合に当該領域に発生する延び量(変形量)である。また、第1凸面24aと基準面24cとの距離と、第1凸面24aと基準面24cとの距離と、は比例して変化する。すなわち加工量が減少し、剛性が減少していく。ここで、ベルトラインとは、乗用車の場合、人間のベルトの高さとなる位置であり、例えば、センターピラー4が折れ曲がる部分の近傍、窓13の露出領域の下側端部でセンターピラー4が折れ曲がる部分の近傍または境界15の近傍である。
【0033】
次に、各フランジ部は、車両幅方向と直交しており、かつ互いに平行となっている。すなわち、前側のフランジ部30、32、34は、それぞれ車両幅方向と直交しており、かつ車両幅方向において互いに対向している。また、後側のフランジ部30、32、34は、それぞれ車両幅方向と直交しており、かつ車両幅方向において互いに対向している。対面しているフランジ部30とフランジ部32とフランジ部34とは、溶接、ネジ止め等で互いに連結されている。
【0034】
車両1のセンターピラー4は、ベルトライン近傍のアウタリインフォース24の形状を、車両前後方向の中心側の部分がより外側に凸となる形状としている。これにより、車両前後方向の中心側がより外側に膨らんだ形状となり、図6に示すように、側面衝突荷重が負荷された場合、車両前後方向における荷重の分布をより均一にすることができる。つまり、荷重がよりかかりやすい車両前後方向の中心側がより外側に凸となる形状とすることで、車両前後方向の中心付近の弾性座屈を抑制することができ、全体の荷重分布をより均一にすることができる。また、ベルトライン近傍のセンターピラーインナ22の形状を、前後方向の中心側の部分がより外側に凸となる形状とすることで、センターピラーインナ22に係る荷重の分布もより均一にすることができる。
【0035】
センターピラー4は、図2に示すようにベルトライン近傍で凹凸部の高さの差が最大となるように凹凸部の形状を徐々に変化させることで、車両上下方向における断面の曲げ強度を、ベルトライン近傍で最大となり、ベルトライン近傍から上下に離れるに従って徐々に低下する分布とすることができる。これにより、側面衝突荷重の分布に対応した強度の分布とすることができる。また、他の補強材を設けることなく、かつ、不要な部分の強度を必要以上に強くすることなく、アウタリインフォース24により強度の分布を調整できる。これにより、必要最小限の材料で適切に強度を補強することができる。
【0036】
また、側面衝突時に最も荷重がかかる部分であるベルトライン近傍の強度を他の部分よりも高くし、かつ、強度を徐々に低下する構造とすることで、センターピラー4の一部に負荷が集中し座屈することを抑制でき、センターピラー4が変形した場合および座屈した場合も適切な部分で座屈させることができる。これにより、センターピラー4の全体の曲げ強度を向上させる場合よりも、効率よく座屈しにくくすることができ、また、変形の発生時および座屈発生時のセンターピラー4の挙動を好適に制御することができる。
【0037】
ここで、アウタリインフォース24は、本実施形態のように、凹凸部を車両上下方向の一定領域に延在するように形成することが好ましい。具体的には、アウタリインフォース24は、凹凸部の上方向の端部をベルトアンカ18よりも上側とすることが好ましく、ベルトアンカ18の近傍とすることがより好ましい。凹凸部の上方向の端部をベルトアンカ18よりも上側とすることで、センターピラー4の側面衝突荷重の入力が大きくなる領域の曲げ強度を好適に向上させることができる。凹凸部の上方向の端部をベルトアンカ18の近傍とすることで、凹凸を形成する領域が大きくなりすぎることを抑制でき、センターピラー4をより軽量化することができる。また、アウタリインフォース24は、凹凸部の下方向の端部をドアヒンジ17よりも下側とすることが好ましく、ドアヒンジ17の近傍とすることがより好ましい。凹凸部の下方向の端部をドアヒンジ17よりも下側とすることで、センターピラー4の側面衝突荷重の入力が大きくなる領域の曲げ強度を好適に向上させることができる。凹凸部の下方向の端部をドアヒンジ17の近傍とすることで、凹凸を形成する領域が大きくなりすぎることを抑制でき、センターピラー4をより軽量化することができる。なお、ドアヒンジ17が複数配置されている場合は、上側のドアヒンジを基準とすることが好ましい。
【0038】
センターピラー4では、上記効果をより好適に得ることができるため、センターピラーインナ22にも凸面22aと基準面22bとで構成される凹凸面を設けたがこれに限定されない。センターピラーインナ22は、凹凸を備えない形状であってもよい。
【0039】
(実施形態2)
次に、図7および図8を用いてセンターピラーの他の実施形態について説明する。ここで、図7は、他の実施形態に係るセンターピラーの正面図である。図8は、図7に示すセンターピラーの断面図である。なお、図7では、サイドメンバーアウターパネル121の図示を省略している。また、図8は、センターピラー104のベルトライン付近を切断した断面図である。図7および図8に示すセンターピラー104は、センターピラーアウタ121、センターピラーインナ122およびアウタリインフォース124を有する。センターピラーアウタ121は、車両前後方向の両端にフランジ部134を有し、センターピラーインナ122は、車両前後方向の両端にフランジ部130を有し、アウタリインフォース124は、車両前後方向の両端にフランジ部132を有する。センターピラーインナ122は、車両上下方向の位置により凹凸形状が変化する凹凸形状(凸面と基準面)を備えない点を除いて、センターピラーインナ22と同様の構成である。また、センターピラーアウタ121、フランジ部130、132、134は、それぞれ、センターピラーアウタ21、フランジ部30、32、34と同様の構成であるので詳細な説明は省略する。
【0040】
アウタリインフォース124は、ピラー本体における前側のフランジ部と後側のフランジ部とを接続する補強部材として機能する。上述したようにアウタリインフォース124における前側および後側には、それぞれフランジ部132が設けられている。アウタリインフォース124は、前側に設けられたフランジ部132と後側に設けられたフランジ部132との間に、外側に向けて突出する突出部が形成されている。このように、アウタリインフォース124は、基本的にセンターピラー104の延在する方向と直交する断面形状が、外側に向けて突出するハット形状となっている。なお、突出部は、断面が曲線となる面である。
【0041】
次に、アウタリインフォース124の突出部について説明する。アウタリインフォース124は、図7および図8に示すように、車両上下方向の位置によって形状が変化する。具体的には、図7に示すように、センターピラー104の中腹の一部にフランジ部132よりも外側に凸となる凸面(凸部)124aと、フランジ部132よりも内側に凸(外側に対して凹)となる2つの凹面(凹部)124bと、で構成される凹凸部が形成されている。なお、凸面124aは、凹凸部が形成されている領域の外側の領域で形成される突出部と同様の形状である。
【0042】
凸面124aは、車両前後方向の中心を含む領域に形成されている。2つの凹面124bは、車両前後方向において凸面124aの中心から離れた側にそれぞれ配置されている。つまり、凸部124aは、車両前後方向の両端がそれぞれ凹面124bと連結している。2つの凹面124bは、車両前後方向の中心側の端部がそれぞれ凸面124aと連結し、中心から遠い側の端部がそれぞれフランジ部132と連結している。このように、凹凸部は、車両前後方向の端部から中心に向かってフランジ部132、凹面124b、凸面124aの順で配置され、端部から中心に向かうに従って、一旦内側に凸となり、さらに中心に向かうと外側に凸となる凹凸形状が形成されている。
【0043】
ここで、凸面124aおよび凹面124bが形成されている領域において、凸面124aと凹面124bとの距離(幅方向における距離)および凹面124bとフランジ部132との距離(幅方向における距離)は、車両上下方向の上端から下側に向かうに従って徐々に長くなり、その後、徐々に短くなる。つまり、凹面124bは、図7に示すように、凸面124aから徐々に離れ、その後徐々に近づく形状である。なお、図7に示す点線は、凹面124bを設けない場合のアウタリインフォース124の内側端部の位置を示す仮想線である。アウタリインフォース124は、ベルトライン近傍で凸面124aと凹面124bとの距離が最大となる。つまり、凹面124bの深さが最大となる。すなわち、ベルトライン近傍でアウタリインフォース124の加工量が最大となり最大剛性を保持する部位となる。
【0044】
アウタリインフォース124は、凹凸部として車両前後方向の両端部に内側に凸となる凹面124bを設けることで、ベルトライン近傍で最も外側の部分と最も内側の部分との距離(つまり凹凸の高さ)を最大とすることができる。凹凸の高さを大きくすることで、断面における曲げ強度を高くすることができる。具体的には、車両幅方向に略平行な方向に延在する壁面の高さが大きくなるため、車両幅方向に変形しにくくなる。これにより、側面衝突荷重が負荷されても変形しにくくなる。また、凹凸の高さは、ベルトラインで最大となり、ベルトラインから車両上下方向に離れるに従って徐々に低くなるため、曲げ剛性の分布を適切な分布とすることができる。これにより、センターピラー104も上述したセンターピラー4と同様の効果を得ることができる。
【0045】
(実施形態3)
次に、図9から図11を用いてセンターピラーの他の実施形態について説明する。ここで、図9は、他の実施形態に係るセンターピラーの正面図である。図10は、図9に示すセンターピラーの断面図である。図11は、側面衝突荷重負荷時に図10に示すセンターピラーに作用する力の分布を示す説明図である。なお、図9では、サイドメンバーアウターパネル221の図示を省略している。また、図10は、センターピラー204のベルトライン付近を切断した断面図である。図9および図10に示すセンターピラー204は、センターピラーアウタ221、センターピラーインナ222およびアウタリインフォース224を有する。センターピラーアウタ221は、車両前後方向の両端にフランジ部234を有し、センターピラーインナ222は、車両前後方向の両端にフランジ部230を有し、アウタリインフォース224は、車両前後方向の両端にフランジ部232を有する。また、センターピラーアウタ221、センターピラーインナ222、フランジ部230、232、234は、それぞれ、センターピラーアウタ121、センターピラーインナ122、フランジ部130、132、134と同様の構成であるので詳細な説明は省略する。
【0046】
アウタリインフォース224は、ピラー本体における前側のフランジ部と後側のフランジ部とを接続する補強部材として機能する。上述したようにアウタリインフォース224における前側および後側には、それぞれフランジ部232が設けられている。アウタリインフォース224は、前側に設けられたフランジ部232と後側に設けられたフランジ部232との間に、外側に向けて突出する突出部が形成されている。このように、アウタリインフォース224は、基本的にセンターピラー204の延在する方向と直交する断面形状が、外側に向けて突出するハット形状となっている。なお、突出部は、断面が曲線となる面である。
【0047】
次に、アウタリインフォース224の突出部について説明する。アウタリインフォース224は、図9および図10に示すように、車両上下方向の位置によって形状が変化する。具体的には、図9に示すように、センターピラー204の中腹の一部にフランジ部232よりも外側に凸となる凸面224aと、フランジ部232よりも内側に凸(外側に対して凹)となる2つの凹面224cと、で構成される凹凸部が形成されている。なお、凸面224aは、凹凸部が形成されている領域の外側の領域で形成される突出部と同様の形状である。また、凹凸部の凸面224aには、車両前後方向の中心に内側の凸(外側に凹)の凹面224bが形成されている。なお、凹面224bは、断面が略半円となる形状である。
【0048】
凸面224aは、車両前後方向の中心を含む領域に形成されている。また、凹面(凹ビード)224bは、凸面224aのうち車両前後方向の中心を含む領域に形成されている。なお、凹面224bの車両前後方向の長さは、凸面224aの車両前後方向の長さに対して十分に小さい長さである。つまり、凹面224bは、凸面224aの中心の一部に形成されている。2つの凹面224cは、車両前後方向において凸面224aの中心から離れた側にそれぞれ配置されている。つまり、凸部224aは、車両前後方向の両端がそれぞれ凹面224cと連結している。2つの凹面224cは、車両前後方向の中心側の端部がそれぞれ凸面224aと連結し、中心から遠い側の端部がそれぞれフランジ部232と連結している。このように、凹凸部は、車両前後方向の端部から中心に向かってフランジ部232、凹面224c、中央に凹面224bが形成された凸面224aの順で配置され、端部から中心に向かうに従って、一旦内側に凸となり、さらに中心に向かうと外側に凸となる凹凸形状が形成されている。
【0049】
ここで、凸面224a、凹面224bおよび凹面224cが形成されている領域において、凸面224aと凹面224bとの距離(幅方向における距離)、凸面224aと凹面224cとの距離(幅方向における距離)および凹面224cとフランジ部232との距離(幅方向における距離)は、車両上下方向の上端から下側に向かうに従って徐々に長くなり、その後、徐々に短くなる。つまり、凹面224bは、図9に示すように、凸面224aから徐々に離れ、その後徐々に近づく形状である。また、凹面224cも、図9に示すように、凸面224aから徐々に離れ、その後近づく形状である。なお、図9に示す点線は、凹面224bを設けない場合のアウタリインフォース224の内側端部の位置を示す仮想線である。アウタリインフォース224は、ベルトライン近傍で凸面224aと凹面224bとの距離および凸面224aと凹面224cとの距離が最大となる。つまり、凹面224b、凹面224cの深さが最大となる。すなわち、ベルトライン近傍でアウタリインフォース224の加工量が最大となり最大剛性を保持する部位となる。
【0050】
アウタリインフォース224は、凹凸部として車両前後方向の両端部に内側に凸となる凹面224cを設けることで、ベルトライン近傍で最も外側の部分と最も内側の部分との距離(つまり凹凸の高さ)を最大とすることができる。これにより、アウタリインフォース124と同様の効果を得ることができる。
【0051】
さらに、アウタリインフォース224は、凹凸部として凸面224aの車両前後方向の中央部に内側に凸となる凹面224bを設けることで、凸面224aの曲げ剛性をより向上させることができる。具体的には、図11に示すように、凹面224bを設けていない点以外は、同一の形状であるアウタリインフォース250の場合(図7および図8に示すアウタリインフォース124と同様の形状の場合)では、許容される荷重の大きさが点線260で示す大きさであるが、アウタリインフォース224は、点線260よりもより大きい荷重を許容することができる。このように凹面224bを設けることで、断面における曲げ強度をさらに高くすることができる。これにより、側面衝突荷重が負荷されてもより変形しにくくなる。また、凹面224bは、凹凸の高さがベルトラインで最大となり、ベルトラインから車両上下方向に離れるに従って徐々に低くなる(最終的に凹面224bはなくなる)ため、曲げ剛性の分布を適切な分布とすることができる。これにより、センターピラー204は、上述したセンターピラー104と同様の効果をより好適に得ることができる。
【0052】
なお凹面224bは、深さをtとしたとき、車両前後方向の長さbを、b≦t/0.04とすることが好ましい。これにより、凹面224bが大きくなりすぎ、曲げ剛性が低下することを抑制することができる。
【0053】
(実施形態4)
次に、図12および図13を用いてセンターピラーの他の実施形態について説明する。ここで、図12は、他の実施形態に係るセンターピラーの正面図である。図13は、図12に示すセンターピラーの断面図である。なお、図12では、サイドメンバーアウターパネル321の図示を省略している。また、図13は、センターピラー304のベルトライン付近を切断した断面図である。図12および図13に示すセンターピラー304は、センターピラーアウタ321、センターピラーインナ322およびアウタリインフォース324を有する。センターピラーアウタ321は、車両前後方向の両端にフランジ部334を有し、センターピラーインナ322は、車両前後方向の両端にフランジ部330を有し、アウタリインフォース324は、車両前後方向の両端にフランジ部332を有する。また、センターピラーアウタ321、センターピラーインナ322、フランジ部330、332、334は、それぞれ、センターピラーアウタ121、センターピラーインナ122、フランジ部130、132、134と同様の構成であるので詳細な説明は省略する。
【0054】
アウタリインフォース324は、ピラー本体における前側のフランジ部と後側のフランジ部とを接続する補強部材として機能する。上述したようにアウタリインフォース324における前側および後側には、それぞれフランジ部332が設けられている。アウタリインフォース324は、前側に設けられたフランジ部332と後側に設けられたフランジ部332との間に、外側に向けて突出する突出部が形成されている。このように、アウタリインフォース324は、基本的にセンターピラー304の延在する方向と直交する断面形状が、外側に向けて突出するハット形状となっている。なお、突出部は、断面が曲線となる面である。
【0055】
次に、アウタリインフォース324の突出部について説明する。アウタリインフォース324は、図12および図13に示すように、車両上下方向の位置によって形状が変化する。具体的には、図12に示すように、センターピラー304の中腹の一部にフランジ部332よりも外側に凸となる複数(本実施形態では3つ)の凸面324aと、フランジ部332よりも内側に凸(外側に対して凹)となる2つの凹面324dと、で構成される凹凸部が形成されている。なお、凸面324aは、最も外側の位置が頂点324bとなる。また、複数の凸面324aは、互いに隣接しており、凸面324aと当該凸面324aに隣接する凸面324aと連結部324cで連結されている。なお、凹凸部は、一定の曲率の複数のビードで構成することができる。
【0056】
3つの凸面324aは、車両前後方向の中心を含む領域に車両前後方向に隣接して配置されている。また、上述したように凸面324aと当該凸面に隣接している凸面324aとは、連結部324cで連結されている。また、車両前後方向の端部に配置された凸面324aの中心から離れた側の端部は、凹面324dと連結している。2つの凹面324dは、車両前後方向において凸面324aの中心から離れた側にそれぞれ配置されている。つまり、2つの凹面324dは、車両前後方向の中心側の端部がそれぞれ凸面324aと連結し、中心から遠い側の端部がそれぞれフランジ部332と連結している。このように、凹凸部は、車両前後方向の端部から中心に向かってフランジ部332、凹面324d、複数の凸面324aの順で配置され、端部から中心に向かうに従って、一旦内側に凸となり、さらに中心に向かうと外側に凸となる凹凸形状が形成されている。また、凸面324aが車両前後方向に複数配置されているため、車両幅方向の位置は、凸面324aの頂点を通過したら内側移動し、連結部324cを通過し次の凸面324aとなると再び外側移動する。
【0057】
ここで、凸面324aおよび凹面324bが形成されている領域において、凸面324a(の頂点324b)と凹面324dとの距離(幅方向における距離)および凸面324aの頂点324bと連結部324cとの距離(幅方向における距離)は、車両上下方向の上端から下側に向かうに従って徐々に長くなり、その後、徐々に短くなる。つまり、凹面324bは、図12に示すように、凸面324aから徐々に離れ、その後徐々に近づく形状である。また、凸面324aも、図12に示すように、凸面324aの頂点が連結点324cから徐々に離れ、その後徐々に近づく形状である。なお、図12に示す点線は、凹面324dを設けない場合のアウタリインフォース324の内側端部の位置を示す仮想線である。アウタリインフォース324は、ベルトライン近傍で凸面324aと凹面324dとの距離および凸面324aの頂点324bと連結点324cとの距離が最大となる。つまり、凹面324dの深さが最大となり、各凸面324aの高さが最大となる。すなわち、ベルトライン近傍でアウタリインフォース324の加工量が最大となり最大剛性を保持する部位となる。
【0058】
アウタリインフォース324は、凹凸部として車両前後方向の両端部に内側に凸となる凹面324dを設けることで、ベルトライン近傍で最も外側の部分と最も内側の部分との距離(つまり凹凸の高さ)を最大とすることができる。これにより、アウタリインフォース124と同様の効果を得ることができる。
【0059】
さらに、アウタリインフォース324は、凹凸部の突出部として複数の凸面324aを設けることで、各凸面の円弧の大きさを小さくすることができ、凸面324aの曲げ剛性をより向上させることができる。これにより、側面衝突荷重が負荷されてもより変形しにくくなる。また、各凸面324aは、凹凸の高さがベルトラインで最大となり、ベルトラインから車両上下方向に離れるに従って徐々に低くなるため、曲げ剛性の分布を適切な分布とすることができる。これにより、センターピラー304は、上述したセンターピラー104と同様の効果をより好適に得ることができる。
【0060】
(実施形態5)
次に、図14および図15を用いてセンターピラーの他の実施形態について説明する。ここで、図14は、他の実施形態に係るセンターピラーの正面図である。図15は、図14に示すセンターピラーの断面図である。なお、図14では、サイドメンバーアウターパネル421の図示を省略している。また、図15は、センターピラー404のベルトライン付近を切断した断面図である。図14および図15に示すセンターピラー404は、センターピラーアウタ421、センターピラーインナ422およびアウタリインフォース424を有する。センターピラーアウタ421は、車両前後方向の両端にフランジ部434を有し、センターピラーインナ422は、車両前後方向の両端にフランジ部430を有し、アウタリインフォース424は、車両前後方向の両端にフランジ部432を有する。センターピラーインナ422は、車両上下方向の位置により凹凸形状が変化する凹凸形状(凸面と基準面)を備えない点を除いて、センターピラーインナ22と同様の構成である。また、センターピラーアウタ421、フランジ部430、432、434は、それぞれ、センターピラーアウタ21、フランジ部30、32、34と同様の構成であるので詳細な説明は省略する。
【0061】
アウタリインフォース424は、ピラー本体における前側のフランジ部と後側のフランジ部とを接続する補強部材として機能する。上述したようにアウタリインフォース424における前側および後側には、それぞれフランジ部432が設けられている。アウタリインフォース424は、前側に設けられたフランジ部432と後側に設けられたフランジ部432との間に、外側に向けて突出する突出部が形成されている。このように、アウタリインフォース424は、基本的にセンターピラー404の延在する方向と直交する断面形状が、外側に向けて突出するハット形状となっている。
【0062】
次に、アウタリインフォース424の突出部について説明する。アウタリインフォース424は、図14および図15に示すように、車両上下方向の位置によって形状が変化する。具体的には、図14に示すように、センターピラー404の中腹の一部に外側に凸となる凸面424aと内側に凸(外側に凹)となる凹面424bとが交互に配置された凹凸部が形成されている。なお、凹凸部は、一定の曲率の複数のビードで構成することができる。
【0063】
凸面424aは、車両前後方向の端部が凹面424bと連結している。また、凹面424bは、車両前後方向の端部が凸部424aと連結している。なお、凸面424aと凹面424bとの繰り返し形状の車両前後方向の両端部は、いずれも凸面424aが配置されており、繰り返し形状の車両前後方向の端部は、フランジ部422と連結している。このように、凹凸部は、車両前後方向の端部から中心に向かってフランジ部432、凸面424a、凹面424b、凸面424a、凹面424b、以下凸面424aと凹面424bの順で配置され、端部から中心に向かうに従って外側に凸となり、その後、凹面424bで内側に凸となり凸面424aで外側に凸となる形状が繰り返された凹凸形状が形成されている。
【0064】
ここで、凸面424aおよび凹面424bが形成されている領域において、凸面424aと凹面424bとの距離(幅方向における距離)は、車両上下方向の上端から下側に向かうに従って徐々に長くなり、その後、徐々に短くなる。つまり、凸面424aの最も外側の点と、凹面424bの最も内側の点とは、図14に示すように徐々に離れ、その後徐々に近づく形状である。アウタリインフォース424は、ベルトライン近傍で凸面424aと凹面424bとの距離が最大となる。つまり、凹凸の高さまたは深さが最大となる。すなわち、ベルトライン近傍でアウタリインフォース424の加工量が最大となり最大剛性を保持する部位となる。
【0065】
アウタリインフォース424は、凹凸部として凸面と凹面とが交互に複数配置された凹凸形状を設けることで、各凸面、凸面の円弧の大きさを小さくすることができ、凸面424aの曲げ剛性をより向上させることができる。また、凸面と凹面とを繋げる面が幅方向に延在する面となり、曲げ剛性をより向上させることができる。これにより、側面衝突荷重が負荷されてもより変形しにくくなる。また、凹凸の高さがベルトラインで最大となり、ベルトラインから車両上下方向に離れるに従って徐々に低くなるため、曲げ剛性の分布を適切な分布とすることができる。これにより、センターピラー404は、上述したセンターピラー4と同様の効果をより好適に得ることができる。
【0066】
なお、センターピラーの形状は、上記実施形態に限定されない。センターピラーは、上述した各種実施形態の構成を組み合わせた形状としてもよい。アウタリインフォースは、ベルトライン近傍で凹凸の幅方向における高さ、深さが最大となるように車両上下方向において形状を徐々に変化させた凹凸部を設けることで上記効果を得ることができる。なお、アウタリインフォースは、車両前後方向の中心がフランジ部よりも外側となる形状とすることが好ましい。このように、車両前後方向の中心をフランジ部よりも外側とすることで、側面衝突荷重が大きくなる部分をより外側とすることができ、曲げ剛性をより大きくすることができる。これにより、センターピラーをより曲がりにくく、かつ、座屈しにくくすることができる。また、凹面、凸面の形状は断面が直線となる形状、曲線となる形状に限定されず、曲線と直線とを組み合わせた形状としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように、本発明にかかる車両用センターピラーは、側面衝突荷重に対する耐力の向上に有用であり、特に、軽量化しつつ側面衝突荷重に対する耐力を向上することに適している。
【符号の説明】
【0068】
1 車両
4 センターピラー
21 センターピラーアウタ
22 センターピラーインナ
24 アウタリインフォース
30、32、34 フランジ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用センターピラーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、補強部材を備える車両用のピラーの技術が知られている。例えば、特許文献1には、アウター部材と、このアウター部材と車両前後方向の両端部で結合されたインナー部材と、これらのアウター部材とインナー部材との間の内部空間に配置され、アウター部材およびインナー部材と車両前後方向の両端部で結合された補強部材とを含んで構成される車両のセンターピラー構造が記載されている。また、補強部材の車両前後方向の途中部に、この補強部材の車両前後方向の両端部と対応する位置を越えて車両内外方向へ延びる延出成分を有している少なくとも1個の壁部を形成することも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−314845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているように、補強部材を設けることで、センターピラーの強度を向上させることができ、側面衝突荷重に対する変形体力を大きくすることができる。また、単一の補強部材の構造により側面衝突荷重に対する変形体力を大きくできるため、装置を軽量化することができる。しかしながら、特許文献1に記載の形状の補強部材を設けた場合でも、側面衝突荷重が負荷した場合に座屈する恐れがあり、意図しない位置で座屈が発生してしまう恐れもある。これらを抑制するために補強部材を追加で配置すると装置の重量が増加してしまう。
【0005】
本発明の目的は、側面衝突荷重が負荷されても座屈しにくく、かつ、軽量な車両用センターピラーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用センターピラーは、車両の上下方向に延在し、前記車両の前後方向における前側および後側にそれぞれフランジ部を有し、2つの前記フランジ部に挟まれた部分が前記フランジ部よりも車両の外側に凸となるアウター部材と、前記上下方向に延在し、前記前後方向における前側および後側にそれぞれ、前記アウター部材のフランジ部と係合するフランジ部を有し、前記アウター部材よりも車両の内側に配置されたインナー部材と、前記アウター部材と前記インナー部材との間に配置され、前記車両の前後方向における前側および後側にそれぞれフランジ部を有し、2つの前記フランジ部に挟まれた部分の前後方向の中心が前記フランジ部よりも車両の外側にある補強部材と、を有し、前記補強部材は、前記上下方向の上側から下側に向うに従って車両外側の端部と車両内側の端部との距離が徐々に大きくなり、ベルトライン付近で距離が最大となり、その後、距離が徐々に小さくなる凹凸部を有することを特徴とする。
【0007】
ここで、前記凹凸部は、前記上下方向の上側の端部が車両のベルトアンカの上側端部よりも上側にあることが好ましい。
【0008】
また、前記凹凸部は、前記上下方向の上側の端部が車両のベルトアンカの上側端部の近傍にあることが好ましい。
【0009】
また、前記凹凸部は、前記上下方向の下側の端部が車両のドアヒンジの上端よりも下側にあることが好ましい。
【0010】
また、前記凹凸部は、前記上下方向の下側の端部が車両のドアヒンジの上端の近傍にあることが好ましい。
【0011】
また、前記凹凸部は、前記前後方向の中心付近に形成され、前記車両外側に凸となる凸部を含むことが好ましい。
【0012】
また、前記凹凸部は、複数の前記凸部が前記前後方向に連結して形成されていることが好ましい。
【0013】
また、前記凹凸部は、前記前後方向の中心付近に形成され、前記車両内側に凸となる凹部を含むことが好ましい。
【0014】
また、前記凹凸部は、前記前後方向の端部近傍の少なくとも一方に形成され、前記車両内側に凸となる端側凹部を含むことが好ましい。
【0015】
本発明の車両用センターピラーは、車両の上下方向に延在するアウター部材とインナー部材とに挟持される補強部材を有し、前記補強部材に形成された凸部の高さまたは凹部の深さをベルトライン付近で最大とし、前記ベルトラインから上側または下側に向かって前記凸部の高さまたは前記凹部の深さを減少させることを特徴とする。
【0016】
本発明の車両用センターピラーは、車両の上下方向に延在するアウター部材とインナー部材とに挟持される補強部材を有し、前記補強部材に形成された凸部または凹部の加工量をベルトライン付近で最大とし、前記ベルトラインから上側または下側に向かって前記凸部または前記凹部の加工量を減少させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる車両用センターピラーは、補強部材に凹凸の幅方向の距離が徐々に変化し、ベルトラインで距離が最大となる凹凸部を設けることで、車両の上下方向における強度を適切な状態にすることができ、一部にひずみが集中することを抑制でき、側面衝突荷重が負荷されても座屈しにくくすることができる。また、単一の補強部材の形状により、座屈しにくくすることができるため、構成部材の増加を抑制でき、装置を軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、実施形態にかかる車両用センターピラーを有する車両の側面図である。
【図2】図2は、実施形態に係るセンターピラーの正面図である。
【図3】図3は、図2のA−A線断面図である。
【図4】図4は、図2のB−B線断面図である。
【図5】図5は、図2のC−C線断面図である。
【図6】図6は、側面衝突荷重負荷時に図4に示すセンターピラーに作用する力の分布を示す説明図である。
【図7】図7は、他の実施形態に係るセンターピラーの正面図である。
【図8】図8は、図7に示すセンターピラーの断面図である。
【図9】図9は、他の実施形態に係るセンターピラーの正面図である。
【図10】図10は、図9に示すセンターピラーの断面図である。
【図11】図11は、側面衝突荷重負荷時に図10に示すセンターピラーに作用する力の分布を示す説明図である。
【図12】図12は、他の実施形態に係るセンターピラーの正面図である。
【図13】図13は、図12に示すセンターピラーの断面図である。
【図14】図14は、他の実施形態に係るセンターピラーの正面図である。
【図15】図15は、図14に示すセンターピラーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明にかかる車両用センターピラーの一実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0020】
[実施形態]
以下、図1から図6を用いて、本実施形態にかかる車両用センターピラー(以下単に「センターピラー」ともいう。)について説明する。図1は、実施形態にかかる車両用センターピラーを有する車両の側面図である。図2は、実施形態に係るセンターピラーの正面図である。図3は、図2のA−A線断面図であり、図4は、図2のB−B線断面図であり、図5は、図2のC−C線断面図である。図6は、側面衝突荷重負荷時に図4に示すセンターピラーに作用する力の分布を示す説明図である。
【0021】
なお、以下の説明では、特に断りのない限り、車両1の走行方向に沿った方向を車両前後方向(単に「前後方向」ともいう。)、車両1の高さ方向を車両上下方向(単に「上下方向」ともいう。)、車両前後方向および車両上下方向に直交する方向を車両幅方向という。典型的には、車両1の車輪が平坦な路面に設置した状態で車両上下方向は、鉛直方向に沿った方向であり、車両前後方向、車両幅方向は、水平方向に沿った方向である。また、車両1の客室が区画される車両1の内側の空間側を車室内側、車両1の外側の外気側の空間を車室外側という。
【0022】
図1に示すように、車両1は、車両1は、車体2の骨格を構成する高強度、高剛性の車体骨格部品として、フロントピラー(Aピラー)3、センターピラー(Bピラー)4、リアピラー(Cピラー)5、ルーフサイドレール6、ロッカ7などを含んで構成される。また、車両1は、車体2の側面に相当する車体側部8のフロントピラー3とセンターピラー4との間に、窓13と、サイドパネル14とを含むドアが配置されている。また、車両上下方向において、窓13は、サイドパネル14の上側に配置されており、窓13とサイドパネル14との間が境界15となる。また、センターピラー4には、ドアと連結するドアヒンジ17と、シートベルトのスリップジョイントを支持するシートベルトアンカ18とが連結されている、なお、ドアヒンジ17は、センターピラー4と、センターピラー4とリアピラー5との間に配置されたドア(車両前後方向において後ろ側のドア)と、を連結する。
【0023】
フロントピラー3、センターピラー4およびリアピラー5は、支柱状の部材であり、車両1の車体側部8に車両上下方向すなわち鉛直方向に延在して設けられる。フロントピラー3は、車体側部8の車両前後方向の前部に、センターピラー4は、車体側部8の車両前後方向の中間部に、リアピラー5は、車体側部8の車両前後方向の後部に、それぞれ配置される。ルーフサイドレール6およびロッカ7は、梁状の部材であり、車体側部8に車両車両前後方向すなわち水平方向に延在して設けられる。ルーフサイドレール6は、車体側部8の車両上下方向の上部に、ロッカ7は、車体側部8の車両上下方向の下部に配置される。フロントピラー3、センターピラー4、リアピラー5、ルーフサイドレール6およびロッカ7は、連結されることで車体2の骨格をなしている。なお、以下の説明では、車両用構造体は、センターピラー4に適用するものとして説明するが、これに限らない。車両用構造体は、車両1の車体2を構成する構造体であればよく、例えば、フロントピラー3やリアピラー5に適用してもよい。
【0024】
次に、センターピラー4について詳細に説明する。
【0025】
以下の説明において、車両幅方向における車室内側を単に「内側」と記載し、車室外側を単に「外側」と記載する。また、車両上下方向における上側を単に「上側」と記載し、車両1の車両上下方向における下側を単に「下側」と記載する。また、車両前後方向における前側を単に「前側」と記載し、車両1の車両前後方向における後側を単に「後側」と記載する。センターピラー4は、図1から図5に示すように、車両1の内外を隔てる部材であり、ほぼ車両上下方向に沿って、すなわちほぼ鉛直方向に沿って形成される。センターピラー4は、車両上下方向の上端部がルーフサイドレール6に結合され、下端部がロッカ7に結合される。図1および図5に示すように、センターピラー4は、センターピラーアウタ(サイドメンバーアウターパネル、アウター部材)21、センターピラーインナ(インナー部材)22およびアウタリインフォース(補強部材)24を有する。なお、図2では、サイドメンバーアウターパネル21の図示を省略している。
【0026】
センターピラーアウタ21およびセンターピラーインナ22は、センターピラー4のピラー本体である。センターピラーアウタ21およびセンターピラーインナ22は、車両1の車両上下方向に延在している。センターピラーアウタ21は、前側および後側にそれぞれフランジ部34が設けられている。センターピラーアウタ21は、前側に設けられたフランジ部であるフランジ部34と後側に設けられたフランジ部34との間に、外側に向けて突出する突出部が形成されている。センターピラーアウタ21は、このように、センターピラー4の延在する方向と直交する断面形状が、外側に向けて突出するハット形状となっている。
【0027】
センターピラーインナ22は、前側および後側にそれぞれフランジ部30が設けられている。センターピラーインナ22は、前側に設けられたフランジ部30と後側に設けられたフランジ部30との間に内側に向けて突出する突出部が形成されている。このように、センターピラーインナ22は、センターピラー4の延在する方向と直交する断面形状が、内側に向けて突出するハット形状となっている。
【0028】
センターピラーインナ22は、図2から図5に示すように、車両上下方向の位置によって形状が変化する。具体的には、図4に示すように、センターピラー4の中腹の一部に外側に凸となる凸面22aが形成されている。つまり、センターピラーインナ22は、B−B線断面に、基準面22bよりも外側に凸となる凸面22aが形成されている。なお、突出部22aは、車両前後方向の中心を含む領域に形成されている。基準面22bは、車両前後方向において、凸面22aの前後側にそれぞれ配置されている。つまり、凸面22aは、車両前後方向の端部がそれぞれ基準面22bと連結している。2つの基準面22bは、車両前後方向の中心側の端部がそれぞれ凸面22aと連結し、中心から遠い側の端部がフランジ部30と連結している。次に、凸面22aが形成されている領域において、凸面22aと基準面22bとの距離(幅方向における距離)は、車両上下方向の上端から下側に向かうに従って徐々に大きく(長くなり)、その後、徐々に小さく(短く)なる。つまり、凸面22aは、図2に示すように、基準面22bから徐々に離れ、その後徐々に近づく形状である。センターピラーインナ22は、ベルトライン近傍で凸面22aと基準面22bとの距離が最大となる。
【0029】
アウタリインフォース24は、ピラー本体における前側のフランジ部と後側のフランジ部とを接続する補強部材として機能する。アウタリインフォース24における前側および後側には、それぞれフランジ部32が設けられている。アウタリインフォース24は、前側に設けられたフランジ部32と後側に設けられたフランジ部32との間に、外側に向けて突出する突出部が形成されている。このように、アウタリインフォース24は、基本的にセンターピラー4の延在する方向と直交する断面形状が、外側に向けて突出するハット形状となっている。
【0030】
次に、アウタリインフォース24の突出部について説明する。アウタリインフォース24は、図2から図5に示すように、車両上下方向の位置によって形状が変化する。具体的には、図4に示すように、センターピラー4の中腹の一部に外側に凸となる第1凸面24aと第2凸面24bと基準面24cとで構成される凹凸部が形成されている。具体的には、アウタリインフォース24は、突出部のB−B線の断面が、基準面24cよりも外側に凸となる第2凸面24bと、第2凸面24bよりも外側に凸となる第1凸面24aと、を含む形状となる。
【0031】
第1凸面24aは、車両前後方向の中心を含む領域に形成されている。第2凸面24bは、車両前後方向において第1凸面24aの中心から離れた側にそれぞれ配置されている。基準面24cは、車両前後方向において第2凸面24bの中心から離れた側にそれぞれ配置されている。つまり、第1凸面24aは、車両前後方向の両端がそれぞれ第2凸面24bと連結している。2つの第2凸面24bは、車両前後方向の中心側の端部がそれぞれ第1凸面24aと連結し、中心から遠い側の端部がそれぞれ基準面24cと連結している。2つの基準面24cは、車両前後方向の中心側の端部がそれぞれ第2凸面24bと連結し、中心から遠い側の端部がそれぞれフランジ部32と連結している。このように、凹凸部は、車両前後方向の端部から中心に向かってフランジ部32、基準面24c、第2凸面24b、第1凸面24aの順で配置され、より中心に向かうに従ってより外側に凸となる階段状の凹凸が形成されている。
【0032】
ここで、第1凸面24aおよび第2凸面24bが形成されている領域において、第1凸面24aと基準面24cとの距離(幅方向における距離)および第2凸面24bと基準面24cとの距離(幅方向における距離)は、車両上下方向の上端から下側に向かうに従って徐々に長くなり、その後、徐々に短くなる。つまり、第1凸面24aおよび第2凸面24bは、図2に示すように、基準面24cから徐々に離れ、その後徐々に近づく形状である。アウタリインフォース24は、ベルトライン近傍で第1凸面24aと基準面24cとの距離および第1凸面24aと基準面24cとの距離が最大となる。すなわち、ベルトライン近傍でアウタリインフォース24の加工量が最大となり最大剛性を保持する部位となる。ここで、加工量とは、板状部材を変形させてアウタリインフォースを製造した場合に当該領域に発生する延び量(変形量)である。また、第1凸面24aと基準面24cとの距離と、第1凸面24aと基準面24cとの距離と、は比例して変化する。すなわち加工量が減少し、剛性が減少していく。ここで、ベルトラインとは、乗用車の場合、人間のベルトの高さとなる位置であり、例えば、センターピラー4が折れ曲がる部分の近傍、窓13の露出領域の下側端部でセンターピラー4が折れ曲がる部分の近傍または境界15の近傍である。
【0033】
次に、各フランジ部は、車両幅方向と直交しており、かつ互いに平行となっている。すなわち、前側のフランジ部30、32、34は、それぞれ車両幅方向と直交しており、かつ車両幅方向において互いに対向している。また、後側のフランジ部30、32、34は、それぞれ車両幅方向と直交しており、かつ車両幅方向において互いに対向している。対面しているフランジ部30とフランジ部32とフランジ部34とは、溶接、ネジ止め等で互いに連結されている。
【0034】
車両1のセンターピラー4は、ベルトライン近傍のアウタリインフォース24の形状を、車両前後方向の中心側の部分がより外側に凸となる形状としている。これにより、車両前後方向の中心側がより外側に膨らんだ形状となり、図6に示すように、側面衝突荷重が負荷された場合、車両前後方向における荷重の分布をより均一にすることができる。つまり、荷重がよりかかりやすい車両前後方向の中心側がより外側に凸となる形状とすることで、車両前後方向の中心付近の弾性座屈を抑制することができ、全体の荷重分布をより均一にすることができる。また、ベルトライン近傍のセンターピラーインナ22の形状を、前後方向の中心側の部分がより外側に凸となる形状とすることで、センターピラーインナ22に係る荷重の分布もより均一にすることができる。
【0035】
センターピラー4は、図2に示すようにベルトライン近傍で凹凸部の高さの差が最大となるように凹凸部の形状を徐々に変化させることで、車両上下方向における断面の曲げ強度を、ベルトライン近傍で最大となり、ベルトライン近傍から上下に離れるに従って徐々に低下する分布とすることができる。これにより、側面衝突荷重の分布に対応した強度の分布とすることができる。また、他の補強材を設けることなく、かつ、不要な部分の強度を必要以上に強くすることなく、アウタリインフォース24により強度の分布を調整できる。これにより、必要最小限の材料で適切に強度を補強することができる。
【0036】
また、側面衝突時に最も荷重がかかる部分であるベルトライン近傍の強度を他の部分よりも高くし、かつ、強度を徐々に低下する構造とすることで、センターピラー4の一部に負荷が集中し座屈することを抑制でき、センターピラー4が変形した場合および座屈した場合も適切な部分で座屈させることができる。これにより、センターピラー4の全体の曲げ強度を向上させる場合よりも、効率よく座屈しにくくすることができ、また、変形の発生時および座屈発生時のセンターピラー4の挙動を好適に制御することができる。
【0037】
ここで、アウタリインフォース24は、本実施形態のように、凹凸部を車両上下方向の一定領域に延在するように形成することが好ましい。具体的には、アウタリインフォース24は、凹凸部の上方向の端部をベルトアンカ18よりも上側とすることが好ましく、ベルトアンカ18の近傍とすることがより好ましい。凹凸部の上方向の端部をベルトアンカ18よりも上側とすることで、センターピラー4の側面衝突荷重の入力が大きくなる領域の曲げ強度を好適に向上させることができる。凹凸部の上方向の端部をベルトアンカ18の近傍とすることで、凹凸を形成する領域が大きくなりすぎることを抑制でき、センターピラー4をより軽量化することができる。また、アウタリインフォース24は、凹凸部の下方向の端部をドアヒンジ17よりも下側とすることが好ましく、ドアヒンジ17の近傍とすることがより好ましい。凹凸部の下方向の端部をドアヒンジ17よりも下側とすることで、センターピラー4の側面衝突荷重の入力が大きくなる領域の曲げ強度を好適に向上させることができる。凹凸部の下方向の端部をドアヒンジ17の近傍とすることで、凹凸を形成する領域が大きくなりすぎることを抑制でき、センターピラー4をより軽量化することができる。なお、ドアヒンジ17が複数配置されている場合は、上側のドアヒンジを基準とすることが好ましい。
【0038】
センターピラー4では、上記効果をより好適に得ることができるため、センターピラーインナ22にも凸面22aと基準面22bとで構成される凹凸面を設けたがこれに限定されない。センターピラーインナ22は、凹凸を備えない形状であってもよい。
【0039】
(実施形態2)
次に、図7および図8を用いてセンターピラーの他の実施形態について説明する。ここで、図7は、他の実施形態に係るセンターピラーの正面図である。図8は、図7に示すセンターピラーの断面図である。なお、図7では、サイドメンバーアウターパネル121の図示を省略している。また、図8は、センターピラー104のベルトライン付近を切断した断面図である。図7および図8に示すセンターピラー104は、センターピラーアウタ121、センターピラーインナ122およびアウタリインフォース124を有する。センターピラーアウタ121は、車両前後方向の両端にフランジ部134を有し、センターピラーインナ122は、車両前後方向の両端にフランジ部130を有し、アウタリインフォース124は、車両前後方向の両端にフランジ部132を有する。センターピラーインナ122は、車両上下方向の位置により凹凸形状が変化する凹凸形状(凸面と基準面)を備えない点を除いて、センターピラーインナ22と同様の構成である。また、センターピラーアウタ121、フランジ部130、132、134は、それぞれ、センターピラーアウタ21、フランジ部30、32、34と同様の構成であるので詳細な説明は省略する。
【0040】
アウタリインフォース124は、ピラー本体における前側のフランジ部と後側のフランジ部とを接続する補強部材として機能する。上述したようにアウタリインフォース124における前側および後側には、それぞれフランジ部132が設けられている。アウタリインフォース124は、前側に設けられたフランジ部132と後側に設けられたフランジ部132との間に、外側に向けて突出する突出部が形成されている。このように、アウタリインフォース124は、基本的にセンターピラー104の延在する方向と直交する断面形状が、外側に向けて突出するハット形状となっている。なお、突出部は、断面が曲線となる面である。
【0041】
次に、アウタリインフォース124の突出部について説明する。アウタリインフォース124は、図7および図8に示すように、車両上下方向の位置によって形状が変化する。具体的には、図7に示すように、センターピラー104の中腹の一部にフランジ部132よりも外側に凸となる凸面(凸部)124aと、フランジ部132よりも内側に凸(外側に対して凹)となる2つの凹面(凹部)124bと、で構成される凹凸部が形成されている。なお、凸面124aは、凹凸部が形成されている領域の外側の領域で形成される突出部と同様の形状である。
【0042】
凸面124aは、車両前後方向の中心を含む領域に形成されている。2つの凹面124bは、車両前後方向において凸面124aの中心から離れた側にそれぞれ配置されている。つまり、凸部124aは、車両前後方向の両端がそれぞれ凹面124bと連結している。2つの凹面124bは、車両前後方向の中心側の端部がそれぞれ凸面124aと連結し、中心から遠い側の端部がそれぞれフランジ部132と連結している。このように、凹凸部は、車両前後方向の端部から中心に向かってフランジ部132、凹面124b、凸面124aの順で配置され、端部から中心に向かうに従って、一旦内側に凸となり、さらに中心に向かうと外側に凸となる凹凸形状が形成されている。
【0043】
ここで、凸面124aおよび凹面124bが形成されている領域において、凸面124aと凹面124bとの距離(幅方向における距離)および凹面124bとフランジ部132との距離(幅方向における距離)は、車両上下方向の上端から下側に向かうに従って徐々に長くなり、その後、徐々に短くなる。つまり、凹面124bは、図7に示すように、凸面124aから徐々に離れ、その後徐々に近づく形状である。なお、図7に示す点線は、凹面124bを設けない場合のアウタリインフォース124の内側端部の位置を示す仮想線である。アウタリインフォース124は、ベルトライン近傍で凸面124aと凹面124bとの距離が最大となる。つまり、凹面124bの深さが最大となる。すなわち、ベルトライン近傍でアウタリインフォース124の加工量が最大となり最大剛性を保持する部位となる。
【0044】
アウタリインフォース124は、凹凸部として車両前後方向の両端部に内側に凸となる凹面124bを設けることで、ベルトライン近傍で最も外側の部分と最も内側の部分との距離(つまり凹凸の高さ)を最大とすることができる。凹凸の高さを大きくすることで、断面における曲げ強度を高くすることができる。具体的には、車両幅方向に略平行な方向に延在する壁面の高さが大きくなるため、車両幅方向に変形しにくくなる。これにより、側面衝突荷重が負荷されても変形しにくくなる。また、凹凸の高さは、ベルトラインで最大となり、ベルトラインから車両上下方向に離れるに従って徐々に低くなるため、曲げ剛性の分布を適切な分布とすることができる。これにより、センターピラー104も上述したセンターピラー4と同様の効果を得ることができる。
【0045】
(実施形態3)
次に、図9から図11を用いてセンターピラーの他の実施形態について説明する。ここで、図9は、他の実施形態に係るセンターピラーの正面図である。図10は、図9に示すセンターピラーの断面図である。図11は、側面衝突荷重負荷時に図10に示すセンターピラーに作用する力の分布を示す説明図である。なお、図9では、サイドメンバーアウターパネル221の図示を省略している。また、図10は、センターピラー204のベルトライン付近を切断した断面図である。図9および図10に示すセンターピラー204は、センターピラーアウタ221、センターピラーインナ222およびアウタリインフォース224を有する。センターピラーアウタ221は、車両前後方向の両端にフランジ部234を有し、センターピラーインナ222は、車両前後方向の両端にフランジ部230を有し、アウタリインフォース224は、車両前後方向の両端にフランジ部232を有する。また、センターピラーアウタ221、センターピラーインナ222、フランジ部230、232、234は、それぞれ、センターピラーアウタ121、センターピラーインナ122、フランジ部130、132、134と同様の構成であるので詳細な説明は省略する。
【0046】
アウタリインフォース224は、ピラー本体における前側のフランジ部と後側のフランジ部とを接続する補強部材として機能する。上述したようにアウタリインフォース224における前側および後側には、それぞれフランジ部232が設けられている。アウタリインフォース224は、前側に設けられたフランジ部232と後側に設けられたフランジ部232との間に、外側に向けて突出する突出部が形成されている。このように、アウタリインフォース224は、基本的にセンターピラー204の延在する方向と直交する断面形状が、外側に向けて突出するハット形状となっている。なお、突出部は、断面が曲線となる面である。
【0047】
次に、アウタリインフォース224の突出部について説明する。アウタリインフォース224は、図9および図10に示すように、車両上下方向の位置によって形状が変化する。具体的には、図9に示すように、センターピラー204の中腹の一部にフランジ部232よりも外側に凸となる凸面224aと、フランジ部232よりも内側に凸(外側に対して凹)となる2つの凹面224cと、で構成される凹凸部が形成されている。なお、凸面224aは、凹凸部が形成されている領域の外側の領域で形成される突出部と同様の形状である。また、凹凸部の凸面224aには、車両前後方向の中心に内側の凸(外側に凹)の凹面224bが形成されている。なお、凹面224bは、断面が略半円となる形状である。
【0048】
凸面224aは、車両前後方向の中心を含む領域に形成されている。また、凹面(凹ビード)224bは、凸面224aのうち車両前後方向の中心を含む領域に形成されている。なお、凹面224bの車両前後方向の長さは、凸面224aの車両前後方向の長さに対して十分に小さい長さである。つまり、凹面224bは、凸面224aの中心の一部に形成されている。2つの凹面224cは、車両前後方向において凸面224aの中心から離れた側にそれぞれ配置されている。つまり、凸部224aは、車両前後方向の両端がそれぞれ凹面224cと連結している。2つの凹面224cは、車両前後方向の中心側の端部がそれぞれ凸面224aと連結し、中心から遠い側の端部がそれぞれフランジ部232と連結している。このように、凹凸部は、車両前後方向の端部から中心に向かってフランジ部232、凹面224c、中央に凹面224bが形成された凸面224aの順で配置され、端部から中心に向かうに従って、一旦内側に凸となり、さらに中心に向かうと外側に凸となる凹凸形状が形成されている。
【0049】
ここで、凸面224a、凹面224bおよび凹面224cが形成されている領域において、凸面224aと凹面224bとの距離(幅方向における距離)、凸面224aと凹面224cとの距離(幅方向における距離)および凹面224cとフランジ部232との距離(幅方向における距離)は、車両上下方向の上端から下側に向かうに従って徐々に長くなり、その後、徐々に短くなる。つまり、凹面224bは、図9に示すように、凸面224aから徐々に離れ、その後徐々に近づく形状である。また、凹面224cも、図9に示すように、凸面224aから徐々に離れ、その後近づく形状である。なお、図9に示す点線は、凹面224bを設けない場合のアウタリインフォース224の内側端部の位置を示す仮想線である。アウタリインフォース224は、ベルトライン近傍で凸面224aと凹面224bとの距離および凸面224aと凹面224cとの距離が最大となる。つまり、凹面224b、凹面224cの深さが最大となる。すなわち、ベルトライン近傍でアウタリインフォース224の加工量が最大となり最大剛性を保持する部位となる。
【0050】
アウタリインフォース224は、凹凸部として車両前後方向の両端部に内側に凸となる凹面224cを設けることで、ベルトライン近傍で最も外側の部分と最も内側の部分との距離(つまり凹凸の高さ)を最大とすることができる。これにより、アウタリインフォース124と同様の効果を得ることができる。
【0051】
さらに、アウタリインフォース224は、凹凸部として凸面224aの車両前後方向の中央部に内側に凸となる凹面224bを設けることで、凸面224aの曲げ剛性をより向上させることができる。具体的には、図11に示すように、凹面224bを設けていない点以外は、同一の形状であるアウタリインフォース250の場合(図7および図8に示すアウタリインフォース124と同様の形状の場合)では、許容される荷重の大きさが点線260で示す大きさであるが、アウタリインフォース224は、点線260よりもより大きい荷重を許容することができる。このように凹面224bを設けることで、断面における曲げ強度をさらに高くすることができる。これにより、側面衝突荷重が負荷されてもより変形しにくくなる。また、凹面224bは、凹凸の高さがベルトラインで最大となり、ベルトラインから車両上下方向に離れるに従って徐々に低くなる(最終的に凹面224bはなくなる)ため、曲げ剛性の分布を適切な分布とすることができる。これにより、センターピラー204は、上述したセンターピラー104と同様の効果をより好適に得ることができる。
【0052】
なお凹面224bは、深さをtとしたとき、車両前後方向の長さbを、b≦t/0.04とすることが好ましい。これにより、凹面224bが大きくなりすぎ、曲げ剛性が低下することを抑制することができる。
【0053】
(実施形態4)
次に、図12および図13を用いてセンターピラーの他の実施形態について説明する。ここで、図12は、他の実施形態に係るセンターピラーの正面図である。図13は、図12に示すセンターピラーの断面図である。なお、図12では、サイドメンバーアウターパネル321の図示を省略している。また、図13は、センターピラー304のベルトライン付近を切断した断面図である。図12および図13に示すセンターピラー304は、センターピラーアウタ321、センターピラーインナ322およびアウタリインフォース324を有する。センターピラーアウタ321は、車両前後方向の両端にフランジ部334を有し、センターピラーインナ322は、車両前後方向の両端にフランジ部330を有し、アウタリインフォース324は、車両前後方向の両端にフランジ部332を有する。また、センターピラーアウタ321、センターピラーインナ322、フランジ部330、332、334は、それぞれ、センターピラーアウタ121、センターピラーインナ122、フランジ部130、132、134と同様の構成であるので詳細な説明は省略する。
【0054】
アウタリインフォース324は、ピラー本体における前側のフランジ部と後側のフランジ部とを接続する補強部材として機能する。上述したようにアウタリインフォース324における前側および後側には、それぞれフランジ部332が設けられている。アウタリインフォース324は、前側に設けられたフランジ部332と後側に設けられたフランジ部332との間に、外側に向けて突出する突出部が形成されている。このように、アウタリインフォース324は、基本的にセンターピラー304の延在する方向と直交する断面形状が、外側に向けて突出するハット形状となっている。なお、突出部は、断面が曲線となる面である。
【0055】
次に、アウタリインフォース324の突出部について説明する。アウタリインフォース324は、図12および図13に示すように、車両上下方向の位置によって形状が変化する。具体的には、図12に示すように、センターピラー304の中腹の一部にフランジ部332よりも外側に凸となる複数(本実施形態では3つ)の凸面324aと、フランジ部332よりも内側に凸(外側に対して凹)となる2つの凹面324dと、で構成される凹凸部が形成されている。なお、凸面324aは、最も外側の位置が頂点324bとなる。また、複数の凸面324aは、互いに隣接しており、凸面324aと当該凸面324aに隣接する凸面324aと連結部324cで連結されている。なお、凹凸部は、一定の曲率の複数のビードで構成することができる。
【0056】
3つの凸面324aは、車両前後方向の中心を含む領域に車両前後方向に隣接して配置されている。また、上述したように凸面324aと当該凸面に隣接している凸面324aとは、連結部324cで連結されている。また、車両前後方向の端部に配置された凸面324aの中心から離れた側の端部は、凹面324dと連結している。2つの凹面324dは、車両前後方向において凸面324aの中心から離れた側にそれぞれ配置されている。つまり、2つの凹面324dは、車両前後方向の中心側の端部がそれぞれ凸面324aと連結し、中心から遠い側の端部がそれぞれフランジ部332と連結している。このように、凹凸部は、車両前後方向の端部から中心に向かってフランジ部332、凹面324d、複数の凸面324aの順で配置され、端部から中心に向かうに従って、一旦内側に凸となり、さらに中心に向かうと外側に凸となる凹凸形状が形成されている。また、凸面324aが車両前後方向に複数配置されているため、車両幅方向の位置は、凸面324aの頂点を通過したら内側移動し、連結部324cを通過し次の凸面324aとなると再び外側移動する。
【0057】
ここで、凸面324aおよび凹面324bが形成されている領域において、凸面324a(の頂点324b)と凹面324dとの距離(幅方向における距離)および凸面324aの頂点324bと連結部324cとの距離(幅方向における距離)は、車両上下方向の上端から下側に向かうに従って徐々に長くなり、その後、徐々に短くなる。つまり、凹面324bは、図12に示すように、凸面324aから徐々に離れ、その後徐々に近づく形状である。また、凸面324aも、図12に示すように、凸面324aの頂点が連結点324cから徐々に離れ、その後徐々に近づく形状である。なお、図12に示す点線は、凹面324dを設けない場合のアウタリインフォース324の内側端部の位置を示す仮想線である。アウタリインフォース324は、ベルトライン近傍で凸面324aと凹面324dとの距離および凸面324aの頂点324bと連結点324cとの距離が最大となる。つまり、凹面324dの深さが最大となり、各凸面324aの高さが最大となる。すなわち、ベルトライン近傍でアウタリインフォース324の加工量が最大となり最大剛性を保持する部位となる。
【0058】
アウタリインフォース324は、凹凸部として車両前後方向の両端部に内側に凸となる凹面324dを設けることで、ベルトライン近傍で最も外側の部分と最も内側の部分との距離(つまり凹凸の高さ)を最大とすることができる。これにより、アウタリインフォース124と同様の効果を得ることができる。
【0059】
さらに、アウタリインフォース324は、凹凸部の突出部として複数の凸面324aを設けることで、各凸面の円弧の大きさを小さくすることができ、凸面324aの曲げ剛性をより向上させることができる。これにより、側面衝突荷重が負荷されてもより変形しにくくなる。また、各凸面324aは、凹凸の高さがベルトラインで最大となり、ベルトラインから車両上下方向に離れるに従って徐々に低くなるため、曲げ剛性の分布を適切な分布とすることができる。これにより、センターピラー304は、上述したセンターピラー104と同様の効果をより好適に得ることができる。
【0060】
(実施形態5)
次に、図14および図15を用いてセンターピラーの他の実施形態について説明する。ここで、図14は、他の実施形態に係るセンターピラーの正面図である。図15は、図14に示すセンターピラーの断面図である。なお、図14では、サイドメンバーアウターパネル421の図示を省略している。また、図15は、センターピラー404のベルトライン付近を切断した断面図である。図14および図15に示すセンターピラー404は、センターピラーアウタ421、センターピラーインナ422およびアウタリインフォース424を有する。センターピラーアウタ421は、車両前後方向の両端にフランジ部434を有し、センターピラーインナ422は、車両前後方向の両端にフランジ部430を有し、アウタリインフォース424は、車両前後方向の両端にフランジ部432を有する。センターピラーインナ422は、車両上下方向の位置により凹凸形状が変化する凹凸形状(凸面と基準面)を備えない点を除いて、センターピラーインナ22と同様の構成である。また、センターピラーアウタ421、フランジ部430、432、434は、それぞれ、センターピラーアウタ21、フランジ部30、32、34と同様の構成であるので詳細な説明は省略する。
【0061】
アウタリインフォース424は、ピラー本体における前側のフランジ部と後側のフランジ部とを接続する補強部材として機能する。上述したようにアウタリインフォース424における前側および後側には、それぞれフランジ部432が設けられている。アウタリインフォース424は、前側に設けられたフランジ部432と後側に設けられたフランジ部432との間に、外側に向けて突出する突出部が形成されている。このように、アウタリインフォース424は、基本的にセンターピラー404の延在する方向と直交する断面形状が、外側に向けて突出するハット形状となっている。
【0062】
次に、アウタリインフォース424の突出部について説明する。アウタリインフォース424は、図14および図15に示すように、車両上下方向の位置によって形状が変化する。具体的には、図14に示すように、センターピラー404の中腹の一部に外側に凸となる凸面424aと内側に凸(外側に凹)となる凹面424bとが交互に配置された凹凸部が形成されている。なお、凹凸部は、一定の曲率の複数のビードで構成することができる。
【0063】
凸面424aは、車両前後方向の端部が凹面424bと連結している。また、凹面424bは、車両前後方向の端部が凸部424aと連結している。なお、凸面424aと凹面424bとの繰り返し形状の車両前後方向の両端部は、いずれも凸面424aが配置されており、繰り返し形状の車両前後方向の端部は、フランジ部422と連結している。このように、凹凸部は、車両前後方向の端部から中心に向かってフランジ部432、凸面424a、凹面424b、凸面424a、凹面424b、以下凸面424aと凹面424bの順で配置され、端部から中心に向かうに従って外側に凸となり、その後、凹面424bで内側に凸となり凸面424aで外側に凸となる形状が繰り返された凹凸形状が形成されている。
【0064】
ここで、凸面424aおよび凹面424bが形成されている領域において、凸面424aと凹面424bとの距離(幅方向における距離)は、車両上下方向の上端から下側に向かうに従って徐々に長くなり、その後、徐々に短くなる。つまり、凸面424aの最も外側の点と、凹面424bの最も内側の点とは、図14に示すように徐々に離れ、その後徐々に近づく形状である。アウタリインフォース424は、ベルトライン近傍で凸面424aと凹面424bとの距離が最大となる。つまり、凹凸の高さまたは深さが最大となる。すなわち、ベルトライン近傍でアウタリインフォース424の加工量が最大となり最大剛性を保持する部位となる。
【0065】
アウタリインフォース424は、凹凸部として凸面と凹面とが交互に複数配置された凹凸形状を設けることで、各凸面、凸面の円弧の大きさを小さくすることができ、凸面424aの曲げ剛性をより向上させることができる。また、凸面と凹面とを繋げる面が幅方向に延在する面となり、曲げ剛性をより向上させることができる。これにより、側面衝突荷重が負荷されてもより変形しにくくなる。また、凹凸の高さがベルトラインで最大となり、ベルトラインから車両上下方向に離れるに従って徐々に低くなるため、曲げ剛性の分布を適切な分布とすることができる。これにより、センターピラー404は、上述したセンターピラー4と同様の効果をより好適に得ることができる。
【0066】
なお、センターピラーの形状は、上記実施形態に限定されない。センターピラーは、上述した各種実施形態の構成を組み合わせた形状としてもよい。アウタリインフォースは、ベルトライン近傍で凹凸の幅方向における高さ、深さが最大となるように車両上下方向において形状を徐々に変化させた凹凸部を設けることで上記効果を得ることができる。なお、アウタリインフォースは、車両前後方向の中心がフランジ部よりも外側となる形状とすることが好ましい。このように、車両前後方向の中心をフランジ部よりも外側とすることで、側面衝突荷重が大きくなる部分をより外側とすることができ、曲げ剛性をより大きくすることができる。これにより、センターピラーをより曲がりにくく、かつ、座屈しにくくすることができる。また、凹面、凸面の形状は断面が直線となる形状、曲線となる形状に限定されず、曲線と直線とを組み合わせた形状としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように、本発明にかかる車両用センターピラーは、側面衝突荷重に対する耐力の向上に有用であり、特に、軽量化しつつ側面衝突荷重に対する耐力を向上することに適している。
【符号の説明】
【0068】
1 車両
4 センターピラー
21 センターピラーアウタ
22 センターピラーインナ
24 アウタリインフォース
30、32、34 フランジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の上下方向に延在し、前記車両の前後方向における前側および後側にそれぞれフランジ部を有し、2つの前記フランジ部に挟まれた部分が前記フランジ部よりも車両の外側に凸となるアウター部材と、
前記上下方向に延在し、前記前後方向における前側および後側にそれぞれ、前記アウター部材のフランジ部と係合するフランジ部を有し、前記アウター部材よりも車両の内側に配置されたインナー部材と、
前記アウター部材と前記インナー部材との間に配置され、前記車両の前後方向における前側および後側にそれぞれフランジ部を有し、2つの前記フランジ部に挟まれた部分の前後方向の中心が前記フランジ部よりも車両の外側にある補強部材と、を有し、
前記補強部材は、前記上下方向の上側から下側に向うに従って車両外側の端部と車両内側の端部との距離が徐々に大きくなり、ベルトライン付近で距離が最大となり、その後、距離が徐々に小さくなる凹凸部を有することを特徴とする車両用センターピラー。
【請求項2】
前記凹凸部は、前記上下方向の上側の端部が車両のベルトアンカの上側端部よりも上側にあることを特徴とする請求項1に記載の車両用センターピラー。
【請求項3】
前記凹凸部は、前記上下方向の上側の端部が車両のベルトアンカの上側端部の近傍にあることを特徴とする請求項1に記載の車両用センターピラー。
【請求項4】
前記凹凸部は、前記上下方向の下側の端部が車両のドアヒンジの上端よりも下側にあることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用センターピラー。
【請求項5】
前記凹凸部は、前記上下方向の下側の端部が車両のドアヒンジの上端の近傍にあることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用センターピラー。
【請求項6】
前記凹凸部は、前記前後方向の中心付近に形成され、前記車両外側に凸となる凸部を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用センターピラー。
【請求項7】
前記凹凸部は、複数の前記凸部が前記前後方向に連結して形成されていることを特徴とする請求項6に記載の車両用センターピラー。
【請求項8】
前記凹凸部は、前記前後方向の中心付近に形成され、前記車両内側に凸となる凹部を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用センターピラー。
【請求項9】
前記凹凸部は、前記前後方向の端部近傍の少なくとも一方に形成され、前記車両内側に凸となる端側凹部を含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の車両用センターピラー。
【請求項10】
車両の上下方向に延在するアウター部材とインナー部材とに挟持される補強部材を有し、
前記補強部材に形成された凸部の高さまたは凹部の深さをベルトライン付近で最大とし、前記ベルトラインから上側または下側に向かって前記凸部の高さまたは前記凹部の深さを減少させることを特徴とする車両用センターピラー。
【請求項11】
車両の上下方向に延在するアウター部材とインナー部材とに挟持される補強部材を有し、
前記補強部材に形成された凸部または凹部の加工量をベルトライン付近で最大とし、前記ベルトラインから上側または下側に向かって前記凸部または前記凹部の加工量を減少させることを特徴とする車両用センターピラー。
【請求項1】
車両の上下方向に延在し、前記車両の前後方向における前側および後側にそれぞれフランジ部を有し、2つの前記フランジ部に挟まれた部分が前記フランジ部よりも車両の外側に凸となるアウター部材と、
前記上下方向に延在し、前記前後方向における前側および後側にそれぞれ、前記アウター部材のフランジ部と係合するフランジ部を有し、前記アウター部材よりも車両の内側に配置されたインナー部材と、
前記アウター部材と前記インナー部材との間に配置され、前記車両の前後方向における前側および後側にそれぞれフランジ部を有し、2つの前記フランジ部に挟まれた部分の前後方向の中心が前記フランジ部よりも車両の外側にある補強部材と、を有し、
前記補強部材は、前記上下方向の上側から下側に向うに従って車両外側の端部と車両内側の端部との距離が徐々に大きくなり、ベルトライン付近で距離が最大となり、その後、距離が徐々に小さくなる凹凸部を有することを特徴とする車両用センターピラー。
【請求項2】
前記凹凸部は、前記上下方向の上側の端部が車両のベルトアンカの上側端部よりも上側にあることを特徴とする請求項1に記載の車両用センターピラー。
【請求項3】
前記凹凸部は、前記上下方向の上側の端部が車両のベルトアンカの上側端部の近傍にあることを特徴とする請求項1に記載の車両用センターピラー。
【請求項4】
前記凹凸部は、前記上下方向の下側の端部が車両のドアヒンジの上端よりも下側にあることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用センターピラー。
【請求項5】
前記凹凸部は、前記上下方向の下側の端部が車両のドアヒンジの上端の近傍にあることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用センターピラー。
【請求項6】
前記凹凸部は、前記前後方向の中心付近に形成され、前記車両外側に凸となる凸部を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用センターピラー。
【請求項7】
前記凹凸部は、複数の前記凸部が前記前後方向に連結して形成されていることを特徴とする請求項6に記載の車両用センターピラー。
【請求項8】
前記凹凸部は、前記前後方向の中心付近に形成され、前記車両内側に凸となる凹部を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用センターピラー。
【請求項9】
前記凹凸部は、前記前後方向の端部近傍の少なくとも一方に形成され、前記車両内側に凸となる端側凹部を含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の車両用センターピラー。
【請求項10】
車両の上下方向に延在するアウター部材とインナー部材とに挟持される補強部材を有し、
前記補強部材に形成された凸部の高さまたは凹部の深さをベルトライン付近で最大とし、前記ベルトラインから上側または下側に向かって前記凸部の高さまたは前記凹部の深さを減少させることを特徴とする車両用センターピラー。
【請求項11】
車両の上下方向に延在するアウター部材とインナー部材とに挟持される補強部材を有し、
前記補強部材に形成された凸部または凹部の加工量をベルトライン付近で最大とし、前記ベルトラインから上側または下側に向かって前記凸部または前記凹部の加工量を減少させることを特徴とする車両用センターピラー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−136190(P2012−136190A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290939(P2010−290939)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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