説明

車両用ドア

【課題】シール線が大きく湾曲したデザインを実現することを可能にするとともに、軽量化及びコストの低減を図ることを可能にする。
【解決手段】車体11に設けられたドア開ロ部15を開閉する車両用ドア20であって、車両用ドア20に、ドア本体部21と、ドア本体部21の上方に設けられるとともにドアガラス22が配置されるドアサッシュ部23と、ドア本体部21に設けられたラッチ機構24を操作するドアハンドル25と、を備え、ドアサッシュ部23が、ドア開ロ部15の上部15aに沿って延びるとともにドア本体部21と離間して配置され、ロール成形にて成形されたロールサッシュと、ロールサッシュ及びドア本体部21に接合されるとともにドアハンドル25が配置され、プレス成形にて成形されたハンドルブラケットと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアガラスが配置されるドアサッシュ部が設けられるとともに、ドアサッシュ部内にドアハンドルが設けられ、車体のドア開ロ部を開閉する車両用ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ドアは、ドア本体部と、ドア本体部の上方に設けられるドアサッシュ部と、ドア本体部及びドアサッシュ部を昇降するドアガラスと、が配置される。ドアサッシュ部は、上枠が構成される第1のサッシュ部と、後枠が構成される第2のサッシュ部と、これらの第1及び第2のサッシュ部が結合されたコーナ部が切り欠かれたカット部と、第1及び第2のサッシュ部に渡ってカット部に沿う輪郭を有するガーニッシュと、を備える。第1及び第2のサッシュ部は、ロール成形によって形成されたロールサッシュで形成されている。
【0003】
この車両用ドアによれば、第1及び第2のサッシュ部のコーナ部の曲がりの程度を任意に形成できるので、ドアサッシュ部の上端後部に所望の湾曲形状を付与することが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−36688公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1の車両用ドアは、ドアサッシュ部が、第1のサッシュ部で上枠を構成し、第2のサッシュ部で後枠を構成する。
ロール成形によって形成したロールサッシュは、大きく湾曲させることができない。すなわち、ドア開ロ部に取付けられたウェザストリップと当接するシール線が大きく湾曲している場合にはロールサッシュでは追従ができないことがある。そこで、ドアサッシュ部の部位で大きく湾曲させる部位を、プレス成形した2枚のパネルによる閉断面構造に形成することも考えられる。
しかし、ドアサッシュ部に、ハンドルブラケットを設け、このハンドルブラケットにドア本体を開閉するドアハンドルを設ける場合には、パネル枚数が増加してドアの重量が増し、コストの高騰を招く。
【0006】
本発明は、シール線が大きく湾曲したデザインを実現することができるとともに、ドアサッシュ部にドアハンドルを設ける場合にも、軽量化及びコストの低減を図ることができる車両用ドアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、車体に設けられたドア開ロ部を開閉する車両用ドアであって、車両用ドアに、ドア本体部と、ドア本体部の上方に設けられるとともにドアガラスが配置されるドアサッシュ部と、ドア本体部に設けられたラッチ機構を操作するハンドル装置と、を備え、ドアサッシュ部が、ドア開ロ部の上部に沿って延びるとともにドア本体部と離間して配置され、ロール成形にて成形されたロールサッシュと、ロールサッシュ及びドア本体部に接合されるとともにハンドル装置が取付けられ、プレス成形にて成形されたハンドルブラケットと、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、ドア開ロ部に、ウェザストリップを設け、ロールサッシュの車内面(車内側の面)にウェザストリップを当接させ、ハンドルブラケットに、ハンドル装置が取付けられる取付面から車内側に向かって絞られる(突出する)とともに、ロールサッシュの車内面と連続させたウェザストリップに当接するシール線設定部を備え、シール線設定部に、車外側から見て取付面から車内側に向かって凹む凹部を備え、ハンドル装置のドアハンドルを把持するための手入れ部が凹部に形成されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、ハンドルブラケットが、シール線設定部に設定されるシール基準線の両側に、ガーニッシュを取付ける取付面を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、ハンドルブラケットが、車内側に設けられプレス成形した第1のプレスパネルと、車外側に設けられプレス成形した第2のプレスパネルとから構成され、第1及び第2のプレスパネルで閉断面が形成されることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、第2のプレスパネルの前端を、第1のプレスパネルの前端よりも車体後方に位置させ、第2のプレスパネルの前端と第1のプレスパネルの前端との間に、ハンドル装置のドアハンドルを揺動自在に支持する支持機構と、ドアハンドルの動きをラッチ機構に伝える伝達部材と、が配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明では、車両用ドアで車体に設けられたドア開ロ部を開閉する。車両用ドアに、ドア本体部と、ドア本体部の上方に設けられるとともにドアガラスが配置されるドアサッシュ部と、ドア本体部に設けられたラッチ機構を操作するハンドル装置と、を備える。
ドアサッシュ部が、ドア開ロ部の上部に沿って延びるとともにドア本体部と離間して配置され、ロール成形にて成形されたロールサッシュと、ロールサッシュ及びドア本体部に接合されるとともにハンドル装置が取付けられ、プレス成形にて成形されたハンドルブラケットと、を備える。
すなわち、ロールサッシュとドア本体部とを、プレス成形にて成形されたハンドルブラケットで連結したので、シール線を大きく湾曲させたデザインの車両用ドアを実現することができる。
また、ハンドル装置が取付けられるハンドルブラケットを利用してドアサッシュ部を構成しているので、例えば、ドアサッシュ部に専用のパネルを設ける場合に比べて、車両用ドアの軽量化とコストの低減を図ることができる。
【0013】
請求項2に係る発明では、ドア開ロ部に、ウェザストリップを設け、ロールサッシュの車内面(車内側の面)にウェザストリップを当接させる。
ハンドルブラケットに、ハンドル装置が取付けられる取付面から車内側に向かって絞られる(突出する)とともに、ロールサッシュの車内面と連続させたウェザストリップに当接するシール線設定部を備える。
シール線設定部に、車外側から見て取付面から車内側に向かって凹む凹部を備え、ハンドル装置のドアハンドルを把持するための手入れ部が凹部に形成される。
すなわち、シール線設定部を形成するための絞り加工によって、ハンドルブラケットの取付面から車内側に向かって凹む凹部が形成される。その凹部を利用してハンドル装置にドアハンドルの手入れ部が形成されるので、ハンドルブラケットの構成を簡略化することができる。例えば、シール線設定部以外の箇所に手入れ部を設けるための凹部を設ける場合には、凹部とシール線設定部を別に形成しなくてはならないので、ハンドルブラケットが大型化する。
【0014】
請求項3に係る発明では、ハンドルブラケットが、シール基準線の両側に、ガーニッシュを取付ける取付面を備えるので、シール線設定部に設定されるシール基準線の両側にハンドルブラケットが広がることをガーニッシュで抑制することができる。
【0015】
請求項4に係る発明では、ハンドルブラケットが、車内側に設けられプレス成形した第1のプレスパネルと、車外側に設けられプレス成形した第2のプレスパネルとから構成される。第1及び第2のプレスパネルで閉断面が形成される。
例えば、ハンドルブラケットにガーニッシュを固定するためには、ガーニッシュ側にボルトをねじ込むボス等の固定部分が必要となる。固定部分を設ける空間に第2のプレスパネルを配置することができ、閉断面のためだけに車幅方向の厚みを増加することを回避できる。
第1及び第2のプレスパネルで閉断面が形成されるので、ドアサッシュ部の強度及び剛性を高めることができる。
【0016】
請求項5に係る発明では、第2のプレスパネルの前端を、第1のプレスパネルの前端よりも車体後方に位置させ、第2のプレスパネルの前端と第1のプレスパネルの前端との間に、ハンドル装置のドアハンドルを揺動自在に支持する支持機構と、ドアハンドルの動きをラッチ機構に伝える伝達部材と、が配置されるので、ドアハンドル廻りの車幅方向の厚みの増加を最小限に止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る車両用ドアが採用された車両を示す側面図である。
【図2】本発明に係る車両用ドアのドアハンドル廻りの側面図である。
【図3】図1に示された車両用ドアのドアサッシュ部の斜視図である。
【図4】図3に示された車両用ドアのドアサッシュ部のハンドルブラケットの車外側見た斜視図である。
【図5】図3に示された車両用ドアのドアサッシュ部のハンドルブラケットの車内側見た斜視図である。
【図6】図2の6−6線断面図である。
【図7】図2の7−7線断面図である。
【図8】図2に示された車両用ドアのガーニッシュの車内側から見た側面図である。
【図9】本発明に係る車両用ドアの比較検討図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0019】
図1〜図3に示されたように、車両10は、車体11の側部にドア開ロ部15が設けられ、このドア開ロ部15に開閉自在に取付けされる車両用ドア20を備える。ドア開ロ部15には、雨水をシールするウェザストリップ16(図6参照)と、車両用ドア20を係止するストライカ(不図示)と、が設けられる。
【0020】
車両用ドア20は、ドア本体部21と、ドア本体部21の上方に設けられるとともにドアガラス22が配置されるドアサッシュ部(ドア枠)23と、ドア本体部21に設けられたラッチ機構24を操作するドアハンドル25と、からなる。
ラッチ機構24は、ドア本体部21をドア開ロ部15側に設けられるストライカ(不図示)に係止する部材である。
【0021】
さらに、図6及び図7に示されたように、車両用ドア20には、ドア本体部21及びドアサッシュ部23に亘って設けられ、ドアガラス22をスライド可能に支持するランチャンネル27と、ドア本体部21及びドアサッシュ部23に亘って設けられ、雨水をシールする第1のドア枠側ウェザストリップ28と、ドア本体部21及びドアサッシュ部23に亘って設けられ、雨水をシールする第2のドア枠側ウェザストリップ29と、が設けられている。
【0022】
図2、図3に示されたように、ドアサッシュ部(ドア枠)23は、ドア開ロ部15(図1参照)の上部15aに沿って延びるロールサッシュ31と、ロールサッシュ31及びドア本体部21に接合され、ドアサッシュ部23の前部が構成される前部枠部32と、ロールサッシュ31及びドア本体部21に接合され、ドアサッシュ部23の後部が構成されるハンドルブラケット33と、ハンドルブラケット33に取付けられ、ドアハンドル25を揺動自在に支持するガーニッシュ34と、ハンドルブラケット33を車内12側から覆うライニング35と、を備える。
なお、ドアハンドル25、支持機構53(図8参照)を含むガーニッシュ34、後述する伝達部材54(図8参照)及びロッド75(図1参照)でハンドル装置36が構成される。
【0023】
ロールサッシュ31は、ドア開ロ部15の上部15aに沿って延びるとともにドア本体部21と離間して配置される。ロールサッシュ31は、ロール成形にて成形される。さらに、ロールサッシュ31は、車両用ドア20の閉状態でロールサッシュ31の車内面(車内側の面)31aがウェザストリップ16に当接する。
【0024】
図3〜図5に示されたように、ハンドルブラケット33は、車内12側に設けられプレス成形した第1のプレスパネル41と、車外側に設けられプレス成形した第2のプレスパネル42とから構成され、第1及び第2のプレスパネル41,42で閉断面43が形成される。すなわち、ハンドルブラケット33は、プレス成形にて成形され、ガーニッシュ34を介してドアハンドル25が配置されている。
【0025】
ハンドルブラケット33の第1のプレスパネル41は、ロールサッシュ31の車内面31aと連続してウェザストリップ16に当接させるシール基準線44aが設定されるシール線設定部44を備える。シール線設定部44は、ガーニッシュ34が取付けられる後方の取付面45から車内12側に向かって絞られて形成される。
【0026】
さらに、シール線設定部44のシール基準線44aは、ロールサッシュ31の車内面31aと連続させたウェザストリップ16に当接するラインである。
第1及び第2のプレスパネル41,42は、シール線設定部44に、車外側から見て後方の取付面45から車内12側に向かって凹む凹部48が形成される。図6に車体前後方向に関する凹部48の設定範囲S1が示される。
【0027】
ハンドルブラケット33は、シール線設定部44の前方にガーニッシュ34を取付ける前方の取付面46,47を備える。前方の取付面46,47は、上下に2カ所設けられる。すなわち、ハンドルブラケット33は、シール線設定部44のシール基準線44aの両側に、ガーニッシュ34を取付ける取付面45,46,47を備える。
【0028】
後方の取付面45は、第1のプレスパネル41にガーニッシュ34を取付ける取付ねじ(不図示)が貫通する小径孔45aが開けられ、第2のプレスパネル42にガーニッシュ34の第1の取付ボス57を貫通する大径孔45bが開けられる。
前方の取付面46,47は、第1のプレスパネル41にガーニッシュ34を取付ける取付ねじ(不図示)を貫通する小径孔46a,47aのみが開けられる。
【0029】
ハンドルブラケット33において、第2のプレスパネル42の前端42aは、第1のプレスパネル41の前端41aよりも車体後方に位置させた。第2のプレスパネル42の前端42aと第1のプレスパネル41の前端41aとの間に、ドアハンドル25(図2参照)をガーニッシュ34に揺動自在に支持する支持機構53(図8参照)と、ドアハンドル25の動きをラッチ機構24(図1参照)に伝える伝達部材54(図8参照)が配置される。
【0030】
言い換えれば、支持機構53及び伝達部材54は、シール線設定部44の凹部48に配置されている。ドアハンドル25及び伝達部材54は、ガーニッシュ34の裏面34bに揺動可能に支持されている。さらに、ラッチ機構24は、ドア本体部21に配置されている。
【0031】
すなわち、図6〜図8に示されたように、ガーニッシュ34は、ハンドルブラケット33を覆う意匠部品であるとともに、ドアハンドル25を揺動自在に支持し、ドアハンドル25を揺動自在に支持する支持機構53が形成され、ドアハンドル25の動きをラッチ機構24に伝える伝達部材54を備える機能部材でもある。
【0032】
詳細には、支持機構53は、ドアハンドル25を揺動自在に支持する支軸51と、支軸51をガーニッシュ34の裏面34bに支持する支持部55,55と、支軸51に設けられ、ドアハンドル25を車幅外方に指向するように付勢するトーションばね52a,52bと、から構成されている。
【0033】
伝達部材54は、ガーニッシュ34に固定される軸部71と、この軸部71に回転自在に嵌合するとともに、トーションばね72で軸部71を中心に周方向に付勢されたレバー部73と、このレバー部73に設けられた作動ピン74と、ドアハンドル25に設けられた後述する下の延出部65の当接部65aに摺動する摺動部67と、からなる。図8において、レバー部73は、反時計廻りに付勢されている。なお、作動ピン74はロッド75を介してラッチ機構24と接続する。
ドアハンドル25を紙面の裏面方向に回動させることで、伝達部材54を時計方向に回転させラッチ機構24をアンラッチ状態にする。
【0034】
ドアハンドル25は、平面断面で略U字状に形成されるハンドル本体63と、このハンドル本体63の裏側63aから延出され、支軸51に揺動自在に取付けられる上下の延出部64,65と、が設けられる。ハンドル本体63には、ドアハンドル25側の手入れ部分となるハンドル側凹部66が形成される。下の延出部65には、伝達部材54の摺動部67に当接するとともに摺動してドアハンドル25の動きを伝達部材54に伝える当接部65aが形成される。
【0035】
ガーニッシュ34には、支軸51を支持する支持部55,55と、伝達部材54を回転自在に取付ける取付部56と、ハンドルブラケット33の後方の取付面45に取付けられる第1の取付ボス57と、ハンドルブラケット33の前方の取付面46,47にそれぞれ取付けられる第2及び第3の取付ボス58,59と、ドアハンドル25を操作するために、ガーニッシュ34の表面34a側に手を差し込むための手入れ部61と、ドアハンドル25の上下の延出部64,65を差し込む上開口62a及び下開口62bと、が形成される。
なお、手入れ部61は、ハンドルブラケット33の凹部48にガーニッシュ34を沿わせて凹状に形成される部分である。
上記に説明したように、ハンドル装置は、ドアハンドル25、ガーニッシュ34、伝達部材54及びロッド75を主要構成とする装置である。
【0036】
図9(a)に示される比較例の車両用ドア120は、ドア本体部121と、ドア本体部121の上方に設けられるとともにドアガラス122が配置されるドアサッシュ部(ドア枠)123と、から構成される。車両用ドア120では、ウェザストリップ(不図示)のシール基準線124aが、車両用ドア120の外形に近似しているので、ドアサッシュ部123の上部が形成されるロールサッシュ125を、ドア本体部121の後部まで延ばすことが可能であった。
【0037】
図9(b)に示される実施例の車両用ドア20は、ドアサッシュ部(ドア枠)23の後部で大きく曲げられた意匠を有する。従って、ウェザストリップ16(図6参照)に当接させるシール基準線44aも、大きく曲げられている。ロール成形にて成形されたロールサッシュ31では、大きく曲げ形成することはできない。そこで、ドアサッシュ部(ドア枠)23の後部に、プレス成形された第1及び第2のプレスパネル41,42とから構成されたハンドルブラケット33を設けた。これにより、ロールサッシュ31と同等の剛性を確保しつつ、デザインの自由度との両立を図ることができる。
【0038】
図1〜図3に示されたように、車両用ドア20は、車体11に設けられたドア開ロ部15を開閉する。車両用ドア20に、ドア本体部21と、ドア本体部21の上方に設けられるとともにドアガラス22が配置されるドアサッシュ部23と、ドア本体部21に設けられたラッチ機構24を操作するハンドル装置36(ドアハンドル25)と、を備える。
【0039】
ドアサッシュ部23が、ドア開ロ部15の上部15aに沿って延びるとともにドア本体部21と離間して配置され、ロール成形にて成形されたロールサッシュ31と、ロールサッシュ31及びドア本体部21に接合されるとともにハンドル装置36(ドアハンドル25)が取付けられ、プレス成形にて成形されたハンドルブラケット33と、を備える。
すなわち、ロールサッシュ31とドア本体部21とを、プレス成形にて成形されたハンドルブラケット33で連結したので、シール線を大きく湾曲させたデザインの車両用ドア20を実現することができる。
【0040】
また、ハンドル装置36(ドアハンドル25)が取付けられるハンドルブラケット33を利用してドアサッシュ部23を構成しているので、例えば、ドアサッシュ部23専用のパネルを設ける場合に比べて、車両用ドア20の軽量化とコストの低減を図ることができる。
【0041】
図5、図6に示されたように、車両用ドア20では、ドア開ロ部15に、ウェザストリップ16を設け、ロールサッシュ31の車内面(車内側の面)31aにウェザストリップ16を当接させる。
ハンドルブラケット33に、ハンドル装置36が取付けられる取付面45(詳細には、ドアハンドル25を支持するガーニッシュ34が取付けられ、ガーニッシュ34が取付けられる後方の取付面45)から車内12側に向かって絞られる(突出する)とともに、ロールサッシュ31の車内面31aと連続させたウェザストリップ16に当接するシール線設定部44を備える。
【0042】
シール線設定部44に、車外側から見て後方の取付面45から車内12側に向かって凹む凹部48を備え、ハンドル装置36のドアハンドル25を把持するための手入れ部61が凹部に形成される。詳細には、ガーニッシュ34を凹部48に沿わせて凹状に形成し、ガーニッシュ34にドアハンドル25の手入れ部61が形成される。
【0043】
すなわち、シール線設定部44を形成するための絞り加工によって、ハンドルブラケット33の後方の取付面45から車内12側に向かって凹む凹部48が形成される。その凹部48を利用してハンドル装置36に(ガーニッシュ34に)ドアハンドル25の手入れ部61が形成されるので、ハンドルブラケット33の構成を簡略化することができる。例えば、シール線設定部44以外の箇所に手入れ部61を設けるための凹部48を設ける場合には、凹部48とシール線設定部44を別に形成しなくてはならないので、ハンドルブラケット33が大型化する。
【0044】
図4に示されたように、車両用ドア20では、ハンドルブラケット33が、シール線設定部44の前方にガーニッシュ34を取付ける前方の取付面46,47を備え、シール線設定部44に設定されるシール基準線44aの両側に、ガーニッシュ34(図2参照)を取付ける取付面を備えるので、シール基準線44aの両側にハンドルブラケット33が広がることをガーニッシュ34で抑制することができる。
【0045】
図6に示されたように、車両用ドア20では、ハンドルブラケット33が、車内12側に設けられプレス成形した第1のプレスパネル41と、車外側に設けられプレス成形した第2のプレスパネル42とから構成される。第1及び第2のプレスパネル41,42で閉断面43が形成される。
【0046】
例えば、ハンドルブラケット33にガーニッシュ34を固定するためには、ガーニッシュ34側にボルトをねじ込むボス等の固定部分が必要となる。固定部分を設ける空間に第2のプレスパネル42を配置することができ、閉断面43のためだけに車幅方向の厚みを増加することを回避できる。
第1及び第2のプレスパネル41,42で閉断面43が形成されるので、ドアサッシュ部23の強度及び剛性を高めることができる。
【0047】
図4及び図8に示されたように、車両用ドア20では、第2のプレスパネル42の前端42aを、第1のプレスパネル41の前端41aよりも車体後方に位置させ、第2のプレスパネル42の前端42aと第1のプレスパネル41の前端41aとの間に、ハンドル装置36のドアハンドル25を(ガーニッシュ34)に揺動自在に支持する支持機構53と、ドアハンドル25の動きをラッチ機構24(図1参照)に伝える伝達部材54と、が配置されるので、ドアハンドル25廻りの車幅方向の厚みの増加を最小限に止めることができる。
【0048】
尚、本発明に係る車両用ドアは、図4に示すように、ハンドルブラケット33が、車内側に設けられプレス成形した第1のプレスパネル41と、車外側に設けられプレス成形した第2のプレスパネル42とから構成されたが、これに限るものではなく、1枚のパネルで構成することを妨げるものではない。
【0049】
本発明に係る車両用ドアは、図8に示すように、支持機構53は、支軸51、トーションばね52a,52b及び支持部55,55であったが、これに限るものではなく、その他、ドアハンドル25の付帯部品を含むものであってもよい。
【0050】
また、本発明に係る車両用ドアは、図6に示すように、伝達部材54は、支軸71、トーションばね72及び作動ピン74から構成されたが、これに限るものではなく、ドアハンドル25の動きをラッチ機構24に伝達するための部品であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る車両用ドアは、ドアサッシュ部(ドア枠)内に車両用ドアを開閉するドアハンドルを設ける車両に採用するのに好適である。
【符号の説明】
【0052】
11…車体、12…車内、15…ドア開ロ部、15a…上部、16…ウェザストリップ、20…車両用ドア、21…ドア本体部、22…ドアガラス、23…ドアサッシュ部、24…ラッチ機構、25…ドアハンドル、31…ロールサッシュ、31a…車内面(車内側の面)、34…ガーニッシュ、33…ハンドルブラケット、36…ハンドル装置、41…第1のプレスパネル、41a…前端、42…第2のプレスパネル、42a…前端、43…閉断面、44…シール線設定部、44a…シール基準線、45…後方の取付面、46,47…前方の取付面、48…凹部、54…伝達部材、53…支持機構、61…手入れ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に設けられたドア開ロ部を開閉する車両用ドアであって、
前記車両用ドアは、ドア本体部と、前記ドア本体部の上方に設けられるとともにドアガラスが配置されるドアサッシュ部と、前記ドア本体部に設けられたラッチ機構を操作するハンドル装置と、を備え、
前記ドアサッシュ部は、ドア開ロ部の上部に沿って延びるとともに前記ドア本体部と離間して配置され、ロール成形にて成形されたロールサッシュと、前記ロールサッシュ及び前記ドア本体部に接合されるとともに前記ハンドル装置が取付けられ、プレス成形にて成形されたハンドルブラケットと、を備えることを特徴とする車両用ドア。
【請求項2】
前記ドア開ロ部に、ウェザストリップを設け、前記ロールサッシュの車内面にウェザストリップを当接させ、
前記ハンドルブラケットは、前記ハンドル装置が取付けられる取付面から車内側に向かって絞られるとともに、前記ロールサッシュの車内面と連続させた前記ウェザストリップに当接するシール線設定部を備え、
前記シール線設定部は、車外側から見て前記取付面から車内側に向かって凹む凹部を備え、前記ハンドル装置のドアハンドルを把持するための手入れ部が前記凹部に形成されることを特徴とする請求項1記載の車両用ドア。
【請求項3】
前記ハンドルブラケットは、前記シール線設定部に設定されるシール基準線の両側に、前記ガーニッシュを取付ける前記取付面を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用ドア。
【請求項4】
前記ハンドルブラケットは、車内側に設けられプレス成形した第1のプレスパネルと、車外側に設けられプレス成形した第2のプレスパネルとから構成され、前記第1及び第2のプレスパネルで閉断面が形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の車両用ドア。
【請求項5】
前記第2のプレスパネルの前端は、前記第1のプレスパネルの前端よりも車体後方に位置させ、
前記第2のプレスパネルの前端と前記第1のプレスパネルの前端との間に、前記ハンドル装置のドアハンドルを揺動自在に支持する支持機構と、前記ドアハンドルの動きを前記ラッチ機構に伝える伝達部材と、が配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車両用ドア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−66722(P2012−66722A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213885(P2010−213885)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】