説明

車両用パワーユニット

【課題】エンジン及びトランスアクスルを有するパワーユニットの耐久性及び生産性を改善する。
【解決手段】車両の駆動源となるエンジン2と、駆動輪に接続されるトランスアクスル3と、エンジン2とトランスアクスル3との間に連結され、エンジン2から出力される回転動力をトランスアクスル3に伝達する無段変速機(動力伝達装置)4と、エンジン2及びトランスアクスル3の両方の下面を覆った状態で、エンジン2及びトランスアクスル3に固定されるベースプレート5とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低速走行するゴルフカート等の車両に搭載されるパワーユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴルフカート等の車両において減速ギアとディファレンシャルギアと車軸とを一体化したトランスアクスルが搭載されたものが知られている。例えば、特許文献1に記載のゴルフカートでは、車軸を左右に向けて配置したトランスアクスルと、該トランスアクスルの前側に配置されたエンジンとが、パイプフレーム等により支持された状態で車体に搭載されている。また、特許文献2に記載の車両では、側面視でL字型に屈曲した板状の支持部材によりエンジンが下方から保持されており、エンジンの後側に配置されたトランスアクスルは支持部材のリアパネル部にボルトで締結されている。
【特許文献1】米国特許第4,821,827号公報
【特許文献2】米国特許第5,915,495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、1本のパイプフレームを屈曲させて取り回すのは難しいため、複数のパイプフレームを互いに溶接する必要が生じて生産性が良くないと共に、部品点数も多くなる傾向がある。さらに、パイプフレームは隙間が多くなるため、エンジン及びトランスアクスルを保護する役目も十分に果たすことができない。
【0004】
また、特許文献2に記載の構成では、板状の支持部材はエンジンの下方にしか存在せず、トランスアクスルの下方は開放されているため、車両走行中における下方からの障害物等がトランスアクスルの下面に接触してトランスアクスルが保護されず、耐久性が良いとはいえない。
【0005】
そこで、本発明は、エンジン及びトランスアクスルを有するパワーユニットの耐久性及び生産性を改善することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上述のような事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係る車両用パワーユニットは、車両の駆動源となるエンジンと、駆動輪に接続されるトランスアクスルと、前記エンジンと前記トランスアクスルとの間に連結され、前記エンジンから出力される回転動力を前記トランスアクスルに伝達する動力伝達装置と、前記エンジン及び前記トランスアクスルの両方の下面を覆った状態で、前記エンジン及び前記トランスアクスルに固定されるベースプレートとを備えていることを特徴とする。
【0007】
このようにすると、エンジンとトランスアクスルを一体的に固定するためにパイプフレームではなく板状のベースプレートを用いるため、生産性が良好となる。さらに、板状のベースプレートは、エンジンの下面だけでなくトランスアクスルの下面も覆っているので、車両走行中における下方からの障害物等がトランスアクスルの下面に触れることがなく、耐久性も良好となる。
【0008】
前記ベースプレートは、前記エンジン及び前記トランスアクスルの下面を覆う平面状の底壁部と、該底壁部の両端部からそれぞれ上方に突出する側壁部とを有していてもよい。
【0009】
このようにすると、底壁部と各側壁部とによりベースプレートが断面凹形状となるため、単なる平板に比べてベースプレートの剛性を向上することができる。
【0010】
前記エンジン、前記トランスアクスル及び前記ベースプレートに側方から固定されるサイドプレートをさらに備え、前記エンジンの出力軸と前記トランスアクスルの入力軸は同方向の側方に突出しており、前記サイドプレートは、前記出力軸及び前記入力軸がそれぞれ挿通される挿通部を有していてもよい。
【0011】
このようにすると、エンジンとトランスアクスルとベースプレートとがサイドプレートにより互いに連結されることとなるので、パワーユニット全体の剛性を向上することができる。さらに、エンジンの出力軸とトランスアクスルの入力軸との軸間距離がサイドプレートにより位置合わせされるので、出力軸及び入力軸に対して動力伝達装置を容易かつ確実に取り付けることができる。
【0012】
前記サイドプレートは打抜加工された平板であってもよい。
【0013】
このようにすると、サイドプレートは平板であり打抜加工により簡単に製作することができるので、製造コストを低減することができる。かつ、サイドプレートは平板状であるため、サイドプレートの平面方向(面に平行な方向)についてパワーユニットの剛性を高めることができる。
【0014】
前記エンジンからの動力で発電するジェネレータをさらに備え、前記エンジンの出力軸のプーリーと、前記ジェネレータの入力軸のプーリーとに伝達ベルトが巻き掛けられており、前記ジェネレータは、前記エンジンと前記トランスアクスルとを連結するジェネレータブラケットと、前記サイドプレートとに固定されていてもよい。
【0015】
このようにすると、エンジンとトランスアクスルとがジェネレータブラケットを介して連結されていると共に、そのジェネレータブラケットに固定されるジェネレータがサイドプレートに固定されているので、パワーユニット全体として剛性を高めることができる。
【0016】
前記ジェネレータは、前記ジェネレータブラケットと前記サイドプレートとに同一軸線上で回動可能に枢支されており、前記伝達ベルトに張力が加わる方向に前記軸線を支点として前記ジェネレータを回動させるように付勢するテンショナーをさらに備えていてもよい。
【0017】
前記テンショナーは、前記サイドプレート及び前記エンジンに連結されたサイドブラケットと、前記サイドブラケットから伸縮調節可能に突出する伸縮ロッドとを有し、前記伸縮ロッドは前記ジェネレータに接続され、前記伸縮ロッドの伸縮により前記ジェネレータが回動する構成であってもよい。
【0018】
このようにすると、伸縮ロッドのサイドブラケットからの突出量を調節するだけで、ジェネレータが回動してエンジンの出力軸とジェネレータの入力軸との間の距離が変わるので、容易に伝達ベルトの張力を調節することができる。
【0019】
車体フレームと連結するために前記ベースプレートに固定されるジョイントブラケットをさらに備え、前記ジョイントブラケットは、左右一対の前記各側壁部を連結するように設けられていてもよい。
【0020】
このようにすると、ベースプレートの左右の側壁部がジョイントブラケットにより連結されるので、ベースプレートの剛性を高めることができる。かつ、ジョイントブラケットはベースプレートと別体であり、車体フレーム側の構造・位置等に変更があってもジョイントブラケットのみを変更すれば対応できるので、設計変更等に対するフレキシビリティも向上する。
【0021】
前記エンジンにエキゾーストパイプを介して接続されるマフラーをさらに備え、前記マフラーはマフラーブラケットで前記ベースプレート及び/又は前記トランスアクスルに連結されており、前記マフラーブラケットはバネ性を有する屈曲形状に形成されていてもよい。
【0022】
このようにすると、排気ガスの熱によりエキゾーストパイプが熱変形を起こしても、マフラーをベースプレート及び/又はトランスアクスルに連結するマフラーブラケットがバネ性を有するので、マフラーブラケットで負荷が吸収され、エキゾーストパイプに過度な負荷が掛かることを防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、エンジンとトランスアクスルを一体的に固定するために板状のベースプレートを用いるため、生産性が良好となる。さらに、板状のベースプレートは、エンジンの下面だけでなくトランスアクスルの下面も覆っているので、車両走行中における下方からの障害物等がトランスアクスルの下面に触れることがなく、耐久性も良好となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
【0025】
図1は本発明の実施形態に係る車両用パワーユニット1の斜視図である。図2は図1に示す車両用パワーユニット1の平面図である。図3は図1に示す車両用パワーユニット1の右側面図である。図4は図1に示す車両用パワーユニット1の左側面図である。図1乃至図4に示すように、ゴルフカート等の低速走行車両(図示せず)に搭載されるパワーユニット1は、車両の駆動源となるエンジン2と、駆動輪(図示せず)に接続されるトランスアクスル3と、エンジン2とトランスアクスル3との間に連結されてエンジン2から出力される回転動力をトランスアクスル3に伝達する動力伝達装置である無段変速機(CVT)4とを備えている。
【0026】
エンジン2は、出力軸(クランクシャフト)10が右側方に突出したクランクケース6と、クランクケース6から斜め前方に突出したシリンダブロック7と、シリンダブロック7の上部に設けられたシリンダヘッド8と、シリンダヘッド8の上部に設けられたヘッドカバー9とを備えている。
【0027】
トランスアクスル3は、入力軸14がエンジン2の出力軸10と同方向の右側方に突出したギアボックス11と、ギアボックス11から左右側方に突出する車軸管12と、車軸管12の中を通る車軸12’と、車軸12’の先端に設けられて駆動輪(図示せず)に接続されるブレーキユニット13とを備え、エンジン2の後方に配置されている。ギアボックス11には、入力軸14に連結された減速ギア(図示せず)と、減速ギアの回転動力を車軸12’に伝達するディファレンシャルギア(図示せず)とが内蔵されている。
【0028】
無段変速機4は、エンジン2の出力軸10に取り付けられた駆動プーリー17と、トランスアクスル3の入力軸14に取り付けられた従動プーリー18と、駆動プーリー17と従動プーリー18に巻き掛けられた伝達ベルト19とを備え、エンジン2からの回転動力を変速してトランスアクスル3に伝達する構成となっている。
【0029】
トランスアクスル3のギアボックス11及びエンジン2には、金属製の板状のベースプレート5がトランスアクスル3のギアボックス11とエンジン2の両方の下面を覆った状態で、ボルトB1,B2で固定されている。
【0030】
図5は図1に示す車両用パワーユニット1のベースプレート5の斜視図である。図5に示すように、ベースプレート5は、エンジン2及びトランスアクスル3のギアボックス11の下面を覆う平面状の底壁部5aと、底壁部5aの左端の前部から上方に突出する第1左側壁部5b1と、底壁部5aの左端の後部から上方に突出する第2左側壁部5b2と、底壁部5aの右端の全長にわたって上方に突出する右側壁部5cとを有している。底壁部5aには、エンジン2をボルト固定するためのボルト孔5fと、開口5j,5kとが設けられている。右側壁部5cの前部には、後述するサイドプレート32を固定するための一対の長穴であるボルト孔5hが設けられている。右側壁部5cの後部及び第2左側壁部5b2には、トランスアクスル3を固定するためのボルト孔5gが設けられている。また、第2左側壁部5b2には後述する第1マフラーブラケット44(図9)を固定するための長穴であるボルト孔5iが設けられている。右側壁部5c及び第1左側壁部5b1の前端部には、互いに近接する方向に折り曲げ加工された取付部5d,5eが形成されており、その取付部5d,5eには後述するジョイントブラケット34を固定するためのボルト孔5m,5nが設けられている。なお、一方のボルト孔5mは寸法公差吸収用の長穴となっている。
【0031】
図1乃至図5に示すように、車体フレーム(図示せず)と連結するための金属製のジョイントブラケット34がベースプレート5の取付部5d,5eにボルトB9で固定されている。ジョイントブラケット34は、右側壁部5cの取付部5eと、第1左側壁部5b1の取付部5dとを連結するようにボルト固定される垂直板部34aと、垂直板部34aの上端中央より水平方向前方に突出する連結板部34bとを有している。
【0032】
また、エンジン2とトランスアクスル3との間の領域の上方にはスタータモータを兼ねたジェネレータ21が設けられている。ジェネレータ21は、その右側方に突出する入力軸22に第2の従動プーリー23が設けられている。また、エンジン2の出力軸10には第2の駆動プーリー20が設けられている。そして、第2の駆動プーリー20と第2の従動プーリー23には伝達ベルト24が巻き掛けられて、エンジン2からの回転動力の一部がジェネレータ21に伝達される構成となっている。
【0033】
エンジン2のシリンダヘッド8には第1エキゾーストパイプ28の上流端が接続されており、左側の車軸管12の前方であってベースプレート5の後部の左側に縦配置されたマフラー29の上面に第1エキゾーストパイプ28の下流端が接続されている。そして、マフラー29の上面には第2エキゾーストパイプ30の上流端が接続されており、その下流端がマフラー29の下部近傍まで延設されている。また、エンジン2の左側には空冷ファン36(図4)が設けられている。
【0034】
図6は図1に示す車両用パワーユニットの無段変速機4及びジェネレータ21を外した状態の斜視図である。図6に示すように、打抜加工された金属製の平板状のサイドプレート32が、エンジン2、トランスアクスル3及びベースプレート5に右側方から固定されている。サイドプレート32は、ベースプレート5の右側壁部5cの前部にボルトB3で固定されており、その固定位置からトランスアクスル3に向けて斜め上後方に延在している。サイドプレート32は、エンジン2の出力軸10を遊びをもたせた状態で挿通し且つ位置合わせする貫通穴(挿通部)32aと、トランスアクスル3の入力軸14を遊びをもたせた状態で挿通し且つ位置合わせする切欠部(挿通部)32bを有している。
【0035】
貫通穴32aの周囲の4箇所がボルトB4でエンジン2の右側壁に固定されており、切欠部32bの周囲の2箇所がスタッドB5及びナットでトランスアクスル3の右側壁に固定されている。即ち、エンジン2、トランスアクスル3及びベースプレート5のうちサイドプレートがボルト固定される各被固定部(ボルト取付部)が同一平面上に配置されている。
【0036】
エンジン2とトランスアクスル3との間の左上側において、エンジン2の上部とトランスアクスル3の上部とを連結する金属製のジェネレータブラケット38が設けられている。ジェネレータブラケット38は、ボルトB6でエンジン2と固定されていると共にボルトB7でトランスアクスル3のギアボックス11と固定されている。ジェネレータ21は、ジェネレータブラケット38にボルトB8で回動可能に固定されていると共に、サイドプレート32にボルトB9で回動可能に固定されている。その際、ボルトB8とボルトB9とは左右方向の同一軸線上に配置されており、ジェネレータ21はジェネレータブラケット38とサイドプレート32とに同一軸線上で回動可能に枢支されている。
【0037】
また、エンジン2とトランスアクスル3との間の右上側において、サイドプレート32とエンジン2とを連結する金属製のサイドブラケット40が設けられている。サイドブラケット40は、その一端部がボルトB10によりサイドプレート32の前後方向中央の上部に固定されていると共に、他端部がボルトB11によりエンジン2に固定されている。サイドブラケット40には、ダブルナット42により伸縮調節可能に突出するL字状の伸縮ロッド41が取り付けられており、伸縮ロッド41の先端部がジェネレータ21に接続されている。即ち、サイドブラケット40と伸縮ロッド41とダブルナット42とでテンショナー39が構成されており、伸縮ロッド41を伸長させることにより、ジェネレータ21が回動して、伝達ベルト24に張力が付与される。
【0038】
図7は図1に示す車両用パワーユニット1のジェネレータ21及びテンショナー39を表す右側面図である。図8は図1に示す車両用パワーユニットのジェネレータ及びテンショナーを表す正面図である。図7及び図8に示すように、ジェネレータ21は、その左右両側面に下方に突出する支持フランジ25を有している。左側の支持フランジ25がボルトB8によりジェネレータブラケット38に回動可能に固定されており、右側の支持フランジ25がボルトB9によりサイドプレート32に回動可能に固定されている。また、ジェネレータ21の右側面には前方に突出する突出部26が設けられており、その突出部26にテンショナー39の伸縮ロッド41が接続されている。
【0039】
詳しくは、テンショナー39は、サイドブラケット40と、伸縮ロッド41と、ダブルナット42とを備えている。サイドブラケット40は、サイドプレート32に固定するためのボルト孔40dを有する垂直板部40aと、垂直板部40aの上端から左右方向内側に突出して長孔40eを有する水平板部40bと、水平板部40bの内端部から斜め前上方に突出してエンジン2に固定するための長穴のボルト孔40fを有する垂直板部40cとを備えている。伸縮ロッド41は、垂直棒部41aと、垂直棒部41aの上端から左右方向の外側に突出した水平棒部41bとを有しており、垂直棒部41aの下端側の外周面には雄ネジ部41cが刻設されている。伸縮ロッド41の垂直棒部41aは、サイドブラケット40の水平板部40bの長孔40eに挿入された状態で、その雄ネジ部41cにダブルナット42が螺着されている。また、伸縮ロッド41の水平棒部41bの先端は、ジェネレータ21の突出部26に固定されている。よって、ダブルナット42を回して伸縮ロッド41のサイドブラケット40からの上方への突出量を調節させることで、ジェネレータ21がボルトB8,B9を支点として回動し、伝達ベルト24に張力を付与することが可能となる。
【0040】
図9は図1に示す車両用パワーユニット1の主にマフラー29及びベースプレート5を表す斜視図である。図10は図1に示す車両用パワーユニット1の主にマフラー29を表す斜視図である。図9及び図10に示すように、マフラー29は円筒状であり、ベースプレート5の後部の左側において、長手方向が上下方向となるように(中心線が上下方向に向くように)縦配置されている。マフラー29の上面には、第1エキゾーストパイプ28の下流端と、第2エキゾーストパイプ30の上流端が接続されており、第2エキゾーストパイプ30の排出口となる下流端がマフラー29の下部近傍まで延設されている。マフラー29は、下側の金属製の第1マフラーブラケット44でベースプレート5の第2左側壁部5b2のボルト孔5iにボルトB12で締結されている。また、マフラー29は、上側の金属製の第2マフラーブラケット45でトランスアクスル3のギアボックス11にボルトB13で締結されている。
【0041】
第1マフラーブラケット44は、マフラー29とベースプレート5との間で余長をもたせるように平面視で略U字状に屈曲しており、バネ性を有する形状となっている。第2マフラーブラケット45は、マフラー29とトランスアクスル3のギアボックス11との間で余長をもたせるように平面視で若干屈曲していると共に、その先端側が側面視で略U字形状となっており、バネ性を有する形状となっている。なお、マフラー29は、第1・第2マフラーブラケット44,45により、ベースプレート5とトランスアクスル2の両方に固定しているが、いずれか一方にのみ固定してもよい。
【0042】
以上の構成とすれば、エンジン2とトランスアクスル3を一体的に固定するためにパイプフレームではなく板状のベースプレート5を用いるため、生産性が良好となる。さらに、板状のベースプレート5は、エンジン2の下面だけでなくトランスアクスルのギアボックス11の下面も覆っているので、車両走行中における下方からの障害物等がトランスアクスル3のギアボックス11の下面に触れることがなく、耐久性も良好となる。
【0043】
また、ベースプレート5は、底壁部5aと各側壁部5b1,5b2,5cとによりベースプレート5が断面凹形状となるため、単なる平板に比べてベースプレート5の剛性が向上する。
【0044】
さらに、エンジン2とトランスアクスル3とベースプレート5とがサイドプレート32により互いに連結されているので、パワーユニット1全体の剛性が向上する。かつ、エンジン2の出力軸10とトランスアクスル3の入力軸14との軸間距離がサイドプレート32により位置合わせされるので、出力軸10及び入力軸14に対して無段変速機4を容易かつ確実に取り付けることができる。そして、サイドプレート32は平板であるので、打抜加工により簡単に製作することができるので、製造コストを低減できると共に、サイドプレート32の平面方向についてパワーユニット1全体の剛性が向上する。
【0045】
また、エンジン2とトランスアクスル3とがジェネレータブラケット38を介して連結されていると共に、そのジェネレータブラケット38に固定されるジェネレータ21がサイドプレート32に固定されているので、パワーユニット1全体の剛性が向上する。
【0046】
さらに、ベースプレート5の左右の側壁部5b1,5cがジョイントブラケット34により連結されるので、ベースプレート5の剛性がさらに向上する。かつ、ジョイントブラケット34はベースプレート5と別体であり、車体フレーム側の構造・位置等に変更があってもジョイントブラケット34のみを変更すれば対応できるので、設計変更等に対するフレキシビリティも向上する。
【0047】
また、排気ガスの熱によりエキゾーストパイプ28が熱変形を起こしても、マフラー29をベースプレート5及びトランスアクスル3に連結するマフラーブラケット44,45がバネ性を有しているので、マフラーブラケット44,45で負荷が吸収され、エキゾーストパイプ28に過度な負荷が掛かることが防止される。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明に係る車両用パワーユニットは、生産性及び耐久性が良好となる優れた効果を有し、この効果の意義を発揮できるゴルフカート等の低速走行車両等に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用パワーユニットの斜視図である。
【図2】図1に示す車両用パワーユニットの平面図である。
【図3】図1に示す車両用パワーユニットの右側面図である。
【図4】図1に示す車両用パワーユニットの左側面図である。
【図5】図1に示す車両用パワーユニットのベースプレートの斜視図である。
【図6】図1に示す車両用パワーユニットの無段変速機及びジェネレータを外した状態の斜視図である。
【図7】図1に示す車両用パワーユニットのジェネレータ及びテンショナーを表す右側面図である。
【図8】図1に示す車両用パワーユニットのジェネレータ及びテンショナーを表す正面図である。
【図9】図1に示す車両用パワーユニットの主にマフラー及びベースプレートを表す斜視図である。
【図10】図1に示す車両用パワーユニットの主にマフラーを表す斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1 車両用パワーユニット
2 エンジン
3 トランスアクスル
4 無段変速機(動力伝達装置)
5 ベースプレート
5a 底壁部
5b、5c 側壁部
10 出力軸
14 入力軸
20 駆動プーリー
21 ジェネレータ(兼スタータ)
23 従動プーリー
24 伝達ベルト
28 エキゾーストパイプ
29 マフラー
32 サイドプレート
34 ジョイントブラケット
38 ジェネレータブラケット
39 テンショナー
40 サイドブラケット
41 伸縮ロッド
44,45 マフラーブラケット



【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の駆動源となるエンジンと、
駆動輪に接続されるトランスアクスルと、
前記エンジンと前記トランスアクスルとの間に連結され、前記エンジンから出力される回転動力を前記トランスアクスルに伝達する動力伝達装置と、
前記エンジン及び前記トランスアクスルの両方の下面を覆った状態で、前記エンジン及び前記トランスアクスルに固定されるベースプレートと
を備えていることを特徴とする車両用パワーユニット。
【請求項2】
前記ベースプレートは、前記エンジン及び前記トランスアクスルの下面を覆う平面状の底壁部と、該底壁部の両端部からそれぞれ上方に突出する側壁部とを有している請求項1に記載の車両用パワーユニット。
【請求項3】
前記エンジン、前記トランスアクスル及び前記ベースプレートに側方から固定されるサイドプレートをさらに備え、
前記エンジンの出力軸と前記トランスアクスルの入力軸は同方向の側方に突出しており、前記サイドプレートは前記出力軸及び前記入力軸がそれぞれ挿通される挿通部を有している請求項1又は2に記載の車両用パワーユニット。
【請求項4】
前記エンジンからの動力で発電するジェネレータをさらに備え、
前記エンジンの出力軸のプーリーと、前記ジェネレータの入力軸のプーリーとに伝達ベルトが巻き掛けられており、
前記ジェネレータは、前記エンジンと前記トランスアクスルとを連結するジェネレータブラケットと、前記サイドプレートとに固定されている請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用パワーユニット。
【請求項5】
前記ジェネレータは、前記ジェネレータブラケットと前記サイドプレートとに同一軸線上で回動可能に枢支されており、
前記伝達ベルトに張力が加わる方向に前記ジェネレータを前記軸線を支点として回動させるように付勢するテンショナーをさらに備えている請求項4に記載の車両用パワーユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−62757(P2008−62757A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241802(P2006−241802)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】