説明

車両用ブレーキ液圧制御装置

【課題】 特性バラツキがある電磁弁を用いても、ブレーキ油圧制御における調圧精度が低下することを防止できるようにする。
【解決手段】 第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38を構成するための電磁弁の特性を予め測定すると共に、その測定結果に基づいて電磁弁を選別し、同じ領域に存在する電磁弁のみで第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38を構成する。さらに、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38が実装される基板80に対して、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の特性を表すマーク部83を備え、このマーク部83を構成する抵抗84の抵抗値に基づいてブレーキECU70が第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の特性を認識できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ油圧回路中の管路の連通、遮断状態等の制御を行う電磁弁が備えられる車両用ブレーキ液圧制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ABS制御が実行される車両用ブレーキ液圧制御装置においては、マスタシリンダ(以下、M/Cという)と各車輪に対応して設けられた各ホイールシリンダ(以下、W/Cという)との間を結ぶ各配管に、各W/Cへのブレーキ液の流動を制御するための増圧制御弁が備えられた構造とされる。この増圧制御弁は、連通状態と遮断状態との二位置に制御されるノーマリオン型の電磁弁で構成される。
【0003】
このような車両用ブレーキ液圧制御装置において、ABS制御で増圧モードが設定されると、所定時間増圧制御弁を連通状態とすることで、M/C圧がW/Cに加えられるようになっている。しかしながら、このときの増圧制御弁で連通状態と遮断状態との切り替えを急に行うと、すなわち従来一般的に行われているパルス増圧を行うと、その切り替えの際に脈圧音(作動音)が発生してしまう。このため、増圧制御弁への制御電流(通電量)を調整することで増圧制御弁をリニア弁のように制御(以下、リニア駆動という)することで、増圧モードの際の脈圧音を低減することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
すなわち、増圧制御弁は、内部に備えられた弁体と弁座との間の隙間の大きさに応じて増圧制御弁の上下流間の差圧を変化させられるようになっている。このため、制御電流の大きさを変化させて隙間の大きさ、つまり増圧制御弁の上下流間の差圧量を調整し、増圧制御弁をリニア駆動すれば、連通状態と遮断状態との急な切り替えを無くすことができ、脈圧音を低減できるのである(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このように、増圧制御弁をリニア駆動することでW/C圧を滑らかに調整できるようにする場合、増圧制御弁に流す制御電流と差圧量との関係が重要となってくる。ところが、この関係が増圧制御弁の製造誤差による特性バラツキにより変わることがあり、このような場合、W/C圧の調圧精度が低下してしまう。
【0006】
これに対し、従来、ブレーキ油圧制御においてリニア弁の特性をブレーキECU側で直接計測し、その特性をブレーキECUに記憶させることで、各電磁弁の特性応じた駆動が行えるようにし、リニア弁の特性バラツキによる調圧制度の低下を防ぐことが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−19952号公報
【特許文献2】特開平11−147466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このように電磁弁の特性を直接計測する手法を採用した場合、そのような特性計測装置をブレーキECUに備えなければならず、複雑な装置が必要になり、車両用ブレーキ液圧制御装置が高価な物となってしまう。このような弊害を無くすために、電磁弁の製造誤差による特性バラツキ自体を小さくするか、それとも、各電磁弁の特性を直接計測した後、良品のみを選別して車両用ブレーキ液圧制御装置に適用するようにすることで、特性測定装置を不要とすることが考えられるが、前者の場合には、電磁弁の設計・工程上の管理が厳しくなり、それによる電磁弁の製造コストのアップも生じるという問題が発生し、後者の場合には、良品として選別されなかった電磁弁を処分しなければならず、歩留まりが低下するという問題がある。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、特性バラツキがある電磁弁を用いても、ブレーキ油圧制御における調圧精度が低下することを防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、本発明者らは以下の検討を行った。まず、電磁弁の差圧電流特性マップを作成し、このマップ上において、電磁弁の特性バラツキの分布を調べたところ、例えば、図4に示す領域X内で分布していることが確認されたとする。
【0010】
電磁弁の特性バラツキが、この図に示されるような分布になっていた場合、電磁弁に流す制御電流の電流値に対する目標差圧にズレが生じることになる。このとき、電磁弁の要求精度が例えば目標差圧を中心とした所定範囲だとすると、その要求精度を満たす電磁弁は、領域Xに分布している一部となり、すべての電磁弁が要求精度を満たす訳ではない。
【0011】
しかしながら、例えば、領域Xを要求精度の範囲と同等、もしくは、それよりも狭い範囲で区画される領域A〜Cの3つの領域に分け、各領域ごとに制御電流の電流値に対する目標差圧の関係を個別に設定すれば、各領域ごとに要求精度を満たす電磁弁とすることができる。
【0012】
すなわち、領域Aに存在する電磁弁については、制御電流の電流値を領域Aに対応した値とすれば、その制御電流を電磁弁に流したときに発生させられる差圧値は、目標差圧から要求精度の範囲内の値となる。また、領域B、Cに存在する電磁弁についても、同様に、制御電流の電流値を領域Bもしくは領域Cに対応した値とすれば、その制御電流を電磁弁に流したときに発生させられる差圧値は、目標差圧から要求精度の範囲内の値となるのである。
【0013】
このため、電磁弁を製造した際に、各電磁弁の特性を測定し、各電磁弁が領域A、B、Cのいずれに存在するものであるかを選別する。そして、各電磁弁が実装される基板に、選別された特性に応じたマークを示しておき、そのマークがブレーキECUに読み取れるようにすれば、ブレーキECUに各電磁弁の特性を1つ1つ記憶させなくても、その特性がブレーキECUで識別することが可能となる。
【0014】
特に、車両用ブレーキ液圧制御装置に用いられる電磁弁が1つの基板に複数個実装されるのであれば、同じ基板には領域A〜Cのうち同じ領域に存在する電磁弁のみが実装されるようにすることで、その基板に実装された各電磁弁の特性を統一することが可能となる。このため、その基板に実装された各電磁弁の特性を1つのマークのみによって表すことが可能となる。
【0015】
そして、ブレーキECUに対して、予め領域A〜Cそれぞれに対する中心値の特性マップを記憶させておき、基板に付されたマークが領域A〜Cのいずれを表しているかをブレーキECUで識別し、ブレーキECUから識別された領域と対応する中心値の電流値を制御電流として電磁弁に流させる。このようにすれば、各電磁弁は、必ず要求精度を満たす差圧を発生させることになり、ブレーキ液圧制御における調圧精度が低下しないようにすることが可能となる。
【0016】
そこで、請求項1に記載の発明では、制御電流の大きさに応じて上下流間に差圧を発生させる電磁弁(17、18、37、38)と、電磁弁に対して流す制御電流の大きさを制御することで、電磁弁の上下流間に目標差圧を発生させるように制御する制御部(70)とを有してなる車両用ブレーキ液圧制御装置において、電磁弁の特性を示すマーク部(83)を備えると共に、制御部に、電磁弁の差圧−電流特性のバラツキの全範囲を複数の領域(A〜C)で分割したマップを記憶させ、該制御部にて、マーク部で表される電磁弁の特性を認識することにより、電磁弁が複数の領域のうちのいずれの領域に存在するものであるかを認識できるようにし、ブレーキ液圧制御の際に、制御電流の大きさを認識した領域に応じた値に設定することを特徴としている。
【0017】
このように、電磁弁の特性を表すマーク部を備え、このマーク部に基づいて制御部が電磁弁の特性を認識できるようにしている。これにより、制御部で電磁弁の特性を認識し、その特性に応じた制御電流を設定することで、電磁弁にて要求精度を満たす差圧を発生させることが可能となる。したがって、制御部中に、電磁弁の特性を個々に測定できるような特性測定装置を備えなくても、ブレーキ液圧制御における調圧精度の低下を防止することが可能となる。
【0018】
請求項2に記載の発明では、電磁弁が複数個、1つの基板(80)に備えられた配線に電気的に接続される場合において、該基板に実装される電磁弁は、複数の領域のうち同じ領域に存在するもののみで構成され、マーク部は、該複数個の電磁弁の特性を示す1つのマークによって構成されていることを特徴としている。
【0019】
このように、電磁弁の特性を予め測定すると共に、その測定結果に基づいて電磁弁を選別し、同じ領域に存在する電磁弁のみで電磁弁を構成すれば、マーク部も1つのみで済ませることができる。これにより、電磁弁の特性を認識するために必要とされる構造の簡素化を図ることができる。
【0020】
例えば、請求項3に示されるように、マーク部は抵抗値によって電磁弁の特性を示すことができ、複数の領域に対応してマーク部の抵抗値を異なるものとすればよい。この場合、請求項4に示されるように、制御部は、マーク部の抵抗値に応じて変化する所定部位の電位を読み込むことによって電磁弁の特性を認識することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明では、複数の領域のうちの中央に位置する領域(A)を表す抵抗値が実質的に無限大に設定されていると共に、残りの領域(B、C)がそれぞれ異なる有限の抵抗値に設定されている場合において、制御部は、残りの領域を表す抵抗値が断線によって実質的に無限大になったことを検出した場合に、電磁弁が中央に位置する領域に存在するものとして、制御電流の大きさを設定することを特徴としている。
【0022】
このようにすれば、仮に、選別された電磁弁が中央とは異なる残りの領域に存在していた場合において、抵抗値を構成するマーク部への電源供給ラインが断線したとしても、その電磁弁が中央に位置する領域に存在するものと誤認識されることになる。このため、電磁弁が中央に位置する領域の片側に位置する領域(B)に存在するにも関わらず、中央に位置する領域を挟んでその領域の反対側の領域(C)に存在するものと誤認識される場合と比べ、設定された制御電流の真値からの誤差を少なくすることができ、調圧精度の低下を最小限に抑えることが可能となる。
【0023】
このような電磁弁としては、請求項6に示されるように、ドライバのブレーキ操作部材(11)の操作に基づいたブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダ(13)と、該マスタシリンダで発生させられたブレーキ液圧に基づいて制動力を発生させる複数のホイールシリンダ(14、15、34、35)との間を接続する主管路(A、E)に備えられる複数の増圧制御弁(17、18、37、38)が挙げられる。
【0024】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0026】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態が適用された車両用ブレーキ液圧制御装置1の全体構成を示したものである。
【0027】
図1に示されるように、車両用ブレーキ液圧制御装置1には、ブレーキペダル11と、倍力装置12と、M/C13と、W/C14、15、34、35と、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50と、ブレーキECU70とが備えられている。
【0028】
車両に制動力を加える際にドライバによって踏み込まれるブレーキ操作部材としてのブレーキペダル11は、ブレーキ液圧発生源となる倍力装置12およびM/C13に接続されており、ドライバがブレーキペダル11を踏み込むと、倍力装置12にて踏力が倍力され、M/C13に配設されたマスタピストン13a、13bを押圧する。これにより、これらマスタピストン13a、13bによって区画されるプライマリ室13cとセカンダリ室13dとに同圧のM/C圧が発生させられるようになっている。
【0029】
M/C13には、プライマリ室13cおよびセカンダリ室13dそれぞれと連通する通路を有するマスタリザーバ13eが備えられている。マスタリザーバ13eは、その通路を通じてM/C13内にブレーキ液を供給したり、M/C13内の余剰のブレーキ液を貯留したりする。なお、各通路は、プライマリ室13cおよびセカンダリ室13dから延びる各主管路の管路直径よりも非常に小さい直径に形成されるため、M/C13のプライマリ室13cおよびセカンダリ室13d側からマスタリザーバ13eへのブレーキ液の流入の際にはオリフィス効果を発揮するようになっている。
【0030】
M/C13に発生させられるM/C圧は、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50を通じて各W/C14、15、34、35に伝えられるようになっている。
【0031】
ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50は、第1配管系統50aと第2配管系統50bとを有して構成されている。第1配管系統50aは、左前輪FLと右後輪RRに加えられるブレーキ液圧を制御するもので、第2配管系統50bは、右前輪FRと左後輪RLに加えられるブレーキ液圧を制御するものであり、これら第1、第2配管系統50a、50bの2配管系によりX配管が構成されている。
【0032】
以下、第1、第2配管系統50a、50bについて説明するが、第1配管系統50aと第2配管系統50bとは、略同様の構成であるため、ここでは第1配管系統50aについて説明し、第2配管系統50bについては、第1配管系統50aを参照して説明を省略する。
【0033】
第1配管系統50aには、上述したM/C圧を左前輪FLに備えられたW/C14及び右後輪RRに備えられたW/C15に伝達する主管路となる管路Aが備えられている。この管路Aを通じて、各W/C14、15それぞれにW/C圧を発生させられるようになっている。
【0034】
また、管路Aには、連通・差圧状態の2位置を制御できる電磁弁で構成された第1差圧制御弁16が備えられている。この第1差圧制御弁16は、通常ブレーキ状態では弁位置は連通状態とされており、ソレノイドコイルに電力供給が成されると弁位置が差圧状態になる。第1差圧制御弁16における差圧状態の弁位置では、W/C14、15側のブレーキ液圧がM/C圧よりも所定以上高くなった際にのみ、W/C14、15側からM/C13側へのみブレーキ液の流動が許可される。このため、常時W/C14、15側がM/C13側よりも所定圧力以上高くならないように維持され、それぞれの管路の保護が成されている。
【0035】
そして、管路Aは、この第1差圧制御弁16よりもW/C14、15側の下流において、2つの管路A1、A2に分岐する。2つの管路A1、A2の一方にはW/C14へのブレーキ液圧の増圧を制御する第1増圧制御弁17が備えられ、他方にはW/C15へのブレーキ液圧の増圧を制御する第2増圧制御弁18が備えられている。
【0036】
第1、第2増圧制御弁17、18は、連通・遮断状態を制御できる2位置弁として電磁弁により構成されている。これら第1、第2増圧制御弁17、18が連通状態に制御されているときには、M/C圧あるいは後述するポンプ19からのブレーキ液の吐出によるブレーキ液圧をW/C14、15に加えることができるようになっている。
【0037】
第1、第2増圧制御弁17、18は、基本的には、ドライバが行うブレーキペダル11の操作による通常のブレーキ時、つまり第1、第2制御弁17、18に備えられるソレノイドへの制御電流がゼロとされる時(非通電時)に常時連通状態となり、ABS制御でソレノイドに制御電流が流される時(通電時)に遮断状態に制御されるノーマリオープン型となっているが、通電時の制御電流の大きさ(通電量)を調整することで、上下流間に所定の差圧を発生させるリニア弁としても機能するようになっている。
【0038】
また、第1差圧制御弁16及び第1、第2増圧制御弁17、18には、それぞれ安全弁16a、17a、18aが並列に設けられている。第1差圧制御弁16の安全弁16aは、第1差圧制御弁16の弁位置が差圧状態である際にドライバによりブレーキペダル11が踏み込まれた場合に、M/C圧をW/C14、15に伝達可能とするために設けられている。また、各増圧制御弁17、18の安全弁17a、18aは、特にABS制御時において各増圧制御弁17、18が遮断状態に制御されている際に、ドライバによりブレーキペダル11が戻された場合において、この戻し操作に対応して左前輪FLおよび右後輪RRのW/C圧を減圧可能とするために設けられている。
【0039】
管路Aにおける第1、第2増圧制御弁17、18及び各W/C14、15の間と調圧リザーバ20とを結ぶ減圧管路としての管路Bには、連通・遮断状態を制御できる2位置弁として、電磁弁からなる第1減圧制御弁21と第2減圧制御弁22とがそれぞれ配設されている。そして、これら第1、第2減圧制御弁21、22は、通常ブレーキ時には、常時遮断状態とされている。
【0040】
調圧リザーバ20と主管路である管路Aとの間を結ぶように還流管路となる管路Cが配設されている。この管路Cには調圧リザーバ20からM/C13側あるいはW/C14、15側に向けてブレーキ液を吸入吐出するように、モータ60によって駆動される自吸式のポンプ19が設けられている。
【0041】
なお、ポンプ19の吐出口側には、ポンプ19に対して高圧なブレーキ液が加えられないように、安全弁19aが備えられている。また、ポンプ19が吐出したブレーキ液の脈動を緩和するために管路Cのうちポンプ19の吐出側には固定容量ダンパ23が配設されている。
【0042】
そして、調圧リザーバ20とM/C3とを接続するように補助管路となる管路Dが設けられている。この管路Dを通じ、ポンプ19にてM/C13からブレーキ液を吸入し、管路Aに吐出することで、トラクション(TCS)制御や横滑り防止制御(Electronic Stability Control:ESC)などのブレーキ液圧制御時において、W/C14、15側にブレーキ液を供給し、対象となる車輪のW/C圧を増加できるようになっている。
【0043】
調圧リザーバ20は、管路Dに接続されてM/C3側からのブレーキ液を受け入れるリザーバ孔20aと、管路B及び管路Cに接続されW/C14、15から逃がされるブレーキ液を受け入れると共にポンプ19の吸入側にブレーキ液を供給するリザーバ孔20bとが備えられ、これらがリザーバ室20cと連通している。リザーバ孔20aより内側には、ボール弁20dが配設されている。このボール弁20dには、ボール弁20dを上下に移動させるための所定ストロークを有するロッド20fがボール弁20dと別体で設けられている。
【0044】
また、リザーバ室20c内には、ロッド20fと連動するピストン20gと、このピストン20gをボール弁20d側に押圧してリザーバ室20c内のブレーキ液を押し出そうとする力を発生するスプリング20hが備えられている。
【0045】
このように構成された調圧リザーバ20は、所定量のブレーキ液が貯留されると、ボール弁20dが弁座20eに着座して調圧リザーバ20内にブレーキ液が流入しないようになっている。このため、ポンプ19の吸入能力より多くのブレーキ液がリザーバ室20c内に流動することがなく、ポンプ19の吸入側に高圧が印加されないようになっている。
【0046】
一方、上述したように、第2配管系統50bは、第1配管系統50aにおける構成と略同様となっている。つまり、第1差圧制御弁16は、第2差圧制御弁36に対応する。第1、第2増圧制御弁17、18は、それぞれ第3、第4増圧制御弁37、38に対応し、第1、第2減圧制御弁21、22は、それぞれ第3、第4減圧制御弁41、42に対応する。調圧リザーバ20は、調圧リザーバ40に対応する。ポンプ19は、ポンプ39に対応する。ダンパ23は、ダンパ43に対応する。また、管路A、管路B、管路C、管路Dは、それぞれ管路E、管路F、管路G、管路Hに対応する。以上のように車両用ブレーキ液圧制御装置1における液圧配管構造が構成されている。
【0047】
また、ブレーキECU70は、電子制御装置に相当するもので、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータによって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムに従って各種演算などの処理を実行する。
【0048】
このブレーキECU70からの電気信号に基づいて、上記のように構成されたブレーキ液圧制御用アクチュエータ50における各制御弁16〜18、21、22、36〜38、41、42及びポンプ19、39を駆動するためのモータ60への電圧印加制御が実行されるようになっている。これにより、各W/C14、15、34、35に発生させられるW/C圧の制御が行われるようになっている。
【0049】
例えば、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50は、ブレーキECU70からモータ60および電磁弁駆動用のソレノイドに対して制御電圧が印加されると、その印加電圧に応じてブレーキ液圧制御用アクチュエータ50内のブレーキ配管の経路が設定される。そして、設定されたブレーキ配管の経路に応じたブレーキ液圧がW/C14、15、34、35に発生させられ、各車輪に発生させられる制動力を制御できるようになっている。
【0050】
なお、車両用ブレーキ液圧制御装置1には、図示しないが、各車輪FL、FR、RL、RRそれぞれに対して車輪速度センサが備えられており、この車輪速度センサの検出信号がブレーキECU70に入力されるようになっている。この車輪速度センサの検出信号に基づいて、ブレーキECU70で各車輪の車輪速度や車体速度が求められ、車体速度と車輪速度との偏差として表されるスリップ率が所定値に至った時に、ABS制御等のブレーキ液圧制御が実行されるようになっている。
【0051】
以上のようにして、本実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置1が構成されている。そして、このような構成の車両用ブレーキ液圧制御装置1において、上述した第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38が同じ基板に実装され、その基板に備えられた配線を介して、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38がブレーキECU70に対して電気的に接続された構造となっている。本実施形態では、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38すべてを、上述した図4に示された領域A〜Cのうちの同じ領域に存在する電磁弁ばかりで構成している。
【0052】
図2は、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38が実装された基板80と、ブレーキECU70との電気的な接続構造およびブレーキECU70内に備えられた第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の駆動回路を示したものである。
【0053】
この図に示されるように、基板80に対して第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38が順番に接続され、これら第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38それぞれに備えられたソレノイドコイル17a、18a、37a、38aが、ワイヤーハーネス90〜96を介して、ブレーキECU70に電気的に接続されている。
【0054】
具体的には、基板80に対して、スイッチ81を介して電源82からの電力供給が行われるようになっており、ブレーキECU70内の駆動回路と各ソレノイドコイル17a、18a、37a、38aとが接続されることで、各ソレノイドコイル17a、18a、37a、38aが電源82とGNDとの間に配置される形態とされる。そして、各ソレノイドコイル17a、18a、37a、38aへの電力供給が行われるライン上にブレーキECU70に備えられたCPU(制御部)71によってオンオフ駆動が行われるNPNトランジスタ72〜75が備えられている。これらNPNトランジスタ72〜75へのベース電流がCPU71によって制御されることで、ソレノイドコイル17a、18a、37a、38aに流される制御電流の電流値が制御され、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38で発生させられる差圧値が調整されるようになっている。
【0055】
このような構成において、さらに、基板80には、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の特性を示したマーク部83が備えられている。このマーク部83は、ブレーキECU70のCPU71によって電気的に読み取れるもので構成され、本実施形態では、抵抗84の抵抗値によって特性が示されている。この抵抗84の抵抗値は、上述した第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の特性に応じて設定される。例えば、抵抗値は無限大相当(断線状態)、数kΩ、数十kΩのように、その特性ごとに異なる抵抗値が用意され、上述した第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の特性と一致する抵抗値の抵抗84が基板80に実装される。なお、マーク部83の抵抗値が無限大相当とされる場合には、非常に抵抗値の大きな抵抗84を備えるようにしてもよいが、抵抗84そのものをなくステップ全くの断線状態とすることもできる。つまり、他のマーク部83が異なる有限の抵抗値とされるのに対して、このマーク部83の抵抗値が実質的に無限大とみなせるものであれば良い。
【0056】
マーク部83を構成する抵抗84は、スイッチ81を介して電源82に接続され、スイッチ81がオンされたときに電力供給が行われるようになっている。
【0057】
一方、ブレーキECU70側において、マーク部83が示すマークを認識できるように、CPU71にマーク部83の出力が入力されるようになっている。具体的には、抵抗84のローサイド電位側がワイヤハーネス97を介してCPU71の入力端子に接続されるようにすると共に、CPU71の入力端子とGNDとの間にプルダウン抵抗76を備えることで、抵抗84とプルダウン抵抗76との間の電位がCPU71に入力されるようにしている。これにより、抵抗84とプルダウン抵抗76との間の電位が抵抗84の抵抗値によって変動するため、CPU71にて、抵抗84の抵抗値によって表された第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の特性が認識できるようになっている。
【0058】
次に、この車両用ブレーキ液圧制御装置1による作動について説明する。なお、車両用ブレーキ液圧制御装置1における基本的なブレーキ液圧制御動作に関しては、従来と同様であるため、従来と同様の作動については省略し、ここでは例えばABS制御が実行された際に、増圧モードが設定され、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38がリニア駆動される場合についてのみ説明する。
【0059】
まず、ブレーキECU70において、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の特性認識処理が実行される。図3は、この特性認識処理のフローチャートを示したものである。
【0060】
ステップ100では、識別信号電圧がどのレベルであるかの判定が行われる。ここでいう識別信号電圧とは、CPU71に入力される電位、つまり抵抗84とプルダウン抵抗76との間の電位のことを示している。
【0061】
抵抗84とプルダウン抵抗76との間の電位は、抵抗84の抵抗値によって変動することから、例えば抵抗84の抵抗値が無限大相当であれば最も低いLレベル、数kΩであれば最も高いHレベル、数十kΩであればそれらの中間のMレベルとなる。このレベルに応じて、ステップ110〜130に進み、例えばHレベルの場合には電磁弁が領域Aに存在する場合の特性、Mレベルの場合には電磁弁が領域Bに存在する場合の特性、Lレベルの場合には電磁弁が領域Cに存在する場合の特性として、特性読み込みが行われる。
【0062】
そして、ステップ140において、その特性が設定される。これにより、ブレーキ液圧制御において、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38がリニア駆動される場合には、設定された特性に応じた制御電流が設定されることになる。
【0063】
例えば、ABS制御が実行されて増圧モードが設定された場合には、増圧処理が実行される。この増圧処理において、例えば制御対象輪が左前輪FLであったとすると、左前輪FLの第1増圧制御弁17をリニア駆動し、第1減圧制御弁21を遮断状態にさせる電気信号が出力される。すなわち、図2に示したCPU71からNPNトランジスタ72に対してベース電流が流されることで、第1増圧制御弁17のソレノイドコイル17aに対して制御電流が流され、第1増圧制御弁17がリニア駆動される。
【0064】
このとき、第1増圧制御弁17のリニア駆動は、第1増圧制御弁17の上下流間、つまりM/C13とW/C14との間で発生させたい差圧となるように、NPNトランジスタ72のベース電流が調整されることで制御電流が差圧推定値に応じた通電量に設定され、その制御電流が第1増圧制御弁17のソレノイドコイル17aに流されることになる。そして、第1増圧制御弁17への制御電流が徐々に小さくされることで左前輪FLに対応するW/C14が徐々に(無段階に)増圧される。
【0065】
このような増圧処理が実行されるに際して、基板80に備えられたマーク部83の出力、より詳しくは抵抗84の抵抗値に応じた電位をCPU71で読み取ることで、CPU71で第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の特性を予め認識することができる。このため、CPU71がNPNトランジスタ72に流すベース電流をその特性に応じた値とすることで、第1増圧制御弁17のソレノイドコイル17aに流す制御電流の電流値を図4に示された中心値とすることが可能となる。このため、第1増圧制御弁17にて要求通りの差圧を発生させることが可能となる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置1では、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38を構成するための電磁弁の特性を予め測定すると共に、その測定結果に基づいて電磁弁を選別し、同じ領域に存在する電磁弁のみで第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38を構成するようにしている。さらに、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38が実装される基板80に対して、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の特性を表すマーク部83を備え、このマーク部83に基づいてブレーキECU70が第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の特性を認識できるようにしている。
【0067】
これにより、ブレーキECU70で第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の特性を認識し、その特性に応じた制御電流を設定することで、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38にて要求精度を満たす差圧を発生させることが可能となる。したがって、ブレーキECU70中に、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の特性を個々に測定できるような特性測定装置を備えなくても、ブレーキ液圧制御における調圧精度の低下を防止することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態のように、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38を同じ領域に存在する電磁弁でのみ構成することで、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の特性を示すマーク部83が1つのみで済む。これにより、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の特性を認識するために必要とされる構造の簡素化を図ることが可能となる。
【0069】
なお、本実施形態で示す特徴は、特に、ブレーキECU70とブレーキ液圧制御用アクチュエータ50とが別体とされる場合、例えば、これらが別メーカで取り付けられるような場合に効果的である。すなわち、ブレーキECU70とブレーキ液圧制御用アクチュエータ50とが一体とされるのであれば、ブレーキECU70に第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の特性を書き込んでおくことも可能であるが、別体とされる場合には、ブレーキECU70と第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38とが対応するように品番管理等の処理を行わなければならなくなる。これに対し、本実施形態のように、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50に備えられる第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の特性が基板80のマーク部83によって表されていることから、基板80とブレーキECU70との組み合わせを意識しなくても、ブレーキECU70で第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の特性を認識することが可能となる。
【0070】
また、ブレーキECU70とブレーキ液圧制御用アクチュエータ50とが一体化されてから流通するような形態とされる場合であっても、いずれか一方が故障して交換するような場合に、上記と同様の理由で有効となる。
【0071】
(他の実施形態)
上記実施形態では、基板80に実装される第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38すべてが、領域A〜Cの同じ領域に存在する電磁弁で構成されるようにした例を挙げたが、必ずしも同じ領域に存在する電磁弁のみで構成しなければならない訳ではない。つまり、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の特性を個々に認識できるように、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の1つ1つに対してマーク部83を設けるようにすれば良い。ただし、この場合、マーク部83の数に応じた電源供給ラインが必要になるため、上記第1実施形態のようにするのが好ましい。
【0072】
また、上記実施形態では、マーク部83による電磁弁弁の特性の表示が抵抗84の抵抗値によって行われる形態を例に挙げて説明したが、これも単なる一例である。例えば、マーク部83をメモリによって構成し、そのメモリに電磁弁の特性を記憶しておくようにすれば、そのメモリの記憶内容を読み取ることで、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の特性を認識することが可能となる。
【0073】
上記実施形態では、図2に示すように、プルダウン抵抗76がブレーキECU70側に備えられる場合を例に挙げて説明したが、プルダウン抵抗76は、ブレーキECU70側ではなくて基板80側に備えられていても構わない。
【0074】
また、上記実施形態において、フェイルセーフを考慮した場合、電磁弁の特性を抵抗84の抵抗値で表すのであれば、選別された電磁弁が領域A〜領域Cで分けられた3つの領域の中央に位置する領域Aに存在する場合における抵抗84の抵抗値を無限大相当に設定するのが好ましい。このようにすれば、仮に、選別された電磁弁が他の領域B、Cに存在していた場合において、抵抗84への電源供給ラインが断線したとしても、その電磁弁が領域Aに存在するものと誤認識されることになる。このため、電磁弁が領域Bに存在するにも関わらず領域Cに存在するものと誤認識される場合と比べ、設定された制御電流の真値からの誤差を少なくすることができ、調圧精度の低下を最小限に抑えることが可能となる。
【0075】
そして、製品製造コスト上で最も比率の高いと思われる領域Bに存在する電磁弁に関して、特性を示す抵抗を無しにすることで、コスト削減を図ることが可能となる。
【0076】
さらに、上記実施形態では、領域A〜領域Cという3つの領域に分割することを想定して説明したが、これ以上の領域に分割することも可能である。ただし、その場合にも、各領域の幅が要求精度を満たす程度に設定されている必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1実施形態における車両用車両用ブレーキ液圧制御装置の全体構成を示す図である。
【図2】第1〜第4増圧制御弁が実装された基板と、ブレーキECUとの電気的な接続構造およびブレーキECU内に備えられた第1〜第4増圧制御弁の駆動回路を示した図である。
【図3】特性認識処理のフローチャートである。
【図4】増圧制御弁の特性バラツキの分布と、その特性バラツキの領域Xを要求精度が満たされる間隔で複数の領域A〜Cに分割したときの様子を示した図である。
【符号の説明】
【0078】
11…ブレーキペダル、13…M/C、16、36…差圧制御弁、17、18、37、38…増圧制御弁、17a、18a、37a、38a…ソレノイドコイル、21、22、41、42…減圧制御弁、50…ブレーキ液圧制御用アクチュエータ、50a、50b…第1、第2配管系統、70…ブレーキECU、71…CPU、72〜75…NPNトランジスタ、76…プルダウン抵抗、80…基板、81…スイッチ、82…電源、83…マーク部、84…抵抗。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御電流の大きさに応じて上下流間に差圧を発生させる電磁弁(17、18、37、38)と、
前記電磁弁に対して流す前記制御電流の大きさを制御することで、前記電磁弁の上下流間に目標差圧を発生させるように制御する制御部(70)とを有してなる車両用ブレーキ液圧制御装置において、
前記電磁弁の特性を示すマーク部(83)が備えられると共に、
前記制御部に、前記電磁弁の差圧、電流特性のバラツキの全範囲を複数の領域(A〜C)で分割したマップが記憶され、該制御部にて、前記マーク部で表される前記電磁弁の特性を認識することにより、前記電磁弁が前記複数の領域のうちのいずれの領域に存在するものであるかが認識されるようになっており、
前記制御部は、前記電磁弁が前記複数の領域のうちのいずれの領域に存在するものであるかを認識すると、ブレーキ液圧制御の際には、前記制御電流の大きさを該認識した領域に応じた値に設定するようになっていることを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項2】
前記電磁弁が複数個、1つの基板(80)に備えられた配線と電気的に接続され実装される場合において、該基板に実装される前記電磁弁は、前記複数の領域のうち同じ領域に存在するもののみで構成され、前記マーク部は、該複数個の前記電磁弁の特性を示す1つのマークによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項3】
前記マーク部は抵抗値によって前記電磁弁の特性を示すものであり、前記複数の領域に対応して前記マーク部の抵抗値が異なるものとされていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記マーク部の抵抗値に応じて変化する所定部位の電位を読み込むことによって前記マークを認識するようになっていることを特徴とする請求項3に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項5】
前記複数の領域のうちの中央に位置する領域(A)を表す抵抗値が実質的に無限大に設定されていると共に、残りの領域(B、C)がそれぞれ異なる有限の抵抗値に設定されている場合において、
前記制御部は、前記残りの領域を表す抵抗値が断線によって実質的に無限大になったことを検出した場合に、前記電磁弁が前記中央に位置する領域に存在するものとして、前記制御電流の大きさを設定するようになっていることを特徴とする請求項3または4に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項6】
ドライバのブレーキ操作部材(11)の操作に基づいたブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダ(13)と、
前記マスタシリンダで発生させられたブレーキ液圧に基づいて、制動力を発生させる複数のホイールシリンダ(14、15、34、35)と、
前記マスタシリンダと前記ホイールシリンダとの間を接続する主管路(A、E)と、
前記主管路における前記複数のホイールシリンダそれぞれに対応して設けられ、前記複数のホイールシリンダに加えられるブレーキ液圧を制御するための複数の増圧制御弁(17、18、37、38)とを有し、
前記制御部が、前記複数の増圧制御弁を駆動するために、該複数の増圧制御弁それぞれに備えられるソレノイドコイルに対して前記制御電流を流すように構成されており、
前記複数の増圧制御弁の特性が前記マーク部によって表されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−264607(P2006−264607A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−88617(P2005−88617)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】