説明

車両用ブレーキ装置のエア抜き方法

【課題】 マスターシリンダおよびモータ駆動シリンダを有する車両用ブレーキ装置のエア抜きを簡便に行えるようにする
【解決手段】 マスターカットバルブ24a・24bを有する管31a・31bを介してホイールシリンダ2a・3aに連結されたマスターシリンダ15と、管31a・31bのマスターカットバルブ下流に連結された管33a・33bを介して連結されたモータ駆動シリンダ15とを有する車両用ブレーキ装置1のエア抜き方法であって、ホイールシリンダは、開閉可能な第1エア抜き孔36を有し、マスターカットバルブを開いた状態で、マスターシリンダを作動させ、エアを前記第1エア抜き孔から排出する第1工程と、第1工程より後に、マスターカットバルブを閉じた状態で、モータ駆動シリンダを作動させ、エアを第1エア抜き孔から排出する第2工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ブレーキ装置のエア抜き方法に係り、詳しくはブレーキペダルの操作に応じてブレーキ液圧をホイールシリンダに供給するマスターシリンダと、前記マスターシリンダと前記ホイールシリンダとの連通を遮断した状態で、ブレーキペダルの操作量に応じたブレーキ液圧をホイールシリンダに供給するモータ駆動シリンダとを有する車両用ブレーキ装置のエア抜き方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブレーキ・バイ・ワイヤ形式の車両用ブレーキ装置(制動装置)には、ブレーキペダルの操作に応じてブレーキ液圧をホイールシリンダに供給するマスターシリンダと、ブレーキペダルの操作量に応じてブレーキ液圧をホイールシリンダに供給するモータ駆動シリンダとを有し、通常時にはマスターシリンダとホイールシリンダとの連通を遮断し、モータ駆動シリンダによってホイールシリンダにブレーキ液圧を供給する一方、モータ駆動シリンダの失陥等による異常時にはマスターシリンダとホイールシリンダとを連通し、マスターシリンダによってホイールシリンダにブレーキ液圧を供給するようにしたものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−208393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような車両用ブレーキ装置は、マスターシリンダ、モータ駆動シリンダおよびホイールシリンダが、複数の管によって連結され、分岐した管路を含む複雑な管系を構成することがある。そのため、車両用ブレーキ装置の各シリンダおよび管路のエア抜きが、困難となることが多い。また、マスターシリンダに比べてモータ駆動シリンダはエンジンルームの深部に配置されることがあり、真空引きポンプ等の外部装置を接続してエア抜きをすることは困難である。
【0005】
本発明は、以上の背景を鑑みてなされたものであって、マスターシリンダおよびモータ駆動シリンダを有する車両用ブレーキ装置のエア抜きを簡便に行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、第1遮断弁(24a・24b)を有する第1液路(31a・31b)を介してホイールシリンダ(2a・3a)に連結され、ブレーキペダル(11)の操作に応じてブレーキ液圧を前記ホイールシリンダに供給するマスターシリンダ(15)と、前記第1液路の前記第1遮断弁と前記ホイールシリンダとの間の部分に連結された第2液路(33a・33b)を介して前記ホイールシリンダに連結され、ブレーキ液圧を前記ホイールシリンダに供給するモータ駆動シリンダ(13)とを有する車両用ブレーキ装置(1)のエア抜き方法であって、前記ホイールシリンダは、開閉可能な第1エア抜き孔(36)を有し、前記第1遮断弁を開き、前記ブレーキペダルを操作して前記マスターシリンダを作動させ、少なくとも前記マスターシリンダに滞留するエアを前記第1エア抜き孔から排出する第1工程と、前記第1工程より後に、前記第1遮断弁を閉じ、前記モータ駆動シリンダを作動させ、少なくとも前記モータ駆動シリンダに滞留するエアを前記第1エア抜き孔から排出する第2工程とを有することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、真空引き装置等の外部装置を使用することなく、ブレーキペダルの操作や、遮断弁およびエア抜き孔の開閉操作だけの簡単な操作で車両用ブレーキ装置のエア抜きを行うことができる。この方法では、マスターシリンダを駆動したエア抜き工程の後にモータ駆動シリンダを駆動したエア抜き工程を行うため、通常時において使用するモータ駆動シリンダ内へのエアの残留が抑制される。また、モータ駆動シリンダを駆動してエア抜きを行う際には、第1遮断弁が閉じられているため、モータ駆動シリンダから押し出されたエアがマスターシリンダに侵入することはない。また、マスターシリンダはモータ駆動シリンダよりも配置変動が少なく、比較的車外側に配置されることが多いため、仮にマスターシリンダにエアが混入したとしても、マスターシリンダ自体から直接エア抜きを行うことが可能である。
【0008】
また、本発明の他の側面は、前記車両用ブレーキ装置は、前記第1通路の前記第1遮断弁と前記マスターシリンダとの間に一端が連結された第3液路(35)と、前記第3液路上に設けられた第2遮断弁(24c)と、前記第3の液路の他端に連結され、前記ブレーキペダルに操作反力を付与するストロークシミュレータ(28)と、前記3液路の前記第2遮断弁と前記ストロークシミュレータとの間に設けられた開閉可能な第2エア抜き孔(37)とを有し、前記第1工程と前記第2工程の間に、前記第1遮断弁を閉じ、かつ前記第2遮断弁を開き、前記ブレーキペダルを操作して前記マスターシリンダを作動させ、少なくとも前記ストロークシミュレータに滞留するエアを前記第2エア抜き孔から排出する工程を有することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、マスターシリンダ、モータ駆動シリンダ、ストロークシミュレータのエア抜きを確実に行うことができる。
【0010】
また、本発明の他の側面は、第1液路(51a・51b)を介してホイールシリンダ(2a・3a)に連結され、ブレーキ液圧を前記ホイールシリンダに供給するモータ駆動シリンダ(13)と、第1遮断弁(24a・24b)を有する第2液路(52a・52b)を介してモータ駆動シリンダに連結され、ブレーキペダル(11)の操作に応じてブレーキ液圧を、前記モータ駆動シリンダを介して前記ホイールシリンダに供給するマスターシリンダ(15)とを有する車両用ブレーキ装置(50)のエア抜き方法であって、前記ホイールシリンダは、開閉可能な第1エア抜き孔(36)を有し、前記第1遮断弁を開き、前記ブレーキペダルを操作して前記マスターシリンダを作動させ、少なくとも前記マスターシリンダに滞留するエアを前記第1エア抜き孔から排出する第1工程と、前記第1工程より後に、前記第1遮断弁を閉じ、前記モータ駆動シリンダを作動させ、少なくとも前記モータ駆動シリンダに滞留するエアを前記第1エア抜き孔から排出する第2工程とを有することを特徴とする。この構成によれば、簡単な操作で車両用ブレーキ装置のエア抜きができる。
【0011】
また、本発明の他の側面は、前記ブレーキペダルの操作量を検出する操作量検出手段を有し、前記第2工程では、前記第1工程で検知した前記操作量に基づいて前記モータ駆動シリンダを駆動制御することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、第2工程においてモータ駆動シリンダが発生する液圧を、第1工程においてマスターシリンダが発生する液圧に一致させることが容易である。
【発明の効果】
【0013】
以上の構成によれば、真空引き装置等の外部装置を使用することなく、ブレーキペダルの操作およびエア抜き孔の開閉操作だけの簡単な操作でマスターシリンダおよびモータ駆動シリンダを含む車両用ブレーキ装置のエア抜きを確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】自動車のブレーキ系の要部系統図である。
【図2】第1実施形態に係るブレーキ装置を模式的に示す油圧回路図である。
【図3】第2実施形態に係るブレーキ装置を模式的に示す油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る車両用ブレーキ装置のエア抜き方法を適用する電気自動車またはハイブリッド自動車のブレーキ系の要部系統図である。
【0016】
図1に示される自動車は、車両Vの前側に配設された左右一対の前輪2と、車両Vの後側に配設された左右一対の後輪3とを有する。左右の前輪2に連結された前輪車軸4にはモータ・ジェネレータ5が機械的に連結されている。なお、差動機構は図示省略する。
【0017】
モータ・ジェネレータ5は、車両走行用の電動機と回生用の発電機とを兼ねたものであり、二次電池であるバッテリ7を電源としてインバータ10によってバッテリ7よりの電力供給とバッテリ7に対する電力供給(充電)とを制御され、減速時には減速エネルギを電力に変換回生して回生制動力を発生する制動力発生手段をなす。
【0018】
また、CPUを用いた制御回路を備えることにより車両の各種制御を行うと共に制動力配分手段としての制御ユニット6が設けられている。制御ユニット6には、上記インバータ10が電気的に接続されている。なお、電気自動車の場合にはこの構成のまま、または後輪3を駆動するモータ・ジェネレータを設けても良いが、ハイブリッド自動車の場合には前輪車軸4には図の二点鎖線で示されるエンジン(内燃機関)Eの出力軸が連結される。図のエンジンEの場合には前輪駆動の例であるが、四輪駆動とすることもできる。
【0019】
前輪2及び後輪3の各車輪には、各車輪を摩擦制動する摩擦制動手段としての公知のディスクブレーキが設けられており、各ディスクブレーキのホイールシリンダ(キャリパ)2a・3aには、公知のブレーキ配管を介してブレーキ液圧発生装置8が接続されている。ブレーキ液圧発生装置8は、後で詳述するが、各車輪別にブレーキ圧を増減させて配分可能な油圧回路で構成されている。
【0020】
また、前輪2及び後輪3の各車輪に対応して車輪速を検出する車輪速検出手段としての各車輪速センサ9が設けられており、運転者が操作するブレーキペダル11にはその操作量(踏み込み量)を検出するストロークセンサ(変位センサ)11aが設けられている。各車輪速センサ9とストロークセンサ11aとの各検出信号は制御ユニット6に入力する。
【0021】
制御ユニット6は、ブレーキペダル11のストロークセンサ11aの出力信号が0から増大した場合に制動の指令が発生したと判断し、制動時の制御を行う。本図示例では、回生制動を行い、かつ油圧制動(摩擦制動)も行う回生協調制御により制動を行うことから、ブレーキ・バイ・ワイヤによるものとする。
【0022】
次に、図2を参照して第1実施形態に係るブレーキ装置1について説明する。本実施形態の制動システムは、制動操作部材としてのブレーキペダル11の操作を機械的にブレーキ液圧発生シリンダに伝達してブレーキ液圧を発生させるのではなく、ブレーキペダル11の操作量(ペダル変位量)を操作量センサとしてのストロークセンサ11aにより検出し、その操作量検出値に基づいて電動サーボモータ12により駆動されるブレーキ液圧発生シリンダとしてのモータ駆動シリンダ13によりブレーキ液圧を発生させる、いわゆるブレーキ・バイ・ワイヤにより構成されている。
【0023】
図1に示されるように、車体に回動自在に支持されたブレーキペダル11にはその円弧運動を略直線運動に変換するロッド14の一端が連結されており、ロッド14の他端は、直列的に配設されたマスターシリンダ15の第1ピストン15aを押し込むように係合している。マスターシリンダ15には第1ピストン15aに対してロッド14とは相反する側に直列的に第2ピストン15bが配設されており、各ピストン15a・15bはそれぞれロッド14側にばね付勢されている。なお、ブレーキペダル11は、ばね付勢され、図示されないストッパにより止められて図1の状態である待機位置に位置している。
【0024】
また、マスターシリンダ15には、各ピストン15a・15bの変位に応じてブレーキ液をやり取りするためのリザーバタンク16が設けられている。なお、各ピストン15a・15bには、リザーバタンク16と連通する各油路16a・16bとの間をシールするための公知構造のシール部材が各適所に設けられている。そして、マスターシリンダ15の筒内には、第1ピストン15aと第2ピストン15bとの間に第1液圧発生室17aが形成され、第2ピストン15bの第1ピストンとは相反する側に第2液圧発生室17bが形成されている。
【0025】
マスターシリンダ15の第1液圧発生室17aおよび第2液圧発生室17bは、管31a・31bおよびVSA装置26を介して複数(図示例では4つ)の各ホイールシリンダ2a・3aに連通している。管31a・31bの経路上には、常開型電磁弁であるマスターカットバルブ(第1遮断弁)24a・24bがそれぞれ設けられている。これにより、第1液圧発生室17aで発生した油圧は、マスターカットバルブ24aが開かれているときに、管31aおよびVSA装置26を介して2つのホイールシリンダ3aに供給され、第2液圧発生室17bで発生した油圧は、マスターカットバルブ24bが開かれているときに、管31bおよびVSA装置26を介して2つのホイールシリンダ2aに供給される。なお、管31aの第1液圧発生室17aとマスターカットバルブ24aとの間の部分にはブレーキ圧センサ25aが接続され、管31bのマスターカットバルブ24bと第2液圧発生室23bとの間にはブレーキ圧センサ25bが接続されている。
【0026】
一方、上記したモータ駆動シリンダ13には、上記電動サーボモータ12と、電動サーボモータ12に連結されたギアボックス18と、ギアボックス18にボールねじ機構を介してトルク伝達されることにより軸線方向変位するねじ溝付きロッド19と、ねじ溝付きロッド19と同軸かつ互いに直列的に配設された第1ピストン21a及び第2ピストン21bとが設けられている。
【0027】
なお、第2ピストン21bには第1ピストン21a側に延出する連結部材27の一端部が固設されており、連結部材20の他端部は第1ピストン21aに対して相対的に軸線方向に所定量変位可能に支持されている。これにより、第1ピストン21aの前進(第2ピストン21b側変位)時は第2ピストン21bとは別個に変位可能であるが、第1ピストン21aの前進状態から図2の初期状態に戻る後退時には、連結部材20を介して第2ピストン21bも初期位置まで引き戻されるようになっている。なお、各ピストン21a・21bは、それぞれに対応して設けられた各戻しばね27a・27bによりロッド19側にばね付勢されている。
【0028】
また、モータ駆動シリンダ13には、上記リザーバタンク16に連通路22を介してそれぞれ連通する各油路22a・22bが設けられており、各ピストン21a・21bには、各油路22a・22bとの間をシールするための公知構造のシール部材が各適所に設けられている。モータ駆動シリンダ13の筒内には、第1ピストン21aと第2ピストン21bとの間に第1液圧発生室23aが形成され、第2ピストン21bの第1ピストン21aとは相反する側に第2液圧発生室23bが形成されている。
【0029】
モータ駆動シリンダ13の第1液圧発生室23aおよび第2液圧発生室23bは、管33a・33bを介して、管31a・31bのマスターカットバルブ24a・24bより下流側の部分(すなわち、マスターカットバルブ24a・24bとVSA装置26との間の部分)に連通している。これにより、第1液圧発生室23aで発生した油圧は、マスターカットバルブ24aが閉じられているときに、管33aおよびVSA装置26を介して2つのホイールシリンダ3aに供給され、第2液圧発生室23bで発生した油圧は、マスターカットバルブ24bが閉じられているときに、管33bおよびVSA装置26を介して2つのホイールシリンダ2aに供給される。
【0030】
管31bの第2液圧発生室17bとマスターカットバルブ24bとの間の部分からは、管35が分岐し、管35の他端には常閉型電磁弁であるシミュレータバルブ(第2遮断弁)24cを介してシリンダ型のシミュレータ28が接続されている。シミュレータ28には、そのシリンダ内を分断するピストン28aが設けられ、ピストン28aのマスターカットバルブ24b側に貯液室28bが形成され、ピストン28aの貯液室28b側とは相反する側には圧縮コイルばね28cが受容されている。両マスターカットバルブ24a・24bが閉じていると共にシミュレータバルブ24cが開いている状態で、ブレーキペダル11を踏み込んで第2液圧発生室17b内のブレーキ液が貯液室28bに入り込むことにより、圧縮コイルばね28cの付勢力がブレーキペダル11に伝達され、それにより公知のマスターシリンダとホイールシリンダとが直結されているブレーキ装置と同様の踏み込みに対する反力が得られるようになっている。
【0031】
VSA装置26は、ブレーキ時の車輪ロックを防ぐABS、加速時などの車輪空転を防ぐTCS(トラクションコントロールシステム)に、旋回時の横すべり抑制を加え、3つの機能をトータルにコントロールする車両挙動安定化制御システムとして公知のものであって良く、その説明を省略する。なおVSA装置26には、前輪の各ホイールシリンダ2aに対応する第1系統と、後輪の各ホイールシリンダ3aに対応する第2系統とをそれぞれ構成する各種油圧素子を用いた各ブレーキアクチュエータと、それらを制御するVSA制御ユニット26aとにより構成されている。
【0032】
各ホイールシリンダ2a・3aには、開閉自在な第1エア抜き孔(エアブリーダ)36が設けられている。より正確には、ホイールシリンダ2a・3aの液圧発生に連通するように第1エア抜き孔が設けられている。また、管35のシミュレータバルブ24cとシミュレータ28との間の部分には、開閉自在な第2エア抜き孔(エアブリーダ)37が設けられている。
【0033】
このようにして構成されたブレーキ装置1は、上記制御ユニット6により総合的に制御されるようになっている。制御ユニット6には、ストロークセンサ11aと各ブレーキ圧センサ25a・25bとの各検出信号が入力し、また車両の挙動を検出するための各種センサ(図示せず)からの検出信号も入力している。制御ユニット6では、ストロークセンサ11aからの検出信号に基づき、かつ上記各種センサからの検出信号から判断した走行状況等に応じて、モータ駆動シリンダ13により発生するブレーキ液圧を制御する。また、制御ユニット6は、ストロークセンサ11aからの検出信号や、適宜行う故障診断の結果に基づいて、マスターカットバルブ24a・24bおよびシミュレータバルブ24cを開閉制御する。さらに、本実施形態の対象車両となるハイブリッド車(または電気自動車)の場合には、電動モータによる回生制御を行うようにしており、制御ユニット6では、回生制御を行う場合の回生の大きさに対するモータ駆動シリンダ13によるブレーキ液圧の大きさの配分制御も行う。
【0034】
また、制御ユニット6は、コントローラ38からの信号を受けて、マスターカットバルブ24a・24bおよびシミュレータバルブ24cの開閉制御やモータ駆動シリンダ13の駆動制御を行う。本実施形態では、コントローラ38は、車両Vとは別体であり、無線通信により制御ユニット6に信号を入力するものとするが、他の実施形態では車両Vの一部として設け、制御ユニット6とケーブルによって接続していてもよい。コントローラ38は、エア抜き操作工程に応じた第1〜第3信号およびエア抜き操作終了信号を制御ユニット6に入力し、制御ユニット6は第1〜第3信号に応じて、マスターカットバルブ24a・24bおよびシミュレータバルブ24cの開閉制御やモータ駆動シリンダ13の駆動制御を行う。コントローラ38が入力する各信号に応じたマスターカットバルブ24a・24bおよびシミュレータバルブ24cの開閉やモータ駆動シリンダ13の駆動は、後述する。
【0035】
次に、通常制動時の制御要領について説明する。図2は、運転者がブレーキペダル11を操作していない状態である。ストロークセンサ11aの検出値は初期値(=0)であり、制御ユニット6からブレーキ液圧発生信号は出力されない。この状態では、図2に示されるように、モータ駆動シリンダ13では、ねじ溝付きロッド19が最も後退した位置にあり、それに伴って各戻しばね27a・27bにより付勢されている各ピストン21a・21bも後退しており、両液圧発生室23a・23bにブレーキ液圧は発生していない。
【0036】
ブレーキペダル11が踏み込まれて、ストロークセンサ11aの検出値が0より大きくなった場合には、ブレーキ・バイ・ワイヤによる制御を行うべく、両マスターカットバルブ24a・24bを閉じ、マスターシリンダ15で発生する液圧が、ホイールシリンダ2a・3aおよびモータ駆動シリンダ13へ伝達されるのを遮断すると共に、シミュレータバルブ24cを開いてシミュレータ28に伝達されるようにする。そして、ストロークセンサ11aで検出された操作量検出値に基づいて、制御ユニット6からモータ駆動指令値が電動サーボモータ12に出力され、そのモータ駆動指令値に応じた位置までねじ溝付きロッド19すなわち第1ピストン21aが押し出されて、第1液圧発生室23aにストロークセンサ11aの操作量検出値に応じたブレーキ液圧が発生する。同時に、第1液圧発生室23aの液圧により押圧されて第2ピストン21bが戻しばね27bの付勢力に抗して変位し、第2液圧発生室23bにも同じくブレーキ液圧が発生する。
【0037】
上記モータ駆動シリンダ13で発生したブレーキ液圧は、管33a・33b、管31a・31bおよびVSA装置26を介して前後輪の各ホイールシリンダ2a・3aに供給されて、制動力が発生し、通常の制動制御が行われる。なお、VSA装置26による各輪に対する制動力分配制御が行われる場合にはその制御に応じて各輪の制動力の調整が行われる。
【0038】
なお、ブレーキペダル11の操作量(踏み込み量)が小さい場合、すなわち車体減速度が小さい場合には回生ブレーキのみの制御が行われて良い。この場合には、制御ユニット6により、モータ・ジェネレータ5を発電機として制御し、ブレーキペダル11の操作量に応じて回生ブレーキ量を増減する。そして、ブレーキペダル11の操作量の大きさ(運転者が要求する減速度の大きさ)に対して回生ブレーキだけでは車体減速度が不足するようになったら、上記した電動サーボモータ12によりモータ駆動シリンダ13を駆動制御して、回生ブレーキと油圧ブレーキとによる回生協調制御を行う。
【0039】
運転者がブレーキペダル11を戻す方向に変位させた場合には、ストロークセンサ11aで検出された戻し方向変位に応じて、電動サーボモータ12によりねじ溝付きロッド19すなわち第1ピストン21aを戻すことにより、ブレーキペダル11の踏み込み量に応じて制動力を低減させることができる。また、ブレーキペダル11が図示されない戻しばねにより初期位置に戻された場合には、制御ユニット6により各マスターカットバルブ24a・24bを開く。それに伴って各ホイールシリンダ2a・3aのブレーキ液がモータ駆動シリンダ13を介してリザーバタンク16に戻ることができ、制動力は解除される。ストロークセンサ11aの検出値が初期値になることにより、第1ピストン21a及び上記したように連結部材20を介して第2ピストン21bも初期位置に戻る。
【0040】
なお、シミュレータバルブ24cを閉じるタイミングは、圧縮コイルばね28cによりピストン28aが図2に示される初期位置に戻ることができるまで第2液圧発生室17bの液圧が低下したタイミングとすると良く、例えば両マスターカットバルブ24a・24bを開いてから所定時間経過後とすることができる。または、ブレーキ圧センサ25bの検出値が所定値(例えば液圧が0近傍)以下になった後とすることができる。
【0041】
電源の失陥等によりモータ駆動シリンダ13が作動不能となった異常時には、常開型電磁弁であるマスターカットバルブ24a・24bが自動的に開かれ、常閉型電磁弁であるシミュレータバルブ24cが自動的に閉じられる。これにより、ブレーキペダル11の操作に応じてマスターシリンダ15で発生した液圧は、管31a・31bおよびVSA装置26を介してホイールシリンダ2a・3aに伝達される。
【0042】
次に、ブレーキ装置のエア抜き方法について説明する。最初に、作業者は、コントローラ38を操作して、制御ユニット6に第1信号を入力する。制御ユニット6は、第1信号を受けると、モータ駆動シリンダ13を任意の位置に固定する(すなわち、ストロークセンサ11aの検出信号を受けてもモータ駆動シリンダ13を駆動しない)とともに、マスターカットバルブ24a・24bを開き、シミュレータバルブ24cを閉じる。この状態で、作業者は、ブレーキペダル11の踏み込み・開放操作を複数回繰り返しながら、踏み込みに応じて各第1エア抜き孔36を開く。これにより、マスターシリンダ15の第1ピストン15aおよび第2ピストン15bが変位して液圧が発生し、マスターシリンダ15、管31a・31b、VSA装置26、ホイールシリンダ2a・3a内に滞留していたエアが第1エア抜き孔36から排出される。
【0043】
次に、作業者は、コントローラ38を操作して、制御ユニット6に第2信号を入力する。制御ユニット6は、第2信号を受けると、引き続きモータ駆動シリンダ13を任意の位置に固定するとともに、マスターカットバルブ24a・24bを閉じ、シミュレータバルブ24cを開く。この状態で、作業者は、ブレーキペダル11の踏み込み・開放操作を複数回繰り返しながら、踏み込みに応じて第2エア抜き孔37を開く。これにより、マスターシリンダ15の第1ピストン15aおよび第2ピストン15bが変位して液圧が発生し、マスターシリンダ15、管31bのマスターカットバルブ24bよりも上流側の部分、管35、ストロークシミュレータ28内に滞留するエアが第2エア抜き孔37から排出される。
【0044】
次に、作業者は、コントローラ38を操作して、制御ユニット6に第3信号を入力する。制御ユニット6は、第3信号を受けると、マスターカットバルブ24a・24bおよびシミュレータバルブ24cを閉じ、モータ駆動シリンダ13を駆動し、液圧を発生させる。このとき、制御ユニット6は、モータ駆動シリンダ13が発生する液圧の最大値が最初の工程においてマスターシリンダが発生した液圧の最大値と同じ値となるように、最初の工程においてブレーキ圧センサ25a・25bが検出した最大圧力値に基づいて所定のマップを参照し、モータ駆動シリンダ13の駆動目標値を設定する。なお、他の実施形態においては、ストロークセンサ11aの値や、別途センサを設けて検出したブレーキペダル11の踏力に基づいて所定のマップを参照し、モータ駆動シリンダ13の駆動目標値を設定してもよい。また、モータ駆動シリンダが発生する液圧がマスターシリンダが発生した液圧と相違するように、駆動目標値を設定してもよい。
【0045】
モータ駆動シリンダ13の圧縮に応じて、第1エア抜き孔36を開くことによって、モータ駆動シリンダ13が発生した液圧により、モータ駆動シリンダ13、管33a・33b、管31a・31bのマスターカットバルブ24a・24bよりも下流側の部分、VSA装置26、ホイールシリンダ2a・3a内に滞留していたエアが第1エア抜き孔36から排出される。その後、作業者は、コントローラ38を操作して、制御ユニット6にエア抜き操作終了信号を入力し、マスターカットバルブ24a・24b、シミュレータバルブ24c、モータ駆動シリンダ13の操作を制御ユニット6の自動制御に復帰させる。
【0046】
以上の手順でエア抜きを行うことによって、真空引き装置等の外部装置を使用することなく、ブレーキペダル11の操作および各エア抜き孔36・37の開閉操作だけの簡単な操作でブレーキ装置のエア抜きを行うことができる。この手順では、マスターシリンダ15を駆動したエア抜き工程の後にモータ駆動シリンダ13を駆動したエア抜き工程を行うため、通常時に使用されるモータ駆動シリンダ13内のエアの残留を確実に抑制することができる。また、モータ駆動シリンダ13を駆動してエア抜きを行う際には、マスターカットバルブ24a・24bが閉じられているため、モータ駆動シリンダ13から押し出されたエアがマスターシリンダ15に侵入することはない。
【0047】
なお、以上のエア抜き手順を行った後に、マスターシリンダ15から管31a・31b、VSA装置26、ホイールシリンダ2a・3aのエア抜きを再度行っても良い。この場合には、作業者は、コントローラ38を操作して、制御ユニット6に第1信号を入力し、モータ駆動シリンダ13を任意の位置に固定するとともに、マスターカットバルブ24a・24bを開き、シミュレータバルブ24cを閉じる。この状態で、作業者は、ブレーキペダル11の踏み込み・開放操作を複数回繰り返しながら、踏み込みに応じて各第1エア抜き孔36を開く。この追加的なエア抜き操作は、上記のエア抜き方法を行ってもなおブレーキ装置1内に残留した場合の微小量のエアを完全に除去するためのものである。
【0048】
次に、図3を参照して第2実施形態に係るブレーキ装置50について説明する。ブレーキ装置50は、ブレーキ装置1と比較して、マスターシリンダ15、モータ駆動シリンダ13およびVSA装置26を互いに連結する管の構成のみが異なる。以下の説明において、ブレーキ装置1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
図3に示すように、モータ駆動シリンダ13の第1液圧発生室23aおよび第2液圧発生室23bは、管51a・51bおよびVSA装置26を介して各ホイールシリンダ2a・3aに連通している。マスターシリンダ15の第1液圧発生室17aおよび第2液圧発生室17bは、管52a・52bを介してモータ駆動シリンダ13の第1液圧発生室23aおよび第2液圧発生室23bに連通している。管52a・52bの経路上には、常開型電磁弁であるマスターカットバルブ24a・24bがそれぞれ設けられている。また、管52bの第2液圧発生室17bとマスターカットバルブ24bとの間の部分からは、ブレーキ装置1と同様に、管35が分岐し、管35の他端には常時閉型のシミュレータバルブ24cを介してシリンダ型のシミュレータ28が接続されている。また、管35のシミュレータバルブ24cとシミュレータ28との間の部分には、開閉自在な第2エア抜き孔37が設けられている。
【0050】
以上の構成により、通常時には、ストロークセンサ11aの検出値が0より大きくなった場合には、制御ユニット6が両マスターカットバルブ24a・24bを閉じ、マスターシリンダ15で発生する液圧がモータ駆動シリンダ13へ伝達されるのを遮断すると共に、シミュレータバルブ24cを開いてシミュレータ28に伝達されるようにする。同時に、制御ユニット6は、ストロークセンサ11aで検出された操作量検出値に基づいて、モータ駆動指令値を電動サーボモータ12に出力し、モータ駆動シリンダ13を駆動し、第1液圧発生室23aおよび第2液圧発生室23bにブレーキ液圧を発生させる。第1液圧発生室23aおよび第2液圧発生室23bに発生した液圧は、管51a・51bおよびVSA装置26を介して各ホイールシリンダ2a・3aに伝達される。
【0051】
電源の失陥等によりモータ駆動シリンダ13が作動不能となった異常時には、常開型電磁弁であるマスターカットバルブ24a・24bが自動的に開かれ、常閉型電磁弁であるシミュレータバルブ24cが自動的に閉じられる。これにより、ブレーキペダル11の操作に応じてマスターシリンダ15で発生した液圧は、管52a・52b、モータ駆動シリンダ13、管51a・51bおよびVSA装置26を介してホイールシリンダ2a・3aに伝達される。
【0052】
次に、ブレーキ装置50のエア抜き方法について説明する。最初に、作業者は、コントローラ38を操作して、制御ユニット6に第1信号を入力する。制御ユニット6は、第1信号を受けると、モータ駆動シリンダ13を任意の位置に固定するとともに、マスターカットバルブ24a・24bを開き、シミュレータバルブ24cを閉じる。この状態で、作業者は、ブレーキペダル11を踏み込み・開放操作を複数回繰り返しながら、踏み込みに応じて各第1エア抜き孔36を開く。これにより、マスターシリンダ15の第1ピストン15aおよび第2ピストン15bが変位して液圧が発生し、マスターシリンダ15、管52a・52b、モータ駆動シリンダ13、管51a・51b、VSA装置26、ホイールシリンダ2a・3a内に滞留していたエアが第1エア抜き孔36から排出される。
【0053】
次に、作業者は、コントローラ38を操作して、制御ユニット6に第2信号を入力する。制御ユニット6は、第2信号を受けると、引き続きモータ駆動シリンダ13を任意の位置に固定するとともに、マスターカットバルブ24a・24bを閉じ、シミュレータバルブ24cを開く。この状態で、作業者は、ブレーキペダル11の踏み込み・開放操作を複数回繰り返しながら、踏み込みに応じて第2エア抜き孔37を開く。これにより、マスターシリンダ15の第1ピストン15aおよび第2ピストン15bが変位して液圧が発生し、マスターシリンダ15、管52bのマスターカットバルブ24bよりも上流側の部分、管35、ストロークシミュレータ28内に滞留するエアが第2エア抜き孔37から排出される。
【0054】
次に、作業者は、コントローラ38を操作して、制御ユニット6に第3信号を入力する。なお、第1エア抜き孔36は開かれた状態となっている。制御ユニット6は、第3信号を受けると、マスターカットバルブ24a・24bおよびシミュレータバルブ24cを閉じ、モータ駆動シリンダ13を駆動し、液圧を発生させる。モータ駆動シリンダ13が発生する液圧は、ブレーキ装置1のエア抜き操作時と同様に設定してよい。モータ駆動シリンダ13の圧縮に応じて、第1エア抜き孔36を開くことによって、モータ駆動シリンダ13が発生した液圧により、モータ駆動シリンダ13、管51a・51b、VSA装置26およびホイールシリンダ2a・3a内に滞留していたエアが第1エア抜き孔36から排出される。
【0055】
以上のように、マスターシリンダ15およびモータ駆動シリンダ13が直列に連結されたブレーキ装置50でも、マスターシリンダ15およびモータ駆動シリンダ13が並列に連結されたブレーキ装置1と同様にエア抜きを行うことができる。この手順では、マスターシリンダ15を駆動したエア抜き工程の後にモータ駆動シリンダ13を駆動したエア抜き工程を行うため、通常時に使用されるモータ駆動シリンダ13内でのエアの残留を確実に抑制することができる。その後、作業者は、コントローラ38を操作して、制御ユニット6に解除信号を入力し、マスターカットバルブ24a・24b、シミュレータバルブ24c、モータ駆動シリンダ13の操作を制御ユニット6の自動制御に復帰させる。
【0056】
なお、以上のエア抜き手順を行った後に、マスターシリンダ15から管52a・52b、モータ駆動シリンダ13、管51a・51b、VSA装置26、ホイールシリンダ2a・3aのエア抜きを再度行っても良い。この場合には、作業者は、コントローラ38を操作して、制御ユニット6に第1信号を入力し、モータ駆動シリンダ13を任意の位置に固定するとともに、マスターカットバルブ24a・24bを開き、シミュレータバルブ24cを閉じる。この状態で、作業者は、ブレーキペダル11の踏み込み・開放操作を複数回繰り返しながら、踏み込みに応じて各第1エア抜き孔36を開く。この追加的なエア抜き操作は、上記のエア抜き方法を行ってもなおブレーキ装置1内に残留した場合の微小量のエアを完全に除去するためのものである。
【0057】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、シミュレータ28のエア抜き操作は、必要に応じて省略してもよい。また、実施形態では、コントローラ38が、第1〜第3信号を発生するようにしたが、これに代えてマスターカットバルブ24a・24b、シミュレータバルブ24c、モータ駆動シリンダ13をマニュアル操作するための信号を発生させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1,50…ブレーキ装置、2a,3a…ホイールシリンダ、6…制御ユニット、8…ブレーキ液圧発生装置、11…ブレーキペダル、11a…ストロークセンサ、12…電動サーボモータ、13…モータ駆動シリンダ、15…マスターシリンダ、24a,24b…マスターカットバルブ(第1遮断弁)、24c…シミュレータバルブ(第2遮断弁)、25a,25b…ブレーキ圧センサ(操作量検出手段)、26…VSA装置、28…ストロークシミュレータ、31a,31b…管(第1液路)、33a,33b…管(第2液路)、35…管(第3液路)、36…第1エア抜き孔、37…第2エア抜き孔、38…コントローラ、51a,51b…管(第1液路)、52a,52b…管(第2液路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1遮断弁を有する第1液路を介してホイールシリンダに連結され、ブレーキペダルの操作に応じてブレーキ液圧を前記ホイールシリンダに供給するマスターシリンダと、前記第1液路の前記第1遮断弁と前記ホイールシリンダとの間の部分に連結された第2液路を介して前記ホイールシリンダに連結され、ブレーキ液圧を前記ホイールシリンダに供給するモータ駆動シリンダとを有する車両用ブレーキ装置のエア抜き方法であって、
前記ホイールシリンダは、開閉可能な第1エア抜き孔を有し、
前記第1遮断弁を開き、前記ブレーキペダルを操作して前記マスターシリンダを作動させ、少なくとも前記マスターシリンダに滞留するエアを前記第1エア抜き孔から排出する第1工程と、
前記第1工程より後に、前記第1遮断弁を閉じ、前記モータ駆動シリンダを作動させ、少なくとも前記モータ駆動シリンダに滞留するエアを前記第1エア抜き孔から排出する第2工程と
を有することを特徴とする車両用ブレーキ装置のエア抜き方法。
【請求項2】
前記車両用ブレーキ装置は、前記第1通路の前記第1遮断弁と前記マスターシリンダとの間に一端が連結された第3液路と、前記第3液路上に設けられた第2遮断弁と、前記第3の液路の他端に連結され、前記ブレーキペダルに操作反力を付与するストロークシミュレータと、前記3液路の前記第2遮断弁と前記ストロークシミュレータとの間に設けられた開閉可能な第2エア抜き孔とを有し、
前記第1工程と前記第2工程の間に、前記第1遮断弁を閉じ、かつ前記第2遮断弁を開き、前記ブレーキペダルを操作して前記マスターシリンダを作動させ、少なくとも前記ストロークシミュレータに滞留するエアを前記第2エア抜き孔から排出する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用ブレーキ装置のエア抜き方法。
【請求項3】
第1液路を介してホイールシリンダに連結され、ブレーキ液圧を前記ホイールシリンダに供給するモータ駆動シリンダと、第1遮断弁を有する第2液路を介してモータ駆動シリンダに連結され、ブレーキペダルの操作に応じてブレーキ液圧を、前記モータ駆動シリンダを介して前記ホイールシリンダに供給するマスターシリンダとを有する車両用ブレーキ装置のエア抜き方法であって、
前記ホイールシリンダは、開閉可能な第1エア抜き孔を有し、
前記第1遮断弁を開き、前記ブレーキペダルを操作して前記マスターシリンダを作動させ、少なくとも前記マスターシリンダに滞留するエアを前記第1エア抜き孔から排出する第1工程と、
前記第1工程より後に、前記第1遮断弁を閉じ、前記モータ駆動シリンダを作動させ、少なくとも前記モータ駆動シリンダに滞留するエアを前記第1エア抜き孔から排出する第2工程と
を有することを特徴とする車両用ブレーキ装置のエア抜き方法。
【請求項4】
前記車両用ブレーキ装置は、前記第2通路の前記第1遮断弁と前記マスターシリンダとの間に一端が連結された第3液路と、前記第3液路上に設けられた第2遮断弁と、前記第3の液路の他端に連結され、前記ブレーキペダルに操作反力を付与するストロークシミュレータと、前記3液路の前記第2遮断弁と前記ストロークシミュレータとの間に設けられた開閉可能な第2エア抜き孔とを有し、
前記第1工程と前記第2工程の間に、前記第1遮断弁を閉じ、かつ前記第2遮断弁を開き、前記ブレーキペダルを操作して前記マスターシリンダを作動させ、少なくとも前記ストロークシミュレータに滞留するエアを前記第2エア抜き孔から排出する工程を有することを特徴とする請求項3に記載の車両用ブレーキ装置のエア抜き方法。
【請求項5】
前記ブレーキペダルの操作量を検出する操作量検出手段を有し、
前記第2工程では、前記第1工程で検知した前記操作量に基づいて前記モータ駆動シリンダを駆動制御することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つの項に記載の車両用ブレーキ装置のエア抜き方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−126307(P2012−126307A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280901(P2010−280901)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】