説明

車両用メーターユニット

【課題】 デザイン性を損ねることなく車両用メーターに他の表示・操作機能を統合した車両用メーターユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】 車両に搭載され、運転席から視認可能に設けられる車両用メーターユニットであって、円形の液晶パネル3を備えるメーター表示盤101は、目盛り画像12と液晶パネル3とは別に設けられた指針1とによってメーター指示値をアナログ表示する第一表示モードと、第一表示モードとは異なる表示情報を表示する第二表示モードとを切替えることが可能であり、第一表示モードで用いられる指針1は、第二モードではメーター表示領域内に表れない退避位置に移動して、第二表示モードの表示を妨げない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用メーターユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の機能の充実に伴い、車室内において運転者が使用する表示部(メーターやディスプレイ)や機能操作部(スイッチ等)の数は増加の一途を辿っており、今後も増え続けるであろうこれら表示機や機能操作部に対し、その統合や簡略化といった対策が求められるようになってきている。これに対して最近の車両では、例えば、1つのディスプレイ上で複数のメーター情報をコンパクトにデジタル表示したり、モード選択によって選択可能な複数の機能を共通の操作部で操作できるようにする等、車種に応じて対応策が測られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、そのようにして統合・簡略化されたメーター類のデザインを嫌い、あくまで旧来のアナログメーター表示などにこだわる本物志向のユーザーが多く存在する。例えば、スポーツカータイプの車両を好むユーザーの中には、油圧・油温・ブースト圧を表示する三連ゲージは、それぞれを円形のアナログ表示で行ないたいと望む方が多く存在しており、中には、それを自身が普段乗る一般車・高級車においても同様に備えたいと望む声もある。しかしながら、最近の車両の場合は、ナビゲーション装置、音楽再生装置、エアコン装置、他多数の機能が標準的に搭載されることも多く、アナログメーターを配置するためのスペースの確保は一層困難な状況にある。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、デザイン性を損ねることなく車両用メーターに他の表示・操作機能を統合した車両用メーターユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の自動車用走行制御システムは、車両に搭載され、運転席から視認可能に設けられる車両用メーターユニットであって、
メーター指示値を目盛り上の位置にて指示する指針と、該指針をメーター指示値に対応する位置へ駆動する指針駆動部とを備えたアナログメーター部と、
画像ディスプレイ装置として構成されるとともに指針の背後に配置され、その表示画面の表示モードを、アナログメーター部の目盛りを含む第一画像を表示する第一表示モードと、第一画像とは異なる第二画像を表示する第二表示モードとの間で切替え可能なメーター表示盤と、
表示モード切替部の操作に基づいて、メーター表示盤の画像表示を第一表示モードと第二表示モードとの間で切替える表示切替制御部と、
表示モード切替部の操作に基づいて、指針駆動部に対し指針の位置を、第一表示モードに対応する目盛り上のメーター指示位置と、第二表示モードにて第二画像を表示するための退避位置との間で切替え駆動させる指針位置切替部とを備えることを特徴とする。
【0006】
アナログメーターの目盛り盤を画像ディスプレイ装置の表示画面として構成し、指針はリアルなアナログメーターの態様を維持することで、アナログメーターを尊重するプロやマニアの欲求を充足でき、しかも画面切替えにより目盛り盤をなす画像ディスプレイ装置に、アナログメーターの指示情報とは異なる第二画像を表示できるようにしたことで、従来の指示情報量が限られていたアナログメーターの表示内容を大幅に多様化でき、自動車の多機能化にも問題なく対応できる。
【0007】
本発明の車両用メーターユニットにおける指針は、目盛りを指示する指示部が第一表示モードにおいて点灯され、第二表示モードにおいて消灯される発光部を有するものとすることができる。これによって、第一モードでは指針の発光部を点灯することでアナログメーターの読み取りが容易となり、表示を行なわない第二表示モードでは発光部を消灯することで、指針が第二画像の視認に邪魔にならない。
【0008】
本発明の車両用メーターユニットでは、指針は透光性材料からなる導光部と、該導光部の先端に蛍光組成物にて形成された発光部を有し、該指針の基端位置に配置された指針発光用光源からの光を、導光部を介して発光部に導くとともに、第一表示モードにおいてメーター表示盤の表示画面上には、目盛り画像の表示領域が指針の発光部の移動軌跡に対応する領域に形成される一方、導光部の移動軌跡に対応する位置に副画像を表示する副画像表示領域が形成され、指針の導光部を介して副画像表示領域上の表示内容を透視可能とすることができる。
【0009】
上記構成によれば、第一モードで指針の基端側の移動軌跡領域にも副画像を表示できるのでメーター表示情報をより多様化でき、かつ指針の該基端側の部分を透明な導光部とすることで、副画像の視認がより容易になる。また、この場合、副画像表示領域を、メーター指示値をデジタル表示するデジタル表示領域とすることもできる。副画像をメーター指示値のデジタル表示領域とすることで、アナログメーターの読み取りが一層容易となる。
【0010】
本発明の車両用メーターユニットでは、第二表示モードにおいて、指針位置切替部は指針を、第二画像の表示領域外に設定された退避位置に退避させることができる。指針の退避位置を第二画像領域外とすることで、第二画像の視認が一層容易となる。また、その退避位置は、メーター表示盤の第二画像の表示領域周囲を隠蔽するフレームの背後位置と設定することができる。指針をフレームの背後に隠すことで、第二モードでの表示の見栄えが大幅に向上する。
【0011】
本発明の車両用メーターユニットでは、第二表示モードにてメーター表示盤には第二画像として、カーエアコンの操作設定状態を示すエアコン設定状態画像を表示することができる。頻繁に使用するエアコンの操作設定状態を第二画像に表示することで、メーターの使用頻度も高まり、使い勝手が向上する。
【0012】
本発明の車両用メーターユニットでは、第一表示モードにて互いに異なる種別のメーター指示値を独立にアナログ指示するために、アナログメーター部とメーター表示盤との組が複数隣接配置されるとともに、第二表示モードにおいては、それら複数のメーター表示盤に、カーエアコンの操作設定状態を示す複数の情報を、各々第二画像として振り分け表示することができる。設定温度、風量、吹き出しモードなど、複数の設定情報を複数のメーターに振り分け表示することで、エアコン設定モニタとしての読み取り性も向上する。
【0013】
本発明の車両用メーターユニットでは、第一表示モードにおいて表示画面上に、第一画像として、メーター指示値を表示するための目盛りを含む主表示画像と、第二表示モードにおいて表示すべき表示情報の縮小表示内容からなる副表示画像とを表示するものとすることができる。この構成によれば、本来第二モードで表示されるべき情報を、第一モードでも縮小表示することで、いちいち切替えなくとも第二モードでの情報を同時に把握でき、しかも縮小表示なので、第一モードでの情報把握の邪魔にならない。
【0014】
本発明の車両用メーターユニットでは、第一表示モードにおける第一画像として、車両のエンジンの油温、油圧、水温、及びターボブースト圧のいずれか1つを表示することができる。これにより、スポーツカーなどで好まれる油温、油圧、水温、及びターボブースト圧等をアナログメーター表示できるようにすることができ、プロやマニアの欲求を一層くすぐることができる。また、第一表示モードにて互いに異なる種別のメーター指示値を独立にアナログ指示するために、アナログメーター部とメーター表示盤との組が3つ横方向に隣接配置され、それらアナログメーター部とメーター表示盤との組に、車両のエンジンの油温、油圧及びターボブースト圧を振り分け表示することもできる。
【0015】
本発明の車両用メーターユニットでは、表示モード切替部により第一表示モードから第二表示モードへの切替え操作を行なった後、予め定められた時間が経過した場合に、メーター表示盤の表示を第二表示モードから第一表示モードに自動復帰させる表示モード復帰手段を有する。メインの表示をなす第一画像に対し、第二画像を補助参照情報として時折参照すれば事足りるような場合、第一表示モードへ自動復帰させる機能をつけることで、いちいち復帰切替える必要がなくなり、楽である
【0016】
本発明の車両用メーターユニットでは、メーター表示盤の表示画面が円形に形成され、表示モード切替部は、該メーター表示盤の表示画面の外周縁に沿ってこれを取り囲むように設けられ、周方向に回動操作可能なロータリースイッチとして設けることができる。円形のメーター周囲に回転可能なスイッチを設けることで操作性が向上するとともに、スイッチがメーター周囲を飾る装飾部にも兼用され、円形メーターの意匠性が大幅に向上する。また、ロータリースイッチは、予め定められた中立位置に対し、左右両方向に一定角度ストロークだけクリック回転可能に設けられ、表示制御部は、ロータリースイッチが中立位置にあるときに、メーター表示盤の表示を第一表示モードにて行なうとともに、ロータリースイッチが中立位置から左右いずれかの向きにクリック回転操作されるに伴い、メーター表示盤の表示を第一表示モードから第二表示モードに切替えることもできる。さらに、第二表示モードにおいて、第二画像の表示内容がカーエアコンの操作設定状態を示すものであり、ロータリースイッチのクリック回転操作を、カーエアコンの操作設定状態の切替え操作に兼用することもできる。このカーエアコンの操作設定状態の切替え操作の具体的な内容は、例えばカーエアコンの設定温度の増減操作、風量の増減操作、サイクリックに選択順序が決められた吹き出しモードの切替え操作等とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明の自動車用走行制御システムの一実施例を、図面を用いて説明する。図1は、本発明の車両用メーターユニットの外観図であり、図2は車両用メーターユニットを構成する各メーター断面構造を示す断面図である。なお、図2は、図1の油温メーター101のA−A断面図であるが、他の油圧メーター201及びブースト圧メーター301も同様の断面構造を有する。
【0018】
図1に示す車両用メーターユニットは、自動車の運転席から視認及び操作可能な位置に設けられ、メーター表示盤(図中のメーター表示部)101、201、301が図の左から順に横方向に隣接する形でメーターフード9に配置され、いわゆる三連ゲージとして表示されている。
【0019】
また、図2に示すように、画像表示用のカラーピクセルマトリックスを有する液晶パネル3と、バックライト(例えばLED型のもの)6と、ハードウェア基板7とがこの順で積層された状態で筐体8に納められている。この該筐体8はメーターフード9が形成する凹部内に装着されており、自動車のインパネの運転席に対向する側に液晶パネル3が配置される。液晶パネル3は、運転席側のカバーレンズ5によって覆われており、メーターフード9が形成する凹部に嵌合されている。これにより、液晶パネル3の表示画面に表示される表示情報は、運転席側からカバーレンズ5を介して視認可能となっている。また、メーターフード9の凹部には、リング状のフレーム(以下、リングフレームと称する)2が取り付けられており、後述するロータリースイッチとして構成されている。
【0020】
この表示用ディスプレイ3とカバーレンズ5との間には、液晶パネル3に画像表示される目盛り12(32、52)上の位置でメーター指示値を指示する指針1と、該指針1をメーター指示値に対応する位置へ駆動する指針駆動部M1(メーター表示盤201、301においてはM2、M3:図示なし)と、を備えるアナログメーター部が形成されている。このアナログメーター部を形成する指針1は、指針は透光性材料からなる導光部1bと、該導光部1bの先端に蛍光組成物にて形成された発光部(指示部)1aを有し、該指針1の基端1c側に配置された指針発光用光源(例えばLEDを用いる)1lからの光を導光部1bを介して発光部1aに導くようにして形成されている。導光部1bの基端1cは、モータを駆動部とする指針駆動部M1から回転駆動力を伝達する回転軸部1dと連結しており、指針駆動部M1の回転が指針1に伝達される。
【0021】
液晶パネル3は、指針1の背後に配置される。この液晶パネル3には、画面上の目盛り表示領域12a(32a、52a)に画像表示される目盛り12(32、52)と指針1とでメーター指示値をアナログ表示する第一画像と、該第一画像とは異なる第二画像とが表示され、リングフレーム2のひねり操作(スイッチ操作)によって、第一画像を表示する第一表示モードと、第二画像を表示する第二表示モードとが切替えられる。本実施例では、第一表示モードにおいて液晶パネルに表示される画像は赤で、第二表示モードで表示される画像は黄色で表示され、そして双方のモードの背景色は黒で表示されている。図1は、各メーター表示盤101、201、301の第一表示モードにおける表示状態(第一画像)を示しており、図3は、各メーター表示盤101、201、301の第二表示モードにおける表示状態(第二画像)を示している。なお、図4は、図5の状態におけるメーター表示盤101のA−A断面図であり、メーター表示盤201、301も同様の断面構造を有する。
【0022】
これらメーター表示盤101、201、301は、第一表示モードにおいて、液晶パネル3の表示画面上に、目盛り画像12、32、52が指針1の発光部1aの移動軌跡上に位置する領域(目盛り表示領域)12a、32a、52aに形成される一方、指針1の導光部1bの移動軌跡上に位置する領域に副画像11、31、51を表示する副画像表示領域11a、31a、51aが形成され、指針1の導光部1bを越しに副画像表示領域11a上の表示内容を透視可能とされている。本実施例における副画像表示領域11aは、メーター指示値をデジタル表示するデジタル表示領域として形成されている。
【0023】
また、メーター表示盤101については、第一表示モードの第一画像として、表示画面上に、メーター指示値を表示するための主表示画像(画像11、12、13からなる)を表示する第一画像表示領域3a(絵マーク表示領域13a、目盛り表示領域12a、及び副画像表示領域11aを含む領域)と、第二表示モードの第二画像として表示すべき表示情報の縮小表示内容からなる副表示画像29、22を表示する第二画像表示領域3bとを有する。ここでは、第一表示モードにおいて第二画像表示領域にエアコン設定温度の縮小画像29が表示され、第二表示モードにおいてエアコン設定状態(AUTO、MANUAL)22が表示される。なお、縮小表示されたエアコン設定温度の単位は、第一画像領域の副画像表示領域11a(デジタル表示領域)に表示された単位11c(21c)を共通に用いる形で表示される。なお、メーター表示盤201、301についても、第二表示モードの縮小表示を行なうことも可能であるが、本実施例では行っていない。
【0024】
第一表示モードにおける第一画像としては、例えば、本発明の車両用メーターユニットが搭載された車両における、エンジンの油温、油圧、水温、及びターボブースト圧のいずれか1つを表示するように、各メーター表示盤101、201、301毎に表示内容が振り分けられている。本実施例においては、メーター表示盤101が第一画像として油温メーター表示を行ない、メーター表示盤201が油圧メーター表示を行ない、メーター表示盤301がブースト圧メーター表示を行なうように構成されている。なお、各メーター表示盤101、201、301には、現表示内容を明らかにするために、表示内容(油温、油圧、ブースト圧等)を表す絵マーク13、33、53が絵マーク表示領域13a、33a、53aに表示されている。
【0025】
第二表示モードにおける第二画像としては、例えば、本発明の車両用メーターユニットが搭載された車両のカーエアコンの操作設定状態を示す複数の情報、具体的には、カーエアコンの設定温度、風量、吹き出しモードのいずれか1つを表示するように、各メーター表示盤101、201、301毎に表示内容が振り分けられている。本実施例においては、メーター表示盤101が第二画像としてエアコンの設定温度表示を行ない、メーター表示盤201がエアコンの設定風量表示を行ない、メーター表示盤301がエアコンの吹き出しモード表示を行なうように構成されている。
【0026】
なお、メーター表示盤に表示させる第一画像の内容については、指針を用いたアナログ表示が可能となるよう目盛り画像が含まれていれば他の画像情報として何を表示するかは特に限定されず、例えば他の車両用計器類の計測値を表示するものとしてもよい。また、第二画像の表示内容についてはさらに限定はなく、例えば時計や外・内気温等の表示を行ってもよい。
【0027】
リングフレーム2は、表示モード切替部をなすものであり、液晶パネル3の表示画面の外周縁に沿ってこれを取り囲むように設けられ、周方向にひねることができるロータリースイッチとして設けられている。このリングフレーム2は、液晶パネル3の予め定められた中立位置に対し、左右両方向に一定角度ストロークだけクリック回転可能に設けられる。本実施例の場合は、図5の(a)に示すように、フレームつまみ部2a、2bの位置が水平方向に並ぶ位置が中立位置であり、このフレームつまみ部2a、2bを用いてリングフレーム2を左右いずれかの向きにクリック回転操作することで、図5の(b)や(c)に示すように、スイッチ端子92aが回転端子91a、91bのいずれかにより接触対応する向きに付勢されるように構成される。この付勢方向がスイッチ92により検出されたときに、液晶パネル3の第一表示モードから第二表示モードへの切替えが、付勢の向きに関係なく実行され、同時に、後述するエアコン設定状態の変更操作が実行される。そして、フレームつまみ部2a、2bへの回転付勢を解除することで、中立位置において回動不可に設けられたストッパー80と、リングフレーム2と一体に回動する移動部材82a、82bとの双方に固定されたばね部材81a、81bの付勢力に従い、中立位置に復帰する。
【0028】
また、このリングフレーム2によるロータリースイッチは、液晶パネル3の表示を第一表示モードから第二表示モードに切替えるだけでなく、第二表示モードで表示されるエアコン設定状態を変更するエアコン設定操作部としても機能するものである。例えば、スイッチ92の検出する付勢方向に従い、メーター表示盤101の場合は、リングフレーム2を右側に1クリック回転させるとエアコン設定温度が1増加し、左側に1クリック回転させるとエアコン設定温度が1減少する。また、回転した状態を一定時間以上継続することで、エアコン設定温度の連続増加・減少を行なうことが可能となっている。メーター表示盤201の場合は、リングフレーム2を右側に1クリック回転すると風量が1増加し、左側に1クリック回転すると風量が1減少する。また、回転した状態を一定時間以上継続することで、風量の連続増加・減少を行なうことも可能である。エアコン表示盤301の場合は、リングフレーム2を右側に1ずつクリック回転させることで、Face、Bi−Level(Face/Foot)、Foot、Foot/Def、Defの順に吹き出しモードが予め定められたサイクルで切替えられる。また、左側に1ずつクリック回転させた場合には、上記順序とは逆で吹き出しモードが切替えられる。なお、本実施例においては、リングフレーム2の上側にインジケータLED4a、4bが設けられ、右側が赤、左側が青で表示されている。これにより、メーター表示盤101において右(赤)側にひねることで設定温度が増加し、左(青)側にひねることで設定温度が減少するようになっている。メーター表示盤201、301にはLEDではないがリングフレームの回転可能な方向を示す三角形状の表示部4c、4d、4e、4fが設けられている。
【0029】
次に、本発明の車両用メーターユニットの電気的構成を説明する。本発明の車両用メーターユニットは、図6に示すように、3つのメーター装置100、200、300と、ボデー系ECU500と、エアコンECU600とが、シリアル通信バス400を介して接続されて構成される。ボデー系ECU500は、油温センサ501、油圧センサ502、及びブースト圧センサ503と接続されており、それらセンサ501〜503の検出する検出値を記憶している。エアコンECU600も、エアコンの設定温度、風量、吹き出しモード状態等を記憶している。これらECU500、600の記憶する値が、メーター装置100、200、300に含まれる各メーターECU110、210、310に対して入力される。メーターECU110、210、310のハードウェア構成は同一であるから、図6では、メーター装置100で代表させてメーターECU210、310の詳細を図示している。
【0030】
メーター装置100は、メーターECU110とメーター表示盤(図中ではメーター表示部と表示)101とを備えて構成され、該メーターECU110は、CPU111、ワークメモリ112aを備えるRAM112、各種プログラムを記憶するROM113、バスライン114、入出力部(図中では「I/O」と表示)115、不揮発性メモリである外部メモリ116(例えばEEPROMなどの不揮発性メモリで構成される)、他のECUと接続されるシリアル通信バス400に接続される通信インターフェース(図中では「I/F」と表示)117、及びシリアル通信バス400から受信したデータを一時格納する受信バッファメモリ(以下、受信バッファともいう)117aを備えて構成される。入出力部115には、モータ駆動回路120、点灯駆動回路121、123、124、描画LSI122が接続されており、それらを介してメーター表示盤101と接続している。
【0031】
メーター表示盤101は、リングフレーム2によって操作可能なモード切替スイッチ部90、指針1、該指針1をモータ駆動回路を介して駆動するモータM1、描画LSI122とグラフィックメモリ122aによる描画処理に基づいて表示出力がなされる液晶パネル(図中では「表示パネル」と表示)3、点灯駆動回路123からの点灯信号に基づいて点灯するバックライト6、及び、点灯駆動回路124からの点灯信号に基づいて点灯するインジケータLED4a,4bとを備えて構成されている。
【0032】
上記構成を有するメーター装置100は、ROM113に記憶された各プログラム113a〜113dを実行することにより、まずメーターECU110が、第一表示モードとして表示すべき主表示情報(メーター指示値)を外部のECU500から取得し、第二表示モードとして表示すべき表示情報を外部のECU600から取得して、それら取得情報に基づいて第一表示モードとして表示する第一画像用の描画データと第二表示モードとして表示する第二画像用の描画データとを、描画LSI122に出力する。描画LSI122では、リングフレーム2の操作に基づいて、それらの描画データに基づいて表示パネルに第一画像と第二画像とを出力している。
【0033】
なお、メーター装置200、300は、点灯駆動回路124及びインジケータLED4a、4bが存在しない点と、ROMのエアコン設定温度切替プログラム113dが異なるプログラムである点を除き、上記したメーター装置100とほぼ同様の構成をなすものであるから、メーター装置200、300の詳細については説明を略す。
【0034】
メーター表示盤101は、メーターECU110のROM113に記憶されたメーター表示切替プログラム113a、第一表示モードの表示プログラム113b、第二表示モードの表示プログラム113c、エアコン設定温度切替プログラム113dを、CPU111が実行することで、表示切替制御部、指針位置切替部、及び表示モード復帰手段として機能するものである。以下、各プログラム113a、113b、113c、113dについて、図7〜図10に示すフローチャートを用いて説明を行なう。
【0035】
メーター表示切替プログラム113aは、上記のメーター装置100、200、300において、ディスプレイ3への表示、及び表示モードの切替えを行なうものであり、通常状態において第一モードが表示されるように設定され、リングフレーム2の操作によって第二モードに切替わるようになっている。
【0036】
具体的には、まずS1において、第一表示モードの表示プログラム113bが実行される。このプログラム113bでは、図8に示すように、まずS21にて、ボデー系ECU500が記憶している油温センサ501の計測値をリードする。次いでS22にて、エアコンECU600が記憶しているエアコンの現在の設定温度をリードする。そして、S22では、図1に示すように、液晶パネル3の第一画像表示領域3aに、リードした油温値をアナログとデジタルの双方で油温表示を行なう。具体的には、第一画像表示領域3aのうちの、副画像表示領域11aに油温値(副画像)11のデジタル表示がなされ、目盛り表示領域12aに目盛り12が表示され、絵マーク表示領域13aに油温を表す絵マーク13が表示される。次に、S24にて、液晶パネル3の第二画像表示領域3bに、リードしたエアコン設定温度29を縮小表示する。そして、S25ではリードした油温値を指針1が目盛り12上で指し示すようにモータM1が駆動して、同時に指針1の基端1c側の光源1lが点灯し、発光部1aが発光状態となる。そして、メーター表示切替プログラム113a(図7)に戻る。
【0037】
図7に戻って、S1が終了するとS2に進み、スイッチ入力の有無を判定する。具体的には、リングフレーム2が、スイッチ端子92が回転端子91a、91bのいずれかに接触したか否かを判定する。S2にてスイッチ入力がなかった場合にはS10に進み、現在の第一表示モードでの表示を継続してS9に進み、ACC−OFF(キースイッチがイグニッションON位置からアクセサリ位置に戻る)の入力信号が検出されなければ、再びS2に戻る。
【0038】
S2にてスイッチ入力があった場合にはS3に進み、第二表示モードの表示プログラム113cが実行される。第二表示モードの表示プログラム113cでは、図9に示すように、まず、S31にて、エアコンECUからエアコンECU600が記憶しているエアコンの設定温度の値をリードする。そして、S32にて、エアコンの制御状態をリードする。S33では、液晶パネル3の第一画像表示領域3aに、現在のエアコン設定温度21を表示する。具体的には、第一画像表示領域3aのうちの、副画像表示領域11aにエアコン設定温度21のデジタル表示がなされ、目盛り表示領域12aには目盛りが表示されずに設定温度を示していることを明確にする文字情報が表示され、絵マーク表示領域13aにエアコン温度設定を表す絵マーク23が表示される。
【0039】
ただし、エアコンの設定温度は、S2にて実行が確認されたスイッチ操作(リングフレーム2のクリック回転操作)によって変更されており、副画像表示領域11aに表示するエアコンの設定温度は、エアコンECU600からリードしたエアコン設定温度に、スイッチ入力によって増減された温度を加算した値である。具体的には、リンクフレーム2のスイッチ操作が実行されることによって、図10に示すエアコン設定温度切替プログラム113dが起動して、S41にて、スイッチ2が右回りにクリック回転した場合には、S42にて、クリック回転に応じて設定温度が増加され、S43でスイッチ2が左回りにクリック回転した場合には、S44にて、クリック回転に応じて設定温度が減少され、そうして算出された設定温度が副画像表示領域11aに表示される。なお、ここで算出された設定温度は、S45にてエアコンECU600に出力されて、エアコンECU600はその設定結果を記憶し、エアコン制御に反映させる。
【0040】
図9に戻る。S33が終了すると、S34にて、液晶パネル3の第二画像表示領域3bに、リードしたエアコン設定状態(AUTO、MANUAL)22をデジタル表示する。そして、S25ではリードした第二表示モードでは使用しない指針1を、リングフレーム2の背後位置(退避位置:図3及び図4参照)の表示領域外に退避させ、同時に光源1lを消灯して、表示領域内から指針1が見えないようにする。そして、メーター表示切替プログラム113a(図7)に戻る。
【0041】
図7に戻って、S3が終了するとS4に進み、メーターECU110のタイマーが起動する。S5では、そのタイマーによって予め設定された設定時間(例えば3sec)が経過したか否かを判定し、経過していなければ第二表示モードの表示を継続し、ACC−OFFの入力がなければ再びS5に戻り、経過していればS8に進み、上記で説明した第一表示モードの表示プログラム113bが実行され、液晶パネル3は第二表示モードから第一表示モードに切替わる。そして、S9でACC−OFFの入力がなければ再びS2に戻る。
【0042】
S7及びS9にて、ACC−OFFとされた場合には、本メーター表示切替プログラム113aを終了する。
【0043】
なお、メーター表示装置200、300も、各々が備えるメーターECU210(図示なし)、310(図示なし)のROMに同様にプログラムを格納しており、それぞれのCPUがそれらプログラムを実行することで、上記のメーター表示盤101と同様に、メーター表示盤201、301に表示がなされる。ただし、メーター表示盤201は第一表示モードで油圧センサ502の計測値をメーター指示値として表示し、第二表示モードでエアコンCPUに記憶されたエアコンの風量を表示するものであり、第一表示モードから第二表示モードへの切替え操作によってROMに記憶されたエアコン設定風量切替プログラム213d(図示なし)が起動してエアコンの風量切替えがなされ、その切替えられた風量設定がエアコンECU600に送信されて、エアコンの風量制御に反映される。また、メーター表示盤301は第一表示モードでブースト圧センサ503の計測値をメーター指示値として表示し、第二表示モードでエアコンCPUに記憶されたエアコンの吹き出しモードを表示するものであり、第一表示モードから第二表示モードへの切替え操作によってROMに記憶されたエアコン設定吹き出しモード表示切替プログラム313d(図示なし)が起動してエアコンの吹き出しモードの切替えがなされ、その切替えられた設定がエアコンECU600に送信されて、エアコンの吹き出し制御に反映される。
【0044】
以上、本発明の実施例を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0045】
例えば、図11に示すように、液晶パネル3上での第一表示モードから第二表示モードへの切替えを、第一表示モードの表示をフェードアウトさせつつ、第二表示モードの表示をフェードインさせる形で表示することができる。また、これらの画面変化に伴って、指針1も退避位置へと移動を開始し、第二表示モードに切替えられた段階で退避位置に存在するように移動させることができる。これにより、より動的な意匠的効果を有するメーターとなる。
【0046】
また、リングフレーム2を、ロータリースイッチとして構成しつつ、リングフレーム2全体を奥側に押し込む操作によってスイッチ操作を行なうプッシュスイッチとしても構成することができる。この場合、リングフレーム2全体を奥側に押し込む操作によって、第一表示モードと第二表示モードとの間で切替え可能としてもよい。また、このリングフレーム2をメーター装置100に適用し、その押し込み操作によって、液晶パネル3の第二画像表示領域3bに表示するエアコン設定状態(AUTO、MANUAL)22を切替え可能としてもよい。
【0047】
また、本発明におけるメーター表示盤の配置については、特に限定はなく、少なくとも運転席から視認可能かつ操作可能な位置に設けられていれば良く、例えば、車両用メーターユニットを構成する複数のメーター表示盤のうち、最も使用頻度が高いエアコン設定操作を行なうものをハンドルに対して最も接近して設けることで、より使用し易くできる。具体的には、図12に示すように、本発明の車両用メーターユニットのメーター表示盤を、ハンドル700に対して最も接近した位置にあるドア側(図のハンドル700の右横側)に、メーター表示盤101、201、301をこの順で上から設けることで、ハンドル700の奥にある他のメーター表示と同じくらい見易く配置することができ、かつハンドルに置かれる手によって容易に操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の車両用メーターユニットのメーター表示盤が第一表示モードで表示された状態を示す外観図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】本発明の車両用メーターユニットのメーター表示盤が第二表示モードで表示された状態を示す外観図。
【図4】図3のA−A断面図。
【図5】メーター表示盤の内部構造の概略図。
【図6】本実施例の車両用メーターユニットの電気的構成を示すブロック図。
【図7】メーター表示切替処理の流れを示すフローチャート。
【図8】第一表示モードの表示処理の流れを示すフローチャート。
【図9】第二表示モードの表示処理の流れを示すフローチャート。
【図10】エアコン設定温度切替処理の流れを示すフローチャート。
【図11】メーター表示盤の表示切替の流れの一例を説明する図。
【図12】メーター表示盤の配置の一例を示す図。
【符号の説明】
【0049】
100、200、300 メーター装置
101、201、301 メーター表示盤
110、210、310 メーターECU
1 指針
1a 指示部(発光部)
1b 導光部
1c 基端部
1d 光源(指針発光用光源)
2 フレーム
3 液晶パネル
3a 第一画像表示領域
3b 第二画像表示領域
4a、4b インジケータLED
5 カバーレンズ
6 バックライト
7 ハードウェア基板
8 筐体
9 メーターフード
11、31、51 メーター指示値
12、32、52 目盛り(目盛り画像)
13、33、53 絵マーク
11a 副画像表示領域
12a 目盛り表示領域12a
13a 絵マーク表示領域
21、22、42、62 エアコン設定状態画像
500 ボデー系ECU
501 油温センサ
502 油圧センサ
503 ブースト圧センサ
600 エアコンECU
M1、M2、M3 モータ(指針駆動部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、運転席から視認可能に設けられる車両用メーターユニットであって、
メーター指示値を目盛り上の位置にて指示する指針と、該指針を前記メーター指示値に対応する位置へ駆動する指針駆動部とを備えたアナログメーター部と、
画像ディスプレイ装置として構成されるとともに前記指針の背後に配置され、その表示画面の表示モードを、前記アナログメーター部の前記目盛りを含む第一画像を表示する第一表示モードと、前記第一画像とは異なる第二画像を表示する第二表示モードとの間で切替え可能なメーター表示盤と、
表示モード切替部の操作に基づいて、前記メーター表示盤の画像表示を前記第一表示モードと前記第二表示モードとの間で切替える表示切替制御部と、
前記表示モード切替部の操作に基づいて、前記指針駆動部に対し前記指針の位置を、前記第一表示モードに対応する前記目盛り上のメーター指示位置と、前記第二表示モードにて前記第二画像を表示するための退避位置との間で切替え駆動させる指針位置切替部とを備えることを特徴とする車両用メーターユニット。
【請求項2】
前記指針は、前記目盛りを指示する指示部が前記第一表示モードにおいて点灯され、前記第二表示モードにおいて消灯される発光部を有する請求項1記載の車両用メーターユニット。
請求項1記載の車両用メーターユニット。
【請求項3】
前記指針は透光性材料からなる導光部と、該導光部の先端に蛍光組成物にて形成された発光部を有し、該指針の基端位置に配置された指針発光用光源からの光を前記導光部を介して前記発光部に導くとともに、
前記第一表示モードにおいて前記メーター表示盤の前記表示画面上には、前記目盛り画像の表示領域が前記指針の前記発光部の移動軌跡に対応する領域に形成される一方、前記導光部の移動軌跡に対応する位置に副画像を表示する副画像表示領域が形成され、
前記指針の前記導光部を介して前記副画像表示領域上の表示内容を透視可能とした請求項2記載の車両用メーターユニット。
【請求項4】
前記副画像表示領域は前記メーター指示値をデジタル表示するデジタル表示領域である請求項3記載の車両用メーターユニット。
【請求項5】
前記第二表示モードにおいて、前記指針位置切替部は前記指針を、前記第二画像の表示領域外に設定された前記退避位置に退避させる請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用メーターユニット。
【請求項6】
前記退避位置は、前記メーター表示盤の前記第二画像の表示領域周囲を隠蔽するフレームの背後位置に設定されている請求項5記載の車両用メーターユニット。
【請求項7】
前記第二表示モードにて前記メーター表示盤には前記第二画像として、カーエアコンの操作設定状態を示すエアコン設定状態画像を表示する請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の車両用メーターユニット。
【請求項8】
前記第一表示モードにて互いに異なる種別のメーター指示値を独立にアナログ指示するために、前記アナログメーター部と前記メーター表示盤との組が複数隣接配置されるとともに、前記第二表示モードにおいては、それら複数のメーター表示盤に、前記カーエアコンの操作設定状態を示す複数の情報を、各々前記第二画像として振り分け表示する請求項7記載の車両用メーターユニット。
【請求項9】
前記第一表示モードにおいて前記表示画面上には、前記第一画像として、前記メーター指示値を表示するための前記目盛りを含む主表示画像と、前記第二表示モードにおいて表示すべき表示情報の縮小表示内容からなる副表示画像とを表示するものである請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の車両用メーターユニット。
【請求項10】
前記第一表示モードにおける前記第一画像として、前記車両のエンジンの油温、油圧、水温、及びターボブースト圧のいずれか1つを表示する請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の車両用メーターユニット。
【請求項11】
前記表示モード切替部により前記第一表示モードから前記第二表示モードへの切替え操作を行なった後、予め定められた時間が経過した場合に、前記メーター表示盤の表示を前記第二表示モードから前記第一表示モードに自動復帰させる表示モード復帰手段を有する請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の車両用メーターユニット。
【請求項12】
前記メーター表示盤の前記表示画面が円形に形成され、
前記表示モード切替部は、該メーター表示盤の前記表示画面の外周縁に沿ってこれを取り囲むように設けられ、周方向に回動操作可能なロータリースイッチとして設けられている請求項1ないし請求項11記載の車両用メーターユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−218682(P2007−218682A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−38335(P2006−38335)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】