説明

車両用リヤサスペンション

【課題】トレーリングアームとリヤアクスルブラケットを簡単且つ正確に位置決めして両者を作業性良く容易に組み付けることができる車両用リヤサスペンションを提供すること。
【解決手段】左右のトレーリングアーム3の各後端部の前後2箇所をマウントブッシュ5を介してリヤアクスルブラケット6にそれぞれ取り付けて成る車両用リヤサスペンション1において、前記トレーリングアーム3の各後端部の何れか1箇所を一方のマウントブッシュの内筒に挿通するボルト26によってリヤアクスルブラケット6に仮止めした状態で、これらのトレーリングアーム3とリヤアクスルブラケット6を前記ボルト26を中心として相対回転させると他方のマウントブッシュ5の内筒5aに当接して該内筒5aのボルト挿通孔とリヤアクスルブラケット6のボルト挿通孔とを合致させて両者を位置決めする当接部6dをリヤアクスルブラケット6に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーリングアーム式の車両用リヤサスペンションに関するものである。
【背景技術】
【0002】
斯かるトレーリングアーム式の車両用リヤサスペンションは、前端が上下回動可能に支持された左右一対のトレーリングアームの各後端部の前後2箇所を、リヤアクスルの左右両端部に結着されたリヤアクスルブラケットにマウントブッシュを介してそれぞれ取り付けて構成されている(例えば、特許文献1)。ここで、マウントブッシュは、内筒と外筒及びこれらの間に設けられた弾性体によって構成されており、トレーリングアームに形成された円孔に圧入されている。
【0003】
而して、左右一対の各トレーリングアームの後端部の前後2箇所には円孔が形成され、これらの円孔には前後のマウントブッシュがそれぞれ圧入され、各マウントブッシュの内筒のボルト挿通孔と各リヤアクスルブラケットに形成されたボルト挿通孔に挿通するボルトとこれに螺合するナットによって各トレーリングアームの後端部の前後2箇所がマウントブッシュを介してリヤアクスルブラケットに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−096320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、左右一対のトレーリングアームの後端部は左右それぞれ2箇所、計4箇所がマウントブッシュの内筒に挿通するボルトによってリヤアクスルブラケットに取り付けられるが、ボルトを挿入するために4箇所について孔位置(マウントブッシュの内筒のボルト挿通孔とリヤアクスルブラケットのボルト挿通孔の位置)を同時に位置決めすることは困難である。例えば、各トレーリングアームの後端部の前後2箇所のうちの1箇所にボルトを通して該トレーリングアームとリヤアクスルブラケットとを仮止めしても、そのボルトを中心としてトレーリングアームが回転してしまうため、この仮止めだけでは他の1箇所について孔位置を合わせることができず、他の1箇所についても孔位置を合わせる作業が必要になる。このため、組付作業性が悪く、組み付けに多大な手間と時間が掛かるという問題があった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とする処は、トレーリングアームとリヤアクスルブラケットを簡単且つ正確に位置決めして両者を作業性良く容易に組み付けることができる車両用リヤサスペンションを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、前端が上下回動可能に支持された左右一対のトレーリングアームの各後端部の前後2箇所を、内筒と外筒及びこれらの間に設けられた弾性体によって構成されるマウントブッシュを介してリヤアクスルの左右両端部に結着されたリヤアクスルブラケットにそれぞれ取り付けて成る車両用リヤサスペンションにおいて、前記トレーリングアームの各後端部の何れか1箇所を一方のマウントブッシュの内筒に挿通するボルトによって前記リヤアクスルブラケットに仮止めした状態で、これらのトレーリングアームとリヤアクスルブラケットを前記ボルトを中心として相対回転させると他方のマウントブッシュの内筒に当接して該内筒のボルト挿入孔とリヤアクスルブラケットのボルト挿入孔とを合致させて両者を位置決めする当接部をリヤアクスルブラケットに形成したことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記他方のマウントブッシュの内筒の軸方向端部の外周に弾性部材の被覆が薄い小径部を形成し、該小径部に前記リヤアクスルブラケットに形成された当接部を当接させることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記リヤアクスルブラケットの取付部外面の一部を外側方から加圧して取付部内面の一部を隆起させることによって前記当接部を形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記リヤアクスルブラケットを下方が開口するチャンネル部材で構成し、その左右の縦壁状の取付部の内面の相対向する箇所に前記当接部を形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の発明において、前記リヤアクスルブラケットの前記リヤアクスルが挿通する挿通孔を挟んでこれの前後2箇所にボルト挿通孔を形成し、一方のボルト挿通孔の上方に前記当接部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、トレーリングアームの各後端部の何れか1箇所をマウントブッシュの内筒とリヤアクスルブラケットのボルト挿通孔に挿通するボルトによってリヤアクスルブラケットに仮止めした状態で、トレーリングアームとリヤアクスルブラケットを前記ボルトを中心として相対回転させると、リヤアクスルブラケットに形成された当接部が他方のマウントブッシュの内筒に当接して該内筒のボルト挿通孔とリヤアクスルブラケットのボルト挿通孔とを合致させて両者が正確に位置決めされるため、これらのボルト挿通孔にボルトを簡単に通してトレーリングアームの各後端部の2箇所をマウントブッシュを介してリヤアクスルブラケットに作業性良く容易に取り付けることができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、トレーリングアームとリヤアクスルブラケットを仮止めするボルトを中心として両者を相対回転させると、リヤアクスルブラケットに形成された当接部がマウントブッシュの内筒の軸方向端部外周の弾性部材の被覆が薄い小径部に当接するため、トレーリングアームとリヤアクスルブラケットが正確に位置決めされる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、リヤアクスルブラケットの取付部外面の一部を外側方から加圧して取付部内面の一部を隆起させることによって当接部を生産性良く容易に形成することができ、該当接部と孔位置(マウントブッシュの内筒のボルト挿通孔とリヤアクスルブラケットのボルト挿通孔の位置)との間に高い位置精度を確保することができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、リヤアクスルブラケットを下方が開口するチャンネル部材で構成し、その左右の縦壁状の取付部の内面の相対向する2箇所に当接部を形成したため、マウントブッシュの内筒のボルト挿通孔とリヤアクスルブラケットのボルト挿通孔とが高精度に位置決めされて両者が合致するため、これらのボルト挿通孔にボルトを容易に通してトレーリングアームとリヤアクスルブラケットを作業性良く容易に組み付けることができる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、リヤアクスルブラケットのリヤアクスルが挿通する挿通孔を挟んでこれの前後2箇所にボルト挿通孔を形成し、一方のボルト挿通孔の上方に当接部を形成したため、他方のボルト挿通孔にボルトを通してトレーリングアームとリヤアクスルブラケットとを仮止めし、このボルトを中心としてリヤアクスルブラケットを自重を利用して回動させると、該リヤアクスルブラケットに形成された当接部がマウントブッシュの内筒に当接してトレーリングアームとリヤアクスルブラケットが作業性良く簡単に位置決めされて組み付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る車両用リヤサスペンションの構成を示す部分破断後面図である。
【図2】本発明に係る車両用リヤサスペンション要部の斜視図である。
【図3】図2の矢視A方向の図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】本発明に係る車両用リヤサスペンションの組付要領を示す要部斜視図である。
【図6】(a)はトレーリングアームの平面図、(b)は同トレーリングアームの側面図である。
【図7】リヤアクスルブラケットの平面図である。
【図8】リヤアクスルブラケットの側面図である。
【図9】図8のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明に係る車両用リヤサスペンションの構成を示す部分破断後面図、図2は同車両用リヤサスペンション要部の斜視図、図3は図2の矢視A方向の図、図4は図3のB−B線断面図、図5は本発明に係る車両用リヤサスペンションの組付要領を示す要部斜視図、図6(a)はトレーリングアームの平面図、図6(b)は同トレーリングアームの側面図、図7はリヤアクスルブラケットの平面図、図8は同リヤアクスルブラケットの側面図、図9は図8のC−C線断面図である。
【0020】
本実施の形態に係る車両用リヤサスペンション1はトレーリングアーム式であって、図2に示すように、前端がマウントブッシュ2を介して不図示の車体に上下回動可能に支持された左右一対のトレーリングアーム3の各後端部の前後2箇所をマウントブッシュ4,5を介して左右のリヤアクスルブラケット6にそれぞれ取り付けて構成されている。ここで、左右のリヤアクスルブラケット6は、車幅方向に配された円筒状のリヤアクスル7の左右両端部に結着されている。
【0021】
ところで、図1に示すように、前記リヤアクスル7の左右両端部(図1には左端部のみ図示)にはナックルスピンドル8がそれぞれ結着されており、各ナックルスピンドル8には後輪9がホイールベアリング10を介して回転可能に支承されている。具体的には、後輪9のホイール11の中心部に複数のボルト12によって取り付けられたハブ13がその内周に嵌着された前記ホイールベアリング10と共に前記ナックルスピンドル8に通され、該ナックルスピンドル8の端部に螺合するナット14を締め付けることによって前述のように後輪9がホイールベアリング10を介してナックルスピンドル8に回転可能に支承されている。そして、左右の後輪9は、リヤアクスル7の左右と車体フレーム15との間に介装されたショックアブソーバ16とコイルスプリング17によって車体フレーム15に上下動可能に懸架されている。具体的には、前記トレーリングアーム3の後端部を支持する後側のマウントブッシュ5に挿通するボルト18は、リヤアクスルブラケット6を横方向に貫通してリヤアクスルブラケット6から車両の内側に突出しており、その突出部にショックアブソーバ16の下端部がナット19によって固定され、ショックアブソーバ16の上端部はボルト20によって車体フレーム15に取り付けられている。又、前記コイルスプリング17は、リヤアクスル7の左右に設けられたスプリング受け21と車体フレーム15側に設けられたスプリングシート22との間に縮装されており、スプリングシート22にはゴム製のバンプストッパ23が取り付けられている。
【0022】
そして、リヤアクスル7の左側部分には、横方向に配されたラテラルロッド24の一端がナット25によって結着されており、ラテラルロッド24の他端は不図示の車体に取り付けられている。
【0023】
次に、本発明に係る車両用リヤサスペンション1の主要な構成部品について説明する。
【0024】
左右において車体前後方向に配された前記各トレーリングアーム3は、板金のプレス成形品であって、図6(b)に示すように車両後方に沿って上下の幅が広くなる側面視三角形のフレーム状に形成されている。尚、図6(a)に示すように、各トレーリングアーム3の外周縁には幅方向に折り曲げられたリブ(フランジ)3aが形成されており、このリブ3aによってトレーリングアーム3の剛性が高められている。
【0025】
図6(b)に示すように、各トレーリングアーム3の前端部には円孔3Aが形成され、この円孔3Aには前記マウントブッシュ2が圧入されている。又、各トレーリングアーム3の後端部は、半円状の切欠き3bが形成されることによって二股状に成形されており、この後端部の上部には前側の円孔3Bが形成され、この円孔3Bの斜め後下方には後側の円孔3Cが形成されている。そして、これらの円孔3B,3Cには前記マウントブッシュ4,5がそれぞれ圧入されている。
【0026】
ここで、トレーリングアーム3の後端部に形成された後側の円孔3Cに圧入されたマウントブッシュ5の構成を図4に示すが、このマウントブッシュ5は、同心状に配された金属製の内筒5aと外筒5b及びこれらの間に設けられた弾性体5cによって構成されている。ここで、マウントブッシュ5の内筒5aの軸方向端部の外周には、弾性部材5cの被覆が薄い小径部5a1が形成されている。尚、図示しないが、他の2つのマウントブッシュ2,4もマウントブッシュ5と同様に構成されている。
【0027】
左右一対の前記各リヤアクスルブラケット6は、図7〜図9に示すように、下方が開口するチャンネル部材で構成されており、その左右の縦壁状の取付部6Aの前後方向中間には前記リヤアクスル7が挿通するための円孔状の挿通孔6aが形成され、この挿通孔6aを挟んでこれの前後2箇所には円孔状のボルト挿通孔6bと長孔状のボルト挿通孔6cがそれぞれ形成されている。そして、各リヤアクスルブラケット6の大径の挿通孔6aにはリヤアクスル7の軸方向端部が挿通しており、挿通孔6aの周縁を溶接することによってリヤアクスルブラケット6がリヤアクスル7の左右両端部に結着されている。
【0028】
而して、本実施の形態では、リヤアクスルブラケット6の左右の縦壁状の取付部6Aの相対向する内面であって、後側のボルト挿通孔6cの上方には内側に向かって隆起する当接部6dがそれぞれ形成されている。これらの当接部6dは、取付部6Aの外面の一部を外側方から加圧して取付部6Aの内面の一部を隆起させることによって形成されている。詳細には、当接部6dは取付部6Aの面に略四角形状に形成され、略四角形状のボルト挿通孔6c側の辺をボルト挿通孔6bと長孔状のボルト挿通孔6cを結ぶ直線と略平行に配置している。又、このボルト挿通孔6c側の部分は、図4に示すように取付部6Aの面に垂直な壁面形状に突出(隆起)する形状となっており、マウントブッシュ5の内筒5aの軸方向端部(小径部5a1)との当接が安定し、ボルト挿通孔6cと内筒5aのボルト挿通孔の位置決めを正確に行うことができる。
【0029】
次に、左右のトレーリングアーム3の各後端部の2箇所をマウントブッシュ4,5を介して左右の各リヤアクスルブラケット6に取り付ける手順について説明する。
【0030】
左右のトレーリングアーム3の各後端部の2箇所をマウントブッシュ4,5を介して左右の各リヤアクスルブラケット6に取り付けるには、図5に示すように、リヤアクスル7の左右両端部に結着された左右のリヤアクスルブラケット6を左右のトレーリングアーム1の前側の円孔3Bに圧入されたマウントブッシュ4を上側から覆うように被せ、マウントブッシュ4の内筒のボルト挿通孔(不図示)とリヤアクスルブラケット6の前側のボルト挿通孔6bとを合わせ、これらにボルト26を通してトレーリングアーム3とリヤアームブラケット6を仮止めする。
【0031】
そして、左右のリヤアクスルブラケット6をリヤアクスル7と共にこれらの自重を利用してボルト26を中心として図5の矢印方向に回転させる。すると、左右のリヤアクスルブラケット6の左右の取付部6Aのボルト挿通孔6cの上方に形成された当接部6dがマウントブッシュ5の内筒5aの小径部5a1に当接し、該リヤアクスルブラケット6がトレーリングアーム3に対して正確に位置決めされ、リヤアクスルブラケット6のボルト挿通孔6cがマウントブッシュ5の内筒5aのボルト挿通孔に合致する。このため、マウントブッシュ5の内筒5aのボルト挿通孔とリヤアクスルブラケット6のボルト挿通孔6cにボルト18を作業性良く容易に通すことができ、両ボルト18,26にそれぞれ螺合するナット27,28を締め付ければ、左右のトレーリングアーム3の各後端部の2箇所がマウントブッシュ4,5を介してリヤアクスルブラケット6に確実に取り付けられ、トレーリングアーム3とリヤアクスルブラケット6を簡単且つ正確に位置決めして両者を作業性良く容易に組み付けることができる。
【0032】
又、本実施の形態では、トレーリングアーム3とリヤアクスルブラケット6を仮止めするボルト26を中心として両者を相対回転させると、リヤアクスルブラケット6に形成された当接部6dがマウントブッシュ5の内筒5aの軸方向端部外周の弾性部材5cの被覆が薄い小径部5a1に当接するため、トレーリングアーム3とリヤアクスルブラケット6が正確に位置決めされる。
【0033】
更に、本実施の形態では、リヤアクスルブラケット6の取付部6Aの外面の一部を外側方から加圧して取付部6Aの内面の一部を隆起させることによって当接部6dを生産性良く容易に形成することができ、該当接部6dと孔位置(マウントブッシュ5の内筒5aのボルト挿通孔とリヤアクスルブラケット6のボルト挿通孔6cの位置)との間に高い位置精度を確保することができる。
【0034】
そして、本実施の形態では、リヤアクスルブラケット6を下方が開口するチャンネル部材で構成し、その左右の縦壁状の取付部6Aの内面の相対向する2箇所に当接部6dを形成したため、マウントブッシュ5の内筒5aのボルト挿通孔とリヤアクスルブラケット6のボルト挿通孔6cとが高精度に位置決めされて両者が合致するため、これにボルト18を容易に挿通してトレーリングアーム3とリヤアクスルブラケット6を作業性良く容易に組み付けることができる。
【0035】
尚、以上の実施の形態では、左右のトレーリングアーム3の各後端部の前側の1箇所をボルト26によってリヤアクスルブラケット6に仮止めするようにしたが、後側の1箇所をボルト18によって仮止めし、このボルト18を中心としてリヤアクスルブラケット6をトレーリングアーム3に対して回転させるようにしても良い。
【符号の説明】
【0036】
1 車両用リヤサスペンション
2 マウントブッシュ
3 トレーリングアーム
4,5 マウントブッシュ
5a マウントブッシュの内筒
5b マウントブッシュの外筒
5c マウントブッシュの弾性体
6 リヤアクスルブラケット
6A リヤアクスルブラケットの取付部
6a リヤアクスルブラケットの挿通孔
6b,6c リヤアクスルブラケットのボルト挿通孔
6d リヤアクスルブラケットの当接部
7 リヤアクスル
18,26 ボルト
27,28 ナット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端が上下回動可能に支持された左右一対のトレーリングアームの各後端部の前後2箇所を、内筒と外筒及びこれらの間に設けられた弾性体によって構成されるマウントブッシュを介してリヤアクスルの左右両端部に結着されたリヤアクスルブラケットにそれぞれ取り付けて成る車両用リヤサスペンションにおいて、
前記トレーリングアームの各後端部の何れか1箇所を一方のマウントブッシュの内筒に挿通するボルトによって前記リヤアクスルブラケットに仮止めした状態で、これらのトレーリングアームとリヤアクスルブラケットを前記ボルトを中心として相対回転させると他方のマウントブッシュの内筒に当接して該内筒のボルト挿入孔とリヤアクスルブラケットのボルト挿入孔とを合致させて両者を位置決めする当接部をリヤアクスルブラケットに形成したことを特徴とする車両用リヤサスペンション。
【請求項2】
前記他方のマウントブッシュの内筒の軸方向端部の外周に弾性部材の被覆が薄い小径部を形成し、該小径部に前記リヤアクスルブラケットに形成された当接部を当接させることを特徴とする請求項1記載の車両用リヤサスペンション。
【請求項3】
前記リヤアクスルブラケットの取付部外面の一部を外側方から加圧して取付部内面の一部を隆起させることによって前記当接部を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用リヤサスペンション。
【請求項4】
前記リヤアクスルブラケットを下方が開口するチャンネル部材で構成し、その左右の縦壁状の取付部の内面の相対向する箇所に前記当接部を形成したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の車両用リヤサスペンション。
【請求項5】
前記リヤアクスルブラケットの前記リヤアクスルが挿通する挿通孔を挟んでこれの前後2箇所にボルト挿通孔を形成し、一方のボルト挿通孔の下方に前記当接部を形成したことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の車両用リヤサスペンション。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−81892(P2012−81892A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230487(P2010−230487)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】