説明

車両用情報提供装置

【課題】 利用者に対する聴覚情報提供手段の音響特性を良好にすることが可能な車両用情報提供装置を提供する。
【解決手段】 利用者に所定情報を報知する車両用情報提供装置100であって、前記利用者に前記所定情報を表示するための表示手段D1(D2)と、この表示手段D1(D2)の前方に配設され前記所定情報を前記利用者に透視可能とする透視パネル307と、前記利用者に車両の各種状態に応じた聴覚情報を提供する聴覚情報提供手段220とを備え、聴覚情報提供手段220は透視パネル307と当接するように配設され、前記聴覚情報に応じて透視パネル307を振動させる駆動手段223を備え、駆動手段223が前記利用者側から視認されないように隠蔽部材410によって隠蔽されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、聴覚情報提供手段を用いて利用者に各種情報を提供する車両用情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の聴覚情報提供手段を備えた車両用情報提供装置にあっては、例えば車両用計器内に搭載された指針式表示部からなる表示手段の背後に位置する回路基板の裏面に聴覚情報提供手段である警報用のブザーを取り付け、ドライバー(利用者)がシートベルトを装着していない場合には前記ブザーを鳴らし、前記ブザーの警報(吹鳴)音は前記回路基板の背後を覆うカバーに設けた複数のスリット(孔)を通って前記車両用計器の背後へ伝えられ、その後、前記車両用計器を収納するインパネ内部で反射を繰り返して前記利用者側に伝わるようになっていた。具体的には、前記警報音は前記車両用計器と前記インパネとの隙間から漏れた音あるいは前記インパネ内部に設けられた別の隙間を通り前記利用者の足下等から漏れた音として前記利用者に伝わる構成であった(例えば下記特許文献1参照)。
【特許文献1】実用新案登録第3094073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の車両用情報提供装置の場合、車両用計器の背後へ伝えられるブザー音(警報音)は、前記車両用計器と前記インパネの隙間で反射を繰り返すため、前記車両用計器と前記インパネの形状に応じて前記ブザー音の伝わり方が変わっていた。この結果、前記車両用計器から同じブザー音を発しても、前記利用者には車種により異なる音圧、音質として聞こえていた。また、前記利用者には、元来、前記ブザーが持っている音に対して劣化(変質)した音(前記警報音)が必然的に伝わることから、前記警報音の音圧が不足してしまう、もしくは前記警報音の音質が悪化してしまう。さらに前記車種によって音圧、音質等の音響特性が異なるという問題があり、車両用情報提供装置における聴覚情報提供手段の更なる改良の余地が残されていた。
そこで本発明は、前述の課題に対して対処するため、利用者に対する聴覚情報提供手段の音響特性を良好にすることが可能な車両用情報提供装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、利用者に所定情報を報知する車両用情報提供装置であって、前記利用者に前記所定情報を表示するための表示手段と、この表示手段の前方に配設され前記所定情報を前記利用者に透視可能とする透視パネルと、前記利用者に車両の各種状態に応じた聴覚情報を提供する聴覚情報提供手段とを少なくとも備え、前記聴覚情報提供手段は前記透視パネルと当接するように配設され、前記聴覚情報に応じて前記透視パネルを振動させる駆動手段を備え、前記駆動手段が前記利用者側から視認されないように隠蔽部材によって隠蔽されてなることを特徴とする。
【0005】
また本発明は、前記隠蔽部材が、前記駆動手段を隠蔽するための基部を少なくとも備えてなり、前記基部と前記透視パネルとの間には間隙部が形成されてなることを特徴とする。
【0006】
また本発明は、前記隠蔽部材が、前記聴覚情報に応じて点灯駆動される光源と、前記光源からの光を透過する透過部とを備えてなることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、前記隠蔽部材と前記駆動手段を有する前記透視パネルとの間に緩衝部材を介在させてなることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記隠蔽部材が、前記光源を配設するための載置部を有するスペーサ部材を備えてなり、前記スペーサ部材と前記基部との間に柔軟部材を介在させてなることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記表示手段は、線状に延びる指示部を有する指針と前記指示部によって指示される指標部を有する指標板とを備えた指針式表示部からなることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記駆動手段は、前記指針の回転中心領域上に配設されてなることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記隠蔽部材は、前記駆動手段を隠蔽するように前記指針の回転中心領域上に配設されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、初期の目的を達成でき、利用者に対する聴覚情報提供手段の音響特性を良好にすることが可能な車両用情報提供装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1実施形態)以下、添付図面に基づいて本発明の第1実施形態を説明する。
【0014】
図1は、本実施形態における車両用情報提供装置の一例の概観図を示すもので、車両用情報提供装置100は、第1,第2の表示手段(表示部)D1,D2を備えた車両用メータからなる。第1の表示手段D1は、TFT等の液晶表示パネルや有機ELパネル等のマルチディスプレイからなり、図1中、車両用情報提供装置100の略中央部に配設され、各種情報の表示を行うものである。
【0015】
また第2の表示手段D2は、後述する指針と指標板とを備えた指針式表示部からなり、第1の表示手段D1の左方に配設された速度計からなる第1の指針式表示部101と、第1の表示手段D1の右方に配設された回転計からなる第2の指針式表示部102とから構成される。また本実施形態の場合、各第2の表示手段D2における前記指標板の表面は、第1の表示手段D1の表示面と略同一面となるように設定されている。
【0016】
図2は、図1の車両用情報提供装置100のブロック図である。その構成としては、車両情報の入出力を行う車両情報端子210及び多重通信入出力端子211と、車両インターフェース(車両I/F)手段201と、車両用情報提供装置100の制御を行う制御手段202と、処理プログラムを格納するROM等からなる記憶手段203と、第1の表示部D1の表示制御及び各指針式表示部101,102の駆動制御を行う駆動部204と、前記各種情報を聴覚的に報知するための聴覚情報提供手段220とを有している。
【0017】
また、聴覚情報提供手段220の構成としては、音/音声を再生する音/音声合成手段221と、この音/音声合成手段221からの出力信号(音/音声出力信号)を増幅するアンプ222と、このアンプ222からの増幅信号を出力するエキサイタ(駆動手段)223及び青色光を発するチップ型発光ダイオード(LED)からなる光源224とを有している。この場合、エキサイタ223は、2個用いられ、第1のエキサイタ(第1の駆動手段)223aと第2のエキサイタ(第2の駆動手段)223bとを備え、第1のエキサイタ223aは、第1の指針式表示部101の略中央部に配設され、第2のエキサイタ223bは、第2の指針式表示部102の略中央部に配設されている(図1参照)。
【0018】
なお、アンプ222と各エキサイタ223a,223bとは接続部材225を通じて接続されており、接続部材225はアンプ222側となる雌型コネクタ225aと、各エキサイタ223a,223bの末端部に設けた雄型コネクタ225bとで構成され、雄型コネクタ225bを雌型コネクタ225aに装着することで各エキサイタ223a,223bが接続部材225を介してアンプ222とそれぞれ接続される。
【0019】
また、エキサイタ223a,223bは、本実施形態の場合、後述するマグネット及び内部ヨークを収納する収納部を有する略円筒カップ型の外部ヨークと前記収納部内における底部側内壁面に順次載置される円板状のマグネット及び内部ヨークとを備え前記内部,外部ヨーク間に磁気ギャップを形成する磁気回路と、この磁気回路の前記磁気ギャップ内を振動するボイスコイルと、前記磁気回路上に配設され前記ボイスコイルに生じる駆動力によって上下に振動する振動体と、これら各部を収納する枠体とから主に構成されている。そして、かかるエキサイタ223a,223bは、前記ボイスコイルに印加される聴覚情報である電気信号の振幅と位相に応じて前記振動体が上下に振動し、この振動により後述する透視パネルを撓み振動させる駆動部としての機能を有している。
【0020】
図3は、外部機器が接続された場合の車両用情報提供装置100のブロック図を示している。その構成としては、車両情報の入出力を行う車両情報端子210及び多重通信入出力端子211と、車両インターフェース(車両I/F)手段201と、車両用情報提供装置100の制御を行う制御手段202と、処理プログラムを格納するROM等からなる記憶手段203と、第1の表示部D1の表示制御及び各指針式表示部101,102の駆動制御を行う駆動部204と、前記外部機器である携帯オーディオ240と接続するための外部機器接続用の接続端子(オーディオ端子)241と、このオーディオ端子241を通じて携帯オーディオ240から出力される音信号を入力し、この音入力信号を増幅して出力する聴覚情報提供手段250とを有している。
【0021】
そして、この場合、車両情報端子210は、図示しない操作手段(例えば、操作スイッチ)に備えられた音量UPスイッチ、音量DOWNスイッチまたはミュートスイッチの操作に伴う操作入力信号(音量調整信号)も入力することができるようになっている。
【0022】
また、聴覚情報提供手段250の構成としては、前記音入力信号を増幅するアンプ(オーディオアンプ)251と、このオーディオアンプ251からの増幅信号を出力する前述したエキサイタ223a,223b及び光源224とを有しており、オーディオアンプ251と各エキサイタ223a,223bとは、図2の場合と同様に雌型コネクタ225aと雄型コネクタ225bとからなる接続部材225を通じて接続されている。
【0023】
また、図3の場合、制御手段202は、前記操作入力信号が車両情報端子210(前記操作手段)を介して入力されると、前記操作入力信号(前記音量UPスイッチ、前記音量DOWNスイッチ等の操作量)に応じてオーディオアンプ251のゲインを制御する。なお、前記操作入力信号は、利用者(運転者)の手動操作等によって制御手段202に入力される。
【0024】
図4は、図1中、A−A線に沿った車両用情報提供装置100(第1の指針式表示部101)の断面図を示しており、かかる第1の指針式表示部101は、回路基板301と、この回路基板301に導通装着され回転軸302が前方に延びる駆動装置303と、回転軸302にて回転駆動される指針304と、この指針304の背後に位置して回路基板301上に配設される指標板305と、指針304と指標板305を露出させるための見返し部材(被覆部材)306と、この見返し部材306の前方側に配置される透視パネル307と、この透視パネル307の外縁部を隠蔽するバイザー308と、指標板305の背後に位置する回路基板301や駆動装置303等を収納するカバー部材309とから構成される。
【0025】
回路基板301は、例えばガラスエポキシ系基材に配線パターン(図示せず)を施した硬質回路基板からなり、聴覚情報提供手段220(250)を制御する制御手段202と、駆動装置303を駆動・制御する駆動部204と、音/音声合成手段221と、アンプ222(またはオーディオアンプ251)と、エキサイタ223と接続されることでエキサイタ223に駆動用信号を供給するための雌型コネクタ225aと、抵抗、コンデンサ等の各種回路部品(図示せず)とが前記配線パターンに導通接続されている。なお、雌型コネクタ225aは、回路基板301の背面に搭載されている。
【0026】
駆動装置303は、可動磁石式計器またはステッピングモータからなり、回転軸302が回路基板301を貫通するように、その主要部が回路基板301の背後に装着され、且つ半田付け等の適宜導通手段により前記配線パターン(駆動部204)に電気接続される。
【0027】
指針304は、合成樹脂からなり、指標板305の後述する指標部を指示するように線状に延びる指示部304aと、この指示部304aの回転中心領域Rを覆うカバー(指針キャップ)304bとを備えている。
【0028】
指標板305は、PC等の合成樹脂からなり、略薄板状に形成され、その表面には指示部304aの指示する目盛,数字等からなる指標部305aが形成されている。この場合、指標部305aは指針304の回転軌道に沿って円弧状に配列されている。
【0029】
見返し部材306は、例えば黒色の合成樹脂からなり、指標板305の前方に配設され、指針304、指標板305の指標部305aを前記利用者にそれぞれ露出する開口窓部306aと、この開口窓部306aを取り巻くように透視パネル307側に延び、透視パネル307を支持する略枠状からなる支持部306bとを備えている。
【0030】
透視パネル307は、透光性合成樹脂からなり、断面略凹部形状に形成され、見返し部材306の開口窓部306aを覆うように見返し部材306の支持部306bによって支持(保持)されるとともに指針304や指標板305を前記利用者に対して視認させるための略平板状の透視部307aと、この透視部307aの外周より見返し部材306の支持部306bの周囲に沿って延在する周壁部307bとを備え、周壁部307bの周囲には、透視部307aの板面方向と同一方向に延びる略枠形状のフランジ307cが形成されている。なお、307dは、複数個のネジSを貫通させるためにフランジ307cに設けられた複数のネジ孔である。
【0031】
そして、本実施形態では、指針304の回転中心領域R上であって、指針キャップ304bと対向する透視パネル307の背面箇所(透視部307aの略中央部背面箇所)に後述する固定手段を用いて第1のエキサイタ223aが固定される。具体的には、固定手段400は、図5に示すように透視パネル307(透視部307a)に一体形成された突起部401と、この突起部401の背後に重ねて配置された弾性部材402及び板状部材403と、2個のネジ404とからなる。
【0032】
突起部401は、第1のエキサイタ223aを取り巻く円環状からなり、透視パネル307の背面側に突出形成され、その突出端面P1は、第1のエキサイタ223aの主要部である本体部223cの周囲に延在する略円環板状のフランジ部223dの背面P2と略同一面になるように設定されている。また、突出部401には、2つのネジ404を各々固定させるための一対の螺着部401aが形成されている。
【0033】
弾性部材402は、クッション材やスペーサ等をはじめとする柔軟性を有する材料からなり、第1のエキサイタ223aの本体部223cに対応して略円形状に開口形成された第1の開口部402aと、この第1の開口部402aを取り巻く第1の円環部402bとを有する略円環状に形成される。第1の円環部402bには、突起部401の各螺着部401aに対応する位置に一対の貫通孔部402cが形成されている。
【0034】
板状部材(抑え部材)403は、弾性部材402の第1の開口部402aに対応する第2の開口部403aと、この第2の開口部403aを取り巻く第2の円環部403bとを有する略円環板状の合成樹脂材料等からなり、その外形形状は弾性部材402と略同一形状に設定されている。第2の円環部403bには、突起部401の各螺着部401a並びに弾性部材402の各貫通孔部402cに対応する位置に一対の孔部403cが形成されている。
【0035】
そして、かかる固定手段400を用いて第1のエキサイタ223aを透視パネル307に一体形成された突起部401に組み付ける場合には、まず図示しない固定治具に円環状の突起部401が上を向くように透視パネル307をセットし、第1のエキサイタ223aにおける前記振動体と透視部307aとが当接するように円環状の突起部401の内部に第1のエキサイタ223aを載置する。この際、第1のエキサイタ223aにおけるフランジ部223dの背面P2と、突起部401の突出端面P1とが透視部307aの長手方向(板面方向)に対して略同一面上に位置することになる。
【0036】
次に、弾性部材402の第1の開口部402aと第1のエキサイタ223aにおける本体部223c、並びに弾性部材402の各貫通孔部402cと突起部401の各螺着部401aとが対向(対応)するように弾性部材402と透視パネル307(突起部401)とを位置合わせする。そして、弾性部材402をそのまま透視部307a側に平行移動させることで、本体部223cが第1の開口部402aに嵌め合わされた状態で、互いに同一面の位置関係にあるフランジ部223d及び突起部401上に弾性部材402が載置される。
【0037】
次に、弾性部材402の第1の開口部402aと板状部材403の第2の開口部403a、並びに弾性部材402の各貫通孔部402cと板状部材403の各孔部403cとが対向(対応)するように弾性部材402と板状部材403とを位置合わせし、板状部材403をそのまま弾性部材402側に平行移動させて、弾性部材402上に板状部材403を載置する。
【0038】
最後に、各ネジ404を各孔部403c及び各貫通孔部402cに貫通させ、さらに各ネジ404の貫通端部が各固定部401に螺着されることで、第1のエキサイタ223aの透視パネル307への組み付け作業が完了する。かかる第1のエキサイタ223aの装着された透視パネル307は、前記固定治具から取り外され、後述するようにカバー部材309に組み付けられる。
【0039】
従って、本実施形態によれば、突起部401、弾性部材402、板状部材403並びにネジ404からなる固定手段400を採用したことで、第1のエキサイタ223aにおける前記振動体の表面と透視パネル307背面とが当接するように第1のエキサイタ223aが透視パネル307に固定されるため、前記電気信号と振幅と位相に応じた前記振動体の上下振動が、透視パネル307に対し撓み振動として直接、伝達される。
【0040】
ここで、透視パネル307の透視部307a(突起部401)と板状部材403との間に弾性部材402を介在させたことにより、前記振動体の上下振動に伴う透視パネル307の撓み振動量が制約されるのを防止できるようになっている。つまり、透視パネル307と板状部材403とが、弾性変形可能な弾性部材402を介して間接的に接合されていることで、透視パネル307の撓み振動に連動して弾性部材402が変形(弾性変形)するので、透視パネル307の前記撓み振動量が板状部材403によって制約されない構成となり、これにより透視パネル307の前記撓み振動量に遊び(余裕)を持たせることができる。また、かかる固定手段400を採用することで、車両の走行時に第1のエキサイタ223aに加わる外部からの振動を緩和させることができる。
【0041】
さらに、本実施形態では、固定手段400によって固定された第1のエキサイタ223a並びに固定手段400が、透視部307aの前面に当接するように配設される後述する隠蔽部材によって覆い隠され(隠蔽され)、前記利用者側からは視認されない構成となっている。具体的には、隠蔽部材410は、透視部307aを挟んで固定手段400の前方に配設され、固定手段400を構成する各部よりも外形形状が大きい基部411と、この基部411と透視部307aとの間に介在するスペーサ部材412と、このスペーサ部材412上に載置される配線基板413と、この配線基板413上に実装される前述した光源224とからなる。
【0042】
基部411は、アクリル樹脂からなり、略半球形状に形成され、底面部411aと曲面部411bとを備えている。底面部411aには、青色光を発するLEDからなる光源224並びに光源224を実装するための略矩形状の配線基板413を収納するための収納空間となる環状溝部411cが形成されている。この場合、光源224は、図6に示すように3個用いられ、環状溝部411cにおいて等間隔にそれぞれ配設されている。これに伴い光源224を実装するための配線基板413も、光源224の個数と同数の3個用いられ、環状溝部411cにおいて等間隔にそれぞれ配設される。
【0043】
一方、曲面部411bの外周部411dを除いた所定曲面領域上には、シルバー等の金属色調(メタリック調)からなる遮光性を有する表面処理部411eが塗装または蒸着等の手段により形成されている。これにより、各光源224の点灯時には、光源224から発せられる光を透過する透過部である外周部411dのみが青色に発光し、それ以外の領域(前記所定曲面領域)である表面処理部411eの領域は、表面処理部411eが遮光性を有していることから非発光状態となる。つまり、前記利用者には、光源224の点灯によって、隠蔽部材410の表面処理部411eが、表面処理部411e自体の色調である金属色調を有するように視認される。また、表面処理部411eを取り巻く隠蔽部材410の外周部411dが、青色に発光するリング状発光部(発光部)Rとなって視認される。
【0044】
スペーサ部材412は、合成樹脂材料からなり、図5に示すように略円板形状に形成され、その外形形状は、底面部411の外形形状と略同一形状に設定されている。また、スペーサ部材412の表面には、各配線基板413が環状溝部411c内に位置するように接着剤等の固着手段よってそれぞれ固着されている。
【0045】
また、スペーサ部材412と透視パネル307(透視部307a)、並びにスペーサ部材412と環状溝部411cの非形成領域となる底面部411a箇所は、ともに接着剤等の所定の固着手段によって固定することが可能である。あるいは、スペーサ部材412と環状溝部411cの非形成領域となる底面部411a箇所は、接着剤等の所定の固着手段によって固定し、スペーサ部材412と透視パネル307とは、ネジとナットによって固定することも可能である。すなわち、図示は省略するが、前述した固定手段400の突起部401において、螺着部401aではなく貫通孔からなる貫通部を形成し、この貫通部に対応する透視パネル307箇所及びスペーサ部材412箇所に前記貫通部に連通する孔を形成し、固定手段400における板状部材403の背後からネジ404よりもネジ山からなる螺合部の長いネジを、孔部403c、貫通孔部402c、前記貫通部並びに前記各孔に貫通させて、スペーサ部材412の表面側に突出する前記ネジの突出端部をナットで締め付け固定することで、スペーサ部材412と透視パネル307とを固定してもよい。
【0046】
配線基板413は、例えばガラスエポキシ系基材に配線パターン(図示せず)を施した硬質回路基板からなり、スペーサ部材412上であって環状溝部411c内部に位置しており、光源224や例えば抵抗等の各種回路部品(図示せず)が前記配線パターンに導通接続されている。なお、配線基板413は、図示しない配線部材を介して回路基板301と電気的に接続されている。
【0047】
なお、420は、クッション材等をはじめとする弾性変形可能な材料からなり、外形形状がスペーサ部材412と略同一形状に形成され、スペーサ部材412と透視パネル307(透視部307a)との間に介在する緩衝部材である。かかる緩衝部材420を採用することによって、透視パネル307と隠蔽部材410とが、弾性変形可能な緩衝部材420を介して間接的に接合されているため、透視パネル307の前記撓み振動量により遊び(余裕)を持たせることができる。この場合、透視パネル307と緩衝部材420とは、接着剤等によって固定される。また、図示省略するが、図4において第1のエキサイタ223aにおける前記ボイスコイル両端部と、雄型コネクタ225bとは、一対の電気コード(信号線)によって電気的に接続されている。
【0048】
バイザー308は、例えば黒色の合成樹脂からなり、略筒状に形成され、透視パネル307の一部である透視パネル307外縁部のみを隠蔽するように透視パネル307の前方に配設されている。かかる略筒状のバイザー308は、前記利用者が透視パネル307を通じて視認可能な指針式表示部D2の領域(見返し部材306の開口窓部306a領域)に対応した内部空間である空洞部308aを備えている。言い換えると、バイザー308は、指針式表示部D2を取り巻くように透視パネル307の前記外縁部上に配設され、また空洞部308aは透視パネル307の前記撓み振動により生じる音を放射音として前記利用者に伝達する音伝達部としての機能を有している。
【0049】
カバー部材309は、例えば白色の合成樹脂からなり、指標板305側が開口する断面略凹部形状に形成され、回路基板301や駆動装置303を収納する収納部材としての機能、図示しない放熱孔を通じて指針照明用光源や指標板照明用光源等から発せられる熱等を車両用情報提供装置100外部に逃がすための放熱部材としての機能等を有し、略平板状の底壁部309aと、この底壁部309aの外周から指標板305側に向けて延びる側壁部309bとを備えている。また、側壁部309bの周囲には、透視パネル307のフランジ307cの背面に沿うように延びる鍔部309cが形成されている。
【0050】
鍔部309cは、フランジ307cに形成した各ネジ孔307dに対応する位置に表裏を貫通する複数の貫通孔309dを備え、さらに鍔部309cには、各貫通孔309dにおける背面側の孔を塞ぐように背後に突出形成され、鍔部309cよりも肉厚の複数の突出部309eが設けられている。なお、309fは、各ネジ孔307d及び各貫通孔309dに対応する位置に形成され、ネジSを固定するためのネジ固定部である。
【0051】
かかるカバー部材309と透視パネル307との組み付けは、カバー部材309の各貫通孔309dが透視パネル307の各ネジ孔307dに対応するようにカバー部材309と透視パネル307とを位置合わせし、ネジSを各ネジ孔307d及び各貫通孔309dに貫通させて、さらにネジSの貫通端部をネジ固定部309fに螺着させることで、透視パネル307がカバー部材309に組み付けられる。このように、透視パネル307とカバー部材309との固定が、第1のエキサイタ223aが固定される透視パネル307の略中央部から最も離れた部分、つまり透視パネル307の外縁部に位置するフランジ307cと、これに対応する鍔部309cとで行われていることで、第1のエキサイタ223aにおける前記振動体の上下振動に伴う透視パネル307の撓み振動量が制約されるのをより防止できるようになっている。
【0052】
以上の各部により、車両用情報提供装置100(第1の指針式表示部101)が構成される。なお、第2のエキサイタ223bが配設される第2の指針式表示部102の構成は、前述した第1の指針式表示部101の構成と略同一であり、かかる第2の指針式表示部102においても図示は省略するが第2のエキサイタ223bは、透視パネル307の背面に固定手段400により固定され、さらに固定手段400を含む第2のエキサイタ223bが、透視パネル307の前面に配設される隠蔽部材410によって前記利用者側から視認されない構成となっている。さらに、第1の表示部材D1は、第1の指針式表示部101と同様に、見返し部材306、透視パネル307並びにバイザー308を通じて前記利用者に視認可能に構成されている。また、かかる車両用情報提供装置100は、図2に示すように多重通信ライン230を介して走行制御装置231と操作手段232とに接続されている。
【0053】
次に、車両用情報提供装置100の動作について説明する。制御手段202は、車両情報の入出力を行う車両情報端子210及び多重通信入出力端子211から、走行制御(オートクルーズ、レーンキープ)に関する車両状態、アラーム情報、及びオートクルーズ、レーンキープの操作に関する情報を入手し、この情報に基づいてオートクルーズ、レーンキープに関する車両状態報知、アラーム出力、及びオートクルーズ、レーンキープの操作に関するガイダンス、アンサーバックを、聴覚情報提供手段220のエキサイタ223及び光源224を介して効果音と音声とリング状発光部Rの発光(と表示部D1の画像)で行う。
【0054】
ここで、前記アラーム情報を例に挙げて制御手段202の入力時の動作について説明する。制御手段202は、車両情報の入出力を行う車両情報端子210及び多重通信入出力端子211から車両に関する情報を入手し、この情報に基づいて警告の発生条件があるか否か判定する。ここで警告の発生条件を検出すると警告情報を聴覚情報提供手段220で効果音と音声とで報知するとともに、前記警告情報に関係する表示形態をリング状発光部Rと表示部D1によって表示する。
【0055】
図7は、その具体例を示すものであり、制御手段202は、シートベルトが未着用(未装着)であることを示す検出信号が車両情報端子210または多重通信入出力端子211を介して入力されると、効果音「ポーン」の後、音声にて「シートベルトを着用してください」を出力するように聴覚情報提供手段220を制御する。従って、聴覚情報提供手段220のエキサイタ223における前記振動体の上下振動が透視パネル307に伝わり、この振動により透視パネル307からは前記効果音及び前記音声が空洞部308aに向けて発せられることで、前記利用者は、前記効果音及び前記音声を容易に認識することができる。これと同時に、前記聴覚情報である前記効果音及び前記音声の音圧やピッチ等に応じて(同期して)光源224が点灯駆動され、これに伴い光源224の光量が変化するので、前記利用者は、この光量変化に伴うリング状発光部Rの発光状態によって前記効果音及び前記音声をより確実に認識することができる。なお、ここでは表示部D1を介して視覚情報も併用している。
【0056】
以上のように本実施形態では、前記利用者に前記所定情報を報知する車両用情報提供装置100であって、前記利用者に前記所定情報を表示するための表示手段D1(D2)と、この表示手段D1(D2)の前方に配設され前記所定情報を前記利用者に透視可能とする透視パネル307と、前記利用者に車両の各種状態に応じた聴覚情報を提供する聴覚情報提供手段220とを備え、聴覚情報提供手段220は透視パネル307と当接するように配設され、前記聴覚情報に応じて透視パネル307を振動させるエキサイタ223を備え、エキサイタ223が前記利用者側から視認されないように隠蔽部材410によって隠蔽されてなるものである。
【0057】
従って、前記利用者は、透視パネル307の前記撓み振動により生じる音を、あたかも透視パネル307全体から発せられる音(聴覚情報)のように感じ取ることができる。つまり、エキサイタ223における前記振動体の上下振動がダイレクトに透視パネル307に伝達するので、透視パネル307の発する音が劣化することなく前記利用者に聴覚情報(例えば警告情報)として与えられ、これにより音響特性の良好な車両用情報提供装置を提供することができる。また、エキサイタ223を隠蔽部材410によって覆い隠す構成としてことで、エキサイタ223を透視パネル307のあらゆる位置に設置することが可能となり、設計自由度を向上させることができる。特に本実施形態では、各エキサイタ223並びに隠蔽部材410が、指針式表示部D2の中心部(つまり、指針304の回転中心領域Rの真上)に位置していることで、前記利用者は、透視パネル307を通じてより音質の高められた音を聞き取ることが可能であり、これにより更なる音響特性の良好な車両用情報提供装置を提供することができる。
【0058】
また本実施形態では、隠蔽部材410が、前記聴覚情報に応じて点灯駆動される光源224と、光源224からの光を透過する透過部(外周部)411dとを備えなることにより、透過部411dが前記効果音及び前記音声の音圧やピッチ等に応じてリング状発光部Rとして発光することで、前記効果音及び前記音声に視覚的な演出が付加されるため、新規性(面白み)のある見栄えを演出することができ、商品性の高い車両用情報提供装置を提供することができる。
【0059】
また本実施形態では、透視パネル307の前記外縁部を覆い隠すように透視パネル307の前方に配設されるバイザー308を備え、このバイザー308は各表示手段D1,D2に対応する空洞部308aを有することにより、エキサイタ223における前記振動体の上下振動によって透視パネル307から発せられる音が、空洞部308aに放射音として放射される構成となり、この際、透視パネル307とバイザー308とで形成される凹部空間が音の共鳴体として作用することから、前記放射音は、あたかも透視パネル307(バイザー308内部)から発せられる臨場感の演出された音(音量感の高められた音)のように前記利用者に対して情報伝達され、これにより音響特性の良好な車両用情報提供装置を提供することができる。
【0060】
また本実施形態では、2個のネジ404を用いて、各ネジ404を弾性部材402の各貫通孔部402c及び支持部材403の各孔部403cに貫通させて、さらに、ネジ404の貫通端部を突起部401の螺着部401aに螺着させてエキサイタ223を透視パネル307に固定する場合について説明したが、螺着部401a、貫通孔部402c、孔部403c並びにネジ404の個数は、本実施形態のように2個ではなく、必要に応じて3個以上とすることも可能である。
【0061】
(第2実施形態)次に、図8を用いて、本発明の第2実施形態を説明するが、前述した第1実施形態と同一もしくは相当個所には、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。なお、図8は、本第2実施形態における透視パネルの一部と隠蔽部材、並びに固定手段の断面図を示している。
【0062】
この第2実施形態が前記第1実施形態と比べて異なる点は、第1のエキサイタ223aを隠蔽するように透視パネル307の前方に隠蔽部材450を配設するとともに隠蔽部材450と透視パネル307との間に緩衝部材460を介在させた点、透視パネル307に一体形成される一対の突起部401に螺着部401aではなくネジ貫通用の貫通孔401bをそれぞれ設けるとともに各貫通孔401bに対応する透視パネル307箇所、緩衝部材460箇所、並びに隠蔽部材450の後述するスペーサ部材452箇所に一対の孔部H1、H2、H3をそれぞれ設けた点である。
【0063】
まず、隠蔽部材450について詳述すると、隠蔽部材450は、透視パネル307の透視部307aを挟んで後述する固定手段500の前方に配設され、固定手段500を構成する各部よりも外形形状が大きい基部451と、この基部451と透視部307aとの間に位置し、前記第1実施形態にて採用した配線基板413を配設するためのスペーサ部材452と、配線基板413と、この配線基板413上に実装される光源224とを有している。
【0064】
基部451は、アクリル樹脂からなり、略半球形状に形成され、底面部451aと曲面部451bとを備えている。底面部451aには、略凹部形状からなる空間部451cが形成され、この空間部451cの外縁部に沿うように後述する柔軟部材が配設固定される。一方、曲面部451bの外周部451dを除いた所定曲面領域上には、シルバー等の金属色調(メタリック調)からなる遮光性を有する表面処理部451eが塗装または蒸着等の手段により形成されている。
【0065】
スペーサ部材452は、その略中央部に開口形成された略円形の第1の開口孔部452aと、この第1の開口孔部452aを取り巻く円環板部452bとを有する略円環板状の(透光性)合成樹脂材料等からなり、その外形形状は、底面部451aの外形形状よりも小さい形状となっている。なお、452cは、配線基板413及び光源224を配設するために設けられた載置部であり、この載置部452cは、円環板部452bの裏面側内壁面から内方(第1の開口孔部452a側)に向けて延在する円環状の鍔部からなり、その板厚は、円環板部452bの板厚よりも薄くなっている。また、円環板部452bは、突起部401の貫通孔401bに対応する位置に、円環板部452bの表裏を貫通する一対の孔部H3を備えている。
【0066】
ところで、本第2実施形態においても、前記第1実施形態と同様に矩形状の配線基板413は、3個用いられ、円環状の載置部452cにおいて等間隔にそれぞれ配設されているものとする。これに伴い、配線基板413に実装される光源224も、配線基板413の個数と同数の3個用いられ、円環状の載置部452cにおいて等間隔にそれぞれ配設される。なお、載置部452cの形状は、配線基板413(光源224)を配設可能な構成であれば、任意の形状を採用することが可能であり、例えば載置部452cを円環状ではなく、配線基板413を配設すべき箇所だけに設けるような形状としてもよい。このことは、例えば3個の配線基板413を用いる場合、載置部452cが、円環板部452bの前記裏面側内壁面から内方に突出するように前記裏面側内壁面に沿い等間隔に隆起形成された3つの略円弧状突起部からなり、かかる3つの略円弧状突起部に3つの配線基板413及び3つの光源224をそれぞれ載置してもよいことを意味している。
【0067】
また、隠蔽部材450と透視パネル307との間に介在してなる緩衝部材460は、クッション材等をはじめとする弾性変形可能な材料からなり、スペーサ部材452の第1の開口孔部452aに対応する略円形の第2の開口孔部460aと、この第2の開口孔部460aを取り巻く円環部460bとを有する略円環状に形成される。なお、円環部460bは、突起部401の貫通孔401b並びにスペーサ部材452の孔部H3に対応する位置に、円環部460bの表裏を貫通する孔部H2を備えている。
【0068】
次に、第1のエキサイタ223aを透視パネル307に固定するための固定手段500の構成について詳述する。本第2実施形態における固定手段500は、前記第1実施形態にて採用した突起部401と、弾性部材402と、板状部材403と、2個のネジ501と、2個のナット502とからなる。そして、第1のエキサイタ223aを透視パネル307に固定するにあたり、突起部401の背後に弾性部材402及び板状部材403を順次重ねて配設する工程までは前記第1実施形態と同一であり、これ以降の工程、つまりネジ501を各部に貫通させる工程以降が本第2実施形態では異なる。
【0069】
すなわち、本第2実施形態では、各ネジ501を板状部材403の各孔部403c、弾性部材402の各貫通孔部402c、突起部401の各貫通孔401b、各貫通孔401bに対応する透視パネル307(透視部307a)箇所に形成された各孔部H1、緩衝部材460の各孔部H2、並びにスペーサ部材452の各孔部H3の順に貫通させて、スペーサ部材452の前方側に突出する各ネジ501の突出端部をナット502でそれぞれ締め付け固定することで、第1のエキサイタ223aの透視パネル307への組み付け作業が完了する。かかる第2実施形態では、第1のエキサイタ223aの透視パネル307への組み付けによって、緩衝部材460及び隠蔽部材450の一構成部品であるスペーサ部材452も透視パネル307に同時に組み付けられる構成となる。
【0070】
そして、このように固定手段500を用いて第1のエキサイタ223a、緩衝部材460及びスペーサ部材452を透視パネル307に対し固定した状態で、透視パネル307上に順次、重ねて配設される緩衝部材460、並びにスペーサ部材452(ナット502)を覆うように隠蔽部材450の基部451を配設する。この際、基部451における空間部451cの前記外縁部とスペーサ部材452(ナット502)との間には、緩衝部材460と同一材料であり、スペーサ部材452の円環板部452bに対応した外形形状を有する柔軟部材461が介在している。
【0071】
柔軟部材461は、スペーサ部材452の第1の開口孔部452a並びに緩衝部載460の第2の開口孔部460aに対応する略円形の第3の開口孔部461aと、この第3の開口孔部461aを取り巻く円環部461bとを有し、基部451における空間部451cの前記外縁部に配設固定される。なお、柔軟部材461の円環部461b表面とこれに対応する空間部451cの前記外縁部箇所、並びに柔軟部材461の円環部461b裏面とこれに対応するスペーサ部材452の円環板部452b表面箇所(ナット502表面を含む)は、接着剤等の固着手段によりそれぞれ固着されているものとする。
【0072】
かかる第2実施形態によれば、透視パネル307表面に配設固定される緩衝部材460、スペーサ部材452(ナット502)上にさらに柔軟部材461を介して隠蔽部材450の基部451を重ねて配設した構成としたことで、基部451は、緩衝部材460の板厚と円環板部452bの板厚の略半分とを合わせた板厚分だけ透視パネル307表面から離間するように配設されることになる、言い換えると、基部451の底面部451aとこれに対向する透視パネル307表面との間には前記板厚分に相当するある一定のクリアランスからなる間隙部462が存在することになる。従って、間隙部462からなる所定の隙間を有するように透視パネル307の前方側に隠蔽部材450の基部451を配設し、かかる隠蔽部材450の基部451によって第1のエキサイタ223を覆い隠す構成としたことで、前記利用者は、透視パネル307の前記撓み振動により生じる音を、あたかも透視パネル307全体から発せられる音(聴覚情報)のように感じ取ることができ、前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0073】
また本第2実施形態では、隠蔽部材450(基部451)が、透視パネル307とは密着せずに間隙部462を介して透視パネル307表面から所定距離隔てた位置に配設固定されていることによって、透視パネル307の前記撓み振動により生じる音のうち、特に基部451に対応する透視パネル307(透視部307a)箇所から生じる音が、間隙部462を通過して前記利用者側に伝達される構成となる。従って、前記第1実施形態のように隠蔽部材410(基部411)が、スペーサ部材420を介して透視パネル307と密着するように配設固定された場合と比べると、透視パネル307の前記撓み振動により生じる音は、間隙部462を通過する音を含む状態で前記利用者に伝達されるため、より音響特性の良好な車両用情報提供装置を提供することができる。
【0074】
この場合、間隙部462を通過するに音には、透視パネル307の前記撓み振動によってダイレクトに間隙部462を通過する音、また基部451に対応する透視部307a箇所から生じる音が、空気中を伝播し基部451背面(底面部451aや空間部451c内壁面)にあたって跳ね返り、間接的に間隙部462を通過する音がある。なお、前記空気中を伝播し、基部451背面にあたって跳ね返らずにそのまま基部451に伝達する音も、わずかながら存在するが、この場合は無視程度であるものとする。
【0075】
また本第2実施形態では、隠蔽部材450が、光源224を配設するための載置部452cを有するスペーサ部材452を備えてなり、スペーサ部材452と透視部307aとの間に緩衝部材460を介在させ、スペーサ部材452と基部451との間に柔軟部材461を介在させてなることにより、透視パネル307の前記撓み振動により生じる音が、スペーサ部材452を通じて基部451に伝達され、基部451の振動に伴う隠蔽部材450からの発音を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、聴覚情報提供手段を利用した車両用情報提供装置に関し、車両情報を提供する車両用計器のみならず、車両に搭載されるマルチディスプレイ装置等の車両用情報提供装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1実施形態による車両用情報提供装置の概観図である。
【図2】同実施形態による車両用情報提供装置のブロック図である。
【図3】同実施形態による車両用情報提供装置の他のブロック図である。
【図4】図1中、A−A断面図である。
【図5】図4中、B部を拡大して示す要部断面図である。
【図6】同実施形態による隠蔽部材の正面図である。
【図7】同実施形態による警告情報の一例を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態による車両用情報提供装置の要部断面図である。
【符号の説明】
【0078】
100 車両用情報提供装置
202 制御手段
220 聴覚情報提供手段
223 エキサイタ(駆動手段)
223a 第1のエキサイタ
223b 第2のエキサイタ
224 光源
307 透視パネル
400,500 固定手段
401 突起部
402 弾性部材
403 板状部材(抑え部材)
404,501 ネジ
410,450 隠蔽部材
411,451 基部
411d,451d 外周部(透過部)
412,452 スペーサ部材
413 配線基板
420,460 緩衝部材
452c 載置部
461 柔軟部材
462 間隙部
D1,D2 表示手段
R リング状発光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者に所定情報を報知する車両用情報提供装置であって、
前記利用者に前記所定情報を表示するための表示手段と、この表示手段の前方に配設され前記所定情報を前記利用者に透視可能とする透視パネルと、前記利用者に車両の各種状態に応じた聴覚情報を提供する聴覚情報提供手段とを少なくとも備え、
前記聴覚情報提供手段は前記透視パネルと当接するように配設され、前記聴覚情報に応じて前記透視パネルを振動させる駆動手段を備え、
前記駆動手段が前記利用者側から視認されないように隠蔽部材によって隠蔽されてなることを特徴とする車両用情報提供装置。
【請求項2】
前記隠蔽部材が、前記駆動手段を隠蔽するための基部を少なくとも備えてなり、前記基部と前記透視パネルとの間には間隙部が形成されてなることを特徴とする請求項1記載の車両用情報提供装置。
【請求項3】
前記隠蔽部材が、前記聴覚情報に応じて点灯駆動される光源と、前記光源からの光を透過する透過部とを備えてなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両用情報提供装置。
【請求項4】
前記隠蔽部材と前記駆動手段を有する前記透視パネルとの間に緩衝部材を介在させてなることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1つに記載の車両用情報提供装置。
【請求項5】
前記隠蔽部材が、前記光源を配設するための載置部を有するスペーサ部材を備えてなり、前記スペーサ部材と前記基部との間に柔軟部材を介在させてなることを特徴とする請求項3記載の車両用情報提供装置。
【請求項6】
前記表示手段は、線状に延びる指示部を有する指針と前記指示部によって指示される指標部を有する指標板とを備えた指針式表示部からなることを特徴とする請求項1記載の車両用情報提供装置。
【請求項7】
前記駆動手段は、前記指針の回転中心領域上に配設されてなることを特徴とする請求項6記載の車両用情報提供装置。
【請求項8】
前記隠蔽部材は、前記駆動手段を隠蔽するように前記指針の回転中心領域上に配設されてなることを特徴とする請求項7記載の車両用情報提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−238069(P2007−238069A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−132836(P2006−132836)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】