説明

車両用燃料ポンプの配置構造

【課題】燃料ポンプの配置構造を改善して、車両の重心位置を低くするとともに走行性能を向上させる。
【解決手段】車体フレーム11に、エンジン12と、このエンジン12の上方に配置した燃料タンク16とを取付け、この燃料タンク16からエンジン12に燃料を供給する燃料ポンプ18を燃料タンク16から離して配置した車両10において、燃料ポンプ18を、燃料タンク16の下方且つエンジン12の前方に配置するとともに車幅方向の中央を車両前後方向に延びる車体中心線に重なるように配置し、車体下方に位置するロアメインフレーム31,32(手前側の符号31のみ示す。)に取付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用燃料ポンプの配置構造の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用燃料ポンプの配置構造として、燃料ポンプユニットを冷却ファンのシュラウドに取付けることで、燃料タンクの下方、詳しくは燃料タンクの直下より車幅方向右側に配置したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−219668公報
【0003】
特許文献1の図1、図5及び図7に示される通り、燃料ポンプユニット47は、ケース本体57の前壁65及び右側壁66にそれぞれ上下一対の固定部67,67が設けられ、これらの固定部67,67を冷却ファン46のシュラウドに取付けることで、燃料タンク13の下方で、エンジン強制冷却用の冷却ファン46とエンジン5との間に配置され、また、特許文献1の図9(正面図)に示される通り、燃料ポンプユニット47は、燃料タンク13の直下より車幅方向右側に配置される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料ポンプユニット47は重量物であるから、車両に配置する場合には、車両の重心位置を低くするために、より下方に配置するのが望ましく、また、車両の旋回性等の走行性能を考慮すれば、車体のより中心側に配置するのが望ましい。
本発明の目的は、燃料ポンプの配置構造を改善して、車両の重心位置を低くするとともに走行性能を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、車体フレームに、エンジンと、このエンジンの上方に配置した燃料タンクとを取付け、この燃料タンクからエンジンに燃料を供給する燃料ポンプを燃料タンクから離して配置した車両において、燃料ポンプを、燃料タンクの下方且つエンジンの前方に配置するとともに平面視で車体中心線上に配置し、車体下方に位置する車体フレームに取付けたことを特徴とする。
【0006】
作用として、重量物である燃料ポンプを車体下方に配置することで、車両の重心位置が低くなる。また、燃料ポンプを平面視で車体中心線上に配置することで、エンジン等と燃料ポンプのマスが車体中心側に集中する。
【0007】
請求項2に係る発明は、エンジンに、その内部を潤滑するオイルを貯めるオイルタンクを備え、このオイルタンクを、燃料ポンプの側方に配置したことを特徴とする。
作用として、オイルタンクは重量物であり、燃料ポンプと共に車体下方に配置することで、車両の重心位置がより低くなる。
【0008】
請求項3に係る発明は、車体フレームに、車両前部に側面視三角形状の成す三角フレームを備え、この三角フレームの近傍に且つ三角フレームの車体中心側に燃料ポンプを取付けたことを特徴とする。
作用として、三角フレームは剛性が高く、この三角フレームの近傍に燃料ポンプを取付けたので、燃料ポンプは、剛性の高いフレームに保護される。
【0009】
請求項4に係る発明は、三角フレームを、車体下部で前後に延出しエンジンを支持するロアメインフレームと、このロアメインフレームの中間部から前方斜め上方に傾斜させて延出した傾斜フレームと、ロアメインフレームよりほぼ上下方向に延出し、傾斜フレームと連結されるダウンフレームとから構成したことを特徴とする。
【0010】
作用として、三角フレームを構成するロアメインフレームはエンジンを支持するために剛性が高く、且つ三角フレームとすることで剛性がより一層高くなり、燃料ポンプを剛性の高いフレームに囲まれた位置に配置することができる。つまり、三角フレーム燃料ポンプの保護部材とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、燃料ポンプを、燃料タンクの下方且つエンジンの前方に配置するとともに平面視で車体中心線上に配置し、車体下方に位置する車体フレームに取付けたので、車両の低重心化を図ることができるとともに、車両のマスの集中化によって車両の走行性能を向上させることができる。
【0012】
請求項2に係る発明では、エンジンに、その内部を潤滑するオイルを貯めるオイルタンクを備え、このオイルタンクを、燃料ポンプの側方に配置したので、重量のあるオイルタンクを車両の低い位置に配置することができ、車両のより一層の低重心化を図ることができる。
【0013】
請求項3に係る発明では、車体フレームに、車両前部に側面視三角形状の成す三角フレームを備え、この三角フレームの近傍に且つ三角フレームの車体中心側に燃料ポンプを取付けたので、剛性の高いフレームに囲まれた位置に燃料ポンプを取付けることができ、三角フレームを保護部材とすることができる。
【0014】
請求項4に係る発明では、三角フレームを、車体下部で前後に延出しエンジンを支持するロアメインフレームと、このロアメインフレームの中間部から前方斜め上方に傾斜させて延出した傾斜フレームと、ロアメインフレームよりほぼ上下方向に延出し、傾斜フレームと連結されるダウンフレームとから構成したので、エンジンを支持するロアメインフレームを含む三角フレームに囲まれた位置に燃料ポンプを配置することができ、三角フレームを形成する各フレームを保護部材とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る車両の側面図であり、車両10は、骨格となる車体フレーム11の中央部にエンジン12及びこのエンジン12に一体的に設けた変速機13からなるパワーユニット14を取付け、パワーユニット14の上方に燃料タンク16を配置し、この燃料タンク16の下方で且つラジエータ17とパワーユニット14との間の空間に、燃料タンク16内の燃料をエンジン12に供給する燃料ポンプ18と、パワーユニット14内で使用する潤滑油を貯めるオイルタンク21とを配置し、パワーユニット14の後方にチェーン23を介して動力が伝達される減速装置24を配置し、この減速装置24に左右の後輪26,27を制動するためのディスクブレーキ装置28を付設した不整地走行用四輪車である。
【0016】
車体フレーム11は、車体下部を前後方向に延びてパワーユニット14を支持する左右一対のロアメインフレーム31,32(手前側の符号31のみ示す。)と、これらのロアメインフレーム31,32の前端及び後部に取付けた左右一対のアッパメインフレーム33,34(手前側の符号33のみ示す。)と、これらのアッパメインフレーム33,34の前部からロアメインフレーム31,32の中間部に延ばした左右一対のサイドフレーム36,37(手前側の符号36のみ示す。)と、これらのサイドフレーム36,37及びアッパメインフレーム33,34のそれぞれを連結するアッパ補強フレーム41,42(手前側の符号41のみ示す。)と、サイドフレーム36,37及びロアメインフレーム31,32のそれぞれを連結するロア補強フレーム43,44(手前側の符号43のみ示す。)と、アッパメインフレーム33,34の後部上部及びロアメインフレーム31,32の後端のそれぞれに取付けたリヤアッパフレーム46,47(手前側の符号46のみ示す。)と、これらのリヤアッパフレーム46,47の後端及びロアメインフレーム31,32の後部下部のそれぞれを連結するリヤロアフレーム51,52(手前側の符号51のみ示す。)と、ロアメインフレーム31,32の後部及びリヤアッパフレーム46,47の後端のそれぞれに取付けたリヤサブフレーム53,54(手前側の符号53のみ示す。)とを備える。
【0017】
エンジン12は、上方に突出するシリンダ部65にシリンダヘッド66を備え、このシリンダヘッド66に吸気装置67及び排気装置68を取付けたものである。なお、71はエンジン12に備えるクランクシャフトである。
【0018】
吸気装置67は、シリンダヘッド66の後部に取付けたスロットルボディ74と、このスロットルボディ74にコネクティングチューブ76を介して接続したエアクリーナ77とからなる。
排気装置68は、シリンダヘッド66に一端を取付けた排気管81と、この排気管81の他端に接続したマフラ82とからなる。
【0019】
変速機13は、後部側部に出力軸85を突出させ、この出力軸85にドライブスプロケット86を取付けたものであり、このドライブスプロケット86と、減速装置24側に設けたドリブンスプロケット87とにチェーン23を掛ける。
【0020】
図中の95,96は前輪、97は前輪95,96を操舵するために車体フレーム11に回転自在に取付けたステアリングシャフト、101はステアリングシャフト97の上端に取付けたバーハンドル、102〜105は前輪95,96用サスペンションアームを取付けるために車体フレーム11にそれぞれ左右一対取付けたフロントサスペンションアームブラケット、107はシート、111〜113は後輪26,27用サスペンションアームを取付けるために車体フレーム11に取付けたリヤサスペンションアームブラケット、115〜117は燃料用ホース(燃料タンク16から燃料ポンプ18への燃料供給管、燃料ポンプ18からスロットルボディ74に取付けられた不図示のインジェクタへの燃料供給管、燃料ポンプ18から燃料タンク16への戻し管)である。
【0021】
図2は本発明に係る燃料ポンプ及びオイルタンクの配置を示す要部側面図(図中の矢印(FRONT)は車両前方を表す。以下同じ。)であり、側面視で燃料ポンプ18とオイルタンク21とが重なるように配置したことを示す。
【0022】
サイドフレーム36は、アッパ補強フレーム41及びロア補強フレーム43との連結部から前側の部分を構成するサスペンションアーム支持フレーム36aと、アッパ補強フレーム41及びロア補強フレーム43との連結部から後側の部分を構成する傾斜フレーム36bとからなる。サイドフレーム37(不図示)も、サイドフレーム36と基本構造は同一である。
【0023】
サスペンションアーム支持フレーム36aは、サスペンションアーム、詳しくはサスペンションアームを構成するアッパアーム、ロアアームのうちのアッパアームを支持する。
傾斜フレーム36bは、サスペンションアーム支持フレーム36aを一体に延長したフレームであり、後述するダウンフレームに接続する。
【0024】
アッパ補強フレーム41とロア補強フレーム43とは、ダウンフレーム109を構成するものである。また、図示していないが、アッパ補強フレーム41及びロア補強フレーム43の奥側に配置したアッパ補強フレーム42(図4参照)とロア補強フレーム44(図4参照)とは、ダウンフレーム110(図4参照)を構成するものである。
【0025】
上記した傾斜フレーム36b及び右側の傾斜フレーム37b(不図示)と、ロア補強フレーム43,44と、ロアメインフレーム31,32(手前側の符号31のみ示す。)とは、左右一対の三角形(図中に太線で示した部分である。)状の三角フレーム118,118(手前側の符号118のみ示す。)を形成する部分である。なお、121は燃料ポンプ18をロアメインフレーム31,32側に取付けるためのステイ、122,122はステイ121で燃料ポンプ18の下部を位置決めするために燃料ポンプ18のケース本体141の下部から下方へ一体に突出するとともにグロメットラバー242,242を介してステイ121に取付けられる突出部、123はパワーユニット14(図1参照)とオイルタンク21とを接続するオイルチューブである。
【0026】
図3は本発明に係るオイルタンクの側面図であり、オイルタンク21は、パワーユニット14(図1参照)内を潤滑するオイルを貯める容器であり、左右に分割した左半体125と右半体126(不図示。左半体125の奥側に位置する。)とのそれぞれの周縁にフランジ125a,126a(不図示。フランジ125aの奥側に位置する。)を形成し、これらのフランジ125aとフランジ126aとを接合したものである。
【0027】
フランジ125a,126aは、車体フレーム11(図1参照)側に取付ける3つの取付穴として前部取付穴131、後部上部取付穴132及び後部下部取付穴133を開けた部分である。
【0028】
図中の135は通気用のパイプ、136はオイルチューブ123(図2参照)を接続するために左半体125の後部上部の壁に取付けた上部ジョイント部材、137はオイルチューブ123とは別にパワーユニット14(図1参照)とオイルタンク21とに渡したオイルチューブを接続するために左半体125の下部に取付けた下部ジョイント部材、138はオイルタンク21内のオイルを抜き取るために左半体125の下部に取付けたドレン部である。
【0029】
図4は本発明に係る燃料ポンプ及び燃料タンクを示す第1斜視図であり、燃料ポンプ18は、有底筒状のケース本体141と、このケース本体141の上部開口を塞ぐケースカバー142とで構成するポンプケース143を備える。なお、複数の145はケース本体141にケースカバー142を取付けるボルト、146〜148は燃料用ホース115〜117(図1参照)を接続するためにケースカバー142に取付けたジョイント部である。
【0030】
左右のロアメインフレーム31,32は、ロアプレート151で連結した部材であり、このロアプレート151にステイ121を介して燃料ポンプ18のケース本体141を取付ける。
このように、燃料ポンプ18を剛性の高い三角フレーム118,118の近傍に設けることで、燃料ポンプ18を車体フレーム11で強固に支持することができる。
【0031】
図中の155,156はパワーユニット14(図1参照)の前部(即ち、エンジン12(図1参照))を支持する左右一対のエンジンハンガ、157,158はエンジンハンガ155,156をボルト161,161で取付けるためにサイドフレーム36,37のそれぞれの後部に取付けたハンガブラケット、162はオイルタンク21の注油口を塞ぐキャップである。
【0032】
以上の図2及び図4に示したように、本発明は、車体フレーム11に、車両前部に側面視三角形状の成す左右一対の三角フレーム118,118を備え、これらの三角フレーム118,118の近傍に且つ各三角フレーム118の車体中心側に燃料ポンプ18を取付けたことを特徴とする。
【0033】
これにより、剛性の高い三角フレーム118,118の近傍のフレーム部材、即ち、ロアメインフレーム31,32の剛性をより一層高くすることができ、剛性の高いフレームに囲まれた位置に燃料ポンプ18を取付けることができ、三角フレーム118,118を燃料ポンプ18の保護部材とすることができる。
【0034】
また本発明は、三角フレーム118,118を、車体下部で前後に延出しエンジン12を支持するロアメインフレーム31,32と、これらのロアメインフレーム31,32の中間部から前方斜め上方に傾斜させて延出した傾斜フレーム36b、37bと、ロアメインフレーム31,32よりほぼ上下方向に延出し、傾斜フレーム36b,37bと連結されるダウンフレーム109,110、詳しくはロア補強フレーム43,44とから構成したことを特徴とする。
【0035】
これにより、エンジン12を支持するロアメインフレーム31,32を含む三角フレーム118,118によって、燃料ポンプ18は、車体下方に配置しても保護される。
【0036】
図5は本発明に係る燃料ポンプ及び燃料タンクを示す第2斜視図であり、燃料ポンプ18(詳しくは、ケース本体141)の後部に設けた後方突出部165とオイルタンク21のフランジ125a,126aとを連結部材166で連結し、連結部材166の中間部を左右一対のエンジンハンガ155,156(図4参照)のうちのエンジンハンガ156に取付けることを示す。
【0037】
詳しくは、連結部材166の一端にポンプ側ブラケット171を取付け、連結部材166の他端側にタンク側ブラケット172を取付け、連結部材166の中間部にハンガ側ブラケット173を取付け、ポンプ側ブラケット171を後方突出部165に取付け、タンク側ブラケット172をフランジ125a,126aに後部上部取付穴132(図3参照)及び後部下部取付穴133(図3参照)を使用して取付けたことを示す。
【0038】
後方突出部165とポンプ側ブラケット171との連結部175は、後方突出部165の両面に当てた円板状のクッション材176,177と、クッション材177に当てたワッシャ178と、このワッシャ178、クッション材177、後方突出部165、クッション材176を順に貫通させて先端をポンプ側ブラケット171に溶接にて取付けたナットにねじ込んだボルト181とを備える。
【0039】
フランジ125a,126aとタンク側ブラケット172との連結部185は、フランジ125a,126aの両面に当てたクッション材186,187と、クッション材187に当てたワッシャ188と、このワッシャ188、クッション材187、フランジ125a,126a、クッション材186を順に貫通させて先端をタンク側ブラケット172に溶接にて取付けたナット189にねじ込んだボルト191とを一対備える。
【0040】
以上に示したように、燃料ポンプ18とオイルタンク21とを連結部材166で連結し、連結部材166をエンジンハンガ156に取付けることで、燃料ポンプ18及びオイルタンク21のそれぞれの上部の近傍に車体フレーム11を構成するフレーム部材を設けなくても、燃料ポンプ18及びオイルタンク21を容易に且つ確実に支持することができる。
【0041】
また、燃料ポンプ18とオイルタンク21とをそれぞれ別々の支持部材で支持するのに比べて、一つの連結部材166を用いることで部品数を削減することができ、コスト、重量を低減することができる。
【0042】
図6は本発明に係る連結部材の背面図であり、連結部材166は、一端をわずかに曲げ、他端をL字状に曲げた棒材195と、この棒材195の一端に取付けたポンプ側ブラケット171と、このポンプ側ブラケット171に取付けたナット196と、棒材195の他端の折曲げ部197に取付けたタンク側ブラケット172と、このタンク側ブラケット172に取付けたナット189,189と、棒材195の中間部に取付けたハンガ側ブラケット173と、このハンガ側ブラケット173に取付けたナット198とからなる。
【0043】
ポンプ側ブラケット171は、プレートの両端部を折り曲げて折曲げ部171a,171bを形成し、これらの折曲げ部171a,171bを棒材195の一端に溶接し、折曲げ部171a,171b以外の平坦部分171cに、ボルト挿通穴(不図示)を開けるとともにボルト挿通穴にめねじ(不図示)が臨むようにナット196を溶接した部材である。
【0044】
タンク側ブラケット172は、平板状のベース部201と、このベース部201から立上げ形成した立上げ部202とからなり、ベース部201の両端部にナット189,189を溶接した部材である。
【0045】
ハンガ側ブラケット173は、プレートの両端部を折り曲げて折曲げ部173a,173bを形成し、これらの折曲げ部173a,173bを棒材195の中間部に溶接し、折曲げ部173a,173b以外の平坦部分173cに、ボルト挿通穴173dを開けるとともにボルト挿通穴173dにめねじ(不図示)が臨むようにナット198を溶接した部材である。
【0046】
図7は図6の7矢視図であり、タンク側ブラケット172は、ベース部201の両端にほぼ円形状に形成した円形端部205,206を一体成形し、この円形端部205,206にボルト挿通穴205a,206aを開けるとともに、ナット189,189を取付けたものである。なお、171dはボルト挿通穴、189a,189aはナット189,189のそれぞれのめねじ、196aはナット196のめねじ、198aはナット198のめねじである。
【0047】
図8は本発明に係る燃料ポンプ及びオイルタンクを示す平面図であり、燃料ポンプ18を車体前後方向に延びる車体中心線210上に配置し、オイルタンク21を右側のアッパメインフレーム34の下方に配置し、これらの燃料ポンプ18とオイルタンク21とを車幅方向に延びる連結部材166で連結し、この連結部材166を右側のエンジンハンガ156に取付けたことを示す。
【0048】
オイルタンク21のフランジ125a,126aの前部は、右側のアッパ補強フレーム42にブラケット213を介して取付けたものである。
ブラケット213とフランジ125a,126aとの連結部215は、フランジ125a,126aの両面に当てたクッション材216,217と、クッション材217に当てたワッシャ218と、これらのワッシャ218、クッション材217、フランジ125a,126a、クッション材216に順に貫通させるとともにブラケット213に溶接したナット(不図示)に先端をねじ込んだボルト221とを備える。なお、231は左右のアッパメインフレーム33,34に渡したクロスメンバ、232はステアリングシャフト97(図1参照)の上部を回転自在に支持するためにクロスメンバ231に取付けたシャフト支持ブラケットである。
【0049】
以上に示したように、重量物である燃料ポンプ18を車幅方向中央に配置し、また、重量のあるオイルタンク21の重心225(内部にオイルを満たした状態での重心であり、黒丸で示す。)をほぼ車体フレーム11の幅内に配置することで、マスの集中化を図ることができ、旋回性等の車両走行性能を向上させることができる。
【0050】
以上の図1、図4及び図8に示したように、本発明は、車体フレーム11に、エンジン12と、このエンジン12の上方に配置した燃料タンク16とを取付け、この燃料タンク16からエンジン12に燃料を供給する燃料ポンプ18を燃料タンク16から離して配置した車両10において、燃料ポンプ18を、燃料タンク16の下方且つエンジン12の前方に配置するとともに平面視で車体中心線210上に配置し、車体下方に位置する車体フレーム11、詳しくは、ロアメインフレーム31,32に取付けたことを特徴とする。
これにより、車両10の低重心化を図ることができるとともに、車両10のマスの集中化によって車両10の走行性能を向上させることができる。
【0051】
また、本発明は、エンジン12に、その内部を潤滑するオイルを貯めるオイルタンク21を備え、このオイルタンク21を、燃料ポンプ18の側方に配置したことを特徴とする。これにより、重量のあるオイルタンク21を車両10の低い位置に配置することができ、車両10のより一層の低重心化を図ることができる。
【0052】
図9は本発明に係る燃料ポンプの下部支持構造を示す側面図であり、ステイ121は前後に穴部241,241を開けた部材である。
図中の242,242は筒状のグロメットラバーであり、それぞれ外周面に環状溝243を形成し、軸方向に貫通穴244を開けたものである。
【0053】
燃料ポンプ18の下部をステイ121に組付けるには、まず、ステイ121の穴部241,241にグロメットラバー242,242の環状溝243,243をそれぞれ嵌合させる。
【0054】
次に、グロメットラバー242,242の貫通穴244,244にそれぞれケース本体141の突出部122,122を挿入する。
貫通穴244の内径は突出部122の外径に対して等しいか、僅かに小さいため、貫通穴244によって突出部122をがたつきが無い状態で保持可能である。
【0055】
尚、本実施形態では、図4及び図5に示したように、連結部材166の中間部にハンガ側ブラケット173を設け、このハンガ側ブラケット173をエンジンハンガ156の中間部に取付けたが、これに限らず、例えば、連結部材166の中間部に、ボルト挿通穴を開けただけでナットを取付けていないブラケットを取付け、このブラケットを、ハンガブラケット158とエンジンハンガ156との結合部にボルト161,161の少なくとも一方で共締めしてもよい。
【0056】
また、サイドフレーム36は、サスペンションアーム支持フレーム36aと傾斜フレーム36bとを一体形成した部材であるが、これに限らず、サスペンションアーム支持フレーム36aと傾斜フレーム36bとを別部材としてダウンフレーム109に結合してもよい。
【0057】
また更に、ダウンフレーム109は、アッパ補強フレーム41とロア補強フレーム43とを別部材としたものであるが、これに限らず、これらのアッパ補強フレーム41とロア補強フレーム43とを一体成形してサイドフレーム36に結合してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の車両用燃料ポンプの配置構造は、四輪車に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る車両の側面図である。
【図2】本発明に係る燃料ポンプ及びオイルタンクの配置を示す要部側面図である。
【図3】本発明に係るオイルタンクの側面図である。
【図4】本発明に係る燃料ポンプ及び燃料タンクを示す第1斜視図である。
【図5】本発明に係る燃料ポンプ及び燃料タンクを示す第2斜視図である。
【図6】本発明に係る連結部材の背面図である。
【図7】図6の7矢視図である。
【図8】本発明に係る燃料ポンプ及びオイルタンクを示す平面図である。
【図9】本発明に係る燃料ポンプの下部支持構造を示す側面図である。
【符号の説明】
【0060】
10…車両、11…車体フレーム、12…エンジン、16…燃料タンク、18…燃料ポンプ、21…オイルタンク、31,32…ロアメインフレーム、36b,37b…傾斜フレーム、109,110…ダウンフレーム、118…三角フレーム、210…車体中心線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームに、エンジンと、このエンジンの上方に配置した燃料タンクとを取付け、この燃料タンクから前記エンジンに燃料を供給する燃料ポンプを前記燃料タンクから離して配置した車両において、
前記燃料ポンプを、前記燃料タンクの下方且つ前記エンジンの前方に配置するとともに平面視で車体中心線上に配置し、車体下方に位置する前記車体フレームに取付けたことを特徴とする車両用燃料ポンプの配置構造。
【請求項2】
前記エンジンは、その内部を潤滑するオイルを貯めるオイルタンクを備え、
このオイルタンクを、前記燃料ポンプの側方に配置したことを特徴とする請求項1記載の車両用燃料ポンプの配置構造。
【請求項3】
前記車体フレームは、車両前部に側面視三角形状を成す三角フレームを備え、この三角フレームの近傍に且つ三角フレームの車体中心側に前記燃料ポンプを取付けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用燃料ポンプの配置構造。
【請求項4】
前記三角フレームは、車体下部で前後に延出しエンジンを支持するロアメインフレームと、このロアメインフレームの中間部から前方斜め上方に傾斜させて延出した傾斜フレームと、前記ロアメインフレームよりほぼ上下方向に延出し、前記傾斜フレームと連結されるダウンフレームとから構成されることを特徴とする請求項3記載の車両用燃料ポンプの配置構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−230269(P2007−230269A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51330(P2006−51330)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】