車両用空調装置
【課題】窓ガラスの曇りの発生を抑えつつ、暖房能力の低下を抑える。
【解決手段】内気および外気のうち少なくとも一方を導入し、この導入空気の状態を調整して車室内に吹き出す車両用空調装置であって、車室内の窓ガラス表面相対湿度(曇り易さ度合い)に基づいて内外気制御指令値Sを算出し(S230)、この指令値Sに基づいて窓ガラスが曇りやすいか否かを判定する(S240)。窓ガラスが曇りやすいと判定したときには、室内空調ユニットを制御して窓ガラスに曇りが生じることを防止する防曇制御を行う(S260)。一方、窓ガラスが曇り難いと判定したときには、室内空調ユニットを制御して少なくとも内気を車室内に導入する(S250)。
【解決手段】内気および外気のうち少なくとも一方を導入し、この導入空気の状態を調整して車室内に吹き出す車両用空調装置であって、車室内の窓ガラス表面相対湿度(曇り易さ度合い)に基づいて内外気制御指令値Sを算出し(S230)、この指令値Sに基づいて窓ガラスが曇りやすいか否かを判定する(S240)。窓ガラスが曇りやすいと判定したときには、室内空調ユニットを制御して窓ガラスに曇りが生じることを防止する防曇制御を行う(S260)。一方、窓ガラスが曇り難いと判定したときには、室内空調ユニットを制御して少なくとも内気を車室内に導入する(S250)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内の空気調和を行う車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用空調装置の自動空調制御では、目標吹出温度TAOに基づいて、内外気吸込口モード、吹出口モード、ブロワレベルを制御することで、車室内温度を設定温度に維持している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このものにおいては、冬場、特に低外気温時の空調は、フロントガラスの窓曇りが発生しないように、外気モードで空調を行っている。また、暖房開始初期には、吹出口モードを一定時間フットデフモードにすることでフロントガラスの窓曇りを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−142077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年のエンジン効率の向上に伴って、エンジンからエンジン冷却水に与えられる熱量が減り、エンジン冷却水温度が上がらなくなっている。このため、暖房能力が不足しており、特に低外気温時に外気モードで暖房を行うと、暖房能力は低下して、車室内の温度が上昇せず、乗員の快適感を損ねるといった問題がある。
【0006】
そこで、内気モードにすれば、内気が導入されるので、外気モードに比べて導入空気の温度を高くすることができる。このため、車室内空気の温度上昇を早めることができ、暖房能力の不足を解消できるものの、内気モードにした場合、乗員の呼吸から発生する湿度によりすぐに車室内の湿度が上昇してフロントガラスに窓曇りが発生してしまう。
【0007】
本発明は、上記点に鑑み、窓ガラスの曇りの発生を抑えつつ、暖房能力の低下を抑えるようにした車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、内気および外気のうち少なくとも一方を導入し、この導入される空気の状態を調整して車室内に吹き出す空調手段(30)と、
車室内の湿度を検出する湿度検出手段(17)と、
前記湿度検出手段(17)により検出される湿度に応じた前記車室内の窓ガラスの曇り易さ度合いに基づいて、前記空調手段(30)が前記車室内に導入する前記内気と前記外気との比率(S)を算出する算出手段(S230)と、
前記車室内の窓ガラスが曇り易いか否かを判定する判定手段(S240)と、
前記車室内の窓ガラスが曇り難いと前記判定手段(S240)が判定すると、前記比率(S)に基づいて前記空調手段(30)を制御して、少なくとも前記内気を車室内に導入するように前記内気および前記外気の吸込モードを制御する内外気吸込制御手段(S250)と、
前記車室内の窓ガラスが曇り易いと前記判定手段(S240)が判定すると、前記空調手段(30)を制御して、前記外気のみを車室内に導入して前記窓ガラスに曇りが生じることを防止する防曇制御モードを有する防曇制御手段(S260)とを備え、
前記算出手段(S230)は、前記比率(S)を算出する制御モードとして、前記車室内に導入する内気の比率を段階的に増加する第1の制御モードと、前記車室内に導入する前記内気および前記外気の比率を持続する第2の制御モードと、前記車室内に導入する外気の比率を段階的に増加する第3の制御モードとを有し、前記窓ガラスの曇り易さ度合いに応じて、前記第1〜第3の制御モードのうちいずれかを選択するようになっていることを特徴とする。
【0009】
したがって、請求項1に記載の発明によれば、内外気吸込制御手段(S250)により内気を車室内に導入することで、外気のみを導入する外気モードに比べて、導入空気温度を高くすることができるので、暖房性能を向上することができる。そして、窓ガラスが曇り易いと判定されたときには、防曇制御手段を稼働させるので、窓ガラスの曇りの発生を抑えつつ、暖房能力の低下を抑えることができる。
【0010】
特に、請求項1に記載の発明によれば、算出手段(S230)は、前記比率(S)を算出する制御モードとして、車室内に導入する内気の比率を段階的に増加する第1制御モード、車室内に導入する内気および外気の比率を持続する第2の制御モード、および車室内に導入する外気の比率を段階的に増加する第3の制御モードを有しており、そして、窓ガラスの曇り易さ度合いに応じて、第1〜第3の制御モードのうちいずれかを選択するようになっているから、窓ガラスの曇り易さ度合いに応じて、車室内に導入される内気の比率をきめ細かく制御することができる。
【0011】
そのため、請求項1に記載の発明によれば、第1の制御モードを稼働して車室内に導入する内気の比率を段階的に増加させれば、車室内に導入する外気の比率を段階的に増加する第3の制御モードに比べて、空調手段(30)への導入空気温度を高くすることができるので、暖房性能を向上することができる。そして、窓ガラスの曇り易さ度合いが高いときには第3の制御モードを稼働させることにより、窓ガラスの曇りの発生を抑えつつ、暖房能力の低下を抑えることができる。
【0012】
具体的には、請求項2に記載の発明の如く、請求項1に記載の車両用空調装置において、 前記算出手段(S230)は、前記比率(S)を算出する制御モードとして、さらに前記車室内に前記外気だけを導入する第4の制御モードを有しており、
前記算出手段(S230)は、前記窓ガラスの曇り易さ度合いが閾値未満のときに、前記第1〜第3の制御モードのうちいずれかを選択し、これに対し、前記窓ガラスの曇り易さ度合いが閾値以上のときは、前記第4の制御モードを選択するようにすればよい。
【0013】
より具体的には、請求項3に記載の発明の如く、請求項2に記載の車両用空調装置において、前記空調手段は、車室内に吹き出す空気をエンジン冷却水により温度調節する加熱用熱交換器(44)を有しており、
前記閾値として、前記エンジン冷却水の水温が所定温度未満のときに用いられる低温側の閾値と、前記エンジン冷却水の水温が所定温度以上のときに用いられる高温側の閾値とを設定し、
前記低温側の閾値は、前記高温側の閾値に比べて高く設定するようにしてもよい。
【0014】
ここで、エンジン冷却水の水温が低い暖房開始初期には、加熱用熱交換器より空調風を良好に温度調節することができないので、冷風を乗員に吹き付けて乗員に違和感を与えてしまう。
【0015】
これに対して、請求項3に記載の発明によれば、エンジン冷却水の水温が所定温度未満のときに用いられる低温側の閾値は、エンジン冷却水の水温が所定温度以上のときに用いられる高温側の閾値に比べて高く設定されているので、エンジン冷却水の水温が所定温度未満のときには、第4の制御モードが選択され難くなる。したがって、第4の制御モードを実施して、冷風を乗員に吹き付けて乗員に違和感を与えてしまうことを未然に防ぐことができる。
【0016】
また、具体的には、請求項4に記載の発明の如く、請求項2または3に記載の車両用空調装置において、前記第1制御モードは前記窓ガラスの曇り易さ度合いが最も低い側で設定し、
前記第2制御モードは前記窓ガラスの曇り易さ度合いが前記第1制御モードよりも高い側で設定し、
前記第3制御モードは前記窓ガラスの曇り易さ度合いが前記第2制御モードよりもさらに高い側で設定し、
前記第4制御モードは前記窓ガラスの曇り易さ度合いが前記第3制御モードよりもさらに高い側で設定するようにすればよい。
【0017】
また、具体的には、請求項5に記載の発明の如く、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、前記空調手段(30)は、車室内に空気を吹き出す複数の吹出口(48〜50)を有しており、
前記防曇制御手段(S260)は、前記窓ガラスの曇り易さ度合いに応じて、前記複数の吹出口(48〜50)のうち前記車室内に吹き出す吹出口を切り替えて、前記窓ガラスの防曇を行うようにしてもよい。
【0018】
また、具体的には、請求項6に記載の発明の如く、請求項1または2に記載の車両用空調装置において、前記空調手段(30)は、車室内に吹き出す空気をエンジン冷却水により温度調節する加熱用熱交換器(44)、および車室内に空気を吹き出す複数の吹出口(48〜50)を有しており、
前記エンジン冷却水の水温が所定温度以上のときには、前記防曇制御手段(S260)は、前記窓ガラスの曇り易さ度合いに応じて、前記複数の吹出口(48〜50)のうち前記車室内に吹き出す吹出口を切り替えるようになっており、
これに対し、前記エンジン冷却水の水温が所定温度未満のときには、前記防曇制御手段(S260)は、前記複数の吹出口(48〜50)のうち前記窓ガラスの内面に向けて空気を吹き出すデフロスタ吹出口(48)を選択してデフロスタモードを設定するようにしてもよい。
【0019】
ここで、エンジン冷却水が低温である暖房開始初期には、空調風が十分に暖められていなく、吹出口から乗員に向かって冷風が吹き出される場合がある。
【0020】
そこで、請求項6に記載の発明によれば、エンジン冷却水の水温が所定温度未満のときには、窓ガラスの内面に向けて空気を吹き出すデフロスタ吹出口(48)を選択してデフロスタモードを設定する。
【0021】
したがって、暖房開始初期にデフロスタ吹出口(48)から冷風が吹き出されても、冷風が直接乗員に向かって吹き出されることを抑制できる。したがって、その冷風により乗員に対して違和感を与えることを抑制することができる。
【0022】
また、具体的には、請求項7に記載の発明の如く、請求項5または6に記載の車両用空調装置において、前記防曇制御手段(S260)は、前記窓ガラスの曇り易さ度合いが上昇するにつれて、前記吹出口(48〜50)から吹き出される風量を増加させるようにしてもよい。
【0023】
これによれば、窓ガラスの曇り易さ度合いが上昇するにつれて、吹出口(48〜50)から吹き出される風量を増加するので、窓ガラスの曇り易さに応じて、防曇を良好に行うことができる。
【0024】
また、具体的には、請求項8に記載の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、前記車室内に内気のみを導入するモードにマニュアルで設定されている場合において、前記窓ガラスの曇り易さ度合いが所定値(TRHW+c4)未満の場合は、前記内気を導入したまま前記窓ガラスに曇りが生じることを防止する防曇制御を行い、これに対し、前記窓ガラスの曇り易さ度合いが前記所定値(TRHW+c4)以上の場合は、前記導入する空気を内気から外気に切り替えて、前記窓ガラスに曇りが生じることを防止する防曇制御を行うマニュアル防曇制御手段(S270)を備えることを特徴とする。
【0025】
ここで、車室内に内気のみを導入するモードにマニュアルで設定されると、乗員の呼吸から発生する湿度により窓ガラスに曇りが発生し易くなるが、請求項8に記載の発明によれば、窓ガラスの曇り易さ度合いが所定値(TRHW+c4)以上の場合は、マニュアル防曇制御手段(S270)によって、車室内への導入空気を内気から外気に切り替えて防曇制御を稼働することにより、曇りの発生を未然に抑えることができる。
【0026】
また、具体的には、請求項9に記載の発明の如く、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、前記窓ガラスの曇り易さ度合いとして、前記湿度検出手段(17)により検出される湿度に基づいて前記窓ガラス表面の相対湿度(RHW)を演算する演算手段(20d)を備え、
前記算出手段(S230)は、前記窓ガラス表面の相対湿度(RHW)に基づいて前記比率(S)を算出するようにしてもよい。
【0027】
また、具体的には、請求項10に記載の発明の如く、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、前記判定手段(S240)は、前記比率(S)に基づいて前記車室内の窓ガラスが曇り易いか否かを判定すればよい。
【0028】
より具体的には、請求項11に記載の発明の如く、請求項10に記載の車両用空調装置において、前記算出手段(S230)が前記比率(S)として前記車室内へ外気のみを導入する比率(S=0)を算出したときに、前記判定手段(S240)は、前記車室内の窓ガラスが曇り易いと判定し、
これに対し、前記算出手段(S230)が前記比率(S)として前記車室内へ内気および外気の両方を導入する比率(S≠0)を算出したときには、前記判定手段(S240)は、前記車室内の窓ガラスが曇り難いと判定するようにしてもよい。
【0029】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態の車両用空調装置の全体システム構成図である。
【図2】図1の検出装置の概略断面図である。
【図3】図1の検出装置の概略斜視図である。
【図4】図1の検出装置の電気的ブロック図である。
【図5】第1実施形態による空調装置側制御の基本ロジックを示すフローチャ−トである。
【図6】内外気制御指令値と内気比率との関係を示す特性図である。
【図7】第1実施形態による内外気制御指令値算出ロジックを示すフローチャ−トである。
【図8】内外気制御における車速判定の特性図である。
【図9】窓ガラス表面相対湿度と内外気制御指令値(内外気吸い込みモード)との関係を示す特性図である。
【図10】窓ガラス表面相対湿度と内外気制御指令値算出のための制御モードとの関係を示す特性図である。
【図11】第1実施形態によるオートモード防曇制御ロジックを示すフローチャ−トである。
【図12】窓ガラス表面相対湿度と図11の防曇制御モードとの関係を示す特性図である。
【図13】第1実施形態によるマニュアルモード防曇制御ロジックを示すフローチャ−トである。
【図14】窓ガラス表面相対湿度と図13の防曇制御モードとの関係を示す特性図である。
【図15】本発明の第2実施形態の課題を説明するための特性図である。
【図16】第2実施形態の課題を説明するための特性図である。
【図17】第2実施形態による閾値設定を説明するための特性図である。
【図18】第2実施形態の効果を説明するための特性図である。
【図19】本発明の第3実施形態による吹出モード設定を説明するための特性図である。
【図20】本発明の第4実施形態による防曇制御モードを説明するための図表である。
【図21】本発明の第5実施形態によるオートモード防曇制御ロジックを示すフローチャ−トである。
【図22】第5実施形態による窓ガラス表面相対湿度と図21の防曇制御モードとの関係を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(第1実施形態)
図1に、本発明に係る車両用空調装置の第1実施形態の概略構成を示す。
【0032】
車両用空調装置は、室内空調ユニット30は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)内側部等に配設される。この室内空調ユニット30はケース31を有し、このケース31内に車室内へ向かって空気が送風される空気通路を構成する。
【0033】
このケース31の空気通路の最上流部に内外気切替箱32を配置し、内気導入口33および外気導入口34を内外気切替ドア35により切替開閉するようになっている。この内外気切替ドア35はサーボモータ36によって駆動される。
【0034】
内外気切替箱32の下流側には車室内に向かって空気を送風する電動式の送風機37を配置している。この送風機37は、遠心式の送風ファン37aをモータ37bにより駆動するようになっている。送風機37の下流側には送風空気を冷却する冷房用熱交換器をなす蒸発器38を配置している。
【0035】
この蒸発器38は、冷凍サイクル装置39を構成する要素の一つであり、低温低圧の冷媒が送風空気から吸熱して蒸発することにより送風空気を冷却する。なお、冷凍サイクル装置39は周知のものであり、圧縮機40の吐出側から、凝縮器41、受液器42および減圧手段をなす膨張弁43を介して蒸発器38に冷媒が循環するように構成されている。凝縮器41には電動式の冷却ファン41aによって室外空気(冷却空気)が送風される。この冷却ファン41aはモータ41bによって駆動される。
【0036】
冷凍サイクル装置39において、圧縮機40は電磁クラッチ40aを介して車両エンジン(図示せず)により駆動される。従って、電磁クラッチ40aの通電の断続により圧縮機40の作動を断続制御できる。
【0037】
一方、室内空調ユニット30において、蒸発器38の下流側にはケース31内を流れる空気を加熱するヒータコア44を配置している。このヒータコア44は車両エンジンの温水(すなわち、エンジン冷却水)を熱源として、蒸発器38通過後の空気(冷風)を加熱する加熱用熱交換器である。ヒータコア44の側方にはバイパス通路45が形成され、このバイパス通路45をヒータコア44のバイパス空気が流れる。
【0038】
蒸発器38とヒータコア44との間に温度調整手段をなすエアミックスドア46を回転自在に配置してある。このエアミックスドア46はサーボモータ47により駆動されて、その回転位置(開度)が連続的に調整可能になっている。
【0039】
このエアミックスドア46の開度によりヒータコア44を通る空気量(温風量)と、バイパス通路45を通過してヒータコア44をバイパスする空気量(冷風量)との割合を調節し、これにより、車室内に吹き出す空気の温度を調整するようになっている。
【0040】
ケース31の空気通路の最下流部には、車両の前面窓ガラス12に向けて空調風を吹き出すためのデフロスタ吹出口48、乗員の顔部に向けて空調風を吹き出すためのフェイス吹出口49、および乗員の足元部に向けて空調風を吹き出すためのフット吹出口50の計3種類の吹出口が設けられている。
【0041】
これら吹出口48〜50の上流部にはデフロスタドア51、フェイスドア52およびフットドア53が回転自在に配置されている。これらのドア51〜53は、図示しないリンク機構を介して共通のサーボモータ54によって開閉操作される。
【0042】
空調用電子制御装置26は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成される。この空調用電子制御装置26は、そのROM内に空調制御のためのコンピュータプログラムを記憶しており、そのコンピュータプログラムに基づいて各種演算、処理を行う。
【0043】
空調用電子制御装置26には、後述する検出装置10の検出値が入力される他に、周知の空調用センサ群61〜65からの検出信号、および空調操作パネル70からの各種操作信号が入力される。
【0044】
空調用センサ群としては、具体的には、外気温(車室外温度)Tamを検出する外気センサ61、内気温(車室内温度)Trを検出する内気センサ62、車室内に入射する日射量Tsを検出する日射センサ63、蒸発器38の空気吹出部に配置されて蒸発器吹出空気温度Teを検出する蒸発器温度センサ64、ヒータコア44に流入する温水(エンジン冷却水)温度Twを検出する水温センサ65等が設けられる。
【0045】
また、空調操作パネル70には各種空調操作部材として、車室内温度を設定する温度設定手段をなす温度設定スイッチ71、吹出モードドア51〜53により切り替わる吹出モードをマニュアル設定する吹出モードスイッチ72、内外気切替ドア35による内外気吸込モードをマニュアル設定する内外気切替スイッチ73、圧縮機40の作動指令信号(電磁クラッチ40aのON信号)を出すエアコンスイッチ74、送風機37の風量をマニュアル設定する送風機作動スイッチ75、空調自動制御状態の指令信号を出すオートスイッチ76等が設けられる。
【0046】
空調用電子制御装置26の出力側には、圧縮機40の電磁クラッチ40a、各機器の電気駆動手段をなすサーボモータ36、47、54、送風機37のモータ37b、凝縮器冷却ファン41aのモータ41b等が接続され、これらの機器の作動が空調用電子制御装置26の出力信号により制御される。
【0047】
次に、検出装置10の構成について図2〜図4を用いて説明する。図2は検出装置10を車両の窓ガラス(具体的には、フロント側窓ガラス)の内面に装着した状態を示す概略断面図で、図3は検出装置10の概略斜視図であり、図4は検出装置10の電気的構成図である。
【0048】
検出装置10は、樹脂等により成形されたケース11を有している。このケース11は高さの低い薄型の直方体状であって、底面部は全面的に開口した形状になっている。
【0049】
ケース11の前面および背面の壁面には凸形状の開口部11aを形成している。この前面および背面の開口部11aによりケース11の内部空間が周辺の空間、すなわち、車室内空間に常時連通するようになっている。ケース11の前面および背面の壁面のうち、開口部11aの左右両側部分は窓ガラス12の内面12aへの取付ステー部11bを構成する。
【0050】
窓ガラス12は本例では車両の前面(フロント)ガラスであり、図1の上面側が車室内に面する内面12aであり、図1の下面側が車室外に面する外面12bである。従って、図2は窓ガラス12の内面12aを図示している。取付ステー部11bの下端面には遮光フィルム13が貼り付けられ、さらに、遮光フィルム13が窓ガラス12の内面12aに貼り付けられる。なお、遮光フィルム13は取付ステー部11bの下端面および窓ガラス12の内面に対して接着等の手段で貼り付ければよい。
【0051】
ケース11の内部空間において開口部11aの上端部と上側壁面11cとの間に回路基板14が窓ガラス12の面と平行に配置され、図示しない取付手段にて回路基板14はケース11の内壁面に固定される。回路基板14は絶縁基板上に導体回路部を構成する一般にプリント基板と称される部材であり、以下に述べるセンサ類および回路部が実装される。
【0052】
回路基板14のうち、窓ガラス12側の表面(図1の下側面)には、湿度センサ17、空気温度検出用温度センサ18、増幅器19、演算回路20、および通信回路21が実装されている。
【0053】
なお、湿度センサ17と温度センサ18は回路基板14の長手方向(図2の左右方向)の中央部に配置され、開口部11aの上端部付近、すなわち、車室内空間への連通部位に配置されている。このため、湿度センサ17と温度センサ18は車室内の窓ガラス内面付近の空気の代表的な湿度と温度を検出できる。
【0054】
遮光フィルム13のうちセンサ側の表面の1箇所にガラス温度検出用の温度センサ23が一体化して配置される。遮光フィルム13は上述のように熱伝導率の高い薄膜状部材であるから、窓ガラス12の車室内側表面温度(内面温度)とほぼ同一の温度になっている。
【0055】
なお、本例では、湿度センサ17として、感湿膜の誘電率が空気の相対湿度に応じて変化し、それにより、静電容量が空気の相対湿度に応じて変化する容量変化型のものを用いている。また、温度センサ18、23としては温度に応じて抵抗値が変化するサーミスタを用いている。
【0056】
リード線25はケース11の内部空間からケース11の外部へ取り出される電源線および通信線であり、回路基板14の電気回路部(増幅器19、演算回路20、および通信回路21)と、外部回路(後述の図4の空調用電子制御装置26、車両電源等)との間を電気的に接続するものである。
【0057】
なお、前述したケース11の取付ステー部11bは、回路基板14および回路基板14上に実装される各種センサ類と窓ガラス12の内面12aとの間隔を規定する位置決め手段としての役割を果たす。
【0058】
次に、図4により検出装置10の電気的構成を説明すると、各センサ17、18、23の出力信号をそれぞれ増幅器19a〜19dで増幅して演算回路20a〜20cに加える。
【0059】
そして、演算回路20aが、湿度センサ17(具体的には増幅器19aの出力値)の出力値Vに基づいて、窓ガラス付近の車室内空気の相対湿度RHを演算する。すなわち、湿度センサ17の出力値Vを相対湿度RHに変換するための所定の演算式が予め設定されており、この演算式に出力値Vを適用することにより、相対湿度RHを演算する。下記(1)式は、この湿度演算式の具体例である。
【0060】
RH=αV+β ……(1)
但し、αは制御係数で、βは定数である。
【0061】
次に、演算回路20bが空気温度センサ18の出力値(具体的には増幅器19bの出力値)を予め設定された所定の演算式に適用することにより、窓ガラス付近の車室内空気温度を演算する。
【0062】
さらに、演算回路20cが、ガラス温度センサ23の出力値(具体的には増幅器19cの出力値)を予め設定された所定の演算式に適用することにより、窓ガラス温度(ガラス室内側表面温度)を演算する。
【0063】
さらに、演算回路20dが、相対湿度RH、空気温度および窓ガラス温度に基づいて、窓ガラス表面相対湿度(窓ガラス室内側表面の相対湿度)RHWを演算する。すなわち、湿り空気線図を用いることにより、相対湿度RHと空気温度と窓ガラス温度とから窓ガラス表面相対湿度RHWを演算できる。そして、その窓ガラス表面相対湿度RHWが通信回路21を通して空調用電子制御装置26に出力するようになっている。
【0064】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。最初に、室内空調ユニット30の作動の概要を説明すると、送風機37を作動させることにより、内気導入口33または外気導入口34より導入された空気がケース31内を車室内に向かって送風される。また、電磁クラッチ40aに通電して電磁クラッチ40aを接続状態とし、圧縮機40を車両エンジンにて駆動することにより、冷凍サイクル装置39内を冷媒が循環する。
【0065】
送風機37の送風空気は、先ず蒸発器38を通過して冷却、除湿され、この冷風は次にエアミックスドア46の回転位置(開度)に応じてヒータコア44を通過する流れ(温風)とバイパス通路45を通過する流れ(冷風)とに分けられる。
【0066】
従って、エアミックスドア46の開度によりヒータコア44を通る空気量(温風量)と、バイパス通路45を通過する空気量(冷風量)との割合を調整することにより、車室内に吹き出す空気の温度を調整できる。
【0067】
そして、この温度調整された空調風が、ケース31の空気通路の最下流部に位置するデフロスタ吹出口48、フェイス吹出口49およびフット吹出口50のうち、いずれか1つまたは複数の吹出口から車室内へ吹き出して、車室内の空調および車両の前面窓ガラス12の曇り止めを行う。
【0068】
次に、窓ガラス表面相対湿度RHWに基づく空調制御を説明する。図5は空調用電子制御装置26により実行される制御ルーチンであり、まず、上述の検出回路10で演算された窓ガラス表面相対湿度RHWを読み込む(S200)。
【0069】
次に、内外気吸込モードが空調操作パネル70の内外気切替スイッチ73により内気モードにマニュアル設定されていないか否かを判定し(S210)、その判定がNOのときは、内外気制御指令値Sを算出する(S230)。
【0070】
ここで、内外気制御指令値Sは、図6に示すように、車室内に内気を導入する比率を決める為の数値であり、図6の例では、S=0のとき内気比率=0%(すなわち、外気:100%の外気モード)とし、S=7のとき内気比率=100%(すなわち、内気モード)とし、S=1からS=7に向かって内気比率が順次増大する。
【0071】
図7は上記の内外気制御指令値Sの算出処理(S230)の具体例を示すフローチャートであり、図7を参照して内外気制御指令値Sの算出処理(S230)について具体的に説明する。
【0072】
まず、車速SPDが低速域Aにあるか高速域Bにあるかを図8のマップに基づいて判定する(S300)。そして、車速SPDが高速域Bにあるときは、図9のマップに示すように窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて内外気制御指令値Sを決定する(S310)。
【0073】
すなわち、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の目標窓ガラス表面相対湿度TRHWよりも上昇すると、窓ガラスに曇りが生じ易いとして、S=0(外気モード)とし、また窓ガラス表面相対湿度RHWが第2の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW−a)よりも低下すると、窓ガラスに曇りが生じ難いとして、S=7(内気モード)にする。
【0074】
ここで、第1の目標窓ガラス表面相対湿度TRHWとしては、窓ガラスに曇りが生じない上限湿度付近のレベルとして、例えば、80%が用いられ、第2の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW−a)としては、例えば、65%が用いられる(a=15%)。
【0075】
一方、車速SPDが低速域Aにあるときは、窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて、図10のマップに示す制御モード1、2、3、4を決定する(S320)。
【0076】
すなわち、窓ガラス表面相対湿度RHWが第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)よりも上昇すると、制御モード4を決定し、また窓ガラス表面相対湿度RHWが第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)と第1の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW)との間にあるときは制御モード3を決定する。
【0077】
さらに、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW)と第4の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW−b)との間にあるときは制御モード2を決定し、窓ガラス表面相対湿度RHWが第4の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW−b)よりも低下すると制御モード1を決定する。
【0078】
なお、制御モード1が特許請求範囲に記載の第1の制御モードに相当し、制御モード2が特許請求範囲に記載の第2の制御モードに相当し、制御モード3が特許請求範囲に記載の第3の制御モードに相当し、制御モード4が特許請求範囲に記載の第4の制御モードに相当する。
【0079】
ここで、第4の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW−b)→第1の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW)→第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)の順に湿度が高くなり、これらの順で徐々に窓ガラスに曇りが生じ易くなる傾向になっている。
【0080】
なお、第4の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW−b)としては、例えば、70%が用いられ(b=10%)、第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)としては、例えば、95%が用いられる(c2=15%)。
【0081】
また、制御モード1を決定したときは所定時間経過ごとにS=S+1の制御処理を行う(S330)。すなわち、所定時間経過ごとに内外気制御指令値Sの値を「1」ずつ増加して、内気比率を所定割合ずつ順次増加する制御処理を行う。このため、制御モード1を決定したときに、時間が経過してS=7に到達すると、図6に示すように内気比率100%の内気モードとなる。
【0082】
また、制御モード2を決定したときは窓ガラス表面相対湿度RHWが目標窓ガラス表面相対湿度TRHW付近にあるため、S=Sの制御処理、すなわち、内外気制御指令値Sの値として、前回算出のSの値を持続する制御処理を行う(S340)。
【0083】
また、制御モード3を決定したときは所定時間経過ごとにS=S−1の制御処理を行う(S350)。すなわち、所定時間経過ごとに内外気制御指令値Sの値を「1」ずつ減少して、内気比率を所定割合ずつ減少する制御処理を行う。このため、制御モード3を決定したときは最初は内外気制御指令値S≠0であっても、時間経過に伴って、S=S−1を繰り返すと内外気制御指令値S=0になる。さらに、制御モード4を決定したときはS=0の制御処理、具体的には外気モードを実施する制御を行う(S360)。
【0084】
再び、図5に戻って、ステップS240では、上記の内外気制御指令値Sの値が外気モードの値(内外気制御指令値S=0)であるか否かを判定する。ここで、(1)上述のS320で制御モード4を決定したとき、(2)上述のS320で制御モード3を決定後に時間の経過に伴いS=S−1を繰り返したときのうち、いずれか一方のときには、内外気制御指令値S=0になるので、YESと判定する。すなわち、上記の内外気制御指令値S=0であるか否かを判定することにより、窓ガラスが曇り易いか否かについて判定することになる。そして、内外気制御指令値S=0のとき、窓ガラスが曇り易いと判定して、S260に進んで、窓ガラスの防曇制御(以下、オートモード防曇制御という)を行う。
【0085】
また、ステップS240において、内外気制御指令値S≠0のときには、NOと判定してステップS250に進む。このステップS250では、内外気制御指令値Sの値に基づく内気比率となるように内外気切替ドア35の位置を制御して、内外気吸込モード制御を実施する。
【0086】
ここで、上述の如く、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW)よりも低いときに、制御モード1、2が決定されて、内外気制御指令値S≠0になる。第1の目標窓ガラス表面相対湿度TRHWは、窓ガラスの曇りが生じない上限湿度付近に設定されているため、内外気吸込モードの制御においては、窓ガラスの曇りが生じない範囲で常に内気比率が高くなるように内外気吸込モードを制御できる。これにより、冬期の暖房始動時に内気比率を上昇することにより換気熱損失を低減して、車室内暖房効果の立ち上げを促進できる。
【0087】
なお、ステップS250による内外気吸込モード制御は、請求項1に記載の「比率(S)に基づいて空調手段(30)を制御して、少なくとも内気を車室内に導入するように内気および外気の吸込モードを制御する内外気吸込制御手段」に相当する。
【0088】
以上のように、ステップS240では、内外気制御指令値Sに応じて、ステップS250の内外気吸込モード制御およびステップS260のオートモード防曇制御(これは、請求項1に記載の防曇制御手段に相当する)のいずれを稼働するかを決めるようになっている。
【0089】
一方、図5のステップS210の判定がYESであるときは、窓ガラスの曇り止めの必要性が高いときであり、この場合はステップS270に進み窓ガラスの防曇制御(以下、マニュアルモード防曇制御という)を行う。
【0090】
以上のように、マニュアルモード防曇制御、内外気吸込モード制御、およびオートモード防曇制御のうちいずれかを実施し、その後、S200、S210、S230、S240、S250、S270の各処理を繰り返す。
【0091】
次に、オートモード防曇制御およびマニュアルモード防曇制御について、個別に説明する。最初に、オートモード防曇制御について説明する。図11は、このオートモード防曇制御(S260)の具体例を示すフローチャート、図12は、オートモード防曇制御において制御モードを選択するための制御マップである。
【0092】
まず、図11のステップS410〜S450において、窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて制御モード10〜制御モード60のいずれかを選択する。
【0093】
具体的には、窓ガラス表面相対湿度RHWが第4の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW−b)よりも低いときには、S410においてYESと判定してS460において制御モード10を選択して実行する。なお、図12中のbは上述の図10中のbと同一値である。また、制御モード10の制御処理については、後述する。
【0094】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の目標窓ガラス表面相対湿度TRHWより低く、第4の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW−b)よりも高いときには、S420においてYESと判定してS470において制御モード20を選択して実行する。また、制御モード20の制御処理については、後述する。
【0095】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第5の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c1)より低く、第1の目標窓ガラス表面相対湿度TRHWよりも高いときには、S430においてYESと判定してS480において制御モード30を選択して実行する。なお、図12中のc1はc2よりも低い値(例えば、10%)が用いられる。図12中のc2は、図10中のc2と同一値である。また、制御モード30の制御処理については、後述する。
【0096】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)より低く、第5の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c1)よりも高いときには、S440においてYESと判定してS490において制御モード40を選択して実行する。また、制御モード40の制御処理については、後述する。
【0097】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第6の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c3)より低く、第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)よりも高いときには、S450においてYESと判定してS500において制御モード50を選択して実行する。なお、図12中のc3はc2よりも高い値が用いられる。また、制御モード50の制御処理については、後述する。
【0098】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第6の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c3)よりも高いときには、S450においてNOと判定してS510において制御モード60を選択して実行する。また、制御モード60の制御処理については、後述する。
【0099】
以上のように、窓ガラス表面相対湿度RHWが低くなるほど、制御モード60→制御モード50→制御モード40→制御モード30→制御モード20→制御モード10の順に段階的に切り替わる。
【0100】
ここで、制御モード60〜10において、制御モード10→20→…50→60の順で、防曇効果が段階的に高くなるようになっている。すなわち、制御モード50、60は、図12に示すように窓ガラス表面相対湿度RHWが第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)よりも高く、窓ガラスに曇りが最も生じやすい状態である場合において内外気制御指令値S=0に基づく外気100%の外気モードでもって行われる防曇制御である。
【0101】
制御モード30、40は、制御モード50、60の実施後に窓ガラス表面相対湿度RHWが図12に示すように第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)よりも低く、かつ第1の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW)よりも高くなると、内外気制御指令値S=0に基づく外気100%の外気モードでもって行われる防曇制御である。
【0102】
制御モード20は、制御モード30〜60が繰り返し実施されて窓ガラス表面相対湿度RHWが図12に示すように第1の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW)よりも低下すると、内外気制御指令値S=0に基づく外気100%の外気モードでもって行われる防曇制御である。
【0103】
制御モード10は、制御モード20の実施後に窓ガラス表面相対湿度RHWが図12に示すように第4の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW−b)よりも低下すると行われるもので、内外気吸込モードとして下記の自動内外気切替モードを実施する制御モードである。以下に、制御モード10〜60の具体的な制御処置について説明する。
【0104】
(制御モード10)
窓ガラスの曇り易さは最も低い場合には、制御モード10では、内外気吸込モードとして自動内外気切替モード(図11中AUTOと記す)を実施する。自動内外気切替モードは、目標吹出温度TAOが上昇するに伴い、内気モード→内外気モード→外気モードの順に切り替える周知の制御である。目標吹出温度TAOは、車室内の空調負荷変動に関わらず、車室内の空気温度を温度設定スイッチ71の設定温度に維持するために必要である吹出口48〜50からの吹出空気温度である。なお、外気温が低いときに限り、自動内外気切替モードではなく、外気モードにしてもよい。
【0105】
また、送風機37の送風量(以下、ブロアレベルともいう)を、目標吹出温度TAOに基づく自動風量制御(図11中AUTOと記す)で設定する。自動風量制御では、目標吹出温度TAOが中間温度域のときにはブロアレベルが最低量になり、目標吹出温度TAOが中間温度域から上がるほどブロアレベルを上げ、目標吹出温度TAOが中間温度域から下がるほどブロアレベルが上げる周知の風量制御である。なお、以下、当該風量制御において目標吹出温度TAOに基づいて定める風量をオートブロアレベルという。
【0106】
さらに、吹出モードを目標吹出温度TAOに基づく自動吹出制御(図11中AUTOと記す)で設定する。自動吹出制御では、目標吹出温度TAOが上がるほどフェイスモード→バイレベルモード→フットモードの順に切り替える。なお、フェイスモードは、フェイス吹出口49を開け、かつフット吹出口50を閉じるモード、フットモードは、フェイス吹出口49を閉じて、かつフット吹出口50を開けるモード、バイレベルモードは、フェイス吹出口49およびフット吹出口50をそれぞれ開けるモードである。
【0107】
(制御モード20)
この制御モード20においては、より低湿度の空気を窓ガラスに吹き付けるために、内外気吸込モードとして外気モードに切り替え、ブロアレベルを、上述のオートブロアレベル(図11中AUTOと記す)で設定し、吹出モードを、制御モード10と同様に自動吹出制御(図11中AUTOと記す)で設定する。
【0108】
(制御モード30)
この制御モード30においては、より低湿度で、かつ、高風量の空気を窓ガラスに吹き付けるために、内外気吸込モードとして外気モードに切り替え、さらに、乗員にとって違和感の無い範囲内でブロアレベルを上げる為に、ブロアレベルとして、上述のオートブロアレベルに3レベル加算した風量を設定する。なお、1レベルとは、予め決められた風量のことである。また、吹出モードを、制御モード10と同様に自動吹出制御(図11中AUTOと記す)で設定する。
【0109】
(制御モード40)
この制御モード40においては、強制的に窓ガラスの曇りを消すために、内外気吸込モードとして外気モードに切り替え、ブロアレベルとして、上述のオートブロアレベルに3レベル加算した風量を設定する。また、吹出モードとしては、次のように、制御モード40に移行する前回の制御モードの吹出モードによって変える。
【0110】
例えば、前回の制御モードの吹出モードがフェイスモード「図11中FACEと記す」のときには、今回にはフットデフモード「図11中F/Dと記す」に設定する。フットデフモードとは、デフロスタ吹出口48およびフット吹出口50をそれぞれ開放するモードである。前回の制御モードの吹出モードがバイレベルモード「図11中B/Lと記す」のときには、今回にはフットデフモード「図11中F/Dと記す」に設定する。前回の制御モードの吹出モードがフットモード「図11中Footと記す」のときには、今回にはフットデフモード「図11中F/Dと記す」に設定する。前回の制御モードの吹出モードがフットデフモード「図11中F/Dと記す」のときには、今回にはデフモード「図11中DEFと記す」に設定する。デフモードとは、デフロスタ吹出口48を開放し、フェイス吹出口49およびフット吹出口50をそれぞれ閉鎖するモードである。
【0111】
(制御モード50)
この制御モード50においては、強制的に窓ガラスの曇りを消すために、内外気吸込モードとして外気モードに切り替え、かつ、送風量を増やすために、ブロアレベルとして、上述のオートブロアレベルに6レベル加算した風量を設定する。また、吹出モードとしては、制御モード40と同様に、前回の制御モードの吹出モードによって変え、フットデフモード、あるいはデフモードに設定する。なお、吹出モードの遷移処理については、制御モード40と同様であるため省略する。
【0112】
(制御モード60)
この制御モード60においては、強制的に窓ガラスの曇りを消すために、内外気吸込モードとして外気モードに切り替え、かつ、送風量を増やすために、ブロアレベルとして、上述のオートブロアレベルに6レベル加算した風量を設定する。さらに、吹出モードとしては、デフロスタ吹出口48を開放してデフモードに設定する。
【0113】
次に、マニュアルモード防曇制御について、図13、図14を参照して説明する。図13は、マニュアルモード防曇制御(S270)の具体例を示すフローチャートであり、図14は、マニュアルモード防曇制御で制御モードを決定するための制御マップである。
【0114】
まず、図13のステップS420a、S430a、S440a、S450a、S520aにおいて、窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて制御モード100〜制御モード600のいずれかを選択する。
【0115】
具体的には、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の目標窓ガラス表面相対湿度TRHWよりも低いときには、S420aにおいてYESと判定してS470aで制御モード100を選択して実行する。なお、制御モード100の制御処理については、後述する。
【0116】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の目標窓ガラス表面相対湿度TRHWより高く、第5の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c1)より低いときには、S430aにおいてYESと判定してS480aにおいて制御モード200を選択して実行する。なお、図14中c1は、図12中c1と同一値である。また、制御モード200の制御処理については、後述する。
【0117】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)より低く、第5の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c1)よりも高いときには、S440aにおいてYESと判定してS490aにおいて制御モード300を選択して実行する。なお、図14中c2は、図12中c2と同一値である。また、制御モード300の制御処理については、後述する。
【0118】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第6の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c3)より低く、第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)よりも高いときには、S450aにおいてYESと判定してS500aにおいて制御モード400を選択して実行する。なお、図14中c3は、図12中c3と同一値である。また、制御モード400の制御処理については、後述する。
【0119】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第6の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c3)よりも高く、第7の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c4)よりも低いときには、S520aにおいてYESと判定してS510aにおいて制御モード500を選択して実行する。なお、図14中のc4はc3よりも高い値である。また、制御モード500の制御処理については、後述する。
【0120】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第7の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c4)よりも高いときには、S520aにおいてNOと判定してS530aにおいて制御モード600を選択して実行する。また、制御モード600の制御処理については、後述する。
【0121】
以上のように、窓ガラス表面相対湿度RHWが低くなるほど、制御モード600→制御モード500→制御モード400→制御モード300→制御モード200→制御モード100の順に段階的に切り替わる。制御モード600〜100において、制御モード100→200→…500→600の順で、防曇効果が段階的に高くなるようになっている。
【0122】
次に、制御モード100〜600の具体的な制御処置について説明する。
【0123】
(制御モード100)
制御モード100では、内外気吸込モードとして内気モードを実施する。ブロアレベルを上述のオートブロアレベルに設定し、吹出モードを上述のS460と同様に自動吹出制御(図13中AUTOと記す)で設定する。
【0124】
(制御モード200)
この制御モード200では、内外気吸込モードとして内気モードを実施する。ブロアレベルとして上述のオートブロアレベルに3レベル加算した風量を設定する。吹出モードを上述のS460と同様に自動吹出制御(図13中AUTOと記す)で設定する。
【0125】
(制御モード300)
この制御モード300においては、内外気吸込モードとして内気モードを実施する。ブロアレベルとして、上述のオートブロアレベルに3レベル加算した風量を設定する。吹出モードを、上述の制御モード40と同様に、前回の制御モードの吹出モードによって変え、フットデフモード、あるいはデフモードに設定する。
【0126】
(制御モード400)
この制御モード400においては、内外気吸込モードとして内気モードを実施する。ブロアレベルとして、上述のオートブロアレベルに6レベル加算した風量を設定する。吹出モードを、上述の制御モード40と同様に、前回の制御モードの吹出モードによって変え、フットデフモード、あるいはデフモードに設定する。
【0127】
(制御モード500)
この制御モード500においては、内外気吸込モードとして内気モードを実施して、ブロアレベルとして、上述のオートブロアレベルに6レベル加算した風量を設定する。また、吹出モードとしては、デフモードに設定する。
【0128】
(制御モード600)
この制御モード600においては、強制的に外気モードに切り替える。
【0129】
以上説明したように本実施形態によれば、内気および外気のうち少なくとも一方を導入し、この導入される空気の状態を調整して車室内に吹き出す室内空調ユニット30と、車室内の窓ガラス付近の曇り易さ度合い(すなわち、窓ガラス表面相対湿度RHW)を演算する演算回路20dとを備えている。空調用電子制御装置26では、ステップS230にて曇り易さ度合いに応じて内外気制御指令値Sを算出し、この内外気制御指令値Sに基づいて、ステップS240にて窓ガラスが曇り易いか否かについて判定する。そして、内気指令値S=0のとき窓ガラスが曇り易いと判定し、ステップS260で、室内空調ユニット30を制御して窓ガラスに曇りが生じることを防止する防曇制御を行う。
【0130】
これに対し、ステップS240にて内気指令値S≠0のとき窓ガラスが曇り難いと判定すると、防曇制御を行わないで、ステップS250にて室内空調ユニット30を制御して少なくとも内気を車室内に導入することを特徴とする。
【0131】
ここで、本実施形態によれば、図7のステップS330にて制御モード1を稼働して車室内に導入する内気の比率を段階的に増加させれば、車室内に導入する外気の比率を段階的に増加する制御モード3および外気のみを導入する制御モード4(すなわち、外気モード)に比べて、室内空調ユニット30への導入空気の温度を高くすることができるので、暖房性能を向上することができる。そして、図10に示すように窓ガラス表面相対湿度RHWが第4の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW−b)よりも低下すると、内気の比率を段階的に増加する制御モード1を稼働し、窓ガラス表面相対湿度RHWが第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)と第1の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW)との間にあるときは外気の比率を段階的に増加する制御モード3を稼働させるので、窓ガラスの曇りの発生を抑えつつ、暖房能力の低下を抑えることができる。
【0132】
また、本実施形態によれば、窓ガラス表面相対湿度(すなわち、窓ガラスの曇り易さ度合い)に応じて制御モード1〜3のうちいずれかを選択して実施するので、窓ガラスの曇り易さ度合いに応じて、車室内に導入される内気の比率がきめ細かく制御され得る。
【0133】
(第2実施形態)
ところで、暖房開始初期においてエンジン水温が低温である場合には、ヒータコア44で空調風が十分に暖められなく、吹出口48〜50から冷風が吹き出され、その冷風が乗員に当たると違和感を乗員に与える可能性がある。
【0134】
そこで、従来技術においては、暖房開始後、エンジン水温が低温である場合には、空調用電動送風機37を停止し、エンジン水温がある一定の温度以上に到達してから空調用電動送風機37を始動させるようにして、冷風が乗員に当たらないようにしている(図15参照)。
【0135】
しかし、空調用電動送風機37の停止時に乗員の呼吸により車室内の湿度が上昇し、窓ガラスに曇りが発生してしまう(図15参照)。一方、防曇制御を稼働させるために空調用電動送風機37を始動して暖房を開始させると、その暖房開始初期には冷風が吹出されるため乗員にとってはかえって不快となる(図16参照)。
【0136】
ところで、上述の第1実施形態では、窓ガラス表面相対湿度RHWが第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)以上であるとき、窓ガラスが非常に曇り易い状態であるとして、制御モード4(すなわちS=0)を選択して防曇制御を実行する一方、窓ガラス表面相対湿度RHWが第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)未満であるとき(但し、S≠0であるときに限る)、制御モード1〜3を選択して内外気吸入モード制御を実行する。
【0137】
すなわち、窓ガラスが非常に曇り易い状態であるか否かの判定に用いる下限値としては、第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)を用いていることになる。
【0138】
これに対して、本第2実施形態では、暖房開始初期には、前記下限値を、暖房開始初期以降に比べて、高く設定する。すなわち、暖房開始初期には当該下限値を高めに設定してエンジン冷却水の温度(すなわち、水温)が上昇すると、当該下限値を元に戻す。なお、当該下限値は、請求項2、3に記載の発明の「閾値」に相当する。
【0139】
具体的には、図17に示すように、エンジン冷却水の温度が33℃(請求項3に記載の所定温度に相当する)未満のときには、下限値を第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)からA(例えば、5%)だけ高く設定して、第3の目標窓ガラス表面相対湿度を(TRHW+c2+A)とする。この第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2+A)が請求項3に記載の「低温側の閾値」に相当する。
【0140】
その後、エンジン冷却水の温度が上昇して38℃よりも高くなると、下限値を元に戻して第3の目標窓ガラス表面相対湿度を(TRHW+c2)とする。この第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)が請求項3に記載の「高温側の閾値」に相当する。このとき、エンジン冷却水の温度が38℃よりも高い温度に上昇することで、ヒータコア44では空調風が十分に温度調節されるので、その温度調節された空調風で防曇制御が行われることになる。
【0141】
したがって、暖房開始初期において、エンジン冷却水の温度が低い状態では、制御モード4(すなわち、ブロワレベルの加算を含むS260の防曇制御)を選択され難くすることができる。さらに、S260の防曇制御が選択された場合でも、上記第3の目標窓ガラス表面相対湿度を(TRHW+c2)から(TRHW+c2+A)に高く設定することにより、図12から理解されるように制御モード50(すなわち、オートブロアレベルに6レベル加算した風量を設定する防曇制御)を選択され難くすることができる。このため、エンジン冷却水の温度が38℃未満のときには、S260の防曇制御自体および制御モード50による防曇制御が稼働され難くなり、ブロアレベルを少なくすることができる(図18参照)。その後、エンジン冷却水の温度が上昇してヒータコア44で十分に空調風を温度調節することが可能になると、上記第3の目標窓ガラス表面相対湿度が低い値となって上記防曇制御が開始されやすくなる。このため、暖房開始初期には乗員の快適感を損ねないようにし、かつ、最低限の窓ガラスの曇りを解消することができる。
【0142】
(第3実施形態)
上述の第1実施形態では、窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて制御モード10〜60のうちいずれかのモードを防曇制御として選択して、その選択に伴い吹出モードを決定しているものの、エンジン冷却水が低い暖房開始初期においては、冷風が吹出口から吹き出される。このとき、フェイス吹出口49、フット吹出口50から冷風が乗員に直接吹き出されると、乗員は違和感を感じることがある。
【0143】
そこで、本第3実施形態では、図19に示すように、エンジン冷却水の温度が33℃未満のときには、デフロスタモードを選択して、その後、エンジン冷却水の温度が上昇して38℃よりも高くなると、窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて図12に示す如く制御モード10〜60のうちいずれかの制御モードを選択しその選択に伴い吹出モードを選択する。すなわち、吹出口48〜50のうち車室内に空調風を吹き出す吹出口を窓ガラス表面相対湿度RHW(窓ガラスの曇り易さ)に応じて切り替えることになる。
【0144】
以上により、エンジン冷却水が低温である暖房開始初期においては、デフロスタモードが選択されるので、デフロスタ吹出口48から冷風が吹き出されても、その冷風が乗員に直接吹き出されることを抑制できる。
【0145】
(第4実施形態)
本第4実施形態では、上述の第1実施形態の制御モード10〜60(図11の防曇制御)に加えて、制御モード70、80、90を追加する(図20参照)。
【0146】
本第4実施形態では、制御モード10〜60の選択に関しては上述の第1実施形態と同様であり、窓ガラス表面相対湿度RHWが図12で説明した第6の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c3)よりも高く、第7の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c4)よりも低いときには、制御モード70を選択する。ここで、c4は、図12で説明したc3よりも大きな数値である。
【0147】
さらに、窓ガラス表面相対湿度RHWが第7の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c4)よりも高く、第8の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c5)よりも低いときには、制御モード80を選択する。ここで、c5は、上記c4よりも大きな数値である。また、窓ガラス表面相対湿度RHWが第8の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c5)よりも高いとき制御モード90を選択する。
【0148】
このため、窓ガラス表面相対湿度RHWが上昇するにつれて、制御モード10→制御モード20→制御モード30→制御モード40→制御モード50→制御モード60→制御モード70→制御モード80→制御モード90の順に切り替わる。
【0149】
ここで、制御モード70では、上述のオートブロアレベルに9レベルを加算した風量に設定し、制御モード80では、上述のオートブロアレベルに12レベルを加算した風量に設定し、制御モード90では、上述のオートブロアレベルに15レベルを加算した風量に設定する。
【0150】
このため、窓ガラス表面相対湿度RHWが第6の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c3)よりも高くなったときでも、窓ガラス表面相対湿度RHWの上昇に伴い、ブロアレベルを上げることができので、窓ガラス内面への吹出風量を増大してより効果的に防曇を行うことができる。なお、制御モード70〜90においては、図11中のS510の制御モード60と同様に、内外気吸込モードを外気モードに設定し、吹出モードとしてデフモードを設定する。
【0151】
(第5実施形態)
上述の第1実施形態では、オートモード防曇制御において窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の目標窓ガラス表面相対湿度TRHW未満であっても、窓ガラス表面相対湿度RHWに応じて制御モード10、20のいずれかを選択するようにした例について説明したが、これに代えて、本第5実施形態では、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の目標窓ガラス表面相対湿度TRHW未満であるときには、同一制御モードにする。
【0152】
以下、本実施形態のオートモード防曇制御について説明する。図21は、オートモード防曇制御の具体例を示すフローチャート、図22は、オートモード防曇制御において制御モードを選択するための制御マップである。
【0153】
まず、図21のステップS410b〜S440bにおいて、窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて制御モード10〜50のいずれかを選択する。
【0154】
具体的には、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の目標窓ガラス表面相対湿度TRHWよりも低いときには、S410bにおいてYESと判定してS460bにおいて制御モード10を選択して実行する。なお、制御モード10の制御処理については、後述する。
【0155】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第5の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c1)より低く、第1の目標窓ガラス表面相対湿度TRHWよりも高いときには、S420bにおいてYESと判定してS470bにおいて制御モード20を選択して実行する。なお、図22中のc1は、図12中のc1と同一値である。また、制御モード20の制御処理については、後述する。
【0156】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)より低く、第5の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c1)よりも高いときには、S430bにおいてYESと判定してS480bにおいて制御モード30を選択して実行する。なお、図22中のc2は、図12中のc2と同一値である。また、また、制御モード30の制御処理については、後述する。
【0157】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第6の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c3)より低く、第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)よりも高いときには、S440bにおいてYESと判定してS490bにおいて制御モード40を選択して実行する。なお、図22中c3は図12中c3と同一値である。また、制御モード40の制御処理については、後述する。
【0158】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第6の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c3)よりも高いときには、S440bにおいてNOと判定してS500bにおいて制御モード50を選択して実行する。また、制御モード50の制御処理については、後述する。
【0159】
以上のように、窓ガラス表面相対湿度RHWが低くなるほど、制御モード50→制御モード40→制御モード30→制御モード20→制御モード10の順に段階的に切り替わる。
【0160】
次に、制御モード10〜50の具体的な制御処置について説明する。
【0161】
(制御モード10)
図21のS460bの制御モード10では、図11のS460の制御モード10と同じ制御を行う。すなわち、内外気吸込モードとして自動内外気切替モード(図21中AUTOと記す)を実施する。また、ブロワレベルを上述のオートブロワレベル(図21中AUTOと記す)に設定し、さらに、吹出モードを目標吹出温度TAOに基づく自動吹出制御(図21中AUTOと記す)で設定する。
【0162】
(制御モード20)
この制御モード20は、より低湿の空気を窓ガラス面に吹き付け、乗員に違和感を与えない範囲内でブロアレベルを上げるために、上述の図11中のS480(制御モード30)と同様、内外気吸込モードとして外気モードに切り替え、ブロアレベルとして、上述のオートブロアレベルに3レベル加算した風量を設定し、さらに吹出モードを、制御モード10と同様に自動吹出制御(図21中AUTOと記す)で設定する。
【0163】
(制御モード30)
この制御モード30は、強制的にガラス窓の曇りを消すために、上述の図11中のS490(制御モード40)と同様、内外気吸込モードとして外気モードに切り替え、ブロアレベルとして、上述のオートブロアレベルに3レベル加算した風量を設定する。また、吹出モードとしては、前回の制御モードの吹出モードによって、デフモード、或いはフットデフモードに設定する。
【0164】
(制御モード40)
この制御モード40においては、強制的に窓ガラスの曇りを消すために、上述の図11中のS500(制御モード50)と同様、内外気吸込モードとして外気モードに切り替え、ブロアレベルとして、上述のオートブロアレベルに6レベル加算した風量を設定する。また、吹出モードとしては、前回の制御モードの吹出モードによって変え、フットデフモード、あるいはデフモードに設定する。
【0165】
(制御モード50)
この制御モード50においては、強制的に窓ガラスの曇りを消すために、上述の図11中のS510(制御モード60)と同様、内外気吸込モードとして外気モードに設定し、ブロアレベルとして、上述のオートブロアレベルに6レベル加算した風量を設定し、吹出モードとしてデフモードに設定する。
【0166】
(その他の実施形態)
上述の第1実施形態では、「曇り易さ度合い」として窓ガラス表面相対湿度を用いた例について説明したが、これに限らず、例えば、窓ガラスの露点温度と窓ガラスの表面温度との温度差を「曇り易さ度合い」として用いるようにしてもよい。
【0167】
上述の第1実施形態では、車室内の相対湿度RH、空気温度および窓ガラス温度に基づいて、窓ガラス表面相対湿度RHWを演算した例について説明したが、これに限らず、窓ガラス表面の絶対湿度および温度を直接検出して窓ガラス表面相対湿度RHWを演算してもよい。
【0168】
また、ガラス温度としては、窓ガラスから直接その温度を検出する場合に限らず、車室内温度、外気温度、日射量、車速等から窓ガラスの温度を推定するようにしてもよい。
【0169】
以下、上記実施形態と特許請求項の範囲の構成との対応関係について説明すると、室内空調ユニット30が空調手段に相当し、S230の内外気制御指令値Sの算出処理が算出手段に相当し、S240の判定処理が判定手段に相当し、ステップS260の制御処理が防曇制御手段に相当し、ステップS250の制御処理が内外気吸込制御手段に相当し、湿度センサ17が湿度検出手段に相当し、内外気制御指令値Sが比率(S)に相当し、検出装置10の演算回路20dが演算手段に相当し、デフロスタ吹出口48、フェイス吹出口49並びにフット吹出口50が複数の吹出口に相当する。
【符号の説明】
【0170】
20d 演算回路
26 空調用電子制御装置
30 室内空調ユニット
32 内外気切替箱
37a 送風ファン、
38 蒸発器
39 冷凍サイクル装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内の空気調和を行う車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用空調装置の自動空調制御では、目標吹出温度TAOに基づいて、内外気吸込口モード、吹出口モード、ブロワレベルを制御することで、車室内温度を設定温度に維持している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このものにおいては、冬場、特に低外気温時の空調は、フロントガラスの窓曇りが発生しないように、外気モードで空調を行っている。また、暖房開始初期には、吹出口モードを一定時間フットデフモードにすることでフロントガラスの窓曇りを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−142077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年のエンジン効率の向上に伴って、エンジンからエンジン冷却水に与えられる熱量が減り、エンジン冷却水温度が上がらなくなっている。このため、暖房能力が不足しており、特に低外気温時に外気モードで暖房を行うと、暖房能力は低下して、車室内の温度が上昇せず、乗員の快適感を損ねるといった問題がある。
【0006】
そこで、内気モードにすれば、内気が導入されるので、外気モードに比べて導入空気の温度を高くすることができる。このため、車室内空気の温度上昇を早めることができ、暖房能力の不足を解消できるものの、内気モードにした場合、乗員の呼吸から発生する湿度によりすぐに車室内の湿度が上昇してフロントガラスに窓曇りが発生してしまう。
【0007】
本発明は、上記点に鑑み、窓ガラスの曇りの発生を抑えつつ、暖房能力の低下を抑えるようにした車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、内気および外気のうち少なくとも一方を導入し、この導入される空気の状態を調整して車室内に吹き出す空調手段(30)と、
車室内の湿度を検出する湿度検出手段(17)と、
前記湿度検出手段(17)により検出される湿度に応じた前記車室内の窓ガラスの曇り易さ度合いに基づいて、前記空調手段(30)が前記車室内に導入する前記内気と前記外気との比率(S)を算出する算出手段(S230)と、
前記車室内の窓ガラスが曇り易いか否かを判定する判定手段(S240)と、
前記車室内の窓ガラスが曇り難いと前記判定手段(S240)が判定すると、前記比率(S)に基づいて前記空調手段(30)を制御して、少なくとも前記内気を車室内に導入するように前記内気および前記外気の吸込モードを制御する内外気吸込制御手段(S250)と、
前記車室内の窓ガラスが曇り易いと前記判定手段(S240)が判定すると、前記空調手段(30)を制御して、前記外気のみを車室内に導入して前記窓ガラスに曇りが生じることを防止する防曇制御モードを有する防曇制御手段(S260)とを備え、
前記算出手段(S230)は、前記比率(S)を算出する制御モードとして、前記車室内に導入する内気の比率を段階的に増加する第1の制御モードと、前記車室内に導入する前記内気および前記外気の比率を持続する第2の制御モードと、前記車室内に導入する外気の比率を段階的に増加する第3の制御モードとを有し、前記窓ガラスの曇り易さ度合いに応じて、前記第1〜第3の制御モードのうちいずれかを選択するようになっていることを特徴とする。
【0009】
したがって、請求項1に記載の発明によれば、内外気吸込制御手段(S250)により内気を車室内に導入することで、外気のみを導入する外気モードに比べて、導入空気温度を高くすることができるので、暖房性能を向上することができる。そして、窓ガラスが曇り易いと判定されたときには、防曇制御手段を稼働させるので、窓ガラスの曇りの発生を抑えつつ、暖房能力の低下を抑えることができる。
【0010】
特に、請求項1に記載の発明によれば、算出手段(S230)は、前記比率(S)を算出する制御モードとして、車室内に導入する内気の比率を段階的に増加する第1制御モード、車室内に導入する内気および外気の比率を持続する第2の制御モード、および車室内に導入する外気の比率を段階的に増加する第3の制御モードを有しており、そして、窓ガラスの曇り易さ度合いに応じて、第1〜第3の制御モードのうちいずれかを選択するようになっているから、窓ガラスの曇り易さ度合いに応じて、車室内に導入される内気の比率をきめ細かく制御することができる。
【0011】
そのため、請求項1に記載の発明によれば、第1の制御モードを稼働して車室内に導入する内気の比率を段階的に増加させれば、車室内に導入する外気の比率を段階的に増加する第3の制御モードに比べて、空調手段(30)への導入空気温度を高くすることができるので、暖房性能を向上することができる。そして、窓ガラスの曇り易さ度合いが高いときには第3の制御モードを稼働させることにより、窓ガラスの曇りの発生を抑えつつ、暖房能力の低下を抑えることができる。
【0012】
具体的には、請求項2に記載の発明の如く、請求項1に記載の車両用空調装置において、 前記算出手段(S230)は、前記比率(S)を算出する制御モードとして、さらに前記車室内に前記外気だけを導入する第4の制御モードを有しており、
前記算出手段(S230)は、前記窓ガラスの曇り易さ度合いが閾値未満のときに、前記第1〜第3の制御モードのうちいずれかを選択し、これに対し、前記窓ガラスの曇り易さ度合いが閾値以上のときは、前記第4の制御モードを選択するようにすればよい。
【0013】
より具体的には、請求項3に記載の発明の如く、請求項2に記載の車両用空調装置において、前記空調手段は、車室内に吹き出す空気をエンジン冷却水により温度調節する加熱用熱交換器(44)を有しており、
前記閾値として、前記エンジン冷却水の水温が所定温度未満のときに用いられる低温側の閾値と、前記エンジン冷却水の水温が所定温度以上のときに用いられる高温側の閾値とを設定し、
前記低温側の閾値は、前記高温側の閾値に比べて高く設定するようにしてもよい。
【0014】
ここで、エンジン冷却水の水温が低い暖房開始初期には、加熱用熱交換器より空調風を良好に温度調節することができないので、冷風を乗員に吹き付けて乗員に違和感を与えてしまう。
【0015】
これに対して、請求項3に記載の発明によれば、エンジン冷却水の水温が所定温度未満のときに用いられる低温側の閾値は、エンジン冷却水の水温が所定温度以上のときに用いられる高温側の閾値に比べて高く設定されているので、エンジン冷却水の水温が所定温度未満のときには、第4の制御モードが選択され難くなる。したがって、第4の制御モードを実施して、冷風を乗員に吹き付けて乗員に違和感を与えてしまうことを未然に防ぐことができる。
【0016】
また、具体的には、請求項4に記載の発明の如く、請求項2または3に記載の車両用空調装置において、前記第1制御モードは前記窓ガラスの曇り易さ度合いが最も低い側で設定し、
前記第2制御モードは前記窓ガラスの曇り易さ度合いが前記第1制御モードよりも高い側で設定し、
前記第3制御モードは前記窓ガラスの曇り易さ度合いが前記第2制御モードよりもさらに高い側で設定し、
前記第4制御モードは前記窓ガラスの曇り易さ度合いが前記第3制御モードよりもさらに高い側で設定するようにすればよい。
【0017】
また、具体的には、請求項5に記載の発明の如く、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、前記空調手段(30)は、車室内に空気を吹き出す複数の吹出口(48〜50)を有しており、
前記防曇制御手段(S260)は、前記窓ガラスの曇り易さ度合いに応じて、前記複数の吹出口(48〜50)のうち前記車室内に吹き出す吹出口を切り替えて、前記窓ガラスの防曇を行うようにしてもよい。
【0018】
また、具体的には、請求項6に記載の発明の如く、請求項1または2に記載の車両用空調装置において、前記空調手段(30)は、車室内に吹き出す空気をエンジン冷却水により温度調節する加熱用熱交換器(44)、および車室内に空気を吹き出す複数の吹出口(48〜50)を有しており、
前記エンジン冷却水の水温が所定温度以上のときには、前記防曇制御手段(S260)は、前記窓ガラスの曇り易さ度合いに応じて、前記複数の吹出口(48〜50)のうち前記車室内に吹き出す吹出口を切り替えるようになっており、
これに対し、前記エンジン冷却水の水温が所定温度未満のときには、前記防曇制御手段(S260)は、前記複数の吹出口(48〜50)のうち前記窓ガラスの内面に向けて空気を吹き出すデフロスタ吹出口(48)を選択してデフロスタモードを設定するようにしてもよい。
【0019】
ここで、エンジン冷却水が低温である暖房開始初期には、空調風が十分に暖められていなく、吹出口から乗員に向かって冷風が吹き出される場合がある。
【0020】
そこで、請求項6に記載の発明によれば、エンジン冷却水の水温が所定温度未満のときには、窓ガラスの内面に向けて空気を吹き出すデフロスタ吹出口(48)を選択してデフロスタモードを設定する。
【0021】
したがって、暖房開始初期にデフロスタ吹出口(48)から冷風が吹き出されても、冷風が直接乗員に向かって吹き出されることを抑制できる。したがって、その冷風により乗員に対して違和感を与えることを抑制することができる。
【0022】
また、具体的には、請求項7に記載の発明の如く、請求項5または6に記載の車両用空調装置において、前記防曇制御手段(S260)は、前記窓ガラスの曇り易さ度合いが上昇するにつれて、前記吹出口(48〜50)から吹き出される風量を増加させるようにしてもよい。
【0023】
これによれば、窓ガラスの曇り易さ度合いが上昇するにつれて、吹出口(48〜50)から吹き出される風量を増加するので、窓ガラスの曇り易さに応じて、防曇を良好に行うことができる。
【0024】
また、具体的には、請求項8に記載の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、前記車室内に内気のみを導入するモードにマニュアルで設定されている場合において、前記窓ガラスの曇り易さ度合いが所定値(TRHW+c4)未満の場合は、前記内気を導入したまま前記窓ガラスに曇りが生じることを防止する防曇制御を行い、これに対し、前記窓ガラスの曇り易さ度合いが前記所定値(TRHW+c4)以上の場合は、前記導入する空気を内気から外気に切り替えて、前記窓ガラスに曇りが生じることを防止する防曇制御を行うマニュアル防曇制御手段(S270)を備えることを特徴とする。
【0025】
ここで、車室内に内気のみを導入するモードにマニュアルで設定されると、乗員の呼吸から発生する湿度により窓ガラスに曇りが発生し易くなるが、請求項8に記載の発明によれば、窓ガラスの曇り易さ度合いが所定値(TRHW+c4)以上の場合は、マニュアル防曇制御手段(S270)によって、車室内への導入空気を内気から外気に切り替えて防曇制御を稼働することにより、曇りの発生を未然に抑えることができる。
【0026】
また、具体的には、請求項9に記載の発明の如く、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、前記窓ガラスの曇り易さ度合いとして、前記湿度検出手段(17)により検出される湿度に基づいて前記窓ガラス表面の相対湿度(RHW)を演算する演算手段(20d)を備え、
前記算出手段(S230)は、前記窓ガラス表面の相対湿度(RHW)に基づいて前記比率(S)を算出するようにしてもよい。
【0027】
また、具体的には、請求項10に記載の発明の如く、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、前記判定手段(S240)は、前記比率(S)に基づいて前記車室内の窓ガラスが曇り易いか否かを判定すればよい。
【0028】
より具体的には、請求項11に記載の発明の如く、請求項10に記載の車両用空調装置において、前記算出手段(S230)が前記比率(S)として前記車室内へ外気のみを導入する比率(S=0)を算出したときに、前記判定手段(S240)は、前記車室内の窓ガラスが曇り易いと判定し、
これに対し、前記算出手段(S230)が前記比率(S)として前記車室内へ内気および外気の両方を導入する比率(S≠0)を算出したときには、前記判定手段(S240)は、前記車室内の窓ガラスが曇り難いと判定するようにしてもよい。
【0029】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態の車両用空調装置の全体システム構成図である。
【図2】図1の検出装置の概略断面図である。
【図3】図1の検出装置の概略斜視図である。
【図4】図1の検出装置の電気的ブロック図である。
【図5】第1実施形態による空調装置側制御の基本ロジックを示すフローチャ−トである。
【図6】内外気制御指令値と内気比率との関係を示す特性図である。
【図7】第1実施形態による内外気制御指令値算出ロジックを示すフローチャ−トである。
【図8】内外気制御における車速判定の特性図である。
【図9】窓ガラス表面相対湿度と内外気制御指令値(内外気吸い込みモード)との関係を示す特性図である。
【図10】窓ガラス表面相対湿度と内外気制御指令値算出のための制御モードとの関係を示す特性図である。
【図11】第1実施形態によるオートモード防曇制御ロジックを示すフローチャ−トである。
【図12】窓ガラス表面相対湿度と図11の防曇制御モードとの関係を示す特性図である。
【図13】第1実施形態によるマニュアルモード防曇制御ロジックを示すフローチャ−トである。
【図14】窓ガラス表面相対湿度と図13の防曇制御モードとの関係を示す特性図である。
【図15】本発明の第2実施形態の課題を説明するための特性図である。
【図16】第2実施形態の課題を説明するための特性図である。
【図17】第2実施形態による閾値設定を説明するための特性図である。
【図18】第2実施形態の効果を説明するための特性図である。
【図19】本発明の第3実施形態による吹出モード設定を説明するための特性図である。
【図20】本発明の第4実施形態による防曇制御モードを説明するための図表である。
【図21】本発明の第5実施形態によるオートモード防曇制御ロジックを示すフローチャ−トである。
【図22】第5実施形態による窓ガラス表面相対湿度と図21の防曇制御モードとの関係を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(第1実施形態)
図1に、本発明に係る車両用空調装置の第1実施形態の概略構成を示す。
【0032】
車両用空調装置は、室内空調ユニット30は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)内側部等に配設される。この室内空調ユニット30はケース31を有し、このケース31内に車室内へ向かって空気が送風される空気通路を構成する。
【0033】
このケース31の空気通路の最上流部に内外気切替箱32を配置し、内気導入口33および外気導入口34を内外気切替ドア35により切替開閉するようになっている。この内外気切替ドア35はサーボモータ36によって駆動される。
【0034】
内外気切替箱32の下流側には車室内に向かって空気を送風する電動式の送風機37を配置している。この送風機37は、遠心式の送風ファン37aをモータ37bにより駆動するようになっている。送風機37の下流側には送風空気を冷却する冷房用熱交換器をなす蒸発器38を配置している。
【0035】
この蒸発器38は、冷凍サイクル装置39を構成する要素の一つであり、低温低圧の冷媒が送風空気から吸熱して蒸発することにより送風空気を冷却する。なお、冷凍サイクル装置39は周知のものであり、圧縮機40の吐出側から、凝縮器41、受液器42および減圧手段をなす膨張弁43を介して蒸発器38に冷媒が循環するように構成されている。凝縮器41には電動式の冷却ファン41aによって室外空気(冷却空気)が送風される。この冷却ファン41aはモータ41bによって駆動される。
【0036】
冷凍サイクル装置39において、圧縮機40は電磁クラッチ40aを介して車両エンジン(図示せず)により駆動される。従って、電磁クラッチ40aの通電の断続により圧縮機40の作動を断続制御できる。
【0037】
一方、室内空調ユニット30において、蒸発器38の下流側にはケース31内を流れる空気を加熱するヒータコア44を配置している。このヒータコア44は車両エンジンの温水(すなわち、エンジン冷却水)を熱源として、蒸発器38通過後の空気(冷風)を加熱する加熱用熱交換器である。ヒータコア44の側方にはバイパス通路45が形成され、このバイパス通路45をヒータコア44のバイパス空気が流れる。
【0038】
蒸発器38とヒータコア44との間に温度調整手段をなすエアミックスドア46を回転自在に配置してある。このエアミックスドア46はサーボモータ47により駆動されて、その回転位置(開度)が連続的に調整可能になっている。
【0039】
このエアミックスドア46の開度によりヒータコア44を通る空気量(温風量)と、バイパス通路45を通過してヒータコア44をバイパスする空気量(冷風量)との割合を調節し、これにより、車室内に吹き出す空気の温度を調整するようになっている。
【0040】
ケース31の空気通路の最下流部には、車両の前面窓ガラス12に向けて空調風を吹き出すためのデフロスタ吹出口48、乗員の顔部に向けて空調風を吹き出すためのフェイス吹出口49、および乗員の足元部に向けて空調風を吹き出すためのフット吹出口50の計3種類の吹出口が設けられている。
【0041】
これら吹出口48〜50の上流部にはデフロスタドア51、フェイスドア52およびフットドア53が回転自在に配置されている。これらのドア51〜53は、図示しないリンク機構を介して共通のサーボモータ54によって開閉操作される。
【0042】
空調用電子制御装置26は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成される。この空調用電子制御装置26は、そのROM内に空調制御のためのコンピュータプログラムを記憶しており、そのコンピュータプログラムに基づいて各種演算、処理を行う。
【0043】
空調用電子制御装置26には、後述する検出装置10の検出値が入力される他に、周知の空調用センサ群61〜65からの検出信号、および空調操作パネル70からの各種操作信号が入力される。
【0044】
空調用センサ群としては、具体的には、外気温(車室外温度)Tamを検出する外気センサ61、内気温(車室内温度)Trを検出する内気センサ62、車室内に入射する日射量Tsを検出する日射センサ63、蒸発器38の空気吹出部に配置されて蒸発器吹出空気温度Teを検出する蒸発器温度センサ64、ヒータコア44に流入する温水(エンジン冷却水)温度Twを検出する水温センサ65等が設けられる。
【0045】
また、空調操作パネル70には各種空調操作部材として、車室内温度を設定する温度設定手段をなす温度設定スイッチ71、吹出モードドア51〜53により切り替わる吹出モードをマニュアル設定する吹出モードスイッチ72、内外気切替ドア35による内外気吸込モードをマニュアル設定する内外気切替スイッチ73、圧縮機40の作動指令信号(電磁クラッチ40aのON信号)を出すエアコンスイッチ74、送風機37の風量をマニュアル設定する送風機作動スイッチ75、空調自動制御状態の指令信号を出すオートスイッチ76等が設けられる。
【0046】
空調用電子制御装置26の出力側には、圧縮機40の電磁クラッチ40a、各機器の電気駆動手段をなすサーボモータ36、47、54、送風機37のモータ37b、凝縮器冷却ファン41aのモータ41b等が接続され、これらの機器の作動が空調用電子制御装置26の出力信号により制御される。
【0047】
次に、検出装置10の構成について図2〜図4を用いて説明する。図2は検出装置10を車両の窓ガラス(具体的には、フロント側窓ガラス)の内面に装着した状態を示す概略断面図で、図3は検出装置10の概略斜視図であり、図4は検出装置10の電気的構成図である。
【0048】
検出装置10は、樹脂等により成形されたケース11を有している。このケース11は高さの低い薄型の直方体状であって、底面部は全面的に開口した形状になっている。
【0049】
ケース11の前面および背面の壁面には凸形状の開口部11aを形成している。この前面および背面の開口部11aによりケース11の内部空間が周辺の空間、すなわち、車室内空間に常時連通するようになっている。ケース11の前面および背面の壁面のうち、開口部11aの左右両側部分は窓ガラス12の内面12aへの取付ステー部11bを構成する。
【0050】
窓ガラス12は本例では車両の前面(フロント)ガラスであり、図1の上面側が車室内に面する内面12aであり、図1の下面側が車室外に面する外面12bである。従って、図2は窓ガラス12の内面12aを図示している。取付ステー部11bの下端面には遮光フィルム13が貼り付けられ、さらに、遮光フィルム13が窓ガラス12の内面12aに貼り付けられる。なお、遮光フィルム13は取付ステー部11bの下端面および窓ガラス12の内面に対して接着等の手段で貼り付ければよい。
【0051】
ケース11の内部空間において開口部11aの上端部と上側壁面11cとの間に回路基板14が窓ガラス12の面と平行に配置され、図示しない取付手段にて回路基板14はケース11の内壁面に固定される。回路基板14は絶縁基板上に導体回路部を構成する一般にプリント基板と称される部材であり、以下に述べるセンサ類および回路部が実装される。
【0052】
回路基板14のうち、窓ガラス12側の表面(図1の下側面)には、湿度センサ17、空気温度検出用温度センサ18、増幅器19、演算回路20、および通信回路21が実装されている。
【0053】
なお、湿度センサ17と温度センサ18は回路基板14の長手方向(図2の左右方向)の中央部に配置され、開口部11aの上端部付近、すなわち、車室内空間への連通部位に配置されている。このため、湿度センサ17と温度センサ18は車室内の窓ガラス内面付近の空気の代表的な湿度と温度を検出できる。
【0054】
遮光フィルム13のうちセンサ側の表面の1箇所にガラス温度検出用の温度センサ23が一体化して配置される。遮光フィルム13は上述のように熱伝導率の高い薄膜状部材であるから、窓ガラス12の車室内側表面温度(内面温度)とほぼ同一の温度になっている。
【0055】
なお、本例では、湿度センサ17として、感湿膜の誘電率が空気の相対湿度に応じて変化し、それにより、静電容量が空気の相対湿度に応じて変化する容量変化型のものを用いている。また、温度センサ18、23としては温度に応じて抵抗値が変化するサーミスタを用いている。
【0056】
リード線25はケース11の内部空間からケース11の外部へ取り出される電源線および通信線であり、回路基板14の電気回路部(増幅器19、演算回路20、および通信回路21)と、外部回路(後述の図4の空調用電子制御装置26、車両電源等)との間を電気的に接続するものである。
【0057】
なお、前述したケース11の取付ステー部11bは、回路基板14および回路基板14上に実装される各種センサ類と窓ガラス12の内面12aとの間隔を規定する位置決め手段としての役割を果たす。
【0058】
次に、図4により検出装置10の電気的構成を説明すると、各センサ17、18、23の出力信号をそれぞれ増幅器19a〜19dで増幅して演算回路20a〜20cに加える。
【0059】
そして、演算回路20aが、湿度センサ17(具体的には増幅器19aの出力値)の出力値Vに基づいて、窓ガラス付近の車室内空気の相対湿度RHを演算する。すなわち、湿度センサ17の出力値Vを相対湿度RHに変換するための所定の演算式が予め設定されており、この演算式に出力値Vを適用することにより、相対湿度RHを演算する。下記(1)式は、この湿度演算式の具体例である。
【0060】
RH=αV+β ……(1)
但し、αは制御係数で、βは定数である。
【0061】
次に、演算回路20bが空気温度センサ18の出力値(具体的には増幅器19bの出力値)を予め設定された所定の演算式に適用することにより、窓ガラス付近の車室内空気温度を演算する。
【0062】
さらに、演算回路20cが、ガラス温度センサ23の出力値(具体的には増幅器19cの出力値)を予め設定された所定の演算式に適用することにより、窓ガラス温度(ガラス室内側表面温度)を演算する。
【0063】
さらに、演算回路20dが、相対湿度RH、空気温度および窓ガラス温度に基づいて、窓ガラス表面相対湿度(窓ガラス室内側表面の相対湿度)RHWを演算する。すなわち、湿り空気線図を用いることにより、相対湿度RHと空気温度と窓ガラス温度とから窓ガラス表面相対湿度RHWを演算できる。そして、その窓ガラス表面相対湿度RHWが通信回路21を通して空調用電子制御装置26に出力するようになっている。
【0064】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。最初に、室内空調ユニット30の作動の概要を説明すると、送風機37を作動させることにより、内気導入口33または外気導入口34より導入された空気がケース31内を車室内に向かって送風される。また、電磁クラッチ40aに通電して電磁クラッチ40aを接続状態とし、圧縮機40を車両エンジンにて駆動することにより、冷凍サイクル装置39内を冷媒が循環する。
【0065】
送風機37の送風空気は、先ず蒸発器38を通過して冷却、除湿され、この冷風は次にエアミックスドア46の回転位置(開度)に応じてヒータコア44を通過する流れ(温風)とバイパス通路45を通過する流れ(冷風)とに分けられる。
【0066】
従って、エアミックスドア46の開度によりヒータコア44を通る空気量(温風量)と、バイパス通路45を通過する空気量(冷風量)との割合を調整することにより、車室内に吹き出す空気の温度を調整できる。
【0067】
そして、この温度調整された空調風が、ケース31の空気通路の最下流部に位置するデフロスタ吹出口48、フェイス吹出口49およびフット吹出口50のうち、いずれか1つまたは複数の吹出口から車室内へ吹き出して、車室内の空調および車両の前面窓ガラス12の曇り止めを行う。
【0068】
次に、窓ガラス表面相対湿度RHWに基づく空調制御を説明する。図5は空調用電子制御装置26により実行される制御ルーチンであり、まず、上述の検出回路10で演算された窓ガラス表面相対湿度RHWを読み込む(S200)。
【0069】
次に、内外気吸込モードが空調操作パネル70の内外気切替スイッチ73により内気モードにマニュアル設定されていないか否かを判定し(S210)、その判定がNOのときは、内外気制御指令値Sを算出する(S230)。
【0070】
ここで、内外気制御指令値Sは、図6に示すように、車室内に内気を導入する比率を決める為の数値であり、図6の例では、S=0のとき内気比率=0%(すなわち、外気:100%の外気モード)とし、S=7のとき内気比率=100%(すなわち、内気モード)とし、S=1からS=7に向かって内気比率が順次増大する。
【0071】
図7は上記の内外気制御指令値Sの算出処理(S230)の具体例を示すフローチャートであり、図7を参照して内外気制御指令値Sの算出処理(S230)について具体的に説明する。
【0072】
まず、車速SPDが低速域Aにあるか高速域Bにあるかを図8のマップに基づいて判定する(S300)。そして、車速SPDが高速域Bにあるときは、図9のマップに示すように窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて内外気制御指令値Sを決定する(S310)。
【0073】
すなわち、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の目標窓ガラス表面相対湿度TRHWよりも上昇すると、窓ガラスに曇りが生じ易いとして、S=0(外気モード)とし、また窓ガラス表面相対湿度RHWが第2の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW−a)よりも低下すると、窓ガラスに曇りが生じ難いとして、S=7(内気モード)にする。
【0074】
ここで、第1の目標窓ガラス表面相対湿度TRHWとしては、窓ガラスに曇りが生じない上限湿度付近のレベルとして、例えば、80%が用いられ、第2の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW−a)としては、例えば、65%が用いられる(a=15%)。
【0075】
一方、車速SPDが低速域Aにあるときは、窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて、図10のマップに示す制御モード1、2、3、4を決定する(S320)。
【0076】
すなわち、窓ガラス表面相対湿度RHWが第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)よりも上昇すると、制御モード4を決定し、また窓ガラス表面相対湿度RHWが第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)と第1の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW)との間にあるときは制御モード3を決定する。
【0077】
さらに、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW)と第4の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW−b)との間にあるときは制御モード2を決定し、窓ガラス表面相対湿度RHWが第4の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW−b)よりも低下すると制御モード1を決定する。
【0078】
なお、制御モード1が特許請求範囲に記載の第1の制御モードに相当し、制御モード2が特許請求範囲に記載の第2の制御モードに相当し、制御モード3が特許請求範囲に記載の第3の制御モードに相当し、制御モード4が特許請求範囲に記載の第4の制御モードに相当する。
【0079】
ここで、第4の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW−b)→第1の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW)→第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)の順に湿度が高くなり、これらの順で徐々に窓ガラスに曇りが生じ易くなる傾向になっている。
【0080】
なお、第4の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW−b)としては、例えば、70%が用いられ(b=10%)、第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)としては、例えば、95%が用いられる(c2=15%)。
【0081】
また、制御モード1を決定したときは所定時間経過ごとにS=S+1の制御処理を行う(S330)。すなわち、所定時間経過ごとに内外気制御指令値Sの値を「1」ずつ増加して、内気比率を所定割合ずつ順次増加する制御処理を行う。このため、制御モード1を決定したときに、時間が経過してS=7に到達すると、図6に示すように内気比率100%の内気モードとなる。
【0082】
また、制御モード2を決定したときは窓ガラス表面相対湿度RHWが目標窓ガラス表面相対湿度TRHW付近にあるため、S=Sの制御処理、すなわち、内外気制御指令値Sの値として、前回算出のSの値を持続する制御処理を行う(S340)。
【0083】
また、制御モード3を決定したときは所定時間経過ごとにS=S−1の制御処理を行う(S350)。すなわち、所定時間経過ごとに内外気制御指令値Sの値を「1」ずつ減少して、内気比率を所定割合ずつ減少する制御処理を行う。このため、制御モード3を決定したときは最初は内外気制御指令値S≠0であっても、時間経過に伴って、S=S−1を繰り返すと内外気制御指令値S=0になる。さらに、制御モード4を決定したときはS=0の制御処理、具体的には外気モードを実施する制御を行う(S360)。
【0084】
再び、図5に戻って、ステップS240では、上記の内外気制御指令値Sの値が外気モードの値(内外気制御指令値S=0)であるか否かを判定する。ここで、(1)上述のS320で制御モード4を決定したとき、(2)上述のS320で制御モード3を決定後に時間の経過に伴いS=S−1を繰り返したときのうち、いずれか一方のときには、内外気制御指令値S=0になるので、YESと判定する。すなわち、上記の内外気制御指令値S=0であるか否かを判定することにより、窓ガラスが曇り易いか否かについて判定することになる。そして、内外気制御指令値S=0のとき、窓ガラスが曇り易いと判定して、S260に進んで、窓ガラスの防曇制御(以下、オートモード防曇制御という)を行う。
【0085】
また、ステップS240において、内外気制御指令値S≠0のときには、NOと判定してステップS250に進む。このステップS250では、内外気制御指令値Sの値に基づく内気比率となるように内外気切替ドア35の位置を制御して、内外気吸込モード制御を実施する。
【0086】
ここで、上述の如く、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW)よりも低いときに、制御モード1、2が決定されて、内外気制御指令値S≠0になる。第1の目標窓ガラス表面相対湿度TRHWは、窓ガラスの曇りが生じない上限湿度付近に設定されているため、内外気吸込モードの制御においては、窓ガラスの曇りが生じない範囲で常に内気比率が高くなるように内外気吸込モードを制御できる。これにより、冬期の暖房始動時に内気比率を上昇することにより換気熱損失を低減して、車室内暖房効果の立ち上げを促進できる。
【0087】
なお、ステップS250による内外気吸込モード制御は、請求項1に記載の「比率(S)に基づいて空調手段(30)を制御して、少なくとも内気を車室内に導入するように内気および外気の吸込モードを制御する内外気吸込制御手段」に相当する。
【0088】
以上のように、ステップS240では、内外気制御指令値Sに応じて、ステップS250の内外気吸込モード制御およびステップS260のオートモード防曇制御(これは、請求項1に記載の防曇制御手段に相当する)のいずれを稼働するかを決めるようになっている。
【0089】
一方、図5のステップS210の判定がYESであるときは、窓ガラスの曇り止めの必要性が高いときであり、この場合はステップS270に進み窓ガラスの防曇制御(以下、マニュアルモード防曇制御という)を行う。
【0090】
以上のように、マニュアルモード防曇制御、内外気吸込モード制御、およびオートモード防曇制御のうちいずれかを実施し、その後、S200、S210、S230、S240、S250、S270の各処理を繰り返す。
【0091】
次に、オートモード防曇制御およびマニュアルモード防曇制御について、個別に説明する。最初に、オートモード防曇制御について説明する。図11は、このオートモード防曇制御(S260)の具体例を示すフローチャート、図12は、オートモード防曇制御において制御モードを選択するための制御マップである。
【0092】
まず、図11のステップS410〜S450において、窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて制御モード10〜制御モード60のいずれかを選択する。
【0093】
具体的には、窓ガラス表面相対湿度RHWが第4の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW−b)よりも低いときには、S410においてYESと判定してS460において制御モード10を選択して実行する。なお、図12中のbは上述の図10中のbと同一値である。また、制御モード10の制御処理については、後述する。
【0094】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の目標窓ガラス表面相対湿度TRHWより低く、第4の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW−b)よりも高いときには、S420においてYESと判定してS470において制御モード20を選択して実行する。また、制御モード20の制御処理については、後述する。
【0095】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第5の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c1)より低く、第1の目標窓ガラス表面相対湿度TRHWよりも高いときには、S430においてYESと判定してS480において制御モード30を選択して実行する。なお、図12中のc1はc2よりも低い値(例えば、10%)が用いられる。図12中のc2は、図10中のc2と同一値である。また、制御モード30の制御処理については、後述する。
【0096】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)より低く、第5の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c1)よりも高いときには、S440においてYESと判定してS490において制御モード40を選択して実行する。また、制御モード40の制御処理については、後述する。
【0097】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第6の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c3)より低く、第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)よりも高いときには、S450においてYESと判定してS500において制御モード50を選択して実行する。なお、図12中のc3はc2よりも高い値が用いられる。また、制御モード50の制御処理については、後述する。
【0098】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第6の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c3)よりも高いときには、S450においてNOと判定してS510において制御モード60を選択して実行する。また、制御モード60の制御処理については、後述する。
【0099】
以上のように、窓ガラス表面相対湿度RHWが低くなるほど、制御モード60→制御モード50→制御モード40→制御モード30→制御モード20→制御モード10の順に段階的に切り替わる。
【0100】
ここで、制御モード60〜10において、制御モード10→20→…50→60の順で、防曇効果が段階的に高くなるようになっている。すなわち、制御モード50、60は、図12に示すように窓ガラス表面相対湿度RHWが第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)よりも高く、窓ガラスに曇りが最も生じやすい状態である場合において内外気制御指令値S=0に基づく外気100%の外気モードでもって行われる防曇制御である。
【0101】
制御モード30、40は、制御モード50、60の実施後に窓ガラス表面相対湿度RHWが図12に示すように第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)よりも低く、かつ第1の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW)よりも高くなると、内外気制御指令値S=0に基づく外気100%の外気モードでもって行われる防曇制御である。
【0102】
制御モード20は、制御モード30〜60が繰り返し実施されて窓ガラス表面相対湿度RHWが図12に示すように第1の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW)よりも低下すると、内外気制御指令値S=0に基づく外気100%の外気モードでもって行われる防曇制御である。
【0103】
制御モード10は、制御モード20の実施後に窓ガラス表面相対湿度RHWが図12に示すように第4の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW−b)よりも低下すると行われるもので、内外気吸込モードとして下記の自動内外気切替モードを実施する制御モードである。以下に、制御モード10〜60の具体的な制御処置について説明する。
【0104】
(制御モード10)
窓ガラスの曇り易さは最も低い場合には、制御モード10では、内外気吸込モードとして自動内外気切替モード(図11中AUTOと記す)を実施する。自動内外気切替モードは、目標吹出温度TAOが上昇するに伴い、内気モード→内外気モード→外気モードの順に切り替える周知の制御である。目標吹出温度TAOは、車室内の空調負荷変動に関わらず、車室内の空気温度を温度設定スイッチ71の設定温度に維持するために必要である吹出口48〜50からの吹出空気温度である。なお、外気温が低いときに限り、自動内外気切替モードではなく、外気モードにしてもよい。
【0105】
また、送風機37の送風量(以下、ブロアレベルともいう)を、目標吹出温度TAOに基づく自動風量制御(図11中AUTOと記す)で設定する。自動風量制御では、目標吹出温度TAOが中間温度域のときにはブロアレベルが最低量になり、目標吹出温度TAOが中間温度域から上がるほどブロアレベルを上げ、目標吹出温度TAOが中間温度域から下がるほどブロアレベルが上げる周知の風量制御である。なお、以下、当該風量制御において目標吹出温度TAOに基づいて定める風量をオートブロアレベルという。
【0106】
さらに、吹出モードを目標吹出温度TAOに基づく自動吹出制御(図11中AUTOと記す)で設定する。自動吹出制御では、目標吹出温度TAOが上がるほどフェイスモード→バイレベルモード→フットモードの順に切り替える。なお、フェイスモードは、フェイス吹出口49を開け、かつフット吹出口50を閉じるモード、フットモードは、フェイス吹出口49を閉じて、かつフット吹出口50を開けるモード、バイレベルモードは、フェイス吹出口49およびフット吹出口50をそれぞれ開けるモードである。
【0107】
(制御モード20)
この制御モード20においては、より低湿度の空気を窓ガラスに吹き付けるために、内外気吸込モードとして外気モードに切り替え、ブロアレベルを、上述のオートブロアレベル(図11中AUTOと記す)で設定し、吹出モードを、制御モード10と同様に自動吹出制御(図11中AUTOと記す)で設定する。
【0108】
(制御モード30)
この制御モード30においては、より低湿度で、かつ、高風量の空気を窓ガラスに吹き付けるために、内外気吸込モードとして外気モードに切り替え、さらに、乗員にとって違和感の無い範囲内でブロアレベルを上げる為に、ブロアレベルとして、上述のオートブロアレベルに3レベル加算した風量を設定する。なお、1レベルとは、予め決められた風量のことである。また、吹出モードを、制御モード10と同様に自動吹出制御(図11中AUTOと記す)で設定する。
【0109】
(制御モード40)
この制御モード40においては、強制的に窓ガラスの曇りを消すために、内外気吸込モードとして外気モードに切り替え、ブロアレベルとして、上述のオートブロアレベルに3レベル加算した風量を設定する。また、吹出モードとしては、次のように、制御モード40に移行する前回の制御モードの吹出モードによって変える。
【0110】
例えば、前回の制御モードの吹出モードがフェイスモード「図11中FACEと記す」のときには、今回にはフットデフモード「図11中F/Dと記す」に設定する。フットデフモードとは、デフロスタ吹出口48およびフット吹出口50をそれぞれ開放するモードである。前回の制御モードの吹出モードがバイレベルモード「図11中B/Lと記す」のときには、今回にはフットデフモード「図11中F/Dと記す」に設定する。前回の制御モードの吹出モードがフットモード「図11中Footと記す」のときには、今回にはフットデフモード「図11中F/Dと記す」に設定する。前回の制御モードの吹出モードがフットデフモード「図11中F/Dと記す」のときには、今回にはデフモード「図11中DEFと記す」に設定する。デフモードとは、デフロスタ吹出口48を開放し、フェイス吹出口49およびフット吹出口50をそれぞれ閉鎖するモードである。
【0111】
(制御モード50)
この制御モード50においては、強制的に窓ガラスの曇りを消すために、内外気吸込モードとして外気モードに切り替え、かつ、送風量を増やすために、ブロアレベルとして、上述のオートブロアレベルに6レベル加算した風量を設定する。また、吹出モードとしては、制御モード40と同様に、前回の制御モードの吹出モードによって変え、フットデフモード、あるいはデフモードに設定する。なお、吹出モードの遷移処理については、制御モード40と同様であるため省略する。
【0112】
(制御モード60)
この制御モード60においては、強制的に窓ガラスの曇りを消すために、内外気吸込モードとして外気モードに切り替え、かつ、送風量を増やすために、ブロアレベルとして、上述のオートブロアレベルに6レベル加算した風量を設定する。さらに、吹出モードとしては、デフロスタ吹出口48を開放してデフモードに設定する。
【0113】
次に、マニュアルモード防曇制御について、図13、図14を参照して説明する。図13は、マニュアルモード防曇制御(S270)の具体例を示すフローチャートであり、図14は、マニュアルモード防曇制御で制御モードを決定するための制御マップである。
【0114】
まず、図13のステップS420a、S430a、S440a、S450a、S520aにおいて、窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて制御モード100〜制御モード600のいずれかを選択する。
【0115】
具体的には、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の目標窓ガラス表面相対湿度TRHWよりも低いときには、S420aにおいてYESと判定してS470aで制御モード100を選択して実行する。なお、制御モード100の制御処理については、後述する。
【0116】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の目標窓ガラス表面相対湿度TRHWより高く、第5の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c1)より低いときには、S430aにおいてYESと判定してS480aにおいて制御モード200を選択して実行する。なお、図14中c1は、図12中c1と同一値である。また、制御モード200の制御処理については、後述する。
【0117】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)より低く、第5の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c1)よりも高いときには、S440aにおいてYESと判定してS490aにおいて制御モード300を選択して実行する。なお、図14中c2は、図12中c2と同一値である。また、制御モード300の制御処理については、後述する。
【0118】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第6の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c3)より低く、第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)よりも高いときには、S450aにおいてYESと判定してS500aにおいて制御モード400を選択して実行する。なお、図14中c3は、図12中c3と同一値である。また、制御モード400の制御処理については、後述する。
【0119】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第6の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c3)よりも高く、第7の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c4)よりも低いときには、S520aにおいてYESと判定してS510aにおいて制御モード500を選択して実行する。なお、図14中のc4はc3よりも高い値である。また、制御モード500の制御処理については、後述する。
【0120】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第7の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c4)よりも高いときには、S520aにおいてNOと判定してS530aにおいて制御モード600を選択して実行する。また、制御モード600の制御処理については、後述する。
【0121】
以上のように、窓ガラス表面相対湿度RHWが低くなるほど、制御モード600→制御モード500→制御モード400→制御モード300→制御モード200→制御モード100の順に段階的に切り替わる。制御モード600〜100において、制御モード100→200→…500→600の順で、防曇効果が段階的に高くなるようになっている。
【0122】
次に、制御モード100〜600の具体的な制御処置について説明する。
【0123】
(制御モード100)
制御モード100では、内外気吸込モードとして内気モードを実施する。ブロアレベルを上述のオートブロアレベルに設定し、吹出モードを上述のS460と同様に自動吹出制御(図13中AUTOと記す)で設定する。
【0124】
(制御モード200)
この制御モード200では、内外気吸込モードとして内気モードを実施する。ブロアレベルとして上述のオートブロアレベルに3レベル加算した風量を設定する。吹出モードを上述のS460と同様に自動吹出制御(図13中AUTOと記す)で設定する。
【0125】
(制御モード300)
この制御モード300においては、内外気吸込モードとして内気モードを実施する。ブロアレベルとして、上述のオートブロアレベルに3レベル加算した風量を設定する。吹出モードを、上述の制御モード40と同様に、前回の制御モードの吹出モードによって変え、フットデフモード、あるいはデフモードに設定する。
【0126】
(制御モード400)
この制御モード400においては、内外気吸込モードとして内気モードを実施する。ブロアレベルとして、上述のオートブロアレベルに6レベル加算した風量を設定する。吹出モードを、上述の制御モード40と同様に、前回の制御モードの吹出モードによって変え、フットデフモード、あるいはデフモードに設定する。
【0127】
(制御モード500)
この制御モード500においては、内外気吸込モードとして内気モードを実施して、ブロアレベルとして、上述のオートブロアレベルに6レベル加算した風量を設定する。また、吹出モードとしては、デフモードに設定する。
【0128】
(制御モード600)
この制御モード600においては、強制的に外気モードに切り替える。
【0129】
以上説明したように本実施形態によれば、内気および外気のうち少なくとも一方を導入し、この導入される空気の状態を調整して車室内に吹き出す室内空調ユニット30と、車室内の窓ガラス付近の曇り易さ度合い(すなわち、窓ガラス表面相対湿度RHW)を演算する演算回路20dとを備えている。空調用電子制御装置26では、ステップS230にて曇り易さ度合いに応じて内外気制御指令値Sを算出し、この内外気制御指令値Sに基づいて、ステップS240にて窓ガラスが曇り易いか否かについて判定する。そして、内気指令値S=0のとき窓ガラスが曇り易いと判定し、ステップS260で、室内空調ユニット30を制御して窓ガラスに曇りが生じることを防止する防曇制御を行う。
【0130】
これに対し、ステップS240にて内気指令値S≠0のとき窓ガラスが曇り難いと判定すると、防曇制御を行わないで、ステップS250にて室内空調ユニット30を制御して少なくとも内気を車室内に導入することを特徴とする。
【0131】
ここで、本実施形態によれば、図7のステップS330にて制御モード1を稼働して車室内に導入する内気の比率を段階的に増加させれば、車室内に導入する外気の比率を段階的に増加する制御モード3および外気のみを導入する制御モード4(すなわち、外気モード)に比べて、室内空調ユニット30への導入空気の温度を高くすることができるので、暖房性能を向上することができる。そして、図10に示すように窓ガラス表面相対湿度RHWが第4の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW−b)よりも低下すると、内気の比率を段階的に増加する制御モード1を稼働し、窓ガラス表面相対湿度RHWが第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)と第1の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW)との間にあるときは外気の比率を段階的に増加する制御モード3を稼働させるので、窓ガラスの曇りの発生を抑えつつ、暖房能力の低下を抑えることができる。
【0132】
また、本実施形態によれば、窓ガラス表面相対湿度(すなわち、窓ガラスの曇り易さ度合い)に応じて制御モード1〜3のうちいずれかを選択して実施するので、窓ガラスの曇り易さ度合いに応じて、車室内に導入される内気の比率がきめ細かく制御され得る。
【0133】
(第2実施形態)
ところで、暖房開始初期においてエンジン水温が低温である場合には、ヒータコア44で空調風が十分に暖められなく、吹出口48〜50から冷風が吹き出され、その冷風が乗員に当たると違和感を乗員に与える可能性がある。
【0134】
そこで、従来技術においては、暖房開始後、エンジン水温が低温である場合には、空調用電動送風機37を停止し、エンジン水温がある一定の温度以上に到達してから空調用電動送風機37を始動させるようにして、冷風が乗員に当たらないようにしている(図15参照)。
【0135】
しかし、空調用電動送風機37の停止時に乗員の呼吸により車室内の湿度が上昇し、窓ガラスに曇りが発生してしまう(図15参照)。一方、防曇制御を稼働させるために空調用電動送風機37を始動して暖房を開始させると、その暖房開始初期には冷風が吹出されるため乗員にとってはかえって不快となる(図16参照)。
【0136】
ところで、上述の第1実施形態では、窓ガラス表面相対湿度RHWが第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)以上であるとき、窓ガラスが非常に曇り易い状態であるとして、制御モード4(すなわちS=0)を選択して防曇制御を実行する一方、窓ガラス表面相対湿度RHWが第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)未満であるとき(但し、S≠0であるときに限る)、制御モード1〜3を選択して内外気吸入モード制御を実行する。
【0137】
すなわち、窓ガラスが非常に曇り易い状態であるか否かの判定に用いる下限値としては、第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)を用いていることになる。
【0138】
これに対して、本第2実施形態では、暖房開始初期には、前記下限値を、暖房開始初期以降に比べて、高く設定する。すなわち、暖房開始初期には当該下限値を高めに設定してエンジン冷却水の温度(すなわち、水温)が上昇すると、当該下限値を元に戻す。なお、当該下限値は、請求項2、3に記載の発明の「閾値」に相当する。
【0139】
具体的には、図17に示すように、エンジン冷却水の温度が33℃(請求項3に記載の所定温度に相当する)未満のときには、下限値を第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)からA(例えば、5%)だけ高く設定して、第3の目標窓ガラス表面相対湿度を(TRHW+c2+A)とする。この第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2+A)が請求項3に記載の「低温側の閾値」に相当する。
【0140】
その後、エンジン冷却水の温度が上昇して38℃よりも高くなると、下限値を元に戻して第3の目標窓ガラス表面相対湿度を(TRHW+c2)とする。この第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)が請求項3に記載の「高温側の閾値」に相当する。このとき、エンジン冷却水の温度が38℃よりも高い温度に上昇することで、ヒータコア44では空調風が十分に温度調節されるので、その温度調節された空調風で防曇制御が行われることになる。
【0141】
したがって、暖房開始初期において、エンジン冷却水の温度が低い状態では、制御モード4(すなわち、ブロワレベルの加算を含むS260の防曇制御)を選択され難くすることができる。さらに、S260の防曇制御が選択された場合でも、上記第3の目標窓ガラス表面相対湿度を(TRHW+c2)から(TRHW+c2+A)に高く設定することにより、図12から理解されるように制御モード50(すなわち、オートブロアレベルに6レベル加算した風量を設定する防曇制御)を選択され難くすることができる。このため、エンジン冷却水の温度が38℃未満のときには、S260の防曇制御自体および制御モード50による防曇制御が稼働され難くなり、ブロアレベルを少なくすることができる(図18参照)。その後、エンジン冷却水の温度が上昇してヒータコア44で十分に空調風を温度調節することが可能になると、上記第3の目標窓ガラス表面相対湿度が低い値となって上記防曇制御が開始されやすくなる。このため、暖房開始初期には乗員の快適感を損ねないようにし、かつ、最低限の窓ガラスの曇りを解消することができる。
【0142】
(第3実施形態)
上述の第1実施形態では、窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて制御モード10〜60のうちいずれかのモードを防曇制御として選択して、その選択に伴い吹出モードを決定しているものの、エンジン冷却水が低い暖房開始初期においては、冷風が吹出口から吹き出される。このとき、フェイス吹出口49、フット吹出口50から冷風が乗員に直接吹き出されると、乗員は違和感を感じることがある。
【0143】
そこで、本第3実施形態では、図19に示すように、エンジン冷却水の温度が33℃未満のときには、デフロスタモードを選択して、その後、エンジン冷却水の温度が上昇して38℃よりも高くなると、窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて図12に示す如く制御モード10〜60のうちいずれかの制御モードを選択しその選択に伴い吹出モードを選択する。すなわち、吹出口48〜50のうち車室内に空調風を吹き出す吹出口を窓ガラス表面相対湿度RHW(窓ガラスの曇り易さ)に応じて切り替えることになる。
【0144】
以上により、エンジン冷却水が低温である暖房開始初期においては、デフロスタモードが選択されるので、デフロスタ吹出口48から冷風が吹き出されても、その冷風が乗員に直接吹き出されることを抑制できる。
【0145】
(第4実施形態)
本第4実施形態では、上述の第1実施形態の制御モード10〜60(図11の防曇制御)に加えて、制御モード70、80、90を追加する(図20参照)。
【0146】
本第4実施形態では、制御モード10〜60の選択に関しては上述の第1実施形態と同様であり、窓ガラス表面相対湿度RHWが図12で説明した第6の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c3)よりも高く、第7の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c4)よりも低いときには、制御モード70を選択する。ここで、c4は、図12で説明したc3よりも大きな数値である。
【0147】
さらに、窓ガラス表面相対湿度RHWが第7の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c4)よりも高く、第8の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c5)よりも低いときには、制御モード80を選択する。ここで、c5は、上記c4よりも大きな数値である。また、窓ガラス表面相対湿度RHWが第8の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c5)よりも高いとき制御モード90を選択する。
【0148】
このため、窓ガラス表面相対湿度RHWが上昇するにつれて、制御モード10→制御モード20→制御モード30→制御モード40→制御モード50→制御モード60→制御モード70→制御モード80→制御モード90の順に切り替わる。
【0149】
ここで、制御モード70では、上述のオートブロアレベルに9レベルを加算した風量に設定し、制御モード80では、上述のオートブロアレベルに12レベルを加算した風量に設定し、制御モード90では、上述のオートブロアレベルに15レベルを加算した風量に設定する。
【0150】
このため、窓ガラス表面相対湿度RHWが第6の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c3)よりも高くなったときでも、窓ガラス表面相対湿度RHWの上昇に伴い、ブロアレベルを上げることができので、窓ガラス内面への吹出風量を増大してより効果的に防曇を行うことができる。なお、制御モード70〜90においては、図11中のS510の制御モード60と同様に、内外気吸込モードを外気モードに設定し、吹出モードとしてデフモードを設定する。
【0151】
(第5実施形態)
上述の第1実施形態では、オートモード防曇制御において窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の目標窓ガラス表面相対湿度TRHW未満であっても、窓ガラス表面相対湿度RHWに応じて制御モード10、20のいずれかを選択するようにした例について説明したが、これに代えて、本第5実施形態では、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の目標窓ガラス表面相対湿度TRHW未満であるときには、同一制御モードにする。
【0152】
以下、本実施形態のオートモード防曇制御について説明する。図21は、オートモード防曇制御の具体例を示すフローチャート、図22は、オートモード防曇制御において制御モードを選択するための制御マップである。
【0153】
まず、図21のステップS410b〜S440bにおいて、窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて制御モード10〜50のいずれかを選択する。
【0154】
具体的には、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の目標窓ガラス表面相対湿度TRHWよりも低いときには、S410bにおいてYESと判定してS460bにおいて制御モード10を選択して実行する。なお、制御モード10の制御処理については、後述する。
【0155】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第5の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c1)より低く、第1の目標窓ガラス表面相対湿度TRHWよりも高いときには、S420bにおいてYESと判定してS470bにおいて制御モード20を選択して実行する。なお、図22中のc1は、図12中のc1と同一値である。また、制御モード20の制御処理については、後述する。
【0156】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)より低く、第5の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c1)よりも高いときには、S430bにおいてYESと判定してS480bにおいて制御モード30を選択して実行する。なお、図22中のc2は、図12中のc2と同一値である。また、また、制御モード30の制御処理については、後述する。
【0157】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第6の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c3)より低く、第3の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c2)よりも高いときには、S440bにおいてYESと判定してS490bにおいて制御モード40を選択して実行する。なお、図22中c3は図12中c3と同一値である。また、制御モード40の制御処理については、後述する。
【0158】
窓ガラス表面相対湿度RHWが第6の目標窓ガラス表面相対湿度(TRHW+c3)よりも高いときには、S440bにおいてNOと判定してS500bにおいて制御モード50を選択して実行する。また、制御モード50の制御処理については、後述する。
【0159】
以上のように、窓ガラス表面相対湿度RHWが低くなるほど、制御モード50→制御モード40→制御モード30→制御モード20→制御モード10の順に段階的に切り替わる。
【0160】
次に、制御モード10〜50の具体的な制御処置について説明する。
【0161】
(制御モード10)
図21のS460bの制御モード10では、図11のS460の制御モード10と同じ制御を行う。すなわち、内外気吸込モードとして自動内外気切替モード(図21中AUTOと記す)を実施する。また、ブロワレベルを上述のオートブロワレベル(図21中AUTOと記す)に設定し、さらに、吹出モードを目標吹出温度TAOに基づく自動吹出制御(図21中AUTOと記す)で設定する。
【0162】
(制御モード20)
この制御モード20は、より低湿の空気を窓ガラス面に吹き付け、乗員に違和感を与えない範囲内でブロアレベルを上げるために、上述の図11中のS480(制御モード30)と同様、内外気吸込モードとして外気モードに切り替え、ブロアレベルとして、上述のオートブロアレベルに3レベル加算した風量を設定し、さらに吹出モードを、制御モード10と同様に自動吹出制御(図21中AUTOと記す)で設定する。
【0163】
(制御モード30)
この制御モード30は、強制的にガラス窓の曇りを消すために、上述の図11中のS490(制御モード40)と同様、内外気吸込モードとして外気モードに切り替え、ブロアレベルとして、上述のオートブロアレベルに3レベル加算した風量を設定する。また、吹出モードとしては、前回の制御モードの吹出モードによって、デフモード、或いはフットデフモードに設定する。
【0164】
(制御モード40)
この制御モード40においては、強制的に窓ガラスの曇りを消すために、上述の図11中のS500(制御モード50)と同様、内外気吸込モードとして外気モードに切り替え、ブロアレベルとして、上述のオートブロアレベルに6レベル加算した風量を設定する。また、吹出モードとしては、前回の制御モードの吹出モードによって変え、フットデフモード、あるいはデフモードに設定する。
【0165】
(制御モード50)
この制御モード50においては、強制的に窓ガラスの曇りを消すために、上述の図11中のS510(制御モード60)と同様、内外気吸込モードとして外気モードに設定し、ブロアレベルとして、上述のオートブロアレベルに6レベル加算した風量を設定し、吹出モードとしてデフモードに設定する。
【0166】
(その他の実施形態)
上述の第1実施形態では、「曇り易さ度合い」として窓ガラス表面相対湿度を用いた例について説明したが、これに限らず、例えば、窓ガラスの露点温度と窓ガラスの表面温度との温度差を「曇り易さ度合い」として用いるようにしてもよい。
【0167】
上述の第1実施形態では、車室内の相対湿度RH、空気温度および窓ガラス温度に基づいて、窓ガラス表面相対湿度RHWを演算した例について説明したが、これに限らず、窓ガラス表面の絶対湿度および温度を直接検出して窓ガラス表面相対湿度RHWを演算してもよい。
【0168】
また、ガラス温度としては、窓ガラスから直接その温度を検出する場合に限らず、車室内温度、外気温度、日射量、車速等から窓ガラスの温度を推定するようにしてもよい。
【0169】
以下、上記実施形態と特許請求項の範囲の構成との対応関係について説明すると、室内空調ユニット30が空調手段に相当し、S230の内外気制御指令値Sの算出処理が算出手段に相当し、S240の判定処理が判定手段に相当し、ステップS260の制御処理が防曇制御手段に相当し、ステップS250の制御処理が内外気吸込制御手段に相当し、湿度センサ17が湿度検出手段に相当し、内外気制御指令値Sが比率(S)に相当し、検出装置10の演算回路20dが演算手段に相当し、デフロスタ吹出口48、フェイス吹出口49並びにフット吹出口50が複数の吹出口に相当する。
【符号の説明】
【0170】
20d 演算回路
26 空調用電子制御装置
30 室内空調ユニット
32 内外気切替箱
37a 送風ファン、
38 蒸発器
39 冷凍サイクル装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内気および外気のうち少なくとも一方を導入し、この導入される空気の状態を調整して車室内に吹き出す空調手段(30)と、
車室内の湿度を検出する湿度検出手段(17)と、
前記湿度検出手段(17)により検出される湿度に応じた前記車室内の窓ガラスの曇り易さ度合いに基づいて、前記空調手段(30)が前記車室内に導入する前記内気と前記外気との比率(S)を算出する算出手段(S230)と、
前記車室内の窓ガラスが曇り易いか否かを判定する判定手段(S240)と、
前記車室内の窓ガラスが曇り難いと前記判定手段(S240)が判定すると、前記比率(S)に基づいて前記空調手段(30)を制御して、少なくとも前記内気を車室内に導入するように前記内気および前記外気の吸込モードを制御する内外気吸込制御手段(S250)と、
前記車室内の窓ガラスが曇り易いと前記判定手段(S240)が判定すると、前記空調手段(30)を制御して、前記外気のみを車室内に導入して前記窓ガラスに曇りが生じることを防止する防曇制御モードを有する防曇制御手段(S260)とを備え、
前記算出手段(S230)は、前記比率(S)を算出する制御モードとして、前記車室内に導入する内気の比率を段階的に増加する第1の制御モードと、前記車室内に導入する前記内気および前記外気の比率を持続する第2の制御モードと、前記車室内に導入する外気の比率を段階的に増加する第3の制御モードとを有し、前記窓ガラスの曇り易さ度合いに応じて、前記第1〜第3の制御モードのうちいずれかを選択するようになっていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記算出手段(S230)は、前記比率(S)を算出する制御モードとして、さらに前記車室内に前記外気だけを導入する第4の制御モードを有しており、
前記算出手段(S230)は、前記窓ガラスの曇り易さ度合いが閾値未満のときに、前記第1〜第3の制御モードのうちいずれかを選択し、これに対し、前記窓ガラスの曇り易さ度合いが閾値以上のときは、前記第4の制御モードを選択するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記空調手段は、車室内に吹き出す空気をエンジン冷却水により温度調節する加熱用熱交換器(44)を有しており、
前記閾値として、前記エンジン冷却水の水温が所定温度未満のときに用いられる低温側の閾値と、前記エンジン冷却水の水温が所定温度以上のときに用いられる高温側の閾値とを設定し、
前記低温側の閾値は、前記高温側の閾値に比べて高く設定されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記第1制御モードは前記窓ガラスの曇り易さ度合いが最も低い側で設定し、
前記第2制御モードは前記窓ガラスの曇り易さ度合いが前記第1制御モードよりも高い側で設定し、
前記第3制御モードは前記窓ガラスの曇り易さ度合いが前記第2制御モードよりもさらに高い側で設定し、
前記第4制御モードは前記窓ガラスの曇り易さ度合いが前記第3制御モードよりもさらに高い側で設定することを特徴とする請求項2または3に記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記空調手段(30)は、車室内に空気を吹き出す複数の吹出口(48〜50)を有しており、
前記防曇制御手段(S260)は、前記窓ガラスの曇り易さ度合いに応じて、前記複数の吹出口(48〜50)のうち前記車室内に吹き出す吹出口を切り替えて、前記窓ガラスの防曇を行うようになっていることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項6】
前記空調手段(30)は、車室内に吹き出す空気をエンジン冷却水により温度調節する加熱用熱交換器(44)、および車室内に空気を吹き出す複数の吹出口(48〜50)を有しており、
前記エンジン冷却水の水温が所定温度以上のときには、前記防曇制御手段(S260)は、前記窓ガラスの曇り易さ度合いに応じて、前記複数の吹出口(48〜50)のうち前記車室内に吹き出す吹出口を切り替えるようになっており、
これに対し、前記エンジン冷却水の水温が所定温度未満のときには、前記防曇制御手段(S260)は、前記複数の吹出口(48〜50)のうち前記窓ガラスの内面に向けて空気を吹き出すデフロスタ吹出口(48)を選択してデフロスタモードを設定するようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
【請求項7】
前記防曇制御手段(S260)は、前記窓ガラスの曇り易さ度合いが上昇するにつれて、前記吹出口(48〜50)から吹き出される風量を増加させるようになっていることを特徴とする請求項5または6に記載の車両用空調装置。
【請求項8】
前記車室内に内気のみを導入するモードにマニュアルで設定されている場合において、前記窓ガラスの曇り易さ度合いが所定値(TRHW+c4)未満の場合は、前記内気を導入したまま前記窓ガラスに曇りが生じることを防止する防曇制御を行い、これに対し、前記窓ガラスの曇り易さ度合いが前記所定値(TRHW+c4)以上の場合は、前記導入する空気を内気から外気に切り替えて、前記窓ガラスに曇りが生じることを防止する防曇制御を行うマニュアル防曇制御手段(S270)を備えることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項9】
前記窓ガラスの曇り易さ度合いとして、前記湿度検出手段(17)により検出される湿度に基づいて前記窓ガラス表面の相対湿度(RHW)を演算する演算手段(20d)を備え、
前記算出手段(S230)は、前記窓ガラス表面の相対湿度(RHW)に基づいて前記比率(S)を算出することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項10】
前記判定手段(S240)は、前記比率(S)に基づいて前記車室内の窓ガラスが曇り易いか否かを判定することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項11】
前記算出手段(S230)が前記比率(S)として前記車室内へ外気のみを導入する比率(S=0)を算出したときに、前記判定手段(S240)は、前記車室内の窓ガラスが曇り易いと判定し、
これに対し、前記算出手段(S230)が前記比率(S)として前記車室内へ内気および外気の両方を導入する比率(S≠0)を算出したときには、前記判定手段(S240)は、前記車室内の窓ガラスが曇り難いと判定することを特徴とする請求項10に記載の車両用空調装置。
【請求項1】
内気および外気のうち少なくとも一方を導入し、この導入される空気の状態を調整して車室内に吹き出す空調手段(30)と、
車室内の湿度を検出する湿度検出手段(17)と、
前記湿度検出手段(17)により検出される湿度に応じた前記車室内の窓ガラスの曇り易さ度合いに基づいて、前記空調手段(30)が前記車室内に導入する前記内気と前記外気との比率(S)を算出する算出手段(S230)と、
前記車室内の窓ガラスが曇り易いか否かを判定する判定手段(S240)と、
前記車室内の窓ガラスが曇り難いと前記判定手段(S240)が判定すると、前記比率(S)に基づいて前記空調手段(30)を制御して、少なくとも前記内気を車室内に導入するように前記内気および前記外気の吸込モードを制御する内外気吸込制御手段(S250)と、
前記車室内の窓ガラスが曇り易いと前記判定手段(S240)が判定すると、前記空調手段(30)を制御して、前記外気のみを車室内に導入して前記窓ガラスに曇りが生じることを防止する防曇制御モードを有する防曇制御手段(S260)とを備え、
前記算出手段(S230)は、前記比率(S)を算出する制御モードとして、前記車室内に導入する内気の比率を段階的に増加する第1の制御モードと、前記車室内に導入する前記内気および前記外気の比率を持続する第2の制御モードと、前記車室内に導入する外気の比率を段階的に増加する第3の制御モードとを有し、前記窓ガラスの曇り易さ度合いに応じて、前記第1〜第3の制御モードのうちいずれかを選択するようになっていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記算出手段(S230)は、前記比率(S)を算出する制御モードとして、さらに前記車室内に前記外気だけを導入する第4の制御モードを有しており、
前記算出手段(S230)は、前記窓ガラスの曇り易さ度合いが閾値未満のときに、前記第1〜第3の制御モードのうちいずれかを選択し、これに対し、前記窓ガラスの曇り易さ度合いが閾値以上のときは、前記第4の制御モードを選択するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記空調手段は、車室内に吹き出す空気をエンジン冷却水により温度調節する加熱用熱交換器(44)を有しており、
前記閾値として、前記エンジン冷却水の水温が所定温度未満のときに用いられる低温側の閾値と、前記エンジン冷却水の水温が所定温度以上のときに用いられる高温側の閾値とを設定し、
前記低温側の閾値は、前記高温側の閾値に比べて高く設定されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記第1制御モードは前記窓ガラスの曇り易さ度合いが最も低い側で設定し、
前記第2制御モードは前記窓ガラスの曇り易さ度合いが前記第1制御モードよりも高い側で設定し、
前記第3制御モードは前記窓ガラスの曇り易さ度合いが前記第2制御モードよりもさらに高い側で設定し、
前記第4制御モードは前記窓ガラスの曇り易さ度合いが前記第3制御モードよりもさらに高い側で設定することを特徴とする請求項2または3に記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記空調手段(30)は、車室内に空気を吹き出す複数の吹出口(48〜50)を有しており、
前記防曇制御手段(S260)は、前記窓ガラスの曇り易さ度合いに応じて、前記複数の吹出口(48〜50)のうち前記車室内に吹き出す吹出口を切り替えて、前記窓ガラスの防曇を行うようになっていることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項6】
前記空調手段(30)は、車室内に吹き出す空気をエンジン冷却水により温度調節する加熱用熱交換器(44)、および車室内に空気を吹き出す複数の吹出口(48〜50)を有しており、
前記エンジン冷却水の水温が所定温度以上のときには、前記防曇制御手段(S260)は、前記窓ガラスの曇り易さ度合いに応じて、前記複数の吹出口(48〜50)のうち前記車室内に吹き出す吹出口を切り替えるようになっており、
これに対し、前記エンジン冷却水の水温が所定温度未満のときには、前記防曇制御手段(S260)は、前記複数の吹出口(48〜50)のうち前記窓ガラスの内面に向けて空気を吹き出すデフロスタ吹出口(48)を選択してデフロスタモードを設定するようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
【請求項7】
前記防曇制御手段(S260)は、前記窓ガラスの曇り易さ度合いが上昇するにつれて、前記吹出口(48〜50)から吹き出される風量を増加させるようになっていることを特徴とする請求項5または6に記載の車両用空調装置。
【請求項8】
前記車室内に内気のみを導入するモードにマニュアルで設定されている場合において、前記窓ガラスの曇り易さ度合いが所定値(TRHW+c4)未満の場合は、前記内気を導入したまま前記窓ガラスに曇りが生じることを防止する防曇制御を行い、これに対し、前記窓ガラスの曇り易さ度合いが前記所定値(TRHW+c4)以上の場合は、前記導入する空気を内気から外気に切り替えて、前記窓ガラスに曇りが生じることを防止する防曇制御を行うマニュアル防曇制御手段(S270)を備えることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項9】
前記窓ガラスの曇り易さ度合いとして、前記湿度検出手段(17)により検出される湿度に基づいて前記窓ガラス表面の相対湿度(RHW)を演算する演算手段(20d)を備え、
前記算出手段(S230)は、前記窓ガラス表面の相対湿度(RHW)に基づいて前記比率(S)を算出することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項10】
前記判定手段(S240)は、前記比率(S)に基づいて前記車室内の窓ガラスが曇り易いか否かを判定することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項11】
前記算出手段(S230)が前記比率(S)として前記車室内へ外気のみを導入する比率(S=0)を算出したときに、前記判定手段(S240)は、前記車室内の窓ガラスが曇り易いと判定し、
これに対し、前記算出手段(S230)が前記比率(S)として前記車室内へ内気および外気の両方を導入する比率(S≠0)を算出したときには、前記判定手段(S240)は、前記車室内の窓ガラスが曇り難いと判定することを特徴とする請求項10に記載の車両用空調装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
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【図19】
【図20】
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【公開番号】特開2011−93533(P2011−93533A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29903(P2011−29903)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【分割の表示】特願2006−106039(P2006−106039)の分割
【原出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【分割の表示】特願2006−106039(P2006−106039)の分割
【原出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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