説明

車両用表示装置

【課題】断続走行時の速度表示のちらつきを防止するとともに、運転者が断続走行中であることを容易に把握でき、断続走行時の速度表示に対する走行状態の変化に起因して運転者が違和感を感じることを防止することができる車両用表示装置を提供する。
【解決手段】加速走行と惰性走行とを車速範囲Rで繰り返す断続走行が可能なハイブリッド車両に用いられる車両用表示装置は、断続走行条件の成立時の車速を制御車速VSとし、制御車速VSを基準に車速範囲Rの上限車速VHおよび下限車速VLを設定するHVECUと、断続走行時に制御車速VSを固定して表示する車速表示部302aと、断続走行時の実際の車速Vと加減速状態を表示する車両状態表示部302bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動力源として少なくとも電動機を備えた車両に適用される車両用表示装置に関し、特に駆動力源の駆動力に基づく加速走行と車両の慣性力に基づく惰性走行とを繰り返し行う断続走行が可能な車両に用いられる車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用表示装置として、内燃機関およびモータジェネレータ(以下、単にモータという)を駆動力源として備え、車両走行中に内燃機関の運転を停止可能なハイブリッド車両に適用され、駆動力源からの機械的動力により駆動力を発生させて車両を走行させる加速走行と、駆動力源に機械的動力を出力させることなく車両の慣性力により惰性で車両を走行させる、いわゆるコーストダウン(以下、惰性走行という)とを上限車速と下限車速とで定まる所定の車速範囲内で交互に行うことで、予め設定された目標車速に従って車両を走行させる断続走行制御を可能としたものがある。このような断続走行を実施することによって、内燃機関を継続的に運転して車両を定速走行させる場合に比べて、燃料消費を抑制した低燃費運転が実現可能である。
【0003】
ところで、このような断続走行を行うハイブリッド車両にあっては、断続走行時における加速走行および惰性走行の繰り返しによる車速変化がそのまま車速表示計に反映されると、その車速変化に起因して運転者によって視認される車速表示がちらついてしまう。特に、近年では車速をデジタル表示させる車速表示計も多数採用されており、このようなデジタル表示の車速表示計にあっては、上述のような車速表示のちらつきがより一層運転者に認識され得る。したがって、断続走行時における車速表示をどのように行うかという課題がある。
【0004】
このような課題に関連して、例えば列車の安全な運行のための自動列車停止装置(ATS)における車上設備であるATS速度照査装置において、列車デジタル速度計の速度表示のちらつきを防止する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このATS速度照査装置は、列車が一定速度で惰行運転中にも関わらず、速度発電機の回転軸と列車の車軸との中心のズレに起因する速度発電機の周波数変動等により生ずる速度計算値の変動によって、列車デジタル速度計の速度表示がちらつくという問題を解決するためになされたものである。
【0005】
速度表示のちらつき防止の具体的な手法として、上記ATS速度照査装置では、一定値以下の加速度・減速度の場合に列車が惰行運転であると判定し、惰行運転中は、以降の速度変化が一定値以下であれば惰行運転開始時点の速度を固定値として列車デジタル速度計に表示させるようになっている。
【0006】
ここで、上述したハイブリッド車両において、断続走行時の車速表示に関して上記ATS速度照査装置における技術を応用し、車速変化に関わらず断続走行時の車速表示を所定車速に固定することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−70107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したような断続走行可能なハイブリッド車両にあっては、断続走行時、比較的大きな車速範囲内で加速走行と惰性走行とを繰り返すため、車速の変化幅も大きくなる。このため、上述のように断続走行時の車速表示を単に所定車速に固定した場合、運転者が視認する車速表示が固定されているにも関わらず、断続走行によって実際の車速や加減速状態等の走行状態が変化するため、運転者が違和感を感じるおそれがある。
【0009】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、断続走行時の車速表示のちらつきを防止するとともに、運転者が断続走行中であることを容易に把握でき、断続走行時の車速表示に対する走行状態の変化に起因して運転者が違和感を感じることを防止することができる車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る車両用表示装置は、上記目的達成のため、(1)車両の駆動力を発生する駆動力源として少なくとも電動機を備え、前記駆動力を得て走行する加速走行と前記駆動力源を停止して惰性で走行する惰性走行とを、車速に応じて決定される車速範囲で繰り返し行って走行する断続走行が可能な車両に用いられる車両用表示装置であって、前記断続走行時に、前記車速を前記車速範囲に含まれる所定車速に固定して表示する車速表示手段と、前記断続走行時の実際の車速および加減速状態を表示する車両状態表示手段と、を備えた構成を有する。
【0011】
この構成により、本発明に係る車両用表示装置は、車速表示手段が断続走行時に車速を所定車速に固定して表示するので、断続走行時の車速表示のちらつきを防止することができる。
【0012】
また、本発明に係る車両用表示装置は、車両状態表示手段が断続走行時の実際の車速および加減速状態を表示する。このため、運転者は、固定表示された車速とは別に、断続走行時の実際の車速および加減速状態を確認することができる。したがって、本発明に係る車両用表示装置は、運転者が断続走行中であることを容易に把握でき、断続走行時の車速表示に対する走行状態の変化に起因して運転者が違和感を感じることを防止することができる。
【0013】
また、本発明に係る車両用表示装置は、上記(1)に記載の車両用表示装置において、(2)予め定められた断続走行条件が成立したことを条件に前記車両を断続走行させるよう前記駆動力源を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記断続走行条件の成立時の車速を制御車速とし、前記制御車速を基準に高速側および低速側に前記車速範囲の上限車速および下限車速を設定するよう構成され、前記車速表示手段は、前記断続走行時に前記制御車速を前記所定車速として固定して表示する構成を有する。
【0014】
この構成により、本発明に係る車両用表示装置は、車速表示手段が断続走行条件成立時の制御車速を断続走行時の所定車速として固定して表示するので、運転者の要求する車速を表示することができる。このため、運転者は、固定表示された制御車速と車両状態表示手段に表示された実際の車速および加減速状態を視認することにより、断続走行に移行しても違和感を感じることなく運転を継続することができる。
【0015】
また、本発明に係る車両用表示装置は、上記(2)に記載の車両用表示装置において、(3)前記制御車速は、前記上限車速と前記下限車速の中間に設定されている構成を有する。
【0016】
この構成により、本発明に係る車両用表示装置は、制御車速が上限車速と下限車速の中間に設定されているので、断続走行時に制御車速を固定表示した際に上限車速および下限車速と運転者が視認する車速との間の変動幅を最小にすることができる。したがって、車速表示手段に表示された車速と実際の車速とが大幅にかけ離れてしまうことを防止することができる。
【0017】
また、本発明に係る車両用表示装置は、上記(1)ないし(3)に記載の車両用表示装置において、(4)前記車両が前記駆動力源として前記電動機のみを備えた電動車両または前記駆動力源として前記電動機と内燃機関とを備えたハイブリッド車両である構成を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、断続走行時の速度表示のちらつきを防止するとともに、運転者が断続走行中であることを容易に把握でき、断続走行時の速度表示に対する走行状態の変化に起因して運転者が違和感を感じることを防止することができる車両用表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用表示装置が適用されるハイブリッド車両の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るエンジンの概略構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るHVECUで実行される断続走行制御のフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態における断続走行制御のタイムチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係るスピードメータ部を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るスピードメータ部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
本発明の実施の形態では、車両用表示装置を駆動力源として内燃機関と電動機とを搭載した車両、いわゆるハイブリッド車両に適用した例について説明する。以下においては、車両用表示装置をハイブリッド車両に適用した例について説明するが、駆動力源として電動機のみを備えた、いわゆる電動車両にも適用可能である。
【0022】
図1に示すように、ハイブリッド車両1は、ハイブリッド車両1の駆動力を発生する駆動力源として、エンジン2と、発電可能な電動機であるモータジェネレータ(以下、単にモータという)MG1、MG2とを備える。また、ハイブリッド車両1は、駆動装置3と、車両用表示装置4とを備えている。
【0023】
駆動装置3は、モータMG1、MG2、動力分割統合機構40、減速機構70および差動機構80を備え、いわゆるハイブリッド・トランスアクスルを構成している。また、駆動装置3は、エンジン2と結合されて動力出力装置(パワープラント)を構成している。
【0024】
エンジン2は、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力可能な内燃機関として構成されている。
【0025】
図2に示すように、エンジン2は、エアクリーナ20により清浄された空気をスロットルバルブ21および吸気通路22を介して吸入する。その後、エンジン2は、燃料噴射弁23からガソリンを噴射して吸入された空気とガソリンとを混合し、この混合気を吸気バルブ24を介して燃料室に吸入する。次いで、エンジン2は、吸入した混合気を点火プラグ25による電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられるピストン26の往復運動を機関出力軸12の回転運動に変換する。
【0026】
エンジン2の排気通路28上には、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する三元触媒を有する浄化装置29が設けられている。エンジン2においては、三元触媒を最も有効に機能させるため、後述するA/Fセンサ207およびOセンサ208の各出力値に基づいて、空燃比(実空燃比)が理論空燃比に一致するように空燃比フィードバック制御がエンジンECU200により実行される。
【0027】
また、エンジン2は、吸気バルブ24の開閉タイミングVTを連続的に変更可能な可変バルブタイミング機構90を備える。可変バルブタイミング機構90は、図示しないベーン式のVVTコントローラと、オイルコントロールバルブとを備え、吸気バルブ24の開閉タイミングVTにおけるインテークカムシャフト(図示せず)の角度を連続的に変更する。
【0028】
また、図1に示すように、機関出力軸12には、動力分割統合機構40が結合されている。エンジン2は、機関出力軸12から駆動輪6に向けて機械的動力(以下、エンジン出力という)を出力する。この機械的動力は、エンジンECU200により制御可能となっている。
【0029】
モータMG1、MG2は、供給された電力を機械的動力に変換する電動機としての機能と、入力された機械的動力を電力に変換する発電機としての機能とを兼ね備えた、いわゆるモータジェネレータである。モータMG1は、主に発電機として用いられ、モータMG2は、主に電動機として用いられる。本実施の形態におけるモータMG2は、本発明に係る電動機を構成する。
【0030】
モータMG1、MG2は、永久磁石式交流同期モータ等で構成されている。モータMG1、MG2は、ステータ53、54と、ロータ51、52とを有している。ステータ53、54は、後述するインバータ61、62から交流電力の供給を受けて回転磁界を形成するようになっている。ロータ51、52は、動力分割統合機構40に結合され、回転磁界に引き付けられて回転するようになっている。モータMG1、MG2には、それぞれロータ51、52の回転角位置を検出するレゾルバ(図示せず)が設けられている。レゾルバは、検出したロータ51、52の回転角位置に応じた信号をモータECU60に送信するようになっている。
【0031】
モータMG1、MG2は、二次電池(蓄電池)105からの電力の供給を受けて電動機として動作することができる(以下、この動作状態を力行という)。一方、図示しないモータ軸が外力により回転している場合には、起電力を生じさせて二次電池105を充電する発電機として動作することができる(以下、この動作状態を回生という)。
【0032】
また、駆動装置3には、インバータ61、62およびモータECU60が設けられている。インバータ61、62は、それぞれステータ53、54に接続されている。インバータ61、62は、二次電池105から供給される直流電力を交流電力に変換して、それぞれ対応するモータMG1、MG2に供給可能に構成されている。また、インバータ61、62は、モータMG1、MG2からの交流電力を直流電力に変換して二次電池105に回収可能に構成されている。インバータ61、62の電力供給および電力回収は、モータECU60により制御される。
【0033】
動力分割統合機構40は、エンジン2およびモータMG1、MG2が出力した機械的動力を駆動軸7に伝達する動力伝達機構である。動力分割統合機構40は、シングルピニオン式の動力分割遊星歯車40aおよび減速遊星歯車40cを備えている。
【0034】
動力分割遊星歯車40aは、エンジン2が出力した機械的動力を、モータMG1を駆動する機械的動力と減速機構70を駆動する機械的動力に分割可能に構成されている。動力分割遊星歯車40aは、サンギヤ42と、プラネタリピニオン43と、プラネタリキャリア44と、リングギヤ45aとを備えている。
【0035】
サンギヤ42は、モータMG1のロータ51に結合されている。プラネタリピニオン43は、プラネタリキャリア44に対して公転および自転可能に支持されている。プラネタリキャリア44は、機関出力軸12に結合されている。このように構成された動力分割遊星歯車40aは、エンジン2のエンジン出力を、プラネタリピニオン43を介してサンギヤ42に伝達する機械的動力と、リングギヤ45aに伝達する機械的動力に分割するようになっている。エンジン2からサンギヤ42に伝達された機械的動力は、モータMG1のロータ51に伝達され、発電に供される。
【0036】
減速遊星歯車40cは、モータMG2が出力した機械的動力を、回転速度を減速しトルクを増大させて減速機構70に伝達可能に構成されている。減速遊星歯車40cは、サンギヤ46と、プラネタリキャリア47と、プラネタリピニオン48と、リングギヤ45cとを備えている。
【0037】
サンギヤ46は、モータMG2のロータ52に結合されている。プラネタリキャリア47は、駆動装置3のハウジングに固定されている。プラネタリピニオン48は、プラネタリキャリア47に対して自転可能に支持されている。このように構成された減速遊星歯車40cは、モータMG2が出力した機械的動力を、プラネタリピニオン48を介して回転速度を減速しトルクを増大させてリングギヤ45cに伝達するようになっている。
【0038】
これら動力分割遊星歯車40aと減速遊星歯車40cとは、同心上に配置されており、リングギヤ45aとリングギヤ45cとが一体に結合されている。リングギヤ45a、45cの外周側には、減速機構70のカウンタドリブンギヤ74と噛み合うカウンタドライブギヤ49が設けられている。動力分割統合機構40は、モータMG2からリングギヤ45cに伝達された機械的動力と、エンジン2からリングギヤ45aに伝達された機械的動力を統合してカウンタドライブギヤ49から減速機構70に伝達する。
【0039】
減速機構70は、カウンタドリブンギヤ74とファイナルドライブギヤ78とからなる。カウンタドリブンギヤ74は、カウンタドライブギヤ49と噛み合い、ファイナルドライブギヤ78は、差動機構80のリングギヤ82と噛み合う。また、これらカウンタドリブンギヤ74とファイナルドライブギヤ78とは、同心上に配置され、一体的に結合されている。減速機構70は、動力分割統合機構40からカウンタドリブンギヤ74に伝達された機械的動力を、回転速度を減速しトルクを増大させて、ファイナルドライブギヤ78から差動機構80に伝達する。
【0040】
差動機構80は、ファイナルドライブギヤ78に噛み合うリングギヤ82を備えている。差動機構80は、減速機構70からリングギヤ82に伝達された機械的動力を左右の駆動輪6に分配して出力する。
【0041】
図1および図2に示すように、車両用表示装置4は、ハイブリッド用電子制御装置(以下、単にHVECUという)100と、エンジンECU200と、モータECU60と、メータECU300と、アクセルペダルポジションセンサ101および車速センサ102を含む各種センサ類と、エコスイッチ104とを含んで構成されている。
【0042】
HVECU100は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えるマイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUは、RAMの一時記憶機能を利用するとともにROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。ROMには、各種制御定数や各種マップ等が予め記憶されている。
【0043】
HVECU100は、エンジン2およびモータMG1、MG2を協調して制御する。また、HVECU100は、アクセルペダルポジションセンサ101および車速センサ102の検出結果に応じて、エンジンECU200およびモータECU60と協働して後述する断続走行制御を実行可能に構成されている。本実施の形態におけるHVECU100は、本発明に係る制御手段を構成する。
【0044】
また、HVECU100は、車両走行中において、エンジン2を始動し、または作動を停止して、エンジン2の作動状態と非作動状態とを切替可能である。非作動状態とは、エンジン出力がゼロであり、かつ機関回転速度がゼロである、すなわち機関出力軸12が静止しており、エンジン2においてエンジンブレーキトルクも生じない状態を意味している。一方、作動状態とは、エンジン2が機関出力軸12から機械的動力(エンジン出力)を出力している状態を意味している。
【0045】
例えば、一定の車速での走行中においてエンジン2を非作動状態にする場合、HVECU100は、モータMG2のモータ回転速度はそのままに、モータ出力を増大させるとともに、その分、エンジン2のエンジン出力をゼロにして、モータMG1のロータ51をリングギヤ45a、45cとは逆の回転方向に空転させて、機関回転速度をゼロにする。このようにして、エンジン2の作動を停止して、非作動状態にすることが可能となっている。
【0046】
また、一定の車速での車両走行中においてエンジン2を作動状態にする場合、HVECU100は、モータMG2のモータ回転速度はそのままに、モータ出力を減少させるとともに、モータMG1のロータ51をリングギヤ45a、45cと同一の回転方向に力行させて、機関回転速度を上昇させて、エンジン2のクランキングを行う。これにより、エンジン2を始動して、作動状態にすることが可能となっている。
【0047】
エンジンECU200は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えるマイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUは、RAMの一時記憶機能を利用するとともにROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。ROMには、各種制御定数や各種マップ等が予め記憶されている。
【0048】
エンジンECU200には、クランクポジションセンサ201、水温センサ202、カムポジションセンサ203、スロットルバルブポジションセンサ204、エアフローメータ205、温度センサ206、A/Fセンサ207、Oセンサ208が接続されている。
【0049】
クランクポジションセンサ201は、機関出力軸12の回転位置すなわちクランク角θcrやエンジン回転数Neを検出する。水温センサ202は、エンジン2の冷却水の温度すなわち冷却水温Twを検出する。カムポジションセンサ203は、インテークカムシャフトや排気バルブを開閉するエキゾーストカムシャフトの回転位置すなわちカム角θcaを検出する。スロットルバルブポジションセンサ204は、スロットルバルブ21のスロットル開度THを検出する。エアフローメータ205は、吸気管に取り付けられ、吸入空気の質量流量すなわち吸入空気量Qaを検出する。温度センサ206は、吸気管に取り付けられ、吸気温Taを検出する。A/Fセンサ207は、空燃比に対してリニアな特性を有し、比較的広範囲にわたる空燃比を連続的に検出する。Oセンサ208は、理論空燃比を境に出力値が急変する特性(Z特性)を有し、排気ガス中の酸素濃度を起電力におきかえ、空燃比が理論空燃比に対してリーンかリッチかを検出する。これら各センサは、検出結果に応じた信号をエンジンECU200に出力する。
【0050】
エンジンECU200は、エンジン2を駆動するための種々の制御信号、例えば燃料噴射弁23への駆動信号や、スロットル開度THを調節するスロットルモータ21aへの駆動信号、イグニッションコイル210への制御信号、可変バルブタイミング機構90への制御信号などを出力するようになっている。
【0051】
エンジンECU200は、HVECU100と通信しており、HVECU100からの制御信号によりエンジン2を運転制御するとともに、必要に応じてエンジン2の運転状態に関するデータを出力する。
【0052】
モータECU60は、HVECU100から要求トルクおよび要求回転速度に係る信号を受け、インバータ61、62を制御する。モータECU60は、インバータ61、62を制御することにより、モータMG1、MG2のそれぞれについて、ロータ51、52の回転速度(以下、モータ回転速度という)と、ロータ51、52から出力する機械的動力(以下、モータ出力という)とを調整可能である。
【0053】
メータECU300は、HVECU100と通信しており、HVECU100との間で必要なデータの送受信を行っている。また、このメータECU300には、メータ表示ユニット301が接続されている。メータ表示ユニット301は、運転席近傍に配置されて液晶パネルとして構成されており、シフトポジションSPを表示するシフトポジション表示部や、車速Vを表示するスピードメータ部302、燃費に関する情報を表示する燃費表示部等を備える。このメータ表示ユニット301は、メータECU300によって制御されている。
【0054】
アクセルペダルポジションセンサ101は、運転者によるアクセルペダル5の操作量を検出する。アクセルペダルポジションセンサ101は、HVECU100に接続され、検出されたアクセルペダル5の操作量(以下、アクセル操作量Accという)に応じた信号をHVECU100に送信するようになっている。
【0055】
車速センサ102は、ハイブリッド車両1の車速Vを検出する。車速センサ102は、HVECU100に接続され、検出された車速Vに応じた信号をHVECU100に送信するようになっている。
【0056】
エコスイッチ104は、運転者がエンジン2による燃料消費の抑制を優先した車両走行(以下、燃費走行という)を選択するために、HVECU100に燃費走行を指示するスイッチである。エコスイッチ104は、車室内のインスツルメントパネル等、運転者により操作可能な場所に設けられている。エコスイッチ104は、運転者の操作により、ON状態とOFF状態とを切替可能に構成されている。また、エコスイッチ104のON状態とOFF状態は、HVECU100により検出される。
【0057】
また、ハイブリッド車両1には、二次電池105と、昇圧コンバータ106と、電池ECU107とが設けられている。二次電池105は、昇圧コンバータ106を介してインバータ61、62に電気的に接続されている。
【0058】
二次電池105は、モータMG1、MG2に供給する電力を貯蔵し、モータMG1、MG2との間で充放電可能に構成されている。昇圧コンバータ106は、二次電池105の電圧を昇圧してインバータ61、62の供給電圧に変換する。電池ECU107は、二次電池105の温度や電圧、充放電電流値等を監視している。
【0059】
また、電池ECU107は、二次電池105の温度や電圧、充放電電流値等の情報から二次電池105の蓄電状態(SOC:state‐of‐charge)および充放電電力を算出している。電池ECU107は、HVECU100に接続され、例えば二次電池105の蓄電状態および充放電電力に応じた信号をHVECU100に送信する等、HVECU100との間で信号のやりとりを行う。
【0060】
このように構成されたハイブリッド車両1では、アクセル操作量Accと車速Vとに基づいてユーザ要求パワーPが算出され、このユーザ要求パワーPに対応する要求動力がカウンタドライブギヤ49に出力されるよう、エンジン2とモータMG1、MG2とが運転制御される。また、ハイブリッド車両1の走行モードとしては、例えばハイブリッド走行モードやモータ走行モードあるいは回生走行モード等がある。
【0061】
ハイブリッド走行モードでは、エンジン2のエンジン出力を利用してモータMG1に発電させつつ、エンジン2およびモータMG2の両者を駆動力源としてハイブリッド車両1を走行させる。モータ走行モードでは、エンジン2を停止させた状態でモータMG2を駆動力源としてハイブリッド車両1を走行させる。回生走行モードは、減速要求等の所定条件が成立した場合に減速機構70を介して入力されるエネルギを利用してモータMG2にて発電を行う走行モードである。
【0062】
また、本実施の形態に係るハイブリッド車両1は、走行中に予め定められた断続走行条件が成立すると、HVECU100によって断続走行制御が実行される。すなわち、HVECU100は、断続走行条件が成立したことを条件にハイブリッド車両1を断続走行させるようエンジン2およびモータMG2を制御するようになっている。
【0063】
この断続走行制御は、車速Vがゼロより大きい(V>0)車速域で実行可能である。つまりハイブリッド車両1が走行している間は、断続走行条件が成立したことを条件として全ての車速域において断続走行制御が実行可能とされる。断続走行制御が実行されると、ハイブリッド車両1は、エンジン2またはモータMG2、あるいは双方が発生する駆動力を得て走行する加速走行と、エンジン2およびモータMG2を停止して惰性で走行する惰性走行とを、車速Vに応じて決定される車速範囲Rで繰り返し行って走行する断続走行が可能となる。
【0064】
具体的には、HVECU100は、ハイブリッド車両1の走行中に断続走行条件が成立すると、制御車速VSと、車速範囲Rの上限値である上限車速VHと、車速範囲Rの下限値である下限車速VLを設定するようになっている。ここで、エコスイッチ104がONとされ、かつユーザ要求パワーPが略一定であることが、上記断続走行条件となっている。ユーザ要求パワーPは、アクセル操作量Accをパラメータとして車速Vとユーザ要求パワーPとの関係を予め実験的に求めて記憶されたマップを参照することによりHVECU100によって算出される。ユーザ要求パワーPが略一定である一例としては、例えば一定の車速Vで走行中に運転者によるアクセル操作量Accが一定である場合等が挙げられる。アクセル操作量Accが一定のうちには、アクセル操作量Accがゼロの場合も含まれる。ここで、ユーザ要求パワーPが略一定であるとは、多少の変動はあるものの、ある所定時間内においてユーザ要求パワーが予め定められた所定範囲内(例えば、±3km/h)に維持される状態を意味する。
【0065】
また、HVECU100は、エコスイッチON後の走行中にユーザ要求パワーPが略一定となった時点、つまり断続走行条件の成立時の車速Vを制御車速VSとして設定し、この制御車速VSを基準に予め定められた車速だけ高車速側および低車速側にそれぞれ上限車速VH、下限車速VLを設定するようになっている。車速範囲Rは、設定された上限車速VHおよび下限車速VLにより定まるようになっている。より具体的には、車速範囲Rは、上限車速VHおよび下限車速VLを制御車速VSからどれだけ高車速側および低車速側に設定するかにより拡大されるか、縮小されるかが定まる。ここで、車速範囲Rは、例えば車速Vが大きくなるほど拡大されるようにしてもよい。このように、車速範囲Rは、車速Vに応じて決定されるようになっている。
【0066】
また、HVECU100は、上限車速VHと制御車速VSとの車速幅、および制御車速VSと下限車速VLとの車速幅が同一となるよう、上限車速VHおよび下限車速VLを設定している。すなわち、制御車速VSは、上限車速VHと下限車速VLとの中間に設定されるようになっている。
【0067】
ここで、上述した断続走行制御の実行中は、車速Vが制御車速VSを中心に上限車速VHと下限車速VLとの間で繰り返し変動することから、メータ表示ユニット301のスピードメータ部302の車速表示も加速走行および惰性走行に応じて変動する。このため、ハイブリッド車両1の断続走行時にスピードメータ部302の車速表示がちらつくという問題がある。そこで、本実施の形態では、断続走行時の車速表示のちらつきを防止するため、メータECU300が断続走行時にスピードメータ部302に表示される車速Vを所定車速に固定して表示するようにしている。固定表示される所定車速は、車速範囲Rに含まれる車速であり、本実施の形態では、メータECU300は制御車速VSを所定車速として固定して表示するようスピードメータ部302を制御する。一方、メータECU300は、断続走行が中断、すなわち通常走行に移行した際には制御車速VSの固定表示を解除して、実際の車速Vを表示するようスピードメータ部302を制御する。
【0068】
また、断続走行時は、比較的大きな車速範囲R内で加速走行と惰性走行とを繰り返すため、車速Vの変化幅も大きくなる。このため、上述のように断続走行時の車速表示を単に固定した場合、運転者が視認する車速表示が固定されているにも関わらず、断続走行によって実際の車速Vや、加速走行であるのか惰性走行であるのかといった加減速状態等の走行状態が変化するため、運転者が違和感を感じるおそれがある。そこで、本実施の形態では、図5に示すように、スピードメータ部302に車速表示部302aおよび車両状態表示部302bを設けた。車速表示部302aは、ハイブリッド車両1の車速Vを表示するものであり、特に断続走行時は制御車速VSを固定して表示する。
【0069】
本実施の形態におけるメータECU300および車速表示部302aは、本発明に係る車速表示手段を構成する。
【0070】
車両状態表示部302bは、断続走行時の実際の車速Vおよび加減速状態を表示するようになっている。具体的には、車両状態表示部302bは、車速表示部302aの上下に配置され、実際の車速Vをバー表示するようになっている。これにより、断続走行時は、車速表示を固定してちらつきを抑えた上で、変動する実際の車速Vをバー表示にて運転者に視認させることができる。また、車両状態表示部302bは、断続走行時における加速走行時は上記バー表示を例えば暖色とし、惰性走行時は上記バー表示を例えば寒色とする等、その表示態様を加速走行時と惰性走行時とで異ならせるようにしている。これにより、運転者は、断続走行時にハイブリッド車両1が加速走行中であるのか、惰性走行中であるのかといった加減速状態を容易に判別できる。加速走行時と惰性走行時とを識別させるためのバー表示の態様としては、上述した色表示による他、形状を異ならせる等の種々の態様を用いることができる。
【0071】
また、車両状態表示部302bは、断続走行の実行時のみ表示させるものであってもよいし、通常走行時から表示され断続走行が実行されるとバー表示がなされるものであってもよい。さらに、車両状態表示部302bは、車速表示部302aの上下に限らず、左右あるいはスピードメータ部302以外の領域に配置してもよい。本実施の形態におけるメータECU300および車両状態表示部302bは、本発明に係る車両状態表示手段を構成する。
【0072】
次に、図3および図4を参照して、本実施の形態に係る断続走行制御について説明する。
【0073】
図3に示す断続走行制御の処理フローは、ハイブリッド車両1の走行中に所定の時間間隔で実行されるものである。特に、本実施の形態では、ハイブリッド走行モード中における断続走行制御について説明する。なお、断続走行制御は、モータ走行モード中にも実行可能であり、この場合、モータMG2のモータ出力のみで加速走行を行うこととなる。
【0074】
図3に示すように、まずHVECU100は、車速Vがゼロより大きい(V>0)か否かを判定する(ステップS1)。V>0でないと判定された場合、HVECU100は、断続走行制御を実行することなく本処理を終了する。
【0075】
HVECU100は、V>0であると判定された場合、エコスイッチ104がON状態か否かを判定する(ステップS2)。HVECU100は、エコスイッチ104がON状態でない、つまりエコスイッチ104がOFF状態であると判定された場合には、運転者により燃費走行が選択されていないと判断して断続走行制御を実行することなく本処理を終了する。
【0076】
HVECU100は、エコスイッチ104がON状態であると判定された場合には、ユーザ要求パワーPが略一定か否かを判定する(ステップS3)。HVECU100は、ユーザ要求パワーPが略一定でない場合には、前回周期で断続走行が実行されているのであれば、その断続走行を中断し(ステップS11)、ステップS12に移行する。ステップS12において、HVECU100は、後述するステップS5で実行されたスピードメータ部302の車速表示部302aにおける制御車速VSの固定表示を解除する。これにより、スピードメータ部302の車速表示部302aには、実際の車速Vが表示される。
【0077】
次いで、HVECU100は、ハイブリッド車両1が加速中か否かを判定する(ステップS13)。加速中か否かは、例えば車速センサ102で検出された車速Vの変化量に基づき判定される。
【0078】
HVECU100は、ハイブリッド車両1が加速中であると判定された場合には、ユーザ要求パワーPに基づき所望の駆動力が発生するようエンジン2およびモータMG2を駆動する(ステップS14)。一方、HVECU100は、ハイブリッド車両1が加速中でないと判定された場合には、ハイブリッド車両1が減速状態であると判断してエンジン2およびモータMG2の駆動を停止、あるいは駆動輪6から伝わる動力によりモータMG2を回転させて発電機として動作(回生動作)させる(ステップS15)。
【0079】
HVECU100は、ステップS3において、ユーザ要求パワーPが略一定であると判定された場合には、断続走行制御に移行し、ハイブリッド車両1の断続走行が実行される(ステップS4)。具体的には、HVECU100は、上述の制御車速VS、上限車速VHおよび下限車速VLを設定し、上限車速VHと下限車速VLとで定まる車速範囲Rで加速走行と惰性走行を繰り返し実行するようエンジン2およびモータMG2を協調して制御する。
【0080】
次いで、HVECU100は、断続走行時の車速Vを制御車速VSに固定してスピードメータ部302の車速表示部302aに表示させる(ステップS5)。このとき、HVECU100は、車両状態表示部302bに実際の車速Vと加減速状態とを表示させる。
【0081】
次いで、HVECU100は、ステップS6以降の各ステップに移行し、図4に示すように、車速範囲R内で加速走行と惰性走行を繰り返す断続走行が実行される。この断続走行では、HVECU100は、加速走行時、モータMG2のモータ出力Pmおよびエンジン2のエンジン出力Peを駆動力として用いている。一方、惰性走行時は、モータ出力Pmおよびエンジン出力Peがゼロとされる。これにより、断続走行では、上限車速VHと下限車速VLとの間で加速走行と惰性走行が繰り返される。
【0082】
HVECU100は、ステップS6において、車速Vが上限車速VHまで上昇したか否かを判定する。HVECU100は、車速Vが上限車速VHまで上昇したと判定した場合には、エンジン2およびモータMG2の駆動を停止(ステップS7)して本処理を終了する。すなわち、HVECU100は、車速Vが上限車速VHに達したことを条件としてハイブリッド車両1を加速走行から惰性走行に移行させる。このとき、メータECU300は、車両状態表示部302bのバー表示を暖色から寒色に切り替え、ハイブリッド車両1が惰性走行に切り替わったことを運転者に認識させる。
【0083】
一方、HVECU100は、ステップS6において、車速Vが上限車速VHまで上昇していないと判定した場合には、車速Vが下限車速VLまで低下したか否かを判定する(ステップS8)。HVECU100は、車速Vが下限車速VLまで低下したと判定した場合には、モータMG2およびエンジン2をそれぞれモータ出力Pmおよびエンジン出力Peで駆動(ステップS9)して本処理を終了する。すなわち、HVECU100は、車速Vが下限車速VLに達したことを条件としてハイブリッド車両1を惰性走行から加速走行に移行させる。このとき、メータECU300は、車両状態表示部302bのバー表示を寒色から暖色に切り替え、ハイブリッド車両1が加速走行に切り替わったことを運転者に認識させる。
【0084】
他方、HVECU100は、ステップS8において、車速Vが下限車速VLまで低下していないと判定した場合には、モータMG2の駆動状態(モータ状態)およびエンジン2の駆動状態(エンジン状態)を保持(ステップS10)して本処理を終了する。すなわち、ハイブリッド車両1が加速走行中であればモータ出力Pm、エンジン出力PeでのモータMG2およびエンジン2の駆動を維持し、これとは逆にハイブリッド車両1が惰性走行中であればモータMG2およびエンジン2の駆動停止を維持する。
【0085】
以上のように、本実施の形態に係る車両用表示装置4は、メータECU300が断続走行時に車速Vを制御車速VSに固定して車速表示部302aに表示するので、断続走行時の車速表示のちらつきを防止することができる。
【0086】
また、本実施の形態に係る車両用表示装置4は、メータECU300が断続走行時の実際の車速Vおよび加減速状態を車両状態表示部302bに表示する。このため、運転者は、固定表示された制御車速VSとは別に、断続走行時の実際の車速Vおよび加減速状態を確認することができる。したがって、本実施の形態に係る車両用表示装置4は、運転者が断続走行中であることを容易に把握でき、断続走行時の車速表示に対する走行状態の変化に起因して運転者が違和感を感じることを防止することができる。
【0087】
また、本実施の形態に係る車両用表示装置4は、メータECU300が断続走行条件成立時の制御車速VSを断続走行時の所定車速として車速表示部302aに固定して表示するので、運転者の要求する車速を表示することができる。このため、運転者は、固定表示された制御車速VSと車両状態表示部302bに表示された実際の車速Vおよび加減速状態を視認することにより、断続走行に移行しても違和感を感じることなく運転を継続することができる。
【0088】
さらに、本実施の形態に係る車両用表示装置4は、制御車速VSが上限車速VHと下限車速VLの中間に設定されているので、断続走行時に制御車速VSを固定表示した際に上限車速VHおよび下限車速VLと運転者が視認する制御車速VSとの間の変動幅を最小にすることができる。したがって、車速表示部302aに表示された制御車速VSと実際の車速Vとが大幅にかけ離れてしまうことを防止することができる。
【0089】
なお、本実施の形態では、断続走行制御においてユーザ要求パワーPが略一定となった時点の車速Vを制御車速VSとして設定し、この制御車速VSを基準に予め定められた車速だけ高車速側および低車速側にそれぞれ上限車速VH、下限車速VLを設定するようにしたが、これに限らず、例えばユーザ要求パワーPが略一定となった時点の車速Vを上限車速VHとして設定し、これを基準に下限車速VL、車速範囲Rおよび制御車速VSを設定するようにしてもよい。具体的には、HVECU100は、上限車速VHの設定と同時あるいは設定後に、上限車速VHから予め定められた車速だけ減じた値を下限車速VLを設定する。また、HVECU100は、上限車速VHおよび下限車速VLの設定と同時あるいは設定後に、上限車速VHから予め定められた車速だけ低車速側に制御車速VSを設定する。このとき、制御車速VSは、上限車速VHと下限車速VLとの中間に設定されるのが好ましい。
【0090】
また、本実施の形態では、スピードメータ部302を図5に示す構成としたが、これに限らず、例えば図6に示す構成としてもよい。具体的には、図6に示すように、車速表示部302aを取り囲むように車両状態表示部302bを設け、これに断続走行時の実際の車速Vをバー表示するようにした。例えば、図6中、上限車速VHおよび下限車速VLを示す車速表示を左下部位に配置し、加速走行および惰性走行に応じてバー表示を時計回りあるいは反時計回りに変動するよう表示する。これにより、実際の車速Vが連続的に表示されるので、運転者がより容易に断続走行中の実際の車速Vを認識することができる。なお、図6に示す車両状態表示部302bは一例であって、これに限定されるものではなく、バー表示の変動方向は逆であってもよいし、上限車速VHおよび下限車速VLを示す車速表示もいずれの位置に配置してもよい。また、図6に示す例においても、実際の車速Vを示すバー表示を本実施の形態と同様、加速走行時と惰性走行時とで、例えば色を異ならせる等、その表示態様を変更してもよい。
【0091】
また、本実施の形態では、スピードメータ部302の他に回転数計を備えていない構成について説明したが、回転数計を備える場合には、制御車速VSの固定表示に加えて回転数計の回転数表示も一定回転数に固定するようにしてもよい。一定回転数としては、例えば断続走行条件成立時の回転数を用いることができる。
【0092】
さらに、本実施の形態では、スピードメータ部302の車速表示部302aの表示態様としてセグメント形式のデジタル表示を用いたが、これに限らず、例えば速度目盛と指針あるいはバー表示で車速を表示する形式のもの等、種々の表示態様を用いることができる。例えば、速度目盛と指針あるいはバー表示で車速を表示する形式の場合には、車両状態表示部302bは、その速度目盛上に重ねて、あるいは速度目盛と別に表示するようにすればよい。
【0093】
以上説明したように、本発明に係る車両用表示装置は、断続走行時の速度表示のちらつきを防止するとともに、運転者が断続走行中であることを容易に把握でき、断続走行時の速度表示に対する走行状態の変化に起因して運転者が違和感を感じることを防止することができ、駆動力源の駆動力に基づく加速走行と車両の慣性力に基づく惰性走行とを繰り返し行う断続走行が可能な車両に用いられる車両用表示装置に有用である。
【符号の説明】
【0094】
1 ハイブリッド車両(車両)
2 エンジン(駆動力源、内燃機関)
4 車両用表示装置
60 モータECU
100 HVECU(制御手段)
101 アクセルペダルポジションセンサ
102 車速センサ
104 エコスイッチ
200 エンジンECU
300 メータECU(車速表示手段、車両状態表示手段)
301 メータ表示ユニット
302 スピードメータ部
302a 車速表示部(車速表示手段)
302b 車両状態表示部(車両状態表示手段)
MG2 モータ(駆動力源、電動機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の駆動力を発生する駆動力源として少なくとも電動機を備え、前記駆動力を得て走行する加速走行と前記駆動力源を停止して惰性で走行する惰性走行とを、車速に応じて決定される車速範囲で繰り返し行って走行する断続走行が可能な車両に用いられる車両用表示装置であって、
前記断続走行時に、前記車速を前記車速範囲に含まれる所定車速に固定して表示する車速表示手段と、
前記断続走行時の実際の車速および加減速状態を表示する車両状態表示手段と、を備えたことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
予め定められた断続走行条件が成立したことを条件に前記車両を断続走行させるよう前記駆動力源を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記断続走行条件の成立時の車速を制御車速とし、前記制御車速を基準に高速側および低速側に前記車速範囲の上限車速および下限車速を設定するよう構成され、
前記車速表示手段は、前記断続走行時に前記制御車速を前記所定車速として固定して表示することを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記制御車速は、前記上限車速と前記下限車速の中間に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記車両が前記駆動力源として前記電動機のみを備えた電動車両または前記駆動力源として前記電動機と内燃機関とを備えたハイブリッド車両であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1の請求項に記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−113720(P2013−113720A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260325(P2011−260325)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】