説明

車両用運行記録評価装置

【課題】運転者以外の管理者等が各運転者の走行中における危険運転状態を客観的にかつ容易に把握して、運転評価の際の労力を低減することできる車両用運行記録評価装置を提供する。
【解決手段】運転中に運転状態評価部27の監視により得られる運転状況情報が時系列にデジタルタコグラフ30により保存されると共に、この運転状況情報に基づいて運転状態評価部27により危険運転状態と判定されるときにトリガー信号SG5が出力される。そして、このトリガー信号SG5に基づいてデジタルタコグラフ30により、危険運転状態が発生じた時点の運転状況情報に印(フラグ)が付されて記録されることになる。このため、運転者以外の管理者等が、運転状況情報をフラグと合わせて確認することにより、該当する運転者が安全運転をおこなっているかを客観的且つ容易に判断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転状況に関する情報を走行中に記録すると共に、この情報を評価するのに用いられる車両用運行記録評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、タクシー、バス、トラック等の車両を用いて運送業務を行う運送業者においては、社内の各運転者に対して安全運転を促し、事故を未然に防止することが重要な課題となっている。
【0003】
そこで、各運転者が日常的に実際に安全運転を実施しているかどうかを、運送業者の社内等に配置される管理者が常時確認できるように、例えば「デジタルタコグラフ」と呼ばれる運行記録機器が実用化され利用されている。
このデジタルタコグラフは、タクシー、バス、トラック等の車両毎に搭載され、一定時間(例えば0.5秒)毎に取得した速度やエンジン回転数等の情報をメモリーカードのような記憶装置に自動的に記録するものである。
【0004】
したがって、その管理者はデジタルタコグラフが収集したデータを、例えば営業所に設置されたパーソナルコンピュータ内に搭載された分析プログラムを用いて、メモリーカードから読み出し、このデータを詳細に調べることにより、その車両の走行時間、走行距離、最高速度、平均速度、速度オーバー時間、速度オーバー回数や、エンジン回転数オーバー時間や回転数オーバー回数、急発進、急加速、急減速、アイドリング時間等を運転者毎に把握することができ、この把握された結果に基づいて、その運転者毎に安全運転や経済的な運転を促すことが可能になる。
【0005】
このようなデジタルタコグラフの従来技術としては、例えば特許文献1〜3に開示された技術が知られている。
特許文献1においては、速度、エンジン回転数、位置等の走行状態を表す情報を収集し記録するだけでなく、心拍数の情報も収集し、居眠り運転を検出したときに運転者に対してリアルタイムで警告を与えることが提案されている。
また、特許文献2に開示された従来技術においては、居眠り運転の有無を検出する際に、運転者のブレーキ操作の有無を参照することが提案されている。
また、特許文献3に開示された従来技術においては、単なる警報装置であるが、撮像手段により撮影された画像に基づいて、白線と自車両との横方向の位置関係を検出し、この位置関係から蛇行運転や車線逸脱を検出した場合に運転者に対してリアルタイムで警告を与えることを提案している。
【0006】
前述した特許文献1、特許文献2、特許文献3に開示されているような技術を用いることにより、居眠り運転のような危険な状況が運転中に発生した場合に、運転者に対して警告を与え、事故の発生を抑制することがある程度可能になる。
【0007】
【特許文献1】特開2004−74948号公報
【特許文献2】特開2004−34938号公報
【特許文献3】特開2000−276697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような車載装置を利用する場合であっても、その車両の安全運転上、車両事故に繋がるおそれのある状態(以下、このような状態を「危険運転状態」ともいう。)を管理者等の第三者が把握することができないため、その該当する運転者に対して管理者が注意を促すことができず、このため、その該当する運転者の所属している業者(会社)自体が、その危険運転状態の発生頻度低減するための対策を講じることができないおそれがある。
【0009】
例えば、運送業務が多忙であまり休憩を取ることのできないような環境下に晒される運転者の場合には、睡眠不足又は風邪気味等により体調が悪い場合でも、車両の運転業務を継続せざるを得ない場合等があり、この結果として居眠り運転等の危険運転状態に陥り、事故の発生に繋がるおそれがある。
【0010】
そこで、前述したようなデジタルタコグラフを利用して運転中の情報を収集すれば、運転者が運転業務を終了した後で、管理者は運転中に収集されたデータをメモリカード等の記憶装置から読み出して分析し、各運転者が安全運転を行っているかどうかについて客観的な評価を行うことができる。
【0011】
しかしながら、従来のデジタルタコグラフにより収集される速度、エンジン回転数、位置等の情報から安全な運転状態かどうかを判断するのは非常に難しく、例えば車両毎に計算式や判断基準を変更する必要もあり、時間や労力がかかるのは避けられない。しかも、分析すべき情報の量が膨大であるため、管理者にかかる負担が非常に大きく、正しい評価を行うのは極めて困難であるのが実情である。
【0012】
本発明は、前述した問題を鑑みてなされた発明であり、その目的は、運転者以外の管理者等が各運転者の走行中における危険運転状態を客観的にかつ容易に把握して、運転評価の際の労力を低減することできる車両用運行記録評価装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 車両の走行中の蛇行状況、当該車両の走行中の速度状況、前記車両と当該車両の前方に位置する前方車両との走行中の車間距離状況、のうち少なくともいずれかを把握して、これら状況を示す運転状況情報を出力する運転状況監視部と、
少なくとも当該運転状況監視部が出力した当該運転状況情報を繰り返し収集して、当該運転状況情報を時系列的に保存するデータ記録制御部と、
前記運転状況監視部が出力した前記運転状況情報に基づいて、前記車両の安全運転上、車両事故に繋がるおそれのある危険運転状態の発生の有無を判定し、そして当該危険運転状態が発生したと判定されるときに所定のトリガー信号を出力するトリガー信号生成部と、
当該トリガー信号生成部が出力した当該所定のトリガー信号に基づいて、当該危険運転状態を報知するための印であるフラグを、当該トリガー信号が発生した時点で収集された前記運転状況情報に関連付けて当該フラグを記録するフラグ記録制御部と、
を備える
ことを特徴とする車両用運行記録評価装置。
(2) 車両の走行中の蛇行状況、当該車両の走行中の速度状況、前記車両と当該車両の前方に位置する前方車両との走行中の車間距離状況、のうち少なくともいずれかを把握して、これら状況を示す運転状況情報を出力する運転状況監視部と、
少なくとも当該運転状況監視部が出力した当該運転状況情報を繰り返し収集して、当該運転状況情報を所定の記録部に、時系列的に保存するデータ記録制御部と、
当該データ記録制御部が保存した当該運転状況情報を当該所定の記録部から読み出し、当該運転状況状態に基づいて前記車両の安全運転上、車両事故に繋がるおそれのある危険運転状態の発生の有無を判定し、そして当該危険運転状態が発生したと判定されるときに、当該危険運転状態を報知するための印であるフラグを、当該危険運転状態が発生した時点で収集された前記運転状況情報に関連付けて当該フラグを記録するフラグ記録制御部と、
を備える
ことを特徴とする車両用運行記録評価装置。
(3) 前記車両に少なくとも1つ搭載され、且つ当該車両の走行方向前方の周辺の状況を撮像して画像情報を出力する撮像手段と、
当該撮像手段により出力された前記画像情報を処理して、当該画像情報に含まれる、前記車両の走行中自車線の両側に位置する一対の区切線を検出する区切線検出部と、
を更に備え、
前記運転状況監視部は、当該区切線検出部により検出された前記一対の区切線により、当該一対の区切線と前記車両との相対的な位置関係を認識し、そして当該相対的な位置関係の変化に基づいて前記蛇行状況を把握する
ことを特徴とする上記(1)又は(2)の車両用運行記録評価装置。
(4) 前記車両に少なくとも1つ搭載され、且つ当該車両の走行方向前方の周辺の状況を撮像して画像情報を出力する撮像手段と、
前記撮像手段により出力された前記画像情報を処理して、当該画像情報に含まれる、前記車両の走行方向の前方に存在する前方車両を検出する前方車両検出部と、
前記車両の走行速度を検出する車速検出手段と、
を更に備え、
前記運転状況監視部は、当該前方車両検出部により検出された前方車両により、当該前方車両の位置を認識して当該前方車両と前記車両との車間距離を検出し、且つこの検出した車間距離と、前記車速検出手段により検出された走行速度と、に基づいて前記車間距離状況を把握する
ことを特徴とする上記(1)又は(2)の車両用運行記録評価装置。
【0014】
上記(1)の構成によれば、運転中に運転状況監視部の監視により得られる運転状況情報が時系列にデータ記録制御部により保存されると共に、この運転状況情報に基づいてトリガー信号生成部により危険運転状態と判定されるときに所定のトリガー信号が出力される。そして、このトリガー信号に基づいてフラグ記録制御部により、危険運転状態が発生じた時点の運転状況情報に印(フラグ)が付されて記録されることになる。このため、運転者以外の管理者等が、運転状況情報をこのフラグと合わせて確認することにより、該当する運転者が安全運転をおこなっているかを客観的且つ容易に判断することができる。即ち、収集された運転状況情報を確認する管理者等は、大量の時系列に並んだ運転状況情報の中からフラグを探すことにより、安全運転上問題のある箇所をすばやく見つけることができる。このため、分析対象のデータ量が膨大であっても、管理者等の分析にかかる時間等の負担を大幅に低減することが可能になる。例えば、運転者が居眠り運転等を行っている状態では、自車両と前方の車両との車間距離が通常よりも小さくなる可能性が高いので、収集された車間距離の時系列情報からフラグを介して異常値(例えば車間距離が閾値以下のもの)を見つけることにより、居眠り運転の可能性を管理者が容易に且つ迅速に認識できる。なお、本構成では、車載装置により、走行中に略リアルタイムにフラグが記録されるもの等が想定されている。
上記(2)の構成によれば、運転中に運転状況監視部の監視により得られる運転状況情報が時系列にデータ記録制御部により所定の記録部(例えば、フロッピー、メモリーカード等の着脱自在な記録媒体)に保存される。そして、この記録部を介して運転状況情報がフラグ記録制御部により読み込まれ、且つこのフラグ記録制御部によりこの運転状況情報に基づいて危険運転状態の発生の有無が判定され、この判定の結果により危険運転状態が発生じた時点の運転状況情報に印(フラグ)が付されて記録されることになる。このため、上記(1)の構成と同様の効果を奏することができ、即ち、運転者以外の管理者等が、運転状況情報をフラグと合わせて確認することにより、該当する運転者が安全運転をおこなっているかを客観的且つ容易に判断することができる。なお、本構成では、例えば車外の所定の箇所(例えば、営業所等)に設置される分析装置(たとえば、パーソナルコンピュータ)により、走行後に一括して運転状況情報が分析されてフラグが記録されるもの等が想定されている。
上記(3)の構成によれば、例えば、居眠り運転等により発生する蛇行運転を行っている状況かどうかを容易且つ客観的に認識することができ、危険運転状態かどうかの判断に役立つ情報が自動的に得られる。
上記(4)の構成によれば、例えば、居眠り運転等により発生する自己の車両と前方車両との車間距離の異常(異常接近等)が生じている状況かどうかを容易且つ客観的に認識することができ、危険運転状態かどうかの判断に役立つ情報が自動的に得られる。また、この認識を、走行速度をも用いて行っているので、自己の車両と前方車両との車間距離の異常が生じている状況かどうかをより正確に認識することが可能になる。即ち、走行速度が速くなると安全を維持できる車間距離は大きくなる傾向があるが、本構成によれば、異常かどうかを識別する際の判断基準は車間距離と走行速度との両者に基づいて行っているので、自己の車両と前方車両との車両距離に係る危険運転状態をより正確に認識することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、運転者以外の管理者等が各運転者の走行中における危険運転状態を客観的にかつ容易に把握して、運転評価の際の労力を低減することできる車両用運行記録評価装置を提供することができる。特に、危険運転状態を表すフラグの印を記録することにより、評価の際の労力を大幅に低減することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る車両用運行記録評価装置について、複数の好適な実施形態について、図面を参照しながら、説明する。
【0017】
(第1実施形態)
まず、本発明に係る第1実施形態の車両用運行記録評価装置について、図1〜図5を参照しながら以下に説明する。
図1は第1実施形態におけるシステム主要部の構成を示すブロック図である。図2は図1に示すQOD制御装置の動作の概略を示すフローチャートである。図3は図1に示すデジタルタコグラフの構成例を示すブロック図である。図4はカメラの撮像により得られる画像の具体例を表す正面図である。図5は図4に示す画像を処理して得られる情報の内容を示す模式図である。
【0018】
図1に示す車両用運転記録評価装置1は車載装置であり、例えばトラック、バス、タクシーのような営業用の車両に搭載されて使用される。
なお、図1に示す例では、自己の車両に搭載されたカメラ(撮像手段)10と、互いに独立して動作するQOD(Quality Of Driving)制御装置20とデジタルタコグラフ(データ記録制御部、フラグ記録制御部)30と、が主に組み合わされて、本実施形態に係る車両用周辺記録評価装置1のシステム全体が構成されている。
【0019】
カメラ10は、被写体を短い周期で連続的に撮像し2次元の画像情報として出力することが可能な撮像装置である。このカメラ10は、自己の車両の前方窓ガラスの近傍に配置され、車両の走行方向の前方(進行方向)、及びその周辺としてこの進行方向の側方を含む所定画角の範囲を、被写体として撮像できるように自己の車両内に固定されている。このため、この車両を運転する運転者の目から見える範囲と同等の車外の状況が、このカメラ10により撮像されることになる。
【0020】
QOD制御装置20は、運転者の運転の状況に関連した情報(運転状況情報)を検出するための機能を有しており、図1に示すように前方車両検出部21と、白線検出部(区切線検出部)22と、走行速度検出部23と、記憶装置24と、メモリーカード26と、運転状態評価部(運転状況監視部、トリガー信号生成部)27と、時計回路28と、を備えている。
なお、QOD制御装置20における主要な制御要素(制御機能)は、図示しないマイクロコンピュータのハードウェアとこのマイクロコンピュータが実行する予め用意されたプログラムとで構成されている。
【0021】
そして、前方車両検出部21は、カメラ10により出力された画像情報を処理して、この画像情報に含まれる、自己の車両の走行方向の前方に存在する他の車両(前方車両)を検出する。
【0022】
白線検出部22は、カメラ10により出力された画像情報を処理して、この画像情報に含まれる、自己の車両の走行中の自車線の両側に位置する一対の白線(区切線:車線の区切りを表す表示線)を検出する。
【0023】
走行速度検出部23は、自己の車両に搭載されている車速センサ11から出力される車速信号(車両が一定量移動する毎にパルスが現れる信号)SG11に基づいて自己の車両の走行速度を検出する。
【0024】
記憶装置24は、カメラ10から出力される画像情報等を記憶保持することができる。
なお、記録装置24を複数の記録媒体を含めた構成とすることができ、その少なくとも1つの記録媒体をQOD制御装置20に対して着脱自在に構成してもよい。このように構成することにより、記録装置24に記録されたデータを、この着脱自在の記録媒体を介して車両の外に持ち運ぶことができ、これにより、管理者等は事務所内等で画像情報等の分析等を行うことができることになる。
【0025】
時計回路28は、現在時刻及び日付の情報を出力したり、タイマーの機能を提供したりする。
【0026】
運転状態評価部27は、前方車両検出部21が検出した前方車両により、この前方車両の位置を認識して前方車両と自己の車両との車間距離状況を検出したり、或いは、白線検出部22が検出した一対の白線により、この一対の白線と自己の車両との相対的な位置関係を認識し、そしてこの相対的な位置関係の変化に基づいて、蛇行や車線逸脱等の蛇行状況を検出したり、或いは、走行速度検出部23が検出した走行速度に基づいて速度状況を検出したりして、運転状況情報の把握を行う。
また、運転状態評価部27は、他車両に自己の車両の車線変更等を知らせるためのウインカースイッチ12が出力する信号(左右のウインカーのランプ点滅のオンオフを表す信号)SG12、SG13を監視することにより、運転者の自己意志に従って車線変更したのか、それとも居眠り運転等の無意識のうちに車線を逸脱したのかを区別する。
【0027】
そして、運転状態評価部27が検出した、前方車両との走行中の車間距離状況、蛇行状況(車線逸脱も含む)、速度状況は、QOD制御装置20から出力され、これら状況に係る運転状況情報がデジタルタコグラフ30に自動的に時系列的に保存されることになる。また、運転状態評価部27は、前述の運転状況情報に基づき、居眠り運転等の危険運転状態を検出すると、トリガー信号SG5を出力する。そして、このトリガー信号SG5も、前述の運転状況情報と共に、デジタルタコグラフ30に出力されることになる。これにより、デジタルタコグラフ30は、トリガー信号SG5に基づいて、その危険運転状態を報知するための印であるフラグを、このトリガー信号SG5が発生した時点で収集された運転情報に関連付けてこのフラグを記録することができる。
なお、トリガー信号SG5は、記録装置24にも出力されている。そして、記憶装置24はこのトリガー信号SGに基づき、このトリガー信号が発生じた時点前後の時間帯における、カメラ10により得られた画像情報を別途設けられた記録媒体(不図示)等に動画として保存する。
【0028】
ここで、デジタルタコグラフ30は、運転の状況を表す各種の情報を常時収集して管理者等が分析に利用可能なデータを自動的に記録する装置である。
具体的には、前述した車速センサ11が出力する車速信号SG11により検出された走行速度、エンジン回転センサ13が出力する信号SG14により検出されたエンジン回転数、GPS受信機14が検出した車両の位置情報及び地図情報等を、デジタルタコグラフ30は定期的に収集してメモリーカード31に時系列情報として記録する。
【0029】
また、図1に示すシステムにおいては、QOD制御装置20の運転状態評価部27が検出した前述の運転状況情報もあわせて、デジタルタコグラフ30が記録する。これにより、運転状態評価部27が居眠り運転等の危険運転状態を検出した時には、運転状態評価部27からの指示(トリガー信号SG5)によりデジタルタコグラフ30はその時点で収集した情報と対応する位置に、前述のフラグを記録することになる。
【0030】
図3には、このデジタルタコグラフ30の構成の具体例が示されている。
図3に示すように、デジタルタコグラフ30は、特開2004−34938号公報に開示されたものと同様な構成を有しており、CPU41、ROM42、EEPROM43、RAM44、操作部45、表示部46、警告部47、インタフェース部48及びカード挿入部49を備えて構成されている。
【0031】
また、図1に示したQOD制御装置20が蛇行運転や車線逸脱等の蛇行状況を把握するための技術については、例えば、特許文献2に開示されている従来技術を利用することができる。即ち、次に説明するような処理が実施される。
【0032】
カメラ10の撮像により出力される画像情報には、例えば、図4に示すように、左右両側の一対の白線101、102、前方車両103等の車外風景等が含まれている。そこで、進行方向に対する左右方向の自己の車両の位置の変化を把握するために一対の白線101、102が検出され、これらの白線101、102と自己の車両の位置との左右方向の位置関係が検出される。
【0033】
即ち、画像情報中のエッジ(或いは、輪郭)に関する特徴点の検出を容易にするために、前処理として画像情報中の明るさを2値化して図5(a)に示すような微分画像が生成される。つまり、図4に示すような元の画像情報が水平方向に順次に走査され、隣接する画素との明るさが所定以上変化した位置の画素が特徴点として抽出されることになる。
【0034】
次に、図5(a)に示す画像情報の水平方向中央付近に基準線が割り当てられる。そして、一対の白線101、102を構成する各特徴点を検出するために前記基準線から左及び右に向かって特徴点の探索が実施される。画像情報の最も下の行から上に向かって各行で特徴点の探索が行われる。これにより、無限遠点を表す1つの点FOE(Focus Of Expansion)に向かって直線的に延びる白線101、102が検出されることになる。
【0035】
そして、所定時間Δtだけ異なる時点で撮像された2つの画像を用いてオプティカルフローが取得される。即ち、異なる時点で撮像された2つの画像情報における同一点に注目すると、車両の移動により生じる変化が速度ベクトルとして得られる。このオプティカルフローは1点であるFOEから放射状の方向に現れることになる。
【0036】
このオプティカルフローの情報を利用することにより、例えば図5(a)に示すような画像情報は図5(b)に示す画像のように修正され、一対の白線101、102以外の不要な情報等が除去されることになる。
【0037】
次に、一対の白線101、102それぞれが延びる方向と水平方向とに挟まれる角度θL、θR(図4参照)が検出される。カメラ10の位置は車両内に固定されておりカメラ10が撮像する範囲を表す画角も一定であるので、自己の車両の車線内での位置と一対の白線101、102との横方向の相対的な位置関係に応じて角度θL、θRが変化することになる。そこで、この特性を利用し、即ち検出した白線の角度θL、θRを用いて、蛇行状況や車線逸脱の有無が識別されることになる。
【0038】
車線逸脱、つまり自己の車両が左右いずれかの白線101、102から外側の他の車線にはみ出したかどうかについては、角度θL、θRの差分を予め定めた左側の閾値及び右側の閾値それぞれが比較されることにより、判別される。
ただし、ウインカースイッチ12からの信号SG12、SG13によりウインカーがオンであることが検出されている場合には、運転者の意志に従った車線変更又は右折、左折の可能性が高いので車線逸脱の状態から除外されることになる。
【0039】
車線逸脱以外の蛇行状況については、角度θL、θRから求められる、自己の車両と一対の白線101、102との相対的な位置関係の時間的な推移が、蛇行の度合いとして定量化される。例えば、図4の画像中に示す間隔L、Rの大きさは次式から求めることができる。
L=1/(tan θL)
R=1/(tan θR)
この間隔L、Rの比率(L/R)を一対の白線101、102間における自己の車両の左右方向位置を表す値として用いることができる。
なお、蛇行とは、左右方向位置がそれまでの平均的な左右方向位置に比べて大きく変化している状態であるので、その把握にあたっては平均的な左右方向位置を求める。より具体的には、ある時点から過去所定時間(T1)の間の左右方向位置の値(L/R)を平均化することにより、左右方向位置に係るスムージング値が得られる。そして、自己の車両の現在位置(最新のL/R)とスムージング値との差の2乗を過去所定時間(T2)について平均化した結果が蛇行量として求められ、この値により自己の車両の蛇行状況が把握されることになる。
【0040】
一方、自己の車両と前方車両との車間距離状況の把握については、次に説明する方法により算出することができる。
【0041】
例えば、図5(a)に示す画像情報のように、自己の車両が走行している車線内(白線101、102の間の領域)の情報を取り出し、この中から水平方向及び垂直方向のそれぞれについて像(前方車両等)のエッジ成分の情報が抽出される。そして、像のエッジを強調するために、垂直方向の行毎の画素の明るさ分布を表すヒストグラム及び水平方向の列毎の画素の明るさ分布を表すヒストグラムが作成され、必要な像の位置が特定される。
【0042】
例えば、垂直方向の行毎の画素の明るさ分布を表すヒストグラムにおいては、前方車両103の領域と路面に表示されている路面表示文字の領域とが強調されて現れているので、前方車両103の垂直方向の位置が特定される。
また、路面に表示されている路面表示文字等は移動しないので、オプティカルフローの情報を用いることによりノイズ成分として路面表示文字が除去され、図5(b)に示すような画像情報が取得される。
【0043】
このとき、図5(b)に示すように、画像領域の下端(自己の車両の先頭位置に相当)から前方車両103の領域の下端までの高さHが、車間距離と関連のある情報として取得される。カメラ10は自己の車両内に固定され、撮像方向及び画角は一定であるので、撮像された画像上の垂直方向の距離(寸法)を実際の自己の車両から前方車両までの進行方向の距離を表す車間距離に換算することができる。
【0044】
また、自己の車両の速度状況の把握については、車速センサ11が出力する信号SG11から走行速度が求められ、この走行速度は、現時点から過去所定時間内の期間について平均化される。この平均化された値に基づいて、自己の車両の速度状況が把握されることになる。
【0045】
次に、図1に示したQOD制御装置20の具体的な動作について説明する。
QOD制御装置20内の運転状態評価部27が行う動作が図2に示されている。
【0046】
運転状態評価部27は、図2に示すステップS11で、画像情報の取得及び保存の開始を指示する。具体的には、運転状態評価部27は前述したトリガー信号SG5とは別の信号を用いて動作開始の指示を記憶装置24に与える。記憶装置24は、この指示によりカメラ10から出力される画像情報を保存することになる。
【0047】
ステップS12では、運転状態評価部27は、蛇行状況の検出及び評価を行う。即ち、前述のようにカメラ10から出力される画像情報に基づいて白線検出部22が検出した一対の白線と自己の車両との相対的な位置関係を表す角度θL、θRを利用して、前述の蛇行量や車線逸脱を検出し、この結果について居眠り運転等の危険運転状態を評価する。
【0048】
ステップS13では、運転状態評価部27は走行速度検出部23が検出した自己の車両の走行速度の情報を取り込んで速度状況の検出及び評価を行う。即ち、居眠り運転等の危険運転状態で生じる不安定な速度変化の有無を調べる。
【0049】
ステップS14では、運転状態評価部27はカメラ10が出力する画像情報から前方車両検出部21が検出した前方車両の位置と自己の車両の位置とに基づいて、前述のように車間距離を検出し、車間距離状況の検出及び評価を行う。
ただし、安全な車間距離は走行速度に応じて大きく変化するので、本実施形態では評価対象のパラメータとして(車速/車間距離)の値が用いられる。なお、実際には所定時間内の累積値あるいは平均値が評価対象とされ、即ち(車速/車間距離)の値が所定の閾値を超えた場合に、危険運転状態として評価する。
【0050】
ステップS15では、ステップS12で検出された蛇行状況と、ステップS13で検出された速度状況と、ステップS14で検出された車間距離状況と、を1組の運転状況情報としてデジタルタコグラフ30に出力する。これらの情報はデジタルタコグラフ30により時系列で並ぶ情報としてメモリーカード31に記録されることになる。
【0051】
次に、ステップS16では、蛇行状況に基づき危険運転状態を検出した(例えば、蛇行量が閾値以上又は車線逸脱あり)かどうかを運転状態評価部27が判断し、危険運転状態を検出した時にはステップS19に進み、検出してなければステップS17に進む。
【0052】
ステップS17では、速度状況に基づき危険運転状態を検出した(例えば、走行速度が不安定)かどうかを運転状態評価部27が判断し、危険運転状態を検出した時にはステップS19に進み、検出してなければステップS18に進む。
【0053】
ステップS18では、車間距離状況に基づき危険運転状態を検出した(例えば車速/車間距離の平均値が閾値以上)かどうかを運転状態評価部27が判断し、危険運転状態を検出した時にはステップS19に進み、検出してなければステップS12に戻り処理を繰り返す。
【0054】
そして、ステップS19では、運転状態評価部27は、走行中の自己の車両が危険運転状態にあると判定して、トリガー信号SG5を、デジタルタコグラフ30及び記憶装置24に出力する。
【0055】
そして、ステップS20では、デジタルタコグラフ30は、入力されたトリガー信号SG5に基づいて、危険運転状態を報知するための印であるフラグを、このときトリガー信号が発生した時点で収集された運転状況情報に関連付けてメモリーカード31に記録する。
【0056】
運転状態評価部27は、デジタルタコグラフ30がメモリーカード31へのフラグの保存の保存を完了したことをステップS21で検出すると、ステップS11に戻って上記の処理を繰り返す。
【0057】
このように、運転状態評価部27が危険運転状態を検出するたびに、トリガー信号SG5が出力され、そしてこのトリガー信号SGに基づき、デジタルタコグラフ30が、危険運転状態が発生したことを表すフラグを、運転状況評価部27が出力した運転状況情報に、時系列的に関連付けてメモリーカード31に記録することができる。
【0058】
また、デジタルタコグラフ30は、一般的な運行記録器と同様に、車速センサ11が出力する車速信号SG11により検出された走行速度、エンジン回転センサ13が出力する信号SG14により検出されたエンジン回転数、GPS受信機14が検出した車両の位置情報及び地図情報等も、時系列情報としてメモリーカード31に定期的に自動的に記録している。このため、デジタルタコグラフ30は、走行速度、エンジン回転数、車両の位置情報及び地図情報等にも、時系列的に関連付けてメモリーカード31に記録することができる。
【0059】
ここで、図2に示すステップS20をデジタルタコグラフ30が実行することにより、例えば図8に示すような印(フラグ)を、データの中の問題(異常発生)箇所に、即ち時系列的に関連付けがわかるように書き込み、管理者等にデータの重要な箇所を報知することができる。
【0060】
例えば、図8に示す例では、急発進マーク、急加速マーク、急減速マーク、蛇行異常マーク、車線逸脱マーク、車間異常マークを該当する問題箇所に記録する場合を想定している。図8に示す蛇行異常マークM11、M12及び車線逸脱マークM21については、図2のステップS16で検出される蛇行状況の異常や車線逸脱の結果としてステップS20で記録されるフラグに相当する。また、図8に示す車間異常マークM31については、図2のステップS18で検出される車間距離の異常に対してステップS20で記録されるフラグに相当する。
【0061】
以上説明したように、本実施形態によれば、運転中に運転状態評価部27の監視により得られる運転状況情報が時系列にデジタルタコグラフ30により保存されると共に、この運転状況情報に基づいて運転状態評価部27により危険運転状態と判定されるときにトリガー信号SG5が出力される。そして、このトリガー信号SG5に基づいてデジタルタコグラフ30により、危険運転状態が発生じた時点の運転状況情報に印(フラグ)が付されて記録されることになる。このため、運転者以外の管理者等が、運転状況情報をフラグと合わせて確認することにより、該当する運転者が安全運転をおこなっているかを客観的且つ容易に判断することができる。即ち、収集された運転状況情報を確認する管理者等は、大量の時系列に並んだ運転状況情報の中からフラグを探すことにより、安全運転上問題のある箇所をすばやく見つけることができる。このため、分析対象のデータ量が膨大であっても、管理者等の分析にかかる時間等の負担を大幅に低減することが可能になる。例えば、運転者が居眠り運転等を行っている状態では、自車両と前方の車両との車間距離が通常よりも小さくなる可能性が高いので、収集された車間距離の時系列情報からフラグを介して異常値(例えば車間距離が閾値以下のもの)を見つけることにより、居眠り運転の可能性を管理者が容易に且つ迅速に認識できる。
【0062】
また、蛇行状況や、車間距離状況等に関連する情報が運行記録としてメモリーカード31に記録され、このメモリーカード31は取り外して車外に持ち出すことができる。このため、運転者の走行終了後、その車両から取り外したメモリーカード31を管理者等が受け取り、所定の分析システム(例えば、パーソナルコンピュータ等)を利用してメモリーカード31からデータを読み込むことによりデータを分析することができるので、危険運転状態の評価の取扱性を高めることができる。
【0063】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について、図6〜図7を参照しながら説明する。
図6は、第2実施形態に係る分析装置を示す図である。図7は、分析装置の動作を示すフローチャートである。
【0064】
本実施形態では、危険運転状態に基づくトリガー信号SG5の発生を運転状態評価部27は行わず(即ち、トリガー信号生成部としては機能せず)、且つフラグの記録をデジタルタコグラフ30も行わない(即ち、フラグ記録制御部としては機能しない)構成であり、その代わりに、他の装置を用いて、メモリーカード31に記録されているデータに含まれている蛇行状況や、車間距離状況等に関連する情報に基づいて運転状態評価部27と同様の評価処理を後処理として、運行終了後実施して、そのデータにフラグを記録・追加する構成である。
即ち、本実施形態の場合には、前述の第1実施形態とは異なり、QOD制御装置20やデジタルタコグラフ30とは別に設けた、例えば所定の分析プログラムが搭載されたパーソナルコンピュータ等で構成される分析装置(フラグ記録制御部)60を用いて、運行終了後実施するものである。
なお、本実施形態は、分析装置60を用いて、蛇行状況や、車間距離状況等に関連する情報に基づいて運転状態評価部27と同様の評価処理を、後処理として運行終了後実施して、そのデータにフラグを記録・追加すること以外は、第1実施形態と略同様な構成であるので、共通する部分の説明を簡略化又は省略する。
【0065】
分析装置60は、図6に示すように、例えばパーソナルコンピュータのように入力操作部(キーボードやマウス)60b及び表示部(ディスプレイ)60aが接続された分析装置本体60cと、この分析装置本体60c内に搭載された分析プログラム(不図示)と、により構成されている。また、メモリーカード31のデータを読み取るために分析装置本体60cにはカードリーダ/ライタ(不図示)が内蔵されている。
【0066】
分析装置60の主要な動作が図7に示されている。即ち、管理者等が分析装置60のコンピュータ上で所定の分析プログラムを起動し、メモリーカード31をこのコンピュータに装着した場合に図9に示す動作が実行される。図9に示す動作について以下に説明する。
【0067】
ステップS41では、分析装置60のコンピュータは管理者等によって装着されたメモリーカード31に保存されているデータ(デジタルタコグラフ30が記録したデータ)を読み込む。
【0068】
ステップS42では、メモリーカード31から読み込んだデータに既にフラグが記録されているかどうかを調べる。
即ち、図1に示したシステムのように、QOD制御装置20が危険運転状態を検出したときに、デジタルタコグラフ30がフラグを自動的に記録するように動作する場合には、分析装置60自身がフラグを生成する必要はないが、フラグを記録する機能がデジタルタコグラフ30やQOD制御装置20に備わっていない場合もあるので、フラグ生成の必要性の有無をステップS42で識別する。実際には、メモリーカード31に記録されているデータの内容から自動的に識別するように制御しても良いし、ユーザ(管理者等)の入力操作に従ってフラグ生成の必要性の有無を識別しても良い。フラグが記録済みであればステップS49に進み、フラグを生成する必要がある場合にはステップS43に進む。
【0069】
ステップS43では、分析装置60はメモリーカード31から読み込んだデータの中に含まれている蛇行状況、速度状況、車間距離状況を順番に評価して異常の有無を調べる。
【0070】
ステップS44では、メモリーカード31から読み込んだ全てのデータの評価が完了したかどうかを調べ、完了してなければステップS45に進み、完了した場合はステップS49に進む。
【0071】
ステップS45では、分析装置60はメモリーカード31から読み込んだ各データの評価の結果として、蛇行(車線逸脱を含む)に関する異常の有無を調べ、異常がない場合はステップS46に進み、異常がある場合はステップS48に進む。
【0072】
ステップS46では、分析装置60はメモリーカード31から読み込んだ各データの評価の結果として、走行速度に関する異常の有無を調べ、異常がない場合はステップS47に進み、異常がある場合はステップS48に進む。
【0073】
ステップS47では、分析装置60はメモリーカード31から読み込んだ各データの評価の結果として、車間距離に関する異常の有無を調べ、異常がない場合はステップS43に進み、異常がある場合はステップS48に進む。
【0074】
ステップS48では、分析装置60のコンピュータはメモリーカード31から読み込んだデータの中の、異常を検出した箇所に、危険運転状態を報知するための印であるフラグを関連付けて記録する。そして、このフラグはメモリーカード31に書き込まれることになる。
【0075】
ステップS49では、分析装置60は、メモリーカード31から読み込んだデータの中から前述のフラグがある箇所をデータの先頭側から順番に検出する。
【0076】
ステップS50では、分析装置60は、ステップS49で検出した箇所とその前後のデータを抽出し、これらデータ(車速、エンジン回転数、位置、時間、蛇行量、車間距離等)を、危険運転状態を報知するための印(図8のM11、M12、M21、M31に相当)と共にグラフのような見やすい時系列データとして画面に表示する。
【0077】
ステップS51では、分析対象の時系列データの最後まで処理が終了したかどうかを調べる。終了してなければステップS52に進む。
【0078】
ステップS52では、次の画面を表示するためのユーザ(管理者)からの指示(入力操作)を待つ。指示を検出したらステップS49に戻って前述の処理を繰り返す。
【0079】
以上説明したように、本実施形態では、運転中に運転状況評価部27の監視により得られる運転状況情報が時系列にデジタルタコグラフ30によりメモリーカード31に保存される。そして、このメモリーカード31を介して運転状況情報が分析装置60により読み込まれ、且つこの分析装置60によりこの運転状況情報に基づいて危険運転状態の発生の有無が判定され、この判定の結果により危険運転状態が発生じた時点の運転状況情報に印(フラグ)が付されて記録されることになる。このため、前述の第1実施形態と同様な効果を奏することができ、即ち、運転者以外の管理者等が、運転状況情報をフラグと合わせて確認することにより、該当する運転者が安全運転をおこなっているかを客観的且つ容易に判断することができる。
【0080】
以上のように、本発明の車両用運行記録評価装置は、例えば、タクシーやバス、トラック等の主として業務用の車両に搭載して使用することが想定でき、車両の安全運転上、車両事故に繋がるおそれのある危険運転状態を管理者等が客観的且つ迅速に把握することができ、各運転者に対して安全運転を促し、事故を未然に防止するために利用できる。
【0081】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、前述した実施形態における各構成要素の態様、機能、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】第1実施形態におけるシステム主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すQOD制御装置の動作の概略を示すフローチャートである。
【図3】図1に示すデジタルタコグラフの構成例を示すブロック図である。
【図4】カメラの撮像により得られる画像の具体例を表す正面図である。
【図5】図4に示す画像を処理して得られる情報の内容を示す模式図である。
【図6】第2実施形態に係る分析装置を示す図である。
【図7】分析装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】運行記録データを分析する際に利用される印の具体例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0083】
10 カメラ(撮像手段)
11 車速センサ(車速検出手段)
12 ウインカースイッチ
13 エンジン回転センサ
14 GPS受信機
20 QOD制御装置
21 前方車両検出部
22 白線検出部(区切線検出部)
23 走行速度検出部
24 記録装置
27 運転状態評価部(運転状況監視部、トリガー信号生成部)
28 時計回路
30 デジタルタコグラフ(フラグ制御記録部)
31 メモリーカード(記録部)
41 CPU
42 ROM
43 EEPROM
44 RAM
45 操作部
46 表示部
47 警告部
48 インタフェース部
49 カード挿入部
60 分析装置(フラグ制御記録部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行中の蛇行状況、当該車両の走行中の速度状況、前記車両と当該車両の前方に位置する前方車両との走行中の車間距離状況、のうち少なくともいずれかを把握して、これら状況を示す運転状況情報を出力する運転状況監視部と、
少なくとも当該運転状況監視部が出力した当該運転状況情報を繰り返し収集して、当該運転状況情報を時系列的に保存するデータ記録制御部と、
前記運転状況監視部が出力した前記運転状況情報に基づいて、前記車両の安全運転上、車両事故に繋がるおそれのある危険運転状態の発生の有無を判定し、そして当該危険運転状態が発生したと判定されるときに所定のトリガー信号を出力するトリガー信号生成部と、
当該トリガー信号生成部が出力した当該所定のトリガー信号に基づいて、当該危険運転状態を報知するための印であるフラグを、当該トリガー信号が発生した時点で収集された前記運転状況情報に関連付けて当該フラグを記録するフラグ記録制御部と、
を備える
ことを特徴とする車両用運行記録評価装置。
【請求項2】
車両の走行中の蛇行状況、当該車両の走行中の速度状況、前記車両と当該車両の前方に位置する前方車両との走行中の車間距離状況、のうち少なくともいずれかを把握して、これら状況を示す運転状況情報を出力する運転状況監視部と、
少なくとも当該運転状況監視部が出力した当該運転状況情報を繰り返し収集して、当該運転状況情報を所定の記録部に、時系列的に保存するデータ記録制御部と、
当該データ記録制御部が保存した当該運転状況情報を当該所定の記録部から読み出し、当該運転状況状態に基づいて前記車両の安全運転上、車両事故に繋がるおそれのある危険運転状態の発生の有無を判定し、そして当該危険運転状態が発生したと判定されるときに、当該危険運転状態を報知するための印であるフラグを、当該危険運転状態が発生した時点で収集された前記運転状況情報に関連付けて当該フラグを記録するフラグ記録制御部と、
を備える
ことを特徴とする車両用運行記録評価装置。
【請求項3】
前記車両に少なくとも1つ搭載され、且つ当該車両の走行方向前方の周辺の状況を撮像して画像情報を出力する撮像手段と、
当該撮像手段により出力された前記画像情報を処理して、当該画像情報に含まれる、前記車両の走行中自車線の両側に位置する一対の区切線を検出する区切線検出部と、
を更に備え、
前記運転状況監視部は、当該区切線検出部により検出された前記一対の区切線により、当該一対の区切線と前記車両との相対的な位置関係を認識し、そして当該相対的な位置関係の変化に基づいて前記蛇行状況を把握する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用運行記録評価装置。
【請求項4】
前記車両に少なくとも1つ搭載され、且つ当該車両の走行方向前方の周辺の状況を撮像して画像情報を出力する撮像手段と、
前記撮像手段により出力された前記画像情報を処理して、当該画像情報に含まれる、前記車両の走行方向の前方に存在する前方車両を検出する前方車両検出部と、
前記車両の走行速度を検出する車速検出手段と、
を更に備え、
前記運転状況監視部は、当該前方車両検出部により検出された前方車両により、当該前方車両の位置を認識して当該前方車両と前記車両との車間距離を検出し、且つこの検出した車間距離と、前記車速検出手段により検出された走行速度と、に基づいて前記車間距離状況を把握する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用運行記録評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−199328(P2009−199328A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40209(P2008−40209)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】