車両用運転支援装置
【課題】自動制動で自車両が停止した後に運転者に対してアクセルペダルの踏み込みの解除を促すことができる。
【解決手段】車両用衝突回避制動支援装置1は、障害物への自車両の接近に関してリスクポテンシャルを算出する支援情報演算部30と、支援情報演算部30が算出したリスクポテンシャルに基づいて、自車両に制動力を付与する制動力演算部40及び制動力付与装置8と、自車両・障害物情報取得部20が検出した自車両の走行状態と制動力演算部40及び制動力付与装置8が制動力を付与したことに基づき該制動力を付与したことによって自車両が停止したと判定すると、アクセルペダル反力を付与するアクセルペダル反力演算部50及びアクセルペダル反力付与装置9と、を有する。
【解決手段】車両用衝突回避制動支援装置1は、障害物への自車両の接近に関してリスクポテンシャルを算出する支援情報演算部30と、支援情報演算部30が算出したリスクポテンシャルに基づいて、自車両に制動力を付与する制動力演算部40及び制動力付与装置8と、自車両・障害物情報取得部20が検出した自車両の走行状態と制動力演算部40及び制動力付与装置8が制動力を付与したことに基づき該制動力を付与したことによって自車両が停止したと判定すると、アクセルペダル反力を付与するアクセルペダル反力演算部50及びアクセルペダル反力付与装置9と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
運転を支援する技術としては、例えば特許文献1に記載の従来技術がある。
この従来技術では、先ず、一時停止線の手前において運転者によるアクセル操作を無効化する。また、この従来技術では、一時停止線における車両の停止後、運転者が交差点周囲の交通状況を確認するための所定の確認動作を検出する。そして、この従来技術では、その確認動作の検出後、運転者によるアクセル操作を有効化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−48198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、運転者がアクセルペダルを踏んでいる状況下で、障害物への自車両の接近リスクに基づき自動制動によって自車両を停止させた場合には、車両停止後も運転者がアクセルペダルをそのまま踏み続けてしまう恐れがある。例えば、アクセルペダルをブレーキペダルと間違えて運転者が踏み続けてしまうような場合である。
【0005】
このように自動制動後に運転者がアクセルペダルを踏み続けている場合に前記従来技術を適用しても、運転者の確認動作に基づいてアクセルの踏み込みを無効化してしまうため、無効化が解除されたら、そのアクセルペダル踏み込み量に応じて運転者が意図せず車両が発進してしまう恐れがある。
本発明の目的は、自動制動で自車両が停止した後に運転者に対してアクセルペダルの踏み込みの解除を促すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の一実施態様は、障害物への自車両の接近リスクポテンシャルと自車両の走行状態とを検出する。また、本発明の一実施態様は、検出した接近リスクポテンシャルに基づいて自車両に自動制動力を付与する。そして、本発明の一実施態様は、検出した自車両の走行状態及び自動制動力を付与したことに基づき自動制動力を付与したことによって自車両が停止したと判定すると、アクセルペダル反力を付与する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、接近リスクポテンシャルに基づいて自動制動力を付与して自車両が停止したときに、アクセルペダル反力を付与するため、自動制動で自車両が停止した後に運転者に対してアクセルペダルの踏み込みの解除を促すことができ、運転者の意図しない発進を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態の車両用衝突回避制動支援装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】自車両・障害物情報取得部の構成例を示すブロック図である。
【図3】支援情報演算部の構成例を示すブロック図である。
【図4】制動力演算部の構成例を示すブロック図である。
【図5】アクセルペダル反力演算部の構成例を示すブロック図である。
【図6】アクセルペダル開度量とアクセルペダル反力量との関係の一例を示す特性図である。
【図7】アクセルペダル開度量と停止時用アクセルペダル反力量初期値F0との関係の一例を示す特性図である。
【図8】アクセルペダル踏込時間と停止時用アクセルペダル反力オフセット量Foffとの関係の一例を示す特性図である。
【図9】停止時用閾値設定部等による一連の処理例を示すフローチャートである。
【図10】自車両に自動で付与される減速度、及びアクセルペダル反力量の一例を示す図である。
【図11】車両用衝突回避制動支援装置において算出される停止時用アクセルペダル反力指令値の一例を示す特性図である。
【図12】零以外の停止時用アクセルペダル反力指令値が第2設定時間継続して出力された場合の停止時用アクセルペダル反力指令値の変化の一例を示す特性図である。
【図13】リスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値以下になった場合の停止時用アクセルペダル反力指令値の変化の一例を示す特性図である。
【図14】アクセル開度が零の状態が第1設定時間継続した場合の停止時用アクセルペダル反力指令値の変化の一例を示す特性図である。
【図15】旋回走行前にアクセルペダルを付与する車両用衝突回避制動支援装置の構成例を示すブロック図である。
【図16】旋回走行前に自車両に付与されるアクセルペダル反力量、及び車両停止時に自車両に付与されるアクセルペダル反力量の一例を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態を図面を参照しつつ説明する。
本実施形態は、車両に搭載される車両用衝突回避制動支援装置である。
【0010】
(構成)
図1は、車両用衝突回避制動支援装置1の構成例を示すブロック図である。
車両用衝突回避制動支援装置1は、図1に示すように、車輪速センサ2、障害物情報検出センサ3、アクセル開度センサ4、スロットル開度センサ5、シフトポジションセンサ6、コントローラ7、制動力付与装置8、及びアクセルペダル反力付与装置9を有している。
【0011】
ここで、例えば、コントローラ7は、マイクロコンピュータ及びその周辺回路を備えている。すなわち例えば、コントローラ7は、一般的なECU(Electronic Control Unit)と同様にCPU、ROM、RAM等によって構成されている。そして、ROMには、各種処理を実現する1又は2以上のプログラムが格納されている。CPUは、ROMに格納されている1又は2以上のプログラムに従って各種処理を実行する。
【0012】
そして、コントローラ7は、図1に示すように、自車両・障害物情報取得部20、支援情報演算部30、制動力演算部40、及びアクセルペダル反力演算部50を有している。ここで、自車両・障害物情報取得部20、支援情報演算部30、制動力演算部40、及びアクセルペダル反力演算部50は、プログラムによってコントローラ7の機能として構成されている。
【0013】
車輪速センサ2、障害物情報検出センサ3、アクセル開度センサ4、スロットル開度センサ5及びシフトポジションセンサ6は、検出した検出値(センサ値)を自車両・障害物情報取得部20に出力する。
自車両・障害物情報取得部20は、各種センサからのセンサ値が入力され、その入力されたセンサ値に基づいて各種情報を取得する。そして、自車両・障害物情報取得部20は、取得した各種情報を支援情報演算部30に出力する。
【0014】
図2は、自車両・障害物情報取得部20の構成例を示すブロック図である。
自車両・障害物情報取得部20は、図2に示すように、自車速演算部21、自車加減速度演算部22、障害物情報演算部23、アクセル開度検出部24、エンジントルク検出部25、シフトポジション検出部26、及び自車両・障害物情報出力部27を有している。
自車速演算部21は、車輪速センサ2からの車輪速センサ値に基づいて自車速を算出する。そして、自車速演算部21は、算出した自車速を自車両・障害物情報出力部27に出力する。
【0015】
自車加速減速度演算部22は、車輪速センサ2からの車輪速センサ値に基づいて自車加減速度を算出する。そして、自車加速減速度演算部22は、算出した自車加減速度を自車両・障害物情報出力部27に出力する。
障害物情報演算部23は、障害物情報検出センサ3からの障害物情報検出値に基づいて障害物情報を算出する。そして、障害物情報演算部23は、算出した障害物情報を自車両・障害物情報出力部27に出力する。
【0016】
ここで、障害物情報検出センサ3は、例えばレーザーレーダやミリ波レーダ、ステレオカメラ等である。また、障害物情報は、障害物との距離、障害物との相対速度、及び障害物との相対加減速度である。例えば、障害物との相対速度については、障害物情報検出センサ3によって検出した障害物との距離を時間微分するなどの演算を行い求めても良い。また、障害物との相対加減速度については、障害物情報検出センサ3によって検出した障害物との相対速度を時間微分するなどの演算を行い求めても良い。
【0017】
アクセル開度検出部24は、アクセル開度センサ4からのアクセル開度センサ値に基づいてアクセル開度を算出する。そして、アクセル開度検出部24は、算出したアクセル開度を自車両・障害物情報出力部27に出力する。
エンジントルク検出部25は、スロットル開度センサ5からのスロットル開度センサ値に基づいてエンジントルクを算出する。そして、エンジントルク検出部25は、算出したエンジントルクを自車両・障害物情報出力部27に出力する。
【0018】
シフトポジション検出部26は、シフトポジションセンサ6からのシフトポジションセンサ値に基づいてシフトポジションを検出する。そして、シフトポジション検出部26は、検出したシフトポジションを自車両・障害物情報出力部27に出力する。
自車両・障害物情報出力部27は、自車速演算部21、自車加速減速度演算部22、障害物情報演算部23、アクセル開度検出部24、エンジントルク検出部25、及びシフトポジション検出部26からの自車両・障害物情報が入力される。そして、自車両・障害物情報出力部27は、入力された自車両・障害物情報を支援情報演算部30に出力する。
【0019】
ここでいう自車両・障害物情報は、自車速、自車加減速度、障害物情報、アクセル開度、エンジントルク、及びシフトポジションの情報である。
支援情報演算部30は、自車両・障害物情報取得部20からの自車両・障害物情報に基づいて支援情報を算出する。そして、支援情報演算部30は、算出した支援情報を制動力演算部40及びアクセルペダル反力演算部50に出力する。
【0020】
図3は、支援情報演算部30の構成例を示すブロック図である。
支援情報演算部30は、図3に示すように、リスクポテンシャル演算部31、外乱推定部32、及び支援情報出力部33を有している。
リスクポテンシャル演算部31は、自車両・障害物情報取得部20からの自車両・障害物情報に基づいてリスクポテンシャルを算出する。そして、リスクポテンシャル演算部31は、算出したリスクポテンシャルを支援情報出力部33に出力する。
【0021】
ここで、具体的には、先ず、リスクポテンシャル演算部31は、下記(1)式を用いて、自車両・障害物情報取得部20からの障害物との距離D_tar(m)、障害物との相対速度V_tar(m/s)に基づいて、到達時間TTCを算出する。
TTC=D_tar/V_tar ・・・(1)
そして、リスクポテンシャル演算部31は、算出した到達時間TTCが小さいほど高くなり、到達時間TTCが大きいほど低くなるリスクポテンシャルの演算を行う。このようなことから、例えば、リスクポテンシャルは、到達時間TTCの逆数であっても良い。
【0022】
このように、リスクポテンシャルとは、障害物との距離や障害物との相対速度、到達時間等を変数とする値であり、障害物への自車両の接近リスクの高さの指標と言える。
外乱推定部32は、自車両・障害物情報取得部20からの自車両・障害物情報、及び制動力演算部40の制動力演算処理結果に基づいて外乱推定値を算出する。そして、外乱推定部32は、算出した外乱推定値SUBを支援情報出力部33に出力する。
【0023】
ここで、具体的には、外乱推定部32は、前回処理時に制動力演算部40が自車両に制動力を付与すると判断して算出した制動力指令値が予め設定した値以上のとき、外乱推定値を算出する。この場合、外乱推定部32は、下記(2)式を用いて、自車両・障害物情報取得部4からの自車両の加減速度A(m/s2)及び前回処理時の制動力指令値P_brkに基づいて外乱推定値SUBを算出する。
【0024】
SUB=|(A/P_brk)×ARMYU| ・・・(2)
ここで、ARMYUは、制動力指令値演算部44が制動力指令値P_brkの算出に使用する制動量制動力変換係数である。また、予め設定した値は、例えば0.5(MPa)である。
一方、外乱推定値SUBを以上の演算で算出しない場合、外乱推定部32は、外乱推定値SUBを1に設定する。
【0025】
支援情報出力部33は、自車両・障害物情報取得部20、リスクポテンシャル演算部31及び外乱推定部32からの情報を制動力演算部40及びアクセルペダル反力演算部50に出力する。
制動力演算部40は、支援情報演算部30からの情報に基づいて制動力付与装置8の制動力指令値を算出する。そして、制動力演算部40は、算出した制動力指令値を制動力付与装置8に出力する。
【0026】
図4は、制動力演算部40の構成例を示すブロック図である。
制動力演算部40は、図4に示すように、閾値設定部41、制動力付与判断部42、制動量演算部43、及び制動力指令値演算部44を有している。
閾値設定部41は、制動力付与判断を行うための閾値を設定する。そして、閾値設定部41は、設定した閾値(以下、制動力付与判断用閾値という。)を制動力付与判断部42に出力する。
【0027】
ここで、具体的には、先ず、閾値設定部41は、外乱推定部32が算出した外乱推定値SUBが大きいほど大きくなるように、予め設定した到達時間TTC_0(例えば到達時間判断用閾値の初期値)を補正処理して到達時間判断用閾値TTC_thを設定する。そして、閾値設定部41は、設定した到達時間判断用閾値TTC_thになるときの到達時間TTCに対応するリスクポテンシャルを制動力付与判断用閾値として設定する。ここで、例えば、到達時間TTC_0は1である。また、到達時間判断用閾値TTC_thは、補正処理によって0.8以上1.2以下の範囲で設定される。
【0028】
制動力付与判断部42は、自車両への制動力付与の判断を行う。そして、制動力付与判断部42は、その制動力付与の判断結果を制動量演算部43及び支援情報演算部30に出力する。
ここで、具体的には、制動力付与判断部42は、支援情報演算部30から取得したリスクポテンシャルが、閾値設定部41が設定した制動力付与判断用閾値より大きい場合(リスクポテンシャル>制動力付与判断用閾値)、自車両に制動力を付与すると判断する。また、制動力付与判断部42は、それ以外の場合(リスクポテンシャル≦制動力付与判断用閾値)、自車両に制動力を付与しないと判断する。
【0029】
制動量演算部43は、制動力付与装置8の制動量を算出する。そして、制動量演算部43は、算出した制動量を制動力指令値演算部44に出力する。
ここで、具体的には、制動量演算部43は、制動力付与判断部42の制動力付与判断結果に基づいて制動量を設定する。より詳しくは、制動量演算部43は、制動力付与判断部42が制動力を付与すると判断した場合(リスクポテンシャル>制動力付与判断用閾値)、予め設定した減速度DEC_0(m/s2)を制動量(減速度)DEC(m/s2)に設定する。このとき、制動量演算部43は、DEC_0(m/s2)に至るまでの制動量DECの増加を予め設定した増加率により制限する。ここで、例えば、増加率は10.0(m/s3)であり、制御量DEC_0は5.0(m/s2)である。
【0030】
また、制動量演算部43は、制動力付与判断部42が制動力を付与しないと判断した場合(リスクポテンシャル≦制動力付与判断用閾値)、制動量DECを零に設定する。
制動力指令値演算部44は、制動力付与装置8の制動力指令値を算出する。そして、制動力指令値演算部44は、算出した制動力指令値を支援情報演算部30及び制動力付与装置8に出力する。
【0031】
ここで、具体的には、制動力指令値演算部44は、下記(3)式を用いて、制動力指令値P_brk(MPa)を算出する。
P_brk=DEC×ARMYU×α_armyu1 ・・・(3)
ここで、DECは、制動量演算部43が算出した値である。また、ARMYUは、制動量制動力変換係数であり、予め設定された値である。例えば、制動量制動力変換係数ARMYUは0.811である。また、α_armyu1は、制動量制動力変換係数補正ゲインである。
【0032】
ここで、制動量制動力変換係数補正ゲインα_armyu1は、外乱推定部32が算出した外乱推定値SUBに基づいて設定される。具体的には、制動量制動力変換係数補正ゲインα_armyu1は、外乱推定値SUBが制動を妨げるほど、すなわち外乱推定値SUBが小さいほど大きい値になる。このようなことから、例えば、制動量制動力変換係数補正ゲインα_armyu1は、外乱推定値SUBの逆数であっても良い。また、例えば、制動量制動力変換係数補正ゲインα_armyu1は、0.8を下限とし1.2を上限とした範囲内の値をとる。
【0033】
制動力付与装置8は、制動力演算部40からの制動力指令値に基づいて制動力を付与する。例えば、制動力付与装置8は、油圧式ブレーキアクチュエータに液圧を付与する。
一方、アクセルペダル反力演算部50は、支援情報演算部30からの情報に基づいてアクセルペダル反力指令値を算出する。そして、アクセルペダル反力演算部50は、算出したアクセルペダル反力指令値をアクセルペダル反力付与装置9に出力する。
【0034】
図5は、アクセルペダル反力演算部50の構成例を示すブロック図である。
アクセルペダル反力演算部50は、図5に示すように、閾値設定部51、アクセルペダル反力付与判断部52、アクセルペダル反力量演算部53、及びアクセルペダル反力指令値演算部54を有している。また、アクセルペダル反力演算部50は、停止時用閾値設定部55、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56、停止時用アクセルペダル反力量演算部57、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58、及びアクセルペダル反力指令値選択部59を有している。
【0035】
閾値設定部51は、アクセルペダル反力付与判断を行うための閾値を設定する。そして、閾値設定部51は、設定した閾値(以下、アクセルペダル反力付与判断用閾値という。)をアクセルペダル反力付与判断部52に出力する。
ここで、具体的には、閾値設定部51は、支援情報演算部30から取得した外乱推定値が自車両の制動を妨げるほど小さくなるようにアクセルペダル反力付与判断用閾値を設定する。
【0036】
アクセルペダル反力付与判断部52はアクセルペダル反力付与の判断を行う。そして、アクセルペダル反力付与判断部52は、そのアクセルペダル反力付与の判断結果をアクセルペダル反力量演算部53に出力する。
ここで、具体的には、アクセルペダル反力付与判断部52は、支援情報演算部30から取得したリスクポテンシャルが、閾値設定部51が設定したアクセルペダル反力付与判断用閾値より大きい場合(リスクポテンシャル>アクセルペダル反力付与判断用閾値)、アクセルペダル反力を付与すると判断する。また、アクセルペダル反力付与判断部52は、それ以外の場合(リスクポテンシャル≦アクセルペダル反力付与判断用閾値)、アクセルペダル反力を付与しないと判断する。
【0037】
アクセルペダル反力量演算部53は、アクセルペダル反力量を算出する。そして、アクセルペダル反力量演算部53は、算出したアクセルペダル反力量をアクセルペダル反力指令値演算部54に出力する。
ここで、具体的には、アクセルペダル反力量演算部53は、アクセルペダル反力付与判断部52のアクセルペダル反力付与の判断結果に基づいてアクセルペダル反力量を算出する。すなわち、アクセルペダル反力量演算部53は、アクセルペダル反力付与判断部52がアクセルペダル反力を付与すると判断した場合、アクセルペダル反力量を算出する。ここで、アクセルペダル反力量演算部53は、アクセル開度が大きいほど、すなわち、アクセルペダルの踏み込み量(アクセルペダル開度量)が多いほど、アクセルペダル反力量を大きい値にする。このとき、例えば、アクセルペダル反力量演算部53は、20(N)以上25(N)以下の範囲内でアクセルペダル反力量を算出する。
【0038】
図6は、アクセルペダル開度量とアクセルペダル反力量との関係の一例を示す特性図である。
アクセルペダル反力量は、図6に示すように、アクセルペダル開度量が多いほど多くなる。より詳しくは、アクセルペダル開度量が少ない領域ではアクセルペダル反力量は最小値Fmin1に維持される。そして、アクセルペダル開度量が中程度の領域でアクセルペダル開度量が多いほどアクセルペダル反力量は多くなる。また、アクセルペダル開度量が多い領域ではアクセルペダル反力量は最大値Fmax1に維持される。ここで、例えば、Fmin1は20(N)である。また、最大値Fmax1は25(N)である。
【0039】
アクセルペダル反力指令値演算部54は、アクセルペダル反力指令値を算出する。そして、アクセルペダル反力指令値演算部54は、算出したアクセルペダル反力指令値をアクセルペダル反力指令値選択部59に出力する。
ここで、具体的には、アクセルペダル反力指令値演算部54は、アクセルペダル反力付与判断部52がアクセルペダル反力を付与すると判断した後、アクセルペダル反力量演算部53が算出したアクセルペダル反力量までアクセルペダル反力指令値を増加させる。このとき、アクセルペダル反力指令値演算部54は、予め設定した増加率でアクセルペダル反力指令値を増加させる。ここで、例えば、予め設定した増加率は7.5(N/sec)である。
【0040】
そして、アクセルペダル反力指令値演算部54は、アクセルペダル反力指令値がアクセルペダル反力量に達すると、その後、支援情報演算部30から取得したアクセル開度が零になるまでアクセルペダル反力指令値を維持する。
また、アクセルペダル反力付与判断部52がアクセルペダル反力を付与しないと判断した場合に、前回処理時にアクセルペダル反力指令値が零以外の値となっているときには、アクセルペダル反力指令値演算部54は、アクセルペダル反力指令値を零まで減少させる。このとき、アクセルペダル反力指令値演算部54は、予め設定した減少率でアクセルペダル反力指令値を減少させる。ここで、例えば、予め設定した減少率は30(N/sec)である。
【0041】
そして、アクセルペダル反力指令値演算部54は、アクセルペダル反力指令値が零になった以降では、アクセルペダル反力付与判断部52がアクセルペダル反力を付与すると判断するまでアクセルペダル反力指令値を零に維持する。
停止時用閾値設定部55は、自車両が停止しているときの停止時用ペダル反力付与判断を行うための閾値を設定する。そして、閾値設定部51は、設定した閾値(以下、停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値という。)を停止時用アクセルペダル反力付与判断部56に出力する。
【0042】
ここで、具体的には、停止時用閾値設定部55は、停止中の自車両前方の障害物(例えば前方車両)が止まっている間はアクセルペダル反力が付与されるように停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値を設定する。このとき、停止時用閾値設定部55は、障害物との相対距離や相対速度に基づいて停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値を設定する。例えば、その設定は、障害物との相対距離が小さく、かつ障害物との相対速度が該障害物と離れる方向を示してない場合にアクセルペダル反力を付与することを想定して行うのが望ましい。
【0043】
停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、停止時用アクセルペダル反力付与の判断を行う。そして、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、その停止時用アクセルペダル反力付与の判断結果を停止時用アクセルペダル反力量演算部57に出力する。
ここで、具体的には、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、支援情報演算部30から取得したリスクポテンシャルが、停止時用閾値設定部55が設定した停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値より大きく、かつ制動力演算部40により自動で制動力が付与されて自車両が停止したと判断した場合、停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断する。また、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、それ以外の場合、停止時用アクセルペダル反力を付与しないと判断する。すなわち例えば、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、リスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値以下の場合や、制動力演算部40により自動で制動力が付与されたことに起因せず自車両が停止した場合、停止時用アクセルペダル反力を付与しないと判断する。
【0044】
ここで、例えば、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、自車速が予め設定した値(例えば、0(km/h)以上かつ0.8(km/h)以下の値)以下のとき、自車両が停止したと判断する。
停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、停止時用アクセルペダル反力量を算出する。そして、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、算出した停止時用アクセルペダル反力量を停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58に出力する。
【0045】
ここで、具体的には、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56の停止時用アクセルペダル反力付与の判断結果に基づいて停止時用アクセルペダル反力量を算出する。すなわち、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56が停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断した場合、停止時用アクセルペダル反力量を算出する。例えば、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、下記(4)式を用いて、停止時用アクセルペダル反力量Fを算出する。
【0046】
F=F0+Foff ・・・(4)
ここで、F0は、停止時用アクセルペダル反力量の初期値であり、アクセルペダル開度量(又はアクセルペダル踏込量)に基づいて算出される。また、Foffは、停止時用アクセルペダル反力オフセット量であり、アクセルペダル踏込時間(アクセルペダル踏込継続時間)に基づいて算出される。
【0047】
図7は、アクセルペダル開度量と停止時用アクセルペダル反力量初期値F0との関係の一例を示す特性図である。
停止時用アクセルペダル反力量初期値F0は、図7に示すように、アクセルペダル開度量が多いほど大きくなる。より詳しくは、アクセルペダル開度量が少ない領域では停止時用アクセルペダル反力量初期値F0は最小値Fmin2に維持される。そして、アクセルペダル開度量が中程度の領域でアクセルペダル開度量が多いほど停止時用アクセルペダル反力量初期値F0は大きくなる。また、アクセルペダル開度量が多い領域では停止時用アクセルペダル反力量初期値F0は最大値Fmax2に維持される。
【0048】
ここで、例えば、停止時用アクセルペダル反力量初期値F0は、アクセルペダル反力量演算部53が設定する範囲より大きい範囲で設定されることが望ましい(例えばFmin2>Fmin1かつFmax2>Fmax1)。また、例えば、アクセルペダル開度量は、自車両・障害物情報取得部20から取得できる値である。
図8は、アクセルペダル踏込時間と停止時用アクセルペダル反力オフセット量Foffとの関係の一例を示す特性図である。
【0049】
停止時用アクセルペダル反力オフセット量Foffは、図8に示すように、制動力付与開始時からのアクセル踏み込み時間が長いほど多くなる。より詳しくは、アクセル踏み込み時間が零から増加していくとそれに応じて停止時用アクセルペダル反力オフセット量Foffは多くなる。そして、アクセル踏み込み時間が予め設定した時間に達するとそれ以降、停止時用アクセルペダル反力オフセット量Foffは、最大値Foffset maxに維持される。
【0050】
ここで、例えば、アクセル踏み込み時間は、自車両・障害物情報取得部20から取得できる値である。
停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値を算出する。そして、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、算出した停止時用アクセルペダル反力指令値をアクセルペダル反力指令値選択部59に出力する。
【0051】
ここで、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、具体的には次のように停止時用アクセルペダル反力指令値を算出する。
先ず、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56が停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断した後であって停止時用アクセルペダル反力付与開始時間が経過した後に停止時用アクセルペダル反力指令値の算出を開始する。ここで、停止時用アクセルペダル反力付与開始時間は、運転者がアクセルペダルを戻すために要すると考えられる時間等を考慮し設定される。例えば、停止時用アクセルペダル反力付与開始時間は、約0.6秒である。
【0052】
そして、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力量演算部57が算出した停止時用アクセルペダル反力量まで停止時用アクセルペダル反力指令値を増加させる。このとき、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、予め設定した増加率で増加させる。例えば、ここでいう増加率は、アクセルペダル反力指令値演算部54における演算の増加率(例えば7.5(N/sec))よりも大きい値に設定されるのが望ましい。
【0053】
また、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が停止時用アクセルペダル反力量に達すると、その後、支援情報演算部5から取得したアクセル開度が零の状態が予め設定した時間(以下、第1設定時間という。)継続するまで停止時用アクセルペダル反力指令値を維持する。ここで、第1設定時間は、例えば、運転者がアクセルペダルからブレーキペダルに踏み換えるために要すると考えられる時間等を考慮し設定される。例えば、第1設定時間は、約0.8秒である。
【0054】
さらに、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、アクセル開度が零の状態で第1設定時間を経過した後に、前回処理時に零以外の停止時用アクセルペダル反力指令値を出力していたときには、停止時用アクセルペダル反力指令値を減少させる。このとき、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、予め設定した減少率で停止時用アクセルペダル反力指令値を零まで減少させる。例えば、ここでいう減少率は、アクセルペダル反力指令値演算部54における演算の減少率(例えば30(N/sec))よりも小さい値に設定されるのが望ましい。
【0055】
そして、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が零に達すると、それ以降、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56が停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断するまで停止時用アクセルペダル反力指令値を零に維持する。
また、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が停止時用アクセルペダル反力量に達した後の処理を次のように行っても良い。
【0056】
例えば、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が停止時用アクセルペダル反力量に達した後、予め設定した時間(以下、第2設定時間という。)、停止時用アクセルペダル反力指令値を維持しても良い。この場合、停止時用アクセルペダル反力が第2設定時間付与され続ける。
【0057】
そして、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力を第2設定時間継続して付与し、かつ前回処理時に零以外の停止時用アクセルペダル反力指令値を出力していたときには、停止時用アクセルペダル反力指令値を減少させる。このとき、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、予め設定した減少率で停止時用アクセルペダル反力指令値を零まで減少させる。例えば、ここでいう減少率は、アクセルペダル反力指令値演算部54における演算の減少率(例えば30(N/sec))よりも小さい値に設定されるのが望ましい。
【0058】
そして、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が零に達すると、それ以降、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56が停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断するまで停止時用アクセルペダル反力指令値を零に維持する。
又は、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が停止時用アクセルペダル反力量に達した後、リスクポテンシャルが、停止時用閾値設定部55が設定した停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値以下になるまで停止時用アクセルペダル反力指令値を維持しても良い。
【0059】
この場合、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、リスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値以下になり、かつ前回処理時に零以外の停止時用アクセルペダル反力指令値を出力していたときには、停止時用アクセルペダル反力指令値を減少させる。このとき、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、予め設定した減少率で停止時用アクセルペダル反力指令値を零まで減少させる。例えば、ここでいう減少率は、アクセルペダル反力指令値演算部54における演算の減少率(例えば30(N/sec))よりも小さい値に設定されるのが望ましい。
【0060】
そして、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が零に達すると、それ以降、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56が停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断するまで停止時用アクセルペダル反力指令値を零に維持する。
アクセルペダル反力指令値選択部59は、アクセルペダル反力指令値演算部54が算出したアクセルペダル反力指令値と停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58が算出した停止時用アクセルペダル反力指令値とに対してセレクトハイ処理を実施する。そして、アクセルペダル反力指令値選択部59は、セレクトハイ処理により選択した指令値をアクセルペダル反力付与装置9に出力する。
【0061】
アクセルペダル反力付与装置9は、アクセルペダル反力演算部50からのアクセルペダル反力指令値に基づいてアクセルペダルに反力を付与する。
次に、前述の停止時用閾値設定部55、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56、停止時用アクセルペダル反力量演算部57、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58、及びアクセルペダル反力指令値選択部59による一連の処理を説明する。
【0062】
図9は、前述の停止時用閾値設定部55等による一連の処理例を示すフローチャートである。
図9に示すように、先ずステップS1において、アクセルペダル反力演算部50は、支援情報演算部30からの情報を取得する。
続くステップS2において、停止時用閾値設定部55は、自車両が停止しているときの停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値を設定する。
【0063】
続くステップS3において、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、リスクポテンシャルに基づく制動力の付与によって自車両が停止したか否かを判定する。例えば、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、運転者がブレーキペダルを踏んでいない状況でリスクポテンシャルに基づく制動力が付与されて自車両が停止した場合、リスクポテンシャルに基づく制動力の付与によって自車両が停止したと判定する。尚、自車両が停止したかどうかの判断は、自車両・障害物情報取得部20で、例えば車輪速センサ2が検出した車輪速が0であることを検出したり、スロットル開度センサ5が検出したスロットル開度が全閉で、車両の駆動力が0であることかつ自車の減速度が0であることを検出する等で判断する。
【0064】
ここで、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、少なくとも自車両が停止した時に、リスクポテンシャルに基づく制動力が付与されていると判定すると、ステップS4に進む。また、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、それ以外の場合、ステップS17に進む。
ステップS17では、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、停止時用アクセルペダル反力量Fを零に算出する。また、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値を零に算出する。そして、アクセルペダル反力演算部50は、該図9に示す処理を終了する(ステップS1から再び処理を開始する)。
【0065】
ステップS4では、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、リスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値より大きいか否かを判定する。停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、リスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値より大きいと判定すると、ステップS5に進む。また、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、それ以外の場合、前記ステップS17に進む。
【0066】
ステップS5では、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が停止時用アクセルペダル反力量に達した後に零以外の停止時用アクセルペダル反力指令値が第2設定時間継続して出力されたか否かを判定する。停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が停止時用アクセルペダル反力量に達した後に零以外の停止時用アクセルペダル反力指令値が第2設定時間継続して出力されたと判定すると、ステップS14に進む。また、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、それ以外の場合、ステップS6に進む。
【0067】
ステップS6では、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が停止時用アクセルペダル反力量に達した後にリスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値以下になったか否かを判定する。停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が停止時用アクセルペダル反力量に達した後にリスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値以下になったと判定すると、ステップS14に進む。また、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、それ以外の場合、ステップS7に進む。
【0068】
ステップS7では、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が停止時用アクセルペダル反力量に達した後にアクセル開度が零の状態が第1設定時間継続したか否かを判定する。停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が停止時用アクセルペダル反力量に達した後にアクセル開度が零の状態が第1設定時間継続したと判定すると、ステップS14に進む。また、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、それ以外の場合、ステップS8に進む。
【0069】
ステップS8では、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、停止時用アクセルペダル反力量初期値F0を算出する。
続くステップS9において、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、停止時用アクセルペダル反力オフセット量Foffを算出する。
続くステップS10において、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、前記ステップS8で算出した停止時用アクセルペダル反力量初期値F0及び前記ステップS9で算出した停止時用アクセルペダル反力オフセット量Foffに基づいて、停止時用アクセルペダル反力量F(=F0+Foff)を算出する。
【0070】
続くステップS11において、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、零以外の停止時用アクセルペダル反力量Fが停止時用アクセルペダル反力付与開始時間継続して出力されているか否かを判定する。
そして、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、零以外の停止時用アクセルペダル反力量Fが停止時用アクセルペダル反力付与開始時間継続して出力されていると判定すると、ステップS12に進む。また、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、それ以外の場合、前記ステップS5から再び処理を開始する。
【0071】
ステップS12及びそれに続くステップS13では、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、増加側変化率リミット処理をしつつ停止時用アクセルペダル反力指令値を算出する。すなわち、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、ステップS10で算出した停止時用アクセルペダル反力量Fまで予め設定した増加率で停止時用アクセルペダル反力指令値を増加させる。そして、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、前記ステップS5から再び処理を開始する。
【0072】
一方、ステップS14では、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、停止時用アクセルペダル反力量Fを零に算出する。
続くステップS15及びステップS16において、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、減少側変化率リミット処理をしつつ停止時用アクセルペダル反力指令値を算出する。すなわち、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、前記ステップS14で算出した停止時用アクセルペダル反力量F(=零)まで予め設定した減少率で停止時用アクセルペダル反力指令値を減少させる。そして、アクセルペダル反力演算部50は、該図9に示す処理を終了する(ステップS1から再び処理を開始する)。
【0073】
(動作等)
(1)制動力付与動作
自車両・障害物情報取得部20は、車輪速センサ2等の各種センサからのセンサ値に基づいて自車速等の各種情報を取得する。そして、自車両・障害物情報取得部20は、取得した各種情報を支援情報演算部30に出力する。
【0074】
支援情報演算部30は、自車両・障害物情報に基づいてリスクポテンシャルを算出する。また、支援情報演算部30は、自車両・障害物情報、及び制動力演算処理結果に基づいて外乱推定値を算出する。そして、支援情報演算部30は、算出したリスクポテンシャル及び外乱推定値を制動力演算部40及びアクセルペダル反力演算部50に出力する。
制動力演算部40は、外乱推定値が大きいほど大きくなるように到達時間判断用閾値TTC_thを設定する。さらに、制動力演算部40は、その設定した到達時間判断用閾値TTC_thに対応する制動力付与判断用閾値を設定する。そして、制動力演算部40は、設定した制動力付与判断用閾値よりもリスクポテンシャルが大きい場合、制動力を付与すると判断し、それ以外の場合、制動力を付与しないと判断する。この結果、制動力演算部40は、制動力を付与すると判断した場合、予め設定した減速量DEC_0(m/s2)を制動量DEC(m/s2)に設定する。一方、制動力演算部40は、制動力を付与しないと判断した場合、制動量DECを零に設定する。そして、制動力演算部40は、設定した制動量DECに基づいて制動力指令値を算出する。そして、制動力演算部40は、算出した制動力指令値を制動力付与装置8に出力する。制動力付与装置8は、制動力演算部40からの制動力指令値に基づいて制動力を付与する。
【0075】
(2)アクセルペダル反力付与動作
アクセルペダル反力演算部50は、外乱推定値が自車両の制動を妨げるほど小さくなるようにアクセルペダル反力付与判断用閾値を設定する。また、アクセルペダル反力演算部50は、設定したアクセルペダル反力付与判断用閾値よりもリスクポテンシャルが大きい場合、アクセルペダル反力を付与すると判断し、それ以外の場合、アクセルペダル反力を付与しないと判断する。さらに、アクセルペダル反力演算部50は、そのアクセルペダル反力付与の判断結果に基づいてアクセルペダル反力量を算出する。そして、アクセルペダル反力演算部50は、算出したアクセルペダル反力量に基づいてアクセルペダル反力指令値を算出する。
【0076】
一方、アクセルペダル反力演算部50は、停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値を設定する。また、アクセルペダル反力演算部50は、リスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値より大きく、かつ自動制動によって自車両が停止した場合、停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断する。一方、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、それ以外の場合、停止時用アクセルペダル反力を付与しないと判断する。さらに、アクセルペダル反力演算部50は、停止時用アクセルペダル反力付与の判断結果に基づいて停止時用アクセルペダル反力量を算出する。
【0077】
そして、アクセルペダル反力演算部50は、この停止時用アクセルペダル反力指令値と前述のアクセルペダル反力指令値とに対してセレクトハイ処理を実施する。アクセルペダル反力付与装置9は、アクセルペダル反力指令値選択部59がセレクトハイ処理により選択した指令値に基づいてアクセルペダルに反力を付与する。
図10は、自車両に自動で付与される減速度(制動力)、及びアクセルペダル反力量の一例を示す図である。
【0078】
自車両100が前方車両200に接近しておき、リスクポテンシャルが制動力付与判断用閾値よりも大きくなると、車両用衝突回避制動支援装置1は、自車両100に制動力を付与すると判断する。この判断によって、自車両100は、図10(c)に示すように減速を開始する。また、その減速度は、図10(a)に示すように、予め設定した増加率をもって増加する。
【0079】
この制動力の付与により自車両100が減速して自車両100が停止すると、その停止時のリスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値よりも大きい場合、車両用衝突回避制動支援装置1は、停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断する。そして、車両用衝突回避制動支援装置1は、図10(b)に示すように、停止時用アクセルペダル反力量を設定する。さらに、車両用衝突回避制動支援装置1は、設定した停止時用アクセルペダル反力量に基づいて停止時用アクセルペダル反力指令値を算出する。この結果、アクセルペダル101には、図10(d)に示すように、アクセルペダルへのフィードバック(ペダルF/B)として、アクセルペダル反力付与装置9によってアクセルペダル反力が付与される。
【0080】
図11は、車両用衝突回避制動支援装置1において算出される停止時用アクセルペダル反力指令値の一例を示す特性図である。
車両用衝突回避制動支援装置1は、図11に示すように、零以外の停止時用アクセルペダル反力量Fが停止時用アクセルペダル反力付与開始時間継続して出力されている場合、停止時用アクセルペダル反力指令値の演算を開始する(ステップS11)。このとき、車両用衝突回避制動支援装置1は、停止時用アクセルペダル反力指令値を停止時用アクセルペダル反力量まで予め設定した増加率によって増加させる(ステップS12、ステップS13)。
【0081】
このときの停止時用アクセルペダル反力量は、停止時用アクセルペダル反力量初期値F0と停止時用アクセルペダル反力オフセット量Foffとの加算値になる(ステップS8〜ステップS10)。すなわち、停止時用アクセルペダル反力量は、アクセルペダル開度量が多いほど多くなり、また、アクセルペダル踏込時間が長いほど多くなる(図7、図8)。この結果、停止時用アクセルペダル反力指令値は、アクセルペダル開度量が多いほど大きくなり、また、アクセルペダル踏込時間が長いほど大きくなる。
【0082】
そして、車両用衝突回避制動支援装置1は、その後、停止時用アクセルペダル反力指令値を停止時用アクセルペダル反力量に維持し、予め設定した条件を満たすと停止時用アクセルペダル反力指令値を減少させる。
すなわち、車両用衝突回避制動支援装置1は、図12に示すように、零以外の停止時用アクセルペダル反力指令値が第2設定時間継続して出力された場合、停止時用アクセルペダル反力指令値を零まで予め設定した減少率によって減少させる(ステップS5、ステップS14〜ステップS16)。
【0083】
又は、車両用衝突回避制動支援装置1は、図13に示すように、リスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値以下になった場合、停止時用アクセルペダル反力指令値を零まで予め設定した減少率によって減少させる(ステップS6、ステップS14〜ステップS16)。
又は、車両用衝突回避制動支援装置1は、図14に示すように、アクセル開度が零の状態が第1設定時間継続した場合、停止時用アクセルペダル反力指令値を零まで予め設定した減少率によって減少させる(ステップS7、ステップS14〜ステップS16)。
【0084】
ここで、本実施形態において、リスクポテンシャル演算部31は、例えば、接近リスクポテンシャル検出手段を構成する。また、制動力演算部40及び制動力付与装置8は、例えば、制動力付与手段を構成する。また、アクセルペダル反力演算部50及びアクセルペダル反力付与装置9は、例えば、自車両停止時アクセルペダル反力付与手段を構成する。また、停止時アクセルペダル反力量演算部57は、例えば、アクセルペダル反力量算出手段を構成する。また、自車両・障害物情報取得部20は、例えば、アクセルペダル操作状態検出手段、自車両走行状態検出手段を構成する。また、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、例えば、自車両停止判断手段を構成する。
【0085】
(本実施形態の効果)
本実施形態は、次のような効果を奏する。
(1)リスクポテンシャル演算部31は、障害物への自車両の接近に関してリスクポテンシャルを算出する。また、制動力演算部40及び制動力付与装置8は、算出したリスクポテンシャルに基づいて、自車両に制動力を付与する。さらに、自車両・障害物情報取得部20は、自車両の走行状態を検出する。そして、アクセルペダル反力演算部50及びアクセルペダル反力付与装置9は、自車両・障害物情報取得部20が検出した自車両の走行状態と制動力演算部40及び制動力付与装置8が制動力を付与したことに基づいて該制動力を付与したことによって自車両が停止したと判定すると、アクセルペダル反力を付与する。
【0086】
これにより、車両用衝突回避制動支援装置1は、リスクポテンシャルに基づいて制動力を付与して自車両が停止したときに、アクセルペダル反力を付与するため、自動制動で自車両が停止した後に運転者に対してアクセルペダルの踏み込みの解除を促すことができ、運転者の意図しない発進を防止できる。
【0087】
よって、車両用衝突回避制動支援装置1は、自動制動で自車両が停止した後にアクセルペダルをブレーキペダルと間違えて踏んでいる運転者に対してアクセルペダルからブレーキペダルへの踏み換えを効果的に促すことができる。
また、車両用衝突回避制動支援装置1は、自車両の走行中ではなく自車両停止中にアクセルペダル反力を付与するため、運転者が違和感として感じることを抑制しつつもアクセルペダル反力を付与することを実現できる。
【0088】
(2)自車両・障害物情報取得部20は、アクセルペダル開度及びアクセルペダル踏み込み時間の少なくとも一方に基づいて、アクセルペダルの踏み込み状態を検出する。さらに、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、検出したアクセルペダルの踏み込み状態に基づいて、停止時用アクセルペダル反力量を算出する。そして、アクセルペダル反力演算部50及びアクセルペダル反力付与装置9は、算出した停止時用アクセルペダル反力量相当のアクセルペダル反力を付与する。
【0089】
これにより、車両用衝突回避制動支援装置1は、運転者のアクセルペダルの踏み込み状態に合致させたアクセルペダル反力を付与することができる。
この結果、車両用衝突回避制動支援装置1は、運転者に対してアクセルペダルの踏み込み状態に応じてアクセルペダルの踏み込みの解除を促すことができる。
【0090】
(3)停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、自動制動によって自車両が停車した時点から停止時用アクセルペダル反力付与開始時間が経過した後に停止時用アクセルペダル反力指令値の算出を開始する。これにより、車両用衝突回避制動支援装置1は、自動制動によって自車両が停車した時点から予め設定した時間が経過したとき、アクセルペダル反力を付与する。
【0091】
よって、車両用衝突回避制動支援装置1は、アクセルペダルを戻すのに必要な時間が経過した後にアクセルペダル反力を付与することができる。
この結果、車両用衝突回避制動支援装置1は、運転者を過度に支援することを抑制できる。
【0092】
(4)停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、リスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値以下の場合、アクセルペダル反力を付与しないと判断する。
これにより、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、アクセルペダル反力を付与する決定を不用意に行うのを防止できる。
【0093】
(5)停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、第2設定時間継続して停止時用アクセルペダル反力を付与すると、停止時用アクセルペダル反力指令値を減少させる。又は、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、アクセルペダル反力を付与した後にアクセル開度が零の状態で第1設定時間を経過すると、停止時用アクセルペダル反力指令値を減少させる。又は、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、アクセルペダル反力を付与した後にリスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値以下になると、停止時用アクセルペダル反力指令値を減少させる。
【0094】
このような処理の結果、車両用衝突回避制動支援装置1は、アクセルペダル反力の付与を過不足なく維持できる。
この結果、車両用衝突回避制動支援装置1は、運転者がアクセルペダルを戻すのに必要な時間はアクセルペダル反力の付与を継続でき、効果的に運転者を支援できる。
【0095】
(本実施形態の変形例)
車両用衝突回避制動支援装置1は、さらに、旋回開始前にアクセルペダル反力に付与する構成を有していても良い。例えば、旋回走行前にアクセルペダル反力を付与する技術として、公知の技術を用いても良いが、以下に図面を参照して一例を説明する。なお、前述の本実施形態と同様な構成については同一の符号を付して説明する。
【0096】
図15は、旋回走行前にアクセルペダルを付与する車両用衝突回避制動支援装置1の構成例を示すブロック図である。
車両用衝突回避制動支援装置1は、図15に示すように、横加速度センサ71を有している。また、車両用衝突回避制動支援装置1は、アクセルペダル反力演算部50に、旋回走行前アクセルペダル反力付与判断部72、旋回走行前アクセルペダル反力量演算部73、及び旋回走行前アクセルペダル反力指令値演算部74を有している。
【0097】
旋回走行前アクセルペダル反力付与判断部72は、横加速度センサ71からの横速度値に基づいて自車両が旋回開始前(旋回走行前)か否かを判定する。例えば、旋回走行前アクセルペダル反力付与判断部72は、横加速度が予め設定した旋回走行前判断用閾値よりも大きいと判定すると、車両が旋回開始前の状態になったと判断する。そして、旋回走行前アクセルペダル反力付与判断部72は、その判断結果を旋回走行前アクセルペダル反力量演算部73に出力する。
【0098】
なお、旋回走行前アクセルペダル反力付与判断部72は、路車間通信によって道路情報を取得し、その取得した道路情報(走行経路情報等)に基づいて自車両が旋回開始前か否かを判定しても良い。
旋回走行前アクセルペダル反力量演算部73は、旋回走行前アクセルペダル反力付与判断部72が自車両が旋回開始前の状態になったと判断した場合、予め設定した値に旋回走行前アクセルペダル反力量を設定する。そして、旋回走行前アクセルペダル反力量演算部73は、設定した旋回走行前アクセルペダル反力量を旋回走行前アクセルペダル反力指令値演算部74に出力する。
【0099】
旋回走行前アクセルペダル反力指令値演算部74は、予め設定した増加率によってアクセルペダル反力指令値を旋回走行前アクセルペダル反力量まで増加させる。そして、旋回走行前アクセルペダル反力指令値演算部74は、アクセルペダル反力指令値を予め設定した時間維持し、その後、予め設定した減少率によってアクセルペダル反力指令値を零まで減少させる。そして、旋回走行前アクセルペダル反力指令値演算部74は、そのように算出したアクセルペダル反力指令値をアクセルペダル反力指令値選択部59に逐次出力する。
【0100】
そして、車両用衝突回避制動支援装置1は、前述の旋回開始前にアクセルペダルを付与する構成を有する場合には、停止時用アクセルペダル反力量演算部57が算出する停止時用アクセルペダル反力量を旋回開始前に自車両に付与する旋回走行前アクセルペダル反力量よりも大きい値にする。
なお、本実施形態の変形例の車両用衝突回避制動支援装置1におけるその他の構成は、前述の本実施形態の車両用衝突回避制動支援装置1の構成と同様である。
【0101】
図16は、旋回走行前に自車両に付与されるアクセルペダル反力量、及び自車両停止時に付与されるアクセルペダル反力量の一例を示す特性図である。
自車両停止時に付与されるアクセルペダル反力量は、図16に示すように、旋回走行前の自車両に付与されるアクセルペダル反力量よりも大きくなっている。
ここで、本実施形態において、旋回走行前アクセルペダル反力付与判断部72、旋回走行前アクセルペダル反力量演算部73、旋回走行前アクセルペダル反力指令値演算部74、及びアクセルペダル反力付与装置9は、例えば、旋回走行前アクセルペダル反力付与手段を構成する。
【0102】
以上のように、車両用衝突回避制動支援装置1は、自車両停止時に付与されるアクセルペダル反力量を旋回走行前の自車両に付与されるアクセルペダル反力量よりも大きくすることで、より効果的に自車両停止時のアクセルペダル反力を運転者に伝えることができる。
また、本実施形態では、障害物への自車両の接近に関するリスクポテンシャルを障害物との距離や障害物との相対速度に基づいて算出しているが、これに限定されない。この場合、例えば、運転者の注意度等の運転者に起因する情報や自速度等の自車両に起因する情報、道路の混雑度等の自車両周囲に起因する情報等に基づいてリスクポテンシャルを算出しても良い。
【0103】
また、本実施形態では、自動制動によって自車両が停止しかつリスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値より大きい場合、停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断しているが、これに限定されない。この場合、例えば、本実施形態では、自動制動によって自車両が停止した場合、その自車両停止時のリスクポテンシャルにかかわらず、停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断しても良い。
【0104】
この場合でも、本実施形態に係る車両用衝突回避制動支援装置1は、自動制動で自車両が停止した後に運転者に対してアクセルペダルの踏み込みの解除を促すことができる。
また、本実施形態では、停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断した後であって停止時用アクセルペダル反力付与開始時間が経過した後に停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58が停止時用アクセルペダル反力指令値の算出を開始しているが、これに限定されない。この場合、例えば、本実施形態では、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56が停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断した後であって停止時用アクセルペダル反力付与開始時間が経過した後に停止時用アクセルペダル反力量演算部57が停止時用アクセルペダル反力量の算出を開始しても良い。この処理は、実質的には、停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断した後であって停止時用アクセルペダル反力付与開始時間が経過した後に停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58が停止時用アクセルペダル反力指令値の算出を開始していることと同等の処理となる。
【0105】
また、本実施形態では、停止時用アクセルペダル反力量演算部57がアクセルペダル開度量及びアクセルペダル踏込時間に基づいて停止時用アクセルペダル反力量を算出しているが、これに限定されない。この場合、例えば、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、アクセルペダル開度量及びアクセルペダル踏込時間の何れか一方に基づいて停止時用アクセルペダル反力量を算出しても良い。具体的には、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、停止時用アクセルペダル反力量初期値F0を固定値にしたり、停止時用アクセルペダル反力オフセット量Foffを固定値にしたりする。
【符号の説明】
【0106】
7 コントローラ、8 制動付与力装置、9 アクセルペダル反力付与装置、30 支援情報演算部、31 リスクポテンシャル演算部、40 制動力演算部、50 アクセルペダル反力演算部
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
運転を支援する技術としては、例えば特許文献1に記載の従来技術がある。
この従来技術では、先ず、一時停止線の手前において運転者によるアクセル操作を無効化する。また、この従来技術では、一時停止線における車両の停止後、運転者が交差点周囲の交通状況を確認するための所定の確認動作を検出する。そして、この従来技術では、その確認動作の検出後、運転者によるアクセル操作を有効化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−48198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、運転者がアクセルペダルを踏んでいる状況下で、障害物への自車両の接近リスクに基づき自動制動によって自車両を停止させた場合には、車両停止後も運転者がアクセルペダルをそのまま踏み続けてしまう恐れがある。例えば、アクセルペダルをブレーキペダルと間違えて運転者が踏み続けてしまうような場合である。
【0005】
このように自動制動後に運転者がアクセルペダルを踏み続けている場合に前記従来技術を適用しても、運転者の確認動作に基づいてアクセルの踏み込みを無効化してしまうため、無効化が解除されたら、そのアクセルペダル踏み込み量に応じて運転者が意図せず車両が発進してしまう恐れがある。
本発明の目的は、自動制動で自車両が停止した後に運転者に対してアクセルペダルの踏み込みの解除を促すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の一実施態様は、障害物への自車両の接近リスクポテンシャルと自車両の走行状態とを検出する。また、本発明の一実施態様は、検出した接近リスクポテンシャルに基づいて自車両に自動制動力を付与する。そして、本発明の一実施態様は、検出した自車両の走行状態及び自動制動力を付与したことに基づき自動制動力を付与したことによって自車両が停止したと判定すると、アクセルペダル反力を付与する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、接近リスクポテンシャルに基づいて自動制動力を付与して自車両が停止したときに、アクセルペダル反力を付与するため、自動制動で自車両が停止した後に運転者に対してアクセルペダルの踏み込みの解除を促すことができ、運転者の意図しない発進を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態の車両用衝突回避制動支援装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】自車両・障害物情報取得部の構成例を示すブロック図である。
【図3】支援情報演算部の構成例を示すブロック図である。
【図4】制動力演算部の構成例を示すブロック図である。
【図5】アクセルペダル反力演算部の構成例を示すブロック図である。
【図6】アクセルペダル開度量とアクセルペダル反力量との関係の一例を示す特性図である。
【図7】アクセルペダル開度量と停止時用アクセルペダル反力量初期値F0との関係の一例を示す特性図である。
【図8】アクセルペダル踏込時間と停止時用アクセルペダル反力オフセット量Foffとの関係の一例を示す特性図である。
【図9】停止時用閾値設定部等による一連の処理例を示すフローチャートである。
【図10】自車両に自動で付与される減速度、及びアクセルペダル反力量の一例を示す図である。
【図11】車両用衝突回避制動支援装置において算出される停止時用アクセルペダル反力指令値の一例を示す特性図である。
【図12】零以外の停止時用アクセルペダル反力指令値が第2設定時間継続して出力された場合の停止時用アクセルペダル反力指令値の変化の一例を示す特性図である。
【図13】リスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値以下になった場合の停止時用アクセルペダル反力指令値の変化の一例を示す特性図である。
【図14】アクセル開度が零の状態が第1設定時間継続した場合の停止時用アクセルペダル反力指令値の変化の一例を示す特性図である。
【図15】旋回走行前にアクセルペダルを付与する車両用衝突回避制動支援装置の構成例を示すブロック図である。
【図16】旋回走行前に自車両に付与されるアクセルペダル反力量、及び車両停止時に自車両に付与されるアクセルペダル反力量の一例を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態を図面を参照しつつ説明する。
本実施形態は、車両に搭載される車両用衝突回避制動支援装置である。
【0010】
(構成)
図1は、車両用衝突回避制動支援装置1の構成例を示すブロック図である。
車両用衝突回避制動支援装置1は、図1に示すように、車輪速センサ2、障害物情報検出センサ3、アクセル開度センサ4、スロットル開度センサ5、シフトポジションセンサ6、コントローラ7、制動力付与装置8、及びアクセルペダル反力付与装置9を有している。
【0011】
ここで、例えば、コントローラ7は、マイクロコンピュータ及びその周辺回路を備えている。すなわち例えば、コントローラ7は、一般的なECU(Electronic Control Unit)と同様にCPU、ROM、RAM等によって構成されている。そして、ROMには、各種処理を実現する1又は2以上のプログラムが格納されている。CPUは、ROMに格納されている1又は2以上のプログラムに従って各種処理を実行する。
【0012】
そして、コントローラ7は、図1に示すように、自車両・障害物情報取得部20、支援情報演算部30、制動力演算部40、及びアクセルペダル反力演算部50を有している。ここで、自車両・障害物情報取得部20、支援情報演算部30、制動力演算部40、及びアクセルペダル反力演算部50は、プログラムによってコントローラ7の機能として構成されている。
【0013】
車輪速センサ2、障害物情報検出センサ3、アクセル開度センサ4、スロットル開度センサ5及びシフトポジションセンサ6は、検出した検出値(センサ値)を自車両・障害物情報取得部20に出力する。
自車両・障害物情報取得部20は、各種センサからのセンサ値が入力され、その入力されたセンサ値に基づいて各種情報を取得する。そして、自車両・障害物情報取得部20は、取得した各種情報を支援情報演算部30に出力する。
【0014】
図2は、自車両・障害物情報取得部20の構成例を示すブロック図である。
自車両・障害物情報取得部20は、図2に示すように、自車速演算部21、自車加減速度演算部22、障害物情報演算部23、アクセル開度検出部24、エンジントルク検出部25、シフトポジション検出部26、及び自車両・障害物情報出力部27を有している。
自車速演算部21は、車輪速センサ2からの車輪速センサ値に基づいて自車速を算出する。そして、自車速演算部21は、算出した自車速を自車両・障害物情報出力部27に出力する。
【0015】
自車加速減速度演算部22は、車輪速センサ2からの車輪速センサ値に基づいて自車加減速度を算出する。そして、自車加速減速度演算部22は、算出した自車加減速度を自車両・障害物情報出力部27に出力する。
障害物情報演算部23は、障害物情報検出センサ3からの障害物情報検出値に基づいて障害物情報を算出する。そして、障害物情報演算部23は、算出した障害物情報を自車両・障害物情報出力部27に出力する。
【0016】
ここで、障害物情報検出センサ3は、例えばレーザーレーダやミリ波レーダ、ステレオカメラ等である。また、障害物情報は、障害物との距離、障害物との相対速度、及び障害物との相対加減速度である。例えば、障害物との相対速度については、障害物情報検出センサ3によって検出した障害物との距離を時間微分するなどの演算を行い求めても良い。また、障害物との相対加減速度については、障害物情報検出センサ3によって検出した障害物との相対速度を時間微分するなどの演算を行い求めても良い。
【0017】
アクセル開度検出部24は、アクセル開度センサ4からのアクセル開度センサ値に基づいてアクセル開度を算出する。そして、アクセル開度検出部24は、算出したアクセル開度を自車両・障害物情報出力部27に出力する。
エンジントルク検出部25は、スロットル開度センサ5からのスロットル開度センサ値に基づいてエンジントルクを算出する。そして、エンジントルク検出部25は、算出したエンジントルクを自車両・障害物情報出力部27に出力する。
【0018】
シフトポジション検出部26は、シフトポジションセンサ6からのシフトポジションセンサ値に基づいてシフトポジションを検出する。そして、シフトポジション検出部26は、検出したシフトポジションを自車両・障害物情報出力部27に出力する。
自車両・障害物情報出力部27は、自車速演算部21、自車加速減速度演算部22、障害物情報演算部23、アクセル開度検出部24、エンジントルク検出部25、及びシフトポジション検出部26からの自車両・障害物情報が入力される。そして、自車両・障害物情報出力部27は、入力された自車両・障害物情報を支援情報演算部30に出力する。
【0019】
ここでいう自車両・障害物情報は、自車速、自車加減速度、障害物情報、アクセル開度、エンジントルク、及びシフトポジションの情報である。
支援情報演算部30は、自車両・障害物情報取得部20からの自車両・障害物情報に基づいて支援情報を算出する。そして、支援情報演算部30は、算出した支援情報を制動力演算部40及びアクセルペダル反力演算部50に出力する。
【0020】
図3は、支援情報演算部30の構成例を示すブロック図である。
支援情報演算部30は、図3に示すように、リスクポテンシャル演算部31、外乱推定部32、及び支援情報出力部33を有している。
リスクポテンシャル演算部31は、自車両・障害物情報取得部20からの自車両・障害物情報に基づいてリスクポテンシャルを算出する。そして、リスクポテンシャル演算部31は、算出したリスクポテンシャルを支援情報出力部33に出力する。
【0021】
ここで、具体的には、先ず、リスクポテンシャル演算部31は、下記(1)式を用いて、自車両・障害物情報取得部20からの障害物との距離D_tar(m)、障害物との相対速度V_tar(m/s)に基づいて、到達時間TTCを算出する。
TTC=D_tar/V_tar ・・・(1)
そして、リスクポテンシャル演算部31は、算出した到達時間TTCが小さいほど高くなり、到達時間TTCが大きいほど低くなるリスクポテンシャルの演算を行う。このようなことから、例えば、リスクポテンシャルは、到達時間TTCの逆数であっても良い。
【0022】
このように、リスクポテンシャルとは、障害物との距離や障害物との相対速度、到達時間等を変数とする値であり、障害物への自車両の接近リスクの高さの指標と言える。
外乱推定部32は、自車両・障害物情報取得部20からの自車両・障害物情報、及び制動力演算部40の制動力演算処理結果に基づいて外乱推定値を算出する。そして、外乱推定部32は、算出した外乱推定値SUBを支援情報出力部33に出力する。
【0023】
ここで、具体的には、外乱推定部32は、前回処理時に制動力演算部40が自車両に制動力を付与すると判断して算出した制動力指令値が予め設定した値以上のとき、外乱推定値を算出する。この場合、外乱推定部32は、下記(2)式を用いて、自車両・障害物情報取得部4からの自車両の加減速度A(m/s2)及び前回処理時の制動力指令値P_brkに基づいて外乱推定値SUBを算出する。
【0024】
SUB=|(A/P_brk)×ARMYU| ・・・(2)
ここで、ARMYUは、制動力指令値演算部44が制動力指令値P_brkの算出に使用する制動量制動力変換係数である。また、予め設定した値は、例えば0.5(MPa)である。
一方、外乱推定値SUBを以上の演算で算出しない場合、外乱推定部32は、外乱推定値SUBを1に設定する。
【0025】
支援情報出力部33は、自車両・障害物情報取得部20、リスクポテンシャル演算部31及び外乱推定部32からの情報を制動力演算部40及びアクセルペダル反力演算部50に出力する。
制動力演算部40は、支援情報演算部30からの情報に基づいて制動力付与装置8の制動力指令値を算出する。そして、制動力演算部40は、算出した制動力指令値を制動力付与装置8に出力する。
【0026】
図4は、制動力演算部40の構成例を示すブロック図である。
制動力演算部40は、図4に示すように、閾値設定部41、制動力付与判断部42、制動量演算部43、及び制動力指令値演算部44を有している。
閾値設定部41は、制動力付与判断を行うための閾値を設定する。そして、閾値設定部41は、設定した閾値(以下、制動力付与判断用閾値という。)を制動力付与判断部42に出力する。
【0027】
ここで、具体的には、先ず、閾値設定部41は、外乱推定部32が算出した外乱推定値SUBが大きいほど大きくなるように、予め設定した到達時間TTC_0(例えば到達時間判断用閾値の初期値)を補正処理して到達時間判断用閾値TTC_thを設定する。そして、閾値設定部41は、設定した到達時間判断用閾値TTC_thになるときの到達時間TTCに対応するリスクポテンシャルを制動力付与判断用閾値として設定する。ここで、例えば、到達時間TTC_0は1である。また、到達時間判断用閾値TTC_thは、補正処理によって0.8以上1.2以下の範囲で設定される。
【0028】
制動力付与判断部42は、自車両への制動力付与の判断を行う。そして、制動力付与判断部42は、その制動力付与の判断結果を制動量演算部43及び支援情報演算部30に出力する。
ここで、具体的には、制動力付与判断部42は、支援情報演算部30から取得したリスクポテンシャルが、閾値設定部41が設定した制動力付与判断用閾値より大きい場合(リスクポテンシャル>制動力付与判断用閾値)、自車両に制動力を付与すると判断する。また、制動力付与判断部42は、それ以外の場合(リスクポテンシャル≦制動力付与判断用閾値)、自車両に制動力を付与しないと判断する。
【0029】
制動量演算部43は、制動力付与装置8の制動量を算出する。そして、制動量演算部43は、算出した制動量を制動力指令値演算部44に出力する。
ここで、具体的には、制動量演算部43は、制動力付与判断部42の制動力付与判断結果に基づいて制動量を設定する。より詳しくは、制動量演算部43は、制動力付与判断部42が制動力を付与すると判断した場合(リスクポテンシャル>制動力付与判断用閾値)、予め設定した減速度DEC_0(m/s2)を制動量(減速度)DEC(m/s2)に設定する。このとき、制動量演算部43は、DEC_0(m/s2)に至るまでの制動量DECの増加を予め設定した増加率により制限する。ここで、例えば、増加率は10.0(m/s3)であり、制御量DEC_0は5.0(m/s2)である。
【0030】
また、制動量演算部43は、制動力付与判断部42が制動力を付与しないと判断した場合(リスクポテンシャル≦制動力付与判断用閾値)、制動量DECを零に設定する。
制動力指令値演算部44は、制動力付与装置8の制動力指令値を算出する。そして、制動力指令値演算部44は、算出した制動力指令値を支援情報演算部30及び制動力付与装置8に出力する。
【0031】
ここで、具体的には、制動力指令値演算部44は、下記(3)式を用いて、制動力指令値P_brk(MPa)を算出する。
P_brk=DEC×ARMYU×α_armyu1 ・・・(3)
ここで、DECは、制動量演算部43が算出した値である。また、ARMYUは、制動量制動力変換係数であり、予め設定された値である。例えば、制動量制動力変換係数ARMYUは0.811である。また、α_armyu1は、制動量制動力変換係数補正ゲインである。
【0032】
ここで、制動量制動力変換係数補正ゲインα_armyu1は、外乱推定部32が算出した外乱推定値SUBに基づいて設定される。具体的には、制動量制動力変換係数補正ゲインα_armyu1は、外乱推定値SUBが制動を妨げるほど、すなわち外乱推定値SUBが小さいほど大きい値になる。このようなことから、例えば、制動量制動力変換係数補正ゲインα_armyu1は、外乱推定値SUBの逆数であっても良い。また、例えば、制動量制動力変換係数補正ゲインα_armyu1は、0.8を下限とし1.2を上限とした範囲内の値をとる。
【0033】
制動力付与装置8は、制動力演算部40からの制動力指令値に基づいて制動力を付与する。例えば、制動力付与装置8は、油圧式ブレーキアクチュエータに液圧を付与する。
一方、アクセルペダル反力演算部50は、支援情報演算部30からの情報に基づいてアクセルペダル反力指令値を算出する。そして、アクセルペダル反力演算部50は、算出したアクセルペダル反力指令値をアクセルペダル反力付与装置9に出力する。
【0034】
図5は、アクセルペダル反力演算部50の構成例を示すブロック図である。
アクセルペダル反力演算部50は、図5に示すように、閾値設定部51、アクセルペダル反力付与判断部52、アクセルペダル反力量演算部53、及びアクセルペダル反力指令値演算部54を有している。また、アクセルペダル反力演算部50は、停止時用閾値設定部55、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56、停止時用アクセルペダル反力量演算部57、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58、及びアクセルペダル反力指令値選択部59を有している。
【0035】
閾値設定部51は、アクセルペダル反力付与判断を行うための閾値を設定する。そして、閾値設定部51は、設定した閾値(以下、アクセルペダル反力付与判断用閾値という。)をアクセルペダル反力付与判断部52に出力する。
ここで、具体的には、閾値設定部51は、支援情報演算部30から取得した外乱推定値が自車両の制動を妨げるほど小さくなるようにアクセルペダル反力付与判断用閾値を設定する。
【0036】
アクセルペダル反力付与判断部52はアクセルペダル反力付与の判断を行う。そして、アクセルペダル反力付与判断部52は、そのアクセルペダル反力付与の判断結果をアクセルペダル反力量演算部53に出力する。
ここで、具体的には、アクセルペダル反力付与判断部52は、支援情報演算部30から取得したリスクポテンシャルが、閾値設定部51が設定したアクセルペダル反力付与判断用閾値より大きい場合(リスクポテンシャル>アクセルペダル反力付与判断用閾値)、アクセルペダル反力を付与すると判断する。また、アクセルペダル反力付与判断部52は、それ以外の場合(リスクポテンシャル≦アクセルペダル反力付与判断用閾値)、アクセルペダル反力を付与しないと判断する。
【0037】
アクセルペダル反力量演算部53は、アクセルペダル反力量を算出する。そして、アクセルペダル反力量演算部53は、算出したアクセルペダル反力量をアクセルペダル反力指令値演算部54に出力する。
ここで、具体的には、アクセルペダル反力量演算部53は、アクセルペダル反力付与判断部52のアクセルペダル反力付与の判断結果に基づいてアクセルペダル反力量を算出する。すなわち、アクセルペダル反力量演算部53は、アクセルペダル反力付与判断部52がアクセルペダル反力を付与すると判断した場合、アクセルペダル反力量を算出する。ここで、アクセルペダル反力量演算部53は、アクセル開度が大きいほど、すなわち、アクセルペダルの踏み込み量(アクセルペダル開度量)が多いほど、アクセルペダル反力量を大きい値にする。このとき、例えば、アクセルペダル反力量演算部53は、20(N)以上25(N)以下の範囲内でアクセルペダル反力量を算出する。
【0038】
図6は、アクセルペダル開度量とアクセルペダル反力量との関係の一例を示す特性図である。
アクセルペダル反力量は、図6に示すように、アクセルペダル開度量が多いほど多くなる。より詳しくは、アクセルペダル開度量が少ない領域ではアクセルペダル反力量は最小値Fmin1に維持される。そして、アクセルペダル開度量が中程度の領域でアクセルペダル開度量が多いほどアクセルペダル反力量は多くなる。また、アクセルペダル開度量が多い領域ではアクセルペダル反力量は最大値Fmax1に維持される。ここで、例えば、Fmin1は20(N)である。また、最大値Fmax1は25(N)である。
【0039】
アクセルペダル反力指令値演算部54は、アクセルペダル反力指令値を算出する。そして、アクセルペダル反力指令値演算部54は、算出したアクセルペダル反力指令値をアクセルペダル反力指令値選択部59に出力する。
ここで、具体的には、アクセルペダル反力指令値演算部54は、アクセルペダル反力付与判断部52がアクセルペダル反力を付与すると判断した後、アクセルペダル反力量演算部53が算出したアクセルペダル反力量までアクセルペダル反力指令値を増加させる。このとき、アクセルペダル反力指令値演算部54は、予め設定した増加率でアクセルペダル反力指令値を増加させる。ここで、例えば、予め設定した増加率は7.5(N/sec)である。
【0040】
そして、アクセルペダル反力指令値演算部54は、アクセルペダル反力指令値がアクセルペダル反力量に達すると、その後、支援情報演算部30から取得したアクセル開度が零になるまでアクセルペダル反力指令値を維持する。
また、アクセルペダル反力付与判断部52がアクセルペダル反力を付与しないと判断した場合に、前回処理時にアクセルペダル反力指令値が零以外の値となっているときには、アクセルペダル反力指令値演算部54は、アクセルペダル反力指令値を零まで減少させる。このとき、アクセルペダル反力指令値演算部54は、予め設定した減少率でアクセルペダル反力指令値を減少させる。ここで、例えば、予め設定した減少率は30(N/sec)である。
【0041】
そして、アクセルペダル反力指令値演算部54は、アクセルペダル反力指令値が零になった以降では、アクセルペダル反力付与判断部52がアクセルペダル反力を付与すると判断するまでアクセルペダル反力指令値を零に維持する。
停止時用閾値設定部55は、自車両が停止しているときの停止時用ペダル反力付与判断を行うための閾値を設定する。そして、閾値設定部51は、設定した閾値(以下、停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値という。)を停止時用アクセルペダル反力付与判断部56に出力する。
【0042】
ここで、具体的には、停止時用閾値設定部55は、停止中の自車両前方の障害物(例えば前方車両)が止まっている間はアクセルペダル反力が付与されるように停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値を設定する。このとき、停止時用閾値設定部55は、障害物との相対距離や相対速度に基づいて停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値を設定する。例えば、その設定は、障害物との相対距離が小さく、かつ障害物との相対速度が該障害物と離れる方向を示してない場合にアクセルペダル反力を付与することを想定して行うのが望ましい。
【0043】
停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、停止時用アクセルペダル反力付与の判断を行う。そして、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、その停止時用アクセルペダル反力付与の判断結果を停止時用アクセルペダル反力量演算部57に出力する。
ここで、具体的には、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、支援情報演算部30から取得したリスクポテンシャルが、停止時用閾値設定部55が設定した停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値より大きく、かつ制動力演算部40により自動で制動力が付与されて自車両が停止したと判断した場合、停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断する。また、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、それ以外の場合、停止時用アクセルペダル反力を付与しないと判断する。すなわち例えば、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、リスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値以下の場合や、制動力演算部40により自動で制動力が付与されたことに起因せず自車両が停止した場合、停止時用アクセルペダル反力を付与しないと判断する。
【0044】
ここで、例えば、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、自車速が予め設定した値(例えば、0(km/h)以上かつ0.8(km/h)以下の値)以下のとき、自車両が停止したと判断する。
停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、停止時用アクセルペダル反力量を算出する。そして、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、算出した停止時用アクセルペダル反力量を停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58に出力する。
【0045】
ここで、具体的には、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56の停止時用アクセルペダル反力付与の判断結果に基づいて停止時用アクセルペダル反力量を算出する。すなわち、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56が停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断した場合、停止時用アクセルペダル反力量を算出する。例えば、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、下記(4)式を用いて、停止時用アクセルペダル反力量Fを算出する。
【0046】
F=F0+Foff ・・・(4)
ここで、F0は、停止時用アクセルペダル反力量の初期値であり、アクセルペダル開度量(又はアクセルペダル踏込量)に基づいて算出される。また、Foffは、停止時用アクセルペダル反力オフセット量であり、アクセルペダル踏込時間(アクセルペダル踏込継続時間)に基づいて算出される。
【0047】
図7は、アクセルペダル開度量と停止時用アクセルペダル反力量初期値F0との関係の一例を示す特性図である。
停止時用アクセルペダル反力量初期値F0は、図7に示すように、アクセルペダル開度量が多いほど大きくなる。より詳しくは、アクセルペダル開度量が少ない領域では停止時用アクセルペダル反力量初期値F0は最小値Fmin2に維持される。そして、アクセルペダル開度量が中程度の領域でアクセルペダル開度量が多いほど停止時用アクセルペダル反力量初期値F0は大きくなる。また、アクセルペダル開度量が多い領域では停止時用アクセルペダル反力量初期値F0は最大値Fmax2に維持される。
【0048】
ここで、例えば、停止時用アクセルペダル反力量初期値F0は、アクセルペダル反力量演算部53が設定する範囲より大きい範囲で設定されることが望ましい(例えばFmin2>Fmin1かつFmax2>Fmax1)。また、例えば、アクセルペダル開度量は、自車両・障害物情報取得部20から取得できる値である。
図8は、アクセルペダル踏込時間と停止時用アクセルペダル反力オフセット量Foffとの関係の一例を示す特性図である。
【0049】
停止時用アクセルペダル反力オフセット量Foffは、図8に示すように、制動力付与開始時からのアクセル踏み込み時間が長いほど多くなる。より詳しくは、アクセル踏み込み時間が零から増加していくとそれに応じて停止時用アクセルペダル反力オフセット量Foffは多くなる。そして、アクセル踏み込み時間が予め設定した時間に達するとそれ以降、停止時用アクセルペダル反力オフセット量Foffは、最大値Foffset maxに維持される。
【0050】
ここで、例えば、アクセル踏み込み時間は、自車両・障害物情報取得部20から取得できる値である。
停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値を算出する。そして、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、算出した停止時用アクセルペダル反力指令値をアクセルペダル反力指令値選択部59に出力する。
【0051】
ここで、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、具体的には次のように停止時用アクセルペダル反力指令値を算出する。
先ず、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56が停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断した後であって停止時用アクセルペダル反力付与開始時間が経過した後に停止時用アクセルペダル反力指令値の算出を開始する。ここで、停止時用アクセルペダル反力付与開始時間は、運転者がアクセルペダルを戻すために要すると考えられる時間等を考慮し設定される。例えば、停止時用アクセルペダル反力付与開始時間は、約0.6秒である。
【0052】
そして、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力量演算部57が算出した停止時用アクセルペダル反力量まで停止時用アクセルペダル反力指令値を増加させる。このとき、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、予め設定した増加率で増加させる。例えば、ここでいう増加率は、アクセルペダル反力指令値演算部54における演算の増加率(例えば7.5(N/sec))よりも大きい値に設定されるのが望ましい。
【0053】
また、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が停止時用アクセルペダル反力量に達すると、その後、支援情報演算部5から取得したアクセル開度が零の状態が予め設定した時間(以下、第1設定時間という。)継続するまで停止時用アクセルペダル反力指令値を維持する。ここで、第1設定時間は、例えば、運転者がアクセルペダルからブレーキペダルに踏み換えるために要すると考えられる時間等を考慮し設定される。例えば、第1設定時間は、約0.8秒である。
【0054】
さらに、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、アクセル開度が零の状態で第1設定時間を経過した後に、前回処理時に零以外の停止時用アクセルペダル反力指令値を出力していたときには、停止時用アクセルペダル反力指令値を減少させる。このとき、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、予め設定した減少率で停止時用アクセルペダル反力指令値を零まで減少させる。例えば、ここでいう減少率は、アクセルペダル反力指令値演算部54における演算の減少率(例えば30(N/sec))よりも小さい値に設定されるのが望ましい。
【0055】
そして、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が零に達すると、それ以降、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56が停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断するまで停止時用アクセルペダル反力指令値を零に維持する。
また、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が停止時用アクセルペダル反力量に達した後の処理を次のように行っても良い。
【0056】
例えば、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が停止時用アクセルペダル反力量に達した後、予め設定した時間(以下、第2設定時間という。)、停止時用アクセルペダル反力指令値を維持しても良い。この場合、停止時用アクセルペダル反力が第2設定時間付与され続ける。
【0057】
そして、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力を第2設定時間継続して付与し、かつ前回処理時に零以外の停止時用アクセルペダル反力指令値を出力していたときには、停止時用アクセルペダル反力指令値を減少させる。このとき、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、予め設定した減少率で停止時用アクセルペダル反力指令値を零まで減少させる。例えば、ここでいう減少率は、アクセルペダル反力指令値演算部54における演算の減少率(例えば30(N/sec))よりも小さい値に設定されるのが望ましい。
【0058】
そして、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が零に達すると、それ以降、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56が停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断するまで停止時用アクセルペダル反力指令値を零に維持する。
又は、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が停止時用アクセルペダル反力量に達した後、リスクポテンシャルが、停止時用閾値設定部55が設定した停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値以下になるまで停止時用アクセルペダル反力指令値を維持しても良い。
【0059】
この場合、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、リスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値以下になり、かつ前回処理時に零以外の停止時用アクセルペダル反力指令値を出力していたときには、停止時用アクセルペダル反力指令値を減少させる。このとき、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、予め設定した減少率で停止時用アクセルペダル反力指令値を零まで減少させる。例えば、ここでいう減少率は、アクセルペダル反力指令値演算部54における演算の減少率(例えば30(N/sec))よりも小さい値に設定されるのが望ましい。
【0060】
そして、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が零に達すると、それ以降、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56が停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断するまで停止時用アクセルペダル反力指令値を零に維持する。
アクセルペダル反力指令値選択部59は、アクセルペダル反力指令値演算部54が算出したアクセルペダル反力指令値と停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58が算出した停止時用アクセルペダル反力指令値とに対してセレクトハイ処理を実施する。そして、アクセルペダル反力指令値選択部59は、セレクトハイ処理により選択した指令値をアクセルペダル反力付与装置9に出力する。
【0061】
アクセルペダル反力付与装置9は、アクセルペダル反力演算部50からのアクセルペダル反力指令値に基づいてアクセルペダルに反力を付与する。
次に、前述の停止時用閾値設定部55、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56、停止時用アクセルペダル反力量演算部57、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58、及びアクセルペダル反力指令値選択部59による一連の処理を説明する。
【0062】
図9は、前述の停止時用閾値設定部55等による一連の処理例を示すフローチャートである。
図9に示すように、先ずステップS1において、アクセルペダル反力演算部50は、支援情報演算部30からの情報を取得する。
続くステップS2において、停止時用閾値設定部55は、自車両が停止しているときの停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値を設定する。
【0063】
続くステップS3において、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、リスクポテンシャルに基づく制動力の付与によって自車両が停止したか否かを判定する。例えば、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、運転者がブレーキペダルを踏んでいない状況でリスクポテンシャルに基づく制動力が付与されて自車両が停止した場合、リスクポテンシャルに基づく制動力の付与によって自車両が停止したと判定する。尚、自車両が停止したかどうかの判断は、自車両・障害物情報取得部20で、例えば車輪速センサ2が検出した車輪速が0であることを検出したり、スロットル開度センサ5が検出したスロットル開度が全閉で、車両の駆動力が0であることかつ自車の減速度が0であることを検出する等で判断する。
【0064】
ここで、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、少なくとも自車両が停止した時に、リスクポテンシャルに基づく制動力が付与されていると判定すると、ステップS4に進む。また、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、それ以外の場合、ステップS17に進む。
ステップS17では、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、停止時用アクセルペダル反力量Fを零に算出する。また、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値を零に算出する。そして、アクセルペダル反力演算部50は、該図9に示す処理を終了する(ステップS1から再び処理を開始する)。
【0065】
ステップS4では、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、リスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値より大きいか否かを判定する。停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、リスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値より大きいと判定すると、ステップS5に進む。また、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、それ以外の場合、前記ステップS17に進む。
【0066】
ステップS5では、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が停止時用アクセルペダル反力量に達した後に零以外の停止時用アクセルペダル反力指令値が第2設定時間継続して出力されたか否かを判定する。停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が停止時用アクセルペダル反力量に達した後に零以外の停止時用アクセルペダル反力指令値が第2設定時間継続して出力されたと判定すると、ステップS14に進む。また、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、それ以外の場合、ステップS6に進む。
【0067】
ステップS6では、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が停止時用アクセルペダル反力量に達した後にリスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値以下になったか否かを判定する。停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が停止時用アクセルペダル反力量に達した後にリスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値以下になったと判定すると、ステップS14に進む。また、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、それ以外の場合、ステップS7に進む。
【0068】
ステップS7では、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が停止時用アクセルペダル反力量に達した後にアクセル開度が零の状態が第1設定時間継続したか否かを判定する。停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、停止時用アクセルペダル反力指令値が停止時用アクセルペダル反力量に達した後にアクセル開度が零の状態が第1設定時間継続したと判定すると、ステップS14に進む。また、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、それ以外の場合、ステップS8に進む。
【0069】
ステップS8では、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、停止時用アクセルペダル反力量初期値F0を算出する。
続くステップS9において、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、停止時用アクセルペダル反力オフセット量Foffを算出する。
続くステップS10において、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、前記ステップS8で算出した停止時用アクセルペダル反力量初期値F0及び前記ステップS9で算出した停止時用アクセルペダル反力オフセット量Foffに基づいて、停止時用アクセルペダル反力量F(=F0+Foff)を算出する。
【0070】
続くステップS11において、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、零以外の停止時用アクセルペダル反力量Fが停止時用アクセルペダル反力付与開始時間継続して出力されているか否かを判定する。
そして、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、零以外の停止時用アクセルペダル反力量Fが停止時用アクセルペダル反力付与開始時間継続して出力されていると判定すると、ステップS12に進む。また、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、それ以外の場合、前記ステップS5から再び処理を開始する。
【0071】
ステップS12及びそれに続くステップS13では、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、増加側変化率リミット処理をしつつ停止時用アクセルペダル反力指令値を算出する。すなわち、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、ステップS10で算出した停止時用アクセルペダル反力量Fまで予め設定した増加率で停止時用アクセルペダル反力指令値を増加させる。そして、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、前記ステップS5から再び処理を開始する。
【0072】
一方、ステップS14では、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、停止時用アクセルペダル反力量Fを零に算出する。
続くステップS15及びステップS16において、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、減少側変化率リミット処理をしつつ停止時用アクセルペダル反力指令値を算出する。すなわち、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、前記ステップS14で算出した停止時用アクセルペダル反力量F(=零)まで予め設定した減少率で停止時用アクセルペダル反力指令値を減少させる。そして、アクセルペダル反力演算部50は、該図9に示す処理を終了する(ステップS1から再び処理を開始する)。
【0073】
(動作等)
(1)制動力付与動作
自車両・障害物情報取得部20は、車輪速センサ2等の各種センサからのセンサ値に基づいて自車速等の各種情報を取得する。そして、自車両・障害物情報取得部20は、取得した各種情報を支援情報演算部30に出力する。
【0074】
支援情報演算部30は、自車両・障害物情報に基づいてリスクポテンシャルを算出する。また、支援情報演算部30は、自車両・障害物情報、及び制動力演算処理結果に基づいて外乱推定値を算出する。そして、支援情報演算部30は、算出したリスクポテンシャル及び外乱推定値を制動力演算部40及びアクセルペダル反力演算部50に出力する。
制動力演算部40は、外乱推定値が大きいほど大きくなるように到達時間判断用閾値TTC_thを設定する。さらに、制動力演算部40は、その設定した到達時間判断用閾値TTC_thに対応する制動力付与判断用閾値を設定する。そして、制動力演算部40は、設定した制動力付与判断用閾値よりもリスクポテンシャルが大きい場合、制動力を付与すると判断し、それ以外の場合、制動力を付与しないと判断する。この結果、制動力演算部40は、制動力を付与すると判断した場合、予め設定した減速量DEC_0(m/s2)を制動量DEC(m/s2)に設定する。一方、制動力演算部40は、制動力を付与しないと判断した場合、制動量DECを零に設定する。そして、制動力演算部40は、設定した制動量DECに基づいて制動力指令値を算出する。そして、制動力演算部40は、算出した制動力指令値を制動力付与装置8に出力する。制動力付与装置8は、制動力演算部40からの制動力指令値に基づいて制動力を付与する。
【0075】
(2)アクセルペダル反力付与動作
アクセルペダル反力演算部50は、外乱推定値が自車両の制動を妨げるほど小さくなるようにアクセルペダル反力付与判断用閾値を設定する。また、アクセルペダル反力演算部50は、設定したアクセルペダル反力付与判断用閾値よりもリスクポテンシャルが大きい場合、アクセルペダル反力を付与すると判断し、それ以外の場合、アクセルペダル反力を付与しないと判断する。さらに、アクセルペダル反力演算部50は、そのアクセルペダル反力付与の判断結果に基づいてアクセルペダル反力量を算出する。そして、アクセルペダル反力演算部50は、算出したアクセルペダル反力量に基づいてアクセルペダル反力指令値を算出する。
【0076】
一方、アクセルペダル反力演算部50は、停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値を設定する。また、アクセルペダル反力演算部50は、リスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値より大きく、かつ自動制動によって自車両が停止した場合、停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断する。一方、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、それ以外の場合、停止時用アクセルペダル反力を付与しないと判断する。さらに、アクセルペダル反力演算部50は、停止時用アクセルペダル反力付与の判断結果に基づいて停止時用アクセルペダル反力量を算出する。
【0077】
そして、アクセルペダル反力演算部50は、この停止時用アクセルペダル反力指令値と前述のアクセルペダル反力指令値とに対してセレクトハイ処理を実施する。アクセルペダル反力付与装置9は、アクセルペダル反力指令値選択部59がセレクトハイ処理により選択した指令値に基づいてアクセルペダルに反力を付与する。
図10は、自車両に自動で付与される減速度(制動力)、及びアクセルペダル反力量の一例を示す図である。
【0078】
自車両100が前方車両200に接近しておき、リスクポテンシャルが制動力付与判断用閾値よりも大きくなると、車両用衝突回避制動支援装置1は、自車両100に制動力を付与すると判断する。この判断によって、自車両100は、図10(c)に示すように減速を開始する。また、その減速度は、図10(a)に示すように、予め設定した増加率をもって増加する。
【0079】
この制動力の付与により自車両100が減速して自車両100が停止すると、その停止時のリスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値よりも大きい場合、車両用衝突回避制動支援装置1は、停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断する。そして、車両用衝突回避制動支援装置1は、図10(b)に示すように、停止時用アクセルペダル反力量を設定する。さらに、車両用衝突回避制動支援装置1は、設定した停止時用アクセルペダル反力量に基づいて停止時用アクセルペダル反力指令値を算出する。この結果、アクセルペダル101には、図10(d)に示すように、アクセルペダルへのフィードバック(ペダルF/B)として、アクセルペダル反力付与装置9によってアクセルペダル反力が付与される。
【0080】
図11は、車両用衝突回避制動支援装置1において算出される停止時用アクセルペダル反力指令値の一例を示す特性図である。
車両用衝突回避制動支援装置1は、図11に示すように、零以外の停止時用アクセルペダル反力量Fが停止時用アクセルペダル反力付与開始時間継続して出力されている場合、停止時用アクセルペダル反力指令値の演算を開始する(ステップS11)。このとき、車両用衝突回避制動支援装置1は、停止時用アクセルペダル反力指令値を停止時用アクセルペダル反力量まで予め設定した増加率によって増加させる(ステップS12、ステップS13)。
【0081】
このときの停止時用アクセルペダル反力量は、停止時用アクセルペダル反力量初期値F0と停止時用アクセルペダル反力オフセット量Foffとの加算値になる(ステップS8〜ステップS10)。すなわち、停止時用アクセルペダル反力量は、アクセルペダル開度量が多いほど多くなり、また、アクセルペダル踏込時間が長いほど多くなる(図7、図8)。この結果、停止時用アクセルペダル反力指令値は、アクセルペダル開度量が多いほど大きくなり、また、アクセルペダル踏込時間が長いほど大きくなる。
【0082】
そして、車両用衝突回避制動支援装置1は、その後、停止時用アクセルペダル反力指令値を停止時用アクセルペダル反力量に維持し、予め設定した条件を満たすと停止時用アクセルペダル反力指令値を減少させる。
すなわち、車両用衝突回避制動支援装置1は、図12に示すように、零以外の停止時用アクセルペダル反力指令値が第2設定時間継続して出力された場合、停止時用アクセルペダル反力指令値を零まで予め設定した減少率によって減少させる(ステップS5、ステップS14〜ステップS16)。
【0083】
又は、車両用衝突回避制動支援装置1は、図13に示すように、リスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値以下になった場合、停止時用アクセルペダル反力指令値を零まで予め設定した減少率によって減少させる(ステップS6、ステップS14〜ステップS16)。
又は、車両用衝突回避制動支援装置1は、図14に示すように、アクセル開度が零の状態が第1設定時間継続した場合、停止時用アクセルペダル反力指令値を零まで予め設定した減少率によって減少させる(ステップS7、ステップS14〜ステップS16)。
【0084】
ここで、本実施形態において、リスクポテンシャル演算部31は、例えば、接近リスクポテンシャル検出手段を構成する。また、制動力演算部40及び制動力付与装置8は、例えば、制動力付与手段を構成する。また、アクセルペダル反力演算部50及びアクセルペダル反力付与装置9は、例えば、自車両停止時アクセルペダル反力付与手段を構成する。また、停止時アクセルペダル反力量演算部57は、例えば、アクセルペダル反力量算出手段を構成する。また、自車両・障害物情報取得部20は、例えば、アクセルペダル操作状態検出手段、自車両走行状態検出手段を構成する。また、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、例えば、自車両停止判断手段を構成する。
【0085】
(本実施形態の効果)
本実施形態は、次のような効果を奏する。
(1)リスクポテンシャル演算部31は、障害物への自車両の接近に関してリスクポテンシャルを算出する。また、制動力演算部40及び制動力付与装置8は、算出したリスクポテンシャルに基づいて、自車両に制動力を付与する。さらに、自車両・障害物情報取得部20は、自車両の走行状態を検出する。そして、アクセルペダル反力演算部50及びアクセルペダル反力付与装置9は、自車両・障害物情報取得部20が検出した自車両の走行状態と制動力演算部40及び制動力付与装置8が制動力を付与したことに基づいて該制動力を付与したことによって自車両が停止したと判定すると、アクセルペダル反力を付与する。
【0086】
これにより、車両用衝突回避制動支援装置1は、リスクポテンシャルに基づいて制動力を付与して自車両が停止したときに、アクセルペダル反力を付与するため、自動制動で自車両が停止した後に運転者に対してアクセルペダルの踏み込みの解除を促すことができ、運転者の意図しない発進を防止できる。
【0087】
よって、車両用衝突回避制動支援装置1は、自動制動で自車両が停止した後にアクセルペダルをブレーキペダルと間違えて踏んでいる運転者に対してアクセルペダルからブレーキペダルへの踏み換えを効果的に促すことができる。
また、車両用衝突回避制動支援装置1は、自車両の走行中ではなく自車両停止中にアクセルペダル反力を付与するため、運転者が違和感として感じることを抑制しつつもアクセルペダル反力を付与することを実現できる。
【0088】
(2)自車両・障害物情報取得部20は、アクセルペダル開度及びアクセルペダル踏み込み時間の少なくとも一方に基づいて、アクセルペダルの踏み込み状態を検出する。さらに、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、検出したアクセルペダルの踏み込み状態に基づいて、停止時用アクセルペダル反力量を算出する。そして、アクセルペダル反力演算部50及びアクセルペダル反力付与装置9は、算出した停止時用アクセルペダル反力量相当のアクセルペダル反力を付与する。
【0089】
これにより、車両用衝突回避制動支援装置1は、運転者のアクセルペダルの踏み込み状態に合致させたアクセルペダル反力を付与することができる。
この結果、車両用衝突回避制動支援装置1は、運転者に対してアクセルペダルの踏み込み状態に応じてアクセルペダルの踏み込みの解除を促すことができる。
【0090】
(3)停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、自動制動によって自車両が停車した時点から停止時用アクセルペダル反力付与開始時間が経過した後に停止時用アクセルペダル反力指令値の算出を開始する。これにより、車両用衝突回避制動支援装置1は、自動制動によって自車両が停車した時点から予め設定した時間が経過したとき、アクセルペダル反力を付与する。
【0091】
よって、車両用衝突回避制動支援装置1は、アクセルペダルを戻すのに必要な時間が経過した後にアクセルペダル反力を付与することができる。
この結果、車両用衝突回避制動支援装置1は、運転者を過度に支援することを抑制できる。
【0092】
(4)停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、リスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値以下の場合、アクセルペダル反力を付与しないと判断する。
これにより、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56は、アクセルペダル反力を付与する決定を不用意に行うのを防止できる。
【0093】
(5)停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、第2設定時間継続して停止時用アクセルペダル反力を付与すると、停止時用アクセルペダル反力指令値を減少させる。又は、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、アクセルペダル反力を付与した後にアクセル開度が零の状態で第1設定時間を経過すると、停止時用アクセルペダル反力指令値を減少させる。又は、停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58は、アクセルペダル反力を付与した後にリスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値以下になると、停止時用アクセルペダル反力指令値を減少させる。
【0094】
このような処理の結果、車両用衝突回避制動支援装置1は、アクセルペダル反力の付与を過不足なく維持できる。
この結果、車両用衝突回避制動支援装置1は、運転者がアクセルペダルを戻すのに必要な時間はアクセルペダル反力の付与を継続でき、効果的に運転者を支援できる。
【0095】
(本実施形態の変形例)
車両用衝突回避制動支援装置1は、さらに、旋回開始前にアクセルペダル反力に付与する構成を有していても良い。例えば、旋回走行前にアクセルペダル反力を付与する技術として、公知の技術を用いても良いが、以下に図面を参照して一例を説明する。なお、前述の本実施形態と同様な構成については同一の符号を付して説明する。
【0096】
図15は、旋回走行前にアクセルペダルを付与する車両用衝突回避制動支援装置1の構成例を示すブロック図である。
車両用衝突回避制動支援装置1は、図15に示すように、横加速度センサ71を有している。また、車両用衝突回避制動支援装置1は、アクセルペダル反力演算部50に、旋回走行前アクセルペダル反力付与判断部72、旋回走行前アクセルペダル反力量演算部73、及び旋回走行前アクセルペダル反力指令値演算部74を有している。
【0097】
旋回走行前アクセルペダル反力付与判断部72は、横加速度センサ71からの横速度値に基づいて自車両が旋回開始前(旋回走行前)か否かを判定する。例えば、旋回走行前アクセルペダル反力付与判断部72は、横加速度が予め設定した旋回走行前判断用閾値よりも大きいと判定すると、車両が旋回開始前の状態になったと判断する。そして、旋回走行前アクセルペダル反力付与判断部72は、その判断結果を旋回走行前アクセルペダル反力量演算部73に出力する。
【0098】
なお、旋回走行前アクセルペダル反力付与判断部72は、路車間通信によって道路情報を取得し、その取得した道路情報(走行経路情報等)に基づいて自車両が旋回開始前か否かを判定しても良い。
旋回走行前アクセルペダル反力量演算部73は、旋回走行前アクセルペダル反力付与判断部72が自車両が旋回開始前の状態になったと判断した場合、予め設定した値に旋回走行前アクセルペダル反力量を設定する。そして、旋回走行前アクセルペダル反力量演算部73は、設定した旋回走行前アクセルペダル反力量を旋回走行前アクセルペダル反力指令値演算部74に出力する。
【0099】
旋回走行前アクセルペダル反力指令値演算部74は、予め設定した増加率によってアクセルペダル反力指令値を旋回走行前アクセルペダル反力量まで増加させる。そして、旋回走行前アクセルペダル反力指令値演算部74は、アクセルペダル反力指令値を予め設定した時間維持し、その後、予め設定した減少率によってアクセルペダル反力指令値を零まで減少させる。そして、旋回走行前アクセルペダル反力指令値演算部74は、そのように算出したアクセルペダル反力指令値をアクセルペダル反力指令値選択部59に逐次出力する。
【0100】
そして、車両用衝突回避制動支援装置1は、前述の旋回開始前にアクセルペダルを付与する構成を有する場合には、停止時用アクセルペダル反力量演算部57が算出する停止時用アクセルペダル反力量を旋回開始前に自車両に付与する旋回走行前アクセルペダル反力量よりも大きい値にする。
なお、本実施形態の変形例の車両用衝突回避制動支援装置1におけるその他の構成は、前述の本実施形態の車両用衝突回避制動支援装置1の構成と同様である。
【0101】
図16は、旋回走行前に自車両に付与されるアクセルペダル反力量、及び自車両停止時に付与されるアクセルペダル反力量の一例を示す特性図である。
自車両停止時に付与されるアクセルペダル反力量は、図16に示すように、旋回走行前の自車両に付与されるアクセルペダル反力量よりも大きくなっている。
ここで、本実施形態において、旋回走行前アクセルペダル反力付与判断部72、旋回走行前アクセルペダル反力量演算部73、旋回走行前アクセルペダル反力指令値演算部74、及びアクセルペダル反力付与装置9は、例えば、旋回走行前アクセルペダル反力付与手段を構成する。
【0102】
以上のように、車両用衝突回避制動支援装置1は、自車両停止時に付与されるアクセルペダル反力量を旋回走行前の自車両に付与されるアクセルペダル反力量よりも大きくすることで、より効果的に自車両停止時のアクセルペダル反力を運転者に伝えることができる。
また、本実施形態では、障害物への自車両の接近に関するリスクポテンシャルを障害物との距離や障害物との相対速度に基づいて算出しているが、これに限定されない。この場合、例えば、運転者の注意度等の運転者に起因する情報や自速度等の自車両に起因する情報、道路の混雑度等の自車両周囲に起因する情報等に基づいてリスクポテンシャルを算出しても良い。
【0103】
また、本実施形態では、自動制動によって自車両が停止しかつリスクポテンシャルが停止時用アクセルペダル反力付与判断用閾値より大きい場合、停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断しているが、これに限定されない。この場合、例えば、本実施形態では、自動制動によって自車両が停止した場合、その自車両停止時のリスクポテンシャルにかかわらず、停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断しても良い。
【0104】
この場合でも、本実施形態に係る車両用衝突回避制動支援装置1は、自動制動で自車両が停止した後に運転者に対してアクセルペダルの踏み込みの解除を促すことができる。
また、本実施形態では、停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断した後であって停止時用アクセルペダル反力付与開始時間が経過した後に停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58が停止時用アクセルペダル反力指令値の算出を開始しているが、これに限定されない。この場合、例えば、本実施形態では、停止時用アクセルペダル反力付与判断部56が停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断した後であって停止時用アクセルペダル反力付与開始時間が経過した後に停止時用アクセルペダル反力量演算部57が停止時用アクセルペダル反力量の算出を開始しても良い。この処理は、実質的には、停止時用アクセルペダル反力を付与すると判断した後であって停止時用アクセルペダル反力付与開始時間が経過した後に停止時用アクセルペダル反力指令値演算部58が停止時用アクセルペダル反力指令値の算出を開始していることと同等の処理となる。
【0105】
また、本実施形態では、停止時用アクセルペダル反力量演算部57がアクセルペダル開度量及びアクセルペダル踏込時間に基づいて停止時用アクセルペダル反力量を算出しているが、これに限定されない。この場合、例えば、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、アクセルペダル開度量及びアクセルペダル踏込時間の何れか一方に基づいて停止時用アクセルペダル反力量を算出しても良い。具体的には、停止時用アクセルペダル反力量演算部57は、停止時用アクセルペダル反力量初期値F0を固定値にしたり、停止時用アクセルペダル反力オフセット量Foffを固定値にしたりする。
【符号の説明】
【0106】
7 コントローラ、8 制動付与力装置、9 アクセルペダル反力付与装置、30 支援情報演算部、31 リスクポテンシャル演算部、40 制動力演算部、50 アクセルペダル反力演算部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセルペダルに戻し方向への力であるアクセルペダル反力を付与することで、運転者の運転を支援する車両用運転支援装置において、
障害物への自車両の接近リスクポテンシャルを検出する接近リスクポテンシャル検出手段と、
前記接近リスクポテンシャル検出手段が検出した接近リスクポテンシャルに基づいて、自車両に制動力を付与する制動力付与手段と、
自車両の走行状態を検出する自車両走行状態検出手段と、
前記自車両走行状態検出手段が検出した自車両の走行状態と前記制動力付与手段が制動力を付与したことに基づいて、前記制動力付与手段が制動力を付与したことによって自車両が停止したと判定する自車両停止判断手段と、
前記自車両停止判断手段によって自車両が停止したと判定すると、前記アクセルペダルに前記アクセルペダル反力を付与する自車両停止時アクセルペダル反力付与手段と、
を備えることを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項2】
アクセルペダル開度及びアクセルペダル踏み込み時間の少なくとも一方に基づいて、アクセルペダルの操作状態を検出するアクセルペダル操作状態検出手段と、
前記アクセルペダル操作状態検出手段が検出したアクセルペダルの操作状態に基づいて、アクセルペダル反力量を算出するアクセルペダル反力量算出手段と、をさらに備え、
前記自車両停止時アクセルペダル反力付与手段は、前記アクセルペダル反力量算出手段が算出したアクセルペダル反力量を付与することを特徴とする請求項1に記載した車両用運転支援装置。
【請求項3】
自車両の旋回走行手前でアクセルペダル反力を付与する旋回走行前アクセルペダル反力付与手段をさらに備え、
前記自車両停止時アクセルペダル反力付与手段は、前記旋回走行前アクセルペダル反力付与手段が付与したアクセルペダル反力よりも大きいアクセルペダル反力を付与することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した車両用運転支援装置。
【請求項4】
前記自車両停止時アクセルペダル反力付与手段は、前記自車両停止判断手段が判定した自車両の停止時点から予め設定した時間経過したら、前記アクセルペダル反力を付与することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した車両用運転支援装置。
【請求項5】
前記自車両停止時アクセルペダル反力付与手段は、前記接近リスクポテンシャル検出手段が検出した接近リスクポテンシャルが予め設定した値よりも低いと判定すると、前記アクセルペダル反力の付与を禁止することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した車両用運転支援装置。
【請求項6】
前記自車両停止時アクセルペダル反力付与手段は、前記アクセルペダル反力を付与した時点から予め設定した時間経過したと判定、又は前記アクセルペダル反力の付与を開始した後にアクセルペダルの操作量が零になった時点から予め設定した時間経過したと判定、又は前記アクセルペダル反力の付与を開始した後に前記接近リスクポテンシャル検出手段が検出した接近リスクポテンシャルが予め設定した値よりも低くなったと判定のいずれかを満足すると、前記アクセルペダル反力の付与を解除することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載した車両用運転支援装置。
【請求項1】
アクセルペダルに戻し方向への力であるアクセルペダル反力を付与することで、運転者の運転を支援する車両用運転支援装置において、
障害物への自車両の接近リスクポテンシャルを検出する接近リスクポテンシャル検出手段と、
前記接近リスクポテンシャル検出手段が検出した接近リスクポテンシャルに基づいて、自車両に制動力を付与する制動力付与手段と、
自車両の走行状態を検出する自車両走行状態検出手段と、
前記自車両走行状態検出手段が検出した自車両の走行状態と前記制動力付与手段が制動力を付与したことに基づいて、前記制動力付与手段が制動力を付与したことによって自車両が停止したと判定する自車両停止判断手段と、
前記自車両停止判断手段によって自車両が停止したと判定すると、前記アクセルペダルに前記アクセルペダル反力を付与する自車両停止時アクセルペダル反力付与手段と、
を備えることを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項2】
アクセルペダル開度及びアクセルペダル踏み込み時間の少なくとも一方に基づいて、アクセルペダルの操作状態を検出するアクセルペダル操作状態検出手段と、
前記アクセルペダル操作状態検出手段が検出したアクセルペダルの操作状態に基づいて、アクセルペダル反力量を算出するアクセルペダル反力量算出手段と、をさらに備え、
前記自車両停止時アクセルペダル反力付与手段は、前記アクセルペダル反力量算出手段が算出したアクセルペダル反力量を付与することを特徴とする請求項1に記載した車両用運転支援装置。
【請求項3】
自車両の旋回走行手前でアクセルペダル反力を付与する旋回走行前アクセルペダル反力付与手段をさらに備え、
前記自車両停止時アクセルペダル反力付与手段は、前記旋回走行前アクセルペダル反力付与手段が付与したアクセルペダル反力よりも大きいアクセルペダル反力を付与することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した車両用運転支援装置。
【請求項4】
前記自車両停止時アクセルペダル反力付与手段は、前記自車両停止判断手段が判定した自車両の停止時点から予め設定した時間経過したら、前記アクセルペダル反力を付与することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した車両用運転支援装置。
【請求項5】
前記自車両停止時アクセルペダル反力付与手段は、前記接近リスクポテンシャル検出手段が検出した接近リスクポテンシャルが予め設定した値よりも低いと判定すると、前記アクセルペダル反力の付与を禁止することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した車両用運転支援装置。
【請求項6】
前記自車両停止時アクセルペダル反力付与手段は、前記アクセルペダル反力を付与した時点から予め設定した時間経過したと判定、又は前記アクセルペダル反力の付与を開始した後にアクセルペダルの操作量が零になった時点から予め設定した時間経過したと判定、又は前記アクセルペダル反力の付与を開始した後に前記接近リスクポテンシャル検出手段が検出した接近リスクポテンシャルが予め設定した値よりも低くなったと判定のいずれかを満足すると、前記アクセルペダル反力の付与を解除することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載した車両用運転支援装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−6560(P2013−6560A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141834(P2011−141834)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]