説明

車両用電子キー装置

【課題】車載器の電力消費の抑制、認証時間の短縮及び応答性の向上を図ることができる車両用電子キー装置を得る。
【解決手段】車載器及び複数の携帯器を備え、携帯器のIDコードを認証した場合に、制御機器を作動させる車両用電子キー装置において、車載器10は、送受信手段12、メモリ13、受信強度判定手段14、駆動手段15、第1ないし第3のリクエスト信号を、リクエスト信号とアンサ信号との照合結果の一致に応じて順次送信することで、携帯器からの第1ないし第3のアンサ信号を順次受信し、アンサ信号の受信する毎にメモリに記憶された第1ないし第3のアンサ信号と順次照合し最終的に登録された携帯器のIDコードを認証した場合に駆動手段に制御信号を出力するCPU11を備え、CPUは、第1のアンサ信号が正常に検出できない場合でも受信判定信号を受信した場合は第2のリクエスト信号を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用の携帯器と車載器との通信により、IDコードを照合して、ドア、ハンドルロック、トランクの施開錠、エンジン始動等を行う車両用電子キー装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両のドア施開錠、エンジン始動を行う場合、使用者がキーを鍵穴に挿入し回転させて行うものから、いわゆるカードキーのように使用者のポケットまたはバッグに入れたまま、一切キーに触れることなく車載器とキー(携帯器)との間で無線通信を行い、携帯器からのIDコードを車載器が記憶しているコードと照合し、一致した場合に、ドアノブに取り付けられたセンサに触れるだけで、車載器がドアを開錠または施錠したりすることができる電子キー装置がある(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
また、前記のような電子キー装置において、車載器は、照合を行うためのリクエスト要求の無線信号を定期的に送信し、車両のアンロック可能なエリアに、予め登録された携帯器が近づくと、携帯器は前記無線信号に応答し、車載器は携帯器からの応答信号を照合するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−54699号公報
【特許文献2】特開2006−108981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1では、携帯器と車載機の通信において、ドアのロック、アンロックの応答性を向上するために、車載機は、受信強度に応じて送信周期を変化させて省電力性を向上しながら応答性を向上させている。
【0006】
また、特許文献2では、携帯器と車載機の通信において、ドアのロック、アンロックが正常に制御動作しなかった原因を記憶するために、受信強度からノイズが発生しているかどうかを判断している。
【0007】
しかしながら、同時に送信される電波の干渉やノイズにより信号が壊された場合、信号によるID照合ができないため、次の認証が成立するまでドアの施開錠が遅延するまたは動作しない可能性があった。
【0008】
この発明は上述した点に鑑みてなされたもので、登録した携帯器からのリクエスト信号に応じたアンサ信号が正常に受信できない場合や、ノイズにより正常に信号が受信できない場合においても、認証通信をやり直す必要が無く、車載器の電力消費の抑制、認証時間の短縮及び応答性の向上を図ることができる車両用電子キー装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る車両用電子キー装置は、車両に搭載された車載器と、使用者が保有する複数の携帯器とを備え、前記車載器により、前記携帯器との間で通信することにより、前記携帯器のIDコードを認証した場合に、前記車両に搭載された制御機器を作動させる車両用電子キー装置において、前記車載器は、前記携帯器と通信するための送受信手段と、前記携帯器のIDコードを含む、第1ないし第3のアンサ信号を格納したメモリと、受信信号の受信強度に基づいて前記携帯器からの第1のアンサ信号を受信したと判定する受信判定信号を出力する受信強度判定手段と、車両の制御機器に制御信号を出力する駆動手段と、前記送受信手段を介して前記携帯器に対し、登録された携帯器を判定するための第1のリクエスト信号、登録された携帯器の番号を識別するための第2のリクエスト信号及び登録された携帯器のIDコードの認証を行うための第3のリクエスト信号をリクエスト信号とアンサ信号との照合結果の一致に応じて順次送信することで、当該送信に基づく前記携帯器からの第1ないし第3のアンサ信号を順次受信し、前記携帯器からの第1ないし第3のアンサ信号の受信する毎に前記メモリに記憶された第1ないし第3のアンサ信号と順次照合して、照合結果に基づいて最終的に登録された携帯器のIDコードを認証した場合は、前記駆動手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記第1のアンサ信号が正常に検出できない場合でも、前記受信強度判定手段から受信判定信号を受信した場合は、前記送受信手段を介して前記携帯器に対し前記第2のリクエスト信号を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、登録した携帯器から第1のリクエスト信号に応じた第1のアンサ信号が正常に受信できない場合や、ノイズにより正常に信号が受信できない場合においても第2のリクエスト信号を送信できるため、始めから認証通信をやり直す必要が無く、車載器の電力消費の抑制、認証時間の短縮及び応答性の向上を図ることができる。
【0011】
また、第1のアンサ信号を複数の携帯器から同時に送信することができるため認証時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明に係る車両用電子キー装置の構成を示すブロック図である。図1に示す車両用電子キー装置は、車両の所定の場所に搭載された車載器10と、使用者が保有する携帯器101,102とを備え、車載器10により、携帯器101,102との間で通信することにより、携帯器101,102のIDコードを認証した場合に、車両に搭載された、例えばドア施開錠装置、エンジン始動装置等の制御機器20を作動させるものであって、車載器10は、制御手段としてのCPU11と、携帯器101,102と通信するための送受信手段12と、携帯器のIDコード13A,13Bを含む、第1ないし第3のアンサ信号13a〜13cを格納したメモリ13と、受信信号の受信強度に基づいて携帯器からの第1のアンサ信号を受信したと判定する受信判定信号を出力する受信強度判定手段14と、車両の制御機器20に制御信号を出力する駆動手段15とから構成されている。
【0013】
ここで、CPU11は、送受信手段12を介して携帯器101,102に対し、登録された携帯器を判定するための第1のリクエスト信号、登録された携帯器の番号を識別するための第2のリクエスト信号及び登録された携帯器のIDコードの認証を行うための第3のリクエスト信号をリクエスト信号とアンサ信号との照合結果の一致に応じて順次送信することで、当該送信に基づく携帯器からの第1ないし第3のアンサ信号を順次受信し、携帯器からの第1ないし第3のアンサ信号の受信する毎にメモリ13に記憶された第1ないし第3のアンサ信号と順次照合して、これら照合に基づいて最終的に登録された携帯器のIDコードを認証した場合は、駆動手段15を制御して制御機器20に制御信号を出力するよう制御するもので、第1のアンサ信号が正常に検出できない場合でも、受信強度判定手段14から受信判定信号を受信した場合は、送受信手段12を介して携帯器101,102に対し、第2のリクエスト信号を送信可能にする。
【0014】
なお、図1において、携帯機101は携帯機Aと表記され、携帯機102は携帯機Bと表記されている。また、21は送信アンテナ、22は車両に備えられたスイッチ、30は受信器を示し、この受信器30は、受信アンテナ31と受信強度測定手段32とを有する。
【0015】
車載器10の基本動作として、CPU11の制御に基づいて送受信手段12を介して登録された携帯器があるかどうかの判定を行うための第1のリクエスト信号が送信アンテナ21から使用者の携帯器101、102に対して定期的に送信される。携帯器101、102は、これに応答して第1のアンサ信号を送信する。
【0016】
車載器10は、携帯器101,102からの第1のアンサ信号を、アンテナ31、受信強度測定手段32、送受信手段12を介して受信する。CPU11は、この受信内容を解読し、メモリ13に記憶された第1のアンサ信号13aを読出し照合する。メモリ13に保存された第1のアンサ信号13aと受信した第1のアンサ信号とが一致すると、登録された携帯器101,102の番号を識別するための第2のリクエスト信号を使用者の携帯器101、102に対して送信する。
【0017】
また、CPU11は、照合した結果、第1のアンサ信号と受信した第1のアンサ信号が一致しない場合でも、受信強度測定手段32から読み出した信号より、受信強度判定手段14にて受信強度に基づいて第1のアンサ信号があったと判断した場合に、第2のリクエスト信号を送信する。携帯器101、102は、これに応答して登録された携帯器番号に対応した第2のアンサ信号を送信する。
【0018】
車載器10のCPU11は、受信した第2のアンサ信号とメモリ13に保存された第2のアンサ信号13bを読出し照合し、その照合が一致した場合、第2のリクエスト信号の送信終了から第2のアンサ信号の受信完了までの時間に、登録された携帯器番号を解読し、第2のアンサ信号により検出した携帯器に対して登録されている携帯器のIDコードの認証を行うための第3のリクエスト信号を送信する。第3のリクエスト信号に対して要求された携帯器101,102は、内蔵するメモリ112から読み出されたID情報を含んだ第3のアンサ信号を送信する。
【0019】
車載器10のCPU11は、受信した第3のアンサ信号を解読し、メモリ13に保存されたIDA(13A)、IDB(13B)、IDC(13C)を含む第3のアンサ信号13cを読出し照合する。メモリ13に保存されたIDコードと受信した内容が一致すると、いわゆる認証が完了し駆動手段15を介して制御信号をCPU11が出力する。これにより、制御機器20は、例えば車両に備えられたスイッチ22の入力によりドアを開錠したり、エンジン始動を許可するように作動する。
【0020】
一方、携帯器101、102は、同一構成であるため、ここでは、携帯器101についてのみ説明する。携帯器101は、CPU110、送受信手段111、メモリ112、電池113からなっている。メモリ112には、各携帯器毎に個別ID、登録されている車載器のID、携帯器番号が登録されている。
【0021】
携帯器101の基本動作は、車載器10からの第1ないし第3のリクエスト信号を送受信手段111が受信し、CPU110により、その内容から自分に対してリクエストされたか否かをまず判断する。第1のリクエスト信号には登録されている車載器のIDの一部が内在しており、第2のリクエスト信号には登録されている車載器のID、第3のリクエスト信号には携帯器番号が内在しているので、メモリ112に登録されていない車載器のIDや携帯器番号の場合は、アンサ信号は一切送信しない。リクエスト信号が携帯器101用であった場合、CPU110は、メモリ112に保存されたアンサ信号を読み出し、暗号化して送受信手段111から送信する。
【0022】
ここで、車載器10は、使用者がどの携帯器を使用しているか不明のため、車両の特定のエリア(例えばドアを開錠する場合はドア付近のエリア)に登録された携帯器があるかリクエスト信号を定期的に送信することになる。応答性(例えばドアのアンロックの応答性)を向上するためには、携帯器101が車両の特定のエリアに存在しなくても定期的に送信する必要がある。しかし、定期的な認証毎に必要な全ての情報を毎回送信すると時間的にも電力的にも無駄である。また、各携帯器からのアンサ信号を干渉が発生しないように登録された携帯器毎に時間を遅延させて送信した場合には、通信及び認証にさらに時間を要することになる。そこで、携帯器のアンサ信号を各携帯器から同時に送信を行い、車載器は、通信信号データの照合のみではなく受信強度でも判断すれば、最初から通信をリトライする必要がなくなるため、通信時間、電力を抑制することができる。
【0023】
次に、使用者が登録された携帯器を両方所持した状態で、車両の特定のエリア(例えばドアを開錠する場合はドア付近のエリア)に近づいた場合の通信方法について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、特定のエリアに登録した携帯器101、102を所持した場合の通信タイミングについて時間に沿って表したものである。また、図3は、車載器10のCPU11が第1のリクエスト信号を送信してから次に第2のリクエスト信号を送信するかの判定処理を示したフローチャートである。
【0024】
車載器10のCPU11は、登録した携帯器101、102に対して特定のエリアに近づいたかどうかを判定するために、第1のリクエスト信号200を定期的に送信し(ステップS1)、第1のリクエスト信号200を受信した携帯器101は、その信号に対する第1のアンサ信号210を送信する。同じ第1のリクエスト信号200を受信した携帯器102は、携帯器101と同じ第1のアンサ信号220を同じタイミングで送信する。
【0025】
車載器10のCPU11は、同じタイミングで送信された第1のアンサ信号210と220の信号を受信し、その受信した信号とメモリ13に記憶された第1のアンサ信号13aとの照合を行い、一致した場合(ステップS2のYES)には、登録された携帯器番号を識別するための第2のリクエスト信号201を送信する(ステップS4)。
【0026】
また、車載器10のCPU11は、携帯器101、102が正常に信号を送信したにもかかわらず、同時タイミングで送信したこと等により、信号にノイズが発生して正常に受信できなかった場合(ステップS2のNO)にでも、第1のアンサ信号を受信するタイミングで、受信強度測定手段32を介して受信した信号の受信強度を読出し、受信強度判定手段14により受信強度が規定値Vth以上であると判定し、携帯器からの第1のアンサ信号を受信したと判定した(ステップS3のYES)場合に、登録された携帯器番号を識別するための第2のリクエスト信号201を送信する(ステップS4)。
【0027】
第2のリクエスト信号201を受信した携帯器101は、その信号に対する第2のアンサ信号211を送信する。同じ第2のリクエスト信号201を受信した携帯器102は、携帯器101と同じ第2のアンサ信号221を第2のアンサ信号211と重ならない携帯器番号固有の時間経過(例えば5ms)したタイミングで送信する。
【0028】
車載器10のCPU11は、異なるタイミングで送信された第2のアンサ信号211と221を受信し、第2のリクエスト信号を送信した後にメモリ13に記憶された第2のアンサ信号13bを読み出して照合を行い、一致した場合には、検出された特定の携帯器101に対して登録された携帯器を認証するための第3のリクエスト信号202を送信する。
【0029】
第3のリクエスト信号を受信した携帯器101は、その信号に対してメモリ112に記憶された携帯器番号と照合を行い、一致している場合は、第3のリクエスト信号に対応した携帯器固有のIDを含んだ第3のアンサ信号212を送信する。
【0030】
車載器10のCPU11は、受信した第3のアンサ信号を解読してメモリ13に記憶された携帯器のIDと一致して暗号通信による認証が成立していれば、例えばドア付近に搭載されたスイッチ22の入力があるとアンロック制御を行う。
【0031】
従って、実施の形態1によれば、上述したように、車載器10のCPU11は、ステップS2にて第1のアンサ信号が正常に受信できなかった場合にでも、ステップS3にて第1のアンサ信号の受信強度から携帯器の存在を判断して第2のリクエスト信号を送信することができ、また、複数の携帯器から同時に第1のアンサ信号を受信することができるため、第1のアンサ信号が応答してくるまでの待ち時間が短くなり、通信時間・認証時間を短縮でき、使用電力を抑制することができる。
【0032】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、第1のアンサ信号を受信するタイミングで規定値Vth以上のレベルの場合に、受信強度判定手段14により第1のアンサ信号を受信したと判断するが、バックグラウンドの受信強度が規定値Vthを越えている場合は、常に受信したと判断されてしまう。この実施の形態2では、車載器10のCPU11のメイン処理での受信強度の閾値Vthを変更する方式について図4を用いて説明する。
【0033】
車載器10のCPU11は、メイン周期Tms毎の第1のアンサ信号の受信強度を測定し、メモリ13に記憶し(ステップS11)、そのメモリ13に記憶された過去N回分の受信強度の移動平均処理を行い(ステップS12)、処理された移動平均値が受信強度の規定値Vthを超えているか否かの判定を行う(ステップS13)。CPU11は、受信強度が規定値Vthを超えている場合に、受信強度の規定値Vthを移動平均値以上の規定値に変更する(ステップS14)。他方、受信強度が規定値Vthを超えていない場合は、規定値Vthを変更しないで、ステップS14に進み処理を終了する。
【0034】
従って、実施の形態2によれば、上述した手順により、バックグラウンドの受信強度が受信強度規定値Vthを常時超えている場合に、第1のリクエスト信号に対する第1のアンサ信号が常時受信できていると誤判定するのを防止することができる。
【0035】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3について説明する。上述した実施の形態1では、第1のアンサ信号を受信するタイミングで規定値Vth以上のレベルの場合に、受信強度判定手段14により第1のアンサ信号を受信したと判断するが、バックグラウンドの受信強度が規定値Vthを越えている場合は常時受信したと判断されてしまう。この実施の形態3では、車載器10のCPU11において、受信強度の変化量に従い第2のリクエスト信号を送信する方式について図5を用いて説明する。なお、図3、図4と同一符号は同一内容である。
【0036】
車載器10のCPU11は、メイン周期Tms毎の携帯器101、102が車載器のリクエスト信号に対するアンサ信号を返信する以外の受信強度を測定し、メモリ13に記憶する(ステップS11)。そして、CPU11は、そのメモリ13に記憶された過去N回分の受信強度の移動平均処理を行いその移動平均値をメモリ13に記憶する(ステップS12)。
【0037】
また、CPU11は、携帯器101,102が特定エリアにあるかどうかを判定するために、第1のリクエスト信号を送信した後、第1のアンサ信号を受信したか否かの判定を行い(ステップS1,S2)、携帯器101、102が正常に信号を送信したにもかかわらず、同じタイミングで携帯器101、102の両者が第1のアンサ信号を送信したこと等により信号にノイズが発生して正常に受信できなかった場合(ステップS2のNO)にでも、受信強度測定手段32を介して第1のアンサ信号の受信強度を読出し、メモリ13に記憶された受信強度の移動平均値と比較して、その比較差が規定値Vdif以上であるか否かを判定し(ステップS5)、比較差が規定値Vdif以上である場合(ステップS5のYES)には、携帯器から第1のアンサ信号を受信したと判定し、登録された携帯器番号を識別するための第2のリクエスト信号201を送信する(ステップS4)。
【0038】
従って、実施の形態3によれば、上述した手順により、バックグラウンドの受信強度が常時比較的高いレベルにある場合でも、受信強度が変化した場合に第1のリクエスト信号に対する第1のアンサ信号が常に受信できていると誤判定するのを防止することが可能である。
【0039】
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4について説明する。上述した実施の形態1では、第1のアンサ信号を受信するタイミングで規定値Vth以上のレベルの場合に、受信強度判定手段14により第1のアンサ信号を受信したと判断するが、バックグラウンドの受信強度が規定値Vthを越えている場合は常時受信したと判断されてしまう。この実施の形態4では、車載器10のCPU11において、常時規定値Vthを超えている場合には受信強度による判定は行なわない方式について図6を用いて説明する。なお、図3、図4と同一符号は同一内容である。
【0040】
車載器10のCPU11は、メイン周期Tms毎の受信強度を測定する(ステップS11)。そして、CPU11は、その測定した受信強度が規定値Vth以上かどうかを判定し(ステップS16)、受信強度が規定値Vthを超えていれば(ステップS16のYES)、受信強度規定値超カウンタのカウント値を加算し(ステップS17)、受信強度が規定値Vthを超えていなければ(ステップS16のNO)、上記カウンタのカウント値を減算し(ステップS18)、メモリ13に記憶する。
【0041】
そして、CPU11は、メモリ13に記憶されたカウント値が規定値Nth以上かを判定し(ステップS19)、カウント値が規定値Nth以上である場合(ステップS19のYES)は、受信強度による第1のアンサ信号判定禁止状態に設定する(ステップS19)。他方、カウント値が規定値Nthより小さい場合(ステップS19のNO)は、受信強度による第1のアンサ信号判定禁止状態を解除する(ステップS20)。
【0042】
従って、実施の形態4によれば、上述した手順により、バックグラウンドの受信強度が常時比較的高いレベルにある場合、あるいは受信強度測定手段が何らかの原因により故障して常時受信強度が高い出力が送信されている場合には、常時第1のアンサ信号を受信したと誤判定することを防止することが可能である。
【0043】
よって、常時受信強度が高い場合には、携帯器が無いにも関わらず第1のアンサ信号の受信タイミングでの受信強度から携帯器があると判定して常時第2のリクエスト要求を送信し、不必要な信号を送信して通信時間が長くなり、無駄な電力消費をしてしまう現象を抑制することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
この発明は、車両用のみならず、2輪車、船舶、航空機等の同様な電子キー装置にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明に係る車両用電子キー装置の構成を示すブロック図である。
【図2】特定のエリアに登録した携帯器101、102を所持した場合の通信タイミングについて時間に沿って表したタイムチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1に係るフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態2に係るフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態3に係るフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態4に係るフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
10 車載器、11 CPU、12 送受信手段、13 メモリ、14 受信強度判定手段、15 駆動手段、20 制御機器、21 送信アンテナ、22 スイッチ、30 受信器、31 受信アンテナ、32 受信強度測定手段、101、102 携帯器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載器と、使用者が保有する複数の携帯器とを備え、前記車載器により、前記携帯器との間で通信することにより、前記携帯器のIDコードを認証した場合に、前記車両に搭載された制御機器を作動させる車両用電子キー装置において、
前記車載器は、
前記携帯器と通信するための送受信手段と、
前記携帯器のIDコードを含む、第1ないし第3のアンサ信号を格納したメモリと、
受信信号の受信強度に基づいて前記携帯器からの第1のアンサ信号を受信したと判定する受信判定信号を出力する受信強度判定手段と、
車両の制御機器に制御信号を出力する駆動手段と、
前記送受信手段を介して前記携帯器に対し、登録された携帯器を判定するための第1のリクエスト信号、登録された携帯器の番号を識別するための第2のリクエスト信号及び登録された携帯器のIDコードの認証を行うための第3のリクエスト信号をリクエスト信号とアンサ信号との照合結果の一致に応じて順次送信することで、当該送信に基づく前記携帯器からの第1ないし第3のアンサ信号を順次受信し、前記携帯器からの第1ないし第3のアンサ信号の受信する毎に前記メモリに記憶された第1ないし第3のアンサ信号と順次照合して、照合結果に基づいて最終的に登録された携帯器のIDコードを認証した場合は、前記駆動手段を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、前記第1のアンサ信号が正常に検出できない場合でも、前記受信強度判定手段から受信判定信号を受信した場合は、前記送受信手段を介して前記携帯器に対し前記第2のリクエスト信号を送信する
ことを特徴とする車両用電子キー装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用電子キー装置において、
前記受信強度判定手段は、受信信号の受信強度が前記第1のアンサ信号を受信するタイミングで規定値以上のレベルの場合に、受信判定信号を出力する
ことを特徴とする車両用電子キー装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用電子キー装置において、
前記制御手段は、所定周期毎に測定された前記第1のアンサ信号の過去N回分の受信強度のデータを前記メモリに記憶し、記憶された受信強度のデータを移動平均処理した移動平均値が規定値以上の場合に、受信強度に応じて規定値を変更する
ことを特徴とする車両用電子キー装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両用電子キー装置において、
前記制御手段は、所定周期毎に測定された前記第1のアンサ信号の過去N回分の受信強度のデータを前記メモリに記憶し、記憶された受信強度のデータを移動平均処理した移動平均値と、前記第1のアンサ信号を受信するタイミングで前記第1のアンサ信号の受信強度とを比較して、その比較差が所定レベル以上の場合に、前記第1のアンサ信号を検出できたと判定し、前記第2のリクエスト信号を送信する
ことを特徴とする車両用電子キー装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車両用電子キー装置において、
前記制御手段は、所定周期毎に測定された前記第1のアンサ信号の受信強度が規定値以上の場合はカウント値を加算すると共に規定値を超えていない場合はカウント値を減算し、カウント値が所定値以上の場合に前記第1のアンサ信号の受信判定禁止状態に設定すると共にカウント値が所定値より小さい場合は前記受信判定禁止状態を解除する
ことを特徴とする車両用電子キー装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−208596(P2008−208596A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−45643(P2007−45643)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】