説明

車両用電源装置

【課題】高効率発電と高出力発電を適切に切り替えることができ、ブレーキ機構を複雑にすることなく、発電トルク変化によるドライバビリティの悪化を防止することができる車両用電源装置を提供することを目的とする。
【解決手段】発電機1と、電圧変換器2を介して接続され発電機1で発電された電力を蓄える鉛バッテリ3とを備え、更に、発電許容トルク設定手段61と目標発電電力算出手段62とを備えて、要求出力電力と発電可能電力と最大発電電力とのうち最小の電力を目標発電電力として算出し、目標発電電圧設定手段63を備えて、目標発電電力が最大発電電力に等しいときは最大電力発電電圧を目標発電電圧として設定し、目標発電電力が最大発電電力より小さいときは、発電機1の回転速度および目標発電電力に基づいて発電機1の発電効率が最大となる発電電圧である最大効率発電電圧を算出し最大効率発電電圧を目標発電電圧として設定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発電を効率よく実施すると共に、車両減速時の回生発電を積極的に実施する車両用電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両の電源装置のうち、発電を効率よく実施する車両用電源装置については、例えば、特許文献1に示されるように、発電効率が最高となる動作点で発電機が発電を行うように制御するとともに、発電機の出力電圧の大きさを所定の電圧値に変換する電圧変換手段を有するものが開示されている。
【0003】
この従来の装置によれば、発電機の出力端子電圧を可変にすることで、最大出力電力を大きくし効率が最適となる出力端子電圧で発電を行なうので、発電効率も改善される。また、電気負荷やバッテリに適した電圧と発電効率が最大となる発電機出力端子電圧とは一般に異なるが、これをどちらも満たす構成を実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−103796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の従来の装置の場合、発電機の出力端子電圧を可変にしているため、確かに発電機とバッテリとを直接接続することで発電機の出力電圧が一定値に規定されているときに比べて、より多くの電力を発電することが可能となっている。しかし、車両減速中で車両の減速エネルギーを使用した回生発電制御中において十分な発電トルクが供給される場合には、燃料を使用して発電するわけではないため、多少効率が悪くてもより多くの発電を行ったほうが有利である。この場合、発電機の出力端子電圧は、発電効率が最高となる動作点ではなく、発電電力が最大となる動作点となる値にする必要がある。
【0006】
一方、発電電力を増大させた場合、発電機が必要とする駆動力やトルクも増大することとなる。この場合、常に安定して発電が行われていればよいが、例えば、回生発電時のような大電力発電時にバッテリの充電状態により発電を停止しなければならなくなると、発電機の駆動トルクが急に低下し、ショックの発生や減速感の変化(減少)によるドライバビリティの悪化が懸念される。これを防止するために、油圧ブレーキと協調させて発電を実施することも考えられるが、ブレーキ機構の複雑化やコスト増加を招く懸念がある。
【0007】
この発明は、前述した従来の装置における課題を解決するためになされたもので、高効率発電と高出力発電を適切に切り替えることができ、ブレーキ機構を複雑にすることなく、発電トルク変化によるドライバビリティの悪化を防止することができる車両用電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係る車両用電源装置は、車両の走行エネルギーまたは内燃機関のエネルギーを駆動源として電力を発電する発電機、発電機で発電された電力を蓄えるとともに車両の電気負荷に電力を供給する蓄電装置、および第1端が発電機に接続され第2端が電気負荷に接続された電圧変換器を備えた車両用電源装置において、
発電機の発電に使用できるトルクである発電許容トルクを設定する発電許容トルク設定手段を備え、
発電機の回転速度において発電許容トルクを使用した場合に発電機が発電できる最大電力である発電可能電力と、発電機の回転速度において発電機が発電できる最大電力である最大発電電力とを算出し、発電可能電力が最大発電電力以上のときは発電機が最大発電電力で運転するよう、また、発電可能電力が最大発電電力未満のときは発電機が最大の発電効率における発電可能電力で運転するよう発電機および電圧変換器を制御するようにしたものである。
【0009】
第2の発明に係る車両用電源装置は、車両の走行エネルギーまたは内燃機関のエネルギーを駆動源として電力を発電する発電機、発電機で発電された電力を蓄えるとともに車両の電気負荷に電力を供給する蓄電装置、第1端が発電機に接続され第2端が電気負荷に接続された電圧変換器、蓄電装置の充電状態およびまたは車両の走行状態に基づき電圧変換器の前記第2端に要求される出力電流または出力電圧である要求値および当該要求値に係る出力電力である要求出力電力を算出する要求出力電力算出手段、要求出力電力に基づき発電機の目標発電電力を算出する目標発電電力算出手段、目標発電電力に基づき発電機の目標発電電圧を設定する目標発電電圧設定手段、発電機の発電電圧が目標発電電圧となるよう発電機を制御する発電機制御手段、および電圧変換器の第2端の出力電流または出力電圧が要求値となるよう電圧変換器を制御する電圧変換器制御手段を備えた車両用電源装置において、
発電機の発電に使用できるトルクである発電許容トルクを設定する発電許容トルク設定手段を備え、
目標発電電力算出手段は、発電機の回転速度において発電許容トルクを使用した場合に発電機が発電できる最大電力である発電可能電力と発電機の回転速度において発電機が発電できる最大電力である最大発電電力と最大発電電力となるときの発電電圧である最大電力発電電圧とを算出し、要求出力電力と発電可能電力と最大発電電力とのうち最小の電力を目標発電電力として算出し、
目標発電電圧設定手段は、目標発電電力が最大発電電力に等しいときは最大電力発電電圧を目標発電電圧として設定し、目標発電電力が最大発電電力より小さいときは、発電機の回転速度および目標発電電力に基づいて発電機の発電効率が最大となる発電電圧である最大効率発電電圧を算出し最大効率発電電圧を目標発電電圧として設定するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、この発明に係る車両用電源装置は、発電機の発電に使用できるトルクである発電許容トルクを設定する発電許容トルク設定手段を備え、更に、
第1の発明では、発電機の回転速度において発電許容トルクを使用した場合に発電機が発電できる最大電力である発電可能電力と、発電機の回転速度において発電機が発電できる最大電力である最大発電電力とを算出し、発電可能電力が最大発電電力以上のときは発電機が最大発電電力で運転するよう、また、発電可能電力が最大発電電力未満のときは発電機が最大の発電効率における発電可能電力で運転するよう発電機および電圧変換器を制御するようにし、
また、第2の発明では、発電機の回転速度において発電許容トルクを使用した場合に発電機が発電できる最大電力である発電可能電力と発電機の回転速度において発電機が発電できる最大電力である最大発電電力と最大発電電力となるときの発電電圧である最大電力発電電圧とを算出し、要求出力電力と発電可能電力と最大発電電力とのうち最小の電力を目標発電電力として算出し、目標発電電力が最大発電電力に等しいときは最大電力発電電圧を目標発電電圧として設定し、目標発電電力が最大発電電力より小さいときは、発電機の回転速度および目標発電電力に基づいて発電機の発電効率が最大となる発電電圧である最大効率発電電圧を算出し最大効率発電電圧を目標発電電圧として設定するようにしたので、発電許容トルクに余裕があり大電力が要求される場合には最大の電力を発電し、そのほかの場合には最大効率で発電を行うことができる。
また、車両の走行エネルギーを駆動源とする回生発電時と内燃機関のエネルギーを駆動源とする力行発電時とにおける発電許容トルクを適切に設定することにより、回生発電時で発電トルク(発電許容トルク)が十分に得られる場合には、より多くの電力を発電できるとともに、燃料を使用した力行発電を行うときには、効率良く発電を行うことができる。一方、回生発電中でも発電に使用できるトルク(発電許容トルク)が十分に得られない場合には高効率発電とするので、限られた発電トルクでより多くの発電電力を得ることができる。要するに、高効率発電と高出力発電を適切に切り替えることができ、ブレーキ機構を複雑にすることなく、発電トルク変化によるドライバビリティの悪化を防止することができる車両用電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1における車両用電源装置を示す構成図である。
【図2】図1のコントロールユニット6の内部構成を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1の車両用電源装置における、一定周期で実行される処理を示すフローチャートである。
【図4】図3の目標発電電力算出処理S103における処理内容を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1の車両用電源装置における、発電機1の発電可能電力特性の一例を示す特性図である。
【図6】この発明の実施の形態1の車両用電源装置における、発電機1の最大発電電力特性の一例を示す特性図である。
【図7】図3の目標発電電圧設定処理S104における処理内容を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態1の車両用電源装置における、発電機1の発電トルク特性の一例を示す特性図である。
【図9】この発明の実施の形態2における車両用電源装置を示す構成図である。
【図10】図9のコントロールユニット6Aの内部構成を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態2の車両用電源装置における、一定周期で実行される処理を示すフローチャートである。
【図12】この発明の実施の形態3における車両用電源装置を示す構成図である。
【図13】図12の電圧変換器2の内部構成の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態による車両用電源装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1における車両用電源装置を示す構成図である。
【0013】
図1において、発電機1は、車両の走行エネルギーまたは内燃機関(図示せず)のエネルギーを駆動源として電力を発電し、通例、この内燃機関にベルト接続されている。これ以外の構成として、例えば、内燃機関と変速機(図示せず)との間に挟み込み接続されたものでもよく、ベルト接続に比べより大きな発電トルクで駆動することが可能となる。さらに、内燃機関側にクラッチを備えると、車両減速中、即ち、車両の走行エネルギーを駆動源として発電する回生発電時、このクラッチを操作することで内燃機関を切り離すことができ、内燃機関の機械抵抗分も発電に使用できるようになり、回生電力がその分より大きくなり有利である。
【0014】
発電機1の構成としては、一般的な車両に用いられるオルタネータと同等のものでよく、回転子に流す界磁電流を制御することで発電電力の調節が可能なものである。但し、後述のとおり発電電圧を高電圧化するため、従来のものに比べ高電圧で発電できる構成としておく必要がある。
【0015】
電圧変換器2は、入力となる第1端が発電機1に、出力となる第2端が負荷給電母線5に接続され、第1端−接地端間の電圧と第2端−接地端間の電圧との間で電圧変換を行う。負荷給電母線5には、蓄電装置である鉛バッテリ3と電気負荷である車載電気負荷4が接続され、これらに発電機1の発電電力が電圧変換器2、負荷給電母線5を介して供給される。
【0016】
電圧変換器2の具体的な構成としては、MOSFET等のスイッチング素子を用いた公知のチョッパ回路を採用することができる。電圧変換器2は、この電圧変換器2に内蔵された電圧変換器制御手段2aによりスイッチング素子をON/OFF駆動することで、出力側端子である第2端へ出力される電流や電圧、電力を制御し、第2端の出力電流または出力電圧が、後述するコントロールユニット6の要求出力電力算出手段60から指示された要求値となるようスイッチング素子を作動させる。
【0017】
また、電圧変換器2の電圧変換について、一般的な車両に用いられる鉛バッテリ3は、開放電圧が12V程度、充電電圧が14V程度のため、発電機1の発電電圧を14Vより高く設定すれば、電圧変換器2は、第1端から第2端への電圧変換を常に降圧方向とするものでよくなり、このような電圧範囲を選択することでより、降圧、昇圧双方向の電圧変換が要求されるものに比較してより簡易な構成とすることが可能となる。発電機1の発電電圧の最高電圧については、部品の制約や感電防止の安全面などからむやみに高電圧するのは困難であり、発電機1の特性も考慮して例えば28Vとするのが適当である。
【0018】
コントロールユニット6は、図2に示すように、マイクロコンピュータ等の演算装置(以下、CPUと称する)及びメモリ等(図示せず)を備え、個々には後述するが、要求出力電力算出手段60、発電許容トルク設定手段61、目標発電電力算出手段62、目標発電電圧設定手段63、発電機制御手段64を備えている。なお、電圧変換器制御手段2aは、電圧変換器2に内蔵せず、コントロールユニット6内に備える構成としてもよい。その他、コントロールユニット6には、個々の説明は省略するが、内燃機関等に備えられたセンサやアクチュエータ等が接続される。
【0019】
コントロールユニット6では、発電機1や上記アクチュエータ等の制御が行われ、電圧変換器2の電圧変換器制御手段2aに対しては出力電流または出力電圧である要求値を指示する。また、接続されたアクセルセンサ10、ブレーキスイッチ11、車速センサ(図示せず)による車両走行状態の検出、バッテリセンサ12による鉛バッテリ3の充電状態の検出が公知の方法で行われる。
【0020】
例えば、車両走行状態の検出について、アクセルセンサ10は、運転者によるアクセル操作量を検出しその検出値に対応する信号を出力するものでよい。この信号によりアクセル操作の有無が検出でき、アクセル踏み込みの場合は加速要求があると判断でき、一方、アクセル操作が無く操作量が0(ゼロ)であれば減速の意思であると判断し、所定条件成立で内燃機関への燃料供給を停止する。また、ブレーキスイッチ11は、ブレーキの操作を検出し、ブレーキの踏み込み有無を示す信号を出力する。これらの検出結果と車速から、車両が減速状態にあるか否かを判断することができる。
【0021】
また、鉛バッテリ3の充電状態の検出については、鉛バッテリ3に設けられたバッテリセンサ12で鉛バッテリ3の電圧および電流を検出し、これらの値に基づいて鉛バッテリ3の充電率推定や充電要否の判定をする。
【0022】
さらに、コントロールユニット6には、内燃機関に備えられた回転センサ(図示せず)も接続されており、公知の手段により内燃機関の回転速度を検出することができる。得られた回転速度から、ベルト接続におけるプーリ比をもって発電機1の回転速度を算出することができ、発電機1への回転センサ設置は不要となる。この点、電動発電機等を発電機として用いる場合、電動発電機に回転センサが備えられていれば、それを使用してもよい。
【0023】
次に、この発明の実施の形態1による車両用電源装置の動作について説明する。図3は、この発明の実施の形態1による車両用電源装置における、一定周期(例えば、0.01秒)で実行される処理を示すフローチャートである。
【0024】
図3において、まず、ステップS101にて、要求出力電力算出手段60により要求出力電力算出処理を実施して、鉛バッテリ3の充電状態およびまたは車両の走行状態に基づき、電圧変換器2の第2端に要求される出力電流または出力電圧である要求値および当該要求値に係る出力電力である要求出力電力を算出する。算出方法は、電圧変換器2が負荷給電母線5からみれば一般的な車両のオルタネータと同様の働きをしているとみなせるため、従来の発電制御の方法が流用できる。
【0025】
例えば、鉛バッテリ3の充電状態や車両の走行状態に応じて発電電圧を切り替えるものがよい。この場合、設定した発電電圧を電圧変換器2に内蔵されている電圧変換器制御手段2aに指示して電圧変換器2の第2端の電圧を直接制御してもよいし、設定した発電電圧になるよう出力電流をあらかじめフィードバック制御で求め、得られた電流値を電圧変換器制御手段2aに指示して電圧変換器2で電流値を制御してもよい。要求出力電力は、電圧を要求値とした場合には、現在の電流を検出もしくは推定して電圧の要求値との乗算で求めればよく、電流を要求値とした場合には、現在の電圧を検出して電流の要求値との乗算で求めればよい。
【0026】
また、車両の走行状態に基づいて、減速以外の走行時は、鉛バッテリ3の充電率に応じて発電電圧を低下して発電電力を抑制し、減速時の回生発電時に鉛バッテリ3の充電率を回復させるよう発電電圧を上昇して発電電力を増加させるとよい。これにより発電に使用する燃料を削減でき燃費向上を図ることができる。
【0027】
次に、ステップS102では、発電許容トルク設定手段61により発電許容トルク設定処理を実施して、発電機1の発電に使用できるトルクである発電許容トルクを設定する。設定方法としては、発電有無による発電機1の駆動トルク差がドライバビリティに影響しない程度となるよう求めればよい。
なお、ドライバビリティは車両の駆動力変化に影響されるため、発電機1の発電時仕事率が一定になるように発電許容トルクを設定すればよく、発電機1の回転速度が速いほど、発電許容トルクが小さくなるよう設定するとよい。
【0028】
発電機1が車両の走行エネルギーを駆動源として発電する車両減速中は、ドライバビリティへの影響が大きいため、この車両減速中に発電を停止したときに生じる車両の減速度の変化、換言すると、発電機1が発電許容トルクで発電した場合と発電を行わない場合とにおける車両の減速度の変化が所定値以内となるように発電許容トルクを設定するとよい。
加速時等で発電機1が内燃機関のエネルギーを駆動源として発電しているときは、内燃機関の出力調整は比較的簡単に行えるため、発電機1の停止に伴う駆動トルクの変化に応じて内燃機関の出力を調整すればよい。これに対し、減速時では、ブレーキの制動力を調整する必要があるためブレーキシステムがその変化に対応していなければならないが、そのような機能を備えていないブレーキシステムでは機構の複雑化やコスト増加を招く懸念がある。そこで、ブレーキの制動力を調整する代わりに車両の減速度の変化が所定値以内となるように発電許容トルクを設定することで、ドライバビリティの悪化を防止することができる。
【0029】
減速度は車両の走行抵抗に依存しており高車速ほど走行抵抗が大きいことを考慮すると、高車速時ほど減速度に対する発電許容トルクの影響は少ないため、車速増加に応じて発電許容トルクが大きくなるよう設定するとよい。車両の速度と走行抵抗とは、車両の加速時にも同様の関係を有するので、車両の加速時にも、車速増加に応じて発電許容トルクが大きくなるよう設定してもよい。
【0030】
ステップS103では、目標発電電力算出手段62により目標発電電力算出処理を実施して目標発電電力を算出し、ステップS104では、目標発電電圧設定手段63により目標発電電圧設定処理を実施して目標発電電圧を設定する。これらの処理内容については、それぞれ図4および図7により後述する。
【0031】
最後に、ステップS105で発電機制御手段64により発電機制御処理を実施して、設定された目標発電電圧となるよう発電機1を制御して図3に示す処理を終了する。制御方法としては公知の方法でよく、発電機1の特性から、発電電圧が低下すれば発電電力が増加し、発電電圧が上昇すれば発電電力が低下するようフィードバック制御すればよく、発電電力の制御は界磁電流を制御することで行うことができる。
【0032】
次に、前述のステップS103において実施する目標発電電力算出処理について説明する。図4は、この発明の実施の形態1による車両用電源装置における、目標発電電力算出処理を示すフローチャートである。
【0033】
図4において、まずステップS201で、前述の通り、検出した内燃機関の回転速度にプーリ比を考慮して発電機1の回転速度を算出する。
【0034】
次に、ステップS202で、ステップS102(図3)で設定した発電許容トルクに基づいて発電可能電力を算出する。あらかじめ計測した発電機1の発電特性をコントロールユニット6に格納しておき、ステップS201で算出した発電機1の回転速度において発電許容トルクを使用して発電機1が発電できる最大電力を発電可能電力として求める。
【0035】
ステップS203では、発電機1の回転速度に基づいて発電機1が発電できる最大電力を最大発電電力として算出し、ステップS204でその時の発電電圧である最大電力発電電圧を算出する。これらの値についても、あらかじめ計測した発電機1の発電特性をコントロールユニット6に格納しておき、発電機1の回転速度に応じて求めればよい。
【0036】
ここで、参考までに発電機1の発電特性の例として、図5に発電可能電力特性、図6に最大発電電力特性を示しておく。
【0037】
図5に示す発電可能電力特性は、ある発電トルク時の発電電圧に対する発電電力の変化を示すものである。一般的なオルタネータでは、回転速度に応じて発電できる最大電圧は決まっており、回転速度の上昇に伴い最大発電電圧も上昇する特性となっている。また、発電トルクが一定の状態で回転速度が上昇すれば発電機1の受ける仕事率は増加するため、発電許容トルクが同じであれば、発電可能電力は回転速度に応じて増加し、そのときの発電電圧も変化することとなる。
【0038】
図6に示す最大発電電力特性は、上段が発電電圧毎の回転速度に対する発電電力から最大発電電力を示したものであり、下段がその時の発電電圧である最大電力発電電圧を示したものである。発電できる最大電圧は先に述べたように回転速度に応じて決まっており、発電電力は発電電圧の上昇に伴い増加する傾向にあるため、これらの傾向から、回転速度の上昇に伴って、最大発電電力も増加し、最大電力発電電圧も上昇することとなる。
【0039】
最後に、ステップS205〜S207において、要求出力電力、発電可能電力、最大発電電力のうち最小の値を選択して、ステップS208〜S210で、目標発電電力に代入して図4の処理を終了する。
【0040】
具体的には、ステップS205で、発電可能電力>最大発電電力?を判定し、YesであればステップS206へ、NoであればステップS207へ進む。ステップS206で、要求出力電力>最大発電電力?を判定し、YesであればステップS208へ進み、最大発電電力を目標発電電力に代入して処理を終了する。ステップS206でNoであればステップS209へ進み、要求出力電力を目標発電電力に代入して処理を終了する。
【0041】
また、ステップS207で、要求出力電力>発電可能電力?を判定し、YesであればステップS210へ進み、発電可能電力を目標発電電力に代入して処理を終了する。ステップS207でNoであればステップS209へ進み、要求出力電力を目標発電電力に代入して処理を終了する。
【0042】
次に、前述の図3におけるステップS104において実施する目標発電電圧設定処理について説明する。図7は、この発明の実施の形態1による車両用電源装置における、目標発電電圧設定処理を示すフローチャートである。
【0043】
図7において、ステップS301で、目標発電電力が最大発電電力と等しいか判定する。判定がYesで、目標発電電力と最大発電電力とが等しければ、ステップS302へ進み目標発電電圧に最大電力発電電圧を設定して図7の処理を終了する。
【0044】
一方、ステップS301の判定がNoで、目標発電電力と最大発電電力とが等しくない場合は、目標発電電力算出処理(図4)のステップS205〜S207の内容から、目標発電電力は最大発電電力よりも小さい値であることになるため、ステップS303へ進み、発電機1の回転速度および目標発電電力において発電機1の発電効率が最大となる最大効率発電電圧を算出し、ステップS304で、この最大効率発電電圧を目標発電電圧に設定して図7の処理を終了する。
なお、目標発電電力が最大発電電力よりも小さい場合とは、要求出力電力が目標発電電力とされている場合(ステップS209)と発電可能電力が目標発電電力とされている場合(ステップS210)とが相当する。
【0045】
目標発電電力と最大発電電力が等しい場合、発電機1はできる限り発電電力を増加させる必要があるため、発電効率よりも発電電力を優先すべきであり、目標発電電圧には最大電力発電電圧を設定すればよいことになる。一方、目標発電電力が最大発電電力よりも小さい場合には、発電機1の発電能力には余裕があるため、発電効率を優先して目標発電電圧には最大効率発電電圧を設定すればよいことになる。
【0046】
ここで、参考までに発電機1の発電特性の例として、ある発電電力、回転速度時の発電電圧に対する発電トルクの特性である発電トルク特性を図8に示す。発電効率が最高である状態とは、同じ電力を発電する際に使用する発電トルクが最小となる状態であるから、図8に示す点となるときの発電電圧が、最大効率発電電圧となる。ちなみに、目標発電電力が発電可能電力と等しい場合には、図5で示した発電可能電力となるときの発電電圧が最大効率発電電圧となる。使用する発電トルクが同じであれば、発電電力が最大となる状態が最も発電効率がよいからである。この場合、発電可能電力を算出する際にそのときの発電電圧も保持しておいてもよい。
【0047】
以上のように、この発明の実施の形態1による車両用電源装置においては、所定の発電許容トルク設定手段61を備えるとともに、目標発電電力算出手段62を備えて目標発電電力算出処理を行うことで、要求出力電力と発電可能電力と最大発電電力とのうち最小の電力を目標発電電力として算出し、さらに、目標発電電圧設定手段63を備えて目標発電電圧設定処理を行うことで、目標発電電力が最大発電電力に等しいときは最大電力発電電圧を目標発電電圧として設定し、目標発電電力が最大発電電力より小さいときは、発電機1の回転速度および目標発電電力に基づいて発電機1の発電効率が最大となる発電電圧である最大効率発電電圧を算出し最大効率発電電圧を目標発電電圧として設定するようにしたので、発電許容トルクに余裕があり大電力が要求される場合には最大の電力を発電し、そのほかの場合には最大効率で発電を行うことができる。
また、車両の走行エネルギーを駆動源とする回生発電時と内燃機関のエネルギーを駆動源とする力行発電時とにおける発電許容トルクを適切に設定することにより、回生発電時で発電トルク(発電許容トルク)が十分に得られる場合には、より多くの電力を発電できるとともに、燃料を使用した力行発電を行うときには、効率良く発電を行うことができる。一方、回生発電中でも発電に使用できるトルク(発電許容トルク)が十分に得られない場合には高効率発電とするので、限られた発電トルクでより多くの発電電力を得ることができる。要するに、高効率発電と高出力発電を適切に切り替えることができ、ブレーキ機構を複雑にすることなく、発電トルク変化によるドライバビリティの悪化を防止することができる車両用電源装置を提供することができる。
【0048】
なお、この種の車両用電源装置では、一般的に電圧変換器2の出力電流または出力電圧である要求値および要求出力電力が要求されるものとして、以上の実施の形態1では、要求出力電力算出手段60を備えたものとして説明したが、本願発明は、上述の説明で理解されるように、発電機1の発電に使用できるトルクである発電許容トルクを設定する発電許容トルク設定手段61を備え、この発電許容トルクの制限下で発電機1の高効率発電と高出力発電を適切に切り替え可能とすることを主要な特徴とするもので、これによりブレーキ機構を複雑にすることなく、発電トルク変化によるドライバビリティの悪化の防止を可能とするものである。
従って、特に、要求出力電力算出手段を備えず、そしてこの場合は、発電機の回転速度において発電許容トルクを使用した場合に発電機が発電できる最大電力である発電可能電力と、発電機の回転速度において発電機が発電できる最大電力である最大発電電力とを算出し、発電可能電力が最大発電電力以上のときは発電機が最大発電電力で運転するよう、また、発電可能電力が最大発電電力未満のときは発電機が最大の発電効率における発電可能電力で運転するよう発電機および電圧変換器を制御することにより、既述したと同様の効果を奏するものである。
【0049】
実施の形態2.
図9は、この発明の実施の形態2における車両用電源装置を示す構成図である。ここでは、先の実施の形態1に対して、発電機1と電圧変換器2との間に、さらに電圧変換器と蓄電装置を接続している。即ち、図9に示すように、発電機1と電圧変換器2との間に、第1端が発電機1、第2端が電圧変換器2に接続される第2電圧変換器7が接続され、第2電圧変換器7の第2端に、電圧変換器2を介して鉛バッテリ3と並列に接続されるように第2蓄電装置であるリチウムイオンバッテリ8が接続される。
【0050】
図9において、発電機1、負荷給電母線5に接続される鉛バッテリ3、車載電気負荷4は、実施の形態1と同様のものでよい。コントロールユニット6Aについては、図10に示すように、実施の形態1と同様のものに、さらに、発電実施判定手段65、充電電力算出手段66、第2要求出力電力算出手段67を含む構成となる。また、リチウムイオンバッテリ8の充電状態の検出のため、バッテリセンサ13がコントロールユニット6Aに接続される。
【0051】
電圧変換器2、第2電圧変換器7の電圧変換については、発電機1の発電電圧の最高電圧を28Vとすると、リチウムイオンバッテリ8の最低電圧を28V以上にすれば、第2電圧変換器7は、その第1端から第2端の方向で電圧を昇圧のみできればよく、電圧変換器2は、その第1端から第2端の方向で電圧を降圧、逆方向は第2端から第1端の方向で電圧を昇圧のみできるものでよくなる。このような電圧レベルを選択することで、これらの電圧変換器はより簡易な構成とすることが可能となる。
【0052】
この場合、一般的なリチウムイオンバッテリ8の使用電圧範囲が3〜4.2Vのため10直列とすればよく、リチウムイオンバッテリ8の使用電圧範囲は30〜42Vとなる。
【0053】
電圧変換器2の構成は、実施の形態1と同様の構成でよいが、双方向に電力出力が可能なように電圧変換器制御手段2aによって制御されるものとなる。コントロールユニット6Aから出力方向も含めて指示された電流または電圧の要求値になるよう、出力側と指示された第1端もしくは第2端の出力電流または出力電圧が制御される。
【0054】
第2電圧変換器7の構成も実施の形態1の電圧変換器2と同様の構成でよく、電圧変換が昇圧方向となるよう逆方向に接続すればよい。また、第2電圧変換器制御手段7aは、第2電圧変換器7に内蔵されており、後述するように、出力電流または出力電圧が、コントロールユニット6Aから指示された電流または電圧の第2要求値となるようスイッチング素子を作動させる。
【0055】
次に、この発明の実施の形態2による車両用電源装置の動作について説明する。図11は、この発明の実施の形態2による車両用電源装置における、一定周期(例えば、0.01秒)で実行される処理を示すフローチャートである。
【0056】
図11において、まず、ステップS401にて、発電実施判定手段65により発電実施判定処理を実施して、発電を実施するか否かの判定を行う。判定内容としては、例えば、車両が減速状態やリチウムイオンバッテリ8の充電率が低下しているときに発電実施と判定し、それ以外のときは発電を実施しないよう判定する。
後述するように、発電が禁止され、リチウムイオンバッテリ8の充電も行われないときは、リチウムイオンバッテリ8から電圧変換器2を介して負荷給電母線5へ電力が供給されることとなる。このように、減速時の回生発電時に積極的に発電を実施し、それ以外の状態ではできる限り発電を禁止することにより、発電に使用する燃料を削減でき燃費向上を図ることができる。
【0057】
ステップS402では、充電電力算出手段66により充電電力算出処理を実施して、発電を実施しないと判断されている場合に、鉛バッテリ3から電圧変換器2を介したリチウムイオンバッテリ8充電の要否を判定するとともに、充電必要時は、その充電電力を算出する。通常であれば、リチウムイオンバッテリ8は発電機1から充電されるが、発電停止等で充電されずこの状態が継続し、リチウムイオンバッテリ8の電圧が使用下限値を下回った状態になれば、その状態で放置すると急激に劣化するため、鉛バッテリ3から充電することとする。
【0058】
特に、本実施の形態では備えていないが、リチウムイオンバッテリ8の電力で駆動される電気負荷があり、それを駆動する電力が不足した場合には有効である。また、蓄電装置としてリチウムイオンバッテリの代わりにキャパシタを用いた場合には、キャパシタは比較的容量が少ないため充電率が低下した際に鉛バッテリ3から充電するとよい。
【0059】
ステップS403では、先の要求出力電力算出手段60により要求出力電力算出処理を実施して、電圧変換器2に要求される出力電流または出力電圧である要求値および当該要求値に係る出力電力である要求出力電力を算出する。電圧変換器2の第2端には、実施の形態1同様、負荷給電母線5等が接続されているため、算出方法は、リチウムイオンバッテリ8充電時以外は第2端が出力側となり実施の形態1の要求出力電力算出処理(ステップS101)と同様のものでよい。
【0060】
また、発電を実施しないと判断され、かつリチウムイオンバッテリ8充電が必要との判断により充電電力が算出されている場合には、電圧変換器2の第1端を出力側として充電電力算出処理で算出された充電電力に基づいて出力電流または出力電圧の要求値を算出すればよい。
【0061】
ステップS404では、第2要求出力電力算出手段67により第2要求出力電力算出処理を実施して、第2電圧変換器7の第2端に要求される出力電流または出力電圧である第2要求値および当該要求値に係る出力電力である第2要求出力電力を算出する。第2電圧変換器7の第2端には、リチウムイオンバッテリ8と電圧変換器2とが接続されているため、算出方法は、基本的にはリチウムイオンバッテリ8の充電方法にあうようにすればよく、さらに得られた値に要求出力電力を考慮して算出すればよい。
【0062】
即ち、この第2要求出力電力の算出は、リチウムイオンバッテリ8の充電状態およびまたは車両の走行状態並びに要求出力電力に基づき第2要求値および第2要求出力電力を算出することで行う。
なお、一般的なリチウムイオンバッテリ8の充電方法は、使用最大電圧になるまでは定格電流で充電し、使用最大電圧となったときには電圧を維持して充電すればよいため、このような出力となる値を求めるものとなる。蓄電装置が異なれば、それに応じた算出方法になることは言うまでもない。
【0063】
また、特に、車両減速時にのみ定格条件となるよう大電力で充電し、それ以外では充電率を維持できる程度の小電力で充電を実施するとよい。このようにすれば、リチウムイオンバッテリ8の空き容量が適切に確保でき、回生発電時の電力回収をより効果的に行うことができる。
【0064】
なお、発電を実施しない場合には、第2要求出力電力算出処理で算出された値は使用しないため、処理を行わないようにしてもよい。また、この場合は、先に述べたように、電圧変換器2に対する要求出力電力はリチウムイオンバッテリ8から供給されることとなる。
【0065】
ステップS405からステップS407までの、発電許容トルク設定手段61による発電許容トルク設定処理、目標発電電力算出手段62による目標発電電力算出処理、目標発電電圧設定手段63による目標発電電圧設定処理は、目標発電電力算出処理で要求出力電力の代わりに第2要求出力電力を使用すること以外は実施の形態1のステップS102からステップS104と同等でよい。なお、これらで算出される値は発電を実施しないと判断されている場合には使用しないため、この場合には処理を行わないようにしてもよい。
【0066】
最後に、ステップS408で発電機制御手段64により発電機制御処理を実施して、発電を実施すると判断された場合には、設定された目標発電電圧となるよう発電機1を制御し、発電を実施しないと判断されている場合には、発電機1の発電電力が0(ゼロ)となるよう制御して、図11に示す処理を終了する。発電実施時の制御は、実施の形態1の場合と同様でよい。
【0067】
以上のように、この発明の実施の形態2による車両用電源装置においては、発電機1と電圧変換器2との間に接続された第2電圧変換器7とリチウムイオンバッテリ8、第2要求出力電力算出手段67、および第2電圧変換器制御手段7aを備えるとともに、発電実施判定手段65を備えることで、発電を実施すると判定された場合、第2要求出力電力算出手段67は、リチウムイオンバッテリ8の充電状態およびまたは車両の走行状態並びに要求出力電力に基づき第2電圧変換器7の第2端に要求される出力電流または出力電圧を第2要求値として、また当該第2要求値に係る要求出力電力を第2要求出力電力として算出し、目標発電電力算出手段62は、要求出力電力に代えて第2要求出力電力に基づき目標発電電力を算出し、発電を実施しないと判定された場合、発電機制御手段64は、発電機1の発電電力が0となるよう発電機1を制御するとともに、電圧変換器制御手段2aは、電圧変換器2の第2端の出力電流または出力電圧が要求値となるよう電圧変換器2を制御することによりリチウムイオンバッテリ8から電圧変換器2を介して鉛バッテリ3および車載電気負荷4に電力を供給するようにしたので、発電を行わなくとも電圧変換器2へ電力を供給できるとともに、発電実行時にはリチウムイオンバッテリ8にも電力を蓄積することができるため、減速時の回生発電時に積極的に発電を実施することができ、それ以外の状態ではできる限り発電を禁止することで、発電に使用する燃料を削減でき燃費向上を図ることができる。
【0068】
更に、充電電力算出手段66を備え、発電を実施しないと判定され、充電電力算出手段66で充電電力が算出された場合、要求出力電力算出手段60は、充電電力に基づき電圧変換器2の第1端に要求される出力電流または出力電圧を要求値として算出し、電圧変換器制御手段2aは、電圧変換器2の第1端の出力電流または出力電圧が要求値となるよう電圧変換器2を制御するようにしたので、鉛バッテリ3から電圧変換器2を介してに電力を供給してリチウムイオンバッテリ8を円滑に充電することができる。
【0069】
実施の形態3.
図12は、この発明の実施の形態3における車両用電源装置を示す構成図である。先の実施の形態1に対して、実施の形態2では発電機1と電圧変換器2の間に直列に第2電圧変換器7を接続したが、ここでは、電圧変換器2に並列となるよう第2電圧変換器7を接続している。図12に示すように、電圧変換器2と並列に第2電圧変換器7が接続され、第2電圧変換器7の第1端に発電機1、第2端に第2蓄電装置であるリチウムイオンバッテリ8が接続される。
【0070】
図12において、各構成部品は、第2電圧変換器7も双方向に電力出力が可能な構成となる以外は実施の形態2の場合と同様のものでよい。電圧変換器2、第2電圧変換器7の電圧変換についても、実施の形態2と同じ電圧範囲とすれば、第2電圧変換器7は、第1端から第2端の方向では電圧を昇圧、逆方向の第2端から第1端の方向では降圧のみできればよく、電圧変換器2は、第1端から第2端の方向では電圧を降圧、逆方向の第2端から第1端の方向では電圧を昇圧のみできるものでよくなる。このような電圧レベルを選択することで、これらの電圧変換器はより簡易な構成とすることが可能となる。
【0071】
次に、この発明の実施の形態3による車両用電源装置の動作について説明する。この発明の実施の形態3による車両用電源装置における、一定周期で実行される処理を示すフローチャートは、実施の形態2と同様(図11)のものでよく、一部処理内容が異なっているのみである。そのため、以下では、実施の形態2と異なる点を中心に説明する。
【0072】
図11において、ステップS401およびS402の、発電実施判定手段65による発電実施判定処理、および充電電力算出手段66による充電電力算出処理は、実施の形態2と同様の処理でよい。
【0073】
ステップS403の要求出力電力算出手段60による要求出力電力算出処理については、発電を実施すると判断された場合は、第2端が出力側となり実施の形態2と同様のものでよい。発電を実施しない場合の処理については、第2要求出力電力算出手段67による第2要求出力電力算出処理とまとめて後述する。
【0074】
ステップS404の第2要求出力電力算出処理も、発電を実施すると判断された場合は、第2端が出力側となり基本的に実施の形態2と同様のものでよい。但し、第2電圧変換器7の第2端には実施の形態2のように電圧変換器2や鉛バッテリ3は接続されていないため、要求出力電力の考慮は不要となる。発電を実施しない場合の処理については、前述の通り、要求出力電力算出処理とまとめて後述する。
【0075】
ここで、発電を実施しない場合における要求出力電力算出処理および第2要求出力電力算出処理について説明する。リチウムイオンバッテリ8の充電を行わない場合には、リチウムイオンバッテリ8から第2電圧変換器7および電圧変換器2を介して負荷給電母線5へ電力を供給することになり、一方、リチウムイオンバッテリ8の充電は、鉛バッテリ3から電圧変換器2および第2電圧変換器7を介してリチウムイオンバッテリ8へ電力を供給することとなる。そのため、実施の形態2と異なり、いずれの場合においても電圧変換器2と第2電圧変換器7とを介して電力授受が行われることになり、両電圧変換器2、7での損失が増加する恐れがある。
【0076】
そこで、電圧変換器での損失低減の方法について説明する。図13に、この発明の実施の形態3による車両用電源装置における、電圧変換器2の内部構成の回路図の一例を示す。前述の通り、第1端から第2端の方向で電圧を降圧するもので、スイッチング素子であるMOSFET20、21とコイル22とからなる公知のチョッパ回路であり、MOSFET20、21は、図示しないドライバ回路にてON/OFFされる。また、コンデンサ23、24は、平滑用のものである。ちなみに、第2電圧変換器7も電圧変換は逆となるが同様の構成である。
【0077】
この構成では、電圧変換器制御手段2aは、ドライバ回路を制御しMOSFET20とMOSFET21とのON時間比率を変化させることで電圧変換を行う。例えば、MOSFET20のON時間が短いほど、電圧変換比は大きくなる。
【0078】
また、電圧変換動作を停止しMOSFET20を常時ON、MOSFET21を常時OFFとなるよう制御すると、第1端と第2端との間が常に導通状態となる。この状態とすることで、MOSFETのON/OFF切換がないためスイッチング損失が発生せず、コイル22は通ることとなるが電圧変換器の損失を大幅に低減することができる。
【0079】
よって、発電を実施しない場合、一方の電圧変換器の電圧変換動作を停止し、残る一方の電圧変換器のみで電圧変換を行えば損失を低減することができる。本実施の形態3では、電圧変換器2の第1端の電圧範囲は14〜28Vであり、リチウムイオンバッテリ8の使用電圧範囲は30〜42Vのため、電圧変換器2の電圧変換動作を停止し、第2電圧変換器7のみで電圧変換を行うこととする。このようにすれば、電圧変換器2の使用電圧を変更する必要が無くなるためである。
【0080】
この場合、まず、リチウムイオンバッテリ8充電時以外は、リチウムイオンバッテリ8から負荷給電母線5へ電力を供給するため、要求出力電力算出処理(ステップS403)では、電圧変換器2の第2端が出力側となり実施の形態2と同様の方法で要求される出力電流または電圧である要求値を求めればよい。但し、電圧変換器制御手段2aには、電圧変換器2の作動停止を指示する。
【0081】
第2要求出力電力算出処理(ステップS404)では、電圧変換器2が作動停止しているため第2電圧変換器7で出力側である第1端の出力電流または出力電圧が要求値となるように第2電圧変換器制御手段7aにて第2電圧変換器7を制御できればよいので、第2要求値に要求値を設定すればよい。これにより、電圧変換器2の第2端の出力電流または出力電圧が要求値に制御されることとなる。
【0082】
一方、リチウムイオンバッテリ8の充電時は、鉛バッテリ3からリチウムイオンバッテリ8へ電力を供給するため、要求出力電力算出処理(ステップS403)は、電圧変換器制御手段2aに対し電圧変換器2の作動停止を指示するのみでよく、第2要求出力電力算出処理(ステップS404)で、充電電力に基づき出力側になる第2電圧変換器7の第2端に要求される出力電流または出力電圧である第2要求値を算出すればよい。
【0083】
なお、本実施の形態3では、電圧変換器の一方を停止させて損失を低減させたが、電圧変換器の構成や電圧変換範囲等によっては、両方の電圧変換器を作動させたほうが損失を低減できることも考えられる。この場合には、それぞれの電圧変換器の損失特性を考慮して損失の合計が最小となる要求値および第2要求値を算出すればよい。また、電圧変換器を2回通ることとなるため、他方の電圧変換器による損失も考慮して要求値等を算出すればよいことは言うまでもない。
【0084】
ステップS405からステップS407までの、発電許容トルク設定処理、目標発電電力算出処理、目標発電電圧設定処理は、目標発電電力算出処理で要求出力電力に加えて第2要求出力電力も使用すること以外は実施の形態2と同等でよい。ステップS408の発電機制御処理も実施の形態2と同等でよい。
【0085】
以上のように、この発明の実施の形態3による車両用電源装置においては、電圧変換器2と並列に接続された第2電圧変換器7とリチウムイオンバッテリ8、第2要求出力電力算出手段67、および第2電圧変換器制御手段7aを備えるとともに、発電実施判定手段65を備えることで、発電を実施すると判定された場合、第2要求出力電力算出手段67は、リチウムイオンバッテリ8の充電状態およびまたは車両の走行状態に基づき第2電圧変換器7の第2端に要求される出力電流または出力電圧を第2要求値として、また当該第2要求値に係る要求出力電力を第2要求出力電力として算出し、目標発電電力算出手段62は、要求出力電力に第2要求出力電力を加えた要求出力電力に基づき目標発電電力を算出し、発電を実施しないと判定された場合、発電機制御手段64は、発電機1の発電電力が0となるよう発電機1を制御するとともに、電圧変換器制御手段2aおよび第2電圧変換器制御手段7aは、電圧変換器2の第2端の出力電流または出力電圧が要求値となるよう電圧変換器2および第2電圧変換器7を制御することによりリチウムイオンバッテリ8から第2電圧変換器7および電圧変換器2を介して鉛バッテリ3および車載電気負荷4に電力を供給するようにしたので、発電を行わなくとも電圧変換器2へ電力を供給できるとともに、発電実行時にはリチウムイオンバッテリ8にも電力を蓄積することができるため、減速時の回生発電時に積極的に発電を実施することができ、それ以外の状態ではできる限り発電を禁止することで、発電に使用する燃料を削減でき燃費向上を図ることができる。
【0086】
更に、充電電力算出手段66を備え、発電を実施しないと判定され、充電電力算出手段66で充電電力が算出された場合、第2要求出力電力算出手段67は、充電電力に基づき第2電圧変換器7の第2端に要求される出力電流または出力電圧を第2要求値として算出し、電圧変換器制御手段2aおよび第2電圧変換器制御手段7aは、第2電圧変換器7の第2端の出力電流または出力電圧が第2要求値となるよう電圧変換器2および第2電圧変換器7を制御するようにしたので、鉛バッテリ3から電圧変換器2および第2電圧変換器7を介して電力を供給してリチウムイオンバッテリ8を円滑に充電することができる。
【0087】
なお、各実施の形態例では、蓄電装置として鉛バッテリ3、第2蓄電装置としてリチウムイオンバッテリ8を使用しているが、これに限るものではなく、キャパシタでもよい。また、第2蓄電装置には直接接続される車両の電気負荷はないが、例えば、電動パワステのような大電力が必要な負荷では電圧を高くすると有利となるため、このような負荷を接続してもよい。
【0088】
また、発電機の代わりに、電動発電機を使用してもよく、前述のように、ベルト接続ではなく、例えば、内燃機関と変速機の間に挟み込み接続されたものでもよい。この場合、HEVなど発電電圧が高電圧であれば、実施の形態2のように、2つの電圧変換器で順次車両の電気負荷にあった電圧に降圧するとよい。また、実施の形態3において、一方の電圧変換器の第1端と第2端の間が常に導通状態となるよう制御すると電圧変換比が大きくなり、かえって損失が増加する場合には、効率がよくなるよう双方の電圧変換器を制御すればよい。
【0089】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 発電機、2 電圧変換器、2a 電圧変換器制御手段、3 鉛バッテリ、
4 車載電気負荷、5 負荷給電母線、6,6A コントロールユニット、
60 要求出力電力算出手段、61 発電許容トルク設定手段、
62 目標発電電力算出手段、63 目標発電電圧設定手段、64 発電機制御手段、
65 発電実施判定手段、66 充電電力算出手段、67 第2要求出力電力算出手段、7 第2電圧変換器、7a 第2電圧変換器制御手段、8 リチウムイオンバッテリ、
10 アクセルセンサ、11 ブレーキスイッチ、12,13 バッテリセンサ、
20,21 MOSFET、22 コイル、23,24 コンデンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行エネルギーまたは内燃機関のエネルギーを駆動源として電力を発電する発電機、前記発電機で発電された電力を蓄えるとともに前記車両の電気負荷に電力を供給する蓄電装置、および第1端が前記発電機に接続され第2端が前記電気負荷に接続された電圧変換器を備えた車両用電源装置において、
前記発電機の発電に使用できるトルクである発電許容トルクを設定する発電許容トルク設定手段を備え、
前記発電機の回転速度において前記発電許容トルクを使用した場合に前記発電機が発電できる最大電力である発電可能電力と、前記発電機の回転速度において前記発電機が発電できる最大電力である最大発電電力とを算出し、前記発電可能電力が前記最大発電電力以上のときは前記発電機が前記最大発電電力で運転するよう、また、前記発電可能電力が前記最大発電電力未満のときは前記発電機が最大の発電効率における前記発電可能電力で運転するよう前記発電機および前記電圧変換器を制御するようにしたことを特徴とする車両用電源装置。
【請求項2】
車両の走行エネルギーまたは内燃機関のエネルギーを駆動源として電力を発電する発電機、前記発電機で発電された電力を蓄えるとともに前記車両の電気負荷に電力を供給する蓄電装置、第1端が前記発電機に接続され第2端が前記電気負荷に接続された電圧変換器、前記蓄電装置の充電状態およびまたは前記車両の走行状態に基づき前記電圧変換器の前記第2端に要求される出力電流または出力電圧である要求値および当該要求値に係る出力電力である要求出力電力を算出する要求出力電力算出手段、前記要求出力電力に基づき前記発電機の目標発電電力を算出する目標発電電力算出手段、前記目標発電電力に基づき前記発電機の目標発電電圧を設定する目標発電電圧設定手段、前記発電機の発電電圧が前記目標発電電圧となるよう前記発電機を制御する発電機制御手段、および前記電圧変換器の前記第2端の出力電流または出力電圧が前記要求値となるよう前記電圧変換器を制御する電圧変換器制御手段を備えた車両用電源装置において、
前記発電機の発電に使用できるトルクである発電許容トルクを設定する発電許容トルク設定手段を備え、
前記目標発電電力算出手段は、前記発電機の回転速度において前記発電許容トルクを使用した場合に前記発電機が発電できる最大電力である発電可能電力と前記発電機の回転速度において前記発電機が発電できる最大電力である最大発電電力と前記最大発電電力となるときの発電電圧である最大電力発電電圧とを算出し、前記要求出力電力と前記発電可能電力と前記最大発電電力とのうち最小の電力を前記目標発電電力として算出し、
前記目標発電電圧設定手段は、前記目標発電電力が前記最大発電電力に等しいときは前記最大電力発電電圧を前記目標発電電圧として設定し、前記目標発電電力が前記最大発電電力より小さいときは、前記発電機の回転速度および前記目標発電電力に基づいて前記発電機の発電効率が最大となる発電電圧である最大効率発電電圧を算出し前記最大効率発電電圧を前記目標発電電圧として設定するようにしたことを特徴とする車両用電源装置。
【請求項3】
前記電圧変換器の前記第1端から前記第2端への電圧変換が昇圧方向あるいは降圧方向のいずれか一方となるよう、前記目標発電電圧の設定範囲および前記蓄電装置の電圧範囲を設定することを特徴とする請求項2記載の車両用電源装置。
【請求項4】
第1端が前記発電機に接続され第2端が前記電圧変換器に接続され前記発電機と前記電圧変換器との間に挿入された第2電圧変換器、前記第2電圧変換器の前記第2端に、前記電圧変換器を介して接続された前記蓄電装置と並列に接続された第2蓄電装置、前記第2電圧変換器の前記第2端に要求される出力電流または出力電圧である第2要求値および当該第2要求値に係る出力電力である第2要求出力電力を算出する第2要求出力電力算出手段、前記第2電圧変換器の前記第2端の出力電流または出力電圧が前記第2要求値となるよう前記第2電圧変換器を制御する第2電圧変換器制御手段、および前記第2蓄電装置の充電状態およびまたは前記車両の走行状態に基づき前記発電機による発電を実施するか否かを判定する発電実施判定手段を備え、
前記発電実施判定手段で発電を実施すると判定された場合、前記第2要求出力電力算出手段は、前記第2蓄電装置の充電状態およびまたは前記車両の走行状態並びに前記要求出力電力に基づき前記第2電圧変換器の前記第2端に要求される出力電流または出力電圧を前記第2要求値として、また当該第2要求値に係る要求出力電力を前記第2要求出力電力として算出し、前記目標発電電力算出手段は、前記要求出力電力に代えて前記第2要求出力電力に基づき前記目標発電電力を算出し、
前記発電実施判定手段で発電を実施しないと判定された場合、前記発電機制御手段は、前記発電機の発電電力が0となるよう前記発電機を制御するとともに、前記電圧変換器制御手段は、前記電圧変換器の前記第2端の出力電流または出力電圧が前記要求値となるよう前記電圧変換器を制御することにより前記第2蓄電装置から前記電圧変換器を介して前記蓄電装置および前記電気負荷に電力を供給することを特徴とする請求項2または3記載の車両用電源装置。
【請求項5】
前記電圧変換器を双方向に出力可能な構成とするとともに、前記蓄電装置および前記第2蓄電装置の充電状態に基づいて前記蓄電装置により前記第2蓄電装置を充電する必要がある場合にその充電電力を算出する充電電力算出手段を備え、
前記発電実施判定手段で発電を実施しないと判定され、前記充電電力算出手段で前記充電電力が算出された場合、前記要求出力電力算出手段は、前記充電電力に基づき前記電圧変換器の前記第1端に要求される出力電流または出力電圧を前記要求値として算出し、前記電圧変換器制御手段は、前記電圧変換器の前記第1端の出力電流または出力電圧が前記要求値となるよう前記電圧変換器を制御することにより前記蓄電装置から前記電圧変換器を介して前記第2蓄電装置に電力を供給して前記第2蓄電装置を充電することを特徴とする請求項4記載の車両用電源装置。
【請求項6】
第2蓄電装置、第1端が前記発電機に接続され第2端が前記第2蓄電装置に接続された、双方向に出力可能な第2電圧変換器、前記第2電圧変換器の前記第1端または前記第2端のうち出力側となる端子に要求される出力電流または出力電圧である第2要求値および当該第2要求値に係る出力電力である第2要求出力電力を算出する第2要求出力電力算出手段、前記第2電圧変換器の前記第1端または前記第2端のうち出力側となる端子の出力電流または出力電圧が前記第2要求値となるよう前記第2電圧変換器を制御する第2電圧変換器制御手段、および前記第2蓄電装置の充電状態およびまたは前記車両の走行状態に基づき前記発電機による発電を実施するか否かを判定する発電実施判定手段を備え、
前記発電実施判定手段で発電を実施すると判定された場合、前記第2要求出力電力算出手段は、前記第2蓄電装置の充電状態およびまたは前記車両の走行状態に基づき前記第2電圧変換器の前記第2端に要求される出力電流または出力電圧を前記第2要求値として、また当該第2要求値に係る要求出力電力を前記第2要求出力電力として算出し、前記目標発電電力算出手段は、前記要求出力電力に前記第2要求出力電力を加えた要求出力電力に基づき前記目標発電電力を算出し、
前記発電実施判定手段で発電を実施しないと判定された場合、前記発電機制御手段は、前記発電機の発電電力が0となるよう前記発電機を制御するとともに、前記電圧変換器制御手段および前記第2電圧変換器制御手段は、前記電圧変換器の前記第2端の出力電流または出力電圧が前記要求値となるよう前記電圧変換器および前記第2電圧変換器を制御することにより前記第2蓄電装置から前記第2電圧変換器および前記電圧変換器を介して前記蓄電装置および前記電気負荷に電力を供給することを特徴とする請求項2または3記載の車両用電源装置。
【請求項7】
前記電圧変換器を双方向に出力可能な構成とするとともに、前記蓄電装置および前記第2蓄電装置の充電状態に基づいて前記蓄電装置により前記第2蓄電装置を充電する必要がある場合にその充電電力を算出する充電電力算出手段を備え、
前記発電実施判定手段で発電を実施しないと判定され、前記充電電力算出手段で前記充電電力が算出された場合、前記第2要求出力電力算出手段は、前記充電電力に基づき前記第2電圧変換器の前記第2端に要求される出力電流または出力電圧を前記第2要求値として算出し、前記電圧変換器制御手段および前記第2電圧変換器制御手段は、前記第2電圧変換器の前記第2端の出力電流または出力電圧が前記第2要求値となるよう前記電圧変換器および前記第2電圧変換器を制御することにより前記蓄電装置から前記電圧変換器および前記第2電圧変換器を介して前記第2蓄電装置に電力を供給して前記第2蓄電装置を充電することを特徴とする請求項6記載の車両用電源装置。
【請求項8】
前記発電実施判定手段で発電を実施しないと判定された場合、前記電圧変換器制御手段あるいは前記第2電圧変換器制御手段のいずれか一方は、前記電圧変換器あるいは前記第2電圧変換器の前記第1端と前記第2端との間が常に導通状態となるよう制御することを特徴とする請求項6または7記載の車両用電源装置。
【請求項9】
前記電圧変換器および前記第2電圧変換器の前記第1端から前記第2端への電圧変換が昇圧方向あるいは降圧方向のいずれか一方となるよう、前記目標発電電圧の設定範囲並びに前記蓄電装置および前記第2蓄電装置の電圧範囲を設定することを特徴とする請求項4ないし8のいずれか1項に記載の車両用電源装置。
【請求項10】
前記発電許容トルク設定手段は、前記発電機が前記車両の走行エネルギーを駆動源として発電することで前記車両が減速する過程で発電を停止したときに生じる前記車両の減速度の変化が所定値以内となるよう前記発電許容トルクを設定することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の車両用電源装置。
【請求項11】
前記発電許容トルク設定手段は、前記発電機の回転速度が速いほど小さくなるよう前記発電許容トルクを設定することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の車両用電源装置。
【請求項12】
前記発電許容トルク設定手段は、前記車両の速度が速いほど大きくなるよう前記発電許容トルクを設定することを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の車両用電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−93920(P2013−93920A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232615(P2011−232615)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】