説明

車両盗難防止システムおよび方法

【課題】生体特徴情報を利用して個人を識別可能な個人認証装置を自動車に取り付け盗難防止効果の向上を図った場合、個人認証装置の不具合などでユーザー認証を行えずに自動車の運転許可が出せない状態となっても、これを回避する手段を構築する。
【解決手段】個人認証装置と暗証番号入力装置を自動車に搭載し、個人認証装置によるユーザー認証が失敗した場合や個人認証装置が動作しない場合に、暗証番号入力装置による暗証番号入力によりユーザー認証を行う機能を有するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体特徴情報を用いた個人認証装置を用いた車両盗難防止システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のドアロック解除やエンジンを始動させるため、従来から鍵が用いられている。この従来から用いられている鍵においては、鍵を盗難された場合や鍵穴のピッキング等により、自動車のオーナー以外の悪意を持った人物に運転されてしまう可能性がある。
【0003】
そこで、セキュリティーを高めるため、鍵の代わりに生体特徴情報のひとつである指紋を個人認証の手段として利用して自動車のドアロック解除やエンジンを始動させることが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
しかしながら、指紋は偽造することが可能であるため、よりセキュリティーを高める方法として、生体特徴情報として個人によって異なる指の血管パターンを含む画像を利用する個人認証の方法が実用化されている(例えば、特許文献3,4参照)。
【0005】
この方法は、指に近赤外光の成分を含む光源(本明細書及び請求の範囲において、赤外光源と定義する)から光を照射すると、指を透過して指から再放射される近赤外光の強度分布に指の血管パターン(主として静脈のパターン)の情報が含まれるので、これをイメージセンサにより検出し、検出した指の血管パターンとあらかじめ登録した指の血管パターンとの一致,不一致を判定することにより、指の血管パターンを登録した個人を特定し認証するものである。
【0006】
また、(社)日本損害保険協会 第9回自動車盗難事故実態調査結果(2008年3月25日発行)によると、自動車が盗難される場所として、自宅と契約駐車場であわせて約3/4を占めている。すなわち、これらの場所で盗難されにくい環境とすれば、自動車の盗難が減る可能性が高いことを示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭61−53972号公報
【特許文献2】特開平6−72291号公報
【特許文献3】特開2001−184507号公報
【特許文献4】特開2003−30632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、個人認証装置を自動車に取り付け盗難防止効果の向上を図った場合、下記の課題が生じると考えられる。
(1)自動車のユーザー(所有者や使用許可者(登録者))本人であるのに認証できない。ただし、ユーザー以外が認証しようとして認証できなかった場合と見分けがつかない。
(2)ユーザー以外が認証しようとして認証できなかった場合、どのように対処するか。
(3)ユーザーが認証部位を怪我した場合など、ユーザー認証が行えない場合どのように対処するか。
(4)個人認証装置が故障した(あるいは外部要因で破壊された)場合、どのように対処するか。ただし、単純に故障判定でロックを解除すると、破壊すればフリーとなる、となるので単純にロックフリーにできない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するために、本発明では、生体特徴情報を利用して個人を識別可能な個人認証装置と暗証番号入力装置を自動車に搭載し、個人認証装置または暗証番号入力装置によるユーザー認証により自動車の運転の制限を解除する機能を有するようにした。
(2)または、生体特徴情報を利用して個人を識別可能な個人認証装置と暗証番号入力装置とセキュリティーコード記憶装置を自動車に備え、個人認証装置に記憶されたセキュリティーコードとセキュリティーコード記憶装置に記憶されたセキュリティーコードが一致したときのみ個人認証装置を起動できる機能と個人認証装置または暗証番号入力装置によるユーザー認証により自動車の運転の制限を解除する機能を有するようにした。
【0010】
これらにより、自動車のユーザー(所有者や使用許可者(登録者))本人であるのに個人認証装置で認証できない場合に、ユーザーの記憶している暗証番号入力により、ユーザー認証を行うことで当該自動車の運転許可を得ることが可能となる。
(3)さらに、個人認証装置によるユーザー認証が失敗した場合に、暗証番号入力装置による暗証番号入力によりユーザー認証を行う機能を有するようにした。
【0011】
これにより、入力に手間のかかる暗証番号入力よりも、個人認証装置により簡単かつスピーディーなユーザー認証を優先して行うことが可能となる。
(4)さらに、個人認証装置が動作しない場合に、暗証番号入力装置による暗証番号入力によりユーザー認証を行う機能を有するようにした。
【0012】
これにより、万が一個人認証装置が故障してユーザー認証が行えない場合は、優先して暗証番号入力を行えるようにすることで、当該自動車の運転許可を得ることが可能となる。
(5)さらに、暗証番号入力装置によるユーザー認証が失敗した場合に、自動車からの退出を促す機能を有するようにした。
【0013】
これにより、不正に自動車を盗難しようとする人に対し、警告を発することが可能となる。
(6)さらに、自動車に外部から接続できる端末を接続し、端末よりセキュリティーコード記憶装置へセキュリティーコードを入力することで自動車の運転の制限を解除する機能を有するようにした。
【0014】
これにより、個人認証装置が故障し、かつ暗証番号を忘れても一時的に自動車の運転を可能としたり、暗証番号を強制的に変更することが可能となる。
(7)さらに、自動車に外部から接続できる端末を接続し、端末よりセキュリティーコード記憶装置へセキュリティーコードを入力し、かつセキュリティーコード記憶装置内に記憶されたセキュリティーコードを新規のセキュリティーコードに書換え可能な機能を有するようにした。
【0015】
これにより、個人認証装置が故障しても交換が容易となり、かつ、不正に、例えば他の車両から盗難した個人認証装置に交換しても当該自動車に対する運転許可が出せない盗難防止システムを構築することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本実施例によれば、生体特徴情報を利用して個人認証装置を自動車に取り付け盗難防止効果の向上を図った場合、個人認証装置の不具合などでユーザー認証を行えずに自動車の運転許可が出せない状態となっても、これを回避する手段を構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例における車両盗難防止システムの一例を示す図。
【図2】個人認証装置の構成の一例を示す図。
【図3】指と血管パターンの撮像例を示す図。
【図4】マイクロコンピュータのプログラム動作フローチャートの一例を示す図。
【図5】本発明の実施例1における車両盗難防止システムの動作フローチャートの一例を示す図。
【図6】本発明の実施例2における車両盗難防止システムの動作フローチャートの一例を示す図。
【図7】本発明の実施例3,実施例4における車両盗難防止システムの動作フローチャートの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1から図7を用いて車両盗難防止システムの構成および動作について説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は個人認証装置を含んだ車両盗難防止システムの構成の一例である。
【0020】
この車両盗難防止システムの構成では、個人認証装置1が通信路28を介して、ローカルエリアネットワークLANに接続されている。ローカルエリアネットワークLANには、無線通信ユニット4,車両解施錠制御ユニット5,エンジン制御ユニット6,暗証番号入力装置7,シート制御ユニット8,盗難防止装置9などが接続され、各装置間で情報をやり取りできるようになっている。なお、無線通信ユニット4はユーザー(車両所有者や車両使用許可者)が持ち歩く子機と無線にてデータをやり取りするための通信装置であり、主としてドアロックの解施錠を行うために用いられる。車両解施錠制御ユニット5は自動車のドア51やステアリングのロックの解施錠を制御する装置である。エンジン制御ユニット6は自動車のエンジンを制御する装置であり、エンジンの始動/停止をユーザーが指示するためのスイッチ61が接続されている。暗証番号入力装置は車両のユーザーが暗証番号を入力することが可能な入力デバイスであり、例えば、カーナビゲーションシステムのリモコンやタッチパネルと兼用しても良い。シート制御ユニット8はエンコーダから出力される位置検出信号によりモータを駆動することでシート81の位置を制御する装置である。また、盗難防止装置9は車両ロックの不正開錠や正規手順に拠らないエンジン始動がなされようとした場合に車両システムの始動をさせないシステムである。これらの装置は個人認証装置1によるユーザー認証情報を利用して、ドアロック解除,エンジン始動の制御などを行うことが可能である。また、個人認証装置1は、指などの生体を置く認証スペース11がある。なお、個人認証に必要な生体特徴情報としては、指紋,静脈パターン,顔,音声,虹彩、などの既知の生体認証技術を利用できる。生体認証技術として、ここでは、認証開始から認証結果の通知までの反応時間が短く、本人認証拒否はほとんどない、指の静脈パターンを利用した個人認証装置1を仮定する。
【0021】
図2は指の静脈パターンを利用した個人認証装置1の指Fの軸に垂直な面における断面図である。個人認証装置1は、マイクロコンピュータ20と、駆動回路22と、不揮発性メモリ24と、電源回路26と、赤外光源34,35と、イメージセンサ30と、レンズ31と、窓32とを備えている。
【0022】
マイクロコンピュータ20は駆動回路22を介して赤外光源34,35に通電して、赤外光を指Fに向かって照射する。赤外光源34,35としては、発光ダイオードなどを用いることができる。照射された赤外光は、指F内部で散乱し、また血管内の血液のヘモグロビンで吸収される。散乱,吸収された赤外光は、指Fの掌面(屈側面)から再び放射する。血管パターンを含む再放射した光はレンズ31を通過してイメージセンサ30に入射する。イメージセンサ30として、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサなどを用いる。なお、窓32は個人認証装置1の内部を保護するためのものであるが、さらに、赤外光源34,35の波長帯付近の光のみを透過する特性をもたせ、かつ外側から内部が見えないような機能を持たせてもよい。イメージセンサ30により撮像した血管パターンを含む画像は光電変換されて電気信号となり、マイクロコンピュータ20に取り込む。
【0023】
ここで、図3を用いて、撮像される血管パターンの一例について説明する。
【0024】
例えば、指Fを撮像部の撮像範囲IAの中心に置いた場合、図3に示すように、イメージセンサ30で撮像される像として、指Fの輪郭CFと、血管パターンBVが得られる。この血管パターンBVは個人により異なっている。この血管パターンBVを画像処理して特徴抽出処理したパターンをあらかじめ不揮発性メモリ24に登録しておき、照合時の登録特徴パターンとして用いる。
【0025】
図2に戻って、マイクロコンピュータ20は、認証処理時における認証用特徴パターンと登録特徴パターンの一致,不一致の判定、および、個人認証装置1全体の制御なども行う。
【0026】
個人認証装置1によるユーザー認証手順は、図2に示したマイクロコンピュータ20に記憶されたプログラムにより制御される。マイクロコンピュータ20の動作を図4のフローチャートを用いて説明する。
【0027】
プログラムが開始されると、まず、ステップS10に移行し、マイクロコンピュータ20は個人認証装置1の初期化処理を行う。
【0028】
次に、ステップS20へ移行する。ステップS22において、マイクロコンピュータ20は所定の範囲内に指Fが置かれているか検出する。指Fが置かれていれば、さらにステップS24に移行して、適切な画像を取得できるように赤外光源34,35の光量制御を行う。
【0029】
次に、ステップS30において、マイクロコンピュータ20は、認証処理開始かどうか判定する。この判定はステップS24にて適切に光量制御されたら自動的に認証処理開始とする。もし、認証処理開始でなければ、ステップS20に戻り、認証処理開始と判定された場合は、ステップS40に移行する。
【0030】
ステップS40では、取り込んだ画像を用いて照合処理を行う。
【0031】
まず、ステップS41において、指Fから放射される光の強度分布画像をイメージセンサ30からマイクロコンピュータ20に取り込む。
【0032】
次に、ステップS42において、赤外光源34,35を消灯する。
【0033】
次に、ステップS43において、取得された強度分布に対して、演算処理を行い、血管パターンBVの認証用特徴パターンを抽出する。なお、本ステップにおける処理の方法については、特開2001−184507号公報に開示されているように、積分処理,微分処理を組み合わせたフィルタ処理を行うことにより実現可能である。
【0034】
次に、ステップS44において、認証用特徴パターンと、あらかじめユーザーが不揮発性メモリ24に保存した単数、もしくは複数の登録特徴パターンとの照合を行う。ここでは、ステップS43で抽出した認証用特徴パターンと、不揮発性メモリ24から呼び出した登録特徴パターンを比較して、両者の相違の程度を算出する。
【0035】
次に、ステップS45において、ステップS44で算出された相違の程度から、照合結果の判定を行う。もし、相違の程度が小さければ、登録されているユーザーであると判断し、ステップS50へ移行する。また、相違の程度が大きければ、未登録者、または照合失敗として、ステップS46へ移行する。
【0036】
ステップS46では、全登録パターンを照合したか判断し、全登録パターンが照合されていれば、該当登録特徴パターン無しと判断して終了する。照合していない登録特徴パターンがあれば、ステップS44へ戻り、照合を繰り返す。
【0037】
そして、ステップS50において、使用許可通知を発行する。これにより、エンジン始動許可の発行などを行うことができる。
【0038】
次に、個人認証装置1を自動車に取り付け盗難防止効果の向上を図った場合の課題を考慮した制御フローについて、図5を用いて説明する。
【0039】
まず、個人認証装置1にあらかじめ登録したユーザーが正常に認識されてエンジンの始動許可を出せる場合について説明する。
【0040】
自動車のドアロック解除用の無線子機を有するユーザーが自動車に近づくと、ステップS601にて自動車の無線通信ユニット4は無線子機から発せられる電波を受け付けて、ステップS602にて車両解施錠制御ユニット5にドアロック解除命令を送出する。次にユーザーがドア51を開けると、ステップS603にて車両解施錠ユニットはドア51内のカーテシースイッチ52の状態変化によりドア開を検出して、ステップS604にて個人認証装置1の電源を投入する。つぎに、ステップS605において、個人認証装置1にあらかじめ登録されたセキュリティーコードと盗難防止装置にあらかじめ登録されたセキュリティーコードが一致するか確認する。これにより、不正に個人認証装置1が交換されていないか確認できる。なお、セキュリティーコードが不一致の場合には、ステップS614に移行し、個人認証装置1の電源を切断して、車両のシステム起動を不許可とする。次にステップS606にて個人認証装置1の動作自己診断を行う。動作正常であれば、ステップS607において、ユーザーが指を個人認証装置1に置くことをトリガとして、ステップS608においてあらかじめ登録してあるユーザーかどうか確認する。登録してあるユーザーであればステップS609において、個人認証装置1の電源を切断し、ユーザーがあらかじめ設定,登録したシート位置やミラー位置を再生する。さらにステップS610において車両システムのロックを解除し、エンジンの始動許可(システム起動許可)を出す。
【0041】
一方、個人認証装置に不具合が発生している場合には、ステップS606の個人認証装置の動作自己診断で動作異常としてステップS615の暗証番号入力に切り替える。なお、この場合には、ユーザーに音声などで個人認証装置に不具合が発生していることを通知するほうが良い。これにより、ユーザーに個人認証装置の交換を促すことが可能となる。また、自動車に携帯電話網などを利用したインターネット接続などが可能な通信装置が搭載されている場合には、個人認証装置の不具合が発生していることや、暗証番号でユーザー認証を行ったという情報を車両販売業者に送信することで、車両販売業者は当該車両の個人認証装置1が不正に交換されていないかなどの盗難防止機能レベルの確認を行う体制を取ることも可能である。暗証番号入力装置7から入力した暗証番号が正しければ、ステップS610に移行し、車両システムのロックを解除し、エンジンの始動許可を出す。これにより、個人認証装置1に不具合があっても、車両のシステムロックの解除が可能となる。また、ステップS607において一定時間内に指を検出できなければ、ステップS614において個人認証装置1の電源を切断する。これにより、車両のバッテリ上がりを防止することができる。また、ステップS608において、ユーザー認証結果が失敗だった場合には、ステップS611においてユーザーに再認証または暗証番号入力を促す。再認証を選択した場合はステップS607に戻る。これにより、登録してあるユーザーが認証に失敗しても再度リトライすることが可能である。また、暗証番号入力を選択することにより、車両のシステムロックの解除が可能となる。さらに、ステップS611において再認証,暗証番号入力いずれも不要の場合は、終了を選択して、ステップS614に移行して終了させることも可能である。これにより、ユーザー以外が認証を行おうとして失敗した場合に、穏便にユーザー以外の者の自動車からの退出を促すことが可能となる。また、ステップS615において暗証番号入力が誤っていた場合には、ステップS616にてリトライ可能か(例えば一定回数リトライしたかどうか)判断する。暗証番号の再入力が不可と判定された場合、ステップS617において、着座センサや電波を利用した乗員検知センサなどで運転席に一定時間座っているか判断して、車両内に居続けていると判断された場合は、ステップS618において、車両から退出するように促して、終了する。これにより、ユーザー以外の者に自動車のエンジンの始動をさせずに、自動車から退出させることが可能となる。
【0042】
なお、生体情報や暗証番号によるユーザー認証前でも、エンジンの始動を可とし、自動車が短距離を移動できるようにエンジンの回転数を制限することで、低速で運転できるようにしてもよい。
【実施例2】
【0043】
次に実施例1でエンジンを始動した後にエンジンを暖気したいときやコンビニエンスストアなどで一時停車のまま自動車から離れてしまった場合において、個人認証装置を利用することにより、自動車の盗難を防止するシステムについて図6を用いて説明する。
【0044】
最初にステップS701でエンジンを始動した後(システム起動後)、ステップS702で自動車が停車状態であるか、かつ、一定時間、運転席の着座センサや乗員検知センサなどの検出状態から非着座状態であるかを判定する。つぎに、ステップS703において個人認証装置1の電源を投入する。つぎにステップS704において、個人認証装置1にあらかじめ登録されたセキュリティーコードと盗難防止装置9にあらかじめ登録されたセキュリティーコードが一致するか確認する。一致すれば、つぎにステップS705において、個人認証装置1の動作診断を行う。動作正常であれば、ステップS706において、ユーザーが指を個人認証装置1に置くことをトリガとして、ステップS707においてあらかじめ登録してあるユーザーかどうか確認する。登録してあるユーザーであればステップS708において、個人認証装置1の電源を切断し、ユーザーがあらかじめ設定,登録したシート位置やミラー位置を再生する。さらにステップS709において、自動車の運転許可信号を出す。例えば、オートマティック車であればPレンジやNレンジからの切り替えを可能とする。
【0045】
個人認証装置1に不具合が発生している場合には、実施例1と同様に、ステップS705の個人認証装置1の動作自己診断で動作異常としてステップS714の暗証番号入力に切り替える。暗証番号入力装置7から入力した暗証番号が正しければ、ステップS709に移行し、自動車の運転許可信号を出す。また、ステップS706において一定時間内に指を検出できなければ、ステップS713において個人認証装置1の電源を切断する。また、ステップS707において、ユーザー認証結果が失敗だった場合には、ステップS710においてユーザーに再認証または暗証番号入力を促す。再認証を選択した場合はステップS706に戻る。さらに、ステップS711において再認証,暗証番号入力いずれも不要の場合は、終了を選択して、ステップS713に移行して終了させることも可能である。また、ステップS714において暗証番号入力が誤っていた場合には、ステップS715にてリトライ可能か(例えば一定回数リトライしたかどうか)判断する。暗証番号の再入力不可と判断された場合、ステップS716にて着座センサで運転席に一定時間座っているか判断して、車両内に居続けていると判断された場合は、ステップS717で、車両から退出するように促して、終了する。
【実施例3】
【0046】
つぎに、実施例1のステップS615にて、暗証番号を忘れた場合でも自動車を使用可能とする手順について図7を用いて説明する。
【0047】
はじめに、車両製造者100は自動車104の製造時にセキュリティーコードを設定し、自動車104の盗難防止装置9に記憶させるとともに、データセンタ101にセキュリティーコードを保存しておく。車両販売者にはセキュリティーコードを知らせない。ユーザーが暗証番号を忘れた際には、車両販売者はユーザーの確認後、車両販売者用端末102をデータセンタ101に接続して、該当する自動車104のセキュリティーコードを入手する。つぎに車両販売者用端末102を自動車104の盗難防止装置9に接続し、セキュリティーコードを盗難防止装置9に送信して個人認証装置1や暗証番号入力によるユーザー認証を不要にして、システムの起動(エンジン始動など)や自動車の運転許可の発行を行う。なお、ユーザー認証を不要にしている状態では、車両システムの起動ごとにユーザー認証が不要であることを音声などで通知したほうが良い。これにより、ユーザーは自動車の盗難防止機能が低下している状態であることを認知するとともに、ユーザーに個人認証装置1の交換や暗証番号の強制変更を促すことが可能となる。
【0048】
なお、データセンタ101からのセキュリティーコードの発行時は、来歴を記録し、発行の各回ごとにセキュリティーコードの変更を行っても良い。また、車両販売時にユーザーの指静脈パターン情報をデータセンタ101に預けておき、セキュリティーコードの発行時に車両販売者用端末102に接続された個人認証装置103で認証を行って、ユーザーの確認を行っても良い。
【実施例4】
【0049】
つぎに、実施例1のステップS606にて、個人認証装置1が動作せず交換が必要になった場合の交換手順について図7を用いて説明する。
【0050】
はじめに、実施例3と同様に車両製造者100は自動車104の製造時にセキュリティーコードを設定し、自動車104の盗難防止装置9に記憶させるとともに、データセンタ101に保存しておく。車両販売者にはセキュリティーコードを知らせない。個人認証装置1の交換が必要になった場合には、まず、データセンタ101は交換用の個人認証装置1′用のセキュリティーコードを新規で設定する。つぎに、車両製造業者100は、自動車104の車台番号や新規で設定されたセキュリティーコードを記憶させた個人認証装置1′を用意し車両販売者に送付する。つぎに、車両販売業者は交換用の個人認証装置1′を受け取り後、データセンタから自動車104の製造時に設定されたセキュリティーコードと新規に設定されたセキュリティーコードを入手する。さらに、車両販売者用端末102を自動車104の盗難防止装置9に接続、自動車104の製造時に設定されたセキュリティーコードと新規に設定されたセキュリティーコードを盗難防止装置9に送信してセキュリティーコードを更新する。そして、個人認証装置1を交換することで、個人認証装置1′と車両104内の盗難防止装置9のセキュリティーコードが一致するので、個人認証装置1′の動作が可能となる。
【符号の説明】
【0051】
1 個人認証装置
30 イメージセンサ
34,35 赤外光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体特徴情報を利用して個人を識別可能な個人認証装置と暗証番号入力装置を車両に搭載し、
前記個人認証装置または前記暗証番号入力装置によるユーザー認証により前記車両の運転の制限を解除する機能を有することを特徴とする車両盗難防止システム。
【請求項2】
生体特徴情報を利用して個人を識別可能な個人認証装置と暗証番号入力装置とセキュリティーコード記憶装置を車両に備え、
前記個人認証装置に記憶された第1のセキュリティーコードと前記セキュリティーコード記憶装置に記憶された第2のセキュリティーコードが一致したときのみ前記個人認証装置を起動できる機能と前記個人認証装置または前記暗証番号入力装置によるユーザー認証により前記車両の運転の制限を解除する機能を有することを特徴とする車両盗難防止システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれか1項において、
前記個人認証装置によるユーザー認証が失敗した場合に、前記暗証番号入力装置による暗証番号入力によりユーザー認証を行う機能を有することを特徴とする車両盗難防止システム。
【請求項4】
請求項1または請求項2のいずれか1項において、
前記個人認証装置が動作しない場合に、前記暗証番号入力装置による暗証番号入力によりユーザー認証を行う機能を有することを特徴とする車両盗難防止システム。
【請求項5】
請求項3または請求項4のいずれか1項において、
前記暗証番号入力装置によるユーザー認証が失敗した場合に、前記車両からの退出を促す機能を有することを特徴とする車両盗難防止システム。
【請求項6】
請求項3または請求項4のいずれか1項において、
前記暗証番号入力装置によるユーザー認証が失敗し、かつ一定時間、前記自動車内に人がいると検知された場合に、前記自動車からの退出を促す機能を有することを特徴とする車両盗難防止システム。
【請求項7】
請求項2において、
前記自動車に外部から接続できる端末を接続し、前記端末より前記セキュリティーコード記憶装置へ前記第2のセキュリティーコードを入力することで前記自動車の運転の制限を解除する機能を有することを特徴とする車両盗難防止システム。
【請求項8】
請求項2において、
前記自動車に外部から接続できる端末を接続し、前記端末より前記セキュリティーコード記憶装置へ前記第2のセキュリティーコードを入力し、かつ前記セキュリティーコード記憶装置内に記憶された前記第2のセキュリティーコードを新規の第3のセキュリティーコードに書換え可能な機能を有することを特徴とする車両盗難防止システム。
【請求項9】
(a):車両の運転を制限し、
(b):前記車両に搭載された生体特徴情報を利用して個人を識別可能な個人認証装置と暗証番号入力装置によりユーザー認証された場合には、前記制限を解除することを特徴とする車両盗難防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−195061(P2010−195061A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38763(P2009−38763)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】