説明

車両運転支援装置及び車両運転支援方法

【課題】運転者に与える違和感を低減しつつ、側方障害物に対する支援制御を適切に行うことができる車両運転支援装置及び車両運転支援方法を提供する。
【解決手段】自車両側方の障害物を検出すると、所定時間後の自車両の将来位置を予測する。その予測した自車両の将来位置が所定の車線幅方向横位置に達すると、制御開始と判定して前記障害物への接近を防止する障害物回避制御を行う。その際、運転者の前記障害物側の隣接車線への車線変更の意図を検出した場合には、車線変更の意図を非検出であるときと比較して、前記制御開始の判定を早くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両側方の障害物を検出すると、当該障害物への接近を防止するように運転者の運転を支援する車両運転支援装置及び車両運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両運転支援装置として、例えば特許文献1に記載の技術がある。この技術では、障害物と自車両との距離を検出し、検出した距離に応じて障害物に対するリスクポテンシャルを算出する。そして、当該リスクポテンシャルに基づいて操舵反力を発生することにより、自車両の障害物への接近を運転者に報知して、自車両の障害物への接近を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−125933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術にあっては、例えば、運転者が意図的に車線変更操作等の障害物の進路へ侵入するための操作を行って、自車両と障害物との距離が遠い状態から障害物に接近する場合、運転者は車線変更操作開始から報知までの時間が長くなることにより報知開始が遅いと感じる場合がある。
そこで、本発明は、運転者に与える違和感を低減しつつ、側方障害物に対する支援制御を適切に行うことができる車両運転支援装置及び車両運転支援方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、自車両側方の障害物を検出すると、予め設定した所定時間後の自車両の将来位置を予測し、その予測した自車両の将来位置に基づいて、自車両が前記障害物の進路へ侵入する可能性が有ると判定すると、制御開始タイミングと判定して前記障害物への接近を防止する障害物回避制御を開始する。その際、運転者の前記障害物の進路へ侵入する意図を検出した場合には、障害物回避制御の制御開始タイミングを早める。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、運転者に障害物の進路へ侵入する意図がある場合には、制御開始のタイミングを早めることができる。そのため、運転者に違和感のない支援制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に基づく実施形態に係る装置の概要構成図である。
【図2】コントロールユニットの構成を説明する図である。
【図3】第1の実施形態におけるコントロールユニットの処理手順を示すフローチャートである。
【図4】自車両と障害物との関係を示す概念図である。
【図5】車線変更意図検出処理手順を示すフローチャートである。
【図6】調整ゲイン算出の概念を示す制御ブロック図である。
【図7】警報・制御タイミング調整演算部(左)の具体的構成を示すブロック図である。
【図8】ゲインK2recvの特性を示す図である。
【図9】第2及び第3の実施形態における制駆動力コントロールユニットの処理手順を示すフローチャートである。
【図10】禁止時間算出方法を説明するためのブロック図である。
【図11】制御開始判定の別の例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、後輪駆動車両に対し、車両運転支援装置を搭載する場合について説明する。なお、対象とする車両として、前輪駆動車両や四輪駆動車両を適用することもできる。
(第1の実施の形態)
(構成)
図1は、本実施形態に係る装置の概要構成図である。
ブレーキペダル1は、ブースタ2を介してマスタシリンダ3に連結する。また、図中符号4はリザーバである。
マスタシリンダ3は、流体圧回路30を介して各輪の各ホイールシリンダ6FL〜6RRに連結する。これにより、制動制御が作動しない状態では、運転者によるブレーキペダル1の踏込み量に応じて、マスタシリンダ3で制動流体圧を昇圧する。その昇圧した制動流体圧を、流体圧回路30を通じて、各車輪5FL〜5RRの各ホイールシリンダ6FL〜6RRに供給する。
【0009】
制動流体圧制御部7は、流体圧回路30中のアクチュエータを制御して、各輪への制動流体圧を個別に制御する。そして、各輪への制動流体圧を、制駆動力コントロールユニット8からの指令値に応じた値に制御する。アクチュエータとしては、各ホイールシリンダ液圧を任意の制動液圧に制御可能な比例ソレノイド弁がある。
ここで、制動流体圧制御部7及び流体圧回路30は、例えばアンチスキッド制御(ABS)、トラクション制御(TCS)又はビークルダイナミックスコントロール装置(VDC)で使用する制動流体圧制御部を利用すればよい。制動流体圧制御部7は、単独で各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を制御する構成とすることもできる。そして、後述する制駆動力コントロールユニット8から制動流体圧指令値を入力した場合には、その制動流体圧指令値に応じて各制動流体圧を制御する。
【0010】
また、この車両には、駆動トルクコントロールユニット12を設ける。
駆動トルクコントロールユニット12は、駆動輪である後輪5RL、5RRへの駆動トルクを制御する。この制御は、エンジン9の運転状態、自動変速機10の選択変速比、及びスロットルバルブ11のスロットル開度を制御することで実現する。すなわち、駆動トルクコントロールユニット12は、燃料噴射量や点火時期を制御する。また同時に、スロットル開度を制御する。これにより、エンジン9の運転状態を制御する。
【0011】
また、駆動トルクコントロールユニット12は、制御の際の情報である駆動トルクTwの値を、制駆動力コントロールユニット8に出力する。
なお、この駆動トルクコントロールユニット12は、単独で後輪5RL、5RRの駆動トルクを制御することも可能である。ただし、制駆動力コントロールユニット8から駆動トルク指令値を入力したときには、その駆動トルク指令値に応じて駆動輪トルクを制御する。
【0012】
またこの車両前部には、画像処理機能付きの撮像部13を備える。撮像部13は、走行車線内の自車両の位置を検出するために使用する。この撮像部13は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラからなる単眼カメラで構成する。
撮像部13は、自車両前方を撮像する。そして、撮像部13は、撮像した自車両前方の撮像画像について画像処理を行い、白線(レーンマーカ)等の車線区分線を検出し、検出した白線に基づいて、走行車線を検出する。
【0013】
さらに、撮像部13は、その検出した走行車線に基づいて、自車両の走行車線と自車両の前後方向軸とのなす角(ヨー角)φfront、走行車線に対する横変位Xfront、及び走行車線曲率β等を算出する。撮像部13は、算出したヨー角φfront、横変位Xfront、及び走行車線曲率β等を、制駆動力コントロールユニット8に出力する。
ここで、撮像部13は、走行車線をなす白線を検出して、その検出した白線に基づき、ヨーφfrontを算出している。このため、ヨー角φfrontは、撮像部13の白線の検出精度に大きく影響する。
なお、走行車線曲率βfrontを、後述のステアリングホイール21の操舵角δに基づいて算出することもできる。
【0014】
また、この車両には、レーダー装置24L/Rを備える。レーダー装置24L/Rは、それぞれ自車両左右の側方障害物を検出する為のセンサである。このレーダー装置24L/Rは、少なくとも自車両側方の所定の死角エリア(範囲)に電磁波を出射し、出射した電磁波に対する反射波を検出することによって、所定の死角エリア(範囲)に存在する障害物の存在可否の検出ができる例えばミリ波レーダーであり、以下では単にミリ波レーダーとも記載する。このレーダー装置24L/Rは望ましくは、障害物との相対横位置POSXobst、相対縦位置DISTobst、相対縦速度dDISTobstの検出を左右それぞれ検出できるものとする。なおここで、本明細書実施例中における横方向とは車線幅方向を意味し、縦方向とは車線延在方向を意味する。
【0015】
また、この車両は、マスタシリンダ圧センサ17、アクセル開度センサ18、操舵角センサ19、方向指示スイッチ20、車輪速度センサ22FL〜22RRを備える。
マスタシリンダ圧センサ17は、マスタシリンダ3の出力圧、すなわちマスタシリンダ液圧Pmを検出する。アクセル開度センサ18は、アクセルペダルの踏込み量、すなわちアクセル開度θtを検出する。操舵角センサ19は、ステアリングホイール21の操舵角(ステアリング舵角)δを検出する。方向指示スイッチ20は、方向指示器による方向指示操作を検出する。車輪速度センサ22FL〜22RRは、各車輪5FL〜5RRの回転速度、所謂車輪速度Vwi(i=fl、fr、rl、rr)を検出する。そして、これらセンサ等は、検出した検出信号を、制駆動力コントロールユニット8に出力する。
【0016】
また、この車両に、ナビゲーションシステム40を搭載する。ナビゲーションシステム40は、道路情報とともに、運転者の目的地の入力に基づいて設定した経路情報を、制駆動力コントロールユニット8に出力する。
さらに、この車両は、画像処理機能付きの撮像装置50を備える。撮像装置50は、運転者の視線方向を検出するために使用する。この撮像装置50は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラからなる単眼カメラで構成する。
【0017】
撮像装置50は、運転者の顔面部を撮像する。そして、撮像装置50は、撮像した運転者の顔面部の撮像画像について画像処理を行い、運転者の視線方向を検出する。このとき、運転者の顔の向きを、運転者の視線方向として検出してもよい。撮像装置50は、検出した運転者の視線方向を示す情報を、制駆動力コントロールユニット8(障害物回避制御手段)に出力する。
【0018】
図2は、制駆動力コントロールユニット8の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、制駆動力コントロールユニット8は、将来位置予測手段8A、制御開始判定手段8Bを備える。また、制御開始判定手段8Bは、開始タイミング調整手段(開始タイミング変更手段)8Ba及び車線変更意図検出手段(意図検出手段)8Bbを備える。
将来位置予測手段8Aは、操舵入力検出手段で検出した運転者の操舵入力に基づいて、予め設定された前方注視時間Tt(=車頭時間)経過後の自車両の将来位置を予測する。
【0019】
制御開始判定手段8Bは、障害物検出手段で自車両側方の障害物を検出していると判定している場合に、自車両の将来位置(将来の横位置)が予め設定された所定の制御開始位置(車線幅方向横位置)に到達、若しくは制御開始位置よりも障害物側に位置することを検出したことで、障害物回避制御の制御開始を判定する。すなわち、障害物が走行している車線を障害物の進路として定義し、自車両の将来位置が予め設定された所定の制御開始位置に到達、若しくは制御開始位置よりも障害物側に位置することを検出した場合に、自車両が障害物の進路に侵入する可能性が有ると判定して、障害物回避制御の制御開始を判定する。
【0020】
なおここで、上記予め設定された所定の制御開始位置は車線幅方向における所定の位置であり、すなわち障害物が走行している車線から予め設定された所定距離の位置である。従って、上述のように自車両の将来位置が予め設定された所定の制御開始位置に到達、若しくは制御開始位置よりも障害物側に位置することを検出することは、自車両の将来位置が障害物の進路から予め定められた所定の距離以下となったことを検出することと同義である。
【0021】
また、開始タイミング調整手段8Baは、車線変更意図検出手段8Bbが、運転者の障害物側の隣接車線への車線変更の意図を検出すると、車線変更の意図を検出していないときと比較して、上記制御開始の判定を早める。例えば、開始タイミング調整手段8Baは、前方注視時間Ttを長くすることで、障害物への接近を防止する制御の開始タイミングを早める。すなわち、制御開始判定手段8Bは前方注視時間Tt(=車頭時間)経過後の自車両の将来位置が予め設定された所定の制御開始位置(車線幅方向横位置)に到達したことで、障害物回避制御の制御開始を判定するため、開始タイミング調整手段8Baが前方注視時間Ttを長くすると、自車両の障害物に対する接近状態(車線幅方向で自車両が障害物へ接近する速度や加速度)が同じであれば、制御開始判定手段8Bによる障害物回避制御の制御開始判定タイミングは早くなる。
【0022】
制駆動力コントロールユニット8は、回避制御開始検出手段8Bが制御開始を検出すると、障害物回避制御を実施する。本実施形態では、障害物回避制御として、障害物への接近を防止する方向に自車両を制御するべくヨーモーメントMsを発生する車両運動制御(以下、単に制御とも言う)と、当該車両運動制御に先立って運転者に対して警報を発する警報発生制御(以下、単に警報とも言う)とを行うものとする。
【0023】
図3は、制駆動力コントロールユニット8で実行する回避制御処理手順を示すフローチャートである。
この回避制御処理は、所定サンプリング時間ΔT毎(例えば、10msec毎)にタイマ割込によって実行する。なお、この図3に示す処理内には通信処理を設けていないが、演算処理によって取得した情報は、随時記憶装置に更新記憶すると共に、必要な情報を随時記憶装置から読み出す。
先ずステップS10で、制駆動力コントロールユニット8は、上記各センサやコントローラ、コントロールユニットから各種データを読み込む。具体的には、各センサが検出した、各車輪速度Vwi、操舵角δ、マスタシリンダ液圧Pm及び方向スイッチ信号を取得する。
【0024】
次にステップS20で、制駆動力コントロールユニット8は、車速Vを算出する。すなわち、車速Vを、下記式のように車輪速度Vwiに基づいて算出する。
V=(Vwrl+Vwrr)/2 (:前輪駆動の場合),
V=(Vwfl+Vwfr)/2 (:後輪駆動の場合) ………(1)
ここで、Vwfl、Vwfrは左右前輪それぞれの車輪速度である。Vwrl、Vwrrは左右後輪それぞれの車輪速度である。すなわち、上記(1)式では、車速Vを、従動輪の車輪速の平均値として算出している。なお、本実施形態では、後輪駆動の車両であるので、後者の式、すなわち前輪の車輪速度により車速Vを算出する。
【0025】
また、ABS(Anti−lock Brake System)制御などの別の自動制動制御装置が作動している場合には、その別の制動制御装置で推定している推定車体速度を取得して、上記車速Vとして用いる。
ステップS30では、制駆動力コントロールユニット8は、左右の各レーダー装置24L/Rからの信号に基づき、自車両MMの左右側方について、障害物SMの存在Lobst・Robstの有無を取得する。なお、より検出精度の高いセンサを使用する場合には、自車両MMに対する側方障害物SMの相対位置および相対速度も取得する。ここで、図4に示すように、自車両MM側方とは、自車両MMに対して斜め後方位置も含む。
【0026】
次に、ステップS35で、制駆動力コントロールユニット8は、運転者の障害物SM側の隣接車線への車線変更の意図を検出するための、車線変更意図検出処理を行う。
図5は、ステップS35で実行する車線変更意図検出処理手順を示すフローチャートである。
先ず、ステップS3501で、制駆動力コントロールユニット8は、障害物SMの存在Lobst・Robstの有無を判定する。そして、障害物SMが左右共に存在しないと判定した場合には、後述するステップS3506に移行する。一方、左右の少なくとも一方に障害物SMが存在する場合には、ステップS3502に移行する。
【0027】
ステップS3502では、制駆動力コントロールユニット8は、運転者の隣接車線への車線変更の意図の有無を判定する。本実施形態では、方向指示スイッチ20からの信号に基づき、運転者の車線変更の意図及びその方向を検出する。そして、方向指示器による方向指示操作がない場合には、運転者に車線変更の意図が無いと判定し、後述するステップS3506に移行する。
一方、方向指示器による方向指示操作がある場合には、運転者に車線変更の意図があると判定し、ステップS3503に移行する。
ステップS3503では、制駆動力コントロールユニット8は、方向指示スイッチ20からの信号に基づき、運転者の車線変更の方向を検出してステップS3504に移行する。
【0028】
ステップS3504では、制駆動力コントロールユニット8は、前記ステップS3503で検出した運転者の車線変更の方向が、障害物SMが存在する方向と同一であるか否かを判定する。そして、運転者の車線変更の方向が、障害物SMが存在する方向と同一でない場合には後述するステップS3506に移行する。
一方、運転者の車線変更の方向が、障害物SMが存在する方向と同一である場合にはステップS3505に移行し、車線変更意図検出フラグFchangeをONに設定してから車線変更意図検出処理を終了する。
【0029】
また、ステップS3506では、制駆動力コントロールユニット8は、車線変更意図検出フラグFchangeをOFFに設定してから車線変更意図検出処理を終了する。
なお、本実施形態においては、方向指示スイッチ20からの信号に基づき、運転者の車線変更の意図及びその方向を検出している。これは、障害物が走行している車線を障害物の進路として定義し、運転者に障害物の走行している車線へ侵入する意図が有る場合に、運転者に障害物の進路へ侵入する意図が有ると判定しているものである。なお、運転者に障害物の進路へ侵入する意図が有ることを判定する方法は上記に限定されない。
【0030】
次に、ステップS40では、制駆動力コントロールユニット8は、撮像部13から、現在走行している走行路における自車両MMの横変位(横位置)Xfront、及び走行車線の曲率βfrontを読み込む。
ただし、走行車線の曲率βfrontの取得は、撮像部13に限定しない。例えば、ナビゲーションシステムの自車位置において記録している曲率情報などによって取得してもよい。
また、現在走行している走行路に対する自車両MMのヨー角φfrontを算出する。このヨー角φfrontは、レーン内の走行状況を検出するために使用する。
本実施形態では、このヨー角φfrontは、撮像部13による実測値を使用する。
【0031】
なお、撮像部13による実測値を用いる代わりに、撮像部13が撮像した近傍の白線に基づいて、ヨー角φfrontを算出してもよい。この場合には、例えば、自車両MMの横変位Xfrontの変化量を用いて、下記(2)式によりヨー角φfrontを算出する。
φfront=tan-1(dX′/V(=dX/dY)) ………(2)
ここで、dXは横変位Xfrontの単位時間当たりの変化量、dYは単位時間当たりの進行方向の変化量、dX´は上記変化量dXの微分値である。
なお、近傍の白線に基づいてヨー角φfrontを算出する場合、上記(2)式のように、横変位Xfrontを用いてヨー角φfrontを算出することに限定しない。例えば、近傍で検出した白線を遠方に延長し、その延長した白線に基づいて、ヨー角φfrontを算出してもよい。
【0032】
ステップS50では、制駆動力コントロールユニット8は、下記(3)式をもとに、中立ヨーレートφ’pathを算出する。中立ヨーレートφ’pathは、自車両MMが走行路に沿った走行を維持するために必要なヨーレートである。中立ヨーレートφ’pathは、直進路を走行中はゼロとなる。しかし、カーブ路ではその曲率βfrontによって、中立ヨーレートφ’pathが変化する。したがって、この中立ヨーレートφ’pathを算出する際に、上記走行車線の曲率βfrontを用いる。
φ’path=βfront・V ………(3)
【0033】
ここで、この走行経路を維持するための中立ヨーレートφ’pathは、所定期間のヨーレートφ’の平均値φ’aveを用いたり、あるいは時定数の大きいフィルタをヨーレートφ’にかけたりした値を、簡易的に算出しても良い。
ステップS60では、制駆動力コントロールユニット8は、前方注視時間Tt(=車頭距離)を設定する。
前方注視時間Ttは、運転者の将来の障害物SMとの接近状況を予測するための閾値を決定づけるための予め設定された所定の時間である。例えば、前方注視時間Ttを1秒に設定しておく。
【0034】
次に、目標ヨーレートΨdriver及びΨdriverhoseiを算出する。
目標ヨーレートΨdriverは、下記式のように、操舵角δと車速度Vから算出する。この目標ヨーレートΨdriverは、操舵に応じて発生させる目標のヨーレートである。
Ψdriver = Kv・δ・V ………(4)
ここで、Kvはゲインである。
さらに、目標ヨーレートΨdriverhoseiを、下記式によって算出する。この目標ヨーレートΨdriverhoseiは、目標ヨーレートΨdriverから、走行路を走行するために必要となる中立ヨーレートφ’pathを除いた値である。これによって、カーブ路を走行するために行う操舵による影響を除去する。
Ψdriverhosei= Ψdriver − φ’path ………(5)
【0035】
次に、ステップS65で、制駆動力コントロールユニット8は、前記ステップS60で設定した前方注視時間Ttを調整する。
ここでは、前方注視時間Ttの調整処理を、前記ステップS35で設定した車線変更意図検出フラグFchangeに応じて区分する。
[車線変更意図検出フラグFchange=OFFの場合]
車線変更意図検出フラグFchangeに基づき、運転者の障害物SM側の隣接車線への車線変更の意図が無いと判定した場合には、警報用調整ゲインαWL,αWR、及び制御用調整ゲインαCL,αCRをそれぞれ“1”に設定し、そのまま後述するステップS70に移行する。この場合には、前方注視時間Ttの補正は行わない。
[車線変更意図検出フラグFchange=ONの場合]
車線変更意図検出フラグFchangeに基づき、運転者の障害物SM側の隣接車線への車線変更の意図が有ると判定した場合には、以下に示す方法により、警報用調整ゲインαWL,αWR、及び制御用調整ゲインαCL,αCRを設定する。
【0036】
図6は、調整ゲイン算出の概念を示す制御ブロック図である。
この図6に示すように、警報・制御タイミング調整演算部(左)8Ba_Lは、tTSIG_L、Δδ、Δφ’及びtANGLE_Lを入力し、警報用調整ゲインαWL及び制御用調整ゲインαCLを出力する。
ここで、tTSIG_Lは、方向指示器による左方向への方向指示操作を検出してからの時間である。ここでは、時間tTSIG_Lが大きいほど運転者による車線変更意図の確度(検出した運転者の車線変更意図の確からしさ)が大きいと判断する。
【0037】
また、Δδは舵角操作変化量(δ−δ0)であり、右方向を正値とする。なお、δ0は基準舵角であり、時定数が大きなフィルタ処理を行った後の値、若しくは走行路の曲率、自車両の速度から演算した舵角としてもよい。そして、舵角操作変化量|Δδ|が大きいほど運転者による車線変更意図の確度が大きいと判断する。
さらに、Δφ’はヨーレート変化量(φ’−φ’0)であり、右方向を正値とする。なお、φ’0は基準ヨーレートであり、時定数が大きなフィルタ処理を行った後の値、若しくは走行路の曲率、自車両の速度から演算した舵角としてもよい。そして、ヨーレート変化量|Δφ’|が大きいほど運転者による車線変更意図の確度が大きいと判断する。
また、tANGLE_Lは、運転者の視線方向が所定の車線変更判定角度(<0:左方向)を下回ってからの時間である。ここでは、時間tANGLE_Lが大きいほど運転者による車線変更意図の確度が大きいと判断する。
【0038】
図7は、警報・制御タイミング調整演算部(左)8Ba_Lの具体的構成を示すブロック図である。
第1ゲイン算出部8Ba_L1は、方向指示操作を検出してからの時間tTSIG_Lに基づいて、第1の調整ゲイン算出マップを参照して第1の調整ゲインαWL1及びαCL1を算出する。
ここで、第1の調整ゲイン算出マップは、縦軸に第1の調整ゲインαWL1又はαCL1、横軸に時間tTSIG_Lをとる。そして、時間tTSIG_Lが所定時間t1まではαWL1(又はαCL1)=1となり、所定時間t1を超える領域では、tTSIG_Lが大きいほど第1の調整ゲインαWL1及びαCL1が大きくなるように設定する。
【0039】
第2ゲイン算出部8Ba_L2は、舵角操作変化量Δδに基づいて、第2の調整ゲイン算出マップを参照して第2の調整ゲインαWL2及びαCL2を算出する。
ここで、第2の調整ゲイン算出マップは、縦軸に第2の調整ゲインαWL2又はαCL2、横軸に舵角操作変化量Δδをとる。そして、左方向の舵角操作変化量Δδが所定量Δδ1までαWL2(又はαCL2)=1となり、所定量Δδ1より小さい領域では、Δδが小さいほど(|Δδ|が大きいほど)第2の調整ゲインαWL2及びαCL2が大きくなるように設定する。また、右方向の舵角変化が生じている場合(Δδ>0)は、αWL2(又はαCL2)=1とする。
【0040】
第3ゲイン算出部8Ba_L3は、ヨーレート変化量Δφ’に基づいて、第3の調整ゲイン算出マップを参照して第3の調整ゲインαWL3及びαCL3を算出する。
ここで、第3の調整ゲイン算出マップは、縦軸に第3の調整ゲインαWL3又はαCL3、横軸にヨーレート変化量Δφ’をとる。そして、左方向のヨーレート変化量Δφ’が所定量Δφ’1までαWL3(又はαCL3)=1となり、所定量Δφ’1より小さい領域では、Δφ’が小さいほど(|Δφ’|が大きいほど)第3の調整ゲインαWL3及びαCL3が大きくなるように設定する。また、右方向のヨーレート変化が生じている場合(Δφ’>0)は、αWL3(又はαCL3)=1とする。
【0041】
第4ゲイン算出部8Ba_L4は、運転者の視線方向が上記車線変更判定角度を下回ってからの時間tANGLE_Lに基づいて、第4の調整ゲイン算出マップを参照して第4の調整ゲインαWL4及びαCL4を算出する。
ここで、第4の調整ゲイン算出マップは、縦軸に第4の調整ゲインαWL4又はαCL4、横軸に時間tANGLE_Lをとる。そして、時間tANGLE_Lが所定時間t2まではαWL4(又はαCL4)=1となり、所定時間t2を超える領域では、tANGLE_Lが大きいほど第4の調整ゲインαWL4及びαCL4が大きくなるように設定する。
なお、第1〜第4の調整ゲインαWL1〜αWL4及びαCL1〜αCL4には、それぞれ上限値を設ける。
【0042】
調整ゲイン出力部8Ba_L5は、第1〜第4の調整ゲインαWL1〜αWL4及びαCL1〜αCL4を入力し、警報用調整ゲインαWL及び制御用調整ゲインαCLを出力する。ここでは、第1〜第4の調整ゲインαWL1〜αWL4をそれぞれ積算することで、警報用調整ゲインαWLを算出し、第1〜第4の調整ゲインαCL1〜αCL4をそれぞれ積算することで、制御用調整ゲインαCLを算出する。
また、同様に、警報用調整ゲインαWR及び制御用調整ゲインαCRは、時間tTSIG_Rが大きいほど、右方向の舵角操作変化量Δδが大きいほど、右方向のヨーレート変化量Δφ’が大きいほど、時間tANGLE_Rが大きいほど、大きくなるように設定する。ここで、時間tANGLE_Rは、運転者の視線方向が所定の車線変更判定角度(>0:右方向)を上回ってからの時間である。
【0043】
そして、下記式によって前方注視時間Ttを調整し、ステップS70に移行する。
TtL ← Tt・αCL,
TtR ← Tt・αCR ………(6)
このように、運転者に障害物側の隣接車線への車線変更意図がある場合には、車線変更意図がない場合と比較して警報用調整ゲインαWL,αWR及び制御用調整ゲインαCL,αCRを大きく算出することで、前方注視時間TtL,TtRを長くする。また、このとき、車線変更意図の確度が大きいほど各調整ゲインを大きく算出する。
【0044】
次に、ステップS70では、制駆動力コントロールユニット8は、前記ステップS65で調整した前方注視時間Ttを用い、下記(7)式をもとに、前方注視時間Tt後の現在の走行路位置に対する横方向の自車両予測位置ΔXbを算出する。この自車両予測位置ΔXbは、走行路を離脱して車線変更を行うか否かの判定にも使用する。すなわち、自車両予測位置ΔXbは、障害物SMに対する回避制御を開始するかどうかの判定に用いる。
ΔXb =(K1φ+K2φm+K3φm’) ………(7)
ここで、
φ :ヨー角,
φm :目標ヨー角速度,
φm’:目標ヨー角加速度
である。
【0045】
また、上記目標ヨー角速度φmは、下記式となる。
φm = Ψdriverhosei・Tt ………(8)
さらに、目標ヨー角加速度φm’は、下記式となる。
φm’= φm・Tt2 ………(9)
ここで、自車両予測位置ΔXbを、ヨー角の次元とするために、前方注視距離Lを用いると、下式で表すことができる。
ΔXb = L・(K1φ+K2φm・T+K3φm’・Tt2) ………(10)
【0046】
ここで、前方注視距離Lと前方注視時間Ttとは、下記式の関係にある。
前方注視距離L=前方注視時間Tt・車速V ………(11)
こうした特性をふまえると、設定ゲインK1は車速を関数とした値となる。また、設定ゲインK2は、車速と前方注視時間を関数とした値となる。設定ゲインK3は、車速と、前方注視時間の2乗を関数とした値となる。
なお、自車両MMの予測位置を、下記式のように、操舵角成分と操舵速度成分を個別に求めてセレクトハイをして算出しても良い。
ΔXb = max(K2φm,K3∫φm’) ………(12)
次に、ステップS80では、制駆動力コントロールユニット8は、制御開始のための判定閾値を設定する。この判定閾値は、側方障害物SMに対する回避制御を開始するかどうかの判定閾値となる。
【0047】
本実施形態では、図4に示すΔOを、上記判定閾値とする。ΔOは、レーダー装置24L/Rにより検出した、自車両MMと障害物SMとの横方向相対距離である。
また、自車両MMと障害物SMとの横方向相対距離ΔOを正確に求めることができない場合には、障害物距離X2obstを上記判定閾値として設定する。障害物距離X2obstは、仮想的に障害物SMが存在するものとして設定するものであり、白線の位置を基準として、横方向所定距離に設定する。
【0048】
この障害物距離X2obstは、仮想障害物が存在する位置を白線位置とした場合に0となり、白線の外側とした場合に正値、白線の内側とした場合に負値となる。
さらに、既定の閾値Xthreshを上記判定閾値として設定してもよい。この閾値Xthreshは、自車両の将来位置が現在の自車両位置からどのくらい離れているかを予め設定した値である。
【0049】
ここでは、走行路に沿った方向(縦方向)にY軸をとり、走行路と垂直方向つまり車線幅方向(横方向)にX軸を取ったX−Y座標系を使用する。そして、X軸座標上で障害物SMの横位置を検出する。この横位置に基づき、上記横方向相対距離ΔOを求める。
なお、障害物SMを検出するかどうかとして設定する障害物検出範囲は、自車両MMの側方における、所定の縦・横位置となるように設定する。また、縦位置については、障害物SMが自車両MMに対して接近する相対速度が大きいほど、障害物検出範囲が大きくなるように設定してもよい。
【0050】
次に、ステップS90では、制駆動力コントロールユニット8は、制御開始の判定を実施する。
ここでは、下記式を満足する場合に制御開始と判定する。
ΔXb ≧ ΔO ………(13)
また、制御開始のための判定閾値として、障害物距離X2obstを用いる場合には、下記式を満足する場合に制御開始と判定する。
ΔX2=ΔXb−X0 ≧ X2obst ………(14)
【0051】
すなわち、図4に示すように、白線と自車両MMの将来予測位置との横方向距離ΔX2が、障害物距離X2obst以上となったか否かを判定する。そして、上記条件を満足した場合に、障害物SM側への車線変更操作等があったとして、障害物SMに対する制御開始と判定する。障害物SMに対する制御開始と判定した場合には、障害物回避制御判断フラグFout_obstをONに設定する。一方、上記条件を満足しない場合には、障害物回避制御判断フラグFout_obstをOFFに設定する。
さらに、制御開始のための判定閾値として、既定の閾値Xthreshを用いる場合には、下記式を満足する場合に制御開始と判定する。
ΔXb ≧ Xthresh ………(15)
【0052】
なお、この推定将来位置ΔXbは、実施には、車両の左側及び右側のそれぞれについてΔXbL /ΔXbRとして求めて、個別に判定を行う。
また、制御対象とする障害物SMは、自車両MMの後側方向の車両だけでなく、隣接車線前方の対向車両も含めるようにしてもよい。
ここで、将来予測位置ΔXbが判定閾値未満か判定する場合に、ΔX2<ΔO−FのようにしてF分のヒスをもたせてもよい。すなわち、不感帯を設定してもよい。すなわち、制御介入閾値と制御終了閾値との間に不感帯を設けても良い。
【0053】
また、Fout_obstをONに設定可能なのは、Fout_obstがOFFとなっている場合とする。また、Fout_obstをONに設定可能とする条件として、Fout_obstをOFFと設定した後所定時間経過した後とするなど、時間的な条件を加えてもよい。また、Fout_obstをONと判定してから所定時間Tcontrolが経過したら、Fout_obst=OFFとし制御を終了してもよい。
【0054】
さらに、障害物回避制御の実施中においては、将来予測位置の判定方向によって、制御の実施方向Dout_obstを判定する。将来予測位置が左になった場合には、Dout_obst=LEFTとし、右になった場合にはDout_obst=RIGHTとする。
ここで、アンチスキッド制御(ABS)、トラクション制御(TCS)又はビークルダイナミックスコントロール装置(VDC)が作動している場合には、障害物回避制御判断フラグFout_obstをOFFに設定する。これは、自動制動制御の作動中は、障害物回避制御を作動させないようにするためである。
【0055】
なお、こうした判定方法は、障害物SM方向へのヨー角φ、操舵角δ、操舵速度δ’それぞれに対して閾値を設定し、それらの閾値を障害物SMに接近すればするほど、制御開始タイミングの判定がし難くなるように設定することと同義となる。目標ヨーレートφm’は一般的に広く使用する公式のとおり操舵角(と車速)の関係によって求まるものだからである。
【0056】
次に、ステップS100では、制駆動力コントロールユニット8は、警報発生の処理を行う。警報は、上述の前方注視時間に基づく前方注視点が制御開始の位置に到達する前に発生する。
先ず、前記ステップS90での検出に用いている制御用の前方注視時間Ttよりも長くなるように所定のゲインKbuzz(>1)を乗算すると共に、前記ステップS65で設定した警報用調整ゲインαWL,αWRを乗算する。こうして左警報用の前方注視時間TtL=Tt・Kbuzz・αWLと、右警報用の前方注視時間TtR=Tt・Kbuzz・αWRとを算出する。
【0057】
そして、(Tt・Kbuzz・αWL)又は(Tt・Kbuzz・αWR)を使用して、前記(6)式に基づき算出した前方注視点(自車両の将来位置)が、前記ステップS90での制御開始の位置に到達したと判断すると警報を発生する。
次に、ステップS110にて、制駆動力コントロールユニット8は、目標ヨーモーメントMsを設定する。
障害物回避制御判断フラグFout_obstがOFFの場合には、目標ヨーモーメントMsを0に設定して、ステップS120に移行する。
一方、障害物回避制御判断フラグFout_obstがONの場合には、目標ヨーモーメントMsを次式により算出し、ステップS120に移行する。
Ms=K1recv・K2recv・ΔXs ………(16)
ΔXs=(K1mon・φ+K2mon・φm)
【0058】
ここで、K1recvは車両諸元から決まる比例ゲイン(ヨー慣性モーメント)である。K2recvは車速Vに応じて変動するゲインである。ゲインK2recvの例を、図8に示す。図8に示すように、例えばゲインK2recvは、低速域で大きい値になり、車速Vがある値になると、車速Vと反比例の関係となり、その後ある車速Vに達すると小さい値で一定値となる。また設定ゲインK1monは車速を関数とした値となる。また、設定ゲインK2monは、車速と前方注視時間を関数とした値となる。
【0059】
上記(16)式によれば、白線とのヨー角度φや運転者が切り増しをしたステアリングによって定常的に発生するヨーレートが大きくなるほど、目標ヨーモーメントMsは大きくなる。
あるいは、目標ヨーモーメントMsを、下記(17)式から算出してもよい。この(17)式は、上記(16)式に対して、ゲインK3(=1/Tt2)を掛けることと同義である。このゲインK3は、前方注視時間Ttが大きくなるほど減少するゲインとなる。
Ms=K1recv・ΔXb/(L・Tt2) ………(17)
【0060】
どの程度の時間Tをかけてヨー角を制御するかを示す上記(17)式を使用すると、次のようになる。すなわち、制御時間Tを前方注視時間Ttと一致させて設定させておくことで、制御開始タイミングの前方注視時間Ttが短くなった際には、車両を戻すための時間Tが短くなる。この結果として制御量が強くなる。すなわち、前方注視時間Ttが短くなるようにしても、制御開始する際の制御量は大きくなる。また、前方注視時間Ttが長くなるようにした際には制御量は小さくなる。この結果、運転者に対しては前方注視時間Ttの設定によらず、状況に沿った違和感の少ない制御を実施することが可能となる。
【0061】
なお、上記Fout_obstの判定は、操舵情報に基づいて将来の進路変更を予測するものである。
ここで、本制御とは別に、自車両の車線からの逸脱傾向が検出された場合に自車両に車線内へ向かうヨーモーメントを発生させて車線からの逸脱を防止する車線逸脱防止制御を備える場合にあっては、本制御が作動開始するときと車線逸脱防止制御が作動開始する(Fout_LDP=1)ときとで、いずれかが先に制御を開始するかによって、先に制御開始した制御を優先し、その制御が終了するまで他方の制御を実施しないようにしてもよい。
【0062】
ステップS120では、制駆動力コントロールユニット8は、障害物回避のための目標ヨーレートMsを発生させるための指令を算出し、これを出力した後、最初の処理に復帰する。
ここで、本実施形態では、障害物回避のためのヨーモーメントMsを発生するための手段として、制駆動力を用いてヨーモーメントを発生する場合の例を、以下に説明する。
なお、ヨーモーメントを発生させる手段としてステアリング反力制御装置を用いる場合には、ステアリング反力FrstrはFrstr=Ka・Msとして反力を発生すればよい。ここで、KaはヨーモーメントMsをステアリング反力に変換するための係数であり、予め実験等により求める。
【0063】
またヨーモーメントを発生させる手段としてステアリング制御装置を用いる場合には、ステアリング角STRθはSTRθ=Kb・Msとして求めた結果をステアリングに付与すればよい。ここで、KbはヨーモーメントMsをステアリング角に変換するための係数であり、予め実験等により求める。
またヨーモーメントを発生させる手段としてはステアリング制御装置を用い、その操舵力(操舵トルク)をSTRtrg=Kc・Msとして求めて発生してもよい。ここで、KcはヨーモーメントMsを操舵力に変換するための係数であり、予め実験等により求める。
【0064】
目標ヨーモーメントMsが0の場合、すなわちヨーモーメント制御を実施しない条件との判定結果を得た場合には、下記(18)式及び(19)式に示すように、制動液圧Pmf、Pmrを各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl、fr、rl、rr)とする。
Psfl=Psfr=Pmf ………(18)
Psrl=Psrr=Pmr ………(19)
ここで、Pmfは前輪用の制動液圧である。また、Pmrは後輪用の制動液圧であり、前後配分を考慮して前輪用の制動液圧Pmfに基づいて算出した値になる。例えば、運転者がブレーキ操作をしていれば、制動液圧Pmf、Pmrはそのブレーキ操作の操作量(マスタシリンダ液圧Pm)に応じた値になる。
【0065】
一方、目標ヨーモーメントMsの絶対値が0より大きい場合、すなわち障害物回避制御を開始するとの判定結果を得た場合には、次のような処理を行う。
すなわち、目標ヨーモーメントMsに基づいて、前輪目標制動液圧差ΔPsf及び後輪目標制動液圧差ΔPsrを算出する。具体的には、下記(20)式及び(21)式により目標制動液圧差ΔPsf、ΔPsrを算出する。
ΔPsf=2・Kbf・(Ms・FRratio)/T ………(20)
ΔPsr=2・Kbr・(Ms×(1−FRratio))/T ………(21)
ここで、FRratioは設定用しきい値、Tはトレッド、Kbf及びKbrは制動力を制動液圧に換算する場合の前輪及び後輪についての換算係数である。
なお、上記トレッドTは、ここでは便宜上、前後同じ値として扱う。また、Kbf、Kbrは、ブレーキ諸元により定まる。
【0066】
このように、目標ヨーモーメントMsの大きさに応じて車輪で発生する制動力を配分する。つまり、各目標制動液圧差ΔPsf、ΔPsrに所定値を与え、前後それぞれの左右輪で制動力差を発生する。そして、算出した目標制動液圧差ΔPsf、ΔPsrを用いて、最終的な各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl、fr、rl、rr)を算出する。
具体的には、制御の実施方向Dout_obstがLEFTの場合、すなわち左側の障害物SMに対する障害物回避制御を実施する場合には、下記(22)式により各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl、fr、rl、rr)を算出する。
Psfl=Pmf,
Psfr=Pmf+ΔPsf,
Psrl=Pmr,
Psrr=Pmr+ΔPsr ………(22)
【0067】
また、制御の実施方向Dout_obstがRIGHTの場合、すなわち右側の障害物SMに対する障害物回避制御を実施する場合、下記(23)式により各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl、fr、rl、rr)を算出する。
Psfl=Pmf+ΔPsf,
Psfr=Pmf,
Psrl=Pmr+ΔPsr,
Psrr=Pmr ………(23)
【0068】
上記(22)式及び(23)式によれば、障害物回避側の車輪の制動力が大きくなるように、左右輪の制駆動力差が発生することになる。
また、ここでは、(22)式及び(23)式が示すように、運転者によるブレーキ操作、すなわち制動液圧Pmf、Pmrを考慮して各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl、fr、rl、rr)を算出している。
そして、制駆動力コントロールユニット8は、このようにして算出した各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl、fr、rl、rr)を制動流体圧指令値として、制動流体圧制御部7に出力する。
【0069】
(動作)
次に、第1の実施形態の動作について説明する。
先ず、運転者の障害物側の隣接車線への車線変更の意図を検出する(図3のステップS35)。このとき、運転者に車線変更の意図が無いものとすると、車線変更意図検出フラグFchangeをOFFに設定するため、警報用調整ゲインαWL,αWR及び制御用調整ゲインαCL,αCRがそれぞれ"1"となる。また、前方注視時間Ttは、予め設定した基準値(ステップS60で設定した前方注視時間Tt)のままとなる(ステップS65)。
【0070】
次に、自車両の走行状態であるヨー角φ、ヨー角速度φm等に基づいて、前方注視時間Tt後の自車両の将来位置として自車両予測位置ΔXbを算出する(ステップS70)。そして、運転者の脇見等によって自車両が障害物側へ向かうことにより、警報用の前方注視時間(Tt・Kbuzz)を用いて算出したΔXbがΔO以上となると、運転者に対して警報を発する(ステップS100)。その後も運転者が自車両の軌道修正等を行わず、制御用の前方注視時間Ttを用いて算出したΔXbがΔO以上となると、障害物回避のための支援制御を開始する(ステップS90)。
【0071】
支援制御開始と判定すると、自車両予測位置ΔXbに基づいて、制御量として目標ヨーモーメントMsを算出し(ステップS110)、その目標ヨーモーメントMsが発生するように制駆動力を制御する(ステップS120)。これにより、障害物への接近を防止する方向に自車両を制御する。
一方、運転者に障害物側の隣接車線への車線変更意図がある場合には、車線変更意図検出フラグFchangeをONに設定するため、警報用調整ゲインαWL,αWR及び制御用調整ゲインαCL,αCRはそれぞれ1より大きい値となる。このとき、運転者の車線変更意図の確度が高いほど、警報用調整ゲインαWL,αWR及び制御用調整ゲインαCL,αCRは大きい値となる。
【0072】
したがって、この場合には、前方注視時間Ttが予め設定した基準値(ステップS60で設定した前方注視時間Tt)より大きくなる(ステップS65)。そして、この補正後の前方注視時間Ttに基づいて、自車両予測位置ΔXbを算出する(ステップS70)。前方注視時間Ttを増加補正しているため、前方注視点は自車両の現在位置から遠ざかる。そのため、この場合には警報及び制御が開始し易くなる。
【0073】
ところで、本実施形態のように前方注視時間の補正を行わない場合、運転者の障害物側への車線変更意図の有無にかかわらず、前方注視時間Ttは固定値となる。すなわち、制御開始タイミングは車線変更意図の有無にかかわらず同一である。しかしながら、運転者に障害物側への車線変更意図がある場合と、脇見等により自車両が障害物側へ移動した場合とで、制御開始タイミングを同じにすると、運転者に違和感を与えるおそれがある。具体的には、障害物側の隣接車線へ車線変更を行うべく運転者が意図的に障害物へ接近した場合には、運転者は車線変更を開始してから制御が開始されるまでの時間を認識しているため、車線変更の意図がなく障害物へ接近してしまった場合と比較して、制御開始タイミングが遅いと感じ、これが違和感となる可能性がある。
【0074】
これに対して本実施形態では、運転者に障害物側への車線変更の意図があるときには、前方注視時間Ttを基準値に対して大きく設定する。すなわち、運転者に車線変更の意図が無い場合と比較して、制御を開始し易くする。
このように、制御開始タイミングを早めることで、運転者への違和感を低減することができる。
また、運転者の車線変更意図の確度が高いほど、制御開始タイミングを早める量を大きくするので、より運転者に違和感を与えることなく支援制御の開始判定を行うことができる。
なお、図1において、レーダー装置24L/Rが側方障害物検出手段を構成している。また、図3のステップS35が車線変更意図検出手段を構成し、ステップS70が将来位置予測手段を構成し、ステップS65及びS100が開始タイミング変更手段を構成し、ステップS90、S110及びS120が障害物回避制御手段を構成する。
【0075】
(効果)
(1)側方障害物検出手段は、自車両の側方に存在する障害物を検出する。将来位置予測手段は、予め設定した所定時間後の自車両の将来位置を予測する。障害物回避制御手段は、側方障害物検出手段で障害物を検出している状態で、将来位置予測手段で予測した自車両の将来位置に基づいて、自車両が障害物の進路へ侵入する可能性が有ると判定すると、制御開始タイミングと判定して、側方障害物検出手段で検出した障害物への接近を防止する障害物回避制御を開始する。車線変更意図検出手段は、運転者の車線変更の意図を検出する。
【0076】
開始タイミング変更手段は、意図検出手段で運転者の障害物の進路へ侵入する意図を検出した場合、障害物回避制御の制御開始タイミングを早める。
このように、運転者の障害物の進路へ侵入する意図を検出した場合、障害物への接近を防止するための制御の制御開始タイミングを早くする。そのため、意図的に障害物へ接近した場合に、制御開始タイミングが遅いと感じるのを抑制することができる。
したがって、運転者への違和感のある制御開始を抑制しつつ、適切に障害物への接近を防止することができる。
【0077】
(2)障害物回避制御手段は、将来位置予測手段で予測した自車両の将来位置が、予め設定した所定の車線幅方向横位置に達すると、自車両が障害物の進路へ侵入する可能性が有ると判定する。これにより、適切に障害物への接近を防止するべく障害物回避制御を開始することができる。
(3)開始タイミング変更手段は、将来位置予測手段が自車両の将来位置を予測する際の前記所定時間を長くすることで、制御開始タイミングを早める。
これにより、比較的簡易に制御開始のタイミングを早くすることができる。
【0078】
(4)意図検出手段は、自車両の運転者の障害物が存在する側の隣接車線への車線変更の意図を検出した場合に、障害物の進路へ侵入する意図を検出する。したがって、障害物が走行している車線を障害物の進路とした場合に、障害物の進路へ侵入する意図を適切に検出することができる。
(5)車両運動制御は、自車両に対して前記障害物への接近を防止するようにヨーレートを付与する制御である。したがって、適切に障害物への接近を防止する障害物回避制御を行うことができる。
【0079】
(6)意図検出手段は運転者の障害物の進路へ侵入する意図を検出した場合に、運転者の障害物の進路へ侵入する意図の確度を判定する。開始タイミング変更手段は、前記意図検出手段で判定した障害物の進路へ侵入する意図の確度が高いほど、制御開始タイミングを早くする。
これにより、より確実に運転者の違和感を低減することができる。
(7)意図検出手段は、方向指示スイッチが検出する方向指示操作に基づいて、運転者の障害物の進路へ侵入する意図を検出する。
これにより、確実に運転者の車線変更の意図(運転者の障害物の進路へ侵入する意図)を検出することができる。
【0080】
(8)自車両側方の障害物を検出すると、予め設定した所定時間後の自車両の将来位置を予測し、その予測した自車両の将来位置に基づいて、自車両が前記障害物の進路へ侵入する可能性が有るか否かを判定し、自車両が障害物の進路へ侵入する可能性が有ると判定すると、制御開始タイミングと判定して前記障害物への接近を防止する障害物回避制御を開始する。その際、運転者の前記障害物の進路へ侵入する意図を検出した場合には、障害物回避制御の制御開始タイミングを早める。
したがって、運転者への違和感のある制御開始を抑制しつつ、適切に障害物への接近を防止することができる。
【0081】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、前述した第1の実施形態において、前方注視時間Ttを調整することで制御開始タイミングを変更しているのに対し、自車両予測位置ΔXbを調整することで制御開始タイミングを変更するようにしたものである。
(構成)
第2の実施形態の基本構成は、前述した第1の実施形態と同様である。
図9は、第2の実施形態における制駆動力コントロールユニット8で実行する回避制御処理手順を示すフローチャートである。
【0082】
この回避制御処理は、図3に示す回避制御処理において、ステップS65の処理を削除し、ステップS70及びステップS100の処理が異なることを除いては、図3の回避制御処理と同様の処理を行う。したがって、ここでは処理の異なる部分を中心に説明する。
ステップS70では、制駆動力コントロールユニット8は、自車両予測位置ΔXbを算出する。
ここでは、自車両予測位置ΔXbの算出処理を、前記ステップS35で設定した車線変更意図検出フラグFchangeに応じて区分する。
【0083】
[車線変更意図検出フラグFchange=OFFの場合]
車線変更意図検出フラグFchangeに基づき、運転者の障害物SM側の隣接車線への車線変更の意図を検出しないと判定した場合には、前述した第1の実施形態と同様に、自車両予測位置ΔXbを算出し、ステップS80に移行する。つまり、上記(7)式、(10)式および(12)式の何れかを用いて自車両予測位置ΔXbを算出する。
【0084】
[車線変更意図検出フラグFchange=ONの場合]
車線変更意図検出フラグFchangeに基づき、運転者の障害物SM側の隣接車線への車線変更の意図を検出したと判定した場合には、以下に示す方法により、警報用調整ゲインαWL1〜αWL3,αWR1〜αWR3、及び制御用調整ゲインαCL1〜αCL3,αCR1〜αCR3を設定する。
【0085】
ここで、各調整ゲインは、前述した第1の実施形態と同様に、1より大きい値であり、運転者の障害物側への車線変更意図の確度が高いほど大きい値となるように設定する。
そして、制御用調整ゲインαCL1〜αCL3,αCR1〜αCR3を掛けた設定ゲインK1,K2,K3を用いて、上記(7)式(10)式および(12)式の何れかをもとに、左用の自車両予測位置ΔXbLと右用の自車両予測位置ΔXbRとを算出する。
すなわち、ΔXbLの算出には、下記式で求めた設定ゲインK1〜K3を用いる。
K1=K1・αCL1,
K2=K2・αCL2,
K3=K3・αCL3 ………(24)
【0086】
また、ΔXbRの算出には、下記式で求めた設定ゲインK1〜K3を用いる。
K1=K1・αCR1,
K2=K2・αCR2,
K3=K3・αCR3 ………(25)
ステップS100では、制駆動力コントロールユニット8は、警報発生の処理を行う。
先ず、前記ステップS90での検出に用いている前方注視時間Ttよりも長くなるように所定のゲインKbuzz(>1)を掛ける。
【0087】
そして、(Tt・Kbuzz)と警報用調整ゲインαWL1〜αWL3,αWR1〜αWR3を掛けた設定ゲインK1,K2,K3とを用いて、上記(7)式をもとに、左用の自車両予測位置ΔXbLと右用の自車両予測位置ΔXbRとを算出する。
すなわち、ΔXbLの算出には、下記式で求めた設定ゲインK1〜K3を用いる。
K1=K1・αWL1,
K2=K2・αWL2,
K3=K3・αWL3 ………(26)
【0088】
また、ΔXbRの算出には、下記式で求めた設定ゲインK1〜K3を用いる。
K1=K1・αWR1,
K2=K2・αWR2,
K3=K3・αWR3 ………(27)
このようにして算出した前方注視点が、前記ステップS90での制御開始の位置に到達したと判断すると警報を発生する。
【0089】
(動作)
次に、第2の実施形態の動作について説明する。
今、運転者に障害物SM側の隣接車線への車線変更の意図があるものとする。この場合には、警報用調整ゲイン及び制御用調整ゲインが1より大きい値となる。そして、この調整ゲインを用いて自車両予測位置ΔXbを算出する(ステップS70,S100)。このとき、前方注視点は、運転者に車線変更の意図がない場合と比較して、障害物側へ変更される。したがって、警報及び制御開始タイミングを早くして、運転者への違和感を低減することができる。
なお、図9のステップS70及びS100が開始タイミング変更手段を構成している。
(効果)
(9)開始タイミング変更手段は、将来位置予測手段で予測した自車両の将来位置を、車線幅方向で障害物側に補正することで、制御開始タイミングを早める。
これにより、比較的簡易に制御開始タイミングを早めることができる。
【0090】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
この第3の実施形態は、前述した第1及び第2の実施形態において、前方注視時間Ttや自車両予測位置ΔXbを調整することで制御開始タイミングを変更しているのに対し、制御判定閾値を調整することで制御開始タイミングを変更するようにしたものである。
(構成)
第3の実施形態の基本構成は、前述した第1及び第2の実施形態と同様である。
第3の実施形態における制駆動力コントロールユニット8では、図9に示す回避制御処理を実行する。
【0091】
この回避制御処理は、前述した第2の実施形態における制駆動力コントロールユニット8で実行する回避制御処理において、ステップS80及びステップS100の処理が異なることを除いては、第2の実施形態における回避制御処理と同様の処理を行う。したがって、ここでは処理の異なる部分を中心に説明する。
ステップS80では、制駆動力コントロールユニット8は、制御開始のための判定閾値を設定する。
ここでは、判定閾値である自車両MMと障害物SMとの横方向相対距離ΔOの設定処理を、前記ステップS35で設定した車線変更意図検出フラグFchangeに応じて区分する。
【0092】
[車線変更意図検出フラグFchange=OFFの場合]
車線変更意図検出フラグFchangeに基づき、運転者の障害物SM側の隣接車線への車線変更の意図を検出しないと判定した場合には、前述した第1の実施形態と同様に、距離ΔOを設定し、ステップS90に移行する。つまり、距離ΔOは、レーダー装置24L/Rの検出値となる。
[車線変更意図検出フラグFchange=ONの場合]
車線変更意図検出フラグFchangeに基づき、運転者の障害物SM側の隣接車線への車線変更の意図を検出したと判定した場合には、以下に示す方法により、警報用調整ゲインαWL,αWR及び制御用調整ゲインαCL,αCRを設定する。
【0093】
ここで、各調整ゲインは、前述した第1及び第2の実施形態とは異なり、1より小さい値である。そして、各調整ゲインは、運転者の障害物側への車線変更意図の確度が高いほど小さい値となるように設定する。
そして、制御用調整ゲインαCL,αCRを用いて距離ΔOを調整し、ステップS90に移行する。ここでは、左用の判定閾値である距離ΔOLと、右用の判定閾値である距離ΔORとを、下記式により算出する。
ΔOL ← ΔOL・αCL,
ΔOR ← ΔOR・αCR ………(28)
【0094】
ステップS100では、制駆動力コントロールユニット8は、警報発生の処理を行う。
先ず、前記ステップS90での検出に用いている前方注視時間Ttよりも長くなるように所定のゲインKbuzz(>1)を掛ける。
そして、(Tt・Kbuzz)を用いて、左用の自車両予測位置ΔXbLと右用の自車両予測位置ΔXbRとを算出する。このようにして算出した前方注視点が、下記式によって算出した制御開始の位置に到達したと判断すると警報を発生する。
ΔOL ← ΔOL・αWL,
ΔOR ← ΔOR・αWR ………(29)
【0095】
なお、障害物距離X2obstを判定閾値として設定する場合には、このX2obstに警報用調整ゲインαWL,αWR及び制御用調整ゲインαCL,αCRを掛けて、警報及び制御の開始タイミングを早めることもできる。
また、既定の閾値Xthreshを判定閾値として設定する場合には、このXthreshに警報用調整ゲインαWL,αWR及び制御用調整ゲインαCL,αCRを掛けて、警報及び制御の開始タイミングを早めることもできる。
【0096】
(動作)
次に、第3の実施形態の動作について説明する。
今、運転者に障害物側の隣接車線への車線変更の意図があるものとする。この場合には、警報用調整ゲイン及び制御用調整ゲインが1より小さい値となる。そして、この調整ゲインを用いて、制御開始のための判定閾値である自車両と障害物との横方向相対距離ΔOを算出する(ステップS80,S100)。このとき、制御開始のための判定閾値は、運転者に車線変更の意図がない場合と比較して、障害物とは反対側に変更される。したがって、警報及び制御開始のタイミングを早め、運転者への違和感を低減することができる。
なお、図9のステップS80及びS100が開始タイミング変更手段を構成している。
【0097】
(効果)
(10)開始タイミング変更手段は、所定の車線幅方向横位置を車線幅方向で障害物とは反対側に補正することで、制御開始タイミングを早める。
これにより、比較的簡易に制御開始タイミングを早めることができる。
(変形例)
(1)上記各実施形態においては、運転者に障害物側への車線変更意図がある場合に、車両運動制御及び警報発生制御の制御開始タイミングを早くする場合について説明したが、警報発生制御の開始判定のみを早めることもできる。この場合には、αCL=1,αCR=1とし、αWL及びαWRを車線変更意図の確度に応じて設定すればよい。これにより、運転者に障害物側への車線変更意図がある場合には、車線変更意図がない場合と比較して、警報の発生を早めることができるので、運転者の違和感を低減することができる。
車両運動制御及び警報発生制御の両方の開始タイミングを早くすると、車両運動制御が早めに開始されるため、例えば車線変更を途中でやめた場合であっても車両運動制御が介入することにより運転者が違和感を覚える可能性があるが、警報の発生のみを早めることで、このような違和感を低減することができる。
【0098】
(2)上記各実施形態においては、運転者に障害物側への車線変更意図がある場合に、車線変更意図がない場合と比較して、警報発生制御を作動してから車両運動制御を作動するまでの時間を短くすることもできる。この場合、車両運動制御の制御開始タイミングの早める量(変更量)を、警報発生制御の制御開始タイミングの早める量(変更量)より大きくするように、αWL,αWR及びαCL,αCRを設定すればよい。具体的には、第1及び第2の実施形態においては、αWL及びαWRよりαCL及びαCRを大きく設定し、第3の実施形態においては、αWL及びαWRよりαCL及びαCRを小さく設定すればよい。これにより、車線変更時における運転者の違和感を効果的に低減することができる。
なお、車両運動制御の制御開始の判定のみを早めることで、警報発生制御を作動してから車両運動制御を作動するまでの時間を短くすることもできる。この場合には、αWL=1,αWR=1とし、αCL及びαCRを車線変更意図の確度に応じて設定すればよい。
【0099】
(3)上記各実施形態においては、障害物回避制御を開始すると判断した後、制御開始禁止手段で、所定時間(例えば、200ms程度)、当該制御の作動を禁止することもできる。この場合、先ず、運転者の車線変更意図の確度に応じて、制御禁止時間Tmask_L,Tmask_Rを算出する。
図10は、制御禁止時間Tmask_Lの算出方法を説明するためのブロック図である。
第1制御禁止時間算出部8Bb_L1は、方向指示操作を検出してからの時間tTSIG_Lに基づいて、第1の制御禁止時間算出マップを参照して第1の制御禁止時間Tmask_L1を算出する。
【0100】
ここで、第1の制御禁止時間算出マップは、縦軸に第1の制御禁止時間Tmask_L1、横軸に時間tTSIG_Lをとる。そして、時間tTSIG_Lが所定時間t1まではTmask_L1が最大値となり、所定時間t1を超える領域では、tTSIG_Lが大きいほどTmask_L1が小さくなるように設定する。
第2制御禁止時間算出部8Bb_L2は、舵角操作変化量Δδに基づいて、第2の制御禁止時間算出マップを参照して第2の制御禁止時間Tmask_L2を算出する。
【0101】
ここで、第2の制御禁止時間算出マップは、縦軸に第2の制御禁止時間Tmask_L2、横軸に舵角操作変化量Δδをとる。そして、左方向の舵角操作変化量Δδが所定量Δδ1まではTmask_L1が最大値となり、所定量Δδ1より小さい領域では、Δδが小さいほど(|Δδ|が大きいほど)Tmask_L2が小さくなるように設定する。また、右方向の舵角変化が生じている場合(Δδ>0)は、Tmask_L2を最大値とする。
【0102】
第3制御禁止時間算出部8Bb_L3は、ヨーレート変化量Δφ’に基づいて、第3の制御禁止時間算出マップを参照して第3の制御禁止時間Tmask_L3を算出する。
ここで、第3の制御禁止時間算出マップは、縦軸に第3の制御禁止時間Tmask_L3、横軸にヨーレート変化量Δφ’をとる。そして、左方向のヨーレート変化量Δφ’が所定量Δφ’1まではTmask_L3が最大値となり、所定量Δφ’1より小さい領域では、Δφ’が小さいほど(|Δφ’|が大きいほど)Tmask_L3が小さくなるように設定する。また、右方向のヨーレート変化が生じている場合(Δφ’>0)は、Tmask_L3を最大値とする。
【0103】
第4制御禁止時間算出部8Bb_L4は、運転者の視線方向が上記車線変更判定角度を下回ってからの時間tANGLE_Lに基づいて、第4の制御禁止時間算出マップを参照して第4の制御禁止時間Tmask_L4を算出する。
ここで、第4の制御禁止時間算出マップは、縦軸に第4の制御禁止時間Tmask_L4、横軸に時間tANGLE_Lをとる。そして、時間tANGLE_Lが所定時間t2まではTmask_L4が最大値となり、所定時間t2を超える領域では、tANGLE_Lが大きいほどTmask_L4が小さくなるように設定する。
なお、第1〜第4の制御禁止時間Tmask_L1〜Tmask_L4には、それぞれ下限値を設ける。
【0104】
制御禁止時間出力部8Bb_L5は、第1〜第4の制御禁止時間Tmask_L1〜Tmask_L4を入力し、制御禁止時間Tmask_Lを出力する。ここでは、第1〜第4の制御禁止時間Tmask_L1〜Tmask_L4をそれぞれ積算することで、制御禁止時間Tmask_Lを算出する。
また、同様に、制御禁止時間Tmask_Rは、時間tTSIG_Rが大きいほど、右方向の舵角操作変化量Δδが大きいほど、右方向のヨーレート変化量Δφ’が大きいほど、時間tANGLE_Rが大きいほど、小さくなるように設定する。
このように、運転者による車線変更意図の確度が大きいほど、制御禁止時間Tmask_L,Tmask_Rを短く算出する。
【0105】
そして、図3及び図9のステップS90で車両運動制御を開始すると判断した後、制御禁止時間Tmask_L又はTmask_Rの期間、制御開始を禁止する。また、図3及び図9のステップS100で警報発生制御を開始すると判断した後、制御禁止時間Tmask_L又はTmask_Rの期間、制御開始を禁止する。
これにより、運転者に違和感を与えるような警報及び制御の早期作動を抑制することができる。
【0106】
(4)上記各実施形態においては、図5のステップS3502で、運転者の操舵入力に基づいて運転者の車線変更の意図(運転者の障害物の進路へ侵入する意図)を検出することもできる。この場合、先ず、操舵角検出手段(操舵角センサ19)で検出した操舵角δに基づいて、舵角操作変化量Δδ(=δ−δ0)を算出する。そして、この舵角操作変化量Δδが所定量Δδ1より大きいとき、運転者に車線変更の意図があると判断する。これにより、方向指示器による方向指示操作がない場合であっても、運転者の車線変更の意図を検出することができる。
【0107】
(5)上記各実施形態においては、図5のステップS3502で、車両に発生するヨーレートに基づいて運転者の車線変更の意図(運転者の障害物の進路へ侵入する意図)を検出することもできる。この場合、先ず、ヨーレート検出手段(ヨーレートセンサ等)で検出したヨーレートφ’に基づいて、ヨーレート変化量Δφ’(=φ’−φ’0)を算出する。そして、このヨーレート変化量Δφ’が所定量Δφ’1より大きいとき、運転者に車線変更の意図があると判断する。これにより、方向指示器による方向指示操作がない場合であっても、運転者の車線変更の意図を検出することができる。
【0108】
(6)上記各実施形態においては、図5のステップS3502で、運転者の視線方向に基づいて運転者の車線変更の意図(運転者の障害物の進路へ侵入する意図)を検出することもできる。この場合、先ず、視線方向検出手段(撮像装置50)で運転者の視線及び顔の方向を角度で検出する。そして、運転者の視線方向が所定の車線変更判定角度(<0:左方向)を下回ってからの時間tANGLE_L、又は運転者の視線方向が所定の車線変更判定角度(>0:右方向)を上回ってからの時間tANGLE_Rが所定時間t2を超えたとき、運転者に車線変更の意図があると判断する。これにより、方向指示器による方向指示操作がない場合であっても、運転者の車線変更の意図を検出することができる。
【0109】
(7)上記各実施形態においては、障害物回避制御として、車両運動制御及び警報発生制御を行う場合について説明したが、何れか一方のみの制御を実施する形態にも適用可能である。
(8)上記各実施形態においては、制御開始判定手段8Bは自車両の将来位置(将来の横位置)が予め設定された所定の制御開始位置(車線幅方向横位置)に到達、若しくは制御開始位置よりも障害物側に位置することを検出したことで、障害物回避制御の制御開始を判定している。すなわち、障害物が走行している車線を障害物の進路として定義し、自車両の将来位置が予め設定された所定の制御開始位置に到達、若しくは制御開始位置よりも障害物側に位置することを検出した場合に、自車両が障害物の進路に侵入する可能性が有ると判定して、障害物回避制御の制御開始を判定しているものである。したがって、制御開始判定手段8Bは、自車両が障害物の進路へ侵入する可能性が有るか否かを判定し、自車両が障害物の進路へ侵入する可能性が有ると判定した場合に障害物回避制御の制御開始を判定するものであり、自車両が障害物の進路へ侵入する可能性が有ると判定するための方法は上記に限定されない。
【0110】
例えば、図11に示すような制御開始判定を行うことができる。先ず、障害物SMの位置や幅方向の大きさを検出し、検出した障害物SMの位置変化に基づいて障害物SMの移動方向を推定すると共に、推定した障害物SMの移動方向や幅方向の大きさ等から障害物SMの進路を推定する。そして、自車両MMの将来位置(前方注視点)と推定した障害物SMの進路との距離Xaが予め定められた所定距離以下となった場合に、自車両MMが障害物SMの進路へ侵入する可能性が有ると判定する。
このように、自車両が障害物の進路へ侵入する可能性が有ると判定するための方法は、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 ブレーキペダル
3 マスタシリンダ
6FL〜6RR ホイールシリンダ
7 制動流体圧制御部
8 制駆動力コントロールユニット(障害物回避制御手段)
8A 将来位置予測手段
8B 制御開始判定手段
8Ba 開始タイミング調整手段(開始タイミング変更手段)
8Bb 車線変更意図検出手段(意図検出手段)
13 撮像部
21 ステアリングホイール
24L/R レーダー装置
30 流体圧回路
50 撮像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の側方に存在する障害物を検出する側方障害物検出手段と、
予め設定した所定時間後の自車両の将来位置を予測する将来位置予測手段と、
前記側方障害物検出手段で障害物を検出している状態で、前記将来位置予測手段で予測した自車両の将来位置に基づいて、自車両が前記障害物の進路へ侵入する可能性が有るか否かを判定し、自車両が前記障害物の進路へ侵入する可能性が有ると判定すると、制御開始タイミングと判定し、前記側方障害物検出手段で検出した障害物への接近を防止する障害物回避制御を開始する障害物回避制御手段と、
運転者の前記障害物の進路へ侵入する意図を検出する意図検出手段と、を備え、
前記障害物回避制御手段は、
前記意図検出手段で運転者の前記障害物の進路へ侵入する意図を検出すると、障害物回避制御の制御開始タイミングを早める開始タイミング変更手段を備えることを特徴とする車両運転支援装置。
【請求項2】
前記障害物回避制御手段は、
前記将来位置予測手段で予測した自車両の将来位置が、前記障害物の進路から予め定められた所定の距離以下となったとき、自車両が前記障害物の進路へ侵入する可能性が有ると判定することを特徴とする請求項1に記載の車両運転支援装置。
【請求項3】
前記障害物回避制御手段は、
前記将来位置予測手段で予測した自車両の将来位置が、予め設定した所定の車線幅方向横位置に達した場合、自車両が前記障害物の進路へ侵入する可能性が有ると判定することを特徴とする請求項1に記載の車両運転支援装置。
【請求項4】
前記開始タイミング変更手段は、前記将来位置予測手段が自車両の将来位置を予測する際の前記所定時間を長くすることで、制御開始タイミングを早めることを特徴とする請求項2又は3に記載の車両運転支援装置。
【請求項5】
前記開始タイミング変更手段は、前記将来位置予測手段で予測した自車両の将来位置を、車線幅方向で前記障害物側に補正することで、制御開始タイミングを早めることを特徴とする請求項2又は3に記載の車両運転支援装置。
【請求項6】
前記開始タイミング変更手段は、前記所定の車線幅方向横位置を車線幅方向で前記障害物とは反対側に補正することで、制御開始タイミングを早めることを特徴とする請求項3に記載の車両運転支援装置。
【請求項7】
前記意図検出手段は、自車両の運転者の前記障害物が存在する側の隣接車線への車線変更の意図を検出した場合に、前記障害物の進路へ侵入する意図を検出することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の車両運転支援装置。
【請求項8】
前記障害物回避制御手段は、前記障害物回避制御として、前記障害物への接近を防止するように自車両を制御する車両運動制御と、当該車両運動制御に先立って運転者に対して警報を発する警報発生制御とを行うものであって、
前記開始タイミング変更手段は、前記警報発生制御の制御開始タイミングのみを早めることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の車両運転支援装置。
【請求項9】
前記障害物回避制御手段は、前記障害物回避制御として、前記障害物への接近を防止するように自車両を制御する車両運動制御と、当該車両運動制御に先立って運転者に対して警報を発する警報発生制御とを行うものであって、
前記開始タイミング変更手段は、少なくとも前記車両運動制御の制御開始タイミングを早めることで、前記警報発生制御を開始と判定してから前記車両運動制御を開始と判定するまでの時間を短くすることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の車両運転支援装置。
【請求項10】
前記車両運動制御は、自車両に対して前記障害物への接近を防止するようにヨーレートを付与する制御であることを特徴とする請求項8又は9に記載の車両運転支援装置。
【請求項11】
前記意図検出手段は運転者の前記障害物の進路へ侵入する意図を検出した場合に、運転者の前記障害物の進路へ侵入する意図の確度を判定し、
前記開始タイミング変更手段は、前記意図検出手段で判定した前記障害物の進路へ侵入する意図の確度が高いほど、前記制御開始タイミングを早くすることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の車両運転支援装置。
【請求項12】
前記障害物回避制御手段は、制御開始と判定した後、予め定められた所定の時間である制御禁止時間が経過するまでの間、前記障害物回避制御の開始を禁止する制御開始禁止手段を備えることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の車両運転支援装置。
【請求項13】
前記制御禁止時間は、運転者の前記障害物の進路へ侵入する意図の確度が高いほど短く設定することを特徴とする請求項12に記載の車両運転支援装置。
【請求項14】
前記意図検出手段は、方向指示スイッチが検出する方向指示操作に基づいて、運転者の前記障害物の進路へ侵入する意図を検出することを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の車両運転支援装置。
【請求項15】
操舵角を検出する操舵角検出手段を備え、
前記意図検出手段は、前記操舵角検出手段で検出した操舵角に基づいて、運転者の前記障害物の進路へ侵入する意図を検出することを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の車両運転支援装置。
【請求項16】
自車両に発生するヨーレートを検出するヨーレート検出手段を備え、
前記意図検出手段は、前記ヨーレート検出手段で検出したヨーレートに基づいて、運転者の前記障害物の進路へ侵入する意図を検出することを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の車両運転支援装置。
【請求項17】
運転者の視線方向を検出する視線方向検出手段を備え、
前記意図検出手段は、前記視線方向検出手段で検出した視線方向に基づいて、運転者の前記障害物の進路へ侵入する意図を検出することを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の車両運転支援装置。
【請求項18】
自車両側方の障害物を検出すると、予め設定した所定時間後の自車両の将来位置を予測し、その予測した自車両の将来位置に基づいて、自車両が前記障害物の進路へ侵入する可能性が有るか否かを判定し、自車両が前記障害物の進路へ侵入する可能性が有ると判定すると、制御開始タイミングと判定して前記障害物への接近を防止する障害物回避制御を開始する際に、運転者の前記障害物の進路へ侵入する意図を検出した場合には、障害物回避制御の制御開始タイミングを早めることを特徴とする車両運転支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−22990(P2011−22990A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57213(P2010−57213)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】