説明

車両

【課題】外気温の変化による車両の駆動力の低下を抑制する。
【解決手段】ECUは、アクセルペダルの踏み込み量APがしきい値AP(0)よりも大きい場合に(S100にてYES)、電力アシスト制御を実行するステップ(S102)と、アクセルペダルの踏み込み量APがしきい値AP(0)以下である場合に(S100にてNO)、電力アシスト制御を実行しないステップ(S104)とを含むプログラムを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搭載位置の異なる複数のバッテリを搭載した電気自動車の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車には、走行継続距離を確保するために大容量のバッテリが搭載される。大容量のバッテリは、体格が大きいため、車両の床下に搭載される場合がある。たとえば、特開平8−133096号公報(特許文献1)には、バッテリが床下に搭載される電気自動車が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−133096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、バッテリが床下に搭載される場合には、外気温の影響を受けやすいため、バッテリ温度が変化しやすくなるという問題がある。外気温の影響を受けた結果、バッテリ温度が高温または低温になる場合には、バッテリの保護もしくはバッテリ特性によりバッテリ出力が低下することによって、車両の駆動力が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、外気温の変化による車両の駆動力の低下を抑制する車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のある局面に係る車両は、車両を走行させるための駆動用モータと、駆動用モータに電力を供給するための第1蓄電装置と、車両の室内に搭載される第2蓄電装置と、第1蓄電装置と第2蓄電装置との間で相互に電力を授受するための電力変換装置とを含む。第1蓄電装置は、第2蓄電装置と異なる位置に搭載される。
【0007】
好ましくは、第1蓄電装置は、車両の室外に設けられる。
さらに好ましくは、車両は、電力変換装置を制御するための制御部をさらに含む。制御部は、第1蓄電装置の第1電力を用いて発生する車両の駆動力の上限値が運転者の要求駆動力よりも低い場合には第1電力に加えて第2蓄電装置の第2電力を駆動用モータに供給するように電力変換装置を制御する。
【0008】
さらに好ましくは、第1蓄電装置の電圧は、第2蓄電装置の電圧よりも高い。
さらに好ましくは、第1蓄電装置は、第2蓄電装置よりも高出力の電池である。第2蓄電装置は、第1蓄電装置よりも高容量の電池である。
【0009】
さらに好ましくは、制御部は、外気温が低いときは、高いときに比べて第2蓄電装置の残容量の上限値を上昇させる。
【0010】
さらに好ましくは、制御部は、外気温が所定温度よりも高くなる場合に第2蓄電装置の残容量の上限値を低下させる。
【0011】
さらに好ましくは、制御部は、第1蓄電装置の残容量がしきい値よりも低い場合に第2電力を用いて第1蓄電装置を充電するように電力変換装置を制御する。
【0012】
さらに好ましくは、制御部は、第2蓄電装置の残容量がしきい値よりも低い場合に第1電力を用いて第2蓄電装置を充電するように電力変換装置を制御する。
【0013】
さらに好ましくは、制御部は、駆動用モータで生じた回生電力が第1蓄電装置で受け入れられない場合に、回生電力を用いて第2蓄電装置を充電するように電力変換装置を制御する。
【0014】
さらに好ましくは、車両には、車両の室内の温度を調整するための温度調整装置が設けられる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によると、第2蓄電装置が車両の室内に搭載されるため、外気温が低い場合においても第2蓄電装置が外気温が低いことにより受ける影響は、車両の室外に搭載される場合と比べて小さい。そのため、第2蓄電装置が高温または低温になることが抑制されるため、第2蓄電装置の出力の低下を抑制することができる。そのため、たとえば、外気温が低いときに第1蓄電装置の出力が低下しても、電力変換装置を経由した第2蓄電装置の電力を用いて駆動用モータに供給される電力を補助することができるため、駆動力の低下を抑制することができる。したがって、外気温の変化による車両の駆動力の低下を抑制する車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態に係る車両の全体ブロック図である。
【図2】第1バッテリと第2バッテリの搭載位置を示す図である。
【図3】本実施の形態に係る車両に搭載されたECUの電力アシスト制御に関する機能ブロック図である。
【図4】本実施の形態に係る車両に搭載されたECUで実行される、電力アシスト制御に関するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図5】外気温と第2バッテリのSOCの上限値との関係を示す図である。
【図6】本実施の形態に係る車両に搭載されたECUで実行される、第2バッテリの充電制御に関するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図7】本実施の形態に係る車両に搭載されたECUで実行される、第1バッテリの充電制御に関するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図8】本実施の形態に係る車両に搭載されたECUで実行される、回生電力を用いた充電制御に関するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態は、説明される。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返されない。
【0018】
図1を参照して、本実施の形態に係る車両1の全体ブロック図が説明される。車両1は、車輪2と、トランスミッション10と、車輪速センサ22と、インバータ24と、平滑コンデンサ25と、第1バッテリ26と、コンバータ28と、第2バッテリ30と、A/Cコンプレッサ32と、DC/DCコンバータ34と、補機バッテリ36と、アクセルペダルポジションセンサ164と、アクセルペダル166と、外気温センサ168と、ECU(Electronic Control Unit)200とを含む。
【0019】
トランスミッション10は、レゾルバ12と、モータジェネレータ(以下、MGと記載する)14と、駆動軸16と、減速機8とを含む。この車両1は、MG14から出力される駆動力によって走行する。MG14は、たとえば、三相交流回転電機である。MG14は、インバータ24によって駆動される。
【0020】
MG14は、第1バッテリ26および/または第2バッテリ30に蓄えられた電力を用いて車輪2に駆動力を与える駆動用モータとしての機能を有する。また、MG14は、回生制動によって発電された電力を用いてインバータ24を経由して第1バッテリ26および/または第2バッテリ30を充電するためのジェネレータとしての機能を有する。
【0021】
レゾルバ12は、MG14の回転速度Nmを検出する。レゾルバ12は、検出された回転速度Nmを示す信号をECU200に送信する。
【0022】
減速機8は、MG14からの動力を車輪2に伝達する。また、減速機8は、車輪2が受けた路面からの反力をMG14に伝達する。
【0023】
車輪速センサ22は、車輪2の回転速度Nwを検出する。車輪速センサ22は、検出された回転速度Nwを示す信号をECU200に送信する。ECU200は、受信した回転速度Nwに基づいて車速Vを算出する。なお、ECU200は、回転速度Nwに代えてMG14の回転速度Nmに基づいて車速Vを算出するようにしてもよい。
【0024】
電源ラインPL2と接地ラインSL2との間にコンバータ28と、第1バッテリ26と、インバータ24と、平滑コンデンサ25とが並列に接続される。電源ラインPL1と接地ラインSL2との間にコンバータ28と、第2バッテリ30と、A/Cコンプレッサ32と、DC/DCコンバータ34とが並列に接続される。
【0025】
第1バッテリ26および第2バッテリ30は、いずれも蓄電装置であり、再充電可能な直流電源である。第1バッテリ26および第2バッテリ30としては、たとえば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池が用いられる。なお、第1バッテリ26と第2バッテリ30とは異なる種類の蓄電装置であってもよいし、同一種類の蓄電装置であってもよい。本実施の形態において、第1バッテリ26の電圧は、第2バッテリ30の電圧よりも高い。
【0026】
第1バッテリ26および第2バッテリ30は、上述したようにMG14により発電された電力(回生電力)を用いて充電される他、外部電源(図示せず)から供給される電力を用いて充電されてもよい。なお、第1バッテリ26または第2バッテリ30は、特に二次電池に限定されるものではなく、直流電圧を生成できるもの、たとえば、キャパシタ、太陽電池、燃料電池等であってもよい。
【0027】
第1バッテリ26には、第1バッテリ26の電池温度TB1を検出するための電池温度センサ156と、第1バッテリ26の電圧VB1を検出するための電圧センサ158と、第1バッテリ26の電流IB1を検出するための電流センサ160とが設けられる。
【0028】
電池温度センサ156は、電池温度TB1を示す信号をECU200に送信する。電圧センサ158は、電圧VB1を示す信号をECU200に送信する。電流センサ160は、電流IB1を示す信号をECU200に送信する。
【0029】
第2バッテリ30には、第2バッテリ30の電池温度TB2を検出するための電池温度センサ170と、第2バッテリ30の電圧VB2を検出するための電圧センサ172と、第2バッテリ30の電流IB2を検出するための電流センサ174とが設けられる。
【0030】
電池温度センサ170は、電池温度TB2を示す信号をECU200に送信する。電圧センサ172は、電圧VB2を示す信号をECU200に送信する。電流センサ174は、電流IB2を示す信号をECU200に送信する。
【0031】
図2に示すように、本実施の形態において、第1バッテリ26は、車両1の室外に設けられる。具体的には、第1バッテリ26は、車両1の前部座席51および後部座席52が設けられる床の下側に設けられる。なお、第1バッテリ26は、第2バッテリ30と異なる位置に設けられればよく、たとえば、乗員が着座する空間である車室56内あるいは荷室54内に設けられてもよい。
【0032】
また、本実施の形態において、第2バッテリ30は、車両1の室内に設けられる。具体的には、第2バッテリ30は、後部座席52よりも後方の荷室54内に設けられる。第2バッテリ30は、後部座席52よりも前方の車室56内に設けられてもよい。なお、図2に示すように、本実施の形態に係る車両1においては、車室56と荷室54とは連通しているものとする。
【0033】
また、車両1の室内には、温度調整装置58が設けられる。温度調整装置58は、車室56内の空気の温度を調整するための空調装置であってもよいし、あるいは、車室56内の空気を用いて第2バッテリ30を冷却するための冷却装置であってもよいし、冷却水、断熱構造あるいはヒータを用いて第2バッテリ30の温度を調整するものであってもよい。温度調整装置58は、車室56内に設けられてもよいし、あるいは、荷室54内に設けられてもよい。
【0034】
本実施の形態において第1バッテリ26の電力は、MG14への電力供給と、後述する第2バッテリ30の充電制御とに用いられる。また、第2バッテリ30の電力は、第1バッテリ26の充電制御と、後述する電力アシスト制御と、補機バッテリ36の充電制御と、A/Cコンプレッサ32への電力供給と、後述する第1バッテリ26の充電制御とに用いられる。
【0035】
図1に戻って、インバータ24は、第1バッテリ26および/または第2バッテリ30に蓄えられた直流電力をMG14を駆動するための交流電力に変換する。インバータ24は、ECU200からの制御信号S1に基づいて制御される。なお、第1バッテリ26の電圧を昇圧してインバータ24に供給したり、インバータ24の電圧を降圧して第1バッテリ26に供給したりするためのコンバータがさらに設けられてもよい。
【0036】
コンバータ28は、一方端が電源ラインPL1に接続されるリアクトルL1と、電源ラインPL2と接地ラインSL2との間に直列に接続されるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子Q1,Q2と、IGBT素子Q1,Q2にそれぞれ並列に接続されるダイオードD1,D2とを含む電力変換装置である。
【0037】
リアクトルL1の他方端はIGBT素子Q1のエミッタおよびIGBT素子Q2のコレクタに接続される。ダイオードD1のカソードはIGBT素子Q1のコレクタと接続され、ダイオードD1のアノードはIGBT素子Q1のエミッタと接続される。ダイオードD2のカソードはIGBT素子Q2のコレクタと接続され、ダイオードD2のアノードはIGBT素子Q2のエミッタと接続される。コンバータ28は、ECU200からの制御信号S2に基づいて制御される。
【0038】
A/Cコンプレッサ32は、第2バッテリ30からの電力によって作動する。A/Cコンプレッサ32は、ECU200からの制御信号S3に基づいて制御される。A/Cコンプレッサ32の作動によって空調装置を用いた車両1の室内の冷房が行なわれる。なお、空調装置には、ヒータ機能を有しており、車両1の室内の暖房も行なうことができる。
【0039】
DC/DCコンバータ34は、第2バッテリ30の電力を用いて補機バッテリ36に電力を供給することによって補機バッテリ36を充電する。DC/DCコンバータ34は、ECU200からの制御信号S4に基づいて制御される。
【0040】
運転席には、アクセルペダル166が設けられる。アクセルペダル166には、アクセルペダルポジションセンサ164が設けられる。アクセルペダルポジションセンサ164は、アクセルペダル166の踏み込み量APを検出する。アクセルペダルポジションセンサ164は、検出されたアクセルペダル166の踏み込み量APを示す信号をECU200に送信する。
【0041】
外気温センサ168は、車両1の外部の空気の温度(以下、外気温と記載する)Toを検出する。外気温センサ168は、検出された外気温Toを示す信号をECU200に送信する。
【0042】
ECU200は、運転者のアクセルペダル166の踏み込み量APに対応する要求駆動力Frを算出する。ECU200は、算出された要求駆動力Frに応じて、MG14のトルク指令値Tmcを生成する。ECU200は、生成されたMG14のトルク指令値Tmcに基づいて制御信号S1を生成して、インバータ24に送信する。
【0043】
ECU200は、車両1が減速状態である場合には、MG14を発電機として機能させる回生制御を実行する。ECU200は、たとえば、車速Vがしきい値以上となる状態で車両1が走行している場合において、アクセルペダル166の踏込みが解除されたときに回生制御を実行する。あるいは、ECU200は、車両1の走行中においてブレーキペダル(図示せず)が踏み込まれている場合に回生制御を実行する。
【0044】
<電力アシスト制御について>
以上のような構成を有する車両1において、本実施の形態に係る車両1に搭載されたECU200が、第1バッテリ26の第1電力を用いて発生する車両1の駆動力の上限値が運転者の要求駆動力Frよりも低い場合には、第1電力に加えて第2バッテリ30の第2電力をMG14に供給するようにコンバータ28を制御する点を特徴とする。以下の説明において、第1バッテリ26の第1電力に加えて第2バッテリ30の第2電力をMG14に供給するようにコンバータ28の制御を電力アシスト制御という。
【0045】
図3に、本実施の形態に係る車両1に搭載されたECU200の電力アシスト制御に関連する機能ブロック図を示す。ECU200は、要求駆動力判定部202と、アシスト制御部204とを含む。
【0046】
要求駆動力判定部202は、第1バッテリ26の第1電力を用いて発生する車両1の駆動力の上限値F_hが要求駆動力Frよりも低いか否かを判定する。要求駆動力判定部202は、たとえば、アクセルペダル166の踏み込み量APがしきい値AP(0)よりも大きい場合に、第1バッテリ26の第1電力を用いて発生する車両1の駆動力の上限値F_hが要求駆動力Frよりも低いと判定する。
【0047】
しきい値AP(0)は、第1バッテリ26の第1電力を用いて発生する車両1の駆動力の上限値F_hに対応するアクセルペダル166の踏み込み量APである。しきい値AP(0)は、たとえば、第1バッテリ26に加えて第2バッテリ30を併用した方が第1バッテリ26にかかる負荷を低減できる等の車両1のシステムを運用する上で優位性があるという観点で設定される値であって、実験等に基づいて適合される値であってもよい。
【0048】
要求駆動力判定部202は、たとえば、電圧センサ158によって検出される第1バッテリ26の電圧VB1、あるいは、第1バッテリ26のSOCに基づいてしきい値AP(0)を決定してもよい。
【0049】
本実施の形態において要求駆動力判定部202は、アクセルペダル166の踏み込み量APに基づいて第1バッテリ26を用いた車両1の駆動力の上限値F_hが要求駆動力Frよりも低いか否かを判定したが、たとえば、車両1の駆動力の上限値F_hと要求駆動力Frとを直接比較することによって判定してもよいし、あるいは、車両1の駆動力の上限値F_hに対応する上限パワーと要求駆動力Frに対応する要求パワーとを比較することによって判定してもよい。
【0050】
なお、要求駆動力判定部202は、たとえば、第1バッテリ26の第1電力を用いて発生する車両1の駆動力の上限値F_hが要求駆動力Frよりも低いと判定した場合に、駆動力判定フラグをオン状態にしてもよい。
【0051】
アシスト制御部204は、要求駆動力判定部202によって第1バッテリ26の第1電力を用いて発生する車両1の駆動力の上限値F_hが要求駆動力Frよりも低いと判定された場合に、電力アシスト制御を実行する。すなわち、アシスト制御部204は、第2バッテリ30の電圧VB2を昇圧して第2バッテリ30の電力がインバータ24に供給されるようにコンバータ28を制御する。
【0052】
アシスト制御部204は、たとえば、第2バッテリ30が分担する電力から目標電流を算出する。アシスト制御部204は、第2バッテリ30とコンバータ28の昇圧用リアクトルL1との間の電流が目標電流に一致するようにコンバータ28をフィードバック制御することによって、第2バッテリ30の電圧VB2を昇圧させる。なお、第2バッテリ30が分担する電力は、第1バッテリ26の第1電力を用いて発生する車両1の駆動力の上限値F_hと要求駆動力Frとの駆動力差分の大きさに対応した電力であってもよいし、あるいは、駆動力差分の大きさに対応した電力に所定電力を加算した電力であってもよいし、所定電力であってもよいものとする。
【0053】
あるいは、アシスト制御部204は、たとえば、第2バッテリ30の電圧VB2を目標電圧VBT(0)まで昇圧されるようにコンバータ28を制御してもよい。目標電圧VBT(0)は、たとえば、所定値であって、第2バッテリ30の電力をインバータ24に供給できる電圧である。
【0054】
さらに、アシスト制御部204は、要求駆動力判定部202によって第1バッテリ26の第1電力を用いて発生する車両1の駆動力の上限値F_hが要求駆動力Fr以上である場合には、電力アシスト制御を実行しない。アシスト制御部204は、電力アシスト制御が実行中である場合には電力アシスト制御を終了させる。この場合、アシスト制御部204は、IGBT素子Q1,Q2をいずれもオフ状態にする。
【0055】
なお、アシスト制御部204は、たとえば、駆動力判定フラグがオン状態である場合に、電力アシスト制御を実行してもよい。
【0056】
本実施の形態において、要求駆動力判定部202と、アシスト制御部204とは、いずれもECU200のCPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される、ソフトウェアとして機能するものとして説明するが、ハードウェアにより実現されるようにしてもよい。なお、このようなプログラムは記憶媒体に記録されて車両に搭載される。
【0057】
図4を参照して、本実施の形態に係る車両1に搭載されたECU200で実行される電力アシスト制御のプログラムの制御構造について説明する。
【0058】
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、ECU200は、アクセルペダル166の踏み込み量APがしきい値AP(0)よりも大きいか否かを判定する。アクセルペダル166の踏み込み量APがしきい値AP(0)よりも大きい場合(S100にてYES)、処理はS102に移される。もしそうでない場合には(S100にてNO)、この処理は終了する。
【0059】
S102にて、ECU200は、電力アシスト制御を実行する。電力アシスト制御については上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返されない。S104にて、ECU200は、電力アシスト制御を実行しない。ECU200は、電力アシスト制御が実行中である場合には電力アシスト制御を終了させる。
【0060】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る車両1に搭載されたECU200の電力アシスト制御の動作について説明する。
【0061】
たとえば、外気温Toが低い温度環境下において、車両1の走行中に運転者がアクセルペダル166を踏み込んだ場合を想定する。
【0062】
アクセルペダル166の踏み込み量APがしきい値AP(0)以下である場合には(S100にてNO)、電力アシスト制御は実行されない(S104)。
【0063】
一方、アクセルペダル166の踏み込み量APがしきい値AP(0)よりも大きくなる場合には(S100にてYES)、コンバータ28の昇圧動作によって、第2バッテリ30の電力が第1バッテリ26の電力とともにインバータ24に供給される(S102)。
【0064】
車両1の床下に搭載された第1バッテリ26は、外気温Toが低い温度環境下において出力が低下した状態となる。一方、第2バッテリ30は、外気温Toよりも高い温度環境となる車両1の室内に搭載されるため、第1バッテリ26よりも出力の低下が抑制される。そのため、第2バッテリ30の電力が第1バッテリ26の電力とともにインバータ24に供給されることによって、運転者の要求駆動力Frを満足させることができる。
【0065】
なお、ECU200は、外気温Toが低いときには、高いときと比べて第2バッテリ30の残容量を示すSOC(State Of Charge)の上限値SOC_hを上昇させてもよい。たとえば、ECU200は、図5に示すような外気温Toと上限値SOC_hとの予め定められた関係に基づいて上限値SOC_hを決定してもよい。
【0066】
図5の縦軸は、上限値SOC_hを示し、図5の横軸は、外気温Toを示す。図5に示すように、外気温ToがTo(0)よりも低い場合には、第2バッテリ30のSOCの上限値SOC_hとして所定値SOC_h(0)が決定される。To(0)は、たとえば、ゼロである。また、外気温ToがTo(1)よりも高い場合には、上限値SOC_hとして所定値SOC_h(1)が決定される。To(1)は、To(0)よりも高い温度である。また、所定値SOC_h(1)は、SOC_h(0)よりも低い値である。外気温ToがTo(0)とTo(1)との間である場合には、所定値SOC_h(0)とSOC_h(1)との間で外気温Toと上限値SOC_hとの関係が線形の関係となる。すなわち、外気温Toが高くなるほど値が低下するようにして上限値SOC_hが決定される。
【0067】
このようにして、外気温Toが低いときに、高いときに比べて第2バッテリ30のSOCの上限値を高くすることにより、外気温Toが低いときに、高いときに比べて第2バッテリ30のSOCを上昇させることができる。そのため、外気温Toが低いことにより第1バッテリ26の出力が低下している場合に、電力アシスト制御の実行頻度を高めることができる。
【0068】
なお、図5に示す外気温Toと上限値SOC_hとの関係は、一例であって特に図5に示す関係に限定されるものではない。たとえば、外気温Toと上限値SOC_hとの関係は、外気温Toが低くなるほど上限値SOC_hの値が高くなる線形あるいは非線形の関係を有していてもよい。
【0069】
<第1バッテリ26を用いた第2バッテリ30の充電制御>
次に、第1バッテリ26を用いた第2バッテリ30の充電制御について説明する。ECU200は、第2バッテリ30のSOCがしきい値SOC(0)よりも低い場合に第1バッテリ26の電力を用いて第2バッテリ30を充電するようにコンバータ28を制御する。
【0070】
本実施の形態においては、ECU200は、第2バッテリ30の電圧VB2がしきい値VB2(0)よりも低下した場合を、第2バッテリ30のSOCがしきい値SOC(0)よりも低い場合として、第1バッテリ26を用いて第2バッテリ30を充電するようにコンバータ28を制御する。
【0071】
さらに、本実施の形態においては、ECU200は、第2バッテリ30の電圧VB2がしきい値VB2(0)よりも低下した場合に加えて、第1バッテリ26の電圧VB1がしきい値VB1(0)よりも高い場合に第1バッテリ26を用いて第2バッテリ30を充電するようにコンバータ28を制御する。これは、第1バッテリ26のSOCが十分に確保されていることを、第2バッテリ30の充電制御を実行する前提条件とするためである。
【0072】
第1バッテリ26の電圧VB1は、第2バッテリ30の電圧VB2よりも高いため、ECU200は、コンバータ28のIGBT素子Q1をオン状態にすることによって、第1バッテリ26を用いた第2バッテリ30の充電が可能となる。このとき、ECU200は、IGBT素子Q1に対するデューティ制御によって第2バッテリ30への充電電流を制御する。
【0073】
図6を参照して、本実施の形態に係る車両1に搭載されたECU200で実行される第2バッテリ30の充電制御のプログラムの制御構造について説明する。
【0074】
S200にて、ECU200は、第1バッテリ26の電圧VB1がしきい値VB1(0)よりも高く、かつ、第2バッテリ30の電圧VB2がしきい値VB2(0)よりも低い状態であるか否かを判定する。電圧VB1がしきい値VB1(0)よりも高く、かつ、電圧VB2がしきい値VB2(0)よりも低い状態である場合(S200にてYES)、処理はS202に移される。もしそうでない場合(S200にてNO)、処理はS200に戻される。
【0075】
S202にて、ECU200は、第1バッテリ26を用いた第2バッテリ30の充電制御を実行する。第1バッテリ26を用いた第2バッテリ30の充電制御については、上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返されない。
【0076】
S204にて、ECU200は、電圧VB1がしきい値VB1(1)よりも低いか、または、電圧VB2がしきい値VB2(1)よりも高い状態であるか否かを判定する。電圧VB1がしきい値VB1(1)よりも低いか、または、電圧VB2がしきい値VB2(1)よりも高い状態である場合(S204にてYES)、処理はS206に移される。もしそうでない場合(S204にてNO)、処理はS204に戻される。
【0077】
しきい値VB1(1)は、しきい値VB1(0)よりも低い値であって、たとえば、所定の走行距離を確保できる値である。しきい値VB2(1)は、しきい値VB2(0)よりも高い値である。
【0078】
S206にて、ECU200は、第1バッテリ26を用いた第2バッテリ30の充電制御を終了させる。ECU200は、コンバータ28のIGBT素子Q1およびQ2がいずれもオフ状態になるように制御信号S2を生成して、コンバータ28に送信する。
【0079】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る車両1に搭載されたECU200の第1バッテリ26を用いた第2バッテリ30の充電制御の動作について説明する。
【0080】
車両1のシステムの起動中に(すなわち、車両1が運転者のアクセルペダル166の操作に応じて走行可能な状態である場合に)、第1バッテリ26の電圧VB1がしきい値VB1(0)よりも高く、かつ、第2バッテリ30の電圧VB2がしきい値VB2(0)よりも低下した状態である場合には(S200にてYES)、第1バッテリ26を用いた第2バッテリ30の充電制御が実行される(S202)。
【0081】
充電制御の実行によって第1バッテリ26の電力が第2バッテリ30に移動することとなるため、第2バッテリ30のSOCは上昇し、第1バッテリ26のSOCは減少することとなる。
【0082】
第2バッテリ30の電圧VB2がしきい値VB2(1)よりも高い状態となる場合に、あるいは、第1バッテリ26の電圧VB1がしきい値VB1(1)よりも低い状態になる場合に(S204にてYES)、第1バッテリ26を用いた第2バッテリ30の充電制御が終了させられる(S206)。
【0083】
なお、本実施の形態においては、車両1のシステムの起動中に、第1バッテリ26および第2バッテリ30の電圧に基づいて第1バッテリ26を用いた第2バッテリ30の充電制御を実行するとして説明したが、たとえば、車両1のシステムが起動中であることに加えて、車両1が停車中である場合、あるいは、軽負荷運転中である場合に、第1バッテリ26および第2バッテリ30の電圧に基づいて第1バッテリ26を用いた第2バッテリ30の充電制御を実行してもよい。
【0084】
ECU200は、たとえば、MG14の回転速度Nmが所定値以下である場合に車両1が停車中であると判定してもよい。また、ECU200は、たとえば、アクセルペダル166の踏み込み量APがしきい値AP(1)以下である場合あるいは第1バッテリ26の電圧VB1または電流IB1が所定の範囲内である場合に車両1が軽負荷運転中であると判定してもよい。
【0085】
このように第2バッテリ30を充電しておくことにより、外気温が低い温度環境下で車両1が走行する場合に、第1バッテリ26の出力が低下した場合でも、第2バッテリ30を用いた電力アシスト制御の実行頻度を高めて、車両1の駆動力の低下を抑制できる。
【0086】
<第2バッテリ30を用いた第1バッテリ26の充電制御>
次に、第2バッテリ30を用いた第1バッテリ26の充電制御について説明する。ECU200は、第1バッテリ26のSOCがしきい値SOC(2)よりも低い場合に第2バッテリ30の電力を用いて第1バッテリ26を充電するようにコンバータ28を制御する。
【0087】
本実施の形態においては、ECU200は、第1バッテリ26の電圧VB1がしきい値VB1(2)よりも低下した場合を、第1バッテリ26のSOCがしきい値SOC(2)よりも低い場合として、第2バッテリ30を用いて第1バッテリ26を充電するようにコンバータ28を制御する。
【0088】
さらに、本実施の形態においては、ECU200は、第1バッテリ26の電圧VB1がしきい値VB1(2)よりも低下した場合に加えて、第2バッテリ30の電圧VB2がしきい値VB2(2)よりも高い場合に第2バッテリ30を用いて第1バッテリ26を充電するようにコンバータ28を制御する。これは、第2バッテリ30のSOCが十分に確保されていることを、第1バッテリ26の充電制御を実行する前提条件とするためである。
【0089】
ECU200は、第2バッテリ30の電圧VB2を第1バッテリ26の電圧よりも高い目標電圧まで昇圧するようにコンバータ28を制御する。これによって、第2バッテリ30を用いて第1バッテリ26を充電する。
【0090】
図7を参照して、本実施の形態に係る車両1に搭載されたECU200で実行される第1バッテリ26の充電制御のプログラムの制御構造について説明する。
【0091】
S300にて、ECU200は、第1バッテリ26の電圧VB1がしきい値VB1(2)よりも低く、かつ、第2バッテリ30の電圧VB2がVB2(2)よりも高い状態であるか否かを判定する。電圧VB1がしきい値VB1(2)よりも低く、かつ、電圧VB2がVB2(2)よりも高い状態である場合(S300にてYES)、処理はS302に移される。もしそうでない場合(S300にてNO)、処理はS300に戻される。
【0092】
S302にて、ECU200は、第2バッテリ30を用いた第1バッテリ26の充電制御を実行する。第2バッテリ30を用いた第1バッテリ26の充電制御については、上述したとおりであるため、その詳細は説明は繰り返されない。
【0093】
S304にて、ECU200は、電圧VB1がしきい値VB1(3)よりも高いか、または、電圧VB2がしきい値VB2(3)よりも低い状態であるか否かを判定する。電圧VB1がしきい値VB1(3)よりも高いか、または、電圧VB2がしきい値VB2(3)よりも低い状態である場合には(S304にてYES)、処理はS306に移される。もしそうでない場合(S304にてNO)、処理はS304に戻される。
【0094】
しきい値VB2(3)は、しきい値VB2(2)よりも低い値である。また、しきい値VB1(3)は、しきい値VB1(2)よりも高い値である。
【0095】
S306にて、ECU200は、第2バッテリ30を用いた第1バッテリ26の充電制御を終了させる。ECU200は、コンバータ28のIGBT素子Q1およびQ2がいずれもオフ状態になるように制御信号S2を生成して、コンバータ28に送信する。
【0096】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る車両1に搭載されるECU200の第2バッテリ30を用いた第1バッテリ26の充電制御の動作について説明する。
【0097】
車両1のシステムの起動中に(すなわち、車両1が運転者のアクセルペダル166の操作に応じて走行可能な状態である場合に)、第2バッテリ30の電圧VB2がしきい値VB2(2)よりも高く、かつ、第1バッテリ26の電圧V1がしきい値VB1(2)よりも低下した状態である場合には(S300にてYES)、第2バッテリ30を用いた第1バッテリ26の充電制御が実行される(S302)。
【0098】
充電制御の実行によって第2バッテリ30の電力が第1バッテリ26に移動することとなるため、第1バッテリ26のSOCは上昇し、第2バッテリ30のSOCは減少することとなる。
【0099】
第1バッテリ26の電圧VB1がしきい値VB1(3)よりも高い状態となる場合に、あるいは、第2バッテリ30の電圧VB2がしきい値VB2(3)よりも低い状態になる場合に(S304にてYES)、第2バッテリ30を用いた第1バッテリ26の充電制御が終了させられる(S306)。
【0100】
このように第1バッテリ26を充電しておくことにより、第1バッテリ26による車両1の走行継続距離の低下を抑制することができる。
【0101】
<回生電力を用いた充電制御>
ECU200は、回生制御時に、第1バッテリ26において回生電力が受け入れ可能である場合には、回生電力を用いて第1バッテリ26を充電する。なお、ECU200は、たとえば、車速Vやブレーキペダルの踏み込み量等から回生電力を算出する。
【0102】
ECU200は、たとえば、第1バッテリ26の充電電力制限値Win1の大きさが回生電力の大きさ以上である場合には、第1バッテリ26において回生電力が受け入れ可能であると判定する。ECU200は、第1バッテリ26の充電電力制限値Win1の大きさが回生電力の大きさよりも小さい場合には、第1バッテリ26において回生電力を受け入れ可能でないと判定する。
【0103】
なお、ECU200は、第1バッテリ26の充電電力制限値Win1の大きさが所定値よりも小さい場合に、第1バッテリ26において回生電力を受け入れ可能でないと判定してもよい。所定値は、たとえば、第1バッテリ26の充電電力制限値Win1の大きさが実質的にゼロであると判定するための値である。
【0104】
ECU200は、第1バッテリ26において回生電力が受け入れ可能でない場合であって、かつ、第2バッテリ30において回生電力が受け入れ可能である場合には、回生電力を用いて第2バッテリ30を充電する。
【0105】
ECU200は、たとえば、第2バッテリ30の充電電力制限値Win2の大きさが回生電力の大きさ以上である場合には、第2バッテリ30において回生電力が受け入れ可能であると判定する。一方、ECU200は、第2バッテリ30の充電電力制限値Win2の大きさが回生電力の大きさよりも小さい場合には、第2バッテリ30において回生電力を受け入れ可能でないと判定する。
【0106】
ECU200は、回生電力を用いて第2バッテリ30の充電制御を実行する場合には、インバータ24側から供給される直流電圧を所定の目標電圧まで降圧して、第2バッテリ30に供給されるようにコンバータ28を制御する。所定の目標電圧は、たとえば、第2バッテリ30の充電が可能な電圧である。
【0107】
図8を参照して、本実施の形態に係る車両1に搭載されたECU200で実行される回生電力を用いた充電制御のプログラムの制御構造について説明する。
【0108】
S400にて、ECU200は、車両1が減速中であるか否かを判定する。ECU200は、たとえば、車速Vが所定車速以上である場合において、アクセルペダル166の踏み込みが解除されている場合に、車両1が減速中であると判定してもよい。あるいは、ECU200は、車両1の走行中において、ブレーキペダルが踏み込まれている場合に、車両1が減速中であると判定してもよい。車両1が減速中である場合(S400にてYES)、処理はS402に移される。もしそうでない場合(S400にてNO)、処理はS400に戻される。
【0109】
S402にて、ECU200は、第1バッテリ26において回生電力が受け入れ可能であるか否かを判定する。第1バッテリ26において回生電力が受け入れ可能である場合(S402にてYES)、処理はS404に移される。もしそうでない場合(S402にてNO)、処理はS406に移される。
【0110】
S404にて、ECU200は、回生電力を用いて第1バッテリ26の充電制御を実行する。S406にて、ECU200は、第2バッテリ30において回生電力が受け入れ可能であるか否かを判定する。第2バッテリ30において回生電力が受け入れ可能である場合(S406にてYES)、処理はS408に移される。もしそうでない場合(S406にてNO)、処理はS410に移される。
【0111】
S408にて、ECU200は、回生電力を用いて第2バッテリ30の充電制御を実行する。S410にて、ECU200は、回生制御を実行しない。この場合、ECU200は、油圧ブレーキを用いて目標減速度にしたがって車両1を減速させる。なお、目標減速度は、たとえば、ブレーキペダルの踏み込み量や車速Vに基づいて決定される。
【0112】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る車両1に搭載されたECU200の回生電力を用いた充電制御の動作について説明する。
【0113】
車両1の走行中に、アクセルペダル166の踏み込みが解除された場合を想定する(S400にてYES)。このとき、発生する回生電力を第1バッテリ26において受け入れ可能である場合には(S402にてYES)、回生電力を用いた第1バッテリ26の充電制御が実行される(S404)。
【0114】
一方、回生電力を第1バッテリ26において受け入れ可能でない場合には(S402にてNO)、回生電力を第2バッテリ30において受け入れ可能であるか否かが判定される(S406)。
【0115】
回生電力を第2バッテリ30において受け入れ可能である場合には(S406にてYES)、回生電力を用いた第2バッテリ30の充電制御が実行される(S408)。一方、回生電力を第2バッテリ30において受け入れ可能でない場合には(S406にてNO)、回生制御が実行されず、油圧ブレーキによって車両1の減速が実現される(S410)。
【0116】
以上のようにして、本実施の形態に係る車両によると、第2バッテリ30が車両1の室内に搭載されるため、外気温Toが低い場合において第2バッテリ30が外気温Toが低いことにより受ける影響は、車両1の室外に搭載される第1バッテリ26よりも小さい。そのため、第2バッテリ30が高温または低温になることが抑制されるため、第2バッテリ30の出力の低下を抑制することができる。その結果、アクセルペダル166の踏み込み量APがしきい値AP(0)よりも大きい場合に、第1バッテリ26の電力とともに第2バッテリ30の電力を用いてMG14を駆動させることによって、運転者の要求駆動力Frを満足させることができる。したがって、外気温の変化による車両の駆動力の低下を抑制する車両を提供することができる。
【0117】
さらに、第1バッテリ26のSOCに余裕がある場合であって、第2バッテリ30のSOCが低下している場合には、第1バッテリ26から第2バッテリ30に電力を移動させることによって、外気温が高温あるいは低温になることにより第1バッテリ26の出力が低下した場合でも、外気温による影響が第1バッテリ26よりも小さい第2バッテリ30の電力を用いることによって運転者の要求駆動力Frを満足させることができる。
【0118】
さらに、第2バッテリ30のSOCに余裕がある場合であって、第1バッテリ26のSOCが低下している場合には、第2バッテリ30から第1バッテリ26に電力を移動させることにより、走行距離を確保することができる。
【0119】
さらに、第1バッテリ26において回生電力の受け入れが可能でない場合に、第2バッテリ30において回生電力を受け入れることによって、効率よくエネルギーを再利用することができる。
【0120】
さらに、第2バッテリ30の電力は、基本的には、DC/DCコンバータ34に接続された補機系と、A/Cコンプレッサ32とにおいて消費される。また、第2バッテリ30は、車両1の室内に設けられる温度調整装置58によって、室外に設けられる場合ほど外気温の変化による影響が小さい。そのため、第2バッテリ30としては、たとえば、電池容量が新品よりも小さくなるリユース電池等の利用が可能となる。
【0121】
なお、本実施の形態においては、車室56と荷室54とは連通しているとして説明したが、たとえば、車室56と荷室54とは仕切られていてもよい。
【0122】
さらに、第1バッテリ26は、主に走行に用いられるため、ユーザの要求駆動力を満たせるように第2バッテリ30と比べて容量は小さいが高電力を出力できる高出力型電池を利用することが好ましい。また、第2バッテリ30は、第1バッテリ26のSOCが低下した時に電力を供給できるよう、第1バッテリ26と比べて高電力は出力できないが容量が大きい高容量型電池を利用することが好ましい。
【0123】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0124】
1 車両、2 車輪、8 減速機、10 トランスミッション、12 レゾルバ、16 駆動軸、22 車輪速センサ、24 インバータ、25 平滑コンデンサ、26,30 バッテリ、28 コンバータ、32 コンプレッサ、34 DC/DCコンバータ、36 補機バッテリ、51 前部座席、52 後部座席、54 荷室、56 車室、58 温度調整装置、156,170 電池温度センサ、158,172 電圧センサ、160,174 電流センサ、164 アクセルペダルポジションセンサ、166 アクセルペダル、168 外気温センサ、200 ECU、202 要求駆動力判定部、204 アシスト制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を走行させるための駆動用モータと、
前記駆動用モータに電力を供給するための第1蓄電装置と、
前記車両の室内に搭載される第2蓄電装置と、
前記第1蓄電装置と前記第2蓄電装置との間で相互に電力を授受するための電力変換装置とを含み、
前記第1蓄電装置は、前記第2蓄電装置と異なる位置に搭載される、車両。
【請求項2】
前記第1蓄電装置は、前記車両の室外に設けられる、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記車両は、前記電力変換装置を制御するための制御部をさらに含み、
前記制御部は、前記第1蓄電装置の第1電力を用いて発生する前記車両の駆動力の上限値が運転者の要求駆動力よりも低い場合には前記第1電力に加えて前記第2蓄電装置の第2電力を前記駆動用モータに供給するように前記電力変換装置を制御する、請求項1に記載の車両。
【請求項4】
前記第1蓄電装置の電圧は、前記第2蓄電装置の電圧よりも高い、請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記第1蓄電装置は、前記第2蓄電装置よりも高出力の電池であって、
前記第2蓄電装置は、前記第1蓄電装置よりも高容量の電池である、請求項3に記載の車両。
【請求項6】
前記制御部は、外気温が低いときは、高いときに比べて前記第2蓄電装置の残容量の上限値を上昇させる、請求項3〜5のいずれかに記載の車両。
【請求項7】
前記制御部は、外気温が所定温度よりも高くなる場合に前記第2蓄電装置の残容量の上限値を低下させる、請求項3〜5のいずれかに記載の車両。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1蓄電装置の前記残容量がしきい値よりも低い場合に前記第2電力を用いて前記第1蓄電装置を充電するように前記電力変換装置を制御する、請求項6または7に記載の車両。
【請求項9】
前記制御部は、前記第2蓄電装置の前記残容量がしきい値よりも低い場合に前記第1電力を用いて前記第2蓄電装置を充電するように前記電力変換装置を制御する、請求項6または7に記載の車両。
【請求項10】
前記制御部は、前記駆動用モータで生じた回生電力が前記第1蓄電装置で受け入れられない場合に、前記回生電力を用いて前記第2蓄電装置を充電するように前記電力変換装置を制御する、請求項3〜9のいずれかに記載の車両。
【請求項11】
前記車両には、前記車両の前記室内の温度を調整するための温度調整装置が設けられる、請求項1〜10のいずれかに記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−52830(P2013−52830A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193861(P2011−193861)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】