説明

車体の異常検出装置

【課題】 車体の損傷発生時に、その損傷位置を容易に判定することのできる車体の異常検出装置を提供する。
【解決手段】 コントロールユニット2は、車体上に設定された各設定部位に作用する力を検出する第1の力検出センサ5Ra〜5Lcと各輪11RF〜11LRに作用する力を検出する第2の力検出センサ3RF〜3LRからの信号に基づいて各設定部位での単位入力当たりの各振動特性を算出する。そして、算出した振動特性が異常と判定したとき、最も異常と判定した振動特性と、車体の各位置で損傷が発生したときの対応する設定部位での単位入力当たりの各振動特性モデルとを比較し、振動特性に最も類似する振動特性モデルを抽出することにより、車体の損傷位置を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の振動特性に基づいて車体損傷等の異常を検出する車体の異常検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車両において、車体骨格や駆動系等に損傷等の異常が発生すると、車体の振動特性が変化する。このような振動特性の変化を利用した異常検出装置として、例えば、特許文献1には、走行中に振動センサで検出した車体の振動信号を周波数スペクトラム分析することで車体の振動特性を求め、得られた振動特性が予め設定された正常時の振動特性と非類似であるとき、車体の損傷や潤滑オイルの劣化等による異常を判定する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平6−229818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された技術は、車体の損傷等の有無を検出することはできるものの、その損傷位置等の詳細な情報まで検出することは困難である。従って、この種の異常検出装置による異常検出に基づいて補修等を行う際には、修理工場等で車体の損傷位置等を再度検証する必要があり、補修等に係る工程やコストが嵩む虞がある。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、車体の損傷発生時に、その損傷位置を容易に判定することのできる車体の異常検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、車体上の設定部位に作用する力を検出する第1の力検出手段と、路面から車輪に作用する力を検出する第2の力検出手段と、上記第1,第2の力検出手段での検出結果に基づいて、上記設定部位での単位入力当たりの振動特性を算出する振動特性算出手段と、車体の各位置で損傷が発生したときの上記設定部位での単位入力当たりの各振動特性モデルが記憶された損傷時特性モデル記憶手段と、上記損傷時特性モデル記憶手段に記憶された上記各振動特性モデルの中に、上記振動特性算出手段で算出された上記振動特性と類似する上記振動特性モデルが存在するとき、最も類似する上記振動特性モデルに対応する損傷位置での車体の損傷を判定する損傷位置判定手段とを備えたことをと特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の車体の異常検出装置によれば、車体の損傷発生時に、その損傷位置を容易に判定することのがきる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図1乃至図5は本発明の第1の形態に係わり、図1は車体の異常検出装置を示す概略構成図、図2は異常検出装置の機能ブロック図、図3は車体の異常検出ルーチンを示すフローチャート、図4は算出された振動特性の一例を示す特性図、図5は正常時の振動特性モデルに基づく異常判定処理の説明図、図6は損傷発生位置毎の各振動特性モデルの特性図である。
【0008】
図1において、符号1は、主として車体骨格の損傷を異常として検出する異常検出装置を示す。ここで、本形態では、異常検出装置1によって、車体の前部に配設される一対のフロントサイドフレーム6R,6Lに対する異常検出を行う場合の一例について説明する。
【0009】
この異常検出装置1は、コントロールユニット2を中心として要部が構成され、コントロールユニット2には、車体上に設定された複数の設定部位に作用する力を検出する第1の力検出手段としての第1の力検出センサ5Ra,5Rb,5Rc,5La,5Lb,5Lcと、路面から各輪11RF,11LF,11RR,11LRに作用する力を検出する第2の力検出手段としての第2の力検出センサ3RF,3LF,3RR,3LRと、例えばインストルメントパネル10上に配設された表示装置9とが接続されている。
【0010】
本形態において、第1の力検出センサ5Ra〜5Lcは、例えば、周知の歪みゲージで構成されている。第1の力検出センサ5Ra〜5Lcのうち、第1の力検出センサ5Ra〜5Rcは、フロントサイドフレーム6R上に所定間隔毎に設定された各設定部位にそれぞれ配設され、例えば、フロントサイドフレーム6R上の各設定部位で車体前後方向に作用する力(歪み量)を検出する。同様に、第1の力検出センサ5La〜5Lcは、フロントサイドフレーム6L上に所定間隔毎に設定された各設定部位にそれぞれ配設され、例えば、フロントサイドフレーム6L上の各設定部位での車体前後方向に作用する力を検出する。
【0011】
また、第2の力検出センサ3RF〜3LRは、例えば、各輪11RF〜11LRのアクセルハウジング(図示せず)に埋設されており、路面から各輪11RF〜11LRに作用する力(歪み量)をそれぞれ検出する。本形態において、第2の力検出センサ3RF〜3LRは、例えば、各輪11RF〜11LRの車幅方向(X軸方向)に作用する力をアクスルハウジングに生じる車幅方向の歪み量に基づいて検出するとともに、各輪11Rf〜11LRの前後方向(Y軸方向)に作用する力をアクスルハウジングに生じる前後方向の歪み量に基づいて検出し、さらに、各輪11RF〜11RLの上下方向(Z軸方向)に作用する力をアクスルハウジングに生じる上下方向の歪み量に基づいて検出する。
【0012】
コントロールユニット2は、例えば、CPU、RAM、ROM、I/Oインターフェース等(何れも図示せず)がバスラインを通じて互いに接続された周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、これらにより、振動特性判定手段としての振動特性算出部2a、正常時特性モデル記憶手段としての正常時特性モデル記憶部2b、異常判定手段としての異常判定部2c、異常時特性モデル記憶手段としての異常時特性モデル記憶部2d、損傷位置判定手段としての損傷位置判定部2e、及び、警報出力部2fとしての各機能部を実現する(図2参照)。
【0013】
振動特性算出部2aは、第1の力検出センサ5Ra〜5Lcからの信号及び第2の力検出センサ3RF〜3LRからの信号に基づいて、フロントサイドフレーム6R、6L上の各設定部位での単位入力当たりの振動特性を算出する。
【0014】
具体的には、振動特性算出部2aは、第1の力検出センサ5Ra〜5Lcで検出された各信号に対して周波数分析(スペクトラム分析)を行うとともに、第2の力検出センサ3RF〜3LRで検出された各信号に対して周波数分析を行う。そして、振動特性算出部2aは、車体各部の振動の伝達関数等を考慮した上で、各設定部位に作用する力の周波数分析値を、対応する周波数毎に、各輪11RF〜11LRに作用する力の周波数分析値によって除算する。これにより、例えば図4に示すように、各設定部位における単位入力当たりの振動特性を得る。
【0015】
ここで、各振動特性の演算を簡素化するため、振動特性算出部2aでは、設定部位に作用する力の周波数分析値を、当該設定部位の振動に最も寄与する車輪に作用する力の周波数分析値で除算して求めることも可能である。すなわち、例えば、第1の力検出センサ5Raが配設される設定部位の振動に車輪11RFに作用するZ軸方向の力が最も寄与する場合、当該設定部位の振動特性は、第1の力検出センサ5Raで検出された力の周波数分析値と、第2の力検出センサ3RFで検出されたZ軸方向の力の周波数分析値とに基づいて算出される。
【0016】
正常時特性モデル記憶部2bには、車体に損傷等が発生していないときの各設定部位での単位入力当たりの振動特性モデルがデータベース化され、記憶されている。ここで、各振動特性モデルは、例えば、車体に損傷等がない実車による走行試験やCAE解析結果等に基づいて求められるものである。
【0017】
異常判定部2cには、振動特性算出部2aで算出された各設定部位の振動特性と、正常時特性モデル記憶部2bに記憶された各振動特性モデルとが入力される。そして、異常判定部2cは、対応する各振動特性モデルとの比較によって、各振動特性の異常判定を行う。具体的には、異常判定部2cは、振動特性が対応する振動特性モデルに対して設定値以上異なる場合(例えば図5に示すように、振動特性が振動特性モデルに沿って所定に設定された領域(破線で囲まれた領域)から逸脱した場合)に、当該振動特性は異常であると判定する。なお、図5においては、振動特性算出部2aで算出されたある設定部位の振動特性が、対応する振動特性モデルと非類似である場合の一例を示す。
【0018】
さらに、異常判定部2cは、各振動特性のうちの少なくとも何れか1つに異常があると判定した場合に車体に損傷等の異常があると判定し、異常と判定された振動特性に基づいて損傷エリアを設定する。例えば、第1の力検出センサ5Raが配設された設定部位の振動特性のみが異常であると判定したとき、異常判定部2cは、第1の力検出センサ5Raの配設位置前後の所定エリアを損傷エリアとして設定する。また、例えば、第1の力検出センサ5Raが配設された設定部位及び第1の力検出センサ5Rbが配設された設定部位の振動特性が異常であると判定したとき、異常判定部2cは、第1の力検出センサ5Raの配設位置と第1の力検出センサ5Rbの配設位置との間を損傷エリアとして設定する。
【0019】
異常時特性モデル記憶部2dは、車体の各位置で損傷が発生したときに各設定部位で得られる単位入力当たりの振動特性モデルがデータベース化され、記憶されている(図6参照)。ここで、各振動特性モデルは、例えば、車体の各位置に損傷が発生したと仮定して行われるCAE解析結果に基づいてそれぞれ求められるものである。本形態において、車体の損傷位置は、例えば、フロントサイドフレーム6R,6L上に5mmピッチで順次設定され、それぞれの設定位置に損傷が発生したと仮定した場合の各設定部位での振動特性モデルが算出される。
【0020】
損傷位置判定部2eは、異常判定部2cで振動特性の異常が判定されたとき、設定された損傷エリア内で車体の損傷位置を判定する。すなわち、損傷位置判定部2eには、振動特性算出部2aで算出された各設定部位の振動特性の中から、異常判定部2cで最も異常と判定された振動特性が入力される。また、損傷位置判定部2eには、異常時特性モデル記憶部2dに記憶された各振動特性モデルの中から、異常判定部2cで振動特性が最も異常と判定された車体部位に対応する各振動特性モデルであって、且つ、損傷エリア内の各位置に損傷が発生したと仮定して得られた各振動特性モデルが入力される。そして、損傷位置判定部2eは、入力された振動特性と各振動特性モデルとを比較することで、振動特性に最も類似する振動特性モデルを抽出し、抽出した振動特性モデルの損傷位置に損傷が発生していると判定する。
【0021】
ここで、判定された損傷位置等に係るデータは、コントロールユニット2内に適宜保持される。コントロールユニット2には図示しないコネクタが設けられており、損傷位置等に係るデータは、修理工場等において、コネクタにセレクトモニタ等を接続することで適宜読み出すことが可能となっている。
【0022】
警報出力部2fは、損傷位置判定部2eで車体の損傷位置が判定されたとき、その損傷位置を表示する画像データ等を生成し、車体の損傷位置情報を表示装置9に画像表示する。なお、警報出力部2fで行う警報制御としては、上述の画像表示に限定されるものではなく、音声やブザー等によるものであってもよい。
【0023】
次に、コントロールユニット2で実行される車体の異常検出について、図3に示すフローチャートに従って説明する。このルーチンは所定時間毎に繰り返し実行されるもので、ルーチンがスタートすると、コントロールユニット2は、先ず、ステップS101で、必要パラメータ、すなわち、第1の力検出センサ5Ra〜5Lc、及び、第2の力検出センサ3RF〜3LRからの信号を読み込む。
【0024】
ステップS101からステップS102に進むと、コントロールユニット2は、ステップS101で読み出した信号に対して周波数分析を行い、フロントサイドフレーム6R,6L上の各設定部位における単位入力当たりの振動特性を算出する。
【0025】
続くステップS103において、コントロールユニット2は、ステップS102で算出した各振動特性と、対応する正常時の各振動特性モデルとの類比判定によって、各振動特性に異常が発生しているか否かを調べる。そして、ステップS103において、各振動特性と、対応する各振動特性モデルとの全てが所定に類似しており、振動特性に異常がないと判定すると、コントロールユニット2は、車体に異常が発生していないと判断してそのままルーチンを抜ける。
【0026】
一方、ステップS103において、各振動特性と、対応する各振動特性モデルとの組み合わせのうち何れかが非類似であり、振動特性に異常があると判定すると、コントロールユニット2は、ステップS104に進み、異常と判定した振動特性に対応する設定部位に基づいて、フロントサイドフレーム6R,6L上に損傷エリアを設定する。
【0027】
ステップS104からステップS105に進むと、コントロールユニット2は、ステップS104で振動特性が最も異常であると判定された車体部位に対応する各振動特性モデルであって、且つ、損傷エリア内の各位置に損傷が発生したときの各振動特性モデルを読み込む。
【0028】
続くステップS106において、コントロールユニット2は、ステップS104で最も異常であると判定した振動特性と、ステップS105で読み込んだ各振動特性モデルとを比較とを比較することで、振動特性に最も類似する振動特性モデルを抽出し、抽出した振動特性モデルの損傷位置に損傷が発生していると判定する。
【0029】
そして、ステップS106からステップS107に進むと、コントロールユニット2は、判定した損傷位置を表示する画像データ等を生成し、当該画像データを表示装置9に出力した後、ルーチンを抜ける。
【0030】
このような形態によれば、フロントサイドフレーム6R,6L上の設定部位に作用する力に基づいて算出した単位入力当たりの振動特性を異常と判定したとき、この振動特性と、車体の各位置で損傷が発生したときの設定部位での単位入力当たりの各振動特性モデルとを比較し、振動特性に最も類似する振動特性モデルを抽出することにより、車体の損傷位置を容易に判定することができる。
【0031】
その際、フロントサイドフレーム6R,6L上に設定した複数の設定部位での各振動特性を算出するとともに、これら各振動特性を、車体の各位置で損傷が発生したときの各設定部位での単位入力当たりの各振動特性モデルと対応付けて比較することにより、車体の損傷位置を精度良く判定することができる。
【0032】
また、車体の損傷位置の判定に際し、異常と判定された振動特性に対応する設定部位に基づいて車体の損傷エリアを設定し、この損傷エリア内で車体の損傷位置を判定することにより、損傷位置の判定処理を簡素化することができる。
【0033】
次に、本発明の第2の形態について説明する。図7,8は本発明の第2の形態に係わり、図7は車体の異常検出装置を示す概略構成図、図8は異常検出装置の機能ブロック図である。なお、本形態においては、損傷位置の判定処理を車外のサーバで行う構成が、上述の第1の形態と異なる。その他、同様な構成については、同符号を付して説明を省略する。
【0034】
図7,8に示すように、コントロールユニット2には、車外のサーバ21に接続する送受信部(通信手段)22とインターネット回線等のネットワークを通じてデータの授受を行うための送受信部(通信手段)15が接続されている。本形態において、サーバ21は、例えば自動車メーカ等によって運営される情報センタ20内に設置され、コントロールユニット2に代えて、上述の異常時特性モデル記憶部2d、及び損傷位置判定部2eに相当する機能部を担うようになっている。すなわち、図7に示すように、サーバ21には、異常時特性モデル記憶手段としての異常時特性モデル記憶部21aと、損傷位置判定手段としての損傷位置判定部21bとが構成されている。
【0035】
異常時特性モデル記憶部21aには、車体の各位置で損傷が発生したときに各設定部位で得られる単位入力当たりの振動特性モデルが車種毎にデータベース化され、記憶されている。ここで、各振動特性モデルは、例えば、車体の各位置に損傷が発生したと仮定して行われるCAE解析結果に基づいてそれぞれ求められるものである。本形態において、車体の損傷位置は、例えば、フロントサイドフレーム6R,6L上に3mmピッチで順次設定され、それぞれの設定位置に損傷が発生したと仮定した場合の各設定位置での振動特性モデルが算出される。
【0036】
また、損傷位置判定部21bには、異常判定部2cで振動特性の異常が判定されたとき、異常判定部2cで設定された損傷エリア内で車体の損傷を判定する。すなわち、異常判定部2cで振動特性の異常が判定されたとき、損傷位置判定部21bには、送受信部15,22を通じて、異常判定部2cで最も異常と判定された振動特性や損傷エリアに係る情報等とともに車体IDが入力され、損傷位置判定部21bは、車体IDに基づいて適合する車種を特定する。これにより、損傷位置判定部21bには、異常時特性モデル記憶部21aに記憶された各振動特性モデルの中から、特定した車種の、振動特性が最も異常と判定された車体部位に対応する各振動モデルであって、且つ、損傷エリア内の各位置に損傷が発生したと過程して得られた各振動特性モデルが入力される。そして、損傷位置判定部21bは、入力された振動特性と各振動特性モデルとを比較することで、振動特性に最も類似する振動特性モデルを抽出し、抽出した振動特性モデルの損傷位置に損傷が発生していることを判定する。そして、判定された損傷位置に係るデータは、サーバ21内に適宜保存されるとともに、送受信部22,15を通じて警報出力部2fに出力される。
【0037】
このような形態によれば、損傷位置の判定処理を車外のサーバ21で行うことにより、より精度の高い損傷位置情報を得ることができる。すなわち、車外のサーバ21内に異常時特性モデル記憶部21aを設定することにより、大量の振動特性モデルを記憶させることができ、損傷位置判定部21bにおいてより詳細な損傷位置の判定を行うことができる。
【0038】
また、損傷位置判定をサーバ21で行うことにより、各車両の損傷位置情報を一元管理することができ、例えば、損傷の頻度が高い位置等を車種毎にデータベース化することができる。
【0039】
なお、上述の各形態においては、正常時特性モデル記憶部に記憶された各振動特性モデルと各振動特性との比較による異常判定を行い、異常と判定した際に、損傷エリアを設定して当該損傷エリア内で損傷位置を判定する一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、正常時の各振動特性モデルと各振動特性との比較による異常判定処理を省略し、異常時特性モデル記憶部に記憶された全ての振動特性モデルと対応する各振動特性との比較を行うことで損傷位置の判定を行ってもよい。この場合、異常時特性モデル記憶部に記憶された各振動特性モデルと対応する各振動特性との組み合わせ全てが非類似である場合、車体は損傷のない正常な状態であると判断される。
【0040】
また、上述の各形態においては、最も強度を必要とする車体骨格の1つであるフロントサイドフレームの異常検出を行う場合の一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の車体骨格等にも適用が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の形態に係わり、車体の異常検出装置を示す概略構成図
【図2】同上、異常検出装置の機能ブロック図
【図3】同上、車体の異常検出ルーチンを示すフローチャート
【図4】同上、算出された振動特性の一例を示す特性図
【図5】同上、正常時の振動特性モデルに基づく異常判定処理の説明図
【図6】同上、損傷発生位置毎の各振動特性モデルの特性図
【図7】本発明の第2の形態に係わり、車体の異常検出装置を示す概略構成図
【図8】同上、異常検出装置の機能ブロック図
【符号の説明】
【0042】
1 … 異常検出装置
2 … コントロールユニット
2a … 振動特性算出部(振動特性算出手段)
2b … 正常時特性モデル記憶部(正常時特性モデル記憶手段)
2c … 異常判定部(異常判定手段)
2d … 異常時特性モデル記憶部(異常時特性モデル記憶手段)
2e … 損傷位置判定部(損傷位置判定手段)
3RF〜3LR … 第2の力検出センサ(第2の力検出手段)
5La〜5Lc … 第1の力検出センサ(第1の力検出手段)
6R,6L … フロントサイドフレーム(車体)
11RF〜11LR … 車輪
15,22 … 送受信部(通信手段)
21 … サーバ
21a … 異常時特性モデル記憶部(異常時特性モデル記憶手段)
21b … 損傷位置判定部(損傷位置判定手段)
代理人 弁理士 伊 藤 進

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体上の設定部位に作用する力を検出する第1の力検出手段と、
路面から車輪に作用する力を検出する第2の力検出手段と、
上記第1,第2の力検出手段での検出結果に基づいて、上記設定部位での単位入力当たりの振動特性を算出する振動特性算出手段と、
車体の各位置で損傷が発生したときの上記設定部位での単位入力当たりの各振動特性モデルが記憶された損傷時特性モデル記憶手段と、
上記損傷時特性モデル記憶手段に記憶された上記各振動特性モデルの中に、上記振動特性算出手段で算出された上記振動特性と類似する上記振動特性モデルが存在するとき、最も類似する上記振動特性モデルに対応する損傷位置での車体の損傷を判定する損傷位置判定手段とを備えたことをと特徴とする車体の異常検出装置。
【請求項2】
車体に損傷が発生していないときの上記設定部位での単位入力当たりの振動特性モデルが記憶された正常時特性モデル記憶手段と、
上記振動特性算出手段で算出された上記振動特性が、上記正常時特性モデル記憶手段に記憶された上記振動特性モデルと非類似であるとき、上記振動特性の異常を判定する異常判定手段とを備え、
上記損傷位置判定手段は、上記異常判定手段による異常の判定時に、車体の損傷位置を判定することを特徴とする請求項1記載の車体の異常検出装置。
【請求項3】
上記第1の力検出手段を車体上に設定した複数の設定部位にそれぞれ配設し、
上記振動特性算出手段は上記各設定部位での振動特性を算出し、
上記異常判定手段は、上記各設定部位での振動特性と、上記正常時特性モデル記憶手段に記憶された上記各設定部位に対応する振動特性モデルとに基づいて上記各設定部位毎に異常判定を行うとともに、少なくとも何れか1つの上記振動特性に異常を判定したとき、該当する設定部位に基づいて車体の損傷エリアを設定し、
上記損傷位置判定手段は、上記異常判定手段による異常の判定時に、上記損傷エリア内で車体の損傷位置を判定することを特徴とする請求項2記載の車体の異常検出装置。
【請求項4】
車外に設置されたサーバとの間でデータの送受信を行う通信手段を有し、
少なくとも、上記損傷時特性モデル記憶手段と、上記損傷位置判定手段とを上記サーバ内に構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の車体の異常検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−23208(P2006−23208A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202341(P2004−202341)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】