説明

車体フロア構造

【課題】正面衝突時に起きるフロアフレームの変形の変位量を抑制し、側面衝突時にサイドシルからフロアフレームに衝撃力を伝える車体フロア構造を提供する。
【解決手段】車体フロア構造は、フロアフレーム15間の燃料タンク23の上方にフロアパネル41を隆起させた床隆起部51を設けた。フロアフレーム15は、フロアパネル41を介して対向させ接合したフロアフレーム補強部材62を有する。フロアフレーム補強部材62は、床隆起部51から前へ延び、断面形状をハット形とし、フロアパネル41の上面68に、フロアフレーム15の両端(一端15a、他端15b)にフロアパネル41を挟んで両端(内接合代フランジ72、外接合代フランジ73)を重ねることで、接合した。フロアフレーム補強部材62の後端75とサイドシル28にフロントシートを取付けるシートブラケット16を結合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の流体容器をフロア中央の下に配置した車体の構造で、特に、他車などの物に車両が接触した時に起きる変形を抑制した車体フロア構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車体フロア構造には、車体の軽量化と衝突に対する強度確保を図ったものがある。
例えば、前席の床下に燃料タンクを配置する構造で、燃料タンクの前後左右に、燃料タンクを囲むようにそれぞれ第1クロスメンバー、第2クロスメンバー、左右のフロアフレームを配置している。そして、前席を締結するために、ドア下にあるサイドシルからフロアフレームへ向けブラケットを突出させている。
この結果、第1クロスメンバーによって左右のフロアフレームに伝わる衝撃力を小さくすることができ、フロアフレームの軽量化を可能にしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、従来技術(特許文献1)は、フロアフレームに正面衝突(前突)時の衝撃力が伝わると、フロアフレームが燃料タンクの前部の近傍から下方へ変形することがある。
燃料タンクの前には排気管が配管され、排気管の上方でフロアフレームがアーチ形をなしているため変形の起点となりやすい。
このフロアフレームの変形の変位量が大きくなると、フロアパネルが沈下するため、前席用のブラケットとともに前席も下がることがある。
また、側面衝突したときに、ドア下にあるサイドシルの変形に伴い、前席用のブラケットの変位量が大きくなることがある。
このような正面衝突時及び側面衝突時の変形の変位量を抑制した構造が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−210572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、正面衝突時に起きるフロアフレームの変形の変位量を抑制し、側面衝突時にサイドシルからフロアフレームに衝撃力を伝える車体フロア構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車室の前に設けた左右のフロントサイドフレームに連続して車室の床のフロアフレームを延ばし、フロアフレーム間に配置した流体容器の上方に床のフロアパネルを隆起させた床隆起部を設けた車体フロア構造において、フロアフレームは、断面形状をハット形とし、フロアパネルの下面に底部を対向させて両端を接合することで閉断面形状を形成し、車体の側面視で、底部をアーチ状に湾曲させフロアパネルに近接した頂上部を床隆起部の前壁部の下方に配置したもので、フロアパネルを介して対向させ接合したフロアフレーム補強部材を有し、フロアフレーム補強部材は、前壁部の近傍から前へ延び、断面形状をハット形とし、フロアパネルの上面に天部を対向させて、フロアフレームの両端にフロアパネルを挟んで両端を重ねることで接合して、閉断面形状を形成したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、フロアフレーム補強部材の後端から床の左右端をなすサイドシルまで車両車幅方向に延びてそれぞれに接合しているフロントシート用のシートブラケットを備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、シートブラケットは、フロアパネルの下にフロアパネルに重なる閉断面形状を形成していることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、シートブラケットは、車体側面視で、断面形状を階段状に形成していることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明では、シートブラケットは、そのうちの少なくとも一部に接合し、且つサイドシルに接合した補強板を備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、フロアフレーム補強部材の前部は、車室の前隔壁をなすダッシュロアパネルの補強部に接続することによって、互いに接続していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、左右のフロントサイドフレームに連続したフロアフレーム間に配置した流体容器の上方に床隆起部を設け、フロアフレームは、断面形状をハット形とし、フロアパネルの下面に両端を接合し、車体の側面視で、底部をアーチ状に湾曲させフロアパネルに近接した頂上部を床隆起部の前壁部の下方に配置したもので、フロアパネルを介して対向させ接合したフロアフレーム補強部材を有し、フロアフレーム補強部材は、前壁部の近傍から前へ延び、断面形状をハット形とし、フロアパネルの上面に天部を対向させて、フロアフレームの両端にフロアパネルを挟んで両端を重ねることで接合して、閉断面形状を形成したので、前突で車両正面に衝撃力が入力されると、フロアパネル下に設けたフロアフレームの閉断面形状の骨格及びフロアパネル上に設けたフロアフレーム補強部材の閉断面形状の骨格に衝撃力が分散される。
また、衝撃力がフロアフレーム補強部材によって床隆起部に分散される。
その結果、前突したときに、フロアフレームが頂上部を起点に下方へ落ち込むように折れ曲がるのを抑制することができるという利点がある。
【0013】
さらに、車両平面視、床隆起部までの間のフロアフレームが左右に湾曲しても、フロアパネルの上面とで閉断面形状をフロアフレームの閉断面形状に対向させて形成するのは容易である。
【0014】
請求項2に係る発明では、フロアフレーム補強部材の後端から床の左右端をなすサイドシルまで車両車幅方向に延びてそれぞれに接合しているフロントシート用のシートブラケットを備えているので、シートブラケットは、フロアフレーム補強部材を設けたフロアフレームによって支持され、前突時の変位量が抑制される。従って、フロントシートの前部の沈み込みを抑制することができるという利点がある。
【0015】
請求項3に係る発明では、シートブラケットは、フロアパネルの下にフロアパネルに重なる閉断面形状を形成しているので、側面衝突で側面に衝撃力が入力されると、側面を有する側壁のサイドシルからフロアフレームに衝撃力を伝えることができる。
つまり、車両正面及び車両側面に入力される衝撃力に対し、効率よく車体フロア構造を使うことができる。
【0016】
請求項4に係る発明では、シートブラケットは、車体側面視で、断面形状を階段状に形成しているので、シートブラケットの下段(ブラケット下段部)から上段(ブラケット上段部)へ立ち上がる所望の高さの部位(前傾斜部)をサイドシルに接合することによって、車両下方向きの衝撃力に対する強度を高めることができる。
その結果、板材を折り曲げることによって、構造を簡単にすることができ、且つ軽量化を図ることができ、一方、沈み込み荷重に耐える強度を付与することができる。
【0017】
また、任意の位置、例えば、現在の位置より車両後方のフロアフレームとサイドシルとの間にも配置でき、設計の自由度が高まるという利点がある。
【0018】
請求項5に係る発明では、シートブラケットは、そのうちの少なくとも一部に接合し、且つサイドシルに接合した補強板を備えているので、板厚を厚くしたものに比べ、シートブラケットをより軽量化できるという利点がある。
【0019】
請求項6に係る発明では、フロアフレーム補強部材の前部は、車室の前隔壁をなすダッシュロアパネルの補強部に接続することによって、互いに接続しているので、
前突で車両正面に衝撃力が入力されると、フロアフレーム補強部材の前部からダッシュロアパネルの補強部に分散される。
その結果、フロアフレームに伝わる衝撃力は減少し、前突時のフロアフレームの変位量をより抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例に係る車体フロア構造の斜視図である。
【図2】実施例に係る車体フロア構造のフロアパネルを除いた斜視図(右後方から見た図)である。
【図3】図1の3−3線断面図である。
【図4】実施例に係る車体フロア構造のフロアパネルを除いた斜視図(左から見た図)である。
【図5】図1の5−5線断面図である。
【図6】図1の6−6線断面図である。
【図7】図1の7−7線断面図である。
【図8】図1の8−8線断面図である。
【図9】実施例に係る車体フロア構造の強度が高まる機構を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、実施例で詳細に説明する。
【実施例】
【0022】
実施例に係る車体フロア構造は、図1に示すように、車両11の車室12の床(アンダボデー)13に採用され、正面衝突や側面衝突のときに、車体14のアンダボデー13の変形を抑制する。
【0023】
車体フロア構造は主に、アンダボデー13にフロアフレーム15を設け、このフロアフレーム15にシートブラケット16を取付けている。
車体フロア構造は、中央(中心C)を対称基準に左右がほぼ対称である。
以降で右側を主体に具体的に説明していく。
【0024】
車両11は、運転席21及び助手席22の床下(アンダボデー13の下)に流体容器(燃料タンク23)を配置している。運転席21の前のエンジンルーム24にはエンジン(図に示していない)を配置する。
【0025】
また、エンジンに接続した集合排気管を左右に分岐し、分岐した第1分岐排気管26を燃料タンク23の前に配管している。
第1分岐排気管26は、燃料タンク23の前壁に沿って、さらにフロアフレーム15の下に配管されている。フロアフレーム15の下でフロアフレーム15に近接した状態で交差している。
第1分岐排気管26に連ねて第2分岐排気管27を車体14の左右のサイドシル28に沿わせている。
【0026】
車体14は、図1〜図4に示す通り、アンダボデー13と、アンダボデー13の前のフロントボデー31を備える。
フロントボデー31は、左右のフロントサイドフレーム32(図4参照)を備える。
そして、フロントサイドフレーム32にダンパハウジング33を立設し、アンダボデー13を連続させている。
【0027】
アンダボデー13は、左右のフロントサイドフレーム32の後端に接続している左右のフロアフレーム15と、左右のフロアフレーム15に接合した第1クロスメンバー36と、第1クロスメンバー36より車両後方に配置し、左右のサイドシル28に接合した第2クロスメンバー37と、前述の左右のサイドシル28と、を備える。
【0028】
第1クロスメンバー36は、断面形状をハット形とし、開口を車両上方へ向けている。
第2クロスメンバー37は、断面形状をハット形とし、開口を車両上方へ向けている。
これらの開口の縁にはフロアパネル41が接合されて、開口を閉じ、フロアパネル41とで第1・第2クロスメンバー36、37は閉断面形状を形成している。
【0029】
アンダボデー13はまた、左右のサイドシル28間に設け、サイドシル28に縁の溶接代部42を接合したフロアパネル41と、エンジンルーム24との前隔壁をなすダッシュロアパネル44と、を備える。
【0030】
さらに、座席45(図3参照)を支持する。運転席21の座席45をボルト46で固定し、助手席22の座席(座席45と同様)をボルト46で固定している。
運転席21と助手席22の間にはセンタトンネル48を設けている。
【0031】
次に、車体フロア構造の主要構成を図1〜図8で説明する。
車体フロア構造は、前述の車室12の前に設けた左右のフロントサイドフレーム32に連続して車室12の床(アンダボデー)13のフロアフレーム15を延ばし、フロアフレーム15間に配置した流体容器(燃料タンク23)の上方に床(アンダボデー)13のフロアパネル41を隆起させた床隆起部51を設けた。
【0032】
フロアパネル41は、運転席21及び助手席22の床をなす前席フロア部52を形成し、前席フロア部52に連ね床隆起部51を、燃料タンク23に対応させて前席フロア部52より所望の高さだけ高く形成している。
【0033】
床隆起部51は、前席フロア部52に連ね前壁部54を斜めに形成し、前壁部54に連ねてほぼ水平に車両後方へ延ばした容器配置フロア部55を前席フロア部52より高く形成している。
【0034】
フロアフレーム15は、断面形状をハット形とし、フロアパネル41の下面57に底部58を対向させて両端(一端15a、他端15b)を接合することで閉断面形状(図1、図5参照)を形成している。そして、車体14の側面視(図3の視点)で、底部58をアーチ状に湾曲させフロアパネル41に近接した頂上部61を床隆起部51の前壁部54の下方に配置したもので、フロアパネル41を介して対向させ接合したフロアフレーム補強部材62を有する。
【0035】
頂上部61は、集合排気管を分岐させた第1分岐排気管26との干渉を避けるように、第1分岐排気管26の前後に比べ、車両上方へ上げた部位である。
【0036】
フロアフレーム15は、図2、図4に示す通り、前端64から中央部65までが車両11の外側(矢印a1の方向)へ向かって湾曲し、中央部65から後端66までがほぼ一直線状にサイドシル28に沿って形成されている。
言い換えると、前端64からシートブラケット16を接合している中央部65までがサイドシル28へ向かって曲がり、中央部65から後端66まで一直線状にサイドシル28に近接して延び、後端66が第2クロスメンバー37に接合している。
【0037】
フロアフレーム補強部材62は、床隆起部51の前壁部54の近傍から前(車両前方)へ延び、断面形状をハット形(図5参照)とし、フロアパネル41の上面68に天部71を対向させて、フロアフレーム15の両端(一端15a、他端15b)にフロアパネル41を挟んで両端(内接合代フランジ72、外接合代フランジ73)を重ねることで接合して、閉断面形状を形成した。
【0038】
フロアフレーム補強部材62の後端75から床の左右端をなすサイドシル28まで車両11の車幅方向に延びてそれぞれに(後端75に一端を、サイドシル28に他端を)接合しているフロントシート(運転席21用座席45)の前脚部77(図3参照)用のシートブラケット16を備えている。
【0039】
シートブラケット16は、フロアパネル41の下にフロアパネル41に重なる閉断面形状(空間部87、図7、図8参照)を形成している。
シートブラケット16は、車体14側面視(図7、図8の視点)で、断面形状を階段状に形成している。
【0040】
シートブラケット16は、シートブラケット16のうちの少なくとも一部(例えば、前傾斜部95や後端部93)に接合し、且つサイドシル28に接合した補強板78を備えている。
【0041】
フロアフレーム補強部材62の前部81は、車室12の前隔壁をなすダッシュロアパネル44の補強部86に接続することによって、左右の前部81を互いに接続している。
【0042】
次に、フロアフレーム15が備えるフロアフレーム補強部材62を詳しく説明する。
フロアフレーム補強部材62は、フロアフレーム15と同じ幅(車幅方向)で形成され、フロアフレーム15の湾曲(矢印a1の方向)に一致するように湾曲している。
フロアフレーム補強部材62は、天部71、内壁部83、内接合代フランジ72、外壁部84、外接合代フランジ73とからなる。
【0043】
図3に示すように、フロアフレーム補強部材62とフロアパネル41とで形成した閉断面形状の断面積は後端75に向かって漸減している。
この後端75には、既に説明したようにシートブラケット16が結合している。
【0044】
次に、シートブラケット16を詳しく説明する。
シートブラケット16は、図5〜図8に示す通り、空間部87を形成するように重ねた補強板78を有する。
【0045】
シートブラケット16は、フロントシート(運転席21用座席45)に設けた前脚部77の締結部の下方にほぼ水平にブラケット上段部91が形成されている。そして、ブラケット上段部91に連ねブラケット上段部91より高い後壁部92並びに後端部93が形成されている。
【0046】
また、ブラケット上段部91に連ね前傾斜部95が形成され、前傾斜部95に連ねブラケット上段部91より低いブラケット下段部96が形成されている。
さらに、これら91〜93、95、96に一体に外端フランジ98(図7)が形成されて、サイドシル28に溶接(溶接部101)で接合している。
【0047】
一方、外端フランジ98に対向している内端フランジ102が形成されている。
内端フランジ102は、下端104をフロアフレーム15に溶接部で接合している。
内端フランジ102はブラケット上段部91、後壁部92、後端部93、前傾斜部95に一体に形成されている。
シートブラケット16は、フロントシート(運転席21用座席45)を補強板78に載せている。
【0048】
補強板78は、座席45の前脚部77を固定する脚締結部107がブラケット上段部91の上方に形成されている。
脚締結部107は床隆起部51に重なり、床隆起部51とシートブラケット16の後端部93との間に挟まり接合している。
【0049】
また、脚締結部107に連ね、且つ床隆起部51に重なり、床隆起部51とシートブラケット16との間に挟まり接合した中間層前壁部108が形成されている。
さらに、中間層前壁部108に連ね、且つ床隆起部51に重なり、床隆起部51とシートブラケット16との間に挟まり接合した中間層下段部111が形成されている。
【0050】
補強板78は図6、図7に示す通り、サイドシル28に外接合部112を接合した。
この外接合部112を脚締結部107並びに中間層前壁部108に一体に形成している。
脚締結部107には、ボルト46をねじ込むためのめねじ部(ナット)115を設けている。
【0051】
なお、車体フロア構造の右側を、主体に説明したが、左側も右側とほぼ同様である。
「ほぼ」とは、公差の上限から下限までの範囲を含むものである。逆に、「ほぼ」を省いて、例えば「水平」と限定しても、所望の公差を含むものとする。
【0052】
次に、実施例に係る車体フロア構造の作用を説明する。
衝突に対し車体フロア構造の強度が高まる機構を図1、図3、図9で説明する。
車体フロア構造は、車両11正面に衝撃力が矢印a2のように入力されると、衝撃力をフロアフレーム補強部材62に矢印a3のように分散し、さらに床隆起部51に分散するので、フロアフレーム15の強度は高まる。
【0053】
フロアフレーム補強部材62が、閉断面形状によって衝撃力を分散すると、フロアフレーム15の頂上部61の細い部位に伝わる(集中する)衝撃力が小さくなる。
さらに、フロアフレーム補強部材62の後部から床隆起部51の前壁部54に衝撃力を伝えるので、頂上部61の細い部位に伝わる(集中する)衝撃力がより小さくなる。
その結果、頂上部61からフロアフレーム15が下方に矢印a4のように折れ曲がり、下方に二点鎖線で示すように落ち込む変位量Bを抑制することができる。
【0054】
また、前突したときに、フロアフレーム補強部材62によってフロアフレーム15の落ち込む変位量を抑制したので、シートブラケット16の下方への変位量を抑制することができる。
【0055】
一方、車両11側面に衝撃力が矢印a5のように入力されると、衝撃力はシートブラケット16に矢印a6のように伝わり、シートブラケット16からフロアフレーム15に矢印a7のように伝わり分散するので、シートブラケット16の変位量を抑制することができる。
つまり、座席45の変位量を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の車体フロア構造は、車両に好適である。
【符号の説明】
【0057】
11…車両、12…車室、14…車体、15…フロアフレーム、15a…フロアフレームの一端、15b…フロアフレームの他端、16…シートブラケット、23…流体容器(燃料タンク)、28…サイドシル、32…フロントサイドフレーム、41…フロアパネル、44…ダッシュロアパネル、45…フロントシート(運転席用座席)、51…床隆起部、54…床隆起部の前壁部、57…フロアパネルの下面、58…フロアフレームの底部、61…頂上部、62…フロアフレーム補強部材、68…フロアパネルの上面、71…フロアフレーム補強部材の天部、72…フロアフレーム補強部材の端(内接合代フランジ)、73…フロアフレーム補強部材の端(外接合代フランジ)、75…フロアフレーム補強部材の後端、77…フロントシートの前脚部、78…補強板、81…フロアフレーム補強部材の前部、86…ダッシュロアパネルの補強部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の前に設けた左右のフロントサイドフレームに連続して前記車室の床のフロアフレームを延ばし、前記フロアフレーム間に配置した流体容器の上方に前記床のフロアパネルを隆起させた床隆起部を設けた車体フロア構造において、
前記フロアフレームは、断面形状をハット形とし、前記フロアパネルの下面に底部を対向させて両端を接合することで閉断面形状を形成し、前記車体の側面視で、前記底部をアーチ状に湾曲させ前記フロアパネルに近接した頂上部を前記床隆起部の前壁部の下方に配置したもので、前記フロアパネルを介して対向させ接合したフロアフレーム補強部材を有し、
前記フロアフレーム補強部材は、前記前壁部の近傍から前へ延び、断面形状をハット形とし、前記フロアパネルの上面に天部を対向させて、前記フロアフレームの前記両端に前記フロアパネルを挟んで両端を重ねることで接合して、閉断面形状を形成したことを特徴とする車体フロア構造。
【請求項2】
前記フロアフレーム補強部材の後端から前記床の左右端をなすサイドシルまで車両車幅方向に延びてそれぞれに接合しているフロントシート用のシートブラケットを備えていることを特徴とする請求項1記載の車体フロア構造。
【請求項3】
前記シートブラケットは、前記フロアパネルの下に前記フロアパネルに重なる閉断面形状を形成していることを特徴とする請求項2記載の車体フロア構造。
【請求項4】
前記シートブラケットは、前記車体側面視で、断面形状を階段状に形成していることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の車体フロア構造。
【請求項5】
前記シートブラケットは、そのうちの少なくとも一部に接合し、且つ前記サイドシルに接合した補強板を備えていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の車体フロア構造。
【請求項6】
前記フロアフレーム補強部材の前部は、前記車室の前隔壁をなすダッシュロアパネルの補強部に接続することによって、互いに接続していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車体フロア構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−183827(P2011−183827A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47846(P2010−47846)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】