説明

車体側部構造

【課題】フェンダパネルと車体骨格部材との間に設けられた補強部材において、その上面における塵埃や水等の除去性を向上できる車体側部構造の提供を課題とする。
【解決手段】車幅方向両側部に設けられたフェンダパネル20と、フェンダパネル20よりも車幅方向内側で車体前後方向に延在する車体骨格部材30と、フェンダパネル20と車体骨格部材30との間に設けられ、フェンダパネル20との接触面54が凹凸形状とされている補強部材50と、を備えた車体側部構造10とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェンダパネルと車体骨格部材との間に補強部材を配置してなる車体側部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
フェンダパネルに沿う形状とされたウレタン樹脂製の補強部材をフェンダパネルと車体骨格部材との間に配置した車体側部構造は、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この構成では、補強部材の上面に、砂や塵埃、水等が溜まりやすく、それらの除去性が良好ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−162416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、フェンダパネルと車体骨格部材との間に設けられた補強部材において、その上面における塵埃や水等の除去性を向上できる車体側部構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の車体側部構造は、車幅方向両側部に設けられたフェンダパネルと、前記フェンダパネルよりも車幅方向内側で車体前後方向に延在する車体骨格部材と、前記フェンダパネルと前記車体骨格部材との間に設けられ、前記フェンダパネルとの接触面が凹凸形状とされている補強部材と、を備えたことを特徴としている。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、フェンダパネルと車体骨格部材との間に設けられた補強部材のフェンダパネルとの接触面が凹凸形状とされているので、その補強部材の上面に入り込んだ砂や塵埃、水等は、その凹凸形状によってできた補強部材とフェンダパネルとの間の隙間から車体下方側へ流れ落ちる。したがって、補強部材の上面における塵埃や水等の除去性を向上させることができる。
【0007】
また、請求項2に記載の車体側部構造は、請求項1に記載の車体側部構造において、前記補強部材が、発泡された樹脂材料で構成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、補強部材が、発泡された樹脂材料で構成されているので、その補強部材をフェンダパネルと車体骨格部材との間に設ける際に弾性変形させることができ、その圧入作業性を向上させることができる。また、フェンダパネルと車体骨格部材との距離精度のばらつきを吸収することができる。
【0009】
また、請求項3に記載の車体側部構造は、請求項2に記載の車体側部構造において、前記補強部材に、手指が挿入可能な溝部が設けられていることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、補強部材に、手指が挿入可能な溝部が設けられているので、その補強部材をフェンダパネルと車体骨格部材との間に圧入させる際に、その溝部内に手指を挿入して作業を行うことができる。したがって、その圧入作業性を更に向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、フェンダパネルと車体骨格部材との間に設けられた補強部材において、その上面における塵埃や水等の除去性を向上できる車体側部構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】車体側部構造を備えた車両の概略斜視図
【図2】車体側部構造を示す概略断面図
【図3】車体側部構造を示す概略側面図
【図4】補強部材を車体骨格部材(エプロンアッパメンバ)に取り付けるための構成を示す概略斜視図
【図5】補強部材の変形例を示す概略斜視図
【図6】補強部材の変形例を示す概略斜視図
【図7】補強部材の変形例を示す概略斜視図
【図8】補強部材の変形例を示す概略斜視図
【図9】歩行者が衝突したときのフェンダパネルの変形状態を示す概略断面図
【図10】比較例(補強部材無し)のフェンダパネルに荷重が入力されたときの変形力を示す説明図
【図11】本実施例(補強部材有り)のフェンダパネルに荷重が入力されたときの変形力を示す説明図
【図12】補強部材の変形例を示す概略斜視図
【図13】補強部材がフェンダライナまで延設されたときの車体側部構造を示す概略断面図
【図14】補強部材の変形例を示す概略斜視図
【図15】図14で示す補強部材を備えた車体側部構造を示す概略断面図
【図16】補強部材の変形例を示す概略斜視図
【図17】図16で示す補強部材を備えた車体側部構造を示す概略断面図
【図18】補強部材の変形例を示す概略斜視図
【図19】図18で示す補強部材を備えた車体側部構造を示す概略断面図
【図20】参考例の補強部材(ブラケット)を示す概略斜視図
【図21】参考例の補強部材(ブラケット)が取り付けられた車体側部構造を示す概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面に示す実施例を基に詳細に説明する。図1は本実施形態に係る車体側部構造10を備えた車両12の概略斜視図であり、図2は車体側部構造10を示す概略断面図、図3は車体側部構造10を示す概略側面図である。また、図4は補強部材50を車体骨格部材(エプロンアッパメンバ30)に取り付けるための構成を示す概略斜視図である。なお、各図において適宜示される矢印FRは車体前方向を示し、矢印UPは車体上方向を示し、矢印OUTは車幅方向外側を示している。
【0014】
図1で示すように、車両12の車体前部側には、フード18が開閉可能に取り付けられており、フード18の車幅方向の両側部には、左右一対のフェンダパネル20がそれぞれ車体前後方向に沿って配設されている。そして、フード18とフェンダパネル20の車体前方側における車幅方向の両端部には、ヘッドランプ16が配設されている。
【0015】
各フェンダパネル20は、図2、図3で示すように、前輪14(図1参照)の車体上方側を覆って意匠面を構成する外側縦壁部22と、外側縦壁部22の車体上方側端部から車体下方側へ向かって延設された内側縦壁部24と、内側縦壁部24からエンジンルームE側へ略水平に屈曲されて延設された内側横壁部26と、を含んで構成されている。
【0016】
そして、フード18は、左右一対のフェンダパネル20の内側縦壁部24の車体上方側端部間に配設されており、エンジンルームEを開閉可能となっている。また、各フェンダパネル20の内側横壁部26の車体下方側(各フェンダパネル20の車幅方向内側)には、左右一対のエプロンアッパメンバ30がそれぞれ車体前後方向に沿って延在するように配設されている。
【0017】
各エプロンアッパメンバ30は、長尺状の車体骨格部材であり、断面形状が略L字状とされたエプロンアッパメンバアウタパネル32とエプロンアッパメンバインナパネル34とを車体上下方向から重ね合わせ、その縁端部に形成されているフランジ部32A、34A同士がスポット溶接等の接合手段によって接合されることにより、閉断面構造となるように構成されている。
【0018】
また、図2で示すように、フェンダパネル20の内側横壁部26は、車体前後方向に所定の間隔で配置された複数(例えば前部、後部に2個又は前部、中間部、後部に3個等)のブラケット40を介して、エプロンアッパメンバ30(エプロンアッパメンバインナパネル34)の上面部30Aに取り付けられている。
【0019】
各ブラケット40は、車幅方向から見た車体側面視で略ハット形状に形成されており、エプロンアッパメンバ30の上面部30Aと平行に形成された矩形平板状のフェンダ取付部42と、エプロンアッパメンバ30の上面部30Aに面接触状態に載置されて接合される前後一対の矩形平板状の取付脚部46と、フェンダ取付部42と取付脚部46とを略車体上下方向に連設する前後一対の中間支持部44とで構成されている。
【0020】
各ブラケット40の前後一対の取付脚部46は、エプロンアッパメンバ30の上面部30Aにそれぞれスポット溶接等の接合手段によって接合されている。また、中間支持部44には、正面視略二等辺三角形状の貫通孔44Aが形成されている。更に、各ブラケット40のフェンダ取付部42の中央部にはボルト挿通孔42Aが形成されており、その下面側にはウエルドナット48が溶着されている。
【0021】
したがって、ブラケット40のフェンダ取付部42の上面に、フェンダパネル20の内側横壁部26が載置された状態で、ボルト47が内側横壁部26の車体上方側から挿入されてウエルドナット48に螺合されることにより、フェンダパネル20の内側横壁部26がブラケット40を介してエプロンアッパメンバ30の上面部30Aに取り付けられる。なお、ウエルドナット48を用いずに、通常のナットを用いる構成としてもよい。
【0022】
また、フェンダパネル20とエプロンアッパメンバ30の間には、略中実四角柱状の補強部材50が設けられている。この補強部材50は、ある程度の弾性変形が可能な樹脂材料で構成されており、本実施例では、例えばポリプロピレン(PP)、ポリウレタン(PU)、ポリスチレン(PS)等の樹脂材料を発泡させて構成されている。
【0023】
したがって、この補強部材50は、フェンダパネル20とエプロンアッパメンバ30の間に、弾性変形させられつつ圧入され、その弾性変形によって生じる車幅方向への復元力で保持される構成である。そして更に、この補強部材50は、エプロンアッパメンバ30に、その一部が保持されることで、フェンダパネル20とエプロンアッパメンバ30の間から脱落しない構成である。
【0024】
すなわち、図4で詳細に示すように、エプロンアッパメンバ30(エプロンアッパメンバアウタパネル32)の車幅方向外面には、矩形状の取付孔36が形成されており、この取付孔36に、補強部材50の車幅方向内面に一体に突設された略三角柱状の突起52が、弾性変形によって生じる車幅方向への復元力で嵌入(圧入)されるようになっている。
【0025】
これにより、補強部材50の一部(突起52)がエプロンアッパメンバ30に保持され、補強部材50の脱落が防止されるようになっている。なお、突起52の形状は、図示の略三角柱状に限定されるものではなく、取付孔36に嵌入(圧入)可能な形状であれば、任意の形状を採用して構わない。
【0026】
また、補強部材50のフェンダパネル20との接触面54には凹凸形状が形成されている。つまり、凹凸形状のうちの凸部54Aがフェンダパネル20との実質的な接触面54とされており、フェンダパネル20と凹部54Bとの間には所定の隙間S(図2参照)が形成されるようになっている。そして、この隙間Sから、補強部材50の上面56に入り込んだ砂や塵埃、水等が車体下方側へ流れ落ちる(除去される)ようになっている。
【0027】
なお、この凹凸形状は、フェンダパネル20と凹部54Bとの間に所定の隙間Sを形成できる構成であれば、図4で示したように、平面視で複数の山型(ギザギザ)形状となるように構成してもよいし、図5で示すように、その山型(ギザギザ)形状の車体下方側を扇状に拡開させるような形状に構成してもよい。また、この凹凸形状は、図6で示すように、複数の円錐台状の凸部54Aが規則的(或いは不規則)に突設され、その凸部54A間が凹部54Bとされる形状に構成してもよい。
【0028】
更に、図7で示すように、この補強部材50の上面56を車体前後方向へ傾斜する傾斜面56Aとしてもよいし、図8で示すように、車体前後方向へ傾斜する円弧面56Bとしてもよい。補強部材50の上面56を、このような構成にすれば、より一層、その上面56からの塵埃や水等の除去性を向上させることができる。
【0029】
なお、図2、図3で示したように、この補強部材50の上面56は、エプロンアッパメンバ30の上面部30Aから車体上方側へ突出しない構成とされている。つまり、フェンダパネル20の外側縦壁部22の車体上方側内面22Aと補強部材50の上面56との間には所定の大きさの空隙部Kが形成されている。
【0030】
したがって、図9で示すように、例えば歩行者Pがフェンダパネル20の車体上方側に衝突しても、補強部材50がフェンダパネル20の車体下方側への変形を妨げない構成である。つまり、これにより、歩行者Pに車両12から加えられる衝突荷重を低減できる構成であり、歩行者保護性能(歩行者保護のための衝撃吸収エリアH)を確保できる構成である。
【0031】
以上のような構成の車体側部構造10において、次にその作用について説明する。図2〜図9で示したように、フェンダパネル20とエプロンアッパメンバ30との間には、発泡された樹脂材料で構成された補強部材50が設けられている。
【0032】
したがって、この補強部材50は、弾性変形させられつつ、車体下方側からフェンダパネル20とエプロンアッパメンバ30との間に圧入され、その車幅方向への復元力でフェンダパネル20とエプロンアッパメンバ30との間に保持されるとともに、突起52がエプロンアッパメンバ30の取付孔36に嵌入(圧入)される。これにより、補強部材50は、フェンダパネル20とエプロンアッパメンバ30との間から脱落防止に保持される。
【0033】
なお、このとき、補強部材50のフェンダパネル20(外側縦壁部22の内面)との接触面54は凹凸形状とされているので、その圧入作業は容易である。つまり、接触面54において、フェンダパネル20(外側縦壁部22の内面)と実質的に接触(圧接)するのは、凸部54Aだけとなっており、凹凸形状とされていない場合に比べて圧入荷重が低下するので、補強部材50の圧入作業性を向上させることができる。
【0034】
また、補強部材50が発泡された樹脂材料で構成され、そのフェンダパネル20(外側縦壁部22の内面)との接触面54が凹凸形状とされていると、車両12毎のフェンダパネル20の外側縦壁部22における形状のばらつきを吸収することができ、更には、エプロンアッパメンバ30とフェンダパネル20との距離精度のばらつきをも吸収することができる。
【0035】
こうして、補強部材50がフェンダパネル20とエプロンアッパメンバ30との間に設けられるが、上記したように補強部材50のフェンダパネル20(外側縦壁部22の内面)との接触面54は凹凸形状とされているので(凸部54Aのみが接触しているので)、その凹部54Bとフェンダパネル20(外側縦壁部22の内面)との間には隙間Sが形成される。
【0036】
したがって、補強部材50の上面56に入り込んだ砂や塵埃、水等は、その隙間Sから車体下方側へ流れ落ちる。つまり、これにより、フェンダパネル20とエプロンアッパメンバ30との間に設けられる補強部材50において、その上面56における塵埃や水等の除去性を向上させることができる。
【0037】
そして、特に、その上面56を、図7、図8で示したように、車体前後方向へ傾斜する傾斜面56Aや円弧面56Bとすると(更には、接触面54へ向かって下り傾斜となる傾斜面56Aや円弧面56Bとすると)、その除去性をより一層向上させることができる。
【0038】
また、このような補強部材50を設けると、フェンダパネル20全体の張り剛性を向上させることができるため、フェンダパネル20(外側縦壁部22の外面)に車幅方向内側に向かって荷重が入力された場合でも(例えば洗車やワックスがけのときに人が掌で押した場合でも)、その局部的な変形を抑制又は防止することができる。
【0039】
具体的に説明すると、図10で示すように、補強部材50が設けられていない比較例の場合、フェンダパネル20の車体上下方向の長さをLとし、その車体上方側からL/4の位置における外側縦壁部22の外面に車幅方向内側へ荷重Fが入力されると仮定すると、フェンダパネル20の車体上方側端部である見切り部(外側縦壁部22と内側縦壁部24との境界部)が支持する反力Rは、R=(L−L/4)/L×F=3/4Fとなる。
【0040】
これに対し、図11で示すように、フェンダパネル20の車体上方側から2L/5の位置に補強部材50が設けられ、その車体上方側からL/4の位置における外側縦壁部22の外面に車幅方向内側へ荷重Fが入力されると仮定すると、フェンダパネル20の車体上方側端部である見切り部(外側縦壁部22と内側縦壁部24との境界部)が支持する反力Rは、R=(2L/5−L/4)/(2L/5)×F=3/8F=R/2となる。
【0041】
つまり、この場合には、見切り部が支持する反力Rが半減される。このように、フェンダパネル20とエプロンアッパメンバ30との間に補強部材50を設ける構成であると、フェンダパネル20(外側縦壁部22の外面)に車幅方向内側に向かって荷重が入力されたときに、補強部材50が設けられている外側縦壁部22の略中央部の変形量だけでなく、その周辺部位である見切り部の変形量をも低減することができる。
【0042】
また、このような補強部材50を設けると、同等の変形量を維持する場合、フェンダパネル20の板厚を低減しても、同等の張り剛性を確保することができる。したがって、車両12の軽量化を図ることができる。そして、これにより、フェンダパネル20を製造するうえで、材料コストの低減を図ることができる。
【0043】
以上、本実施形態に係る車体側部構造10について説明したが、本実施形態に係る車体側部構造10は、図示の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜設計変更可能である。例えば、補強部材50は、図12で示すように、上記実施例の補強部材50よりも車体前後方向へ2倍の大きさで形成し、突起52を車体前後方向へ2個並べて突設する構成としてもよい。
【0044】
この場合、エプロンアッパメンバ30に形成する取付孔36は2個必要となるが(図示省略)、所定の大きさの非貫通の穴部55(肉盗み部)を2箇所形成することで、補強部材50の軽量化及び材料コストの低減を図ることができる。また、補強部材50は、樹脂材料をブロー成形やインジェクション成形して構成してもよい。
【0045】
また、例えば図13で示すように、補強部材50の下面58を車体下方側へフェンダライナ28に達するまで延設してもよく、更には、そのフェンダライナ28に沿わせる形状としてもよい。この場合、補強部材50をフェンダライナ28によって車体下方側から支持できるので、補強部材50の脱落をより一層防止することができる。なお、図13で示すエプロンアッパメンバ30は、上記実施例と異なり、断面略ハット形状に形成されているが、このような形状のエプロンアッパメンバ30であっても、同様に適用可能である。
【0046】
また、例えば図14で示すように、補強部材50に、作業者の手指(親指を除く)が挿入可能な溝部57を形成してもよい。すなわち、この溝部57は、接触面54の一部(略中央下部分)が略矩形状に所定の深さで切り欠かれるようにして形成されており、作業者が補強部材50をフェンダパネル20とエプロンアッパメンバ30との間に設ける際に、その手指(親指を除く)を挿入して作業できるようになっている。つまり、作業者が、溝部57内に手指(親指を除く)を挿入することで、補強部材50を保持できるようになっている。
【0047】
したがって、図15で示すように、エプロンアッパメンバ30に形成されている取付孔36へ、補強部材50の突起52を確実に嵌入させる(押し込む)ことができ、その補強部材50をフェンダパネル20とエプロンアッパメンバ30との間に容易かつ確実に圧入させることができる(補強部材50の圧入作業性を更に向上させることができる)。なお、補強部材50によるフェンダパネル20の張り剛性を確保するため、この溝部57は、接触面54の一部(外周縁部)を残して形成されるようになっている。
【0048】
また更に、例えば図16で示すように、補強部材50に、作業者の親指を除く手指を挿入可能な溝部57を形成するとともに、親指を挿入可能な溝部53を形成してもよい。すなわち、この溝部53は、突起52の下方側で、かつ突起52とオフセットされた部位(例えば車体前方側寄りの所定部位)が略矩形状に所定の深さで切り欠かれるようにして形成されており、作業者が補強部材50をフェンダパネル20とエプロンアッパメンバ30との間に設ける際に(親指を除く手指を溝部57に挿入した際に)、親指を挿入して作業できるようになっている。
【0049】
つまり、作業者が、溝部57内に親指を除く手指を挿入し、溝部53内に親指を挿入することで、補強部材50を掴むことができる(保持できる)ようになっている。したがって、図17で示すように、エプロンアッパメンバ30に形成されている取付孔36へ、補強部材50の突起52を確実に嵌入させる(押し込む)ことができ、その補強部材50をフェンダパネル20とエプロンアッパメンバ30との間に容易かつ確実に圧入させることができる(補強部材50の圧入作業性を更に向上させることができる)。
【0050】
また、例えば図18で示すように、補強部材50に、作業者の手指(親指を除く)が挿入可能な穴部(溝部)59を形成してもよい。すなわち、この穴部59は、下面58の略中央部分が略矩形状に所定の深さで切り抜かれるようにして形成されており、作業者が補強部材50をフェンダパネル20とエプロンアッパメンバ30との間に設ける際に、その手指(親指を除く)を挿入して作業できるようになっている。
【0051】
つまり、作業者が、穴部59内に手指(親指を除く)を挿入することで、補強部材50を保持できるようになっている。したがって、この場合も、図19で示すように、エプロンアッパメンバ30に形成されている取付孔36へ、補強部材50の突起52を確実に嵌入させる(押し込む)ことができ、その補強部材50をフェンダパネル20とエプロンアッパメンバ30との間に容易かつ確実に圧入させることができる(補強部材50の圧入作業性を更に向上させることができる)。
【0052】
最後に、参考例として、図20で示すような樹脂製又は金属製のプレート状ブラケット60を補強部材とした場合について説明する。このブラケット60は、長手方向における所定の4箇所が屈曲形成され、かつ周縁部62の一部が折曲形成されることで、その剛性(強度)が確保される構成とされており、その上端部60Aには締結孔64が2個形成されている。そして、ブラケット60の下端部60Bにも締結孔64が2個形成されており、このブラケット60がフェンダパネル20とエプロンアッパメンバ30とを結合するようになっている。
【0053】
すなわち、図21で示すように、エプロンアッパメンバ30に穿設された締結孔38とブラケット60の上端部60Aに形成された締結孔64にボルト66を挿通し、ナット68で締結することにより、その上端部60Aがエプロンアッパメンバ30に取り付けられ、ブラケット60の下端部60Bが、フェンダパネル20の車体下方側端部に車幅方向内側に向けて形成されたフランジ部23に、溶接やボルト及びナット等の機械的接合手段(図示省略)によって取り付けられている。このような構成にしても、フェンダパネル20の外側縦壁部22をエプロンアッパメンバ30で支持することが可能となる。
【符号の説明】
【0054】
10 車体側部構造
20 フェンダパネル
30 エプロンアッパメンバ(車体骨格部材)
36 取付孔
40 ブラケット
50 補強部材
52 突起
53 溝部
54 接触面
55 穴部
56 上面
57 溝部
58 下面
59 穴部(溝部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向両側部に設けられたフェンダパネルと、
前記フェンダパネルよりも車幅方向内側で車体前後方向に延在する車体骨格部材と、
前記フェンダパネルと前記車体骨格部材との間に設けられ、前記フェンダパネルとの接触面が凹凸形状とされている補強部材と、
を備えたことを特徴とする車体側部構造。
【請求項2】
前記補強部材は、発泡された樹脂材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車体側部構造。
【請求項3】
前記補強部材に、手指が挿入可能な溝部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車体側部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−120623(P2010−120623A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89189(P2009−89189)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】