説明

車体後部構造

【課題】リアパネルの変形を防止しつつ、車体の剛性が向上する車体後部構造を提供する。
【解決手段】車体後部構造Aは、前後方向に沿って延在し、車幅方向に互いに離間して配置された一対のリアフレーム2,2と、一対のリアフレーム2,2の間に配置されたリアフロアパネル3と、各リアフレーム2,2の後端が結合されるフレーム結合部12と、リアフロアパネル3の後端が結合されるフロアパネル結合部14とを有すると共に、車幅方向に沿って延在するリアパネル1と、車幅方向に沿って延在し、リアパネル1に対して後方に離間して配置されたリアバンパビーム4と、リアパネル1とリアバンパビーム4との間に介設されたエクステンション5,5と、を備える。リアパネル1は、フレーム結合部12及びフロアパネル結合部14の近傍に、上下方向に沿って延在する縦ビード16と、車幅方向に沿って延在する横ビード18と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に適用される車体後部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に適用される従来の車体後部構造として、図8に示すように、前後方向に沿って延在し、車幅方向に互いに離間して配置された一対のリアフレーム100,100と、一対のリアフレーム100,100の間に配置されたリアフロアパネル200と、車幅方向に沿って延在し、リアフレーム100及びリアフロアパネル200の後端が結合されたリアパネル300と、車幅方向に沿って延在し、リアパネル300に対して後方に離間して配置されたリアバンパビーム400と、リアパネル300とリアバンパビーム400との間に介設された一対のエクステンション500,500と、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。
なお、図8は、従来の車体後部構造の概略平面図である。また、図9(a)は、従来の車体後部構造のリアパネル300を示す背面図であり、図9(b)は、車幅方向に沿って延在するビード700を有するリアパネル300を示す背面図である。図9(a)及び(b)においては、リアバンパビーム400及びエクステンション500を省略して描いている。
【0003】
図8に示すように、前記車体後部構造を備えた車両Cの後部が構造物や歩行者等の被衝突物と衝突したとき、リアバンパビーム400に対して前方に向かう荷重P1が加わると、リアバンパビーム400が前方に凸となるように屈曲変形する(図8の二点鎖線参照)。
そして、リアバンパビーム400が屈曲変形した後に発生する反力によって、リアバンパビーム400が元の状態に戻ろうとすると、エクステンション500の後端を車幅方向内側へ傾倒させる荷重P2が生じてしまい、その結果、リアパネル300の面に沿って車幅方向内側に向かう荷重P3が生じ、リアパネル300が変形する場合があった。
【0004】
ところで、図9(a)に示すように、リアパネル300のうち、リアフレーム100の後端が結合される部分300Aと、リアフロアパネル200の後端が結合される部分300Bと、下端縁300Cとに囲まれた領域600は、車体の剛性(リアフレーム100等の支持剛性)に対する寄与度の高い部分であるため、面剛性を高めることが望まれる。
しかし、従来のリアパネル300は、一枚板で構成されているため、領域600の面剛性が比較的低かった。
【0005】
そこで、領域600の面剛性を向上させる手段として、図9(b)に示すように、車幅方向に沿って延在するビード700を領域600に設ける方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−227069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、このような方法によると、車両Cの衝突時に、リアパネル300の面に沿って車幅方向内側に向かう荷重P3が生じると、ビード700よりも車幅方向内側の部分800に応力が局所的に集中してしまい、この部分800を基点にリアパネル300が変形する虞があった。その結果、リアバンパビーム400等の交換に加えて、リアパネル300も交換する必要があり、その分修理費用が嵩んでしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、このような観点から創案されたものであり、リアパネルの変形を防止しつつ、車体の剛性が向上する車体後部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため本発明は、前後方向に沿って延在し、車幅方向に互いに離間して配置された一対のリアフレームと、前記一対のリアフレームの間に配置されたリアフロアパネルと、前記各リアフレームの後端が結合されるフレーム結合部と、前記リアフロアパネルの後端が結合されるフロアパネル結合部とを有すると共に、車幅方向に沿って延在するリアパネルと、車幅方向に沿って延在し、前記リアパネルに対して後方に離間して配置されたリアバンパビームと、前記リアパネルと前記リアバンパビームとの間に介設されたエクステンションと、を備えた車体後部構造であって、前記リアパネルは、前記フレーム結合部及び前記フロアパネル結合部の近傍に、上下方向に沿って延在する縦ビードと、車幅方向に沿って延在する横ビードと、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、リアパネルが、フレーム結合部及びフロアパネル結合部の近傍に、上下方向に沿って延在する縦ビード及び車幅方向に沿って延在する横ビードを有するため、縦ビードにより、リアパネルの面に沿って車幅方向内側に向かう荷重を吸収且つ分散し、局所的な応力集中を回避して、リアパネルの変形を防止できると共に、横ビードにより、フレーム結合部及びフロアパネル結合部近傍のリアパネルの面剛性が向上し、車体の剛性(リアフレーム及びリアフロアパネルの支持剛性)が向上する。
【0011】
また、前記フロアパネル結合部は、前記フレーム結合部の上端近傍から車幅方向内側に向かって延在する上辺部と、前記上辺部の車幅方向内側の端部から前記リアパネルの下端縁に向かって延在し、前記フレーム結合部に対して車幅方向内側に離間する側辺部と、を含み、前記横ビードは、前記上辺部に対して下側に離間するように構成するのが好ましい。
【0012】
かかる構成によれば、フレーム結合部と、フロアパネル結合部の上辺部及び側辺部と、横ビードとに囲まれた部分がリアパネルに形成されるため、リアパネルの面剛性が一層向上し、車体の剛性が一層向上する。したがって、リアパネルが一枚板で構成された場合でも、リアパネルの面剛性を好適に確保できる。
【0013】
また、前記横ビードは、前記リアパネルの下端縁に沿って延在するように構成するのが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、横ビードが、リアパネルの下端縁に沿って延在するため、リアパネルのうちフレーム結合部と、フロアパネル結合部の上辺部及び側辺部と、リアパネルの下端縁と、で囲まれた領域の面剛性を好適に確保できる。
【0015】
また、前記縦ビードは、前記フレーム結合部と、前記フロアパネル結合部の前記上辺部及び前記側辺部と、前記リアパネルの下端縁と、で囲まれた領域内に配置されるように構成するのが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、リアパネルのうちフレーム結合部と、フロアパネル結合部の上辺部及び側辺部と、リアパネルの下端縁と、で囲まれた領域の面剛性を好適に確保しつつ、該領域内における面に沿って車幅方向内側に向かう荷重を吸収且つ分散し、局所的な応力集中を回避して、リアパネルの変形を防止できる。
【0017】
また、前記縦ビードは、前記横ビードよりも車幅方向内側に位置し、かつ、前記横ビードと車幅方向で重なるオーバーラップ部を有するように構成するのが好ましい。
【0018】
横ビードを設けた場合、横ビードよりも車幅方向内側の部分に、応力が局所的に集中するところ、かかる構成によれば、横ビードよりも車幅方向内側のオーバーラップ部で荷重を吸収且つ分散できるため、局所的な応力集中を回避して、リアパネルの変形を一層防止できる。
【0019】
前記縦ビードは、車幅方向に互いに間隔を空けて複数設けられ、複数の前記縦ビードのうち少なくとも一つが、前記フレーム結合部と、前記フロアパネル結合部の前記上辺部及び前記側辺部と、前記リアパネルの下端縁と、で囲まれた領域内に配置されると共に、前記横ビードよりも車幅方向内側に位置し、かつ、前記横ビードと車幅方向で重なるオーバーラップ部を有するように構成するのが好ましい。
【0020】
かかる構成によれば、複数の縦ビードが、車幅方向に互いに間隔を空けて設けられることにより、荷重の吸収量及び分散量が増大する。
また、リアパネルのうちフレーム結合部と、フロアパネル結合部の上辺部及び側辺部と、リアパネルの下端縁と、で囲まれた領域の面剛性を好適に確保しつつ、該領域内における面に沿って車幅方向内側に向かう荷重を吸収且つ分散できる。
更に、横ビードを設けた場合、横ビードよりも車幅方向内側の部分に、応力が局所的に集中するところ、かかる構成によれば、横ビードよりも車幅方向内側のオーバーラップ部で荷重を吸収且つ分散できる。
したがって、かかる構成により、局所的な応力集中を回避して、リアパネルの変形を一層防止できる。
【0021】
また、前記オーバーラップ部は、上方から下方に向かうにつれて車幅方向内側に傾斜しているように構成するのが好ましい。
【0022】
かかる構成によれば、横ビードよりも車幅方向内側のオーバーラップ部で荷重を吸収且つ分散できるため、局所的な応力集中を回避して、リアパネルの変形を一層防止できる。
【0023】
また、前記横ビードは、上下方向に互いに間隔を空けて複数設けられているように構成するのが好ましい。
【0024】
かかる構成によれば、複数の横ビードが、上下方向に互いに間隔を空けて設けられることにより、リアパネルの面剛性が一層向上し、車体の剛性が一層向上する。
また、縦ビード及び横ビードの個数等を適宜調整することで、リアパネルの荷重吸収性及び荷重分散性とリアパネルの面剛性とのバランスを最適化でき、様々な車種に対応できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、リアパネルの変形を防止しつつ、車体の剛性が向上する車体後部構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る車体後部構造を示す概略平面図である。
【図2】リアパネルを示す斜視図である。
【図3】リアパネルを示す背面図である。
【図4】図2のX−X線断面図である。
【図5】(a)及び(b)は、変形例に係る車体後部構造のリアパネルを示す背面図である。
【図6】(a)及び(b)は、変形例に係る車体後部構造のリアパネルを示す背面図である。
【図7】変形例に係る車体後部構造のリアパネルを示す背面図である。
【図8】従来の車体後部構造の概略平面図である。
【図9】(a)は、従来の車体後部構造のリアパネルを示す背面図であり、(b)は、車幅方向に沿って延在するビードを有するリアパネルを示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
なお、本実施形態では、「前後」、「上下」、「左右」は、車両Cを基準にする。また、「車幅方向」とは「左右方向」と同義である。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る車体後部構造Aを示す概略平面図である。
図1に示すように、車体後部構造Aは、前後方向に沿って延在し、車幅方向に互いに離間して配置された一対のリアフレーム2,2と、リアフレーム2,2の間に配置されたリアフロアパネル3と、前面1aにリアフレーム2,2及びリアフロアパネル3の後端が結合され、車幅方向に沿って延在するリアパネル1と、車幅方向に沿って延在し、リアパネル1に対して後方に離間して配置されたリアバンパビーム4と、リアパネル1とリアバンパビーム4との間に介設された一対のエクステンション5,5と、を備えて構成されている。
【0029】
リアフレーム2は、例えば、中空四角形状の金属製の部材で構成される。リアフレーム2の後端には、フランジ部21が上下及び左右に向かって延出形成されている(図1及び図3参照)。フランジ部21の適所には、ボルトBが挿通される図示しないボルト挿通孔が形成されている。
【0030】
リアフロアパネル3は、例えば、段差状に屈曲形成された金属製の板状部材で構成される。リアフロアパネル3は、リアフレーム2,2の間にスペアタイヤ等を収容するための凹部3aを有する(図1及び図3参照)。リアフロアパネル3の左右両端側は、リアフレーム2の上方に配置されている。
【0031】
リアバンパビーム4は、車両Cの後部が構造物や歩行者等の被衝突物と衝突したとき、変形することによって衝突エネルギ(衝突荷重)を吸収して被衝突物への衝撃を軽減すると共に、車両Cやその乗員への衝撃荷重を軽減する機能を有する。リアバンパビーム4は、例えば、中空四角形状の金属製の部材で構成される。
【0032】
エクステンション5は、例えば、中空四角形状の金属製の部材で構成される。エクステンション5の前端には、フランジ部51が上下及び左右に向かって延出形成されている(図1及び図2参照)。フランジ部51の適所には、ボルトBが挿通される図示しないボルト挿通孔が形成されている。エクステンション5の前端面(フランジ部51)は、リアパネル1の後面1bに突き合わされている。この突き合わされた部分に沿うように溶接が施されると共に、ボルトBが締結されることで、リアパネル1とエクステンション5とが互いに連結されている。エクステンション5は、リアパネル1を挟んでリアフレーム2と反対側に配置されると共に、リアフレーム2と前後方向で重なるように配置されている。
【0033】
図2は、リアパネル1を示す斜視図であり、図3は、リアパネル1を示す背面図であり、 図4は、図2のX−X線断面図である。なお、図2−図4においては、説明の便宜上、リアバンパビーム4やエクステンション5を適宜省略して描いている。また、本実施形態では、リアパネル1の右側部1cと左側部1dは、左右対称となるため、以下の説明においては右側部1cのみを説明し、左側部1dの説明は省略することとする。
リアパネル1は、図1及び図2に示すように、リアフレーム2、リアフロアパネル3及びエクステンション5を支持するための金属製の板状部材である。リアパネル1の適所には、図3に示すように、ボルトBが挿通されるボルト挿通孔1f,1fが形成されている。
【0034】
リアパネル1の右側部1cの前面1aには、図1に示すように、リアフレーム2の後端面(フランジ部21)が突き合わされている。この突き合わされた部分に沿うように溶接が施されると共に、ボルトBが締結されることで、リアパネル1とリアフレーム2とが互いに連結されている。本実施形形態では、リアパネル1のボルト挿通孔1fと、リアフレーム2のボルト挿通孔と、エクステンション5のボルト挿通孔とにボルトBを挿通して、これらの部材を一体的に締結している。
なお、図3のフレーム結合部12は、リアパネル1のうちリアフレーム2が結合(当接固定)される部分である。
【0035】
リアパネル1の右側部1cの前面1aには、図1及び図3に示すように、リアフレーム2(フレーム結合部12)と干渉しない位置に、リアフロアパネル3の後端面が突き合わされている。この突き合わされた部分に沿うように溶接が施されることで、リアパネル1とリアフロアパネル3とが互いに連結されている。
なお、図3のフロアパネル結合部14は、リアパネル1のうちリアフロアパネル3が結合(当接固定)される部分である。
【0036】
フロアパネル結合部14は、図3に示すように、フレーム結合部12の上端12aの上方から車幅方向内側に向かって延在する略直線状の上辺部14aと、上辺部14aの車幅方向内側の端部から斜め下方に(リアパネル1の下端縁1eに)向かって延在する側辺部14bと、を含む。上辺部14aは、下端縁1eに対して上方に離間しており、側辺部14bは、フレーム結合部12に対して車幅方向内側に離間している。
【0037】
また、リアパネル1は、フレーム結合部12及びフロアパネル結合部14の近傍に、上下方向に沿って延在する複数の縦ビード16(16A−16E)と、車幅方向に沿って延在する横ビード18と、を有している。
【0038】
縦ビード16は、リアパネル1の面に沿って車幅方向内側に向かう荷重を吸収且つ分散する機能を有する。縦ビード16は、図3及び図4に示すように、後方に向かって突出形成されており、車幅方向に互いに等しい間隔を空けて設けられている。縦ビード16のうち最も車幅方向内側に位置する縦ビード16Aは、下端部16aが横ビード18の車幅方向内側に位置すると共に、横ビード18と車幅方向で重なるように設けられている。縦ビード16Aの下端部16aは、上方から下方に向かうにつれて車幅方向内側に傾斜している。本実施形態では、縦ビード16Aの下端部16aが、特許請求の範囲でいう「オーバーラップ部」に相当する。
なお、縦ビード16は、前方に向かって突出形成されてもよいし、不等間隔で設けられてもよい。また、本実施形態では、縦ビード16Aの下端部16aが上方から下方に向かうにつれて車幅方向内側に傾斜するように形成されているが、下端部16aを傾斜させずに、縦ビード16Aが直線状に形成されてもよい。
【0039】
横ビード18は、リアパネル1の面剛性を高める機能を有する。横ビード18は、図3に示すように、リアパネル1の下端縁1eに沿って延在していると共に、上辺部14aに対して下方に離間している。本実施形態の横ビード18は、図4に示すように、後方に向かって突出形成されているが、前方に向かって突出形成されてもよい。また、本実施形態の横ビード18は、図4に示すように、長手方向に直交する断面形状がU字状(円弧状)に形成されているが、これに限定されることなく、例えば、V字状やコ字状等に形成されてもよい。
なお、縦ビード16の長手方向に直交する断面形状は、横ビード18と同様にU字状等に形成される。
【0040】
縦ビード16及び横ビード18は、図3に示すように、フレーム結合部12と、フロアパネル結合部14の上辺部14a及び側辺部14bと、下端縁1eとに囲まれた領域T内に設けられている。
また、リアパネル1には、フレーム結合部12と、フロアパネル結合部14の上辺部14a及び側辺部14bと、横ビード18とに囲まれた部分が形成されている。
【0041】
本発明の実施形態に係る車体後部構造Aは、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、車体後部構造Aの作用効果について説明する。
【0042】
本実施形態の車体後部構造Aによれば、リアパネル1が、フレーム結合部12及びフロアパネル結合部14近傍の領域Tに、上下方向に沿って延在する縦ビード16及び車幅方向に沿って延在する横ビード18を有するため、縦ビード16により、リアパネル1の面に沿って車幅方向内側に向かう荷重を吸収且つ分散し、局所的な応力集中を回避して、リアパネル1の変形を防止できると共に、横ビード18により、リアパネル1の領域Tの面剛性が向上し、車体の剛性が向上する。
【0043】
特に、本実施形態では、複数の縦ビード16A−16Eが、車幅方向に互いに等しい間隔を空けて設けられることにより、荷重の吸収量及び分散量が増大し、局所的な応力集中を一層回避して、リアパネル1の変形を一層防止できる。
また、縦ビード16のうち最も車幅方向内側に位置する縦ビード16Aの下端部16aが、横ビード18の車幅方向内側に位置し、横ビード18と車幅方向で重なっていると共に、上方から下方に向かうにつれて車幅方向内側に傾斜していることにより、横ビード18よりも車幅方向内側の縦ビード16Aの下端部16a(横ビード18の車幅方向内側の端部近傍)で荷重を吸収且つ分散できるため、横ビード18よりも車幅方向内側の部分における局所的な応力集中を回避して、リアパネル1の変形をより一層防止できる。
【0044】
また、フレーム結合部12と、フロアパネル結合部14の上辺部14a及び側辺部14bと、横ビード18とに囲まれた部分がリアパネル1に形成されるため、リアパネル1の面剛性が一層向上し、車体の剛性が一層向上する。したがって、リアパネル1が一枚板で構成された場合でも、リアパネル1の面剛性を好適に確保できる。
【0045】
特に、本実施形態では、横ビード18が、リアパネル1の下端縁1eに沿って延在すると共に、縦ビード16が、リアパネル1のうちフレーム結合部12と、フロアパネル結合部14の上辺部14a及び側辺部14bと、リアパネル1の下端縁1eと、で囲まれた領域T内に配置されるため、領域Tの面剛性を好適に確保しつつ、該領域T内における面に沿って車幅方向内側に向かう荷重を吸収且つ分散し、局所的な応力集中を回避して、リアパネル1の変形を防止できる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本発明は、縦ビード16及び横ビード18が領域Tに混在していればよく、縦ビード16及び横ビード18の個数、配置パターン、配置間隔、寸法(長さ寸法・幅寸法・高さ寸法)等は、本実施形態のものに限定されない。
【0047】
例えば、図5(a)に示すように、前記した実施形態よりも縦ビード16の個数を増加すると共に、横ビード18の長さ寸法を小さくしてもよい。
このようにすると、前記した実施形態よりも荷重の吸収量及び分散量を増大できる。
【0048】
また、図5(b)に示すように、前記した実施形態よりも下端部16aが横ビード18の車幅方向内側に位置すると共に、横ビード18と車幅方向で重なるように設けられた縦ビード16の個数を増加すると共に、横ビード18の長さ寸法を小さくしてもよい。
このようにすると、前記した実施形態よりも荷重の吸収量及び分散量を増大できる。
【0049】
また、図6(a)に示すように、前記した実施形態よりも横ビード18の長さ寸法を大きくしてもよい。
このようにすると、前記した実施形態よりもリアパネル1の面剛性が向上し、車体の剛性が向上する。
【0050】
また、図6(b)に示すように、前記した実施形態よりも横ビード18の個数を増加し、上下方向に互いに等しい間隔を空けて複数の横ビード18を設けてもよい。
このようにすると、前記した実施形態よりもリアパネル1の面剛性が向上し、車体の剛性が向上する。
なお、横ビード18は、不等間隔で設けられてもよい。
【0051】
以上説明したように、縦ビード16及び横ビード18の個数等を適宜調整することで、リアパネル1の荷重吸収性及び荷重分散性とリアパネル1の面剛性とのバランスを最適化でき、様々な車種に対応できる。
【0052】
また、図7に示すように、横ビード18を挟んで上下に2つずつ縦ビード16,16を設けると共に、横ビード18の車幅方向内側に縦ビード16を設けるようにしてもよい。本変形例では、横ビード18の車幅方向内側の縦ビード16は、中間部16bが横ビード18の車幅方向内側に位置すると共に、横ビード18と車幅方向で重なるように設けられている。また、縦ビード16の中間部16bは、上方から下方に向かうにつれて車幅方向内側に傾斜している。本変形例では、縦ビード16の中間部16bが、特許請求の範囲でいう「オーバーラップ部」に相当する。
このようにしても、前記した実施形態と略同等の作用効果を奏する。
【0053】
また、本実施形態では、リアパネル1の右側部1cと左側部1dとが左右対称で構成されたが、左右非対称で構成されてもよい。すなわち、右側部1cに設けられる縦ビード16及び横ビード18の個数等と、左側部1dに設けられる縦ビード16及び横ビード18の個数等とを異なるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0054】
C 車両
A 車体後部構造
1 リアパネル
1a 前面
1b 後面
1e 下端縁
12 フレーム結合部
12a 上端
14 フロアパネル結合部
14a 上辺部
14b 側辺部
16(16A−16E) 縦ビード
16a 下端部(オーバーラップ部)
16b 中間部(オーバーラップ部)
18 横ビード
2 リアフレーム
3 リアフロアパネル
4 リアバンパビーム
5 エクステンション
T 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に沿って延在し、車幅方向に互いに離間して配置された一対のリアフレームと、
前記一対のリアフレームの間に配置されたリアフロアパネルと、
前記各リアフレームの後端が結合されるフレーム結合部と、前記リアフロアパネルの後端が結合されるフロアパネル結合部とを有すると共に、車幅方向に沿って延在するリアパネルと、
車幅方向に沿って延在し、前記リアパネルに対して後方に離間して配置されたリアバンパビームと、
前記リアパネルと前記リアバンパビームとの間に介設されたエクステンションと、を備えた車体後部構造であって、
前記リアパネルは、前記フレーム結合部及び前記フロアパネル結合部の近傍に、上下方向に沿って延在する縦ビードと、車幅方向に沿って延在する横ビードと、を有することを特徴とする車体後部構造。
【請求項2】
前記フロアパネル結合部は、
前記フレーム結合部の上端近傍から車幅方向内側に向かって延在する上辺部と、
前記上辺部の車幅方向内側の端部から前記リアパネルの下端縁に向かって延在し、前記フレーム結合部に対して車幅方向内側に離間する側辺部と、を含み、
前記横ビードは、前記上辺部に対して下側に離間することを特徴とする請求項1に記載の車体後部構造。
【請求項3】
前記横ビードは、前記リアパネルの下端縁に沿って延在することを特徴とする請求項2に記載の車体後部構造。
【請求項4】
前記縦ビードは、前記フレーム結合部と、前記フロアパネル結合部の前記上辺部及び前記側辺部と、前記リアパネルの下端縁と、で囲まれた領域内に配置されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の車体後部構造。
【請求項5】
前記縦ビードは、前記横ビードよりも車幅方向内側に位置し、かつ、前記横ビードと車幅方向で重なるオーバーラップ部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の車体後部構造。
【請求項6】
前記縦ビードは、車幅方向に互いに間隔を空けて複数設けられ、
複数の前記縦ビードのうち少なくとも一つが、前記フレーム結合部と、前記フロアパネル結合部の前記上辺部及び前記側辺部と、前記リアパネルの下端縁と、で囲まれた領域内に配置されると共に、前記横ビードよりも車幅方向内側に位置し、かつ、前記横ビードと車幅方向で重なるオーバーラップ部を有することを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載の車体後部構造。
【請求項7】
前記オーバーラップ部は、上方から下方に向かうにつれて車幅方向内側に傾斜していることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の車体後部構造。
【請求項8】
前記横ビードは、上下方向に互いに間隔を空けて複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の車体後部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−111307(P2012−111307A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260814(P2010−260814)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】