説明

車体構造

【課題】ドアとピラーとの間における引張荷重の伝達効率を高めて、側面衝突時の車体変形を抑制できる車体構造を提供する。
【解決手段】フロントドア3の後端部とリヤドア5の前端部にそれぞれ係合突起15a、16aが設けられ、また、センタピラー2の前後に係合孔11a、11bが設けられている。ドア閉状態では、係合突起15a、16aが係合孔11a、11bに挿入された状態になり、これにより、車両側面衝突時の衝突荷重は、フロントドア3、センタピラー2、リヤドア5の間で車両前後方向に伝達されて分散され、車室内側への変形が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアとピラーとの間における引張荷重の伝達効率を高めて、側面衝突時における車体の変形を抑制する車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
4ドアタイプの自動車の場合、フロントピラーとセンタピラーの間のフロントドア開口にフロントドアが設けられ、センタピラーとリヤピラーの間のリヤドア開口にリヤドアが設けられている。フロントドアはドアヒンジを介してフロントピラーに支持されており、リヤドアはドアヒンジを介してセンタピラーに支持されている。
【0003】
例えば特許文献1には、車両前面衝突の衝突荷重を分散する構造として、フロントピラーに、前面衝突荷重をフロントドアに伝達してフロントピラーの後退を防止するバルクヘッドが設けられている。このバルクヘッドはボックス形状をしており、衝突時にフロントドアの前端と係合することにより、フロントピラーに加わる前面衝突荷重をフロントドアに分散する構造になっている。
【特許文献1】特許第3690593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の車体構造は、前面衝突時にフロントピラーに加わる後向きの衝突荷重をフロントドアに伝達する構造であって、側面衝突時にドアの車室内側への変形を抑制できる構造になっていない。
【0005】
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたものであり、側面衝突時の車幅方向内側への変形を抑制できる車体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車体構造は、フロントドアとセンタピラーとの間、センタピラーとリヤドアとの間に、側面衝突時の車幅方向内側への変形に伴って生じる車両前後方向での引張荷重を伝達可能な連結構造を設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車体構造によれば、側面衝突時にフロントドアとリヤドアがそれぞれセンタピラーと係合して車両前後方向に引張荷重が伝達されるため、側面衝突時における車幅方向内側への変形が抑制されることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
「第1実施形態」
以下、本発明の第1実施形態を図1〜図12を用いて説明する。図1は第1実施形態の車体構造を示す車室内側から見た側面図、図2はウエストレインフォースを示す斜視図、図3は図1中のA−A断面図、図4は図3中のセンタピラー周辺を拡大して示す拡大断面図、図5はセンタピラー周辺の斜視図、図6はセンタピラーの前側に設けられた第1の連結構造を示す断面図、図7はセンタピラーの後側に設けられた第2の連結構造を示す断面図、図8はセンタピラーの後側に設けられた第2の連結構造のドア側係合部として係合突起を示す拡大断面図、図9はセンタピラーの前側に設けられた第1連結構造のピラー側係合部としての係合孔を示す斜視図、図10は図3中のフロントドア周辺を拡大して示す拡大断面図、図11は図3中のリヤドア周辺を拡大して示す拡大断面図、図12は側面衝突時におけるセンタピラー周辺の変形状態を示す断面図である。
【0010】
まず、本実施形態の車体構造の概略を説明する。
【0011】
図1に示すように、フロントピラー1とセンタピラー2の間に画成されるフロントドア開口30には、当該フロントドア開口30を開閉自在なフロントドア3が設けられ、センタピラー2とリヤピラー4の間に画成されるリヤドア開口50には、当該リヤドア開口50を開閉自在なリヤドア5が設けられている。
【0012】
ドア
フロントドア3及びリヤドア5は、図1に示すように、それぞれフロントドア本体3c及びリヤドア本体5cからサイドウィンドウガラス3d、5dを昇降自在に設けた構造である。このときフロントドア本体3c及びリヤドア本体5cの上縁部がドアウエストラインWとなる。
【0013】
フロントドア本体3cおよびリヤドア本体5cは、図3に示すように、それぞれフロントドアインナ3aとフロントドアアウタ3b、リヤドアインナ5aとリヤドアアウタ5bから構成された閉断面構造になっている。フロントドアインナ3a及びリヤドアインナ5aには、それぞれドアウエストラインWに近い上部に内部側から、車両前後方向に向けて当該ドア3、5の略全幅に亘って延びるウエストレインフォース(補強部材)13、14が取り付けられている(図1、2参照)。フロントドアインナ3aとリヤドアインナ5aの更に車室内側は図示せぬドアトリムが取り付けられる。
【0014】
フロントドア3は、図3に示すように、その前端部が、ドアヒンジ7を介してフロントピラー1に回動自在に取り付けられ、その後端部が、ドアラッチ装置25(図1参照)を介してセンタピラー2に係合することで閉状態が維持されるようになっている。
【0015】
また、リヤドア5は、同じく図3に示すように、その前端部が、ドアヒンジ8を介してセンタピラー2に回動自在に取り付けられ、その後端部が、ドアラッチ装置26(図1参照)を介してリヤピラー4に係合することで閉状態が維持されるようになっている。例えば、フロントドア3のドアラッチ装置25は、フロントドア3の後端部に設けられた図示せぬラッチと、センタピラー2に設けられ当該ラッチと係合する図示せぬストライカと、を備えて構成され、また、リヤドア5のドアラッチ装置26は、リヤドア5の後端部に設けられた図示せぬラッチと、リヤピラー4に設けられ当該ラッチと係合する図示せぬストライカと、を備えて構成される。
【0016】
ピラー
次に、ピラー1、2、4の概略構造について説明する。
【0017】
フロントピラー1、センタピラー2、リヤピラー4は、図3に示すように、基本的に車内側のインナーパネルと車外側のアウターパネルとを合わせた閉断面構造になっており、より具体的には以下のように構成されている。
【0018】
センタピラー2は、図3に示すように、車室内側の断面略コ字状のセンタピラーインナ2aと車室外側の断面略コ字状のセンタピラーアウタ2bとを組み合わせた閉断面構造として構成されている。センタピラーインナ2aとセンタピラーアウタ2bの前後はそれぞれ平板状のフランジ2fa、2fbとして突出しており、前側のフランジ2fa同士、後側のフランジ2fb同士が互いに接合される。
【0019】
フロントピラー1は、図3に示すように、車幅方向内側の略断面コ字状のフロントピラーインナ1aと車幅方向外側の略断面コ字状のフロントピラーアウタ1bとを組み合わせた閉断面構造として構成されている。フロントピラーインナ1aとフロントピラーアウタ1bの後端部は平板状のフランジ1fとして突出し、これらフロントピラーインナ1aおよびフロントピラーアウタ1bのフランジ1f同士が互いに接合される。
【0020】
リヤピラー4は、図3に示すように、車幅方向内側の断面略コ字状のリヤピラーインナ4aと車幅方向外側の断面略コ字状のリヤピラーアウタ4bとを組み合わせた閉断面構造として構成されている。リヤピラーインナ4aとリヤピラーアウタ4bの前端部にはそれぞれ平板状のフランジ4fが突出しており、これらフランジ4f同士が互いに接合される。
【0021】
連結構造
次に、本実施形態の主な特徴点としての連結構造について説明する。本実施形態では、車両側面衝突時に車幅方向内側へ変形することを抑制するために、センタピラー2の前端部とフロントドア3の後端部との間に、第1の連結構造(11a、15a)が設けられ、センタピラー2の後端部とリヤドア5の前端部との間に、第2の連結構造(11b、16a)が設けられ、フロントピラー1の後端部とフロントドア3の前端部との間に、第3の連結構造(9a、19a)が設けられ、リヤピラー4の前端部とリヤドア5の後端部との間に、第4の連結構造(12a、20a)が設けられている。
【0022】
以下、各連結構造について説明する。
【0023】
第1の連結構造および第2の連結構造
図3に示すように、センタピラー2には、フックパネル11が接合されている。このフックパネル11は、両ドア3、5のウエストレインフォース13、14と同じ高さに設けられ、これらウエストレインフォース13、14の間をつなぐように配置されている(図1参照)。フックパネル11は、車両前後方向に沿って真っ直ぐ延在する平板で構成されており、その中間部分がセンタピラー2内に収められる一方で、その前端部11cおよび後端部11dがセンタピラー2外に露出している。
【0024】
このとき、フックパネル11はその突出前端部11cおよび突出後端部11dの根本部分が、当該センタピラー2の前後のフランジ2fa、2fbにそれぞれ挟持された状態でセンタピラー2に接合されているため、突出端部11c、11dの取付強度が高くなる。
【0025】
このフックパネル11の突出前端部11cには、縦方向に長孔状の係合孔11aが形成されており(図9参照)、この係合孔11aが本発明の「第1の連結構造のピラー側係合部」となる。
【0026】
またフックパネル11の突出後端部11dにも、縦方向に長孔状の係合孔11bが形成されており(図9参照)、この係合孔11bが、本発明の「第2の連結構造のピラー側係合部」となる。なお、センタピラー2のフランジ2fa、2fbの一部には、フックパネル11の係合孔11a、11bに対応する位置に切欠部27が形成されている(図9参照)。
【0027】
そして、図3に示すように、センタピラー2の前端の係合孔11a(第1の連結構造のピラー側係合部)に対向する位置には、フロントドア3の後端部に金属製のフック体15が取り付けられ、また、センタピラー2の後端の係合孔11b(第2の連結構造のピラー側係合部)に対向する位置には、リヤドア5の前端部に、金属製のフック体16が取り付けられている。
【0028】
フロントドア3の後端部に設けられたフック体15は、図3に示すように、ウエストレインフォース13と共に裏側から当てられたバックパネル17を用いてネジ18によりフロントドアインナ3aに固定されている(図4、6参照)。このフック体15は、車室内側に向けて突出した係合突起15aを備えており、当該係合突起15aがフロントドア3の閉状態においてセンタピラー2の前端部の係合孔11aに挿入されている。
【0029】
一方、リヤドア5の前端部に設けられたフック体16は、図3に示すように、ウエストレインフォース14と共に裏側から当てられたバックパネル17を用いてネジ18によりリヤドアインナ5a固定されている(図4、7参照)。このフック体16は、車室内側に向けて突出した係合突起16aを備えており、当該係合突起16aがリヤドア5の閉状態においてセンタピラー2の後部の係合孔11bに挿入されている。
【0030】
このように、フロントドア3の後端部の係合突起15aがセンタピラー2の前端部の係合孔11aに挿入され、リヤドア5の前端部の係合突起16aがセンタピラー2の後端部の係合孔11bに挿入されているため、図12に示すように車両側面衝突時にフロントドア3、センタピラー2、リヤドア5が車室内側へ変形することに伴ってフロントドア3とセンタピラー2とリヤドア5とが車両前後方向に向けて互いに離間する方向に相対変形しようとすると、フロントドア3の係合突起15aがセンタピラー2の係合孔11aの周縁に引っかかるとともにリヤドア5の係合突起16aがセンタピラー2の係合孔11bの周縁に引っかかり、これらフロントドア3とセンタピラー2とリヤドア5とが車両前後方向へ離間しようとすることが阻止されて、フロントドア3、センタピラー2、リヤドア5が車室内側へさらに変形していくことが阻止されることとなる。
【0031】
つまり、フロントドア3後端部の係合突起15a(第1の連結構造のドア側係合部)と、センタピラー2の前端部の係合孔11a(第1の連結構造のピラー側係合部)と、により、車両側面衝突時に連結して車両前後方向に沿う引張荷重を伝達する「第1の連結構造」が構成される。また、リヤドア5の前端部の係合突起16a(第2の連結構造のドア側係合部)と、センタピラー2の後端部の係合孔11b(第2の連結構造のピラー側係合部)と、により、車両側面衝突時に連結して車両前後方向に沿う引張荷重を伝達する「第2の連結構造」が構成される。
【0032】
第3の連結構造
フロントピラー1には、図3、10に示すように、フックパネル9が接合されている。このフックパネル9は、フロントドア3のウエストレインフォース13と同じ高さに配置され(図1参照)、車両前後方向に沿って延在する略平板状の板部材で構成されている。フックパネル9の前部9bは、フロントピラー1内においてフロントピラーインナ1aに取り付けられ、フックパネル9の後部9cは、フロントピラー1後端のフランジ1fからフロントピラー1外に突出している。このとき、フックパネル9はフロントピラー1の両フランジ1f間に挟持された状態でフロントピラー1に接合されているため、フロントピラー1への取付強度が高くなっている。
【0033】
また、フロントピラー1の車内側の面には、車幅方向に延びる剛性パイプ状のステアリングメンバ10が、取付用ブラケット10aを介して結合されている。取付用ブラケット10aは、フロントピラーインナ1aに沿って設けられ、その一部が後方に延長されて前記フックパネル9の突出後部9cに車室内側から重合されている。そのため、フックパネル9の突出後部9c自体の剛性も高くなる。
【0034】
このフックパネル9の突出後部9cには、縦方向に長孔状の係合孔9aが形成されており、当該係合孔9aが本発明の「第3の連結構造のピラー側係合部」となる。なお、フックパネル9の突出後部9cに重合される取付用ブラケット10aの延長部には、フックパネル9の係合孔9aに合わせて長孔状の係合孔が形成されている。
【0035】
そして、図3に示すように、フロントピラー1の後端の係合孔9aに対向する位置には、フロントドア3の前端部に、金属製のフック体19が取り付けられている。このフック体19は、図3に示すように、ウエストレインフォース13と共に裏側から当てられたバックパネル17を用いてネジ18によりフロントドアインナ3aに固定されている。このフック体19は、車室内側に向けて突出した係合突起19aを備えており、当該係合突起19aが、フロントドア3の閉状態においてフロントピラー1の後端部の係合孔9aに挿入される。
【0036】
そのため、フロントピラー1の後端部の係合孔9a(第3の連結構造のピラー側係合部)とフロントドア3の前端部の係合突起19a(第3の連結構造のドア側係合部)とにより「第3の連結構造」が構成され、第2の連結構造と略同様に作用効果が発揮されることとなる。
【0037】
第4の連結構造
リヤピラー4には、図3、11に示すように、フックパネル12が接合されている。このフックパネル12は、リヤドア5のウエストレインフォース14と同じ高さに配置され(図1参照)、車両前後方向に沿って延在する略平板状の板部材で構成されている。フックパネル12の後部12bは、リヤピラー4内においてリヤピラーインナ4aに沿って取り付けられ、フックパネル12の前部12cが、リヤピラー4前端のフランジ4fからリヤピラー4外に突出している。
【0038】
このとき、フックパネル12は、リヤピラー4の両フランジ4f間に挟持された状態でリヤピラー4に接合されているため、リヤピラー4への取付強度が高くなっている。また、リヤピラー4内には、当該フックパネル12を介してリヤピラーレインフォース4dがリヤピラーインナ4aに取り付けられており、フックパネル12のリヤピラー4に対する取付強度が高くなっている。
【0039】
このフックパネル12の突出前部12cには、縦方向に長孔状の係合孔12aが形成されており、当該係合孔12aが本発明の「第4の連結構造のピラー側係合部」となる。
【0040】
そして、図3、11に示すように、リヤピラー4の先端の係合孔12a(第4の連結構造のピラー側係合部)に対応して、リヤドア5の後端部には金属製のフック体20が取り付けられている。このフック体20は、図3、11に示すように、ウエストレインフォース14と共に裏側から当てられたバックパネル17を用いてネジ18によりリヤドアインナ5a固定されている。このフック体20は、車室内側に向けて突出した係合突起20aを備えており、当該係合突起20aがリヤドア5の閉状態においてリヤピラー4の前端部の係合孔12aに挿入される。
【0041】
そのため、リヤピラー4の前端部の係合孔12a(第4の連結構造のドア側係合部)とリヤドア5の前端部の係合突起20a(第4の連結構造のドア側係合部)とにより「第4の連結構造」が構成され、第1の連結構造と略同様に作用効果が発揮される。
【0042】
係合突起
次に、本実施形態の係合突起の形状の特徴点を説明する
フロントドア3の前側の係合突起19aおよび後側の係合突起15aは、図10に示すように、先端から基端に向けて徐々に厚さが大きくなる形状をしており、それぞれフロントドア3のドアヒンジ7を中心とした半径R1、R2の円弧軌跡T1、T2に沿って延在している。そのため、係合突起19a、15aは、円弧軌跡T1、2に沿って係合孔9a、11a内に出入りする関係となるため、係合孔9a、11aの前後幅を十分に小さく設定でき、これにより、見栄えの向上と強度の向上を同時に図ることができる。
【0043】
また、リヤドア5の前側の係合突起16aおよび後側の係合突起20aも、図11に示すように、先端から基端に向けて徐々に厚さが大きくなる形状をしており、それぞれリヤドア5のドアヒンジ8を中心とした半径R1、R2の円弧軌跡T1、T2に沿った湾曲形状をしているため、係合孔11b、12aの幅を十分に小さく設定することができ、これにより、見栄えの向上と強度の向上を同時に図ることができる。
【0044】
次に作用を説明する。
【0045】
係合突起15a、16a、19a、20a及び係合孔9a、11a、11b、12aは、前述のように各ドアヒンジ7、8を中心とした円弧軌跡T1、T2に合致した湾曲状態で形成されているため、係合孔9a、11a、11b、12aの前後幅が小さくても、フロントドア3及びリヤドア5の開閉の支障とならない。そして、ドア閉状態では、各係合突起15a、16a、19a、20aが各係合孔9a、11a、11b、12aへ進入する。
【0046】
この状態で、図12に示すように、車体の側面から衝突荷重Fがフロントドア3やリヤドア5に加わった場合、フロントドア3やリヤドア5がセンタピラー2を中心にして車室内側へ変形しようとする。このとき、フロントドア3とリヤドア5がセンタピラー2から離れて車室内側へ大きく変形しようとする引張荷重が生じるが、フロントドア3及びリヤドア5の係合突起15a、16aが、それぞれセンタピラー2の前後の係合孔11a、11bの周縁に係合するため、引張荷重がセンタピラー2を介して前後に伝達されて分散され、引張荷重に抗する反力が働いて、フロントドア3及びリヤドア5の車室内側への変形は抑制されることとなる。つまり、本実施形態の車体構造では、側面衝突時に車室内側への変形を抑制できる。
【0047】
次に、本実施形態の主な効果を列挙する。
【0048】
(1)本実施形態の車体構造は、フロントドア3の閉状態でフロントドア3の後端部とセンタピラー2とを連結し、車両側面衝突時に車幅方向内側への変形に伴ってフロントドア3とセンタピラー2との間に生じる車両前後方向への引張荷重をこれらフロントドア3とセンタピラー2との間で伝達する第1の連結構造(この例では係合突起15a、係合孔11a)と、リヤドア5の閉状態でセンタピラー2とリヤドア5の前端部とを連結し、車両側面衝突時に車幅方向内側への変形に伴ってセンタピラー2とリヤドア5との間に生じる車両前後方向への引張荷重をこれらセンタピラー2とリヤドア5との間で伝達する第2の連結構造(この例では係合突起16a、係合孔11b)と、を備える。
【0049】
そのため、フロントドア3とセンタピラー2との間の引張荷重ならびにリヤドア5とセンタピラー2との間の引張荷重の伝達効率が向上し、側面衝突時におけるフロントドア3及びリヤドア5の車室内側への変形を抑制できる。
【0050】
尚、フロントドア3とセンタピラー2の連結構造15a、11a及びリヤドア5とセンタピラー2との連結構造16a、11bは、引張荷重だけでなく、車両の前面衝突の場合は、前後方向での圧縮荷重も伝達して分散させ、車体の前後方向での潰れ変形を抑制することもできる。
【0051】
(2)また本実施形態では、センタピラー2の前側の連結構造15a、11aと後側の連結構造16a、11bとが(つまり、第1の連結構造15a、11aと第2の連結構造16a、11bとが)、車幅方向において互いに干渉する位置に設けられるとともに高さ方向において互いに干渉する位置に設けられている。言い換えると、第1の連結構造15a、11aと第2の連結構造16a、11bとは、車両前後方向からみて互いに干渉する位置(互いに重なり合う位置)に設けられている。
【0052】
そのため、センタピラー2の前側の連結構造15a、11aと後側の連結構造16a、11bとの相対距離を小さくすることができ、これにより、引張荷重の伝達効率を更に高めることができる。
【0053】
(3)特に、本実施形態では、センタピラー2の前側の連結構造15a、11aと後側の連結構造16a、11bとが、上下方向で同一高さ且つ車幅方向で同一位置に列んでいる。すなわち、車両前後方向で一直線上に並んでいる(図4、5参照)。そのため、センタピラー2の前側の連結構造15a、11aと後側の連結構造16a、11bとの相対距離が最小にすることができ、引張荷重の伝達効率を更に高めることができる。
【0054】
(4)また、本実施形態では、センタピラー2を構成するセンタピラーアウタ2bとセンタピラーインナ2aの間に挟持され且つその前後両端部11c、11dが当該センタピラー2の前後へ突出した板状部材(この例ではフックパネル11)を備える。そして、第1の連結構造11a、15aは、板状部材11の突出前端部11cに形成されたピラー側係合部(この例では係合孔11a)と、フロントドア3のうちピラー側係合部11aに対応する位置に設けられたドア側係合部(この例では係合突起15a)と、から構成される。また、第2の連結構造11b、16aは、板状部材11の突出後端部11dに形成されたピラー側係合部(この例では係合孔11b)と、リヤドア5のうち当該ピラー側係合部11bに対応する位置に設けられたドア側係合部(この例では係合突起16a)と、を備えて構成されている。
【0055】
そのため、一枚の板状部材11を介して、フロントドア3とリヤドア5とが直接連結されることとなるため、フロントドア3とリヤドア5とが相対的に離れる方向に移動しようとすると、それを阻止するように連結構造が機能するため、さらにセンタピラー2を含めた両ドア3、5の車内側への変形を最小限に留めることができる。
【0056】
(5)なお、本実施形態では、センタピラー2では一枚の板状部材11がセンタピラーインナ2aとセンタピラーアウタ2bの間に挟持されるだけなので、センタピラー2の断面積が拡大せず、車室内空間を圧迫しないという利点もある。
【0057】
(6)また本実施形態によれば、板状部材11は、センタピラーインナ2aとセンタピラーアウタ2bの前後フランジ2fa、2fbに狭持された状態でセンタピラー2に接合されている。そのため、板状部材11の両端部11c、11dの剛性が高くなり、当該両端部11c、11dに形成された係合孔11a、11bと、係合突起15a、16aと、の係合強度が高くなり、引張荷重の伝達効率を更に高めることができる。
【0058】
(7)また本実施形態では、ピラー側係合部は板状部材11に開口する係合孔11a、1bとして構成され、ドア側係合部はドア3、5から突設され且つドア3、5の閉状態で板状部材11の係合孔11a、11bに挿入される係合突起15a、16aとして構成されている。そのため、ピラー側係合部11a、11bならびにドア側係合部15a、16aの構造が簡素となり、製造コストを低減できる。
【0059】
(8)また本実施形態では、フロントドア3の係合突起15aはフロントドア3のドアヒンジ7を中心とした円弧軌跡に沿った湾曲形状をしており、また、リヤドア5の係合突起16aはリヤドア5のドアヒンジ7を中心とした円弧軌跡に沿った湾曲形状をしている。そのため、当該係合突起15a、16aが出入りする係合孔11a、11bの幅を小さくできる。これにより、見栄え向上を図るとともに剛性の向上を図ることができる。
【0060】
(9)また本実施形態によれば、係合孔11a、11bが、図4に示すように、係合突起15a、16aの円弧軌跡に沿った円弧状に形成されている。そのため、係合孔11a、11bその幅が係合突起15a、16aに対して十分小さく設定されているため、前後方向でのガタが小さく、側面衝突時の引張荷重及び前面衝突時の圧縮荷重をロスなく伝達することができる。
【0061】
(10)また本実施形態によれば、係合突起15a、16aが先端から基端へ厚さが徐々に大きくなるため、側面衝突の場合は、図12に示すように、側面からの衝突荷重Fよりフロントドア3及びリヤドア5が、センタピラー2側へ押し付けられ、係合突起15a、16aが係合孔11a、11b内に深く食い込んだ係合状態になるため、引張荷重の伝達は更に確実になる。
【0062】
(11)また本実施形態によれば、センタピラー2の前後における係合突起15a、16bと係合孔11a、11bとの連結構造が、ドアウエストラインWに近い高さに設けられているため、例えば、SUVのような車高の高い車との側面衝突により、衝突荷重Fの作用点が高くなるような場合にも対応できる。
【0063】
(12)また本実施形態によれば、フロントドア3及びリヤドア5の係合突起15a、16aの取付部では、それぞれ補強用のウエストレインフォース13、14も含まれているため、係合突起15a、16aの取付強度が高く、引張荷重伝達性能の向上に寄与している。
【0064】
(13)また本実施形態によれば、フロントピラー1とフロントドア3とは第3の連結構造(この例では、ドア側係合部としての係合突起19aとピラー側係合部としての係合孔9a)によって、上述の第2の連結構造(係合突起16a、係合孔11b)と略同様に連結されている。そのため、フロントピラー1とフロントドア3との間の引張荷重の伝達効率が向上し、フロントドア3の車室内側への変形を更に確実に抑制することができる。
【0065】
(14)また本実施形態によれば、リヤドア5とリヤピラー4とは第4の連結構造(この例では、ドア側係合部としての係合突起20aとピラー側係合部としての係合孔12a)により上述の第1の連結構造(係合突起15a、係合孔11a)と略同様に連結されている。そのため、リヤドア5とリヤピラー4との間の引張荷重の伝達効率も向上し、リヤドア5の車室内側への変形を更に確実に抑制することができる。
【0066】
(15)また本実施形態によれば、第1の連結構造15a、11a、第2の連結構造16a、11b、第3の連結構造19a、9aおよび第4の連結構造20a、12aが車両前後方向に沿って一直線上に設けられている(図1、3参照)。そのため、引張荷重伝達構造が一本の連続する帯状に形成されることなり、フロントピラー1、フロントドア3、センタピラー2、リヤドア5、リヤピラー4に亘って引張荷重伝達して衝突荷重を効率的に分散することができる。
【0067】
(16)また本実施形態によれば、フロントドア3に設けられたドア側係合部(係合突起19a、係合突起15a)が、補強部材としてのウエストレインフォース13とともにフロントドア3に取り付けられ、リヤドア5に設けられたドア側係合部(係合突起16a、係合突起20a)が、補強部材としてのウエストレインフォース14とともにリヤドア5に取り付けられている。そのため、ドア側係合部19a、15a、16a、20aの取付強度が向上し、連結構造における引張荷重の伝達効率がさらに向上する。
【0068】
(17)また本実施形態によれば、フロントピラー1の後端のピラー側係合部9aの取付部9bは、ステアリングメンバ取付用ブラケット10aとともにフロントピラー1のフロントピラーインナ1aに取り付けられており、リヤピラー4の前端のピラー側係合部12aの取付部12bは、リヤピラー4内に取り付けられた補強部材(リヤピラーレインフォース4d)とともにリヤピラーインナ4aに取り付けられている。
【0069】
そのため、ピラー側係合部9aのフロントピラー1への取付箇所およびピラー側係合部12aのリヤピラー4への取付箇所における剛性が高くなり、そのため、フロントドア3、センタピラー2およびリヤドア5で受け止めた側面衝突荷重をより確実に、フロントピラー1およびリヤピラー4を介して前後に逃がすことができ、さらに、引張荷重伝達効率が向上できる。
【0070】
以上のように、第1実施形態によれば、側面衝突荷重を、車両前後方向に逃がすことで、フロントドア3及びリヤドア5の車室内側への変形を抑制できる。
【0071】
「第2実施形態」
次に、本発明の第2実施形態を説明する。図13は第2実施形態を示すフロントドア前端部およびリヤドア前端部の係合突起を示す拡大断面図である。尚、本実施形態は先の実施形態と同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素については共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0072】
第1実施形態に示したように、4つの係合突起のうちフロントドア3の前側の係合突起19aとリヤドアの前側の係合突起16aは、ドアヒンジ7、8に近接し且つドアヒンジ7、8よりも車幅方向内側に配置されることが多く、当該係合突起19a、16aが当該ドアヒンジ7、8を中心とした円弧T1、T1に沿って形成されると、大きく斜め前方に突出した状態になる場合がある(図3参照)。このように大きく傾斜した係合突起19a、16aは、車両側面衝突時に前後方向に引張荷重が加わると、傾斜がない構造に比べて係合孔9a、11bから抜けやすい傾向にある。
【0073】
そこで、第2実施形態においては、図13に示すように、ドア3、5の前側の係合突起19a、16aの背面に複数の係合歯(凹凸形状)21を形成してある。
【0074】
従って、車体側面衝突により、フロントドア3がフロントピラー1から後方へ離反しようとすると、フロントドア3の前側の係合突起19aの係合歯21がフロントピラー1の係合孔9aの周縁に引っ掛かって係合し、係合突起19aが係合孔9aから離脱することが阻止されるとともに、リヤドア5がセンタピラー2から後方へ離反しようとすると、リヤドア5の前側の係合突起16aの係合歯21がセンタピラー2の係合孔11bの周縁に引っ掛かって係合するため、係合突起16aが係合孔11bから離脱することが阻止される。
【0075】
これにより、フロントピラー1とフロントドア3との間およびセンタピラー2とリヤドア5間での引張荷重の伝達効率が更に向上することとなる。
【0076】
なお、以上の第1、2実施形態では、係合突起15a、16a、19a、20aをドア側に設け、係合孔9a、11a、11b、12aをピラー側に設ける例を示したが、逆に、係合突起をピラー側に設け、係合孔をドア側に設けても良い。以下の第3実施形態はその一例である。
【0077】
「第3実施形態」
次に、本発明の第3実施形態を説明する。図14は第3実施形態のセンタピラー周辺を示す断面図、図15はセンタピラー周辺を示す斜視図である。尚、本実施形態も先の実施形態と同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素については共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0078】
第3実施形態は、センタピラー2におけるピラー側係合部及びドア側係合部の係合関係を第1、2実施形態とは逆にした例であり、センタピラー2の前後に形成されるピラー側係合部を、係合突起22a、22bとして構成し、フロントドア3およびリヤドアに形成されるドア側係合部を、係合孔23a、24aとして構成してたものである。
【0079】
すなわち、センタピラー2に挟持される平板状のフックパネル22には、その前後の突出端部に、係合突起22a、22b(ピラー側係合部)が形成されており、フロントドア3及びリヤドア5に取り付けられるフック体23、24には、当該係合突起22a、22bを受け入れる係合孔23a、24aが形成されている。なお、係合突起22a、22bおよび係合孔23a、24aは、いずれも円弧軌跡T1、T2に合致した湾曲形状となっている。
【0080】
このような第3実施形態においても、係合突起22a、22bと係合孔23a、24aの係合により、フロントドア3及びリヤドア5とセンタピラー2との間における引張荷重の伝達効率が向上し、側面衝突時におけるフロントドア3及びリヤドア5の車室内側への変形を確実に抑制することができる。
【0081】
以上、第1〜第3実施形態で説明したように、本発明にあっては、ドアとピラーとの間に設けた連結構造により、側面衝突時の車幅方向内側への変形を抑制することができる。
【0082】
なお、以上の実施形態は本発明を適用した具体的な形態であるが、本発明は上述した実施形態に制限されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】第1実施形態の車体構造を示す車室内側から見た側面図。
【図2】ウエストレインフォースを示す斜視図。
【図3】図1中のA−A断面図。
【図4】図3中のセンタピラー周辺を拡大して示す拡大断面図。
【図5】センタピラー周辺の斜視図。
【図6】センタピラーの前側に設けられた第1の連結構造を示す断面図。
【図7】センタピラーの後側に設けられた第2の連結構造を示す断面図。
【図8】第2の連結構造のドア側係合部として係合突起を示す拡大断面図
【図9】センタピラーの前側に設けられた第1連結構造のピラー側係合部としての係合孔を示す斜視図。
【図10】図3中のフロントドア周辺を拡大して示す拡大断面図。
【図11】図3中のリヤドア周辺を拡大して示す拡大断面図。
【図12】側面衝突時におけるセンタピラー周辺の変形状態を示す断面図。
【図13】第2実施形態のドア前側の係合突起を示す拡大断面図。
【図14】第3実施形態のセンタピラー周辺を示す断面図。
【図15】第3実施形態のセンタピラー周辺を示す斜視図。
【符号の説明】
【0084】
1 フロントピラー
2 センタピラー
3 フロントドア
4 リヤピラー
4d リヤピラーレインフォース(補強部材)
5 リヤドア
7、8 ドアヒンジ
9 フックパネル
11 フックパネル(板状部材)
12 フックパネル
9a 係合孔(第3の連結構造のピラー側係合部)
11a 係合孔(第1の連結構造のピラー側係合部)
11b 係合孔(第2の連結構造のピラー側係合部)
12a 係合孔(第4の連結構造のピラー側係合部)
10 ステアリングメンバ
10a ステアリングメンバ取付用ブラケット
13、14 ウエストレインフォース(補強部材)
15、16、19、20、 フック体
15a 係合突起(第1の連結構造のドア側係合部)
16a 係合突起(第2の連結構造のドア側係合部)
19a 係合突起(第3の連結構造のドア側係合部)
20a 係合突起(第4の連結構造のドア側係合部)
21 係合歯(凹凸形状)
22 フックパネル(板状部材)
22a 係合突起(第1の連結構造のピラー側係合部)
22b 係合突起(第2の連結構造のピラー側係合部)
23、24 フック体
23a 係合孔(第1の連結構造のドア側係合部)
24a 係合孔(第2の連結構造のドア側係合部)
W ドアウエストライン
R1、R2 半径
T1、T2 円弧軌跡
F 側面衝突荷重

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントピラーにドアヒンジを介して取り付けられ当該フロントピラーとセンタピラーの間に画成されるフロントドア開口を開閉するフロントドアと、
前記フロントドアの閉状態で前記フロントドアの後端部と前記センタピラーとの係合して前記フロントドアを閉状態を維持するドアラッチ装置と、
前記センタピラーにドアヒンジを介して取り付けられ当該センタピラーとリヤピラーの間に画成されるリヤドア開口を開閉するリヤドアと、
前記リヤドアの閉状態で前記リヤドアの後端部と前記リヤピラーとを係合して前記リヤドアの閉状態を維持するドアラッチ装置と、
前記フロントドアの閉状態で前記フロントドアの後端部と前記センタピラーとを連結し、車両側面衝突時に車幅方向内側への変形に伴って前記フロントドアと前記センタピラーとの間に生じる車両前後方向への引張荷重をこれらフロントドアとセンタピラーとの間で伝達する第1の連結構造と、
前記リヤドアの閉状態で前記センタピラーと前記リヤドアの前端部とを連結し、車両側面衝突時に車幅方向内側への変形に伴って前記センタピラーと前記リヤドアとの間に生じる車両前後方向への引張荷重をこれらセンタピラーとリヤドアとの間で伝達する第2の連結構造と、
を備えることを特徴とする車体構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車体構造であって、
前記第1の連結構造と前記第2の連結構造とは、車両前後方向に略一直線上に配置されていることを特徴とする車体構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車体構造であって、
前記センタピラーを構成するセンタピラーアウタとセンタピラーインナの間に挟持され且つその前後両端部が当該センタピラーの前後へ突出した板状部材を備え、
前記第1の連結構造は、前記板状部材の突出前端部に形成されたピラー側係合部と、前記フロントドアのうち前記ピラー側係合部に対応する位置に設けられたドア側係合部と、を備えて構成され、
前記第2の連結構造は、前記板状部材の突出後端部に形成されたピラー側係合部と、前記リヤドアのうち当該ピラー側係合部に対応する位置に設けられたドア側係合部と、を備えて構成されていることを特徴とする車体構造。
【請求項4】
請求項3に記載の車体構造であって、
前記ピラー側係合部は、前記板状部材に開口する係合孔として構成され、
前記ドア側係合部は、前記ドアから突設され、ドアの閉状態で前記板状部材の係合孔に挿入される係合突起として構成されていることを特徴とする請求項3に記載の車体構造。
【請求項5】
請求項3に記載の車体構造であって、
前記ドア側係合部は、前記ドアに開口する係合孔として構成され、
前記ピラー側係合部は、前記板状部材から突設され、ドアの閉状態で前記ドアの係合孔に挿入される係合突起として構成されていることを特徴とする車体構造。
【請求項6】
請求項4または5に記載の車体構造であって、
前記係合突起が、ドアヒンジを中心とした円弧軌跡に沿った湾曲形状をしていることを特徴とする車体構造。
【請求項7】
請求項6に記載の車体構造であって、
前記係合突起には、車両側面衝突時の車幅方向内側への変形に伴って前記ピラーと前記ドアとが互いに車両前後方向に向けて離間しようとすると前記係合孔の周縁に当接して前記係合孔から前記係合突起が離脱することを阻止する凹凸形状が形成されていることを特徴とする車体構造。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の車体構造であって、
前記第1の連結構造および前記第2の連結構造は、車体の略ドアウエストライン高さに形成されていることを特徴とする車体構造。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の車体構造であって、
前記フロントドアの閉状態で前記フロントピラーと前記フロントドアの前端部とを連結し、前記車両側面衝突時に前記フロントピラーと前記フロントドアの間に生じる車体前後方向への引張荷重をこれらフロントピラーとフロントドアとの間で伝達する第3の連結構造をさらに備えることを特徴とする車体構造。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の車体構造であって、
前記リヤドアの閉状態で当該リヤドアの後端部と前記リヤピラーとを連結し、前記車両側面衝突時に前記リヤドアと前記リヤピラーの間に生じる車体前後方向への引張荷重をこれらリヤドアとリヤピラーとの間で伝達する第4の連結構造をさらに備えることを特徴とする車体構造。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の車体構造であって、
記前記フロントドアの閉状態で前記フロントピラーと前記フロントドアの前端部とを連結し、前記車両側面衝突時に前記フロントピラーと前記フロントドアの間に生じる車体前後方向への引張荷重をこれらフロントピラーとフロントドアとの間で伝達する第3の連結構造と、
前記リヤドアの閉状態で当該リヤドアの後端部と前記リヤピラーとを連結し、前記車両側面衝突時に前記リヤドアと前記リヤピラーの間に生じる車体前後方向への引張荷重をこれらリヤドアとリヤピラーとの間で伝達する第4の連結構造と、
をさらに備え、
前記第1、第2、第3、第4の連結構造が、車両前後方向に略一直線上に配置されていることを特徴とする車体構造。
【請求項12】
請求項3〜11のいずれか1項に記載の車体構造であって、
前記ドアを構成するドアインナパネル及びドアアウタパネルとは別部材で形成され且つ当該ドアの前後方向略全幅に亘って延在する補強部材とともに、前記ドア側係合部が前記ドアに取り付けられていることを特徴とする車体構造。
【請求項13】
請求項9または11に記載の車体構造であって、
前記第3の連結構造は、前記フロントピラーに取り付けられたピラー側係合部と、前記フロントドアに設けられフロントドアの閉状態で前記ピラー側係合部と係合するドア側係合部と、を備えて構成され、
当該ピラー側係合部は、ステアリングメンバ取付用ブラケットとともに車体に取り付けられていることを特徴とする車体構造。
【請求項14】
請求項10または11に記載の車体構造であって、
前記第4の連結構造は、前記リヤピラーに取り付けられたピラー側係合部と、前記リヤドアに設けられリヤドアの閉状態で前記ピラー側係合部と係合するドア側係合部と、を備えて構成され、
当該ピラー側係合部は、前記リヤピラー内に取り付けられ当該リヤピラーを補強する補強部材とともに前記リヤピラーに取り付けられていることを特徴とする車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−830(P2010−830A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159294(P2008−159294)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】