説明

車内監視システム

【課題】運転に支障を来さずに後方の室内の状況を確認する技術を提供する。
【解決手段】車内監視システム100において、赤外線ランプ26は、車両の運転席12より後方の室内に向かって赤外線を照射可能である。カメラ28は、赤外線領域に感度を有し、運転席12より後方の室内を撮像範囲に含む。ナビゲーション装置22は、カメラ28で撮像した映像を運転手が視認できる位置に表示する。赤外線ランプ26と室内ランプ24とがユニット化されて車両室内の天井に設けられていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車内監視システムに関し、例えば、運転席より後方の室内を監視する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の後方の景色を画像として認識し、この画像情報を車内のディスプレイに表示するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−227318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両のドライバは、後部座席に乗車した乗員や動物、荷物等の状態を確認したい場合がある。例えば、後部座席に幼児を乗せて車両を親が運転する場合、幼児の様子を運転に支障を来さずに確認することができれば安心である。また、夜間において後部座席を確認しようとする場合、幼児や同乗者が寝ていることも多く、明るい照明下での確認は避けたい。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、運転に支障を来さずに後方の室内の状況を確認することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車内監視システムは、赤外線領域に感度を有し、運転席より後方の室内を撮像範囲に含む撮像装置と、撮像装置で撮像した映像を運転手が視認できる位置に表示する表示装置と、を備えている。
【0007】
この態様によると、夜間においても後方の室内の様子を後席にいる幼児などの同乗者や、ペットに刺激を与えることなく確認することができる。また、撮像装置で撮像した映像は運転者が視認できる位置に表示されるため、運転者が振り返ることなく運転席より後方の室内の様子を確認でき、安全性の向上が図られる。なお、撮像装置としては、例えば、自然に存在する僅かな赤外線を感知可能な高感度カメラや、赤外線カメラ等が好適である。
【0008】
車両が備えるナビゲーション装置を表示装置として用いてもよい。これにより、ナビゲーション装置とは別に表示装置を設ける必要がなくなり、省スペース化が図られる。
【0009】
車両の運転席より後方の室内に向かって赤外線を照射可能な赤外線光源を更に備えてもよい。これにより、夜間においてもより鮮明に後方の室内の様子を確認することができる。
【0010】
室内を可視光で照射可能な可視光光源を更に備えてもよい。赤外線光源と可視光光源とがユニット化されて車両室内の天井に設けられていてもよい。これにより、車両への取付作業が容易となる。
【0011】
室内を可視光で照射可能な可視光光源を更に備えてもよい。赤外線光源と可視光光源と撮像装置とがユニット化されて車両室内の天井に設けられていてもよい。これにより、車両への取付作業が容易となる。
【0012】
走行時に用いられるランプの点灯状況に基づいて赤外線光源の点灯を制御する制御装置を更に備えてもよい。これにより、ランプが点灯される夜間などにおいて運転者に操作負担を余り与えることなく赤外線光源を点灯することができる。
【0013】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、運転に支障を来さずに後方の室内の状況を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態に係る車内監視システムを搭載した車両の全体構成を模式的に示した図である。
【図2】本実施の形態に係る車内監視システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0017】
図1は、本実施の形態に係る車内監視システムを搭載した車両の全体構成を模式的に示した図である。図2は、本実施の形態に係る車内監視システムの構成を示すブロック図である。図1に示す車両10は、運転席12の後方に後部座席14が設けられている。後部座席14の上方の車両ルーフ16には、室内照明ユニット18が設けられている。車両10は、車両前部にヘッドランプ20が設けられているとともに、室内にナビゲーション装置22が設置されている。ナビゲーション装置22は、運転中に運転手が視認できる位置として、ダッシュボードに設けられている。
【0018】
室内照明ユニット18は、室内ランプ24と、赤外線ランプ26と、カメラ28とを備えている。室内ランプ24は、可視光を発する照明であり、室内を明るくするための用途として設けられている。赤外線ランプ26は、少なくとも車両10の運転席12より後方の室内に向かって赤外線を照射することができる。カメラ28は、可視光領域および赤外線領域に感度を有し、少なくとも運転席より後方の室内を撮像範囲に含んでいる。カメラ28としては、いわゆる赤外線カメラだけではなく、自然に存在する僅かな赤外線を感知可能な高感度カメラであってもよい。カメラ28は、撮像した映像データを表示装置へ出力する。本実施の形態では、カメラ28で撮像した映像はナビゲーション装置22に表示される。なお、赤外線ランプ26やカメラ28の数や配置される位置は、後部座席の配置や室内の形状に応じて適宜決定される。
【0019】
本実施の形態に係る車内監視システム100は、赤外線ランプ26と、カメラ28と、ナビゲーション装置22と、を備えている。車内監視システム100は、赤外線ランプ26により後部座席14を含む範囲を赤外線で照射することで、夜間においても後方の室内の様子を後部座席14にいる幼児などの同乗者や、ペットに刺激を与えることなく確認することができる。
【0020】
また、カメラ28で撮像された映像は運転者が視認できる位置に表示されるため、運転者が振り返ることなく運転席12より後方の室内の様子を確認でき、安全性の向上が図られる。また、表示装置として、車両10が備えるナビゲーション装置22を用いることにより、ナビゲーション装置22とは別に表示装置を設ける必要がなくなり、省スペースが図られる。なお、表示装置としては必ずしもナビゲーション装置22と兼用されなければならない訳ではなく、例えば、フロントガラスに画像を投影する装置や、ナビゲーション装置とは別に運転者が視認しやすい位置に設けられた確認用モニタを表示装置として用いてもよい。
【0021】
室内照明ユニット18は、室内ランプ24と赤外線ランプ26とカメラ28とを備えてユニット化されており、車両ルーフ16に設けられている。そのため、車両10への取付作業が容易となる。
【0022】
車両10は、走行時に用いられるヘッドランプ20の点灯状況に基づいて赤外線ランプ26の点灯を制御する制御装置30を更に備えている。これにより、運転者によってスイッチ32が操作され、ヘッドランプ20が点灯される夜間などに必要に応じて赤外線光源を点灯することができる。また、制御装置30、照度計(不図示)の検出結果に基づいて、赤外線ランプ26の点消灯を制御してもよい。これにより、昼間には赤外線光源が自動で消灯し、夜間には赤外線光源が自動で点灯するというような制御が可能となり、運転者の操作負担が軽減される。
【0023】
なお、本実施の形態に係る赤外線ランプ26は、夜間用の光源としても用いられるが、その出力は、人間や動物の目に大きな影響を及ぼさない範囲で設定されている。また、カメラ28で撮像した画像をナビゲーション装置22の画面に表示する際、指定した領域だけを拡大表示することができる。表示した画像はナビゲーション装置22や制御装置30の内部に録画される。また、ナビゲーション装置22または制御装置30は、幼児の顔のズーム画像を見やすく表示できるよう、カメラ28のレンズによる歪みや、回転方向および拡大率を可変制御する演算部を備えている。
【0024】
また、ナビゲーション装置22や制御装置30は、赤外線ランプ26により後部座席を照明している状態で、幼児が目を覚ましたり表情が変化したりしたことを画像処理により自動検出し、運転者に知らせる機能を備えていてもよい。
【0025】
車内監視システム100のこのような機能により、前述の幼児の目覚めの確認の他に、病人の表情を確認する、ペットの状態を確認する、タクシー等において乗客の様子を確認するなどの応用が可能となる。
【0026】
また、ナビゲーション装置22における表示装置のON/OFFに連動して照射光源が動作するようにしてもよい。例えば、ナビゲーション装置22の表示モニターがONされると、室内照明ユニット18の室内ランプ24や赤外線ランプ26が点灯されるように構成することで、運転者に操作負担をあまり与えずに、後席の様子の確認が可能となる。
【0027】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0028】
10 車両、 12 運転席、 14 後部座席、 16 車両ルーフ、 18 室内照明ユニット、 20 ヘッドランプ、 22 ナビゲーション装置、 24 室内ランプ、 26 赤外線ランプ、 28 カメラ、 30 制御装置、 32 スイッチ、 100 車内監視システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線領域に感度を有し、運転席より後方の室内を撮像範囲に含む撮像装置と、
前記撮像装置で撮像した映像を運転手が視認できる位置に表示する表示装置と、
を備えていることを特徴とする車内監視システム。
【請求項2】
車両が備えるナビゲーション装置を前記表示装置として用いることを特徴とする請求項1に記載の車内監視システム。
【請求項3】
車両の運転席より後方の室内に向かって赤外線を照射可能な赤外線光源を更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載の車内監視システム。
【請求項4】
室内を可視光で照射可能な可視光光源を更に備え、
前記赤外線光源と前記可視光光源とがユニット化されて車両室内の天井に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の車内監視システム。
【請求項5】
室内を可視光で照射可能な可視光光源を更に備え、
前記赤外線光源と前記可視光光源と前記撮像装置とがユニット化されて車両室内の天井に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の車内監視システム。
【請求項6】
走行時に用いられるランプの点灯状況に基づいて前記赤外線光源の点灯を制御する制御装置を更に備えることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の車内監視システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−116219(P2011−116219A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274720(P2009−274720)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】