説明

車内空間清浄化システム

【課題】従来よりも利便性が高く且つ快適な車内空間を実現することができる車内空間清浄化システムを提供する。
【解決手段】車内において、後席3の後方のラゲッジスペースには指定空間Z1、車両用冷蔵庫5の庫内には指定空間Z7が設定され、各指定空間Z1,Z2には、それぞれ帯電微粒子水を放出する静電霧化装置A1,A7が配設される。さらに、各指定空間Z1,Z2には、食品の鮮度を保持する作用をもたらす波長域の光を指定空間Z1,Z7に照射する光照射装置B1,B2が配設される。指定空間Z1に帯電微粒子水Mを放出する静電霧化装置A1は、指定空間Z1に光を照射する光照射装置B1と連動し、指定空間Z7に帯電微粒子水を放出する静電霧化装置A7は、指定空間Z7に光を照射する光照射装置B2と連動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電微粒子水を発生する静電霧化装置を備え車内空間の清浄化を行う車内空間清浄化システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗用車等の車両においては、車内空間、特に車室内に煙草等の臭いがこもることがあり、その対策として、従来から、車室内の空気を取り込んでフィルタを通すことで清浄化して車室内に戻すろ過式の空気清浄化装置が提供されているが、この種の空気清浄化装置では車室内の壁面や座席等に付着した臭い成分まで除去することはできない。
【0003】
一方で、近年、水を静電霧化させてナノメータサイズの帯電微粒子水(ナノサイズミスト)を発生する静電霧化装置が注目されている。静電霧化装置が発生する帯電微粒子水にはスーパーオキサイドラジカルやヒドロキシラジカルといったラジカルが含まれていることから、脱臭効果に加えて、アレルゲン物質の不活性化効果も備えている。そのため、上記帯電微粒子水を車室内に送り出すようにすれば、車室内の空気中の臭い成分だけでなく、車室内の壁面や座席等に付着した臭い成分の脱臭も行うことができ、また、座席やフロアカーペット、クッション等に付着したダニの屍骸や、屋外でのドアの開閉に伴って車室内に入ったり人の衣服に付着して車室内に持ち込まれたりする花粉等のアレルゲン物質を抑制する作用もある。
【0004】
この種の静電霧化装置を車両に適用する技術として、静電霧化装置と車両が備える空調装置とを同時に運転し、静電霧化装置で生成した帯電微粒子水を空調装置の発生する空気流により車室内に放出することが提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0005】
また、車室の天井部分に静電霧化装置を取り付けることで、車室内の広範囲に帯電微粒子水を行き渡らせることも提案されている(たとえば特許文献2参照)。
【0006】
ところで、静電霧化装置が発生する帯電微粒子水は、上述した脱臭、アレルゲン物質の不活性化効果に加え、野菜や果実等の食品の鮮度を保持する効果、すなわち食品の乾燥を抑制する効果や、ウィルス、カビの抑制効果があることが知られている。
【特許文献1】特開2006−151046号公報
【特許文献2】特開2008−155915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したように空調装置の発生する空気流を利用して帯電微粒子水を車室内に放出する構成では、座席や乗員等が空気流の障害となって帯電微粒子水を後部座席やラゲッジスペースにまで到達させることは難しい。そのため、車内に持ち込まれた食品がたとえば後部座席やラゲッジスペースに置かれている場合には、帯電微粒子水により食品の鮮度が保持されるという効果は期待できない。
【0008】
また、車内に車両用冷蔵庫が備わっていれば、傷みやすい食品は車両用冷蔵庫内に収納することが想定されるが、車両用冷蔵庫の庫内が密閉空間となっているような場合には、車両用冷蔵庫内の食品が帯電微粒子水による鮮度保持の効果を享受することはできない。
【0009】
さらに、上述のように車室の天井部分に静電霧化装置を設置することで、後部座席やラゲッジスペースにまで帯電微粒子水が到達したとしても、静電霧化装置で発生した帯電微粒子水に比べて食品に付着する帯電微粒子水は少量であって、静電霧化装置付近に食品が置かれている場合に比べると食品の鮮度保持の効果は低くなる。
【0010】
このように、単体の静電霧化装置を車両に適用した従来技術においては、車内空間であっても静電霧化装置から帯電微粒子水が十分に供給されない場所では、帯電微粒子水の恩恵を十分に受けられないことがあるので、実際に享受できる帯電微粒子水の効果が制限されることとなる。そこで、帯電微粒子水の効果を十分に享受できるようにすることで、より利便性が高く且つ快適な車内空間を実現するための技術が要望されている。
【0011】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであって、従来よりも利便性が高く且つ快適な車内空間を実現することができる車内空間清浄化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明では、放電電極に水供給手段から水を供給し、供給された水に高電圧を印加して静電霧化させることで帯電微粒子水を生成する静電霧化装置と、前記帯電微粒子水の存在する雰囲気中の照射対象に特定の作用をもたらす波長域の光を照射する光照射装置とを備え、静電霧化装置は、車内の複数箇所に配設され、光照射装置は、車内において少なくとも単体の静電霧化装置から帯電微粒子水が供給される空間に対し、当該帯電微粒子水の供給源である静電霧化装置と連動して光を照射することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、静電霧化装置は車内の複数箇所に配設されるから、たとえば、ラゲッジスペースのように食品を置く空間、あるいは、乗員の足元や灰皿、ゴミ箱等の臭いがこもりやすい空間、若しくはトランクルームや車両用冷蔵庫内などの独立した空間に静電霧化装置を配設することにより、車内の前記複数箇所においてそれぞれ帯電微粒子水の効果を享受することが可能となる。すなわち、1台の静電霧化装置で車室内に帯電微粒子水を供給する従来技術に比べて、車内空間における帯電微粒子水の到達範囲を広げることができ、より利便性の高い車内空間を実現することができる。しかも、光照射装置は、車内において少なくとも1台の静電霧化装置から帯電微粒子水が供給される空間に対し、当該帯電微粒子水の供給源である静電霧化装置と連動して、照射対象に特定の作用をもたらす波長域の光を照射するので、たとえば野菜や果実等の食品を車内に持ち込む場合に、殺菌作用や消臭作用のある波長域の光を前記食品に照射することで、静電霧化装置のみを用いる構成に比べて、食品の鮮度保持の効果を高めることができ、より快適な車内空間を実現することができる。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、複数台の前記静電霧化装置の動作を個別に制御する個別制御手段を備えることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、複数台の静電霧化装置の動作を個別に制御するようにしているので、必要な静電霧化装置のみを作動させることができ、たとえば灰皿を使用しないにも関わらず灰皿に帯電微粒子水を放出する静電霧化装置が動作している場合のような静電霧化装置の無駄な動作を防ぐことができる。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、車内に設置された手動操作部の操作に従って前記静電霧化装置の動作を制御する手動制御手段を備えることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、静電霧化装置の動作が手動で制御されるので、乗員が必要なときにだけ静電霧化装置を動作させることができ、静電霧化装置による無駄な電力消費をなくすことができる。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明において、車内に設置されたセンサの出力に従って前記静電霧化装置の動作を自動的に制御する自動制御手段を備えることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、静電霧化装置の動作が自動的に制御されるので、乗員においては手動操作の手間がかからないという利点がある。
【0020】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明において、前記静電霧化装置が、前記帯電微粒子水を供給する空間に設けられた吸引口から空気を吸引する吸引装置と連動していることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、帯電微粒子水が供給される空間には吸引装置によって空気流が発生するので、前記空間に汚染された空気が停滞することを防止できる。また、静電霧化装置が生成した帯電微粒子水を、前記空気流がない場合に比べて広範囲に行き渡らせることができるという利点がある。
【0022】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかの発明において、前記光照射装置が、発光ダイオードを光源として有することを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、たとえば白熱電球等のブロードな波長域の光を出力する光源を用いる場合に比べて、必要な波長域の光を効率よく照射することができるという利点がある。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、静電霧化装置が、車内の複数箇所に配設されており、しかも、光照射装置が、車内において少なくとも1台の静電霧化装置から帯電微粒子水が供給される空間に対し、当該帯電微粒子水の供給源である静電霧化装置と連動して、照射対象に特定の作用をもたらす波長域の光を照射するので、従来よりも利便性が高く且つ快適な車内空間を実現することができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(実施形態1)
本実施形態の車内清浄化システムは、図1に示すように乗用車等の車両1に適用されるものであって、それぞれ静電霧化によりナノメータサイズの帯電微粒子水(ナノサイズミスト)を生成する複数台の静電霧化装置A1〜A7(以下、特に区別しないときには静電霧化装置Aという)と、所定の波長域の光を照射する光照射装置B1,B2(以下、特に区別しないときには光照射装置Bという)とを備えている。ここで、各静電霧化装置A1〜A7は、車内の複数箇所に設定された各指定空間Z1〜Z7にそれぞれ対応付けて設けられており、静電霧化によって生成された帯電微粒子水を各指定空間Z1〜Z7に対して放出する。
【0026】
本実施形態では、図1のように車内において、後席3の後方のラゲッジスペースを指定空間Z1、前席2の乗員の足元空間を指定空間Z2、後席3の乗員の足元空間を指定空間Z3、インストルメントパネル4に設けられている灰皿の内部空間を指定空間Z4、前席2の乗員の頭上空間を指定空間Z5、後席3の乗員の頭上空間を指定空間Z6、運転席と助手席との間に設置されている車両用冷蔵庫5の庫内を指定空間Z7とする。光照射装置B1,B2は、指定空間Z1と指定空間Z7とのそれぞれに光を照射するように、各指定空間Z1,Z7にそれぞれ配設されている。
【0027】
静電霧化装置Aは、図2に示すように、先細り形状の円柱状に形成された放電電極6と、放電電極6の先端に形成されている放電部6aと対向する対向電極7と、放電部6aに水を供給する水供給手段8と、放電部6aと対向電極7との間に高電圧を印加する高圧電源からなる高電圧印加手段9とを備え、放電部(放電電極)6aと対向電極7との間に高電圧を印加してコロナ放電を生じさせることで、放電部6aに供給された水を静電霧化して帯電微粒子水Mを生成するものである。
【0028】
ここに、水供給手段8は放電電極6を冷却するペルチェユニットからなり、空気中の水分を冷却して結露水を生成することにより放電電極6に水を供給する。ペルチェユニットは、熱伝導性に優れたアルミナや窒化アルミニウムからなる絶縁板の片面側に導体パターン10a,11aを形成して成る一対のペルチェ回路板10,11を、互いの導体パターン10a,11aが向き合うように対向させ、多数列設してあるBiTe系の熱電素子12を両ペルチェ回路板10,11間で挟持するとともに隣接する熱電素子12同士を両側の導体パターン10a,11aで電気的に接続したものである。この構成では、リード線13を通してペルチェユニットに通電を行うことにより、一方のペルチェ回路板10側から他方のペルチェ回路板11側へ熱が移動することとなる。ここで、前記一方(冷却側)のペルチェ回路板10には放電電極6が熱的に結合されており、また、前記他方(放熱側)のペルチェ回路板11には放熱フィン14が結合されている。
【0029】
放電電極6は絶縁材料からなる円筒状の筒体15に囲まれている。対向電極7は、中央部にミスト放出口7aが開口したリング状に形成されており、筒体15の先端開口面(図2の上面)に配設される。ここで、放電電極6の軸心の延長線上に対向電極7のミスト放出口7aの中心が位置することにより、放電電極6と対向電極7とは所定距離を隔てて対向する。また、筒体15の周壁には通風口15aが複数開口しており、対向電極7のミスト放出口7aと通風口15aとは筒体15の内部空間にて連通する。
【0030】
さらに、放電電極6と電気的に接続された高圧リード線16が筒体15の周壁を貫通して筒体15の外側に引き出されており、高電圧印加手段9は、放電電極6側がマイナスになる極性で高圧リード線16と対向電極7との間に高電圧を印加することにより、放電部6aと対向電極7との間に高電圧を印加する。
【0031】
しかして、ペルチェユニットに通電することで放電電極6が冷却され、空気中の水分が結露して放電部6aの表面に水(結露水)が供給される。この状態で、放電電極6と対向電極7との間に高電圧を印加すると、放電部6a表面の水が表面張力を超えて分裂・飛散(レイリー分裂)を繰り返してマイナスに帯電したナノメータサイズの帯電微粒子水Mが大量に生成される。生成された帯電微粒子水Mは、筒体15の先端開口面に設けた対向電極7のミスト放出口7aから外部に放出される。
【0032】
上述のように構成される静電霧化装置Aは、それぞれ対応する指定空間Z1〜Z7内に帯電微粒子水Mを放出するように、ミスト放出口7aを指定空間Z1〜Z7に臨ませる形で配置される。
【0033】
一方、光照射装置Bは、所定の波長域の光を発生する光源(図示せず)と、光源を点灯させる点灯回路(図示せず)とを備えている。本実施形態では、光源として発光ダイオード(LED)を用いるものとする。
【0034】
ここで、光はその波長域によって照射対象に対して様々な作用をもたらすことが知られている。たとえば、紫外線領域の光であれば殺菌作用や消臭作用があり、青色の波長域の光やオレンジ色の波長域の光を野菜に照射すれば、野菜の光合成が促進され鮮度が保持されるという作用が得られ、乗員に対して青色の波長域の光を照射すれば、乗員の気分を落ち着かせることができるという作用がある。本実施形態においては、一例として野菜や果実等の食品を車内に持ち込む場合を想定し、当該食品の鮮度を保持するため、指定空間Z1に光を照射する光照射装置B1は、青色の波長域の光を照射するものとし、指定空間Z7に光を照射する光照射装置B2は、紫外線領域の光を照射するものとする。
【0035】
ところで、本実施形態の車内清浄化システムは、図3に示すように複数台の静電霧化装置A並びに光照射装置Bの動作を制御する制御手段Cを具備しており、当該制御手段Cには、車内に設けられている手動操作部Hおよび複数のセンサSが接続されている。
【0036】
制御手段Cは、複数台の静電霧化装置Aの動作を一括して制御するものであってもよいが、ここでは各静電霧化装置Aの動作を個別に制御する個別制御手段として機能するものとする。そのため、複数台の静電霧化装置Aのうち所望の静電霧化装置Aのみを動作させることが可能になる。手動操作部Hはインストルメントパネル4に設けられたスイッチ群(図示せず)であって、制御手段Cでは、手動操作部Hの操作に従って各静電霧化装置Aの動作を制御する。なお、手動操作部Hは指定空間Z1〜Z7ごとに個別に設けられていてもよい。
【0037】
また、制御手段Cは、上述したように手動制御部Hの操作に従って静電霧化装置Aの動作を制御する手動制御手段の他、各センサSの出力に従って静電霧化装置Aの動作を自動的に制御する自動制御手段としても機能する。ここで、制御手段Cが手動制御手段として機能する手動制御モードと自動制御手段として機能する自動制御モードとの切り替えは、手動操作部Hに備わっているモード切替スイッチ(図示せず)の操作によって行われる。
【0038】
センサSとしては、たとえば車内の温度・湿度を検出するものや、人の存在を検知するもの、指定空間の臭いを検知するもの、車両用冷蔵庫5の扉の開閉を検知するものなどが用いられ、自動制御モードでの動作中には、各静電霧化装置Aを作動させるか否かが各センサSの出力から自動的に判断される。つまり、たとえば車両用冷蔵庫5内の指定空間A7に対応する静電霧化装置A7に関しては、車両用冷蔵庫5の扉が開いている期間は静電霧化装置A7の動作を停止させ、扉が閉まると静電霧化装置A7を動作させるように制御するようにする。なお、センサSは指定空間ごとに個別に設けられていてもよい。
【0039】
ここにおいて、光照射装置B1,B2は、それぞれ光の照射対象である指定空間Z1,Z7に対応付けられた静電霧化装置A1,A7と連動するように、制御手段Cによって制御される。すなわち、指定空間Z1に光を照射する光照射装置B1は、指定空間Z1に帯電微粒子水Mを放出する静電霧化装置A1が作動するのに合わせて作動し、光照射装置B1から照射された光は、指定空間Z1に存在する物体に対して帯電微粒子水Mと並行して作用する。一方、指定空間Z7に光を照射する光照射装置B2は、指定空間Z7に帯電微粒子水Mを放出する静電霧化装置A7が作動するのに合わせて作動し、光照射装置B2から照射された光は、指定空間Z7に存在する物体に対して帯電微粒子水Mと並行して作用する。
【0040】
なお、静電霧化装置Aや光照射装置B、制御手段C等の電源は、車両のバッテリから直接供給されるようにしてもよいし、イグニッションラインから分岐して供給されるようにしてもよい。前者の構成であれば、静電霧化装置Aや光照射装置Bをイグニッションスイッチのオンオフに関わらず作動させることができ、後者の構成であれば、イグニッションスイッチがオンの場合にのみ静電霧化装置Aや光照射装置Bを作動させることができる。
【0041】
以上説明した構成によれば、車内の各所に局所的に静電霧化装置Aを配置したことにより、静電霧化装置Aの発生する帯電微粒子水Mによる効果を車内の各所で最大限に享受することが可能である。すなわち、乗員の足元空間に設定された指定空間Z2,Z3や、灰皿の内部空間に設定された指定空間Z4のように臭いがこもりやすい場所に関しては、帯電微粒子水Mによる脱臭効果を期待でき、一方、乗員の頭上空間に設定された指定空間Z5,Z6においては、乗員の毛髪損傷の軽減や顔の保湿等の効果が期待できる。また、たとえば野菜や果実等の食品を車内に持ち込む場合には、当該食品を指定空間Z1,Z7内に置き、且つ当該指定空間Z1,Z7に対応する静電霧化装置Aを作動させることにより、静電霧化装置Aで発生する帯電微粒子水Mによって食品の鮮度を保持できる。
【0042】
さらに、ラゲッジスペースに設定された指定空間Z1に関しては、静電霧化装置A1と連動して光照射装置B1から光(ここでは青色光)が照射されるので、帯電微粒子水Mと当該光との相乗効果によって前記食品の鮮度保持効果が向上する。さらにまた、車両用冷蔵庫5内の指定空間Z7に関しては、静電霧化装置A7と連動して光照射装置B2から光(ここでは紫外線光)が照射されるので、帯電微粒子水Mと当該光との相乗効果によって前記食品の鮮度保持効果が向上する。
【0043】
なお、車内にゴミ箱が設置されている場合には、ゴミ箱内にも指定空間を設定して静電霧化装置Aを配設することが望ましい。これにより、ごみ箱内の脱臭効果が期待できる。また、車室内だけでなく、トランクルームのように独立した空間に指定空間を設定して静電霧化装置Aを配設するようにしてもよい。トランクルームの場合、食品を収納することも考えられるので、静電霧化装置Aと連動する光照射装置Bも併せて配設することが望ましい。トランクルームや大容量の車両用冷蔵庫5のように、比較的広い空間を指定空間とする場合には、1つの指定空間に対して静電霧化装置Aを複数台設け、これら複数台の静電霧化装置Aを同時に作動させるようにすることで、指定空間の全域に帯電微粒子水Mを行き渡らせることが可能である。
【0044】
(実施形態2)
本実施形態の車内清浄化システムは、図4に示すように指定空間Z1〜Z7に設けた吸引口(図示せず)から空気を吸引する吸引装置Dを設けた点が実施形態1の車内清浄化システムと相違する。図4では、ラゲッジスペースに設定された指定空間Z1を例示する。
【0045】
吸引装置Dは、モータファン(図示せず)を備え、モータファンを回転させることによって吸引口から指定空間Z1内の空気を吸引する。これにより、指定空間Z1には空気流Fが形成されることとなる。
【0046】
その結果、汚染された空気が指定空間Z1に停滞することを防止できる。さらに、静電霧化装置A1から放出される帯電微粒子水Mを前記空気流Fによって指定空間Z1の隅々まで運ぶことが可能となり、帯電微粒子水Mが到達する範囲を広げることができる。また、静電霧化装置A1は水供給手段8によって指定空間Z1の空気中の水分を結露させているので、帯電微粒子水Mを含む空気を吸引装置Dで指定空間Z1から吸引することにより、指定空間Z1の除湿を行うことができる。
【0047】
なお、吸引装置Dは、指定空間Z1から吸引した空気を車外に排出するようにしてもよく、指定空間Z1以外の車内に戻すようにしてもよい。この場合、吸引装置Dにデシカント方式の除湿機能を付与し、除湿後の空気を車内に戻す構成とすることが可能である。
【0048】
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態1の構成を示す概略構成図である。
【図2】同上に用いる静電霧化装置の構成を示す概略断面図である。
【図3】同上の構成を示す概略ブロック図である。
【図4】本発明の実施形態2の構成を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0050】
1 車両
5 車両用冷蔵庫
A1〜A7 静電霧化装置
B1,B2 光照射装置
C 制御手段
D 吸引装置
M 帯電微粒子水
H 手動操作部
S センサ
Z1〜Z7 指定空間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電電極に水供給手段から水を供給し、供給された水に高電圧を印加して静電霧化させることで帯電微粒子水を生成する静電霧化装置と、前記帯電微粒子水の存在する雰囲気中の照射対象に特定の作用をもたらす波長域の光を照射する光照射装置とを備え、静電霧化装置は、車内の複数箇所に配設され、光照射装置は、車内において少なくとも1台の静電霧化装置から帯電微粒子水が供給される空間に対し、当該帯電微粒子水の供給源である静電霧化装置と連動して光を照射することを特徴とする車内空間清浄化システム。
【請求項2】
複数台の前記静電霧化装置の動作を個別に制御する個別制御手段を備えることを特徴とする請求項1記載の車内空間清浄化システム。
【請求項3】
車内に設置された手動操作部の操作に従って前記静電霧化装置の動作を制御する手動制御手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車内空間清浄化システム。
【請求項4】
車内に設置されたセンサの出力に従って前記静電霧化装置の動作を自動的に制御する自動制御手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車内空間清浄化システム。
【請求項5】
前記静電霧化装置は、前記帯電微粒子水を供給する空間に設けられた吸引口から空気を吸引する吸引装置と連動していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車内空間清浄化システム。
【請求項6】
前記光照射装置は、発光ダイオードを光源として有することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車内空間清浄化システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−76529(P2010−76529A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245261(P2008−245261)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】