説明

車室内空気排出装置

【課題】車室内の空気を外部に排出するための排出手段の動作を最適化することができて、消費電力の抑制を図ることができる車室内空気排出装置を提供する。
【解決手段】ファンモータ16の回転により車室12内の空気を外部に排出するための排気ファン15を設ける。車室12内への外気の導入が遮断された外気遮断モードの状態で、車室12内の二酸化炭素濃度のレベルが規定値を越えたと判断されたとき、車速センサ33により検出された車速に応じて、排気ファン15の排出動作の強弱または排出動作時間を調節設定する。そして、排気ファン15の動作により、二酸化炭素濃度が高くなっている空気を車室12外に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車等の車両において、車室内の二酸化炭素濃度のレベルが高くなった場合に、車室内の空気を外部に排出するようにした車室内空気排出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置としては、例えば特許文献1に開示されるような構成が提案されている。この特許文献1の従来装置においては、車室内の二酸化炭素濃度を検出するための濃度センサが設けられている。そして、この濃度センサにより、人体に不快感を与えるレベルの二酸化炭素濃度が検出された場合には、空調装置が外気導入モードまたは内外導入モードに切替えられて、空調装置を介して車外から車室内に空気が導入される。また、濃度センサにより、人体に好ましくない影響を及ぼすレベルの二酸化炭素濃度が検出された場合には、空調装置が外気導入モードに切替えられるとともに、窓ガラスが開放されて、空調装置及び窓を介して車外から車室内に大量の空気が急速に導入される。
【0003】
一方、車両の停止中に、車室内の温度が過度に上昇することを防止するための装置として、例えば特許文献2に開示されるような構成が提案されている。この特許文献2の従来装置においては、車室内における後部座席後方のリアパッケージトレイに排気ダクトが開口され、その排気ダクト内には排気ファンが配置されている。そして、車両の停止中に、車室内の温度が規定値を越えたとき、この排気ファンが駆動されて、車室内の高温空気が排気ダクトを介して車外に排出される。
【特許文献1】特開2000−71752号公報
【特許文献2】特開平9−95124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のように、特許文献1に記載の従来装置では、車室内の二酸化炭素濃度のレベルが高くなった場合、空調装置が外気導入モードや内外導入モードに切替えられ、あるいは窓ガラスが開放されて、車外から車室内に空気が短時間で大量に導入される。このため、例えば車両がトンネル内を走行している場合のように、車外の空気環境が悪いときには、外気の導入により車外の汚染された空気が車室内に大量に導入されて、不快感を覚えるという問題があった。しかも、この特許文献1に記載の従来装置においては、外気が車室内に大量に導入されることになるため、空調装置が作動していても、その機能が大幅に低下することなる。
【0005】
一方、特許文献2に記載の従来装置では、排気ファンの駆動が、車両の停止中における車室内の温度の上昇時のみに行われて、車両の運転走行中における車室内の二酸化炭素濃度の上昇時の対応については想定されていない。そのため、この従来装置では、走行中の車室内の二酸化炭素濃度を低減させることはできない。
【0006】
また、この特許文献2に記載の従来装置における排気ファンを、車室内の二酸化炭素濃度が所定レベルを越えたときに動作させるように構成することも考えられる。しかしながら、このように構成した場合には、排気ファンが車両の運転状況に関係なく動作されて、電力を無駄に消費するおそれがある。すなわち、空調装置が外気と遮断されたモードであって、ウィンドウが全て閉鎖された状態においても、車両の走行時には、車両のドア周辺等の隙間から車室内に外部の空気が進入されて、換気が行われる。このとき、車室内に進入する空気量は、車速に応じて変化するため、車室内の換気量も異なる。そして、車速が高くなって換気量が増加した場合でも、排気ファンが一定の駆動力で駆動されると、消費電力に無駄が発生し、ひいては燃費に悪影響を与えることになる。
【0007】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、車室内の空気を外部に排出するための排出手段の動作を最適化することができて、消費電力の抑制を図ることができる車室内空気排出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明は、車室内の空気をファンの回転により外部に排出するようにした排出手段を設けた車室内空気排出装置において、車室内への外気の導入が遮断された外気遮断モードの有無を判別するモード判別手段と、車室内の二酸化炭素濃度のレベルを判別する濃度判別手段と、車速を検出するための車速検出手段とを備え、前記モード判別手段によって外気遮断モードの設定が判別されるとともに、前記濃度判別手段により判別された二酸化炭素濃度のレベルが規定値を越えたとき、前記車速検出手段によって検出された車速に応じて、前記排出手段の駆動態様を調節するための調節手段を設けたことを特徴としている。
【0009】
従って、この発明においては、車室内の空気を外部に排出するための排出手段の駆動態様を、車両の車速に応じて調節することができる。よって、車速に応じて自然換気量が変化した場合、その状況に応じて排出手段を最適状態で駆動することができて、消費電力に無駄が生じることを抑制することができる。
【0010】
また、前記の構成において、前記排出手段は、車両停止状態において車室内の温度が所定値を越えた場合に排出動作を実行するように構成するとよい。このように構成した場合には、排出手段を、車両走行中における車室内の二酸化炭素濃度の上昇時の空気排出と、車両停止状態における車室内の温度の上昇時の空気排出とに兼用することができる。
【0011】
さらに、前記の構成において、前記濃度判別手段は、搭乗者数を判別する搭乗者判別手段であって、前記調節手段はその搭乗者判別手段によって判別された搭乗者数に応じて排出手段の動作開始時期を決定するように構成するとよい。このように構成した場合には、車室内の二酸化炭素濃度を検出するためのセンサ等の検出手段を設ける必要がなく、構成が簡単であるとともに、搭乗者数の判別により車室内の二酸化炭素濃度の上昇状況を判別して、車室内の空気を適切に排出することができる。
【0012】
さらに、前記の構成において、前記濃度判別手段は、車室内の二酸化炭素濃度を検出する濃度検出手段であって、前記調節手段は検出された二酸化炭素濃度が所定値に達したときに前記排出手段の動作を開始させるように構成するとよい。このように構成した場合には、濃度検出手段により車室内の二酸化炭素濃度の上昇状況を正確に判別して、車室内の空気を適切に排出することができる。
【0013】
さらに、前記の構成において、前記調節手段は、前記車速検出手段による車速に応じて前記排出手段の排出動作の強弱を調節するように構成するとよい。このように構成した場合には、排出手段を車速に応じた排出動作力にて効率よく駆動することができて、電力が無駄に消費されることを抑制することができる。
【0014】
加えて、前記の構成において、前記調節手段は、前記車速検出手段による車速に応じて前記排出手段の排出動作時間を調節するように構成するとよい。このように構成した場合は、排気ファンの回転速度を上げる必要がなく、排気ファンの回転にともなう作動音を小さくできる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、この発明によれば、車室内の空気を外部に排出するための排出手段の駆動を最適化することができて、消費電力の抑制を図ることができるという効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下に、この発明の第1実施形態を、図1〜図4の図面に基づいて説明する。
図1に示すように、車両11には、車室12内の空気を外部に排出するための排出手段としての排出装置13が装備されている。すなわち、車両11の後部座席後方のリアパッケージトレイ14にはその開口14aに対応して排気ファン15が配置され、この排気ファン15はファンモータ16により回転される。そして、排気ファン15の吸気側は前記開口14aを介して車室12内に開口されるとともに、排気側はトランクルーム17内に開口されている。トランクルーム17の下側部には外部に向かって開口するベントホール18が形成され、排気ファン15の排気側がトランクルーム17及びベントホール18を介して、車外に連通されている。そして、排気ファン15がファンモータ16にて回転されることにより、車室12内の空気がトランクルーム17及びベントホール18を介して車外に排出される。なお、前記ベントホール18は、リヤバンパ(図示しない)によって覆われる位置においてリヤフェンダに形成されている。
【0017】
車両11のエンジンルーム10内には、空調装置20が装備されている。この空調装置20には外気導入ダクト21が設けられている。その外気導入ダクト21の入口側端部21aはカウルパネル(図示しない)上において開口され、出口側端部21bはインストルメントパネル19上に開口されている。外気導入ダクト21の中間部には内気循環ダクト22が接続され、その内気循環ダクト22の吸気側端部22aがインストルメントパネル19の下部において車室12に対して開口されている。また、前記内気循環ダクト22の接続部の下流側には、空気を冷却するためのエバポレータ(図示しない)及び空気を暖めるためのヒータ(図示しない)が設けられている。
【0018】
前記外気導入ダクト21において内気循環ダクト22の接続部よりも下流側の位置には空調ファン23が配置され、この空調ファン23はファンモータ24により回転される。外気導入ダクト21に対する内気循環ダクト22の接続部には、切替ダンパ25が回動可能に配置され、この切替ダンパ25はダンパ用モータ26により切り替え回動される。インストルメントパネル19の前面(車室側の面)には、空調装置20の動作モードを設定するためのモード設定手段及びそのモード状態を判別するためのモード判別手段を構成する空調装置用操作部27が配置されている。この空調装置用操作部27は空調装置20を操作するためのスイッチ群(図示しない)よりなる。この空調装置用操作部27は、空調温度を調節したり、前記切替ダンパ25を切替動作させたりするために操作され、その操作を受けて、各種の信号を出力する。
【0019】
すなわち、この操作部27により外気遮断モードである内気循環モードが設定された場合には、ダンパ用モータ26により、切替ダンパ25が図1に実線で示す内気循環ダクト22側の接続位置に配置される。この状態では、外気導入ダクト21が切替ダンパ25により遮断されて、外気遮断状態となる。そして、この外気遮断状態で、ファンモータ24にて空調ファン23が回転されることにより、車室12内の空気流の内気循環状態となる。これに対して、操作部27により外気導入モードが設定された場合には、ダンパ用モータ26により、切替ダンパ25が図1に鎖線で示す外気導入ダクト21側の接続位置に配置されて、外気導入状態となる。この状態で、ファンモータ24にて空調ファン23が回転されることにより、車外の空気が車室12内に導入される。
【0020】
車両11の4箇所のドア(図示しない)内には、ウィンドウ28の近傍に位置するようにそれぞれウィンドウ開閉センサ29が設けられている。そして、このセンサ29によりウィンドウ28の開閉状態が検出されて、その検出結果が図2に示す制御装置35に対して出力される。
【0021】
車両11の各座席30のクッションシートには、そのクッションシートに対する搭乗者の着座の有無検出するための着座センサ31が設けられている。この着座センサ31は、搭乗者数を判別するための搭乗者判別手段、及びその搭乗者数の判別に基づいて車室12内の二酸化炭素濃度のレベルを判別するための濃度判別手段を構成する。そして、車両11の運転走行中に、このセンサ31により搭乗者数が判別されて、その判別結果が図2に示す制御装置35に出力される。
【0022】
トランスミッションの出力軸(図示しない)の近傍には、その出力軸の回転数を検知することにより車速を検出するための車速検出手段としての車速センサ33が設けられている。そして、車両11の運転走行中に、この車速センサ33により車速が検出されて、その検出結果が図2に示す制御装置35に出力される。
【0023】
前記インストルメントパネル19には、車室12内の温度を検出するための温度検出手段としての温度センサ34が配置されている。そして、車両11の停止状態において、この温度センサ34により車室12内の温度が検出されて、その検出結果が図2に示す制御装置35に出力される。
【0024】
次に、前記のような構成の車室内空気排出装置を制御するための電気回路構成について説明する。
図2に示すように、制御装置35は前記センサ等の機器ととともに前記排出手段,モード判別手段,濃度判別手段,車速検出手段,搭乗者判別手段,濃度検出手段を構成している。また、制御装置35は、調節手段及び制御手段を構成し、記憶部36に格納されたプログラムに従って排出装置13の駆動態様を調節し、排出装置13を動作させる。記憶部36には、プログラムの実行に必要なデータ、例えば車室12内の空気の二酸化炭素濃度の規定値と搭乗者数との関係を表すデータ、車速と排出装置13の排出動作との関係を表すデータ、車室12内の温度の規定値等の各種のデータが記憶されている。例えば、図4に示すように、車速センサ33により検出された車速と、排出装置13のファンモータ16の回転速度との関係を示すデータが記憶されている。
【0025】
前記制御装置35は、車両11の運転走行中に、空調装置用操作部27、ウィンドウ開閉センサ29、着座センサ31及び車速センサ33から、各種の信号を入力する。そして、制御装置35は、空調装置用操作部27により空調装置20の外気遮断モードが判別されるとともに、ウィンドウ開閉センサ29によりウィンドウ28の閉状態が検出された状態で、着座センサ31により搭乗者数が判別されたとき、その搭乗者数に応じて排出装置13の動作開始時期を決定する。すなわち、搭乗者数に応じて車室12内の二酸化炭素濃度のレベルが規定値に達する時期を推定して、換気のための排出装置13の動作開始時期を決定する。また、制御装置35は、車速センサ33により検出された車速に応じて、記憶部36に記憶された図4に示す関係データに基づいて、排出装置13の排出動作の強弱、すなわち排気ファン15用のファンモータ16の回転速度を調節設定する。そして、この調節速度にてファンモータ16を回転させて、車室12内の高温空気を外部に排出させる。
【0026】
さらに、制御装置35は、車両11の停止状態において、温度センサ34から車室12内の温度の検出結果を入力する。そして、検出された車室12内の温度が記憶部36に記憶された規定値を越えたとき、排出装置13のファンモータ16を回転させて、車室12内の空気を外部に排出させる。
【0027】
次に、前記のように構成された車室内空気排出装置の動作を説明する。
さて、車両11の運転走行時には、制御装置35の制御に基づいて、図3のフローチャートの各ステップ(以下、単にSという)に示す動作が順に実行される。なお、このフローチャートは、記憶部36に記憶されたプログラムが制御装置35の制御のもとに実行されるものである。
【0028】
すなわち、S1においては、空調装置用操作部27からの出力信号により、空調装置20が外気遮断モードに設定されているか否かが判別される。外気遮断モードの設定が判別されて、空調装置20の切替ダンパ25が図1に実線で示す切替位置に配置されている場合には、次のS2において、ウィンドウ開閉センサ29からの検出信号により、ウィンドウ28が閉状態にあるか否かが判別される。ウィンドウ28が閉状態にある場合には、S3において、着座センサ31からの検出信号により、搭乗者数が検出される。そして、次のS4においては、検出された搭乗者数に応じて、車室12内の二酸化炭素濃度のレベルが規定値に達する時期が推定されて、排出装置13の動作開始時期が決定される。
【0029】
続いて、S5においては、排出装置13の動作開始時期に達したか否かが判別される。動作開始時期に達した場合には、S6において、車速センサ33により車速が検出される。そして、S7においては、検出された車速に応じて、記憶部36に記憶された図4に示す関係データに基づいて、排出装置13の排出動作の強弱、すなわち排気ファン15用のファンモータ16の回転速度が、高速、中速、低速の3段階のいずれかに設定される。
【0030】
次に、S8においては、ファンモータ16が設定された調節速度で回転されて、排気ファン15により車室12内の空気がトランクルーム17及びベントホール18を介して外部に排出される。従って、車室12内には、車外からドア周りの隙間等から新鮮な空気が徐々に導入される。
【0031】
さらに、S9においては、排気ファン15の動作開始後、記憶部36に記憶された規定の駆動時間が経過したか否かが判別される。そして、規定時間が経過したとき、プログラムがS10に進行して、排気ファン15が停止され、車室12内の空気の排出動作が終了する。このようにして、車室12内の二酸化炭素濃度が低下するように換気が行われる。
【0032】
従って、この第1実施形態においては、以下の効果がある。
(1) この実施形態の空気排出装置においては、車両11の運転走行中に、車室12内の二酸化炭素濃度のレベルが規定値に達したと推定されたとき、排出装置13の排気ファン15が車両の車速に応じた回転速度に調節されて駆動され、車室12内を快適に保つことができる。よって、車両11の車速にともなって自然換気量が変化しても、その状況に応じて排出装置13を最適状態で駆動することができて、消費電力に無駄が生じることを抑制することができる。従って、燃費の向上に貢献することができる。
【0033】
(2) 排出装置13の駆動により、車体の隙間から車外の空気を少しずつ導入するため、空調装置20により外気を積極的に導入したり、ウィンドウ28を開けたりする場合とは異なり、汚染された外気が短時間で大量に車室12内に導入されることはない。このため、汚染された空気によって車室12内の快適さが損なわれることを防止できるとともに、空調装置が作動していた場合、その機能が大幅に低下することを防止できる。
【0034】
(3) この実施形態においては、着座センサ31により判別された搭乗者数に応じて、車室12内の二酸化炭素濃度のレベルが規定値に達する時期が推定されて、排出装置13の動作開始時期が決定される。よって、車室内の二酸化炭素濃度を検出するためのセンサ等の検出手段を設ける必要がなく、構成が簡単であるとともに、搭乗者数の判別により車室12内の二酸化炭素濃度の上昇状況を判別して、車室12内の空気を適切に排出することができる。ちなみに、着座センサ31は、本来シートベルト(図示しない)の着用の有無を判別するために設けられるものであって、搭乗員数の判別のための専用目的のために設けられるものではない。この実施形態においては、このような着座センサ31の機能を流用したものであり、このようにすれば、前記のように構造の簡素化に寄与できる。
【0035】
(4) この実施形態では、車両11の停止状態において車室12内の温度が所定値を越えた場合に、排出動作を実行する排出装置13を利用して、車両11の運転走行中における車室12内の二酸化炭素濃度の上昇時の空気排出を行うようになっている。従って、排出装置13は、車両11の停止状態における車室12内の温度の上昇時の空気排出と、二酸化炭素濃度の上昇時の空気排出との機能を兼備するため、構成の複雑化を避けることができる。
【0036】
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
さて、この第2実施形態では、前記第1実施形態における図3のS7〜S9の動作に代えて、図5に示すS7a〜S9aの動作が実行されるように構成されている。すなわち、車両11の運転走行中に、第1実施形態におけるS1〜S5と同様の動作が実行された後、S6において、車速センサ33により車速が検出され、次のS7aにおいて、検出された車速に応じて、排出装置13の排気ファン15の排出動作時間(駆動時間)の長短が調節設定される。その後、S8aにおいて、排気ファン15が駆動されて、車室12内の空気が外部に排出される。続いて、S9aにおいては、排気ファン15の駆動開始後、前記設定駆動時間が経過したか否かが判別される。そして、設定駆動時間が経過したとき、S10に進行して排気ファン15が停止され、車室12内の空気の排出動作が終了する。
【0037】
従って、この第2実施形態においても、前記第1実施形態に記載の効果とほぼ同様の効果を得ることができる。
また、この第2実施形態においては以下の効果がある。
【0038】
(5) 排気ファン15の強弱調節が行われないため、排気ファン15の回転速度を低回転に設定すれば、排気ファン15の回転にともなう作動音を小さくできる。
(第3実施形態)
次に、この発明の第3実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0039】
さて、この第3実施形態においては、図1及び図2に2点鎖線で示すように、前記第1実施形態の着座センサ31に代えて、インストルメントパネル19に、車室12内の二酸化炭素濃度を検出するための濃度検出手段としての二酸化炭素濃度センサ40が設けられている。そして、車両11の運転走行時に、この二酸化炭素濃度センサ40により車室12内の二酸化炭素濃度のレベルが検出されて、その検出結果が制御装置35に出力される。
【0040】
次に、この第3実施形態の車室内空気排出装置の動作を説明する。
さて、車両11の運転走行時には、制御装置35の制御に基づいて、図6のフローチャートの各ステップ(以下、単にSという)に示す動作が順に実行される。すなわち、S101においては、二酸化炭素濃度センサ40から制御装置35に対して、車室12内の二酸化炭素濃度の検出信号が出力される。次のS102においては、検出された二酸化炭素濃度のレベルが記憶部36に記憶された規定値に達しているか否かが判別される。このS102の判別において、二酸化炭素濃度のレベルが記憶部36に記憶された規定値に達している場合には、プログラムが次のS6に進行する。そして、S6〜S10においては、前記第1実施形態の場合と同様の動作が実行されて、車室12内の空気が外部に排出される。
【0041】
従って、この第3実施形態においても、前記第1実施形態に記載の効果とほぼ同様の効果を得ることができる。
さらに、この第3実施形態においては、以下の効果がある。
【0042】
(6) 車室12内の二酸化炭素濃度のレベルの判定を推定に依ることなく、二酸化炭素濃度センサ40の検出に従うため、そのレベル判定を正確に行うことができて、排出装置13による排出動作を的確に行うことができる。
【0043】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記第3実施形態において、図6のフローチャート中のS7〜S9の動作に代えて、図5のフローチャート中のS7a〜S9aの動作が実行されるように構成すること。
【0044】
・ 二酸化炭素濃度の推定を前記実施形態とは異なる手法、例えば、外気遮断モードの開始時からの時間カウントのみにより車室内の二酸化炭素濃度を推定して、排出装置の動作開始時期を決定すること。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1実施形態の車室内空気排出装置を備えた車両を示す概略断面図。
【図2】図1の車室内空気排出装置を制御するための回路構成を示すブロック図。
【図3】同車室内空気排出装置の動作を示すフローチャート。
【図4】車両の車速と排気ファンの回転速度との関係を示す図。
【図5】第2実施形態の車室内空気排出装置の動作を示すフローチャート。
【図6】第3実施形態の車室内空気排出装置の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0046】
11…車両、12…車室、13…排出手段としての排出装置、15…排気ファン、16…ファンモータ、20…空調装置、23…空調ファン、24…ファンモータ、25…切替ダンパ、26…ダンパ用モータ、27…モード設定手段及びモード判別手段を構成する空調装置用操作部、29…ウィンドウ開閉センサ、31…搭乗者判別手段及び濃度判別手段を構成する着座センサ、33…車速検出手段としての車速センサ、34…温度検出手段としての温度センサ、35…制御手段及び調節手段を構成する制御装置、36…記憶部、40…濃度判別手段及び濃度検出手段を構成する二酸化炭素濃度センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の空気をファンの回転により外部に排出するようにした排出手段を設けた車室内空気排出装置において、
車室内への外気の導入が遮断された外気遮断モードの有無を判別するモード判別手段と、車室内の二酸化炭素濃度のレベルを判別する濃度判別手段と、車速を検出するための車速検出手段とを備え、
前記モード判別手段によって前記外気遮断モードの設定が判別されるとともに、前記濃度判別手段により判別された二酸化炭素濃度のレベルが規定値を越えたとき、前記車速検出手段によって検出された車速に応じて、前記排出手段の駆動態様を調節するための調節手段を設けたことを特徴とする車室内空気排出装置。
【請求項2】
前記排出手段は、車両停止状態において車室内の温度が所定値を越えた場合に排出動作を実行することを特徴とする請求項1に記載の車室内空気排出装置。
【請求項3】
前記濃度判別手段は、搭乗者数を判別する搭乗者判別手段であって、前記調節手段はその搭乗者判別手段によって判別された搭乗者数に応じて排出手段の動作開始時期を決定することを特徴とする請求項1または2に記載の車室内空気排出装置。
【請求項4】
前記濃度判別手段は、車室内の二酸化炭素濃度を検出する濃度検出手段であって、前記調節手段は検出された二酸化炭素濃度が所定値に達したときに前記排出手段の動作を開始させることを特徴とする請求項1または2に記載の車室内空気排出装置。
【請求項5】
前記調節手段は、前記車速検出手段による車速に応じて前記排出手段の排出動作の強弱を調節することを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の車室内空気排出装置。
【請求項6】
前記調節手段は、前記車速検出手段による車速に応じて前記排出手段の排出動作時間を調節することを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の車室内空気排出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−196539(P2009−196539A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41598(P2008−41598)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】