説明

車載カメラ

【課題】 複数の撮像対象を撮影可能であり、または防水対策を簡易化することが可能である車載カメラを提供すること。
【解決手段】 車両Crに取り付けられるカメラユニット1を備える車載カメラA1であって、カメラユニット1の撮像範囲の少なくとも一部を占めるミラー2をさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車などの車両に搭載される車載カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に設置されたカメラユニットを用いた車載カメラは、車両の走行状態を記録したり、車両の走行を補助することを目的として広く使用されている。図19に示す車載カメラXは、いわゆるドライブレコーダとして用いられるものである(たとえば、特許文献1参照)。車載カメラXは、車両Crのフロントウィンドあるいはルームミラーに取り付けられたカメラユニットによって、車両進行方向前方を撮影する。車載カメラXの映像は、たとえば車両事故が発生した時点から遡って数秒または数分前から所定の時間記録され、あるいは常時記録される。一方、図19に示す車載カメラYは、いわゆるバックビューモニタとして用いられるものである(たとえば、特許文献2)。車載カメラYは、車両Crのたとえばナンバープレート(図示略)付近に取り付けられており、車両Crのすぐ後の領域を撮影する。車載カメラYの映像は、たとえばインストゥルメントパネルに配置されたモニタに映し出される。運転者は、車両Crを後退させるときにこのモニタの映像を目視しながら、障害物の有無などを確認する。
【0003】
しかしながら、ドライブレコーダとして用いられる車載カメラXには、車両Cr前方方向の状況に加えて、車両Cr内を撮影することへの要請が強まっている。これは、たとえばタクシーの車内において乗客による不当行為が行われた場合に、その様子を撮影しておきたいというものである。このような要請に応えるには、車両前方を撮影する車載カメラXに加えて、車内を撮影する別の車載カメラを備える必要があった。
【0004】
また、車載カメラYは、運転手から見えにくい部分を撮影しようとすると、車外に設置せざるを得ない。このため、車載カメラYは、風雨に常に晒される。したがって、車載カメラYに対して、十分な防水対策を施すことが強いられる。さらに、車載カメラYには、給電や画像送信のためのケーブル(図示略)が繋げられる。このケーブルは、車載カメラYが設置された車外から、モニタやバッテリが配置された車内へと引き回される必要がある。車外と車内とに跨る上記ケーブルの敷設は、手間がかかり容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−6854号公報
【特許文献2】特開2007−62670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、複数の撮像対象を撮影可能であり、または防水対策を簡易化することが可能である車載カメラを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって提供される車載カメラは、車両に取り付けられる撮像手段を備える車載カメラであって、上記撮像手段の撮像範囲の少なくとも一部を占める反射手段をさらに備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記撮像手段および上記反射手段が、いずれも車内に配置されている。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記撮像手段は、車両進行方向前方を向いており、上記反射手段は、上記撮像手段の撮像範囲のうち天地方向下側を占めている。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記撮像手段の撮像範囲において、上記反射手段の天地方向上側に隣接する遮光手段をさらに備えている。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記反射手段には、車外の車両進行方向後方領域が映り込む。
【0012】
このような構成によれば、1つの上記撮像手段を備える構成であるにもかかわらず、たとえば車両の前方状況と、車両の車内状況および後方状況を同時に撮影することが可能である。したがって、上記車載カメラは、たとえば車両事故当時の車両前後方向の状況を記録する自己分析目的のドライブレコーダとして用いることができ、さらにたとえばタクシーの乗客の状況を記録する、防犯目的のドライブレコーダとして用いることができる。また、上記遮光手段を設けることにより、たとえば上側に映った前方状況と下側に映った後方状況との境界を誤って認識してしまうおそれが少ない。また、上記車載カメラの画像を処理するときには、上記遮蔽手段が映っている部分を画像認識することにより、画像のたとえば上側部分と下側部分とを自動的に容易に区別することができる。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記反射手段には、車内の後部座席に着座した乗客が映り込む。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記反射手段は、天地方向において車両進行方向後方に膨出している。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記反射手段は、水平方向において車両進行方向後方に膨出している。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記撮像手段に対して車両進行方向前方に配置され、かつ上記撮像手段に正対する透明ブラケットをさらに備えており、上記反射手段は、上記透明ブラケットに取り付けられている。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記透明ブラケットは、上記撮像手段に対して車両方向前方において正対する正対部、上記撮像手段に対して車両方向前方から天地方向上側を経由して車両方向後方に至る迂回部、および上記撮像手段に対して車両方向後方に位置し、かつ上記撮像手段を支持する後方部を有している。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記透明ブラケットには、上記反射手段の天地方向上側に隣接する上記遮光手段が設けられている。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記透明ブラケットには、上記撮像手段に集光する凹レンズ部が形成されている。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記反射手段は、上記撮像手段の撮像範囲のうち天地方向下側を占める姿勢と、上記撮像手段から退避した姿勢と、をとる。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記撮像手段が車内に配置されており、上記反射手段が車外に配置されている。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記撮像手段は、車両の窓ガラス内側に、この窓ガラスを透して車外を写す姿勢で配置されており、上記反射手段は、上記窓ガラスを挟んで上記撮像手段と正対する位置に配置されている。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記反射手段には、上記車両の下側部分および道路が映り込む。
【0024】
このような構成によれば、たとえば運転手の死角となりやすい車両の直後領域の状況を、上記車載カメラの映像によって適切に把握することができる。上記撮像手段は、車内に設置されているため、風雨に晒されるおそれがほとんど無い。したがって、上記撮像手段に施す防水対策を簡易化することができる。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記撮像手段は、撮像機能を有する携帯型電話機である。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記撮像手段は、車両最後部の窓ガラスに対して車両進行方向前方において離間した位置に配置されており、上記反射手段は、上記窓ガラスの外側に取り付けられている。
【0027】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態に基づく車載カメラを示す全体構成図および断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に基づく車載カメラを示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に基づく車載カメラを示す平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に基づく車載カメラによる映像の一例である。
【図5】本発明の第1実施形態に基づく車載カメラの変形例を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態に基づく車載カメラを示す全体構成図および側面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に基づく車載カメラを示す全体構成図および側面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に基づく車載カメラを示す全体構成図および側面図である。
【図9】本発明の第4実施形態に基づく車載カメラを示す全体構成図である。
【図10】本発明の第5実施形態に基づく車載カメラを示す全体構成図および側面図である。
【図11】本発明の第5実施形態に基づく車載カメラを示す全体構成図である。
【図12】本発明の第6実施形態に基づく車載カメラを示す全体構成図および断面図である。
【図13】本発明の第7実施形態に基づく車載カメラを示す斜視図である。
【図14】本発明の第7実施形態に基づく車載カメラを示す要部平面図である。
【図15】本発明の第8実施形態に基づく車載カメラを示す斜視図である。
【図16】本発明の第9実施形態に基づく車載カメラを示す断面図である。
【図17】本発明の第10実施形態に基づく車載カメラを示す側面図である。
【図18】本発明の第10実施形態に基づく車載カメラを示す側面図である。
【図19】従来技術による車載カメラの例を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0030】
図1〜図3は、本発明の第1実施形態に基づく車載カメラを示している。本実施形態の車載カメラA1は、カメラユニット1、ミラー2、および透明ブラケット4を備えている。車載カメラA1は、いわゆるドライブレコーダとして構成されており、車両Crの進行方向前方の状況と車内状況とを同時に記録可能とされている。
【0031】
カメラユニット1は、本発明で言う撮像手段の一例であり、図1に示すようにケース11、レンズユニット12、および撮像素子13を備えている。ケース11は、レンズユニット12および撮像素子13を収容しており、たとえば黒色のプラスチック製である。レンズユニット12は、複数のレンズが重ねあわされた構成とされており、比較的広い視野からの光を撮像素子13に結像させる。撮像素子13は、たとえばCCD素子からなり、受光面(図示略)に受けた光を電気に変換する光電変換機能を有する。撮像素子13からは、撮像信号がたとえばケーブル(図示略)を経由して映像記録装置またはモニタ(いずれも図示略)に送信される。
【0032】
透明ブラケット4は、たとえばアクリル樹脂などの透明な材料からなり、正対部41、迂回部42、および後方部43を有する。図1および図2に示すように、正対部分41は、カメラユニット1に対して車両Crの進行方向前方に配置されており、カメラユニット1に正対している。この正対部41によって、カメラユニット1の視野のほぼすべてが覆われている。迂回部42は、正対部41からカメラユニット1の上方を経由してカメラユニット1の後方へと迂回している。後方部43は、迂回部分42に繋がっており、カメラユニット1を支持している。本実施形態の透明ブラケット4は、たとえばアクリル樹脂からなる板を折り曲げ加工することによって形成することができる。また、本実施形態においては、透明ブラケット4は、ブラケット51によって車両CrのフロントウィンドWdfに取り付けられている。
【0033】
ミラー2は、一般的な鏡、あるいは鏡面仕上げとされた金属膜などであり、本発明で言う反射手段の一例である。ミラー2は、透明ブラケット4の正対部41の下側部分に取り付けられており、図2によく表れているように、横長矩形状とされている。このような配置により、カメラユニット1の視野のうち下側のほぼ半分は、ミラー2によって占められている。
【0034】
透明ブラケット4には、遮光膜3が取り付けられている。遮光膜3は、たとえば黒色の樹脂膜であり、本発明で言う遮光手段の一例である。図2によく表れているように、遮光膜3は、ミラー2の上側においてミラー2に対して隙間無く貼付されている。
【0035】
本実施形態においては、カメラユニット1の視野には、大きく分けて3つの部分が含まれる。まず、図1に示すように、1つめは、境界線Bl1,Bl2によって挟まれた部分である。この部分の上下方向の視野角α1は、たとえば50度である。次に、2つめは、境界線Bl3,Bl4によって挟まれた部分である。境界線Bl3,Bl4は、いずれもミラー2によって車両Crの進行方向において折り曲げられた格好となっている。この部分の上下方向の視野角α2は、たとえば50度である。3つめは、境界線Bl2,Bl3に挟まれた部分であり、遮光膜3が写りこんでいる。なお、図3に示すように、1つめ、および2つめの部分の水平方向の視野角α3、α4は、いずれも120度程度である。
【0036】
次に、車載カメラA1の作用について説明する。
【0037】
図4は、カメラユニット1の画像を示している。上半分には、車両Crの前方状況が映し出される。これは、図1の境界線Bl1,Bl2に挟まれた部分にあたる。一方、図4に示すように、画像の下半分には、車両Crの車内状況および車両Crの後方状況が映し出される。これは、図1の境界線Bl3,Bl4に挟まれた部分である。このように、本実施形態の車載カメラA1によれば、1つのカメラユニット1を備える構成であるにもかかわらず、車両Crの前方状況と、車両Crの車内状況および後方状況を同時に撮影することが可能である。したがって、車載カメラA1は、たとえば車両事故当時の車両前後方向の状況を記録する自己分析目的のドライブレコーダとして用いることができ、さらにたとえばタクシーの乗客の状況を記録する、防犯目的のドライブレコーダとして用いることができる。
【0038】
図4に示す画像は、図3に示す状況において撮影されたものである。このとき、車両Crの前方右側に車両Crfがあり、後方右側に車両Crbがある。図4に示す画像においては、車両Crf,Crbがいずれも画像の右側に映っている。これは、カメラユニット1の視野下側部分を占めるようにミラー2を配置しているからである。この画像を見るものは、車両Crf,Crbのいずれもが右側にいることを直感的に把握できる。これは、たとえば事故当時の状況を検証するときに、特に後方状況を左右入れ違いで認識してしまうことを防止するのに適している。
【0039】
図4に示す画像の中央部分には、遮光膜3が黒い帯となって映り込んでいる。これにより、上側に映った前方状況と下側に映った後方状況との境界を誤って認識してしまうおそれが少ない。また、この画像を処理するときには、遮光膜3の黒い帯を画像認識することにより、画像の上側部分と下側部分とを自動的に容易に区別することができる。
【0040】
透明ブラケット4によってミラー2およびカメラユニット1を支持する構成は、車載カメラA1全体の小型化に適している。また、運転手の頭上前方において、たとえばルームミラー確認の邪魔になりにくい部分に車載カメラA1を設置するのに有利である。
【0041】
図5は、本発明の第1実施形態に基づく車載カメラの変形例を示している。本変形例の車載カメラA1は、上述した透明ブラケット4に代えてケース4’を備えている点が上述した車載カメラA1と異なっている。
【0042】
ケース4’は、たとえば樹脂からなり、断面多角形状の箱状である。ケース4’の材質としては、不透明な樹脂を用いることができ、さらに透明な樹脂を採用してもよい。ケース4’は、上述した透明ブラケット4と同様に、カメラユニット1を支持している。ケース4’には、前方窓44および後方窓45が形成されている。前方窓44は、カメラユニット1の視野上側部分を占める位置に配置されており、カメラユニット1が車両前方の状況を撮影することを可能としている。後方窓45は、カメラユニット1の下側にあり、カメラユニット1の視野下側部分を占めるミラー2に映り込む位置に配置されている。これにより、カメラユニット1は、後方窓45をとおして車両後方の状況を撮影可能となっている。このような構成によっても、1つのカメラユニット1によって車両の前方状況と後方状況とを同時に撮影することができる。
【0043】
図6〜図18は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0044】
図6は、本発明の第2実施形態に基づく車載カメラを示している。本実施形態の車載カメラA2は、いわゆるバックビューモニタとして用いられる点が上述した実施形態と異なっている。
【0045】
本実施形態においては、カメラユニット1とミラー2とが、車両Crの後方の窓ガラスWdbを挟んで配置されている。カメラユニット1は、たとえば吸盤52によって窓ガラスWdbの内面に取り付けられている。カメラユニット1は、窓ガラスWdbを透して車両後方を向く姿勢とされている。カメラユニット1からは、ケーブル14が延びている。ケーブル14は、車両Crの内部に敷設されており、たとえばインストゥルメントパネルに設けられたモニタ(図示略)に接続されている。
【0046】
ミラー2は、たとえばブラケット53によって窓ガラスWdbの外面に取り付けられている。本実施形態においては、ミラー2がカメラユニット1の視野のほとんどを占める位置関係となっている。ミラー2は、下側を向くように傾けられている。これにより、カメラユニット1の映像には、車両Crの後端下側部分と道路Rdとが映り込む。
【0047】
このような実施形態によれば、運転手の死角となりやすい車両Crの直後領域の状況を、車載カメラA2の映像によって適切に把握することができる。カメラユニット1は、車内に設置されているため、風雨に晒されるおそれがほとんど無い。したがって、カメラユニット1には、たとえば図19に示す車載カメラYと比較して、防水対策を簡易なものとすることができる。
【0048】
また、ケーブル14を車外から車内にわたって敷設する必要が無い。これにより、ケーブル14を敷設するのに要する手間を軽減することが可能である。また、ケーブル14の劣化や損傷を抑制することができる。
【0049】
図7は、本発明の第3実施形態に基づく車載カメラを示している。本実施形態の車載カメラA3は、車両Crの側方にあるサイドウィンドWdsに設置されている点が、上述した車載カメラA2と異なっている。本実施形態においては、カメラユニット1が、サイドウィンドWdsの内面に取り付けられており、ミラー2がサイドウィンドWdsの外側に取り付けられている。カメラユニット1の映像には、車両Crの側部下側部分と道路Rdとが映り込む。
【0050】
本実施形態によれば、たとえば車両Crの右側に着座した運転手からは死角となりやすい車両Crの左方下側の状況を適切に把握することができる。
【0051】
図8および図9は、本発明の第4実施形態に基づく車載カメラを示している。本実施形態の車載カメラA4は、本発明で言うカメラユニットとして携帯型電話機1Aが用いられている点が上述したいずれの実施形態とも異なっている。携帯型電話機1Aとミラー2との関係は、上述した車載カメラA2と類似している。
【0052】
携帯型電話機1Aは、撮像機能を有しており、たとえば窓ガラスWdbの内面に取り付けられたブラケット54によって保持されている。この姿勢においては、携帯型電話機1Aの視野は、そのほとんどがミラー2によって占められている。携帯型電話機1Aによって撮影された画像は、たとえばテレビ電話機能を利用して、インストゥルメントパネルに置いた別の携帯型電話機1Bに映し出すことが可能である。このような実施形態によれば、専用のカメラユニットを用いることなく、バックビューモニタを構築可能である。
【0053】
図10および図11は、本発明の第5実施形態に基づく車載カメラを示している。本実施形態の車載カメラA5は、車両Crの内部前方寄りに配置されたカメラユニット1と窓ガラスWdbの外面に取り付けられたミラー2によって構成されている。カメラユニット1は、細長い円筒状のケース11を備えており、レンズユニット12と撮像素子13とが比較的離されている。このようなカメラユニット1は、その視野角が顕著に狭いものとなっており、その視野のほとんどがミラー2によって占められている。ミラー2は、下側を向くように傾けられており、その反射面が上下方向および水平方向のいずれにおいても凸面とされている。
【0054】
このような実施形態によれば、車両Crの直後領域の状況を映し出すことが可能であるにもかかわらず、カメラユニット1からのケーブル14を車両Crの車内前後方向にわたるように敷設する必要が無い。また、図示するようにケーブル14を携帯型電話機1Bに接続してもよい。
【0055】
ミラー2が凸面とされていることにより、カメラユニット1が比較的狭視野角である一方、ミラー2には広い領域の状況が映り込む。したがって、車載カメラA5によっても車両Crの直後領域の状況を適切に把握することが可能である。
【0056】
図12は、本発明の第6実施形態に基づく車載カメラを示している。本実施形態の車載カメラA6は、ケース4の正対部41およびミラー2の形状が、上述した実施形態と異なっている。
【0057】
本実施形態においては、正対部41の下部が、天地方向において車両進行方向後方にわずかに膨出した形状とされている。この正対部41の下部に取り付けられているミラー2も、同様に天地方向において車両進行方向後方にわずかに膨出している。
【0058】
このような実施形態によれば、天地方向においてより広い範囲からの光が、膨出したミラー2によって反射されることにより、カメラユニット1に入射する。したがって、より広範囲の後方状況を、カメラユニット1の画像の下方側部分に映し出すことができる。たとえば、車載カメラA1における後方天地方向の視野角α2が50度程度であったのに対し、本実施形態においては、視野角α2を、60度程度に拡張することができる。
【0059】
図13および図14は、本発明の第7実施形態に基づく車載カメラを示している。本実施形態の車載カメラA7は、ケース4の正対部41およびミラー2の形状が、上述した実施形態と異なっている。なお、図14においては、理解の便宜上、カメラユニット1、ミラー2、および正対部41以外の要素を省略している。
【0060】
本実施形態においては、正対部41の下部が、水平方向において車両進行方向後方にわずかに膨出した形状とされている。この正対部41の下部に取り付けられているミラー2も、同様に水平方向において車両進行方向後方にわずかに膨出している。
【0061】
このような実施形態によれば、水平方向においてより広い範囲からの光が、膨出したミラー2によって反射されることにより、カメラユニット1に入射する。したがって、より広範囲の後方状況を、カメラユニット1の画像の下方側部分に映し出すことができる。たとえば、車載カメラA1における後方水平方向の視野角α4が120度程度であったのに対し、本実施形態においては、視野角α4を、152度程度に拡張することができる。
【0062】
図15は、本発明の第8実施形態に基づく車載カメラを示している。本実施形態の車載カメラA8は、ケース4の正対部41およびミラー2の形状が、上述した実施形態と異なっている。
【0063】
本実施形態においては、正対部41の下部が、天地方向および水平方向のいずれにおいても車両進行方向後方にわずかに膨出した形状とされている。この正対部41の下部に取り付けられているミラー2も、同様に天地方向および水平方向のいずれにおいても車両進行方向後方にわずかに膨出している。
【0064】
このような実施形態によれば、天地方向および水平方向の双方においてより広い範囲からの光が、膨出したミラー2によって反射されることにより、カメラユニット1に入射する。したがって、より広範囲の後方状況を、カメラユニット1の画像の下方側部分に映し出すことができる。たとえば、車載カメラA1における後方天地方向の視野角α2が50度程度、後方水平方向の視野角α4が120度程度であったのに対し、本実施形態においては、視野角α2を、60度程度、視野角α4を、152度程度にそれぞれ拡張することができる。
【0065】
図16は、本発明の第9実施形態に基づく車載カメラを示している。本実施形態の車載カメラA9は、ケース4の正対部41の形状が、上述した実施形態と異なっている。
【0066】
本実施形態においては、正対部41の上側部分に凹レンズ部41aが形成されている。凹レンズ部41aは、正対部41の上側部分のうち、カメラユニット1に対して車両進行方向前方側部分をへこませることにより形成されている。本実施形態においては、凹レンズ部41aの表面は、天地方向において車両進行方向後方に凹んでいる。この形状は、水平方向において一様とされている。
【0067】
このような実施形態によれば、天地方向においてより広い範囲からの光が、凹レンズ部41aによって集光されることにより、カメラユニット1に入射する。したがって、より広範囲の前方状況を、カメラユニット1の画像の上方側部分に映し出すことができる。これにより、たとえば交差点において信号機の状況を映し出すのに有利である。
【0068】
なお、車載カメラA9の変形例として、凹レンズ部41aを、その表面が水平方向において車両進行方向後方に凹んだ形状としてもよい。この場合、水平方向において、より広範囲の前方状況をカメラユニット1の画像の上方側部分に映し出すことができる。水平方向において凹んだ形状の凹レンズ部41aとしては、いわゆるフレネルレンズと称される構成としてもよい。この場合、正対部41の水平方向の比較的広い領域に凹レンズ部41aを形成しても、正対部41の厚肉化を抑制することができる。
【0069】
上述した車載カメラA6〜A8の構成と、車載カメラA9の構成とは、組み合わせ自在であることはもちろんである。
【0070】
図17および図18は、本発明の第10実施形態に基づく車載カメラを示している。本実施形態の車載カメラA10は、カメラユニット1およびミラー2の支持構造が上述した構成と異なっている。本変形例においては、カメラユニット1は、フロントウィンドWdfに取り付けられたブラケット51に対して回動可能に支持されている。また、車載カメラA10は、可動ブラケット46を備えている。可動ブラケット46は、ブラケット51およびカメラユニット1の双方に対して回動可能に支持されており、たとえば樹脂製である。ミラー2は、可動ブラケット46に取り付けられている。これにより、ミラー2は、ブラケット51およびカメラユニット1の双方に対して回動可能となっている。カメラユニット1およびミラー2の回動軸は、ともに紙面に対して直角である。
【0071】
可動ブラケット46のうちミラー2が取り付けられた部分は、図18に示す姿勢をとるとき天地方向において車両進行方向後方にわずかに膨出している。これにより、ミラー2も天地方向において車両進行方向後方にわずかに膨出している。なお、車載カメラA8,A9のように、可動ブラケット46およびミラー2を、水平方向に膨出した形状、または天地方向および水平方向のいずれにおいても膨出した形状としてもよい。
【0072】
カメラユニット1およびミラー2を図17に示した姿勢で保持すると、カメラユニット1の視野にはミラー2は映りこまない。このため、カメラユニット1は、進行方向前方のみを撮影する。このときの視野角α1は、たとえば100度程度である。
【0073】
一方、カメラユニット1およびミラー2を図18に示した姿勢で保持すると、カメラユニット1の視野にミラー2が映りこむ。このため、カメラユニット1は、進行方向前方および進行方向後方を同時に撮影する。このとき、進行方向前方の視野角α1は、たとえば50度程度であり、進行方向後方の視野角α2は、たとえば73度程度である。
【0074】
本変形例によれば、カメラユニット1によって進行方向前方のみを比較的広角度で撮影するモードと、カメラユニット1によって進行方向前方および後方を同時に撮影するモードとを、使用者が任意に選択することができる。また、カメラユニット1とミラー2の角度を適宜変更することにより、カメラユニット1の撮影画像における進行方向前方の割合と進行方向後方の割合とを任意に設定することができる。
【0075】
本発明に係る車載カメラは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る車載カメラの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0076】
A1〜A5 車載カメラ
Cr 車両
Wdb 窓ガラス
Wdf フロントウィンド
WDs サイドウィンド
Rd 道路
Bl1〜Bl4 境界線
α1〜α 視野角
1 カメラユニット(撮像手段)
1A 携帯型電話機(撮像手段)
2 ミラー(反射手段)
3 遮光膜(遮光手段)
4 透明ブラケット
4’ ケース
11 ケース
12 レンズユニット
13 撮像素子
14 ケーブル
41 正対部
41a 凹レンズ部
42 迂回部
43 後方部
44 前方窓
45 後方窓
46 可動ブラケット
51,53,154 ブラケット
52 吸盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられる撮像手段を備える車載カメラであって、
上記撮像手段の撮像範囲の少なくとも一部を占める反射手段をさらに備えることを特徴とする、車載カメラ。
【請求項2】
上記撮像手段および上記反射手段が、いずれも車内に配置されている、請求項1に記載の車載カメラ。
【請求項3】
上記撮像手段は、車両進行方向前方を向いており、
上記反射手段は、上記撮像手段の撮像範囲のうち天地方向下側を占めている、請求項2に記載の車載カメラ。
【請求項4】
上記撮像手段の撮像範囲において、上記反射手段の天地方向上側に隣接する遮光手段をさらに備えている、請求項3に記載の車載カメラ。
【請求項5】
上記反射手段には、車外の車両進行方向後方領域が映り込む、請求項3または4に記載の車載カメラ。
【請求項6】
上記反射手段には、車内の後部座席に着座した乗客が映り込む、請求項3ないし5のいずれかに記載の車載カメラ。
【請求項7】
上記反射手段は、天地方向において車両進行方向後方に膨出している、請求項3ないし6のいずれかに記載の車載カメラ。
【請求項8】
上記反射手段は、水平方向において車両進行方向後方に膨出している、請求項3ないし7のいずれかに記載の車載カメラ。
【請求項9】
上記撮像手段に対して車両進行方向前方に配置され、かつ上記撮像手段に正対する透明ブラケットをさらに備えており、
上記反射手段は、上記透明ブラケットに取り付けられている、請求項2ないし8のいずれかに記載の車載カメラ。
【請求項10】
上記透明ブラケットは、上記撮像手段に対して車両方向前方において正対する正対部、上記撮像手段に対して車両方向前方から天地方向上側を経由して車両方向後方に至る迂回部、および上記撮像手段に対して車両方向後方に位置し、かつ上記撮像手段を支持する後方部を有している、請求項9に記載の車載カメラ。
【請求項11】
上記透明ブラケットには、上記反射手段の天地方向上側に隣接する上記遮光手段が設けられている、請求項9または10に記載の車載カメラ。
【請求項12】
上記透明ブラケットには、上記撮像手段に集光する凹レンズ部が形成されている、請求項9ないし11のいずれかに記載の車載カメラ。
【請求項13】
上記反射手段は、上記撮像手段の撮像範囲のうち天地方向下側を占める姿勢と、上記撮像手段から退避した姿勢と、をとる、請求項3ないし8のいずれかに記載の車載カメラ。
【請求項14】
上記撮像手段が車内に配置されており、
上記反射手段が車外に配置されている、請求項1に記載の車載カメラ。
【請求項15】
上記撮像手段は、車両の窓ガラス内側に、この窓ガラスを透して車外を写す姿勢で配置されており、
上記反射手段は、上記窓ガラスを挟んで上記撮像手段と正対する位置に配置されている、請求項14に記載の車載カメラ。
【請求項16】
上記反射手段には、上記車両の下側部分および道路が映り込む、請求項15に記載の車載カメラ。
【請求項17】
上記撮像手段は、撮像機能を有する携帯型電話機である、請求項15または16に記載の車載カメラ。
【請求項18】
上記撮像手段は、車両最後部の窓ガラスに対して車両進行方向前方において離間した位置に配置されており、上記反射手段は、上記窓ガラスの外側に取り付けられている、請求項14に記載の車載カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−20669(P2011−20669A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137884(P2010−137884)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】