説明

車載ネットワークシステム

【課題】車載ネットワークシステムにおいて消費電力と不要な追加コストとの抑制を共に実現させる技術を提供する。
【解決手段】
車載ネットワークシステム1では、電源線3をECU間の通信に用いると共に、統括ECU10が通常状態から省電力状態に移行する際にスリープ指令を送信してから、マスタマイコン15が電源スイッチ8を介して電源通信経路30の通電状態を非導通に切り替えることで、ドアECU20への電力の供給を停止させる。そして、スレーブマイコン25がスリープ処理を行う際に、通信スイッチ9を介してドアスイッチ4aからの信号の出力先を電源通信経路30に切り替えることで、ドアスイッチ4aとマスタマイコン15とを電気的に接続させる。これにより、信号線4bを追加することなく、省電力状態時にマスタマイコン15が、対象切替経路30aの通電状態の変化をトリガとして、ウェイクアップ処理を開始することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリに接続された電源線を介して車載装置の制御に用いられるデータの送受信を行う複数の電子制御装置を備えてなる車載ネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車載ネットワークシステムでは、電子制御装置(Electronic Control Unit:以下「ECU」という)間の通信に電源線を用いることにより、ECU間における専用の通信線を不要とし、ECUを含む各種の車載装置に対する設置スペースの確保やコストの削減が図られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、一般的に、これらECUの中には、他のECUに対する制御指令を生成するもの(以下「マスタECU」とする)や、マスタECUから電源線を介して送られてくる制御指令に従って、所定の制御対象機器を制御するもの(以下「スレーブECU」とする)が含まれている。
【0004】
なお、制御対象機器の多くは、センサ・スイッチ類(以下「検出装置」ともいう)やアクチュエータ等を備え、これら各装置が信号線を介してスレーブECUに接続されている。そして、スレーブECUは、その信号線を介して入力されるセンサ・スイッチ類からの検出信号に基づいて、アクチュエータ等を駆動させるための制御量を演算したり、制御指令に必要なデータをマスタECUに電源線を介して送信したりする。
【0005】
また、車載ネットワークシステムでは、ECU間でデータを送受信する必要がないときには、各ECUが備える通信モジュールに供給する電力を停止させて通常状態から省電力状態に移行することにより、なるべく無駄な電力の消費を抑えることが行われている。
【0006】
そして、マスタECUの多くは、省電力状態時にバッテリからスレーブECUへの電力の供給を停止させることにより、スレーブECUにおいて、通信モジュール以外の各部(例えばマイコン等)にも電力の供給を停止させ、これにより、さらなる消費電力の抑制を実現させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−144659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、各ECUにおいて、省電力状態から通常状態に復帰する(いわゆるウェイクアップ処理を行う)ためには、外部から何らかのトリガとなる信号(トリガ信号)の入力が必要となる。例えば、スレーブECUでは、マスタECUによって、バッテリからの電力の供給が再開されることをトリガとして、ウェイクアップ処理を開始することができる。
【0009】
一方、マスタECUでは、省電力状態において他のECUとの間で通信不可であることから、通信モジュール以外の部位に接続された何らかの外部機器からのトリガ信号が入力されなければならない。
【0010】
このため、従来の車載ネットワークシステムでは、マスタECUが、省電力状態時に例えばスレーブECUに接続された検出装置からのトリガ信号を得ようとすると、スレーブECUを介することなく検出装置に接続されなければならないので、その接続用の信号線を追加する必要があった。
【0011】
また、車両に搭載されるECUの数は、車載機器の高機能化、安全性向上のために増加しつつあり、しかも車両内においては設置スペースが限られていることから、全てのマスタECUに対して信号線を追加することが困難であり、たとえ可能であるにしても、車両の重量が増したり、そもそも信号線の本数が増えることによる費用が発生したりする等、不要な追加コストが増大するという問題があった。
【0012】
本発明は、上記問題点を解決するために、消費電力と不要な追加コストとの抑制を共に実現させることが可能な車載ネットワークシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するためになされた発明である請求項1に記載の車載ネットワークシステムは、バッテリに接続された電源線を介して車載機器の制御に用いられるデータの送受信を行う複数の電子制御装置を備えてなるシステムである。
【0014】
なお、電子制御装置の少なくとも一つは、電源線に接続された他の電子制御装置の少なくとも一つに対する制御指令を生成するマイコンを有し、そのマイコンにて生成した制御指令を表す指令データを電源線に送出するマスタECUとして構成されている。
【0015】
また、他の電子制御装置の少なくとも一つは、予め設定された検出装置に接続された信号線を介して、上記の車載装置のうちの予め設定された制御対象機器の制御に用いられる検出信号を入力するためのインターフェースと、マスタECUから電源線を介して指令データを受信した場合、その制御指令に基づく制御処理を行うマイコンとを有するスレーブECUとして構成されている。
【0016】
さらに、車載ネットワークシステムでは、電源線を介してデータを送受信可能な状態を通常状態、電源線を介してデータを送受信不可な状態を省電力状態として、マスタECUのマイコンであるマスタマイコン、及び、スレーブECUのマイコンであるスレーブマイコンが、通常状態から省電力状態に移行するスリープ処理と、省電力状態から通常状態に復帰するウェイクアップ処理とを行うように構成されている。
【0017】
また、バッテリからスレーブECUに電力が供給される経路を対象電源経路、バッテリからマスタECUに電力が供給される経路を固定電源経路として、電源線には、固定電源経路の通電状態を導通に保持しつつ、対象電源経路の通電状態を導通または非導通に切り替える電源切替手段が設けられ、マスタマイコンが、上記のスリープ処理を行う際にその電源切替手段を介して対象電源経路の通電状態を非導通に設定する非導通設定処理を実行する。
【0018】
本発明では、この車載ネットワークシステムにおいて、信号線における検出装置とインターフェースとの間の経路を通常状態信号経路、電源線におけるスレーブECUとマスタECUとの間の経路を電源通信経路として、信号線には、上記の検出信号の出力先を通常状態信号経路または電源通信経路に切り替える通信切替手段を設ける。そして、スレーブマイコンが、スリープ処理を行う際にその通信切替手段を介して検出信号の出力先を電源通信経路に設定する電源側設定処理を実行する。
【0019】
さらに、本発明では、マスタマイコンが、上記の非導通設定処理の実行前に電源線を介してスレーブマイコンにスリープ処理を行わせる指令を制御指令とする指令データを送信し、非導通設定処理の実行後に電源通信経路の通電状態の変化に基づいて、検出信号の入力有無を判定する(つまり、電源通信経路の通電状態を監視する)ように構成した。
【0020】
このように構成された車載ネットワークシステムでは、省電力状態時には、バッテリからスレーブECUへの電力の供給が停止されると共に、スレーブECUの通信モジュール(通信機能)を介することなく、且つ、信号線を追加することなく、検出装置が電源通信経路を介してマスタECUに検出信号(トリガ信号)を伝達することが可能になる。
【0021】
したがって、本発明の車載ネットワークシステムによれば、省電力状態時に電力がスレーブECUに供給されない分だけさらなる消費電力の抑制を実現でき、しかもウェイクアップ処理のトリガ信号を検出装置から得るために信号線を追加する必要がないので、消費電力と不要な追加コストとの抑制を共に実現させることができる。
【0022】
なお、本発明の車載ネットワークシステムでは、図5(a)に示すように、電源切替手段が対象電源経路上(但し、固定電源経路上を除く)に設けられ、マスタマイコン(マスタECU)が省電力状態時に電源通信経路の通電状態を監視するようにされていればよい。
【0023】
また、詳細に言うと、図5(b)に示すように、電源切替手段が対象電源経路における電源通信経路上に設けられ、その電源通信経路におけるスレーブECUと電源切替手段との間の経路を対象切替経路として、マスタマイコンが省電力状態時に対象切替経路の通電状態を監視する(換言すれば、対象切替経路の通電状態に基づいて、検出信号の入力有無を判定する)ように構成してもよい。
【0024】
この構成によれば、マスタマイコンがスリープ処理を行う際に電源切替手段を介して対象電源経路の通電状態を非導通に設定する(非導通設定処理を実行する)と、マスタECUとスレーブECUとの間においてデータ通信が不可な状態になるため、スレーブECUへの電力の供給を停止することに加えて、マスタECUがスレーブECUを省電力状態に自動的に移行させることができる。
【0025】
なお、この構成において、マスタマイコンが省電力状態時に対象切替経路の通電状態を監視する必要性は、電源通信経路におけるマスタECUと電源切替手段との間の経路の通電状態が省電力状態時には非導通になることに起因している。
【0026】
また、本発明の車載ネットワークシステムにおいて、電源切替手段は、固定電源経路の通電状態を導通に保持しつつ、対象電源経路の通電状態を導通または非導通に切り替えるように構成されていればよいが、対象電源経路の通電状態が非導通に設定された場合、電源通信経路の接続先をマスタECUにおける通信コントローラからマスタマイコンに切り替えるように構成されてもよい。但し、通信コントローラとは、電源線を介して他の電子制御装置とデータの送受信を行うためにマスタECUが有する通信モジュールである。
【0027】
この場合、通常状態時にはECU間のデータ通信に電源線が用いられ、通常状態から省電力状態に移行する際にマスタマイコンが非導通設定処理を行うだけで、省電力状態時には検出装置からマスタマイコンへの検出信号(トリガ信号)の出力経路として電源線が用いられるようになるため、簡易な処理によってマスタマイコンにトリガ信号の入力を待機させることができる。
【0028】
ところで、マスタECUには、電源線を介して少なくとも一つのスレーブECUが接続されていればよいが、電源線を介してスレーブECUが複数接続されている構成では、図6に示すように、検出装置が、検出信号を出力する場合に信号線における検出装置側の一端を接地するように構成する。
【0029】
さらに、信号線から通信切替手段を介して電源通信経路に出力される検出信号の出力経路を対象出力経路として、その対象出力経路上には、スレーブECU毎にインピーダンスの異なる抵抗器を設けると共に、電源通信経路から電源切替手段を介してマスタマイコンに入力される検出信号の入力経路を対象入力経路として、その対象入力経路上には、予め設定されたインピーダンスのプルアップ抵抗を設ける。
【0030】
そして、マスタマイコンが、対象入力経路の通電状態が変化した場合、プルアップ抵抗と抵抗器との分圧比に基づいて、検出信号の入力元を特定するようにしてもよい。
このように構成された車載ネットワークシステムによれば、マスタマイコンが、検出信号(トリガ信号)の入力元に接続されているスレーブECUを特定できるため、その特定したスレーブECU(対象スレーブECU)に対する制御指令を生成することができ、ひいてはウェイクアップ処理と連動した制御処理を対象スレーブECUに実行させることができる。
【0031】
また、電源通信経路は、電源線におけるスレーブECUとマスタECUとの間でデータの送受信(データ通信)にも用いられる経路であるが、マスタECUとスレーブECUとを接続する二線によって構成され、その電源通信経路を介したデータ通信には、差動信号を用いるようにしてもよい。
【0032】
このように構成された車載ネットワークシステムによれば、例えば二本線(ツイストペア)における電圧差に基づいてデータの送受信を行うことで、外部からノイズが混入した場合であっても、各線に混入するノイズの電圧が概ね同一となり(つまり、電圧差が変化しないことになり)、ひいてはノイズの影響を受けにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明が適用された第1実施形態としての車載ネットワークシステム1の構成を示すブロック図である。
【図2】統括ECU10とドアECU20との間でのデータ通信(一線)を説明するための波形図である。
【図3】本発明が適用された第2実施形態としての車載ネットワークシステム1の構成を示すブロック図である。
【図4】統括ECU10とドアECU20との間でのデータ通信(二線)を説明するための波形図である。
【図5】本発明における電源切替手段の設置位置を説明するための模式図である。
【図6】本発明における検出装置からマスタマイコンへの信号の出力経路(省電力状態時)を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[第1実施形態]
以下に、本発明の第1実施形態を図面と共に説明する。
[全体構成]
図1は、本発明が適用された第1実施形態としての車載ネットワークシステム1の構成を示すブロック図である。
【0035】
図1に示すように、車載ネットワークシステム1は、各種の車載機器を制御するために多数の電子制御装置(以下「ECU」という)を備えて構成され、これら各ECUが、車載機器の制御に用いられる制御データを共有するために、バッテリ2に接続された電源線3を介して互いにデータ通信可能に構築されている。
【0036】
なお、本実施形態の車載ネットワークシステム1では、バッテリ2から各ECUへの電力供給用のライン(以下「バッテリライン」という)3aがECU間のデータ通信に使用され、各ECUがそれぞれ接地されている。
【0037】
また、これらECUには、他のECUに対する制御指令を生成するECU(以下「マスタECU」という)と、マスタECUから電源線3を介して送られてくる制御指令を表す制御データ(以下「指令データ」という)を受信すると、その制御指令に従って、所定の制御対象機器を制御するECU(以下「スレーブECU」という)とが含まれている。
【0038】
なお、本実施形態の車載ネットワークシステム1は、上記のマスタECUとして、車両における複数のドアに設けられた制御対象機器4を統括的に制御する統括ECU10を備え、この統括ECU10が、バッテリライン3aを介して、上記のスレーブECUに相当する複数のドアECU20に接続されて構築されている。
【0039】
以下では、バッテリライン3aにおいて、統括ECU10とドアECU20との間でデータ通信に用いられる経路を電源通信経路30と呼ぶことにする。具体的には、電源通信経路30では、図2に示すように、バッテリ2から供給される直流電圧に、統括ECU10やドアECU20にて生成される制御データに基づく信号(以下「制御信号」ともいう)が重畳される。なお、これらの制御信号は、ECU毎に周期や強度(電圧値)が異なるように予め設定されている。
【0040】
また、図1に戻り、ドアECU20は、運転席,助手席,後部座席のそれぞれのドアに対して設けられ、ドアのロック・アンロックやパワーウインドウの開閉、カーテシーランプの点消灯に関する制御処理(以下「ドア制御処理」という)などを行うECUである。但し、カーテシーランプとは、ドアの内側下方に取り付けられており、ドアの開閉と連動して点消灯することで、車両に乗り降りする人の足元を照らしたり、後続車にドアが開いていることを知らせたりするための機器である。
【0041】
一方、統括ECU10は、車両のイグニッションスイッチのオフ状態時に、車両のユーザが所持する電子キーから無線機5を介して送られてくるキーレス信号に従って、ドアのロック・アンロックを行うための制御指令を生成するキーレス処理や、振動検知器6から規定量を超える車両の振動を検知したことを表す振動検知信号が入力されると、発生器7を介して盗難防止用のアラーム音を出力する盗難防止処理などを行うECUである。
【0042】
なお、車載ネットワークシステム1では、これらECU10,20が、電源線3を介して制御データを送受信可能な状態(以下「通常状態」という)から、電源線3を介して制御データを送受信不可な状態(以下「省電力状態」という)に移行するスリープ処理、及び、省電力状態から通常状態に復帰するウェイクアップ処理を行う。
【0043】
そして、統括ECU10が省電力状態時にキーレス処理および盗難防止処理などを行うと共に、ドアECU20が通常状態時にドア制御処理などを行うように構成されている。
また、車載ネットワークシステム1では、省電力状態時にバッテリ2からドアECU20への電力の供給を停止させる(但し、統括ECU10には電力の供給を継続させる)ためのスイッチ(以下「電源スイッチ」という)8がバッテリライン3aにおける電源通信経路30上に設けられている。
【0044】
電源スイッチ8は、統括ECU10から入力されるオン・オフの設定を表す指令信号に従って、バッテリ2からドアECU20に至るバッテリライン3aの経路(対象電源経路に相当する)の通電状態を導通・非導通に切り替える。また、対象電源経路の通電状態が非導通に設定されると、ドアECU20側からの電源通信経路30の接続先を、統括ECU10の通信モジュール(後述する通信コントローラ11)から、統括ECU10のマイコン(後述するマスタマイコン15)に切り替えるようにも構成されている。
【0045】
[統括ECUの構成]
次に、統括ECU10の構成を詳細に説明する。
統括ECU10は、電源線3を用いて他のECUとの間でデータの送受信を行うための通信コントローラ11と、バッテリ2からの入力電圧を内部電圧に変換し、ECU10内の各部に電源供給を行う電源制御回路12と、通信コントローラ11が出力する制御信号を電源線3の直流電圧に重畳(結合)させると共に、電源線3から送られてくる制御信号と直流電圧とを分配する結合分配回路13と、無線機5,振動検知器6,発生器7との間で各種信号を入出力するためのインターフェース(以下「I/O」という)14と、前述のキーレス処理および盗難防止処理を行うマイコン(以下「マスタマイコン」という)15と、後述するプルアップ抵抗16とを備えている。
【0046】
通信コントローラ11は、所定のプロトコルに従って、他のECUとの間でバッテリライン3aを介したデータ通信に関する調停を行ったり、他のECUからバッテリライン3aに送出された信号に基づく制御データをマスタマイコン15に供給したりすると共に、マスタマイコン15にて生成された制御データに基づく信号をバッテリライン3aに送出する処理を行う。
【0047】
電源制御回路12は、マスタマイコン15からの指令信号に従って、通常状態時には通信コントローラ11および各部13〜15に電源供給を行い、省電力状態時には通信コントローラ11への電源供給を停止させる(各部13〜15への電源供給を継続させる)電源制御を行うように構成されている。
【0048】
結合分配回路13は、バッテリ2からの入力電圧(直流電圧)を電源制御回路12に供給すると共に、他のECUからバッテリライン3aに送出された制御信号を通信コントローラ11に入力するように構成されている。
【0049】
I/O14は、無線機5からのキーレス信号や振動検知器6からの振動検知信号をマスタマイコン15に入力すると共に、マスタマイコン15からアラーム音を出力するための指令信号を発生器7に出力するように構成されている。
【0050】
マスタマイコン15は、通常状態時には他のECUから通信コントローラ11を介して受信した制御データに基づいて、例えば踏み切りで運転席のパワーウインドウを開かせるための制御指令や、イグニッションスイッチがオンされると全席のドアをロックさせるための制御指令などを生成し、それぞれ対応する座席のドアECU20に指令データを、通信コントローラ11を介して送信する。
【0051】
また、マスタマイコン15は、通常時状態時に他のECU(例えばエンジンECU)からイグニッションスイッチがオフされたことを表す制御データを受信すると、ドアECU20にスリープ処理を行わせるための制御指令(以下「スリープ指令」という)を生成し、スリープ指令に基づく指令データを、通信コントローラ11を介してドアECU20に送信する。
【0052】
そして、マスタマイコン15は、自らのスリープ処理として、電源制御回路12に通信コントローラ11への電源供給を停止させるための指令信号を出力すると共に、前述の対象電源経路の通電状態を非導通に設定するための指令信号を電源スイッチ8に出力する処理(非導通設定処理に相当する)を行って、通常状態から省電力状態に移行する。
【0053】
プルアップ抵抗16は、省電力状態時にドアECU20側からの電源通信経路30とマスタマイコン15とが電源スイッチ8を介して接続される経路(以下「対象入力経路」という)31上に設けられ、電源V1から対象入力経路31側に流れる電流を制限する。本実施形態では、マスタマイコン15がウェイクアップ処理を行う際にトリガ信号の入力元を特定するためにプルアップ抵抗16が設けられているが、詳細については後述する。
【0054】
[ドアECUの構成]
次に、ドアECU20の構成を詳細に説明する。
ドアECU20は、統括ECU10と同様に、電源線3を用いて他のECUとの間でデータの送受信を行うための通信コントローラ21と、バッテリ2からの入力電圧を内部電圧に変換し、ECU20内の各部に電源供給を行う電源回路22と、通信コントローラ21が出力する制御信号を電源線3の直流電圧に重畳(結合)させると共に、電源線3から送られてくる制御信号と直流電圧とを分配する結合分配回路23とを備えている。なお、電源回路22は、省電力状態時に通信コントローラ21への電源供給を停止させる電源制御機能が省略されている点で、前述の統括ECU10の電源制御回路12とは異なっている。
【0055】
また、ドアECU20は、ドアのロック・アンロック装置,パワーウインドウ装置,カーテシーランプ装置といった制御対象機器4との間で各種信号の入出力を行うためのインターフェース(以下「I/O」という)24と、前述のドア制御処理を行うマイコン(以下「スレーブマイコン」という)25と、後述する通信スイッチ9および抵抗器26とを備えている。
【0056】
I/O24は、制御対象機器4における各種のセンサ・スイッチ類からの検出信号をスレーブマイコン25に入力すると共に、マスタマイコン15が実行するドア制御処理により生成された指令信号を、制御対象機器4におけるアクチュエータ等に出力するように構成されている。また、本実施形態では、ドアをロック・アンロックさせるためのドアスイッチ4a(検出装置に相当する)に信号線4bおよび通信スイッチ9を介してI/O24が接続されている。
【0057】
なお、ドアスイッチ4aは、車両におけるドアの外側部分に設けられたキーシリンダに連動しており、例えばユーザが車両キーをキーシリンダに差し込んでドアをロックまたはアンロックさせる方向に回動させると、信号線4bにおける当該ドアスイッチ4a側の一端を接地することで、検出信号を出力するように構成されている。
【0058】
通信スイッチ9は、信号線4b上に設けられ、スレーブマイコン25から入力されるオン・オフの設定を表す指令信号に従って、ドアスイッチ4aからの検出信号の出力先を、信号線4bにおけるドアスイッチ4aとI/O24との間の経路(以下「通常状態信号経路」という)41または前述の電源通信経路30に切り替えるように構成されている。
【0059】
スレーブマイコン25は、通常状態時には、統括ECU10から通信コントローラ21を介して受信した指令データや、各種のセンサ・スイッチ類からI/O24を介して入力した検出信号に基づいて、制御対象機器4を制御する(即ち、ドア制御処理を行う)と共に、その制御結果を表す制御データを統括ECU10に通信コントローラ21を介して送信する。
【0060】
また、スレーブマイコン25は、通常状態時に統括ECU10からスリープ指令を表す指令データを受信すると、自らのスリープ処理として、ドアスイッチ4aからの検出信号の出力先を電源通信経路30に設定するための指令信号を、通信スイッチ9に出力する処理(電源側設定処理に相当する)を行って、通常状態から省電力状態に移行する。
【0061】
抵抗器26は、省電力状態時に、ドアスイッチ4a側の信号線4bから通信スイッチ9を介して電源通信経路30に接続される経路(以下「対象出力経路」という)42上に設けられており、各ドアに対応するドアECU20毎にインピーダンスの異なるものが用いられている。
【0062】
[スイッチの動作]
このように構成された車載ネットワークシステム1では、通常状態時には、電源スイッチ8が電源通信経路30の通電状態を導通させることにより、バッテリ2から各ドアECU20に電力が供給されると共に、統括ECU10と各ドアECU20との間でデータ通信が可能な状態にされている。
【0063】
また、通常状態時には、通信スイッチ9がドアスイッチ4a側の信号線4bとI/O24とを接続することにより、ドアECU20がドアスイッチ4aからの検出信号に従って、ドアをロック・アンロックさせることが可能な状態にされている。
【0064】
ここで、イグニッションスイッチがオフされると、まず、統括ECU10が、各ドアECU20にバッテリライン3aを介してスリープ指令(指令データ)を送信し、その送信後、電源スイッチ8にオフの設定を表す指令信号を出力する。これにより、電源スイッチ8が電源通信経路30の通電状態を非導通にさせることで、バッテリ2から各ドアECU20に電力の供給が停止されると共に、統括ECU10と各ドアECU20との間でデータ通信が不可な状態になる(即ち、通常状態から省電力状態に移行する)。
【0065】
このとき、電源通信経路30における電源スイッチ8と各ドアECU20との間の経路(対象切替経路30a)が対象入力経路31を介してマスタマイコン15に接続される。また、統括ECU10からのスリープ指令を受信したドアECU20が、通信スイッチ9にオフの設定を表す指令信号を出力する。これにより、通信スイッチ9が信号線4bと電源通信経路30(詳しくは対象切替経路30a)とを対象出力経路42を介して接続させることで、ドアスイッチ4aからの検出信号が対象出力経路42,対象切替経路30a,対象入力経路31を介してマスタマイコン15に入力可能な状態になる。
【0066】
[マスタマイコンの構成]
マスタマイコン15は、対象入力経路31上に設けられたプルアップ抵抗16を介して電源V1から電圧信号を常時入力する専用の回路(以下「分圧比判別回路」という)15aを有する。そして、この分圧比判別回路15aは、電源V1から電圧信号に基づいて、対象入力経路31の通電状態を監視するように構成されている。
【0067】
具体的には、省電力状態時において、ドアスイッチ4aが検出信号を出力する場合に信号線4bの一端が接地して、対象出力経路42上に設けられた抵抗器26に電源V1からの電圧が印加されることにより、対象入力経路31の通電状態が変化し、このときの抵抗器26とプルアップ抵抗16(ドアECU20毎にインピーダンスが異なる)との分圧比を分圧比判別回路15aが判別する。
【0068】
そして、マスタマイコン15は、分圧比判別回路15aにて判別された分圧比に基づき、検出信号の入力元に対応するドアECU20を特定すると共に、対象入力経路31の通電状態の変化をトリガとしてウェイクアップ処理を開始し、電源制御回路12に通信コントローラ11への電源供給を再開させる指令信号を出力する。
【0069】
さらに、マスタマイコン15は、電源スイッチ8にオンの設定を表す指令信号を出力することにより、省電力状態からデータ通信可能な通常状態に復帰させ、検出信号の入力元として特定したドアECU20にバッテリライン3aを介して、例えばドアをアンロックさせるための制御指令や、カーテシーランプを点灯させるための制御指令を表す指令データを送信する。
【0070】
[本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態の車載ネットワークシステム1では、新たに信号線を追加してドアスイッチ4aと統括ECU10とを接続する必要がなく、省電力状態時にマスタマイコン15が、電源線3の通電状態を監視することにより、検出信号の入力に基づく通電状態の変化をトリガとして、ウェイクアップ処理を開始することが可能である。
【0071】
したがって、本発明の車載ネットワークシステムによれば、省電力状態時に電力がドアECU20に供給されない分だけさらなる消費電力の抑制を実現でき、しかも信号線を追加することなくマスタマイコン15がドアスイッチ4aからのトリガ信号を得ることができるので、消費電力と不要な追加コストとの抑制を共に実現させることができる。
【0072】
また、車載ネットワークシステム1では、マスタマイコン15が、抵抗器26とプルアップ抵抗16との分圧比に基づいて、トリガ信号の入力元に対応するドアECU20を特定するため、統括ECU10がウェイクアップ処理と連動して特定のドアに対してだけ、アンロックしたりカーテシーランプを点灯したりすることができる。
【0073】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図面と共に説明する。
[全体構成]
図3は、本発明が適用された第2実施形態としての車載ネットワークシステム1の構成を示すブロック図である。なお、本実施形態においては、第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態と重複する構成について同じ番号を付すと共にその説明を省略する。
【0074】
図3に示すように、本実施形態の車載ネットワークシステム1では、バッテリライン3aと、バッテリ2に接続された接地用のライン(以下「グランドライン」という)3bとがECU間のデータ通信に使用され、なお且つ、ドアECU20がグランドライン3bを介して接地されている。
【0075】
そして、これらバッテリライン3aとグランドライン3bとの二線による電源通信経路30では、図4に示すように、バッテリ2から間欠的に電力を供給する場合の間欠期間に、統括ECU10やドアECU20にて生成される制御データに基づく信号が重畳される。
【0076】
但し、本実施形態の通信コントローラ11,25は、これらバッテリライン3aとグランドライン3bとにおける電圧差(いわゆる差動信号)に基づいてデータの送受信を行うように構成されている。これにより、外部から電源通信経路30にノイズが混入した場合であっても、各線3a,3bに混入するノイズの電圧がほぼ同一となり(つまり、電圧差が変化しないことになり)、ひいてはノイズの影響を受けにくくすることが可能になる。
【0077】
また、本実施形態の電源制御回路12および電源回路22は、バッテリ2から間欠的に供給される電力に基づいて定電圧を生成する変換回路(例えばコンデンサとダイオードとを備えて構成される)を内蔵している。
【0078】
図3に戻り、本実施形態の車載ネットワークシステム1では、電源スイッチ8が、統括ECU10から入力されるオン・オフの設定を表す指令信号に従って、バッテリライン3aとグランドライン3bとにおける対象電源経路の通電状態を導通・非導通に共に切り替える。そして、対象電源経路の通電状態が非導通に設定されると、グランドライン3bにおけるドアECU20側からの電源通信経路30の接続先を、通信コントローラ11からマスタマイコン15に切り替えるようにも構成されている。
【0079】
さらに、通信スイッチ9が、信号線4bおよびドアECU20の接地経路4c上に設けられ、スレーブマイコン25から入力されるオン・オフの設定を表す指令信号に従って、ドアスイッチ4aからの検出信号の出力先を、通常状態信号経路41またはグランドライン3bにおける電源通信経路30に切り替える。そして、ドアスイッチ4aからの検出信号の出力先が通常状態信号経路41に設定されている間は、ドアECU20の各部21〜25をグランドライン3bにおける電源通信経路30を介して接地し、ドアスイッチ4aからの検出信号の出力先が電源通信経路30に設定されると、その接地経路4cの通電状態を非導通に切り替えるように構成されている。
【0080】
この構成では、グランドライン3bにおける電源通信経路30が、通常状態時にはECU10,20間のデータ通信とドアECU20の接地とに用いられ、省電力状態時にはドアスイッチ4aからマスタマイコン15への検出信号の出力経路として用いられる。
【0081】
なお、この構成では、省電力状態時にはドアECU20の接地経路4cの通電状態が非導通に設定されるが、このときバッテリ2からドアECU20への電力の供給が停止されており、ドアECU20の各部21〜25への電源供給も停止されるため支障をきたさない。よって、この構成によれば、グランドライン3bにおける電源通信経路30を用いてドアECU20を好適に接地することができる。
【0082】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0083】
例えば、第2実施形態では、グランドライン3bにおける電源通信経路30が、ドアECU20の接地に用いられているが、これに限らず、制御対象機器4の接地に用いられてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、電源スイッチ8が、電源通信経路30上に設けられているが、これに限らず、少なくともバッテリ2からドアECU20に電力を供給する経路(対象電源経路)上に設けられていればよい。
【0085】
また、上記実施形態では、電源通信経路30の通電状態が導通している(電源スイッチ8がオフに設定されている)場合に、対象切替経路30aと対象入力経路31とが非接続となるようにされているが、電源スイッチ8のオン・オフに限らず、対象切替経路30aと対象入力経路31とが常時接続されていてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、検出装置としてドアスイッチ4aを例示したが、これに限定されるものではなく、制御対象機器4における各種のセンサ・スイッチ類や、他の車載機器における検出装置を適用してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、マスタECUとして統括ECU10、スレーブECUとしてドアECU20をそれぞれ例示したが、これに限定されるものではなく、車載ネットワークシステム1の設計に応じて、各種のECUをマスタECUまたはスレーブECUに適用してもよい。
【符号の説明】
【0088】
1…車載ネットワークシステム、2…バッテリ、3…電源線、3a…バッテリライン、3b…グランドライン、4…制御対象機器、4a…ドアスイッチ、4b…信号線、4c…接地経路、8…電源スイッチ、9…通信スイッチ、10…統括ECU、11…通信コントローラ、12…電源制御回路、13…結合分配回路、15…マスタマイコン、15a…分圧比判別回路、16…プルアップ抵抗、20…ドアECU、24…I/O、25…スレーブマイコン、26…抵抗器、30…電源通信経路、30a…対象切替経路、31…対象入力経路、41…通常状態信号経路、42…対象出力経路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリに接続された電源線を介して車載機器の制御に用いられるデータを送受信する複数の電子制御装置を備えてなり、
前記電子制御装置の少なくとも一つは、
前記電源線に接続された他の電子制御装置の少なくとも一つに対する制御指令を生成するマイコンを有し、該マイコンにて生成した該制御指令を表す指令データを前記電源線に送出するマスタECUとして構成され、
前記他の電子制御装置の少なくとも一つは、
予め設定された検出装置に接続された信号線を介して、前記車載機器のうちの予め設定された制御対象機器の制御に用いられる検出信号を入力するインターフェースと、前記マスタECUから前記電源線を介して前記指令データを受信した場合、該制御指令に基づく制御処理を行うマイコンとを有するスレーブECUとして構成され、
前記電源線を介して前記データを送受信可能な状態を通常状態、前記電源線を介して前記データを送受信不可な状態を省電力状態として、前記マスタECUのマイコンであるマスタマイコン、及び、前記スレーブECUのマイコンであるスレーブマイコンが、該通常状態から該省電力状態に移行するスリープ処理と、該省電力状態から該通常状態に復帰するウェイクアップ処理とを行うように構成され、
前記バッテリから前記スレーブECUに電力が供給される経路を対象電源経路、前記バッテリから前記マスタECUに電力が供給される経路を固定電源経路として、前記電源線には、該固定電源経路の通電状態を導通に保持しつつ、該対象電源経路の通電状態を導通または非導通に切り替える電源切替手段が設けられ、
前記マスタマイコンが、前記スリープ処理を行う際に前記電源切替手段を介して前記対象電源経路の通電状態を非導通に設定する非導通設定処理を実行する車載ネットワークシステムにおいて、
前記信号線における前記検出装置と前記インターフェースとの間の経路を通常状態信号経路、前記電源線における前記スレーブECUと前記マスタECUとの間の経路を電源通信経路として、前記信号線には、前記検出信号の出力先を該通常状態信号経路または該電源通信経路に切り替える通信切替手段が設けられ、
前記スレーブマイコンは、前記スリープ処理を行う際に前記通信切替手段を介して前記検出信号の出力先を前記電源通信経路に設定する電源側設定処理を実行し、
前記マスタマイコンは、前記非導通設定処理の実行前に前記電源線を介して前記スレーブマイコンに前記スリープ処理を行わせる指令を前記制御指令とする前記指令データを送信し、前記非導通設定処理の実行後に前記電源通信経路の通電状態の変化に基づいて、前記検出信号の入力有無を判定することを特徴とする車載ネットワークシステム。
【請求項2】
前記電源切替手段は、前記対象電源経路における電源通信経路上に設けられ、
前記電源通信経路における前記スレーブECUと前記電源切替手段との間の経路を対象切替経路として、
前記マスタマイコンは、前記対象切替経路の通電状態の変化に基づいて、前記検出信号の入力有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の車載ネットワークシステム。
【請求項3】
前記マスタECUは、前記電源線を介して他の電子制御装置とデータの送受信を行うための通信コントローラを有し、
前記電源切替手段は、前記対象電源経路の通電状態が非導通に設定された場合、該電源通信経路の接続先を前記通信コントローラから前記マスタマイコンに切り替えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載ネットワークシステム。
【請求項4】
前記マスタECUには、前記電源線を介して前記スレーブECUが複数接続されており、
前記検出装置は、前記検出信号を出力する場合に前記信号線における該検出装置側の一端を接地し、
前記信号線から前記通信切替手段を介して前記電源通信経路に出力される前記検出信号の出力経路を対象出力経路として、該対象出力経路上には、前記スレーブECU毎にインピーダンスが異なる抵抗器が設けられ、
前記電源通信経路から前記電源切替手段を介して前記マスタマイコンに入力される前記検出信号の入力経路を対象入力経路として、該対象入力経路上には、予め設定されたインピーダンスのプルアップ抵抗が設けられ、
前記マスタマイコンは、前記対象入力経路の通電状態が変化した場合、前記プルアップ抵抗と前記抵抗器との分圧比に基づいて、該検出信号の入力元を特定することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車載ネットワークシステム。
【請求項5】
前記電源通信経路は、前記マスタECUと前記スレーブECUとを接続する二線によって構成され、
該電源通信経路を介したデータの送受信には、差動信号が用いられることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車載ネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−11888(P2012−11888A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150016(P2010−150016)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】