説明

車載レーダー装置および車両のリアバンパー

【課題】正確な物体の検出を可能とする車載レーダー装置および車両のリアバンパーを提供する。
【解決手段】車載レーダー装置11は、電磁波の送信および反射波の受信を行う送受信部111と、物体からの電磁波の反射波に基づいて物体の位置を検出する検出部112と、送受信部111の送受信面と自身の裏面とが対向するようにして送受信部111を覆うカバー部材12とを備え、カバー部材12は、送受信面を覆う被覆部12αと、被覆部12αの下方に設けられ、被覆部12αよりカバー部材12の表面側に突出して形成された下側突出部12βとを、少なくとも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両後方に搭載される車載レーダー装置および車両のリアバンパーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されて当該車両の周囲の物体を検出するレーダー装置が開発されている。このようなレーダー装置が車両に搭載される場合、当該レーダー装置が露出していると、レーダー装置本体が風雨に曝されて故障する恐れがある。また、レーダー装置が露出して車両に搭載されると、当該車両の外観が損なわれることが想定される。そのため、上記のようなレーダー装置が車両に搭載される際には、当該レーダー装置を覆い隠すカバーが当該レーダー装置とともに車両に搭載される。
【0003】
上記のようなレーダー装置が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されるレーダー装置は、レーダー本体から送受信される電磁波を透過するレドーム部を備える。そして、レーダー本体は車両のバンパー内部に搭載され、上記レドーム部は当該車両のバンパーの一部として形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−231041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されるレドーム部は車両のバンパーに備えられるため、例えば、雨天時等において、当該レドーム部の表面に水滴や、泥などが付着する場合がある。
【0006】
図9は、車両後端部に搭載された従来のレーダー装置のレドーム部に、下方から到来する水滴が付着する様子を示す図である。図9では、レーダーユニット61、当該レーダーユニット61を覆うレドーム部62、および当該レドーム部62が取り付けられるバンパー63の側断面を示す。レーダーユニット61は、バンパー63の内部に配置されて、送受信面61Sで電磁波の送受信を行う。なお、図9において、上記電磁波の伝搬領域を、一点鎖線に囲まれた領域で示す。また、図9において、水滴を丸印で、当該水滴の到来方向を矢印で、各々模式的に表す。
【0007】
雨天時等において、車両が走行すると、車輪の回転や空力等により、バンパー63の下方から水滴が巻き上げられて、図9に示すように、レドーム部62の表面に付着する場合がある。そして、レドーム部62の表面のうち、レーダーユニット61が送受信する電磁波が透過する部分に水滴が付着すると、当該電磁波が当該水滴により吸収される等して、当該電磁波が減衰してしまう場合がある。このように、電磁波が減衰した場合、レーダーユニット61では当該電磁波の伝搬距離等を正確に測定することができない場合がある。すなわち、従来のレーダー装置では、レドーム部への水滴の付着を防ぐことができず、上記電磁波を反射した物体の位置を正確に検出することができない場合があった。
【0008】
本発明は上記の課題を鑑みて成されたものであり、正確な物体の検出を可能とする車載レーダー装置、および車両のリアバンパーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本願は以下の構成を採用した。すなわち、本発明の第1の局面は、電磁波を放射し、物体からの電磁波の反射波を受信して物体の位置を検出する、車両後方に搭載される車載レーダー装置であって、電磁波の送信および反射波の受信を行う送受信部と、反射波に基づいて物体の位置を検出する検出部と、車両のリアバンパーに設けられ、送受信部の送受信面と自身の裏面とが対向するようにして送受信部を覆うカバー部材とを備え、リアバンパーには、電磁波が通過する開口部が形成され、カバー部材は、開口部を塞ぐようにしてリアバンパーに設けられ、送受信面を覆う被覆部と、被覆部の下方にかつ被覆部よりカバー部材の表面側に突出して設けられた下側突出部とを少なくとも含む、車載レーダー装置である。
【0010】
また、上記の課題を解決するため、本願は以下の構成を採用した。すなわち、本発明の第2の局面は、電磁波を放射し、物体からの電磁波の反射波を受信して物体の位置を検出する、車両後方に搭載される車載レーダー装置を覆う車両のリアバンパーであって、電磁波の送信および反射波の受信を行う送受信部の送受信面を覆い、電磁波の伝搬領域に重ねて設けられる被覆部と、被覆部の下方の電磁波の伝搬領域外にかつ被覆部よりリアバンパーの表面側に突出して設けられた下側突出部とを備える、車両のリアバンパーである。
【0011】
第3の局面は、第1および第2の局面において、カバー部材およびリアバンパーが、上方から到来する水滴および水滴を含む汚れが被覆部表面へ付着することを防ぐために、被覆部の上方に設けられ、当該被覆部より当該カバー部材の表面側に突出して形成された上側突出部をさらに含むことを特徴とする。
【0012】
第4の局面は、第3の局面において、被覆部、下側突出部、および上側突出部は、一体的に形成されることを特徴とする。
【0013】
第5の局面は、第1および第2の局面において、被覆部は電磁波を透過する合成樹脂で成型されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1および第2の局面によれば、例えば、車両に備えられた車輪の回転などにより下方から巻き上げられた水滴等が被覆部表面へ付着すること防ぐことができる。したがって、電磁波の減衰を防ぎ、物体の位置を正確に検出することができる。
【0015】
第3の局面によれば、例えば、雨滴などの上方からの水滴等が被覆部表面へ付着すること防ぎ物体の位置を正確に検出することができる。したがって、電磁波の減衰を防ぎ、物体の位置を正確に検出することができる。
【0016】
第4の局面によれば、被覆部、下側突出部、および上側突出部を各々個別に形成して組み立てた場合に比べ低コストでカバー部材を構成できる。
【0017】
第5の局面によれば、成型が容易で、且つ安価な合成樹脂素材を用いて被覆部を構成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態に係る車載レーダー装置の構成、および当該車載レーダー装置が車両に搭載された様子を示す図
【図2】車両に搭載された第1の実施形態に係るレーダーカバーの縦断面図
【図3】第1の実施形態に係るレーダーカバーの上面図
【図4】第1の実施形態に係るレーダーカバーの正面図
【図5】第1の実施形態に係るレーダーカバーに、下方から到来する水滴が付着する様子を示す図
【図6】処理装置112が実行する処理を示すフローチャートの一例
【図7】車両に搭載された第2の実施形態に係るレーダーカバーの断面図
【図8】第2の実施形態に係るレーダーカバーに、下方および上方から到来する水滴が付着する様子を示す図
【図9】車両後端部に搭載された従来のレーダー装置のレドーム部に、下方から到来する水滴が付着する様子を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る車載レーダー装置について説明する。先ず、図1を参照して、第1の実施形態に係る車載レーダー装置の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る車載レーダー装置の構成、および当該車載レーダー装置が車両に搭載された様子を示す図である。なお、以下では、車載レーダー装置が車両100に搭載される例について説明する。
【0020】
第1の実施形態に係る車載レーダー装置は、レーダーユニット11、レーダーカバー12を備える。レーダーユニット11は、車両100のリアバンパー50内部に位置するよう車両100に搭載される。リアバンパー50には、レーダーユニット11により送信される電磁波が通過する開口部が形成される。そして、レーダーカバー12は、上記リアバンパー50の開口部を塞ぐようにしてリアバンパー50に取り付けられる。なお、レーダーカバー12をリアバンパー50に取り付ける方法としては、任意の方法を用いて良い。例えば、レーダーカバー12をリアバンパー50にボルトで締結しても構わないし、レーダーカバー12を接着剤や接着テープ等でリアバンパー50に接着しても構わない。
【0021】
レーダーユニット11は、アンテナ111、および処理装置112から構成される。
【0022】
アンテナ111は、電磁波を送信し、また物体に反射されて成る当該電磁波の反射波を受信するアンテナ装置である。アンテナ111は、処理装置112と電気的に接続され、受信した反射波の位相情報や強度情報などを示す信号を処理装置112へ出力する。なお、請求の範囲に記載の送受信部は、例えば、アンテナ111に対応する。
【0023】
処理装置112は、典型的には、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)などの情報処理装置、メモリなどの記憶装置、およびインターフェース回路などを備える制御装置である。処理装置112は、アンテナ111から入力される反射波の位相情報や強度情報などに基づいて、当該電磁波を反射した物体の位置を検出する。なお、処理装置112が物体の位置を検出する方法としては、従来周知の任意の方法を用いて良い。処理装置112は、車両100に搭載されるハザードランプ13と電気的に接続される。そして、処理装置112は、検出した物体と車両100とが衝突する危険性を算出し、上記検出した物体と車両100とが衝突する危険性が高い場合に、ハザードランプ13を点滅させる指示信号を当該ハザードランプ13へ出力する(後述図6参照)。
【0024】
レーダーカバー12は、アンテナ111に送受信される電磁波を透過する材質で形成された部材である。例えば、レーダーカバー12は、合成樹脂により成型される。以下、図2、図3、および図4を参照してレーダーカバー12の形状について詳細に説明する。なお、特許請求の範囲に記載のカバー部材は、例えば、レーダーカバー12に対応する。
【0025】
図2は、車両に搭載された第1の実施形態に係るレーダーカバー12の縦断面図である。図2に示すようにレーダーカバー12は、被覆部12α、および下側突出部12βを有する。
【0026】
被覆部12αは、アンテナ111が電磁波を送受信する送受信面111Sを覆う部位である。ここで、図2中において上記電磁波の伝搬領域を、一点鎖線に囲まれた領域で示す。図2に示すように、電磁波の伝搬領域は被覆部12αにおいてのみレーダーカバー12と重なる。すなわち、アンテナ111に送受信される電磁波は、被覆部12αでレーダーカバー12を透過して伝搬する。
【0027】
下側突出部12βは、被覆部12αの下方に設けられ、被覆部12αよりレーダーカバー12の表面側に突出した部位である。
【0028】
図3は、第1の実施形態に係るレーダーカバー12の上面図である。また、図4は、第1の実施形態に係るレーダーカバー12の正面図を示す図である。図3および図4に示すように、レーダーカバー12は、リアバンパー50に沿って車両100の左右方向に伸張した形状を成す。下側突出部12βも同様にリアバンパー50に沿って車両100の左右方向に伸張した翼状を成す。なお、上述図2は、図4に示すレーダーカバー12のA−A断面を示した図である。
【0029】
被覆部12αおよび下側突出部12βは、金型に合成樹脂を射出する成形方法などによって一体的に形成することができる。被覆部12αおよび下側突出部12βを一体的に形成することで、低コスト且つ容易に上述のレーダーカバー12を構成することができる。なお、被覆部12αおよび下側突出部12βを各々個別に形成した後に組み付けて上述のレーダーカバー12を構成しても構わない。
【0030】
上述のような形状および搭載位置から、レーダーカバー12は、所謂リアアンダースポイラーとしての役割を担う。つまり、レーダーカバー12によれば、高いデザイン性および空力特性などを得ることができる。また、レーダーカバー12は、上記に説明した形状により、被覆部12αに下方から到来する水滴および汚れが付着することを防ぐことができる。
【0031】
以下、図5を参照して、被覆部12αへの水滴および汚れの付着を防ぐ様子について説明する。図5は、第1の実施形態に係るレーダーカバー12に、下方から到来する水滴が付着する様子を示す図である。
【0032】
図5において、水滴を丸印で、当該水滴の到来方向を矢印で、各々模式的に表す。例えば、車両100が塗れた路面を走行している際、車輪の回転や空力等により、下方から水滴が巻き上げられる場合がある。このような場合、レーダーカバー12の下方から巻き上げられた水滴は、被覆部12αより表面側に突出した下側突出部12βの下面に付着するため、下側突出部12βより上方奥側に位置する被覆部12αに当該水滴が付着することはない。すなわち、下側突出部12βは、所謂泥除けの役割を果たして、被覆部12αへの水滴の付着を防止することができる。
【0033】
上記の通り、本発明第1の実施形態に係るレーダーカバー12によれば、アンテナ111が送受信する電磁波が透過する被覆部12αに水滴が付着することを防ぎ、当該電磁波の減衰を防ぐことができる。したがって、処理装置112は、当該電磁波の伝搬距離等を正確に測定し、電磁波を反射した物体の位置を正確に検出することができる。
【0034】
処理装置112は、検出した物体の位置に基づいて、当該物体と車両100との衝突の危険性を判定する。以下、図6を参照して、処理装置112が実行する処理の一例について説明する。なお、図6は、処理装置112が実行する処理を示すフローチャートの一例である。処理装置112は、例えば、車両100のイグニッションスイッチがオンに設定された場合に図6に示すフローチャートのステップA1の処理を開始する。
【0035】
ステップA1において、処理装置112は、物体を検出したか否かを判定する。具体的には、処理装置112は、アンテナ111から、反射波の位相情報および強度情報を示す信号を受信しているか否かを判定する。以下、本ステップA1において検出した物体を検出物と呼称する。処理装置112は、物体を検出したと判定した場合処理をステップA2へ進める。一方、処理装置112は、物体を検出していないと判定した場合処理をステップA1へ戻す。
【0036】
上記ステップA1の処理により、処理装置112は、物体を検出するまで下記ステップA2からステップA6の処理の実行を待機する。
【0037】
ステップA2において、処理装置112は、速度Vおよび距離Lを算出する。速度Vは、検出物と車両100との相対速度である。距離Lは、車両100から検出物までの距離である。処理装置112は、反射波の位相情報および強度情報に基づいて、距離Lおよび速度Vを算出する。なお、距離Lおよび速度Vの算出方法は、従来既知の任意の手法を用いて良い。ステップA2の処理を完了すると、処理装置112は処理をステップA3へ進める。
【0038】
ステップA3において、処理装置112は、衝突予想時間TTCを算出する。衝突予想時間TTCは、検出物が車両100に衝突するまでに要すると予想される時間である。処理装置112は、下式(1)に基づいて衝突予想時間TTCを算出する。
TTC=L/V …(1)
ステップA3の処理を完了すると、処理装置112は処理をステップA4へ進める。
【0039】
ステップA4において、処理装置112は、衝突予想時間TTCが閾値THより以下であるか否かを判定する。閾値THは、処理装置112の記憶装置に予め記憶された定数であり、検出物と車両100とが衝突する危険性が高いか否かを判断するための基準値である。処理装置112は、衝突予想時間TTCが閾値TH以下であると判定した場合、すなわち、検出物と車両100とが衝突する危険性が高いと判定した場合、処理をステップA5へ進めてハザードランプ13を点滅させる。一方、処理装置112は、衝突予想時間TTCが閾値THより大きいと判定した場合、すなわち、検出物と車両100とが衝突する危険性が低いと判定した場合、ステップA5の処理を省略して、処理をステップA6へ進める。
【0040】
ステップA5において、処理装置112は、ハザードランプ13を自動点滅させる。具体的には、処理装置112は、ハザードランプ13を点滅させる指示信号を当該ハザードランプ13に対して出力する。上記指示信号を受信したハザードランプ13は、点滅動作を行う。ステップA5の処理を完了すると、処理装置112は処理をステップA6へ進める。
【0041】
ステップA6において、処理装置112は、終了処理が実行されたか否かを判定する。具体的には、例えば、車両100のイグニッションスイッチがオフに設定されたか否かを判定する。処理装置112は、終了処理が実行されたと判定した場合、図6のフローチャートの処理を終了する。一方、処理装置112は、終了処理が実行されていないと判定した場合、処理をステップA1に戻して上述の処理を繰り返す。
【0042】
上記処理装置112のステップA2からステップA5の処理によれば、例えば、車両100と後続車両との衝突の危険性が高いか否かを判定し、車両100と検出物との衝突の危険性が高い場合にハザードランプ13を点滅動作させて、当該衝突の危険性を後続車両のドライバーに報知することができる。また、上記レーダーカバー12により物体の位置の正確な検出が可能であるため、処理装置112は、車両100と後続車両との衝突の危険性を正確に判定することができる。なお、請求の範囲に記載の衝突危険度判定手段は、例えば、上記処理装置112が実行するステップA2からステップA4の処理に対応する。また、請求の範囲に記載の報知手段は、例えば、上記処理装置112が実行するステップA5の処理およびハザードランプ13に対応する。
【0043】
(第2の実施形態)
上述第1の実施形態では、レーダーカバー12が、自身の表面側に突出して形成される下側突出部12βを被覆部12αの下方に有する例について示したが、レーダーカバー12は、被覆部12αの上方にさらに突出部を有する形状で構成されても良い。
【0044】
図7は、車両に搭載された第2の実施形態に係るレーダーカバー22の断面図である。図7に示すように、第2の実施形態に係るレーダーカバー22は、被覆部22α、下側突出部22β、および上側突出部22γを有する。なお、被覆部22αは上記被覆部12αと同様の機能を有する部位であり、下側突出部22βは下側突出部12βと同様の機能を有する部位であるため、被覆部22αおよび下側突出部22βについての詳細な説明は省略する。
【0045】
上側突出部22γは、被覆部22αの上方に設けられ、被覆部22αよりレーダーカバー22の表面側に突出した部位である。レーダーカバー22は、上側突出部22γを有することから、被覆部22αに上方から到来する水滴および汚れが付着することを防ぐことができる。
【0046】
以下、図8を参照して、被覆部22αへの水滴および汚れの付着を防ぐ様子について説明する。図8は、第2の実施形態に係るレーダーカバー22に、下方および上方から到来する水滴が付着する様子を示す図である。
【0047】
図8において、水滴を丸印で、当該水滴の到来方向を矢印で、各々模式的に表す。例えば、雨天時などでは、車両100の上方から雨滴が降ってくる。ここで、上方から到来する雨滴は、被覆部22αより表面側に突出した上側突出部22γの上面に付着するため、上側突出部22γより下方奥側に位置する被覆部22αに当該水滴が付着することはない。すなわち、上側突出部22γは、所謂雨除けのひさしの役割を果たして、被覆部22αへの水滴の付着を防止することができる。
【0048】
また、雨天時に車両100が走行している際、車輪の回転や空力等により、下方から水滴が巻き上げられる場合がある。このようにレーダーカバー22の下方から到来する水滴は、上述第1の実施形態に示した通り、下側突出部22βに阻まれて被覆部22αに付着することがない。
【0049】
上記の通り、本発明第2の実施形態に係るレーダーカバー22によれば、下方から到来する水滴だけでなく上方から到来する水滴の被覆部22αへの付着も防ぐことが可能である。したがって、レーダーカバー22は、第1の実施形態に係るレーダーカバー12と同様に、アンテナ111が送受信する電磁波が透過する被覆部22αに水滴が付着することを防ぎ、当該電磁波の減衰を防ぐことができる。故に、処理装置112は、当該電磁波の正確な伝搬距離および伝搬方向を測定し、電磁波を反射した物体の位置を正確に検出することができる。
【0050】
なお、上記第1の実施形態および第2の実施形態では、レーダーカバー12および22がアンテナ111を覆うようにリアバンパー50に取り付けられる例を示したが、送受信面111Sを被覆部12αおよび22αで覆う態様で車両に搭載可能であれば、搭載箇所はリアバンパー50に限らない。例えば、搭載車両がバックドアを有する車両である場合、当該バックドア上方に、リアルーフスポイラーとして搭載されても構わない。
【0051】
また、上記第1の実施形態および第2の実施形態では、車両100と検出物とが衝突する危険性が高い場合に処理装置112がハザードランプ13を点滅動作させる制御を行う例について説明したが、処理装置112は、車両100に搭載された乗員保護装置などの他の車載装置を動作させても構わない。例えば、車両100が車両の前後方向へ電動で移動可能な駆動機構を備えたヘッドレストを備えている場合、処理装置112は、当該ヘッドレストの駆動機構を動作させて乗員を保護する制御を行う。具体的には、処理装置112は、上述ステップA5の処理において、上記ヘッドレストを乗員の頭部に当接するまで前方へ移動させて、当該乗員の頭部を保護する。このような制御によれば、乗員を衝突の衝撃から保護し、乗員のむち打ち等を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係る車載レーダー装置および車両のリアバンパーは、正確な物体の検出を可能とする車載レーダー装置および車両のリアバンパーなどとして有用である。
【符号の説明】
【0053】
11、61 レーダーユニット
12、22 レーダーカバー
13 ハザードランプ
50 リアバンパー
62 レドーム部
63 バンパー
100 車両
111 アンテナ
112 処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を放射し、物体からの当該電磁波の反射波を受信して当該物体の位置を検出する、車両後方に搭載される車載レーダー装置であって、
前記電磁波の送信、および前記反射波の受信を行う送受信部と、
前記反射波に基づいて前記物体の位置を検出する検出部と、
車両のリアバンパーに設けられ、前記送受信部の送受信面と自身の裏面とが対向するようにして当該送受信部を覆うカバー部材とを備え、
前記リアバンパーには、前記電磁波が通過する開口部が形成され、
前記カバー部材は、
前記開口部を塞ぐようにして前記リアバンパーに設けられ、
前記送受信面を覆う被覆部と、
前記被覆部の下方にかつ前記被覆部より当該カバー部材の表面側に突出して設けられた下側突出部とを少なくとも含む、車載レーダー装置。
【請求項2】
上方から到来する水滴および水滴を含む汚れが前記被覆部表面へ付着することを防ぐために、前記被覆部の上方の前記電磁波の伝搬領域外にかつ前記被覆部より前記リアバンパーの表面側に突出して設けられた上側突出部をさらに備える、請求項1に記載の車載レーダー装置。
【請求項3】
前記被覆部、前記下側突出部、および前記上側突出部は、一体的に形成される、請求項2に記載の車載レーダー装置。
【請求項4】
前記被覆部は前記電磁波を透過する合成樹脂で成型される、請求項1に記載の車載レーダー装置。
【請求項5】
電磁波を放射し、物体からの当該電磁波の反射波を受信して当該物体の位置を検出する、車両後方に搭載される車載レーダー装置を覆う、車両のリアバンパーであって、
前記電磁波の送信および前記反射波の受信を行う送受信部の送受信面を覆い、前記電磁波の伝搬領域に重ねて設けられる被覆部と、
前記被覆部の下方の前記電磁波の伝搬領域外にかつ前記被覆部よりリアバンパーの表面側に突出して設けられた下側突出部とを備える、車両のリアバンパー。
【請求項6】
上方から到来する水滴および水滴を含む汚れが前記被覆部表面へ付着することを防ぐために、前記被覆部の上方の前記電磁波の伝搬領域外にかつ前記被覆部よりリアバンパーの表面側に突出して設けられた上側突出部をさらに備える、請求項5に記載の車両のリアバンパー。
【請求項7】
前記被覆部、前記下側突出部、および前記上側突出部は、一体的に形成される、請求項6に記載の車両のリアバンパー。
【請求項8】
前記被覆部は前記電磁波を透過する合成樹脂で成型される、請求項5に記載の車両のリアバンパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−76704(P2013−76704A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−250307(P2012−250307)
【出願日】平成24年11月14日(2012.11.14)
【分割の表示】特願2010−502380(P2010−502380)の分割
【原出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】