説明

車載用テーブルの固定具

【課題】
車室内の意匠性を損ねることがなく、テーブル本体の取付け及び取り外しを容易とすることにより、非使用時にテーブル本体が邪魔になってしまうのを防止できる車載用テーブルの固定具を提供する。
【解決手段】
車両に設けられたグローブボックスGのドアGaが閉状態のとき、当該ドアGaのロック部材Gbaに係止してロックする第1係止金具2と、該第1係止金具2よりもロック部材Gba側に突出させ得るとともに、ロック部材Gbaに係止することにより、グローブボックスGのドアGaを半開き状態で固定する第2係止金具3とを有し、第2係止金具3がロック部材Gbaに係止することにより半開き状態とされたグローブボックスGのドアGaの上縁部と、当該グローブボックスG上部に位置するインストルメントパネルIPの下縁部とにより、テーブル本体5の上下面を挟持して略水平に支持させたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車室内に取り付けられて任意の物品を載置可能なテーブル本体を支持するための車載用テーブルの固定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車室内で飲食等を行う際に用いられる車載用テーブルとして、板状のテーブル本体を任意の部位(例えばインストルメントパネルなど)に固定したものが挙げられる。かかる車載用テーブルによれば、例えば助手席側の搭乗者が任意の物品を一時的に載置するのに便利であり、且つ、ユーザーの使用形態に合致させた任意の部位にテーブルを固定することができる。
【0003】
上記車載用テーブルを車室の任意部位に固定する固定具として、従来、別個のステーやネジ等汎用的固定手段が用いられており、例えばインストルメントパネル表面にネジ等を用いてステーを固定させておき、当該ステーに板状のテーブル本体を固定させることにより支持していた。尚、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の車載用テーブルの固定具においては、インストルメントパネル等内装品の表面にテーブル本体を固定させるものであったため、車載用テーブルを長期に亘って使用しない場合などテーブル本体を取り外したとき、固定具としてのステーや該ステーの跡が内装品の表面に残ってしまい、車室内の意匠性を著しく損ねてしまうという問題があった。
【0005】
また、従来のものは、上記の如くテーブル本体の取り外しが困難であるため、テーブル本体の非使用時にも所望物品を載置可能な状態のままとされることにより邪魔になってしまうという問題があった。即ち、テーブル本体は、その使用時には任意の物品を載置可能とすべく比較的大きな面積を有する必要であるため、非使用時にはその比較的大きなテーブル本体が邪魔となってしまうのである。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、車室内の意匠性を損ねることがなく、テーブル本体の取付け及び取り外しを容易とすることにより、非使用時にテーブル本体が邪魔になってしまうのを防止できる車載用テーブルの固定具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、車両の車室内に取り付けられて任意の物品を載置可能なテーブル本体を支持するための車載用テーブルの固定具において、前記車両に設けられたグローブボックスのドアが閉状態のとき、当該ドアに設けられたロック部材に係止してドアをロックする第1係止金具と、該第1係止金具よりも前記ロック部材側に突出させ得るとともに、前記ロック部材に係止することにより、前記グローブボックスのドアを半開き状態で固定する第2係止金具とを有し、前記第2係止金具が前記ロック部材に係止することにより半開き状態とされた前記グローブボックスのドアの上縁部と、当該グローブボックス上部に位置するインストルメントパネルの下縁部とにより、前記テーブル本体の上下面を挟持し、当該テーブル本体を略水平に支持させたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の車載用テーブルの固定具において、前記第2係止金具は、前記第1係止金具に揺動自在に取り付けられ、その揺動操作により、当該第1係止金具が第2係止金具よりも前記ロック部材側に突出させた状態と、第2係止金具が第1係止金具よりも前記ロック部材側に突出させた状態とに切り換え可能とされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、第2係止金具がロック部材に係止することにより半開き状態とされた前記グローブボックスのドアの上縁部と、当該グローブボックス上部に位置するインストルメントパネルの下縁部とにより、テーブル本体の上下面を挟持し、当該テーブル本体を略水平に支持させたので、車室内の意匠性を損ねることがなく、テーブル本体の取付け及び取り外しを容易とすることにより、非使用時にテーブル本体が邪魔になってしまうのを防止できる。また、第1係止金具がロック部材に係止することにより、グローブボックスのドアを閉状態にてロックすることができるので、本来のグローブボックスの機能を維持させることができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、第2係止金具が第1係止金具に揺動自在に取り付けられ、その揺動操作により、当該第1係止金具が第2係止金具よりもロック部材側に突出させた状態と、第2係止金具が第1係止金具よりもロック部材側に突出させた状態とに切り換え可能とされたので、車載用テーブルの使用時(テーブル本体が取付けられた状態)と非使用時(テーブル本体が取り外された状態)とで、ロック部材に係止させるべき係止金具を容易に且つ素早く選択可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る車載用テーブルの固定具は、任意の物品を載置可能なテーブル本体を自動車に設けられたグローブボックスに固定し得るものであり、図1及び図2に示すように、第1係止金具2、第2係止金具3及び連結部材4を有した係止金具1にて構成されている。
【0012】
グローブボックスGは、図8及び図9に示すように、車室内における助手席側のインストルメントパネルIP下部に設けられたもので、内部の収納部Gbに所望の物品を収納可能とされている。収容部Gbと一体的に形成されたドアGaにはロックレバーGaa(図8参照)が形成されており、かかるロックレバーGaaを操作することにより、図8の如き閉状態のドアGaを、図9の如く開状態とし得るよう構成されている。
【0013】
係止金具1は、図1及び図2に示すように、第1係止金具2に設けられた連結部材4により第2係止金具3が連結されたもので、当該第2係止金具3は、その基端部が連結部材4との連結部において回動自在とされ、図2に示すように、実線で示す位置から二点鎖線で示す位置まで揺動可能となっている。また、第1係止金具2は、既存の係止金具(グローブボックスGのドアGaを閉状態にて係止するための金具)と同様の構成のものであり、略U字状に屈曲形成されたものから成る。
【0014】
そして、上記係止金具1は、インストルメントパネルIP側におけるグローブボックスGのドアGaと合致する縁部に対しネジNにて固定される。ネジNにて固定された第1係止金具2及び第2係止金具3は、選択的にグローブボックスG側に形成されたロック部材Gbaと係止可能とされており、第1係止金具2がロック部材Gbaに係止されるとグローブボックスGのドアGaが閉状態とされ、第2係止金具3がロック部材Gbaに係止されるとグローブボックスGのドアGaが半開き状態とされる。
【0015】
即ち、第2係止金具3を揺動操作して、図3で示すように、第1係止金具2が第2係止金具3よりもロック部材Gba側に突出させた状態とすることにより、当該第1係止金具2のロック部材Gbaとの係止を可能とし、グローブボックスGのドアGaを閉状態(当該ドアGa上縁部とインストルメントパネルIP下縁部との間にほとんど隙間がない状態)とし得る。
【0016】
一方、第2係止金具3を揺動動作して、図4で示すように、第2係止金具3が第1係止金具2よりもロック部材Gba側に突出させた状態とすることにより、当該第2係止金具3のロック部材Gbaとの係止を可能とし、グローブボックスGのドアGaを半開き状態(当該ドアGa上縁部とインストルメントパネルIP下縁部との間に後述するテーブル本体5を挟持し得る隙間が形成された状態)とし得る。
【0017】
テーブル本体5は、図5に示すように、表面(上面)に任意の物品を載置可能とすべく略板状に形成されたものから成り、係止金具1において選択的に突出状態とされた第2係止金具3を挿通可能な切欠5aが形成されている。また、テーブル本体5の裏面(下面)には、ゴム等弾性部材から成る一対の支持部5bが取り付けられており、該支持部5bが、図4の如く半開き状態のドアGaの上縁部と合致し得るようになっている。
【0018】
然るに、第2係止金具3を揺動操作して第1係止金具2より突出した状態とした後、テーブル本体5の支持部5bをドアGaの上縁部と合致させつつ、切欠5aを介して第2係止金具3をロック部材Gbaに係止させることにより、半開き状態とされたグローブボックスGのドアGaの上縁部と、グローブボックスG上部に位置するインストルメントパネルIPの下縁部とがテーブル本体5の上下面を挟持し、当該テーブル本体5を略水平に支持することが可能とされている。
【0019】
従って、車室内の意匠性を損ねることがなく、テーブル本体5の取付け及び取り外しを容易とすることにより、非使用時にテーブル本体5が邪魔になってしまうのを防止できる。また、第1係止金具2がロック部材Gbaに係止することにより、グローブボックスGのドアGaを閉状態にてロックすることができるので、本来のグローブボックスGの機能を維持させることができる。
【0020】
更に、第2係止金具3が第1係止金具2に揺動自在に取り付けられ、その揺動操作により、当該第1係止金具2が第2係止金具3よりもロック部材Gba側に突出させた状態と、第2係止金具3が第1係止金具2よりもロック部材Gba側に突出させた状態とに切り換え可能とされたので、車載用テーブルの使用時(テーブル本体5が取付けられた状態)と非使用時(テーブル本体5が取り外された状態)とで、ロック部材Gbaに係止させるべき係止金具を容易に且つ素早く選択可能とすることができる。
【0021】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図6に示すように、ステー7が延設されたテーブル本体6をグローブボックスGに支持させるものとしてもよい。かかるテーブル本体6は、係止金具1において選択的に突出状態とされた第2係止金具3を挿通可能な切欠6aが形成されるとともに、軸L1を中心として同図矢印方向に揺動自在なステー7が設けられ、該ステー7の突端側に取付孔(不図示)が形成されている。
【0022】
そして、グローブボックスGの収納部Gb内における内壁に凸部を有した固定部材(不図示)を予め固定しておき、車載用テーブルの使用時には、該固定部材の凸部にステー7の取付孔を挿通させつつ、切欠6aを介して第2係止金具3をロック部材Gbaに係止させることにより、半開き状態とされたグローブボックスGのドアGaの上縁部と、グローブボックスG上部に位置するインストルメントパネルIPの下縁部とがテーブル本体6の上下面を挟持し、当該テーブル本体6を略水平に支持することが可能とされている。
【0023】
一方、車載用テーブルの非使用時には、ステー7を揺動させて凸部から取付孔を離間させ、テーブル本体6をグローブボックスGから取り外すとともに、第2係止金具3を揺動操作して第1係止金具2をロック部材Gba側に突出させた状態とする。かかる状態にて、第1係止金具2をロック部材Gbaに係止させれば、グローブボックスGのドアGaを閉状態にてロックすることができるので、本来のグローブボックスGの機能を維持させることができる。
【0024】
また更に、図7に示すように、グローブボックスGの収納部Gb内に予め案内レール11を固定しておき、該案内レール11に沿って摺動可能なテーブル本体8をグローブボックスGに支持させるものとしてもよい。かかるテーブル本体8は、係止金具1において選択的に突出状態とされた第2係止金具3を挿通可能な切欠8aが形成されるとともに、軸L2を中心として揺動自在なステー9が設けられ、該ステー9の突端側には、案内レール11に対して摺動可能に連結された摺動部材10が形成されている。
【0025】
尚、案内レール11の両端は、グローブボックスGの収納部Gb内における内壁に設けられた固定部材12にて支持されている。上記構成により、テーブル本体8は、グローブボックスGの収納部Gb内に収容された状態から車室側(助手席側)に突出した状態までスライド可能とされている。
【0026】
そして、車載用テーブルの使用時においては、収納部Gb内に収容されたテーブル本体8を引っ張り出して助手席側に突出させつつ、切欠8aを介して第2係止金具3をロック部材Gbaに係止させることにより、半開き状態とされたグローブボックスGのドアGaの上縁部と、グローブボックスG上部に位置するインストルメントパネルIPの下縁部とがテーブル本体8の上下面を挟持し、当該テーブル本体6を略水平に支持することが可能とされている。
【0027】
一方、車載用テーブルの非使用時には、テーブル本体8を押し込んで摺動させグローブボックスGの収納部Gb内に収容させるともに、第2係止金具3を揺動操作して第1係止金具2をロック部材Gba側に突出させた状態とする。かかる状態にて、第1係止金具2をロック部材Gbaに係止させれば、グローブボックスGのドアGaを閉状態にてロックすることができるので、本来のグローブボックスGの機能を維持させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
第2係止金具がロック部材に係止することにより半開き状態とされたグローブボックスのドアの上縁部と、当該グローブボックス上部に位置するインストルメントパネルの下縁部とにより、テーブル本体の上下面を挟持し、当該テーブル本体を略水平に支持させる車載用テーブルの固定具であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたものにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る車載用テーブルの固定具を示す正面図
【図2】同車載用テーブルの固定具を示す側面図
【図3】同車載用テーブルの固定具における第1係止金具がロック部材側に突出して係止した状態を示す模式図
【図4】同車載用テーブルの固定具における第2係止金具がロック部材側に突出して係止した状態を示す模式図
【図5】同車載用テーブルの固定具で支持されるテーブル本体を示す平面(上面)図及び裏面(下面)図
【図6】本発明に係る他の実施形態において支持されるテーブル本体(グローブボックスへの脱着自在型)を示す平面(上面)図
【図7】本発明に係る他の実施形態において支持されるテーブル本体(グローブボックス内での摺動自在型)を示す平面(上面)図
【図8】同車載用テーブルが適用されるグローブボックス(閉状態)を示す斜視図
【図9】同車載用テーブルが適用されるグローブボックス(開状態)を示す斜視図
【符号の説明】
【0030】
1 係止金具(車載用テーブルの固定具)
2 第1係止金具
3 第2係止金具
4 連結部材
5 テーブル本体
6 テーブル本体
7 ステー
8 テーブル本体
9 ステー
10 摺動部材
11 案内レール
12 固定部材
IP インストルメントパネル
G グローブボックス
Ga ドア
Gb 収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室内に取り付けられて任意の物品を載置可能なテーブル本体を支持するための車載用テーブルの固定具において、
前記車両に設けられたグローブボックスのドアが閉状態のとき、当該ドアに設けられたロック部材に係止してドアをロックする第1係止金具と、
該第1係止金具よりも前記ロック部材側に突出させ得るとともに、前記ロック部材に係止することにより、前記グローブボックスのドアを半開き状態で固定する第2係止金具と、
を有し、前記第2係止金具が前記ロック部材に係止することにより半開き状態とされた前記グローブボックスのドアの上縁部と、当該グローブボックス上部に位置するインストルメントパネルの下縁部とにより、前記テーブル本体の上下面を挟持し、当該テーブル本体を略水平に支持させたことを特徴とする車載用テーブルの固定具。
【請求項2】
前記第2係止金具は、前記第1係止金具に揺動自在に取り付けられ、その揺動操作により、当該第1係止金具が第2係止金具よりも前記ロック部材側に突出させた状態と、第2係止金具が第1係止金具よりも前記ロック部材側に突出させた状態とに切り換え可能とされたことを特徴とする請求項1記載の車載用テーブルの固定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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