説明

車載用ハンズフリー通話装置

【課題】ハンズフリー通話中の発話内容に応じて、適切なハンズフリー特性パラメータを設定することのできる車載用ハンズフリー通話装置を提供する。
【解決手段】ハンズフリー制御部101では、ハンズフリー通話音質に関する特性パラメータを設定したパラメータ設定部102を使用してハンズフリー通話を制御する。音声認識部106では、通話中の音声を認識し、認識結果を音声認識結果保存部107に記憶しておき、キーワード検出部112でキーワードが検出された場合、または繰り返し検出部114で同じ言葉の繰り返しが検出された場合は、パラメータ選択規則データベース105のパラメータ選択規則に従って、パラメータを保存したパラメータデータベース104からパラメータを選択する。パラメータとしては、例えば音量、ノイズ抑圧量の設定を保持している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハンズフリー通話中の音声を認識し、その認識結果に応じてハンズフリー通話音質に関する特性パラメータを自動的に調整する車載用ハンズフリー通話装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車載用ハンズフリー通話装置として、ハンズフリー通話時に音声認識装置で検出された騒音データによって、マイクロホンより入力される入力音声レベルとスピーカより出力する会話音声の音量の少なくとも1つを自動的に調整しているものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−261254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の車載用ハンズフリー装置においては、外部騒音の大きさに応じてのみしか自動調整機能が働かないという問題があった。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、ハンズフリー通話中の発話内容に応じて、適切なハンズフリー特性パラメータを設定することのできる車載用ハンズフリー通話装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車載用ハンズフリー通話装置は、ハンズフリー通話の音声に対して特性パラメータを設定するパラメータ設定部と、通話中に発話された言葉を認識する音声認識部と、前記音声認識部での認識結果を保存する音声認識結果保存部と、前記音声認識結果保存部に保存された認識結果に基づいて前記特性パラメータを変更するハンズフリー制御部とを備えた構成を有している。
【0007】
この構成により、発話内容に応じたハンズフリー特性パラメータが設定されることとなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、発話内容に応じたパラメータ選択部を設けることにより、通話状況に応じた適切な特性パラメータを自動的に設定でき、ハンズフリー通話の音質が向上するという効果を有する車載用ハンズフリー通話装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態における車載用ハンズフリー通話装置のブロック図
【図2】本発明の第1の実施の形態における車載用ハンズフリー通話装置の動作説明のためのフロー図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の第1の実施の形態の車載用ハンズフリー通話装置について、図面を用い
て説明する。
【0011】
本発明の第1の実施の形態の車載用ハンズフリー通話装置のブロック図を図1に示す。
【0012】
図1において、車載用ハンズフリー通話装置1は、自動車などの車両に搭載されて用いられるものであり、例えばBluetooth(登録商標)等の無線通信を行なう通信部108を用いて車載用ハンズフリー通話装置1と同じ車両内に載置された(あるいは設置された)携帯電話機111に接続する。
【0013】
そして、車両内の携帯電話機111を介して車両外側の相手電話機と接続して通話を行なう。
【0014】
車両には、車両内のユーザが発する会話音声を含む車両側の音声を集音するためのマイク109、音声を出力するスピーカ110が設置されている。
【0015】
車載用ハンズフリー通話装置1は、これらマイク109およびスピーカ110に接続される。これによって車両内側の携帯電話機111と車両外側の携帯電話との間でハンズフリー通話ができるようになっている。
【0016】
より詳細には、マイク109およびスピーカ110は、車載用ハンズフリー通話装置1の内部に備えられているハンズフリー制御部101に接続される。
【0017】
ハンズフリー制御部101は、ハンズフリー通話時の音質に関する特性パラメータを設定するパラメータ設定部102を使用してハンズフリー通話の音質を制御する。
【0018】
すなわち、ハンズフリー制御部101は、マイク109から入力された音声に対して特性パラメータを設定するようパラメータ設定部102を制御すると共に、通信部108を介して入力された携帯電話機111が受信した相手側の電話機からの音声に対して特性パラメータを設定するようパラメータ設定部102を制御する。
【0019】
マイク109から入力された音声は、パラメータ設定部102によって特性パラメータが設定されてから通信部108を経由して携帯電話機111から相手側の電話機へ送信される。
【0020】
同様に、携帯電話機111が受信した相手側の電話機からの音声は、パラメータ設定部102によって特性パラメータが設定されてからスピーカ110にて音声出力される。
【0021】
上述したとおり、車両側の音声はハンズフリー制御部101から通信部108を経由して携帯電話機111に送信されるが、ハンズフリー制御部101から通信部108への通信ラインには音声認識部106が接続される。
【0022】
音声認識部106は、通話中の音声を認識し、認識した音声の発話者は車両内側のユーザか車両外側のユーザかのどちらであるかという情報を音声認識結果保存部107に一定時間記憶する。
【0023】
さらに音声認識部106は、発話内容(通話中の音声)の認識結果をテキスト情報として音声認識結果保存部107に一定時間記憶する。
【0024】
音声認識結果保存部107はキーワード検出部112に接続され、音声認識結果保存部に保存されたデータがキーワード検出部112にて利用される。
【0025】
キーワード検出部112では、特定の言葉をテキスト情報として保存しているキーワードデータベース113の中の言葉が、音声認識結果保存部107の中にあるか検索し、見つかった場合には、車両側発話者、車両外側発話者のどちらの音声認識結果にキーワードを検出したかという情報をパラメータ選択部103に送る。
【0026】
音声認識結果保存部107はまた、繰り返し検出部114にも接続されており、音声認識結果保存部に保存されたデータは繰り返し検出部114においても利用される。
【0027】
繰り返し検出部114では、音声認識結果保存部107の車両側発話者、車両外側発話者それぞれの音声認識結果の中に、繰り返し回数設定部115で設定された繰り返し回数以上の同じ言葉の繰り返しがあるか検索し、見つかった場合には、車両側発話者、車両外側発話者のどちらの音声認識結果に繰り返しを検出したかという情報をパラメータ選択部103に送る。
【0028】
パラメータ選択部103では、キーワード検出部112からの情報(どちら側の発話者の音声認識結果の中にキーワードを検出したか否か)、繰り返し検出部114からの情報(どちら側の発話者の音声認識結果の中に繰り返しを検出したか否か)と、パラメータ選択規則データベース105のパラメータ選択規則を使い、パラメータを保存したパラメータデータベース104からパラメータを選択する。パラメータデータベース104は、例えば音量、ノイズ抑圧量の設定を保持している。
【0029】
ここで、パラメータ選択規則データベース105は、パラメータを選択する際の規則を保持している。例えば、車両側発話者の発話内容に、同じ言葉の繰り返しがあった場合には、車両側から車両外側への音声信号に対して音量が上がるよう設定するパラメータを選択するという規則がある。
【0030】
上述したとおり、パラメータ選択部103で選択されたパラメータがパラメータ設定部102へ送信されることによってハンズフリー制御部101が適切なパラメータ設定の制御を行なう。
【0031】
上述した内容において、パラメータデータベース104、音声認識結果保存部107、キーワードデータベース113、パラメータ選択規則データベース105は一般的な半導体メモリで実現され、ハンズフリー制御部101、パラメータ選択部103、キーワード検出部112、繰り返し検出部114は、CPUなどの演算処理機能を有したマイクロコンピュータやDSP(Digital Signal Processor)を用いて実現される。
【0032】
また、音声認識部106についても、公知の音声認識技術を利用して実現されるものである。
【0033】
以上のように構成された車載用ハンズフリー通話装置について、その動作を説明する。
【0034】
本実施の形態の車載用ハンズフリー通話装置1の動作概要は、車両に搭乗している通話者(車両通話者)または、この車両通話者と車載用ハンズフリー通話装置1を介して通話を行なっている該車両の外部に存在する通話者(車両外側通話者)の発話内容に応じて、パラメータ設定部102が設定する特性パラメータをハンズフリー制御部101が調整する。
【0035】
このとき、設定される特性パラメータは、音量だけでなく、その他のハンズフリーの音質に関連したパラメータが調整される。
【0036】
たとえば、車両側通話者と車両外通話者とが車載用ハンズフリー通話装置1を介して通話している際に、両者の発話内容を音声認識部106が認識し、特定の言葉が認識された場合、あるいは、所定の言葉が繰り返し認識された場合には、パラメータ選択部103がパラメータデータベース104から認識結果に応じた特性パラメータを選択し、ハンズフリー制御部101にそのパラメータを設定する。
【0037】
例えば、車両外側通話者が「周りがうるさい」と言った場合には、車両側から車両外側へのノイズ抑圧を強めたパラメータを特性パラメータとしてパラメータ設定部102に設定する。
【0038】
あるいは、他の例として、車両外側通話者が「え?」と聞きなおした場合には車両側から車両外側への音声信号に対して音量が上がるよう設定する特性パラメータをパラメータ設定部102が設定する。
【0039】
さらに別の例として、車両通話者が同じ言葉を繰り返した場合には、車両側から車両外側への音声信号に対して音量が上がるよう設定する特性パラメータをパラメータ設定部102が設定する。
【0040】
以上により、状況に応じた最適なハンズフリーパラメータを設定でき、優れた音質のハンズフリー通話を実現することができる。
【0041】
次に、図2を用いて本実施の形態の車載用ハンズフリー通話装置の詳細動作について説明する。
【0042】
まず、音声認識部106により、ハンズフリー通話中の発話内容を認識する(ステップS201)。
【0043】
次にステップS201で認識された結果を、発話者が車両側か車両外側かのどちら側かという情報とともに、テキスト情報として音声認識結果保存部107に一定期間保存しておく(ステップS202)。
【0044】
キーワード検出部112では、キーワードデータベース113の中の言葉が、音声認識結果保存部107の中にあるかを検索し、一致する言葉があるかを判定する(ステップS203)。
【0045】
ステップS203において、一致する言葉がないと判定された場合(ステップS203のNo)はステップS204へ移行し、一致する言葉があると判定された場合(ステップS203のYes)はステップS205へ移行する。
【0046】
繰り返し検出部114では、音声認識結果保存部107の車両側発話者、車両外側発話者それぞれの音声認識結果の中に、繰り返し回数設定部115で設定された繰り返し回数以上の同じ言葉の繰り返しがあるか否かを判定する(ステップS204)。
【0047】
ステップS204において、同じ言葉の繰り返しがないと判定された場合(ステップS204のNo)はステップS201へ移行し、同じ言葉の繰り返しがあると判定された場合(ステップS204のYes)はステップS205へ移行する。
【0048】
パラメータ選択部103では、キーワード検出部112の情報(どちら側の発話者の音声認識結果の中にキーワードを検出したか否か)、繰り返し検出部114からの情報(ど
ちら側の発話者の音声認識結果の中に繰り返しを検出したか否か)と、パラメータ選択規則データベース105のパラメータ選択規則を使い、パラメータを保存したパラメータデータベース104からパラメータを選択する(ステップS205)。
【0049】
例えば車両側通話者が同じ言葉を繰り返し発声した場合には、車両側から車両外側への音声信号に対して音量が上がるよう設定するパラメータをパラメータデータベース104から選択する。
【0050】
前ステップ205にて選択されたパラメータは、パラメータ設定部102に新たに設定され、ハンズフリー制御部101に使用される(ステップS206)。
【0051】
このような本発明の第1の実施の形態の車載用ハンズフリー通話装置によれば、発話内容の繰り返しを検出する繰り返し検出部、特定のキーワードを検出するキーワード検出部を設けることにより、発話内容に応じたパラメータが自動的に設定され、適切なハンズフリー通話品質にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本発明にかかる車載用ハンズフリー通話装置は、ハンズフリー通話の音質が向上するという効果を有し、ハンズフリー通話中の音声を認識し、その認識結果に応じてハンズフリー通話音質に関する特性パラメータを自動的に調整する車載用ハンズフリー通話装置等として有用である。
【符号の説明】
【0053】
1 車載用ハンズフリー通話装置
101 ハンズフリー制御部
102 パラメータ設定部
103 パラメータ選択部
104 パラメータデータベース
105 パラメータ選択規則データベース
106 音声認識部
107 音声認識結果保存部
108 通信部
109 マイク
110 スピーカ
111 携帯電話機
112 キーワード検出部
113 キーワードデータベース
114 繰り返し検出部
115 繰り返し回数設定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載用ハンズフリー通話装置において、
ハンズフリー通話の音声に対して特性パラメータを設定するパラメータ設定部と、
通話中に発話された言葉を認識する音声認識部と、
前記音声認識部での認識結果を保存する音声認識結果保存部と、
前記音声認識結果保存部に保存された認識結果に基づいて前記特性パラメータを変更するハンズフリー制御部とを備えた車載用ハンズフリー通話装置。
【請求項2】
前記ハンズフリー制御部は、前記音声認識部が所定の言葉を認識した場合に、ノイズ抑圧を強めたパラメータを特性パラメータとして前記パラメータ設定部に設定することを特徴とする請求項1記載の車載用ハンズフリー通話装置。
【請求項3】
前記ハンズフリー制御部は、前記音声認識部が所定の言葉を認識した場合に、音量が上がるよう設定する特性パラメータを特性パラメータとして前記パラメータ設定部に設定することを特徴とする請求項1記載の車載用ハンズフリー通話装置。
【請求項4】
前記ハンズフリー制御部は、前記音声認識部が所定の言葉を複数回認識した場合に、音量が上がるよう設定する特性パラメータを特性パラメータとして前記パラメータ設定部に設定することを特徴とする請求項1記載の車載用ハンズフリー通話装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−217125(P2012−217125A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199306(P2011−199306)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】