車載用ミリ波レーダ装置
【課題】少ない素子数のアレーアンテナを用いた場合でも等価開口を大きくすることができ、狭ビーム化に対応可能な車載用レーダ装置を得る。
【解決手段】アレーアンテナの配列の相対する端部に位置する2つの素子アンテナを送信素子アンテナとすると共に、残りの複数の素子アンテナを受信素子アンテナとし、2つの送信素子アンテナを切換え、送信素子アンテナからレーダ送信波を順次に送信して、それぞれの反射電波を対応させた順序の受信素子アンテナで受信し、受信した受信信号を合成して合成開口アレー信号として処理する。
【解決手段】アレーアンテナの配列の相対する端部に位置する2つの素子アンテナを送信素子アンテナとすると共に、残りの複数の素子アンテナを受信素子アンテナとし、2つの送信素子アンテナを切換え、送信素子アンテナからレーダ送信波を順次に送信して、それぞれの反射電波を対応させた順序の受信素子アンテナで受信し、受信した受信信号を合成して合成開口アレー信号として処理する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はアレーアンテナを使用してレーダ送信波を送信し、目標からの反射電波を受信する車載用ミリ波レーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に周波数変調レーダやパルス変調レーダ等のミリ波レーダを搭載して先行車両との車間距離や相対速度あるいは障害物を検出して自動車の安全性や自動運転などの利便性を図るシステムの開発が進められている。このような車載レーダは、多重波や他レーダ干渉波など、レーダの中でも比較的電波環境の悪い状況で運用されることになる。これらの対策の一つとして、アレーアンテナを用いた空間ダイバーシティや各種適応アレー信号処理の適用が効果的である。しかし、車載レーダは民生需要を目的とする一般車両に搭載するため、小型化、かつ簡素化による経済性が求められている。この種の従来の車載レーダとして、送信機、および受信機を1個のみ使用し、複数の受信素子アンテナとスイッチにより受信機との接続を切り替えるようにした構成がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
1次元アレーを例として、この従来のレーダ装置のアレーアンテナを1個の送信素子アンテナと9個の受信素子アンテナで構成した場合について考察する。送受信のタイミングチャートは図11に示されるようになる。まず、送信素子アンテナT1から送信し、その目標反射波を受信素子アンテナR1で受信する。次に、同様に送信素子アンテナT1で送信し、その目標反射波は受信素子アンテナR2で受信する。以下同様に、送信素子アンテナT1で送信し、その目標反射波を受信素子アンテナR9で受信する。この送受信動作を、便宜上(T1,R1)、(T1,R2)、・・・、(T1,R9)と表すことにする。こうすることで、目標の方向をθとし、受信素子アンテナR1で受信した信号位相を基準として0とすると、位相が0,φ,2φ,3φ,4φ,5φ,6φ,7φ,8φだけ異なる信号が得られる。ここで、信号位相φは、
となる。ここで、受信のアレーアンテナは、素子アンテナ間隔dのリニアアレーとした。このように、送信パルスの繰り返し時間間隔PRI(Pulse Repetition Interval)をTとすると、9Tの時間で9素子のアレーアンテナとしての受信信号が得られることになる。
【0004】
このアンテナ装置では、n個の受信素子アンテナを用いた場合、nTの時間で、n個のアレーアンテナ信号が得られることがわかる。図12にはn=9とした場合に得られたビーム形成例を示す。ここでは、±20degを捜査範囲要求とみたてて、送信および受信素子アンテナ1個のパターン(Tx and Rx elemnt Pattern)(破線)の幅は、それと同等の約40degとした。図12において20deg方向へビーム指向させた場合の、9個の受信素子アンテナによる受信合成ビームパターン(beam pattern(θd=20deg))を実線で示す。また、素子間隔dを1.3λ(λは波長)としており、グレーティングローブは捜索範囲外の−25deg方向となっている。この時、1.3λ×10の開口径が必要となり、ビーム幅は約4degが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−284047公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の車載用ミリ波レーダ装置は以上のように構成されているので、車に装備する場合の省スペース化には限界がある。すなわちアレーアンテナの素子数を低減した場合、その分開口が小さくなってしまい、また、遠方の並走する複数車両の分離を容易とするための狭ビーム化を損なうという問題があった。
また、サブアレー構成にした大規模アレーアンテナを用い、比較的遠方を捜索対象として全素子アンテナから送信する艦載用レーダや航空管制レーダなどがある。この大規模アレーアンテナでは、各素子アンテナは、個別に移相器を持ち、サブアレー合成ビームを形成するため送信位相あるいは受信位相を制御できるようにしている。しかし、多くの大規模アレーアンテナは、受信系数を低減し装置規模を削減するために、RF段で幾つかのサブアレーに合成する合成器を持つ構成が採用されている。このようなレーダにおいても運用状況によっては、電力的には十分であるが、より狭ビームが必要とされ、また、アレーアンテナの空間方向の自由度を要求されることが課題として考えられる。
【0007】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、少ない素子数のアレーアンテナを用いて等価開口を大きくすることができ、一方、狭ビーム化にも対応可能な車載用ミリ波レーダ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る車載用ミリ波レーダ装置は、複数の素子アンテナを所定の間隔で配列したアレーアンテナを用いて、レーダ送信波を送信し、先行車両からの反射電波を受信し、受信した受信信号を合成して合成開口アレー信号として処理する車載用ミリ波レーダ装置において、2つの送信素子アンテナと、2つの送信素子アンテナの間に配列された複数の受信素子アンテナと、送信信号を出力する送信機との接続を、いずれか一方の送信素子アンテナに順次切換える送信スイッチと、それぞれの受信素子アンテナの受信信号を合成して合成開口アレー信号として処理する信号処理器とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、複数の素子アンテナを所定の間隔で配列したアレーアンテナを用いて、レーダ送信波を送信し、目標からの反射電波を受信し、受信した受信信号を合成して合成開口アレー信号として処理する車載用ミリ波レーダ装置において、2つの送信素子アンテナと、2つの送信素子アンテナの間に配列された複数の受信素子アンテナと、送信信号を出力する送信機との接続を、いずれか一方の送信素子アンテナに順次切換える送信スイッチと、それぞれの受信素子アンテナの受信信号を合成して合成開口アレー信号として処理する信号処理器と備えたので、送受信を含めたレーダ信号の位相差から時分割あるいは符号分割による合成開口アンテナ構成を実現し、実開口に対し大きな等価開口を得ることができ、アレーアンテナの構成の大幅な小型化が図れる効果がある。また、実開口を増やした場合には、より狭ビーム化が図れる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1による車載用ミリ波レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る送受信動作を示すタイミングチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1に係る合成ビームパターンを示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態2による車載用ミリ波レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る送受信動作を示すタイミングチャートである。
【図6】この発明の実施の形態3による車載用ミリ波レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態4による車載用ミリ波レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態4に係る送受信動作を示すタイミングチャートである。
【図9】この発明の実施の形態5による車載用ミリ波レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図10】この発明の実施の形態5に係る送受信動作を示すタイミングチャートである。
【図11】従来のアンテナ装置の送受信動作を説明するタイミングチャートである。
【図12】従来のアンテナ装置に係る合成ビームパターンを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による車載用ミリ波レーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、第1の送信機1はアレーアンテナ2から送出するレーダ送信波のための送信信号を一定間隔で生成し出力する。複数の素子アンテナを所定の間隔dで配列したアレーアンテナ2は、アレー配列の一端に位置し空間に電波を送出する送信素子アンテナT1、他端に位置し電波の送信と受信を行う送受信素子アンテナTR2およびT1とTR2の間に位置し目標から反射した電波を受信する4個の受信素子アンテナR1〜R4を形成している。送信スイッチ6は、送信素子アンテナT1と送受信素子アンテナTR2へ供給する第1の送信機1の送信信号を振分ける切り替え動作を行う。サーキュレータ7は、送信信号を送受信素子アンテナTR2へ与え、また、この送受信素子アンテナTR2で受信した受信信号を、受信スイッチ3を介して受信機4へ与えるように設けられている。この受信スイッチ3は、受信素子アンテナR1〜R4と送受信素子アンテナTR2で順次に受信した受信信号を受信機4へ入力する動作を行う。送信スイッチ6と受信スイッチ3は、アレーアンテナ2による送受信の組み合わせ動作を時分割で制御するよう互いに連動して動作する。受信機4は、受信信号を増幅、周波数変換して信号処理器5に出力し、信号処理器5は得られた信号から合成開口アレー信号を生成し、例えば、後段で車間距離、相対速度、障害物等のデータを算出させるために出力する。
【0012】
次に、アレーアンテナ2を中心とした送受信の動作について説明する。図2は図1のアンテナ構成による送受信動作を示すタイミングチャートである。
まず、送信スイッチ6が、第1の送信機1からの送信信号を送信素子アンテナT1に供給するように切り替えられているとする。また、目標で反射して戻ってきた反射電波を受信素子アンテナR1が受信して、その受信信号を受信機4に与えられるよう受信スイッチ3を切り替えておくものとする。ここで、送信素子アンテナT1で送信し、受信素子アンテナR1で受信する場合の動作を、便宜上(T1,R1)のように表現することにし、他の素子アンテナについても同様とする。
【0013】
まず、送信スイッチ6と受信スイッチ3の切り替えを制御し、送信素子アンテナT1からのレーダ送信波を順次に送信し、目標からのそれぞれの反射波を対応させた順序の受信素子アンテナR1,・・・,R4および送受信素子アンテナTR2の順で受信する。次に、送受信素子アンテナTR2からの送信に対して、それぞれの反射波を対応させた順序の受信素子アンテナR1,・・・,R4で順次に受信する。このようにして得た送受信動作は、(T1,R1)、(T1,R2)、(T1,R3)、(T1,R4)、(T1,TR2)、(TR2,R1)、(TR2,R2)、(TR2,R3)、(TR2,R4)の順になり、この送受信動作のサイクルを繰り返す。ここで、受信素子アンテナR1で受信した信号位相を基準にとると、位相が0,φ,2φ,3φ,4φ,5φ,6φ,7φ,8φだけ異なる信号が得られる。このことは、1個の送信素子アンテナと9素子の受信素子アンテナを持つ前述した従来のアンテナ装置が9T(Tは一組の送受信の時間とする)という計測時間内で得る受信信号と同じ信号を得ることができることを示している。すなわち、実施の形態1では、アレーアンテナの開口径が9素子に匹敵する。
【0014】
一般に、従来のアンテナ構成では、等価開口nを実現するために、送信素子アンテナを含めてn+1の素子数が必要となり、また実際の開口(以下、実開口とする。)はn×dとなる。一方、これに対し、この実施の形態1では、同じ等価開口nを実現するために、(n+1)/2の素子アンテナ数で、内訳として送受信素子アンテナ1+送信素子アンテナ1+受信素子アンテナ(n+1)/2−2とし、{(n+1)/2+1}×dの実開口により、従来と同等の信号が得られることになる。
前述の従来の方法では、各送信の位相中心は送信素子アンテナT1で一定であった。しかし、素子の送信アンテナ機能をもう一つ増やして送受信を切り替えることで、送信の位相中心を含めた受信アレーに入力する信号の信号位相が決まることを利用して、実開口より大きな等価開口を得ることが可能となる。
【0015】
また、この実施の形態1による方法で、送受信素子アンテナ1個、送信素子アンテナ1個、受信素子アンテナ8個として動作させた場合に得られた合成ビームパターンを図3に示す。図から分かるように、図12に示した従来の受信素子アンテナと同等の実開口とした場合には、約2deg(従来の半分)のビーム幅が実現可能となる。ビーム内の多重波を分離するためには、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)などの超分解能到来方向推定法などが知られているが、実施の形態1のビーム形成法は、この推定法に比べて素子間の振幅位相のキャリブレーション精度に対しても比較的寛容であるという良い特徴を持つ。
【0016】
以上のように、この実施の形態1によれば、アレーアンテナ2の配列の相対する端部に位置する2つの素子アンテナの一方を送信素子アンテナT1とし、他方にサーキュレータ7を接続して送受信素子アンテナTR2とすると共に、2つの素子アンテナT1、TR2間に位置する複数の素子アンテナを受信素子アンテナR1〜R4とし、送信素子アンテナT1からレーダ送信波を順次に送信して、それぞれの反射電波を対応させた順序の受信素子アンテナR1〜R4および送受信素子アンテナTR2の順で受信し、次に、送受信素子アンテナTR2からレーダ送信波を順次に送信して、それぞれの反射電波を対応させた順序の受信素子アンテナR1〜R4により受信するよう送受信のサイクルを制御するようにしているので、少ない受信素子アンテナ数のアレーアンテナ構成でその実開口の約2倍の等価開口を得ることができ、車載用ミリ波レーダ装置として搭載されるアンテナの小型化に寄与する効果が得られる。また、この実施の形態1のアンテナ構成によれば、従来の構成と同じ実開口、すなわち同じ素子アンテナ数を持たせた場合には、ビーム幅を約半分に狭くできる効果が得られる。
【0017】
実施の形態2.
この実施の形態2では、パルス変調レーダを想定しており、レーダ捜索対象とする目標の距離が比較的遠方であり、送信と受信を同一の素子アンテナで時分割制御できる状況を想定している。
図4はこの発明の実施の形態2による車載用ミリ波レーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、図1と異なる構成は、送信素子アンテナT1の代わりに送受信素子アンテナTR1とサーキュレータ7’を設けた点である。すなわち、この実施の形態2は、アレーアンテナの配列の一端だけではなく、両端にサーキュレータ7’,7を接続した送受信素子アンテナTR1、TR2を備える構成としたものである。
【0018】
図5は実施の形態2に係る送受信動作を示すタイミングチャートである。図に示すように、この実施の形態2の場合、まず送受信素子アンテナTR1で送信し、次の送信までの受信タイミング区間に、同じ送受信素子アンテナTR1でも受信を行うようにしている。また、送受信のサイクルの最終段階では、送受信素子アンテナTR2で送信して、自身でも受信を行うようにしている。送信スイッチ6と受信スイッチ3を時分割で制御することにより、送受信動作は、(TR1,TR1)、(TR1,R1)、(TR1,R2)、(TR1,R3)、(TR1,R4)、(TR1,TR2)、(TR2,R1),(TR2,R2)、(TR2,R3)、(TR2,R4)、(TR2,TR2)の順になり、この送受信動作のサイクルを繰り返す。送受信素子アンテナTR1で受信した信号位相を基準にとると、位相が0,φ,2φ,3φ,4φ,5φ,6φ,7φ,8φ,9φ,10φだけ異なる信号が得られる。したがって、全素子アンテナ数が実施の形態1と同数のとき、実施の形態1よりも2素子分だけ大きな開口が得られる。また、このときは計測時間11Tが必要となる。
【0019】
以上のように、この実施の形態2によれば、アレーアンテナ2の配列の相対する端部に位置する2つの素子アンテナにそれぞれサーキュレータを接続して送受信素子アンテナTR1,TR2とすると共に、当該2つの素子アンテナTR1,TR2間に位置する複数の素子アンテナを受信素子アンテナR1〜R4とし、一方の送受信素子アンテナTR1からレーダ送信波を順次に送信して、それぞれの反射電波を当該一方の送受信素子アンテナTR1、対応させた順序の受信素子アンテナR1〜R4および他方の送受信素子アンテナTR2の順で受信し、次に、他方の送受信素子アンテナTR2からレーダ送信波を順次に送信して、それぞれの反射電波を対応させた順序の受信素子アンテナR1〜R4および当該他方の送受信素子アンテナTR2の順で受信するよう送受信のサイクルを制御するようにしているので、送受信素子アンテナTR1,TR2による送受信を時分割制御することにより、少ない受信素子アンテナ数のアレーアンテナ構成で実開口の約2倍の等価開口を得ることができ、車載用ミリ波レーダ装置として搭載されるアンテナとして小型化を実現する効果が得られる。また、受信素子アンテナ数を増やした場合には、狭ビーム化が図れる効果が得られる。なお、このようにして等価開口を大きくする方法を、以下、合成開口アレー構成と呼ぶこととする。
【0020】
実施の形態3.
実施の形態1および実施の形態2では、アレーアンテナの素子数が比較的小さい場合を想定して説明してきたが、この実施の形態3では、大規模アレーアンテナをサブアレー構成にし、サブアレー間に実施の形態2で述べたような合成開口アレー構成を適用する場合について示す。
【0021】
図6はこの発明の実施の形態3による車載用ミリ波レーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、図1と異なる部分について説明すると、アレーアンテナ2の配列の一端側の送受信素子アンテナTR11,TR12,・・・,TR1m(ただし、mは正の整数)で送受信用サブアレーSA1を形成し、他端側の送受信素子アンテナTR21,TR22,・・・,TR2mで送受信用サブアレーSA4を形成する。また、受信素子アンテナR11,R12,・・・,R1mで受信用サブアレーSA2を形成し、受信素子アンテナR21,R22,・・・,R2mで受信用サブアレーSA3を形成している。各送受信素子アンテナおよび受信素子アンテナには移相器8が設けられている。受信信号を取り出す場合には各サブアレーに対してサブアレーを形成する素子アンテナの出力を合成する合成器9がそれぞれ設けられている。この例では、受信用サブアレーは2個であるが、その数は限定されるものではない。
【0022】
送受信の動作の順序においては、送受信用サブアレーSA1の送受信素子アンテナTR11,TR12,・・・,TR1mで一斉に、かつ順次にレーダ送信波を送信し、反射波を送受信用サブアレーSA1自身の送受信素子アンテナTR11,TR12,・・・,TR1mで受信し、各受信信号を対応する合成器9で合成する。次に、反射波を対応させた順序の受信用サブアレーSA2,SA3および送受信用サブアレーSA4の順でそれぞれ受信して対応するそれぞれの合成器9で合成する。さらに、今度は送受信用サブアレーSA4でレーダ送信波を順次に送信し、それぞれの反射波を受信用サブアレーSA2,SA3および送受信用サブアレーSA4自身の順で受信して対応するそれぞれの合成器9で合成し、送受信動作の1サイクルを形成する。したがって、送信スイッチ6と受信スイッチ3で制御されるサブアレーとしての送受信動作は、(SA1,SA1)、(SA1,SA2)、(SA1,SA3)、(SA1,SA4)、(SA4,SA1)、(SA4,SA2)、(SA4,SA3)、(SA4,SA4)の順になり、この送受信動作のサイクルを繰り返す。このように、大規模アレーアンテアンにおいても、サブアレーを構成要素として、実施の形態2と同様に、時分割送信により等価開口を大きくすることが可能となる。
【0023】
以上のように、この実施の形態3によれば、アレーアンテナ2を、それぞれ移相器8を設けた所定数の素子アンテナからなる複数のサブアレーSA1〜SA4で構成し、アレーアンテナ2の配列の相対する端部に位置する2つのサブアレーを、各素子アンテナにそれぞれサーキュレータを接続して送受信素子アンテナにした送受信用サブアレーSA1,SA4とし、当該2つのサブアレーSA1,SA4間に位置する複数のサブアレーを、各素子アンテナを受信素子アンテナとする受信用サブアレーSA2,SA3とし、一方の送受信用サブアレーSA1からレーダ送信波を順次に送信して、それぞれの反射電波を当該一方の送受信用サブアレーSA1自身、対応させた順序の受信用サブアレーSA2,SA3および他方の送受信用サブアレーSA4の順で受信し、次に、他方の送受信用サブアレーSA4からレーダ送信波を順次に送信して、それぞれの反射電波を対応させた受信用サブアレーSA2,SA3および当該他方の送受信用サブアレーSA4自身の順で受信するよう送受信のサイクルを制御し、サブアレー毎に素子アンテナで受信した受信信号を合成し、合成された各サブアレーの信号をさらに合成して合成開口アレー信号として処理するようにしているので、大規模アレーアンテアンに適用して少ない受信用サブアレー数のアレーアンテナ構成でその実開口に対して等価開口を十分大きくすることが可能となるため、空間方向の自由度に対する要求に対応できる効果がある。また、素子数を増やすことにより、狭ビーム化にも対応できる効果が得られる。
【0024】
実施の形態4.
図7はこの発明の実施の形態4による車載用ミリ波レーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、図1と異なる部分について説明すると、第1の送信機1で発生する符合信号と直交する符号信号を発生する第2の送信機10が設けられ、その出力が送信素子アンテナT1に供給されるようになっている。また、ここでは図1の送信スイッチ6を用いず第1の送信機1の出力がサーキュレータ7を介して送受信素子アンテナTR2に与えられるように構成されている。加えて、受信機4で検波された直交する符号信号をそれぞれ復調する第1の復調器11と第2復調器12が設けられている。
【0025】
図8は実施の形態4の送受信動作を示すタイミングチャートである。
まず、アレーアンテナ2の配列の両端にある送信素子アンテナT1と送受信素子アンテナTR2から符号変調された直交信号によるレーダ送信波がそれぞれ同じタイミングで順次に送信され、反射波を受信素子アンテナR1,R2,R3,R4で受信する。次に、サーキュレータ7の切り替えタイミングにより、送信素子アンテナT1だけのレーダ送信波に対する反射波を送受信素子アンテナTR2だけが受信する。したがって、送受信動作は、(T1+TR2,R1),(T1+TR2,R2),(T1+TR2,R3),(T1+TR2,R4),(T1,TR2)の順になり、この送受信動作のサイクルを繰り返す。
【0026】
受信素子アンテナR1,R2,R3,R4で受信された信号は、受信機4で検波されて直交する符号信号となり、これら符号信号は第1の復調器11と第2復調器12によりそれぞれ復調される。復調された各信号は、送信素子アンテナT1および送受信素子アンテナTR2から送信された信号の受信成分であり、それぞれの位相情報を含んでいる。その結果として、(0,5φ),(φ,6φ),(2φ,7φ),(3φ,8φ)の位相をもつ信号が得られる。最後に、(T1,TR2)の送受信動作で送受信素子アンテナTR2により受信した信号は第1の復調器11で復調され、4φの位相の信号として得られる。このように、合計5Tの時間内において、9素子アレーに相当する信号が得られるため、より高いデータレートが得られる制御方法となる。
【0027】
以上のように、この実施の形態4によれば、アレーアンテナ2の配列の相対する端部に位置する2つの素子アンテナの一方を送信素子アンテナT1とし、他方にサーキュレータ7を接続して送受信素子アンテナTR2とすると共に、2つの素子アンテナT1,TR2間に位置する複数の素子アンテナを受信素子アンテナR1〜R4とし、送信素子アンテナT1と送受信素子アンテナTR2に対して互いに直交する送信信号を供給してレーダ送信波を同じタイミングで、かつ順次に送信し、それぞれの反射電波を対応させた順序の受信素子アンテナR1〜R4により受信し、次に、送信素子アンテナT1だけからレーダ送信波を送信し、その反射波を送受信素子アンテナTR2で受信するよう送受信のサイクルを制御し、受信素子アンテナR1〜R4および送受信素子アンテナTR2で受信された直交する受信信号をそれぞれ復調した後、復調した信号を合成して合成開口アレー信号として処理するようにしているので、少ない受信素子アンテナ数のアレーアンテナ構成で、その実開口に対し約2倍の等価開口を得ることができ、車載用ミリ波レーダ装置として搭載されるアンテナの小型化に寄与する効果が得られる。また、受信素子アンテナ数を増やした場合には、狭ビーム化が図れる効果が得られる。
【0028】
実施の形態5.
図9はこの発明の実施の形態5による車載用ミリ波レーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、図1と異なる部分は、送受信素子アンテナTR2とサーキュレータ7を用いず、代わりに送信素子アンテナT2を設け、また受信素子アンテナR5を設けていることである。すなわち、この実施の形態5は、アレーアンテナ2の両端に送信専用の素子アンテナT1,T2を設ける構成を持つ。
【0029】
図10は実施の形態5に係る送受信動作を示すタイムチャートである。まず、送信素子アンテナT1からレーダ送信波を順次に送信し、それぞれの反射電波を対応させた順序の受信素子アンテナR1〜R5により順次に受信する。次に、送信素子アンテナT2からレーダ送信波を順次に送信し、それぞれの反射電波を対応させた順序の受信素子アンテナR1〜R5により順次に受信する。したがって、送信スイッチ6と受信スイッチ3の制御により送受信動作は、(T1,R1)、(T1,R2)、(T1,R3)、(T1,R4)、(T1,R5)、(T2,R1)、(T2,R2)、(T2,R3)、(T2,R4)、(T2,R5)の順になり、この送受信動作のサイクルを繰り返す。この実施の形態5の場合、実施の形態1と比較すると、素子数を1個増やすことで実開口が少し大きくなるが、サーキュレータを用いない分、装置の実装上有利な点が得られる。
【0030】
以上のように、この実施の形態5によれば、アレーアンテナ2の配列の相対する端部に位置する2つの素子アンテナを送信素子アンテナT1,T2とすると共に、この2つの送信素子アンテナT1,T2間に位置する複数の素子アンテナを受信素子アンテナR1〜R5とし、一方の送信素子アンテナT1からレーダ送信波を順次に送信して、それぞれの反射電波を対応させた順序の受信素子アンテナR1〜R5により受信し、次に、他方の送信素子アンテナT2からレーダ送信波を順次に送信して、それぞれの反射電波を対応させた順序の受信素子アンテナR1〜R5により受信するよう送受信のサイクルを制御するようにしているので、実施の形態1よりは実開口が若干増えるが、少ない素子数のアレーアンテナ構成でその実開口に対し約2倍の等価開口を得ることができ、車載用ミリ波レーダ装置として搭載されるアンテナの小型化に寄与する効果が得られる。また、受信素子アンテナ数を増やした場合には、狭ビーム化が図れる効果が得られる。
【0031】
以上の各実施の形態においては1次元アレーについての例を説明してきたが、この発明は、2次元アレーに対しても、アレーアンテナの配列の相対する端部に送信機能を有する素子を配置することにより拡張可能であり、上記各実施の形態で述べたように、同様な効果が得られる。
【符号の説明】
【0032】
1 第1の送信機、2 アレーアンテナ、3 受信スイッチ、4 受信機、5 信号処理器、6 送信スイッチ、7 サーキュレータ、8 移相器、9 合成器、10 第2の送信機、11 第1の復調器、12 第2の復調器、R1〜R5,R11〜R1m,R21〜R2m 受信素子アンテナ、SA1,SA4 送受信用サブアレー、SA2,SA3 受信用サブアレー、T1,T2 送信素子アンテナ、TR1,TR2,TR11〜TR1m,TR21〜TR2m 送受信素子アンテナ。
【技術分野】
【0001】
この発明はアレーアンテナを使用してレーダ送信波を送信し、目標からの反射電波を受信する車載用ミリ波レーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に周波数変調レーダやパルス変調レーダ等のミリ波レーダを搭載して先行車両との車間距離や相対速度あるいは障害物を検出して自動車の安全性や自動運転などの利便性を図るシステムの開発が進められている。このような車載レーダは、多重波や他レーダ干渉波など、レーダの中でも比較的電波環境の悪い状況で運用されることになる。これらの対策の一つとして、アレーアンテナを用いた空間ダイバーシティや各種適応アレー信号処理の適用が効果的である。しかし、車載レーダは民生需要を目的とする一般車両に搭載するため、小型化、かつ簡素化による経済性が求められている。この種の従来の車載レーダとして、送信機、および受信機を1個のみ使用し、複数の受信素子アンテナとスイッチにより受信機との接続を切り替えるようにした構成がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
1次元アレーを例として、この従来のレーダ装置のアレーアンテナを1個の送信素子アンテナと9個の受信素子アンテナで構成した場合について考察する。送受信のタイミングチャートは図11に示されるようになる。まず、送信素子アンテナT1から送信し、その目標反射波を受信素子アンテナR1で受信する。次に、同様に送信素子アンテナT1で送信し、その目標反射波は受信素子アンテナR2で受信する。以下同様に、送信素子アンテナT1で送信し、その目標反射波を受信素子アンテナR9で受信する。この送受信動作を、便宜上(T1,R1)、(T1,R2)、・・・、(T1,R9)と表すことにする。こうすることで、目標の方向をθとし、受信素子アンテナR1で受信した信号位相を基準として0とすると、位相が0,φ,2φ,3φ,4φ,5φ,6φ,7φ,8φだけ異なる信号が得られる。ここで、信号位相φは、
となる。ここで、受信のアレーアンテナは、素子アンテナ間隔dのリニアアレーとした。このように、送信パルスの繰り返し時間間隔PRI(Pulse Repetition Interval)をTとすると、9Tの時間で9素子のアレーアンテナとしての受信信号が得られることになる。
【0004】
このアンテナ装置では、n個の受信素子アンテナを用いた場合、nTの時間で、n個のアレーアンテナ信号が得られることがわかる。図12にはn=9とした場合に得られたビーム形成例を示す。ここでは、±20degを捜査範囲要求とみたてて、送信および受信素子アンテナ1個のパターン(Tx and Rx elemnt Pattern)(破線)の幅は、それと同等の約40degとした。図12において20deg方向へビーム指向させた場合の、9個の受信素子アンテナによる受信合成ビームパターン(beam pattern(θd=20deg))を実線で示す。また、素子間隔dを1.3λ(λは波長)としており、グレーティングローブは捜索範囲外の−25deg方向となっている。この時、1.3λ×10の開口径が必要となり、ビーム幅は約4degが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−284047公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の車載用ミリ波レーダ装置は以上のように構成されているので、車に装備する場合の省スペース化には限界がある。すなわちアレーアンテナの素子数を低減した場合、その分開口が小さくなってしまい、また、遠方の並走する複数車両の分離を容易とするための狭ビーム化を損なうという問題があった。
また、サブアレー構成にした大規模アレーアンテナを用い、比較的遠方を捜索対象として全素子アンテナから送信する艦載用レーダや航空管制レーダなどがある。この大規模アレーアンテナでは、各素子アンテナは、個別に移相器を持ち、サブアレー合成ビームを形成するため送信位相あるいは受信位相を制御できるようにしている。しかし、多くの大規模アレーアンテナは、受信系数を低減し装置規模を削減するために、RF段で幾つかのサブアレーに合成する合成器を持つ構成が採用されている。このようなレーダにおいても運用状況によっては、電力的には十分であるが、より狭ビームが必要とされ、また、アレーアンテナの空間方向の自由度を要求されることが課題として考えられる。
【0007】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、少ない素子数のアレーアンテナを用いて等価開口を大きくすることができ、一方、狭ビーム化にも対応可能な車載用ミリ波レーダ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る車載用ミリ波レーダ装置は、複数の素子アンテナを所定の間隔で配列したアレーアンテナを用いて、レーダ送信波を送信し、先行車両からの反射電波を受信し、受信した受信信号を合成して合成開口アレー信号として処理する車載用ミリ波レーダ装置において、2つの送信素子アンテナと、2つの送信素子アンテナの間に配列された複数の受信素子アンテナと、送信信号を出力する送信機との接続を、いずれか一方の送信素子アンテナに順次切換える送信スイッチと、それぞれの受信素子アンテナの受信信号を合成して合成開口アレー信号として処理する信号処理器とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、複数の素子アンテナを所定の間隔で配列したアレーアンテナを用いて、レーダ送信波を送信し、目標からの反射電波を受信し、受信した受信信号を合成して合成開口アレー信号として処理する車載用ミリ波レーダ装置において、2つの送信素子アンテナと、2つの送信素子アンテナの間に配列された複数の受信素子アンテナと、送信信号を出力する送信機との接続を、いずれか一方の送信素子アンテナに順次切換える送信スイッチと、それぞれの受信素子アンテナの受信信号を合成して合成開口アレー信号として処理する信号処理器と備えたので、送受信を含めたレーダ信号の位相差から時分割あるいは符号分割による合成開口アンテナ構成を実現し、実開口に対し大きな等価開口を得ることができ、アレーアンテナの構成の大幅な小型化が図れる効果がある。また、実開口を増やした場合には、より狭ビーム化が図れる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1による車載用ミリ波レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る送受信動作を示すタイミングチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1に係る合成ビームパターンを示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態2による車載用ミリ波レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る送受信動作を示すタイミングチャートである。
【図6】この発明の実施の形態3による車載用ミリ波レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態4による車載用ミリ波レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態4に係る送受信動作を示すタイミングチャートである。
【図9】この発明の実施の形態5による車載用ミリ波レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図10】この発明の実施の形態5に係る送受信動作を示すタイミングチャートである。
【図11】従来のアンテナ装置の送受信動作を説明するタイミングチャートである。
【図12】従来のアンテナ装置に係る合成ビームパターンを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による車載用ミリ波レーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、第1の送信機1はアレーアンテナ2から送出するレーダ送信波のための送信信号を一定間隔で生成し出力する。複数の素子アンテナを所定の間隔dで配列したアレーアンテナ2は、アレー配列の一端に位置し空間に電波を送出する送信素子アンテナT1、他端に位置し電波の送信と受信を行う送受信素子アンテナTR2およびT1とTR2の間に位置し目標から反射した電波を受信する4個の受信素子アンテナR1〜R4を形成している。送信スイッチ6は、送信素子アンテナT1と送受信素子アンテナTR2へ供給する第1の送信機1の送信信号を振分ける切り替え動作を行う。サーキュレータ7は、送信信号を送受信素子アンテナTR2へ与え、また、この送受信素子アンテナTR2で受信した受信信号を、受信スイッチ3を介して受信機4へ与えるように設けられている。この受信スイッチ3は、受信素子アンテナR1〜R4と送受信素子アンテナTR2で順次に受信した受信信号を受信機4へ入力する動作を行う。送信スイッチ6と受信スイッチ3は、アレーアンテナ2による送受信の組み合わせ動作を時分割で制御するよう互いに連動して動作する。受信機4は、受信信号を増幅、周波数変換して信号処理器5に出力し、信号処理器5は得られた信号から合成開口アレー信号を生成し、例えば、後段で車間距離、相対速度、障害物等のデータを算出させるために出力する。
【0012】
次に、アレーアンテナ2を中心とした送受信の動作について説明する。図2は図1のアンテナ構成による送受信動作を示すタイミングチャートである。
まず、送信スイッチ6が、第1の送信機1からの送信信号を送信素子アンテナT1に供給するように切り替えられているとする。また、目標で反射して戻ってきた反射電波を受信素子アンテナR1が受信して、その受信信号を受信機4に与えられるよう受信スイッチ3を切り替えておくものとする。ここで、送信素子アンテナT1で送信し、受信素子アンテナR1で受信する場合の動作を、便宜上(T1,R1)のように表現することにし、他の素子アンテナについても同様とする。
【0013】
まず、送信スイッチ6と受信スイッチ3の切り替えを制御し、送信素子アンテナT1からのレーダ送信波を順次に送信し、目標からのそれぞれの反射波を対応させた順序の受信素子アンテナR1,・・・,R4および送受信素子アンテナTR2の順で受信する。次に、送受信素子アンテナTR2からの送信に対して、それぞれの反射波を対応させた順序の受信素子アンテナR1,・・・,R4で順次に受信する。このようにして得た送受信動作は、(T1,R1)、(T1,R2)、(T1,R3)、(T1,R4)、(T1,TR2)、(TR2,R1)、(TR2,R2)、(TR2,R3)、(TR2,R4)の順になり、この送受信動作のサイクルを繰り返す。ここで、受信素子アンテナR1で受信した信号位相を基準にとると、位相が0,φ,2φ,3φ,4φ,5φ,6φ,7φ,8φだけ異なる信号が得られる。このことは、1個の送信素子アンテナと9素子の受信素子アンテナを持つ前述した従来のアンテナ装置が9T(Tは一組の送受信の時間とする)という計測時間内で得る受信信号と同じ信号を得ることができることを示している。すなわち、実施の形態1では、アレーアンテナの開口径が9素子に匹敵する。
【0014】
一般に、従来のアンテナ構成では、等価開口nを実現するために、送信素子アンテナを含めてn+1の素子数が必要となり、また実際の開口(以下、実開口とする。)はn×dとなる。一方、これに対し、この実施の形態1では、同じ等価開口nを実現するために、(n+1)/2の素子アンテナ数で、内訳として送受信素子アンテナ1+送信素子アンテナ1+受信素子アンテナ(n+1)/2−2とし、{(n+1)/2+1}×dの実開口により、従来と同等の信号が得られることになる。
前述の従来の方法では、各送信の位相中心は送信素子アンテナT1で一定であった。しかし、素子の送信アンテナ機能をもう一つ増やして送受信を切り替えることで、送信の位相中心を含めた受信アレーに入力する信号の信号位相が決まることを利用して、実開口より大きな等価開口を得ることが可能となる。
【0015】
また、この実施の形態1による方法で、送受信素子アンテナ1個、送信素子アンテナ1個、受信素子アンテナ8個として動作させた場合に得られた合成ビームパターンを図3に示す。図から分かるように、図12に示した従来の受信素子アンテナと同等の実開口とした場合には、約2deg(従来の半分)のビーム幅が実現可能となる。ビーム内の多重波を分離するためには、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)などの超分解能到来方向推定法などが知られているが、実施の形態1のビーム形成法は、この推定法に比べて素子間の振幅位相のキャリブレーション精度に対しても比較的寛容であるという良い特徴を持つ。
【0016】
以上のように、この実施の形態1によれば、アレーアンテナ2の配列の相対する端部に位置する2つの素子アンテナの一方を送信素子アンテナT1とし、他方にサーキュレータ7を接続して送受信素子アンテナTR2とすると共に、2つの素子アンテナT1、TR2間に位置する複数の素子アンテナを受信素子アンテナR1〜R4とし、送信素子アンテナT1からレーダ送信波を順次に送信して、それぞれの反射電波を対応させた順序の受信素子アンテナR1〜R4および送受信素子アンテナTR2の順で受信し、次に、送受信素子アンテナTR2からレーダ送信波を順次に送信して、それぞれの反射電波を対応させた順序の受信素子アンテナR1〜R4により受信するよう送受信のサイクルを制御するようにしているので、少ない受信素子アンテナ数のアレーアンテナ構成でその実開口の約2倍の等価開口を得ることができ、車載用ミリ波レーダ装置として搭載されるアンテナの小型化に寄与する効果が得られる。また、この実施の形態1のアンテナ構成によれば、従来の構成と同じ実開口、すなわち同じ素子アンテナ数を持たせた場合には、ビーム幅を約半分に狭くできる効果が得られる。
【0017】
実施の形態2.
この実施の形態2では、パルス変調レーダを想定しており、レーダ捜索対象とする目標の距離が比較的遠方であり、送信と受信を同一の素子アンテナで時分割制御できる状況を想定している。
図4はこの発明の実施の形態2による車載用ミリ波レーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、図1と異なる構成は、送信素子アンテナT1の代わりに送受信素子アンテナTR1とサーキュレータ7’を設けた点である。すなわち、この実施の形態2は、アレーアンテナの配列の一端だけではなく、両端にサーキュレータ7’,7を接続した送受信素子アンテナTR1、TR2を備える構成としたものである。
【0018】
図5は実施の形態2に係る送受信動作を示すタイミングチャートである。図に示すように、この実施の形態2の場合、まず送受信素子アンテナTR1で送信し、次の送信までの受信タイミング区間に、同じ送受信素子アンテナTR1でも受信を行うようにしている。また、送受信のサイクルの最終段階では、送受信素子アンテナTR2で送信して、自身でも受信を行うようにしている。送信スイッチ6と受信スイッチ3を時分割で制御することにより、送受信動作は、(TR1,TR1)、(TR1,R1)、(TR1,R2)、(TR1,R3)、(TR1,R4)、(TR1,TR2)、(TR2,R1),(TR2,R2)、(TR2,R3)、(TR2,R4)、(TR2,TR2)の順になり、この送受信動作のサイクルを繰り返す。送受信素子アンテナTR1で受信した信号位相を基準にとると、位相が0,φ,2φ,3φ,4φ,5φ,6φ,7φ,8φ,9φ,10φだけ異なる信号が得られる。したがって、全素子アンテナ数が実施の形態1と同数のとき、実施の形態1よりも2素子分だけ大きな開口が得られる。また、このときは計測時間11Tが必要となる。
【0019】
以上のように、この実施の形態2によれば、アレーアンテナ2の配列の相対する端部に位置する2つの素子アンテナにそれぞれサーキュレータを接続して送受信素子アンテナTR1,TR2とすると共に、当該2つの素子アンテナTR1,TR2間に位置する複数の素子アンテナを受信素子アンテナR1〜R4とし、一方の送受信素子アンテナTR1からレーダ送信波を順次に送信して、それぞれの反射電波を当該一方の送受信素子アンテナTR1、対応させた順序の受信素子アンテナR1〜R4および他方の送受信素子アンテナTR2の順で受信し、次に、他方の送受信素子アンテナTR2からレーダ送信波を順次に送信して、それぞれの反射電波を対応させた順序の受信素子アンテナR1〜R4および当該他方の送受信素子アンテナTR2の順で受信するよう送受信のサイクルを制御するようにしているので、送受信素子アンテナTR1,TR2による送受信を時分割制御することにより、少ない受信素子アンテナ数のアレーアンテナ構成で実開口の約2倍の等価開口を得ることができ、車載用ミリ波レーダ装置として搭載されるアンテナとして小型化を実現する効果が得られる。また、受信素子アンテナ数を増やした場合には、狭ビーム化が図れる効果が得られる。なお、このようにして等価開口を大きくする方法を、以下、合成開口アレー構成と呼ぶこととする。
【0020】
実施の形態3.
実施の形態1および実施の形態2では、アレーアンテナの素子数が比較的小さい場合を想定して説明してきたが、この実施の形態3では、大規模アレーアンテナをサブアレー構成にし、サブアレー間に実施の形態2で述べたような合成開口アレー構成を適用する場合について示す。
【0021】
図6はこの発明の実施の形態3による車載用ミリ波レーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、図1と異なる部分について説明すると、アレーアンテナ2の配列の一端側の送受信素子アンテナTR11,TR12,・・・,TR1m(ただし、mは正の整数)で送受信用サブアレーSA1を形成し、他端側の送受信素子アンテナTR21,TR22,・・・,TR2mで送受信用サブアレーSA4を形成する。また、受信素子アンテナR11,R12,・・・,R1mで受信用サブアレーSA2を形成し、受信素子アンテナR21,R22,・・・,R2mで受信用サブアレーSA3を形成している。各送受信素子アンテナおよび受信素子アンテナには移相器8が設けられている。受信信号を取り出す場合には各サブアレーに対してサブアレーを形成する素子アンテナの出力を合成する合成器9がそれぞれ設けられている。この例では、受信用サブアレーは2個であるが、その数は限定されるものではない。
【0022】
送受信の動作の順序においては、送受信用サブアレーSA1の送受信素子アンテナTR11,TR12,・・・,TR1mで一斉に、かつ順次にレーダ送信波を送信し、反射波を送受信用サブアレーSA1自身の送受信素子アンテナTR11,TR12,・・・,TR1mで受信し、各受信信号を対応する合成器9で合成する。次に、反射波を対応させた順序の受信用サブアレーSA2,SA3および送受信用サブアレーSA4の順でそれぞれ受信して対応するそれぞれの合成器9で合成する。さらに、今度は送受信用サブアレーSA4でレーダ送信波を順次に送信し、それぞれの反射波を受信用サブアレーSA2,SA3および送受信用サブアレーSA4自身の順で受信して対応するそれぞれの合成器9で合成し、送受信動作の1サイクルを形成する。したがって、送信スイッチ6と受信スイッチ3で制御されるサブアレーとしての送受信動作は、(SA1,SA1)、(SA1,SA2)、(SA1,SA3)、(SA1,SA4)、(SA4,SA1)、(SA4,SA2)、(SA4,SA3)、(SA4,SA4)の順になり、この送受信動作のサイクルを繰り返す。このように、大規模アレーアンテアンにおいても、サブアレーを構成要素として、実施の形態2と同様に、時分割送信により等価開口を大きくすることが可能となる。
【0023】
以上のように、この実施の形態3によれば、アレーアンテナ2を、それぞれ移相器8を設けた所定数の素子アンテナからなる複数のサブアレーSA1〜SA4で構成し、アレーアンテナ2の配列の相対する端部に位置する2つのサブアレーを、各素子アンテナにそれぞれサーキュレータを接続して送受信素子アンテナにした送受信用サブアレーSA1,SA4とし、当該2つのサブアレーSA1,SA4間に位置する複数のサブアレーを、各素子アンテナを受信素子アンテナとする受信用サブアレーSA2,SA3とし、一方の送受信用サブアレーSA1からレーダ送信波を順次に送信して、それぞれの反射電波を当該一方の送受信用サブアレーSA1自身、対応させた順序の受信用サブアレーSA2,SA3および他方の送受信用サブアレーSA4の順で受信し、次に、他方の送受信用サブアレーSA4からレーダ送信波を順次に送信して、それぞれの反射電波を対応させた受信用サブアレーSA2,SA3および当該他方の送受信用サブアレーSA4自身の順で受信するよう送受信のサイクルを制御し、サブアレー毎に素子アンテナで受信した受信信号を合成し、合成された各サブアレーの信号をさらに合成して合成開口アレー信号として処理するようにしているので、大規模アレーアンテアンに適用して少ない受信用サブアレー数のアレーアンテナ構成でその実開口に対して等価開口を十分大きくすることが可能となるため、空間方向の自由度に対する要求に対応できる効果がある。また、素子数を増やすことにより、狭ビーム化にも対応できる効果が得られる。
【0024】
実施の形態4.
図7はこの発明の実施の形態4による車載用ミリ波レーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、図1と異なる部分について説明すると、第1の送信機1で発生する符合信号と直交する符号信号を発生する第2の送信機10が設けられ、その出力が送信素子アンテナT1に供給されるようになっている。また、ここでは図1の送信スイッチ6を用いず第1の送信機1の出力がサーキュレータ7を介して送受信素子アンテナTR2に与えられるように構成されている。加えて、受信機4で検波された直交する符号信号をそれぞれ復調する第1の復調器11と第2復調器12が設けられている。
【0025】
図8は実施の形態4の送受信動作を示すタイミングチャートである。
まず、アレーアンテナ2の配列の両端にある送信素子アンテナT1と送受信素子アンテナTR2から符号変調された直交信号によるレーダ送信波がそれぞれ同じタイミングで順次に送信され、反射波を受信素子アンテナR1,R2,R3,R4で受信する。次に、サーキュレータ7の切り替えタイミングにより、送信素子アンテナT1だけのレーダ送信波に対する反射波を送受信素子アンテナTR2だけが受信する。したがって、送受信動作は、(T1+TR2,R1),(T1+TR2,R2),(T1+TR2,R3),(T1+TR2,R4),(T1,TR2)の順になり、この送受信動作のサイクルを繰り返す。
【0026】
受信素子アンテナR1,R2,R3,R4で受信された信号は、受信機4で検波されて直交する符号信号となり、これら符号信号は第1の復調器11と第2復調器12によりそれぞれ復調される。復調された各信号は、送信素子アンテナT1および送受信素子アンテナTR2から送信された信号の受信成分であり、それぞれの位相情報を含んでいる。その結果として、(0,5φ),(φ,6φ),(2φ,7φ),(3φ,8φ)の位相をもつ信号が得られる。最後に、(T1,TR2)の送受信動作で送受信素子アンテナTR2により受信した信号は第1の復調器11で復調され、4φの位相の信号として得られる。このように、合計5Tの時間内において、9素子アレーに相当する信号が得られるため、より高いデータレートが得られる制御方法となる。
【0027】
以上のように、この実施の形態4によれば、アレーアンテナ2の配列の相対する端部に位置する2つの素子アンテナの一方を送信素子アンテナT1とし、他方にサーキュレータ7を接続して送受信素子アンテナTR2とすると共に、2つの素子アンテナT1,TR2間に位置する複数の素子アンテナを受信素子アンテナR1〜R4とし、送信素子アンテナT1と送受信素子アンテナTR2に対して互いに直交する送信信号を供給してレーダ送信波を同じタイミングで、かつ順次に送信し、それぞれの反射電波を対応させた順序の受信素子アンテナR1〜R4により受信し、次に、送信素子アンテナT1だけからレーダ送信波を送信し、その反射波を送受信素子アンテナTR2で受信するよう送受信のサイクルを制御し、受信素子アンテナR1〜R4および送受信素子アンテナTR2で受信された直交する受信信号をそれぞれ復調した後、復調した信号を合成して合成開口アレー信号として処理するようにしているので、少ない受信素子アンテナ数のアレーアンテナ構成で、その実開口に対し約2倍の等価開口を得ることができ、車載用ミリ波レーダ装置として搭載されるアンテナの小型化に寄与する効果が得られる。また、受信素子アンテナ数を増やした場合には、狭ビーム化が図れる効果が得られる。
【0028】
実施の形態5.
図9はこの発明の実施の形態5による車載用ミリ波レーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、図1と異なる部分は、送受信素子アンテナTR2とサーキュレータ7を用いず、代わりに送信素子アンテナT2を設け、また受信素子アンテナR5を設けていることである。すなわち、この実施の形態5は、アレーアンテナ2の両端に送信専用の素子アンテナT1,T2を設ける構成を持つ。
【0029】
図10は実施の形態5に係る送受信動作を示すタイムチャートである。まず、送信素子アンテナT1からレーダ送信波を順次に送信し、それぞれの反射電波を対応させた順序の受信素子アンテナR1〜R5により順次に受信する。次に、送信素子アンテナT2からレーダ送信波を順次に送信し、それぞれの反射電波を対応させた順序の受信素子アンテナR1〜R5により順次に受信する。したがって、送信スイッチ6と受信スイッチ3の制御により送受信動作は、(T1,R1)、(T1,R2)、(T1,R3)、(T1,R4)、(T1,R5)、(T2,R1)、(T2,R2)、(T2,R3)、(T2,R4)、(T2,R5)の順になり、この送受信動作のサイクルを繰り返す。この実施の形態5の場合、実施の形態1と比較すると、素子数を1個増やすことで実開口が少し大きくなるが、サーキュレータを用いない分、装置の実装上有利な点が得られる。
【0030】
以上のように、この実施の形態5によれば、アレーアンテナ2の配列の相対する端部に位置する2つの素子アンテナを送信素子アンテナT1,T2とすると共に、この2つの送信素子アンテナT1,T2間に位置する複数の素子アンテナを受信素子アンテナR1〜R5とし、一方の送信素子アンテナT1からレーダ送信波を順次に送信して、それぞれの反射電波を対応させた順序の受信素子アンテナR1〜R5により受信し、次に、他方の送信素子アンテナT2からレーダ送信波を順次に送信して、それぞれの反射電波を対応させた順序の受信素子アンテナR1〜R5により受信するよう送受信のサイクルを制御するようにしているので、実施の形態1よりは実開口が若干増えるが、少ない素子数のアレーアンテナ構成でその実開口に対し約2倍の等価開口を得ることができ、車載用ミリ波レーダ装置として搭載されるアンテナの小型化に寄与する効果が得られる。また、受信素子アンテナ数を増やした場合には、狭ビーム化が図れる効果が得られる。
【0031】
以上の各実施の形態においては1次元アレーについての例を説明してきたが、この発明は、2次元アレーに対しても、アレーアンテナの配列の相対する端部に送信機能を有する素子を配置することにより拡張可能であり、上記各実施の形態で述べたように、同様な効果が得られる。
【符号の説明】
【0032】
1 第1の送信機、2 アレーアンテナ、3 受信スイッチ、4 受信機、5 信号処理器、6 送信スイッチ、7 サーキュレータ、8 移相器、9 合成器、10 第2の送信機、11 第1の復調器、12 第2の復調器、R1〜R5,R11〜R1m,R21〜R2m 受信素子アンテナ、SA1,SA4 送受信用サブアレー、SA2,SA3 受信用サブアレー、T1,T2 送信素子アンテナ、TR1,TR2,TR11〜TR1m,TR21〜TR2m 送受信素子アンテナ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の素子アンテナを所定の間隔で配列したアレーアンテナを用いて、レーダ送信波を送信し、先行車両からの反射電波を受信し、受信した受信信号を合成して合成開口アレー信号として処理する車載用ミリ波レーダ装置において、
2つの送信素子アンテナと、
2つの前記送信素子アンテナの間に挟まれて配列された複数の受信素子アンテナと、
送信信号を出力する送信機との接続を、いずれか一方の前記送信素子アンテナに順次切換える送信スイッチと、
前記それぞれの受信素子アンテナの受信信号を合成して合成開口アレー信号として処理する信号処理器と、
を備えた車載用ミリ波レーダ装置。
【請求項2】
複数の素子アンテナを所定の間隔で配列したアレーアンテナを用いて、レーダ送信波を送信し、先行車両からの反射電波を受信し、受信した受信信号を合成して合成開口アレー信号として処理する車載用ミリ波レーダ装置において、
2つの送信素子アンテナと、
2つの前記送信素子アンテナの間に挟まれて所定の間隔で一列に配列された複数の受信素子アンテナと、
送信信号を出力する送信機との接続を、一定間隔でいずれか一方の前記送信素子アンテナに時分割で切換える送信スイッチと、
前記それぞれの受信素子アンテナの受信信号を合成して合成開口アレー信号として処理する信号処理器と、
を備え、
前記信号処理器は、送信素子アンテナの一方から送信されるレーダ送信波を前記それぞれの受信素子アンテナで受信した後、送信スイッチの切換により、前記送信素子アンテナの他方から送信されるレーダ送信波を前記それぞれの受信素子アンテナで受信し、当該それぞれの受信素子アンテナの受信信号を合成して合成開口アレー信号として処理する車載用ミリ波レーダ装置。
【請求項1】
複数の素子アンテナを所定の間隔で配列したアレーアンテナを用いて、レーダ送信波を送信し、先行車両からの反射電波を受信し、受信した受信信号を合成して合成開口アレー信号として処理する車載用ミリ波レーダ装置において、
2つの送信素子アンテナと、
2つの前記送信素子アンテナの間に挟まれて配列された複数の受信素子アンテナと、
送信信号を出力する送信機との接続を、いずれか一方の前記送信素子アンテナに順次切換える送信スイッチと、
前記それぞれの受信素子アンテナの受信信号を合成して合成開口アレー信号として処理する信号処理器と、
を備えた車載用ミリ波レーダ装置。
【請求項2】
複数の素子アンテナを所定の間隔で配列したアレーアンテナを用いて、レーダ送信波を送信し、先行車両からの反射電波を受信し、受信した受信信号を合成して合成開口アレー信号として処理する車載用ミリ波レーダ装置において、
2つの送信素子アンテナと、
2つの前記送信素子アンテナの間に挟まれて所定の間隔で一列に配列された複数の受信素子アンテナと、
送信信号を出力する送信機との接続を、一定間隔でいずれか一方の前記送信素子アンテナに時分割で切換える送信スイッチと、
前記それぞれの受信素子アンテナの受信信号を合成して合成開口アレー信号として処理する信号処理器と、
を備え、
前記信号処理器は、送信素子アンテナの一方から送信されるレーダ送信波を前記それぞれの受信素子アンテナで受信した後、送信スイッチの切換により、前記送信素子アンテナの他方から送信されるレーダ送信波を前記それぞれの受信素子アンテナで受信し、当該それぞれの受信素子アンテナの受信信号を合成して合成開口アレー信号として処理する車載用ミリ波レーダ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−156708(P2010−156708A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50643(P2010−50643)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【分割の表示】特願2007−106141(P2007−106141)の分割
【原出願日】平成14年12月19日(2002.12.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成14年8月20日社団法人電子情報通信学会発行の「電子情報通信学会2002年ソサイエティ大会講演論文集」に発表
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【分割の表示】特願2007−106141(P2007−106141)の分割
【原出願日】平成14年12月19日(2002.12.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成14年8月20日社団法人電子情報通信学会発行の「電子情報通信学会2002年ソサイエティ大会講演論文集」に発表
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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