説明

車載用動画像データ記録装置

【課題】従来の車載用動画像圧縮装置においては、事故発生前後の車両周辺状況を撮影した高画質の動画像データが得られないという課題があった。
【解決手段】車両周辺画像を撮影するカメラ部101と、カメラ部101が撮影した画像を通常画質で圧縮する通常画質符号化部102と、通常画質符号化部102が出力する動画像データを記録する通常画質データ記憶部103と、車両走行時に発生した異常状況など何らかのトリガを検出するトリガ検出部104と、カメラ部101が撮影した画像を高画質で圧縮する高画質符号化部105と、トリガ検出部104でのトリガ検出タイミングから一定時間前に撮影された高画質符号化部105が出力する動画像データを記録する高画質データ記憶部106を具備する車載用動画像データ記録装置により、通常走行時は通常画質記録により記憶メモリの有効利用ができ、かつ、事故発生直前直後は高画質の動画像データを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラから入力された画像に対して、通常画質と高画質の二種類の圧縮処理を行ない、異常検出時には、高画質データを記録する車載用動画像データ記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、走行中の車両周辺状況を記録し、事故などの原因分析や運転傾向を把握して安全運転指導に利用するドライブレコーダーと呼ばれる車載用動画像記録装置の需要が高まっている。当初は、タクシーや大型トラックなど商用車への搭載から始まったが、現在では自家用車への搭載も広がりつつある。
【0003】
このような車載用動画像記録装置では、限られた容量の記憶メモリ内に、できるだけ長時間の動画像データを記録するために、低画質で記録することが多い。しかし、特に事故発生時の状況などについては、原因解析が容易となるような高画質の動画像データの記録が必要である。
【0004】
従来の車載用動画像記録装置において、車速センサを設け、車速が大きいほど高画質で動画像データを記録する技術がある(例えば、特許文献1参照)。また、車両接近判断手段を備え、他の車両が異常接近した場合に、動画像データ圧縮時のフレームレートを通常の低フレームレートから高フレームレートに切替える技術がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−124155号公報(第1頁、第1図等)
【特許文献2】特開2007−88541号公報(第1頁、第1図等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の車載用動画像記録装置においては、車速が大きい場合にしか高画質の動画像データを記録しないため、低速での通常走行時や停止時において事故が発生した場合に、高画質の動画像データが得られないという課題があった。
【0007】
また、特許文献1あるいは特許文献2の車載用動画像記録装置では、高画質記録を行うために、GOP内のPピクチャ数やGOP内の全ピクチャ数を変えるといったGOP構造の変更、あるいは、高フレームレートへの切り替えを行っている。しかし、このような高画質記録では、画像の解像度などが変わらないため、通常画質と大きくは変わらないという課題もあった。
【0008】
さらに、カメラは前方に一個、あるいは、前方、後方に二個備え付けているだけのため、左右からの車両衝突事故が発生した場合に、高画質記録に切り替えても備付のカメラでは必要な情報が撮影されていないことも起こりうる。加えて、カメラからの入力画像を、比較的重要度が低い建物などの背景画像と、重要度が高い車両、人物、信号機などをすべて等しい画質で圧縮しているため、本当に重要な部分に必要な画質が得られないという課題もあった。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みて為されたものであって、通常走行時は記憶メモリの容量を考慮し低画質で記録するが、事故発生後の車両周辺状況に関しては高画質で記録する車載用動画像データ記録装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本第一の発明は、車両に搭載される車載用動画像データ記録装置であって、カメラ部が撮影した前記車両の周辺画像を通常画質で圧縮する通常画質符号化部と、前記通常画質符号化部が出力する動画像データを記録する通常画質データ記憶部と、車両走行時に発生した異常状況をトリガとして検出するトリガ検出部と、前記カメラ部が撮影した画像を前記通常画質よりも高画質で圧縮する高画質符号化部と、前記トリガ検出部でのトリガ検出タイミングに基づいて、前記高画質符号化部が出力する動画像データを記録する高画質データ記憶部とを具備している。
【0011】
本第一の発明の実施形態では、高画質符号化部は、通常画質よりも高画質になる画像コーデック、画角、フレームレート、ビットレートなどの設定で圧縮するのが好ましく、高画質データ記憶部は、トリガ検出部でのトリガ検出タイミングより一定時間前に撮影された画像を前記高画質符号化部で圧縮された動画像データから記録するのが好ましく、トリガ検出部は、車両走行時に発生した車両接近、人物接近、急ブレーキ実施、衝撃発生といった何らかの異常をトリガとして検出するのが好ましい。
【0012】
この実施形態によれば、通常走行時は通常画質記録により記憶メモリの有効利用ができ、かつ、事故発生直前直後は高画質の動画像データを得ることができる。さらに、車速が大きい場合に限らず通常走行時や停止時においても、異常トリガを検出した場合に高画質の車両周辺映像を得ることができる。また、通常画質よりも画像コーデック、画角、フレームレート、ビットレートなどが高画質に設定されているため、通常画質よりも大幅に画質向上した動画像データを得ることができる。
【0013】
本第二の発明の車載用画像データ記録装置は、第一の発明に対して、前記カメラ部は、異なる方向に向けて複数個備え付けられ、前記高画質符号化部は、前記カメラ部それぞれが撮影した画像を高画質でそれぞれ圧縮し、前記高画質データ記憶部は、前記トリガ検出部でのトリガ検出タイミングに基づいて、前記高画質符号化部がそれぞれ出力する動画像データを記録するものである。
【0014】
この実施形態によれば、複数のカメラ部を用いてあらゆる方向の車両周辺状況を撮影することにより、異常トリガを検出した場合に事故原因となる状況を撮り損なうことなく画像記録することができる。
【0015】
本第三の発明は、車両に搭載される車載用動画像データ記録装置であって、前記車両の走行状態から加速度を検出する加速度センサ部と、カメラ部が撮影した前記車両の周辺画像から、前記加速度センサ部の情報を利用してナンバープレートの動き予測を行いながら車両のナンバープレートを検出するナンバープレート検出部と、前記カメラ部が撮影した画像を通常画質で圧縮する通常画質符号化部と、前記通常画質符号化部が出力する動画像データを記録する通常画質データ記憶部と、車両走行時に発生した異常状況をトリガとして検出するトリガ検出部と、前記ナンバープレート検出部でナンバープレートを検出した場合は、前記カメラ部が撮影した画像のナンバープレート部分を、前記通常画質よりも高画質で圧縮する高画質符号化部と、前記トリガ検出部でのトリガ検出タイミングに基づいて、前記高画質符号化部が出力する動画像データを記録する高画質データ記憶部とを具備している。
【0016】
本第三の発明によれば、異常トリガを検出した場合に、カメラ部が撮影した画像の中でも特に重要なナンバープレート部分がより識別しやすい高画質な動画像データを得ることができる。
【0017】
また、本第四の発明は、車両に搭載される車載用動画像データ記録装置であって、カメラ部が撮影した前記車両の周辺画像を通常画質で圧縮する通常画質符号化部と、前記通常画質符号化部が出力する動画像データを記録する通常画質データ記憶部と、車両走行時に発生した異常状況をトリガとして検出するトリガ検出部と、トリガ検出部での検出状況に応じて、危険が予測される場合には運転手に警告する危険警告部と、前記カメラ部が撮影した画像を前記通常画質よりも高画質で圧縮する高画質符号化部と、前記トリガ検出部でのトリガ検出タイミングに基づいて、前記高画質符号化部が出力する動画像データを記録する高画質データ記憶部とを具備している。
【0018】
本第四の発明の実施形態では、前記カメラ部が、異なる方向に向けて複数個備え付けられ、前記高画質符号化部は、前記カメラ部それぞれが撮影した画像を高画質でそれぞれ圧縮し、前記高画質データ記憶部は、前記トリガ検出部でのトリガ検出タイミングに基づいて、前記高画質符号化部がそれぞれ出力する動画像データを記録するのが好ましい。
【0019】
この実施形態によれば、異常トリガを検出した場合に複数のカメラ部が撮影した高画質の車両周辺映像を得ることができる。また、危険予知を行うことにより、事故が発生する前に予め運転手に警告を出すことができる。
【0020】
また、本第五の発明は、車両に搭載される車載用動画像データ記録装置であって、カメラ部が撮影した前記車両の周辺画像を通常画質で圧縮する通常画質符号化部と、前記通常画質符号化部が出力する動画像データを記録する通常画質データ記憶部と、車両走行時に発生した異常状況をトリガとして検出するトリガ検出部と、前記カメラ部が撮影した画像を前記通常画質よりも高画質で圧縮する高画質符号化部と、前記トリガ検出部でのトリガ検出タイミングに基づいて、前記高画質符号化部が出力する動画像データを記録する高画質データ記憶部と、前記カメラ部の撮影画像をディスプレイに表示する撮影画像表示部とを具備している。
【0021】
本第五の発明の実施形態では、前記カメラ部は、異なる方向に向けて複数個備え付けられ、前記高画質符号化部は、前記カメラ部それぞれが撮影した画像を高画質でそれぞれ圧縮し、前記高画質データ記憶部は、前記トリガ検出部でのトリガ検出タイミングに基づいて、前記高画質符号化部がそれぞれ出力する動画像データを記録するのが好ましい。
【0022】
この実施形態によれば、異常トリガを検出した場合に複数のカメラ部が撮影した高画質の車両周辺映像を得ることができる。また、カメラ部が撮影した映像を表示することにより、運転手は危険を予測し、回避策をとることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明による車載用動画像記録装置によれば、通常走行時は通常画質記録により記憶メモリの有効利用ができる一方で、事故発生後は高画質の動画像データを記録することができ、映像を通して事故発生の原因解析が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態1における車載用動画像データ記録装置のブロック図
【図2】実施の形態1における車載用動画像データ記録装置の動作について説明するフローチャート
【図3】通常画質データと高画質データの保存・破棄の概念図
【図4】実施の形態2における車載用動画像データ記録装置のブロック図
【図5】実施の形態2における車載用動画像データ記録装置の動作について説明するフローチャート
【図6】実施の形態3における車載用動画像データ記録装置のブロック図
【図7】実施の形態3における車載用動画像データ記録装置の動作について説明するフローチャート
【図8】実施の形態4における車載用動画像データ記録装置のブロック図
【図9】実施の形態4における車載用動画像データ記録装置の動作について説明するフローチャート
【図10】実施の形態5における車載用動画像データ記録装置のブロック図
【図11】実施の形態5における車載用動画像データ記録装置の動作について説明するフローチャート
【図12】撮影画像表示部で表示する画像の概念図
【図13】撮影画像表示部で表示する画像の概念図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、車載用動画像データ記録装置の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0026】
(実施の形態1)
本実施の形態において、カメラ部から入力された画像に対して、通常画質と、高画質の二種類の圧縮処理を行い、異常検出時には、異常を検出した時点から一定時間前に撮影した高画質データから記録を開始する車載用動画像データ記録装置について説明する。
【0027】
図1は、本実施の形態における車載用動画像データ記録装置のブロック図である。
【0028】
本実施の形態の車載用画像データ記録装置は、カメラ部101、通常画質符号化部102、通常画質データ記憶部103、トリガ検出部104、高画質符号化部105、および、高画質データ記憶部106を具備する。
【0029】
CCDカメラなどからなるカメラ部101は、車両に取り付けられ、走行中の当該車両の周辺画像、主として前方の画像を撮影する。
【0030】
通常画質符号化部102は、カメラ部101が撮影した画像を通常画質で圧縮する。
【0031】
ここでの通常画質とは、例えば、コーデックはMotion-JPEG、画角は64 0×480、フレームレートは15fpsである。
【0032】
通常画質符号化部102は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。通常画質符号化部102の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0033】
通常画質データ記憶部103は、通常画質符号化部102が出力する動画像データを記録する。この通常画質データ記憶部103は、高画質データ記憶部106に比べて長時間記録することができ、記憶容量が一杯になると、古いデータから上書きされて消去される。
【0034】
トリガ検出部104は、車両走行時に発生した何らかの異常状況をトリガとして検出する。
【0035】
ここでのトリガは、例えば、当該車両に対する他の車両の接近、当該車両に対する人物の接近、急ブレーキの実施、衝撃検出などである。
【0036】
トリガ検出部104は、超音波センサ、可視センサ、遠赤外線カメラ、ミリ波センサ、レーザ・レーダー装置、加速度センサ、磁気センサ、赤外線センサ、ブレーキセンサ、カメラによる画像処理などのいずれか、あるいは、これらの組み合わせを車両に備え、車両接近、人体接近、急ブレーキ実施、衝撃などを検出する。
【0037】
例えば、車両の接近を磁気センサで検出し、人物の接近を赤外線センサで検出し、急ブレーキ実施をブレーキの踏み込み量を検知するブレーキセンサで検出し、衝撃を加速度センサで検出する。
【0038】
また、トリガ検出部104は、これらのセンサを車両および道路に備えて連携してトリガ検出しても良い。例えば、交通事故が多い交差点や、S字カーブが続く見通しの悪い山道などに、車両接近を検出するセンサを設置しておく。道路に設置されたセンサが走行車両を検出した場合に、本車載用動画像データ記録装置に対して記録開始のトリガを発生させる。このように、車両に設置したセンサだけでは検出できないような対向車両などを、道路上のセンサを活用することによって検出することにより、どのような状況でも漏れなく記録することができる。なお、道路に設置するセンサは、車両だけでなく、二輪車や人体の検出機能を備えてもよい。また、道路にセンサが設置されている場合は、走行車両の有無を問わず、常に記録開始のトリガを発生させてもよい。
【0039】
高画質符号化部105は、カメラ部101が撮影した画像を高画質で圧縮する。
【0040】
ここでの高画質とは、例えば、コーデックはMotion-JPEG2000、画角は1440×1080、フレームレートは30fpsである。
【0041】
高画質符号化部105は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。高画質符号化部105の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0042】
高画質データ記憶部106は、トリガ検出部104でのトリガ検出タイミングに基づいて、高画質符号化部105が出力する動画像データを記録する。
【0043】
また高画質データ記憶部106は、トリガ検出部104においてトリガを検出した場合に、トリガ検出時から一定時間前に高画質符号化部105が出力した動画像データから記録する。
【0044】
この高画質データ記憶部106は、トリガ検出の一定時間前からの動画像データを記録できるように、高画質符号化部105からの動画像データが常時書き込まれており、古い動画像データが廃棄されて、代わりに最新の動画像データが上書きされ、これによって、どのタイミングでトリガを検出しても、一定時間前からの動画像データを記録、すなわち、保存できるように構成されている。
【0045】
一定時間前とは、例えば、15秒前などである。
【0046】
次に、車載用動画像データ記録装置の動作について図2のフローチャートを用いて説明する。
【0047】
まず、車両に備え付けられたカメラ部101で走行中の車両の周辺状況を撮影する(ステップS601)。
【0048】
そして、カメラ部101が撮影した画像を通常画質で圧縮する(ステップS602)。
【0049】
次に、通常画質で圧縮された動画像データを、通常画質データ記憶部103に保存する(ステップS603)。
【0050】
また、通常画質で圧縮した同じ画像を、通常画質より高画質コーデック、高ビットレート、高フレームレート、大画面を満たすような設定で圧縮する(ステップS604)。
【0051】
ここで、車両接近、人体接近、急ブレーキ実施、衝撃といった異常状況を示すトリガが発生したかを確認する(ステップS605)。異常が発生した場合には、高画質で圧縮された高画質データを、高画質データ記憶部106に保存し(ステップS606)、異常が発生しなかった場合には、高画質データを破棄する(ステップS607)。
【0052】
なお(ステップS606)では、上述のように異常トリガを検出した一定時間前に撮影した高画質データから保存する。
【0053】
次に、通常画質データと高画質データの保存・破棄の概念図を図3に示す。
【0054】
図3に示すとおり、通常画質と高画質のデータが共に出力されるが、通常走行時は通常画質のデータのみが通常画質データ記憶部103に保存され、高画質のデータは破棄される。何らかの異常トリガが発生すると、一定時間前の周辺画像を撮影した高画質データから、高画質データ記憶部106に保存していく。トリガ発生後、所定時間経過すると、高画質データは再び破棄されるようになる。あるいは、加速度センサなどで通常走行に復帰したと判断したときに破棄するようにしてもよい。
【0055】
以上、本実施の形態によれば、通常走行時は通常画質記録により記憶メモリの有効利用ができ、かつ、事故発生直前直後は高画質の動画像データを得ることができる。さらに、高画質記録時に単にフレームレートやGOP構造などを変えるだけでなく、圧縮コーデックやビットレート、画角なども変えることにより、事故発生直前および直後の車両周辺状況の高画質の動画像データを得ることができる。また、車両に取り付けた各種センサだけでなく、道路に備付のセンサと車両に備付のセンサを連携させて異常トリガを検出することにより、異常発生時の車両周辺状況を高画質で撮り損なうことなく実現できる。
【0056】
(実施の形態2)
本実施の形態において、前後左右など、複数のカメラ部から入力された画像に対して、通常画質と高画質の二種類の圧縮処理を行い、異常検出時には、異常を検出した時点から一定時間前に撮影した全てのカメラ部の高画質データから記録を開始する車載用動画像データ記録装置について説明する。
【0057】
図4は、本実施の形態における車載用画像データ記録装置のブロック図である。
【0058】
なお、本実施の形態では、一例としてカメラ部を車両の前後左右の4個備えることとしている。
【0059】
本実施の形態の車載用動画像データ記録装置は、第一カメラ部201、通常画質符号化部202、通常画質データ記憶部203、トリガ検出部204、第一高画質符号化部205、第一高画質データ記憶部206、第二カメラ部207、第二高画質符号化部208、第二高画質データ記憶部209、第三カメラ部210、第三高画質符号化部211、第三高画質データ記憶部212、第四カメラ部213、第四高画質符号化部214、第四高画質データ記憶部215を具備する。
【0060】
第一カメラ部201は、車両前方に備え付けられ、走行中の車両周辺画像を撮影するものであり、上述の実施の形態1のカメラ部101と同様の構成である。
【0061】
通常画質符号化部202は、カメラ部201が撮影した画像を通常画質で圧縮するものであり、上述の実施の形態1の通常画質符号化部102と同様の構成である。
【0062】
通常画質データ記憶部203は、通常画質符号化部202が出力する動画像データを記録するものであり、上述の実施の形態1の通常画質データ記憶部103と同様の構成である。
【0063】
トリガ検出部204は、車両走行時に発生した異常状況など何らかのトリガを検出するものであり、上述の実施の形態1のトリガ検出部104と同様の構成である。
【0064】
第一高画質符号化部205は、第一カメラ部201が撮影した画像を高画質で圧縮するものであり、上述の実施の形態1の高画質符号化部105と同様の構成である。
【0065】
第一高画質データ記憶部206は、トリガ検出部204でのトリガ検出タイミングに基づいて、第一高画質符号化部205が出力する動画像データを記録するものであり、上述の実施の形態1の高画質データ記憶部106と同様の構成である。
【0066】
第二カメラ部207、第三カメラ部210および第四カメラ部213は、それぞれ車両の後方、右方および左方に備え付けられ、走行中の車両周辺画像をそれぞれ撮影する。
【0067】
第二高画質符号化部208、第三高画質符号化部211および第四高画質符号化部214は、第二カメラ部207、第三カメラ部210および第四カメラ部213がそれぞれ撮影した画像を高画質でそれぞれ圧縮するものであり、第一高画質符号化部205と同様の構成である。
【0068】
第二高画質データ記憶部209、第三高画質データ記憶部212および第四高画質データ記憶部215は、トリガ検出部204でのトリガ検出タイミングに基づいて、第二高画質符号化部208、第三高画質符号化部211および第四高画質符号化部214がそれぞれ出力する動画像データをそれぞれ記録するものであり、第一高画質データ記憶部206と同様の構成である。
【0069】
次に、本実施の形態の車載用動画像データ記録装置の動作について図5のフローチャートを用いて説明する。
【0070】
まず、車両の前後左右に備え付けられたすべてのカメラ部201、207、210、213で、走行中の車両の周辺状況をそれぞれ撮影する(ステップS701)。
【0071】
そして、車両前方に備え付けられたカメラ部201が撮影した画像を通常画質で圧縮する(ステップS702)。
【0072】
次に、通常画質で圧縮された動画像データを、通常画質データ記憶部203に保存する(ステップS703)。
【0073】
また、すべてのカメラ部201、207、210、213が撮影した画像を通常画質より高画質コーデック、高ビットレート、高フレームレート、大画面を満たすような設定で圧縮する(ステップS704)。
【0074】
ここで、車両接近、人体接近、急ブレーキ実施、衝撃といった異常トリガが発生したかを確認する(ステップS705)。異常が発生した場合には、高画質で圧縮されたすべての高画質データを、それぞれの高画質データ記憶部206、209、212、215にそれぞれ保存し(ステップS706)、異常が発生しなかった場合には、高画質データを破棄する(ステップS707)。
【0075】
なお(ステップS706)では、異常トリガを検出した一定時間前に撮影した高画質データからそれぞれ保存する。
【0076】
以上、本実施の形態によれば、複数のカメラ部を用いて車両周辺状況を記録することにより、事故発生直前および直後の車両周辺状況をあらゆる方向から高画質の映像で記録することができ、映像を通して事故発生の原因解析が容易となる。また、通常走行時は通常画質記録により記憶メモリの有効利用ができる。さらに、高画質記録時に単にフレームレートやGOP構造などを変えるだけでなく、圧縮コーデックやビットレート、画角なども変えることにより、より高画質の動画像データを得ることができる。また、車両に取り付けた各種センサだけでなく、道路に備付のセンサと車両に備付のセンサを連携させて異常トリガを検出することにより、異常発生時の車両周辺状況を高画質で撮り損なうことなく実現できる。
【0077】
なお、本実施の形態によれば、カメラ部を車両前後左右の4個備え付けることとしているが、個数や設定場所に関してはこれらに限定するものではない。
【0078】
また、本実施の形態によれば、前記トリガ検出部204のトリガ検出に基づいて、すべてのカメラ部201、207、210、213からの高画質データを記録するとしているが、前記第一カメラ部201、前記第二カメラ部207、前記第三カメラ部210、および前記第四カメラ部213の中から、トリガの原因が発生した箇所の最も近く、例えば、前方からの車両や人の接近あるいは前方の衝撃が最も強かったような場合には、前方を撮影する第一カメラ部201の入力の高画質データのみ記録してもよい。
【0079】
(実施の形態3)
本実施の形態において、カメラ部から入力された画像に対して、通常画質と高画質の二種類の圧縮処理を行い、異常検出時には、異常を検出した時点から一定時間前に撮影した高画質データから記録を開始し、また、入力画像にナンバープレートを検出した場合には、ナンバープレート部を高画質で記録する車載用動画像データ記録装置について説明する。
【0080】
図6は、本実施の形態における車載用動画像データ記録装置のブロック図である。
【0081】
本実施の形態の車載用動画像データ記録装置は、カメラ部301、加速度センサ部302、ナンバープレート検出部303、通常画質符号化部304、通常画質データ記憶部305、トリガ検出部306、高画質符号化部307、高画質データ記憶部308を具備する。
【0082】
カメラ部301は、車両に取り付けられ、走行中の車両周辺画像を撮影するものであり、上述の実施の形態1のカメラ部101と同様である。
【0083】
加速度センサ部302は、車両の走行状態から加速度を検出する。
【0084】
ナンバープレート検出部303は、カメラ部301が撮影した画像から、加速度センサ部302の情報を利用してナンバープレートの動き予測を行いながら車両のナンバープレートを検出する。すなわち、ナンバープレート検出部303は、カメラ部301が撮影した画像から、ナンバープレートと推測される数字4桁が含まれる箇所を検出し、さらに、加速度センサ部302の情報を利用して、直前の画像と現在の画像が加速度に基づいた変化量分だけ移動していることを考慮し、車両のナンバープレートの位置をより精度よく検出する。
【0085】
通常画質符号化部304は、カメラ部301が撮影した画像を通常画質で圧縮するものであり、上述の実施の形態1の通常画質符号化部102と同様の構成である。
【0086】
通常画質データ記憶部305は、通常画質符号化部304が出力する動画像データを記録するものであり、上述の実施の形態1の通常画質データ記憶部103と同様の構成である。
【0087】
トリガ検出部306は、車両走行時に発生した異常状況など何らかのトリガを検出するものであり、上述の実施の形態1のトリガ検出部104と同様の構成である。
【0088】
高画質符号化部307は、ナンバープレート検出部303でナンバープレートを検出した場合は、カメラ部301が撮影した画像のナンバープレート部分を高画質で圧縮する。なお、ナンバープレートが検出されない場合は、画像全体を高画質で圧縮する。
【0089】
高画質符号化部307は、ナンバープレート部を高画質で圧縮するために、例えば、JPEG2000のROI(Region of Interest)機能を用いても良い。
【0090】
この高画質符号化部307は、ナンバープレート部分を高画質で圧縮する以外は、上述の実施の形態1の高画質符号化部105と同様の構成である。
【0091】
高画質データ記憶部308は、トリガ検出部306でのトリガ検出タイミングに基づいて、高画質符号化部307が出力する動画像データを記録するものであり、上述の実施の形態1の高画質データ記憶部106と同様の構成である。
【0092】
次に、車載用動画像データ記録装置の動作について図7のフローチャートを用いて説明する。
【0093】
まず、車両に備え付けられたカメラ部301で走行中の車両の周辺状況を撮影する(ステップS801)。
【0094】
また、加速度センサ部302を用いて車両の走行加速度を取得する(ステップS802)。そして、加速度センサ部302で取得した走行加速度をもとにカメラ部301が撮影した入力画像からナンバープレート情報を検出する(ステップS803)。
【0095】
次に、カメラ部301が撮影した画像を通常画質で圧縮する(ステップS804)。
【0096】
そして、通常画質で圧縮された動画像データを、通常画質データ記憶部305に保存する(ステップS805)。
【0097】
さらに、入力画像にナンバープレートが検出されたかどうかを確認する(ステップS806)。ナンバープレートを検出した場合は、ナンバープレート部が高画質になるように圧縮する(ステップS807)。一方、入力画像にナンバープレートを検出できなかった場合は、すべての画像を均一の画質で高画質圧縮する(ステップS808)。
【0098】
ここで、車両接近、人物接近、急ブレーキ検出、衝撃検出といった異常トリガが発生したかを確認する(ステップS809)。異常が発生した場合には、高画質で圧縮された高画質データを、高画質データ記憶部308に保存し(ステップS810)、異常が発生しなかった場合には、高画質データを破棄する(ステップS811)。
【0099】
なお(ステップS810)では、異常トリガを検出した一定時間前に撮影した高画質データから保存する。
【0100】
以上、本実施の形態によれば、通常走行時は通常画質記録により記憶メモリの有効利用ができ、かつ、事故発生直前直後は高画質の動画像データを得ることができる。さらに、高画質記録時に単にフレームレートやGOP構造などを変えるだけでなく、圧縮コーデックやビットレート、画角なども変えることにより、事故発生直前および直後の車両周辺状況のより高画質の動画像データを得ることができる。また、ナンバープレート部分を高画質で圧縮することにより、特に他の車両との接触事故や、目撃者の特定などに有効な情報を得ることができる。また、車両に取り付けた各種センサだけでなく、道路に備付のセンサと車両に備付のセンサを連携させて異常トリガを検出することにより、異常発生時の車両周辺状況を高画質で撮り損なうことなく実現できる。
【0101】
なお、本実施の形態によれば、ナンバープレート情報のみ高画質記録しているが、例えば、車道の信号機や標識、バイクや自転車、歩行者など、ナンバープレート以外の情報を高画質記録しても良い。
【0102】
(実施の形態4)
本実施の形態において、前後左右など、複数のカメラ部から入力された画像に対して、通常画質と高画質の二種類の圧縮処理を行い、異常検出時には、異常を検出した時点から一定時間前に撮影した全てのカメラ部の高画質データから記録を開始し、また、走行中に危険を予測される場合には、運転手に注意喚起を行う車載用動画像記録装置について説明する。
【0103】
図8は、本実施の形態における車載用動画像データ記録装置のブロック図である。
【0104】
なお、本実施の形態では、一例としてカメラ部を車両の前後左右の4個備えることとしている。
【0105】
本実施の形態の車載用動画像データ記録装置は、第一カメラ部401、通常画質符号化部402、通常画質データ記憶部403、トリガ検出部404、危険警告部405、第一高画質符号化部406、第一高画質データ記憶部407、第二カメラ部408、第二高画質符号化部409、第二高画質データ記憶部410、第三カメラ部411、第三高画質符号化部412、第三高画質データ記憶部413、第四カメラ部414、第四高画質符号化部415、第四高画質データ記憶部416を具備している。
【0106】
第一カメラ部401、通常画質符号化部402および通常画質データ記憶部403は、上述の図4の実施の形態2の第一カメラ部201、通常画質符号化部202および通常画質データ記憶部203と同様の構成である。
【0107】
第一カメラ部401が撮影した画像を高画質で圧縮する第一高画質符号化部406およびこの第一高画質符号化部406が出力する動画像データを記録する第一高画質データ記憶部407は、上述の実施の形態2の第一高画質符号化部205および第一高画質データ記憶部206と同様の構成である。
【0108】
第二カメラ部408、この第二カメラ部408が撮影した画像を高画質で圧縮する第二高画質符号化部409およびトリガ検出部404でのトリガ検出タイミングに基づいて、第二高画質符号化部409が出力する動画像データを記録する第二高画質データ記憶部410は、上述の実施の形態2の第二カメラ部207、第二高画質符号化部208および第二高画質データ記憶部209と同様の構成である。
【0109】
第三カメラ部411、この第三カメラ部411が撮影した画像を高画質で圧縮する第三高画質符号化部412およびトリガ検出部404でのトリガ検出タイミングに基づいて、第三高画質符号化部412が出力する動画像データを記録する第三高画質データ記憶部413は、上述の実施の形態2の第三カメラ部210、第三高画質符号化部211および第三高画質データ記憶部212と同様の構成である。
【0110】
また、第四カメラ部414、この第四カメラ部414が撮影した画像を高画質で圧縮する第四高画質符号化部415およびトリガ検出部404でのトリガ検出タイミングに基づいて、第四高画質符号化部415が出力する動画像データを記録する第四高画質データ記憶部416は、上述の実施の形態2の第四カメラ部213、第四高画質符号化部214および第四高画質データ記憶部215と同様の構成である。
【0111】
この実施の形態のトリガ検出部404は、上述の実施の形態2のトリガ検出部204と同様の構成であるが、更に、注意喚起を行う注意喚起レベルと事故発生レベルの異なる二種類の条件でトリガ検出を行うものである。事故発生レベルのトリガ検出は、実施の形態2のトリガ検出部204のトリガ検出と同様である。
【0112】
注意喚起レベルのトリガ検出は、事故発生レベルには至らないものの、危険が予測できるレベルであって、運転者に注意を喚起する必要があるようなレベル、例えば、車両や人物の接近によって、衝突の危険が予測されるようなレベルのトリガ検出である。
【0113】
危険警告部405は、トリガ検出部404での検出状況に応じて、危険が予測される注意喚起レベルに達した場合には運転手に警告する。
【0114】
危険警告部405は、例えば、警告音を鳴らす、ディスプレイに警告表示をするなどである。
【0115】
次に、車載用動画像データ記録装置の動作について図9のフローチャートを用いて説明する。
【0116】
まず、車両の前後左右に備え付けられたすべてのカメラ部401、408、411、414で走行中の車両の周辺状況を撮影する。(ステップS901)。
【0117】
そして、車両前方に備え付けられたカメラ部401が撮影した画像を通常画質で圧縮する(ステップS902)。
【0118】
次に、通常画質で圧縮された動画像データを、通常画質データ記憶部403に保存する(ステップS903)。
【0119】
また、すべてのカメラ部401、408、411、414が撮影した画像を通常画質より高画質コーデック、高ビットレート、高フレームレート、大画面を満たすような設定で圧縮する(ステップS904)。
【0120】
ここで、車両接近、人体接近、急ブレーキ実施、衝撃、車線変更といった異常トリガが発生したかを確認する(ステップS905)。ここでの確認は、事故そのものの発生ではなく、事故を引き起こす可能性がある上述の注意喚起レベルの異常トリガが発生したことの確認である。注意喚起レベルの異常が発生した場合には、運転手に注意喚起の警告を行う(ステップS906)。また、事故が発生したと思われる事故発生レベルの異常トリガが発生したかを確認し(ステップS907)、異常が発生した場合には、高画質で圧縮された高画質データを全ての高画質データ記憶部407、410、413、416にそれぞれ保存し(ステップS908)、異常が発生しなかった場合には、高画質データを破棄する(ステップS909)。
【0121】
なお(ステップS908)では、異常トリガを検出した一定時間前に撮影した高画質データから保存する。
【0122】
以上、本実施の形態によれば、複数のカメラ部を用いて車両周辺状況を記録することにより、事故発生直前および直後の車両周辺状況をあらゆる方向から高画質の映像で記録することができ、映像を通して事故発生の原因解析が容易となる。また、通常走行時は通常画質記録により記憶メモリの有効利用ができる。さらに、高画質記録時に単にフレームレートやGOP構造などを変えるだけでなく、圧縮コーデックやビットレート、画角なども変えることにより、より高画質の動画像データを得ることができる。また、異常トリガを検出した場合に、運転手に注意喚起の警告を行うことにより、予め事故が発生することを防ぐことが可能となる。
【0123】
なお、本実施の形態によれば、カメラ部を車両前後左右の4個備え付けることとしているが、個数や設定場所に関してはこれらに限定するものではない。
【0124】
また、危険警告部405での警告方法の一例を示したが、これらに限定するものではない。
【0125】
(実施の形態5)
本実施の形態において、前後左右など、複数のカメラ部から入力された画像に対して、通常画質と高画質の二種類の圧縮処理を行い、異常検出時には、異常を検出した時点から一定時間前に撮影した全てのカメラ部の高画質データから記録を開始し、また、全てのカメラ部が撮影した画像を、運転手が見やすい箇所に設置されたディスプレイに表示することにより、車両周辺の状況がより明確に把握できる車載用動画像圧縮装置について説明する。
【0126】
図10は、本実施の形態における車載用動画像データ記録装置のブロック図である。
【0127】
なお、本実施の形態では、一例としてカメラ部を車両の前後左右の4個備えることとしている。
【0128】
本実施の形態の車載用動画像データ記録装置は、第一カメラ部501、通常画質符号化部502、通常画質データ記憶部503、トリガ検出部504、第一高画質符号化部505、第一高画質データ記憶部506、第二カメラ部507、第二高画質符号化部508、第二高画質データ記憶部509、第三カメラ部510、第三高画質符号化部511、第三高画質データ記憶部512、第四カメラ部513、第四高画質符号化部514、第四高画質データ記憶部515、撮影画像表示部516を具備している。
【0129】
第一カメラ部501、通常画質符号化部502および通常画質データ記憶部503は、上述の図4の実施の形態2の第一カメラ部201、通常画質符号化部202および通常画質データ記憶部203と同様の構成である。
【0130】
第一カメラ部501が撮影した画像を高画質で圧縮する第一高画質符号化部505およびこの第一高画質符号化部505が出力する動画像データを記録する第一高画質データ記憶部506は、上述の実施の形態2の第一高画質符号化部205および第一高画質データ記憶部206と同様の構成である。
【0131】
第二カメラ部507、この第二カメラ部507が撮影した画像を高画質で圧縮する第二高画質符号化部508およびトリガ検出部504でのトリガ検出タイミングに基づいて、第二高画質符号化部508が出力する動画像データを記録する第二高画質データ記憶部509は、上述の実施の形態2の第二カメラ部207、第二高画質符号化部208および第二高画質データ記憶部209と同様の構成である。
【0132】
第三カメラ部510、この第三カメラ部510が撮影した画像を高画質で圧縮する第三高画質符号化部511およびトリガ検出部504でのトリガ検出タイミングに基づいて、第三高画質符号化部511が出力する動画像データを記録する第三高画質データ記憶部512は、上述の実施の形態2の第三カメラ部210、第三高画質符号化部211および第三高画質データ記憶部212と同様の構成である。
【0133】
また、第四カメラ部513、この第四カメラ部513が撮影した画像を高画質で圧縮する第四高画質符号化部514およびトリガ検出部504でのトリガ検出タイミングに基づいて、第四高画質符号化部514が出力する動画像データを記録する第四高画質データ記憶部515は、上述の実施の形態2の第四カメラ部213、第四高画質符号化部214および第四高画質データ記憶部215と同様の構成である。
【0134】
トリガ検出部504は、車両走行時に発生した異常状況など何らかのトリガを検出するものであり、上述の実施の形態2のトリガ検出部204と同様の構成である。
【0135】
撮影画像表示部516は、全カメラ部501、507、510、513の撮影内容をディスプレイに表示する。
【0136】
撮影画像表示部516は、例えば、ディスプレイを4分割してすべてのカメラ映像を並べて表示しても良い。あるいは、車両を中心にすべてのカメラ映像を接続してパノラマ映像に加工して表示しても良い。また、背景画像は削除し、信号機、車両、バイクや人物など、重要な物体のみ表示してもよい。
【0137】
撮影画像表示部516は、ディスプレイデバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。撮影画像表示部516は、ディスプレイデバイスのドライバーソフトまたは、ディスプレイデバイスのドライバーソフトとディスプレイデバイス等で実現され得る。
【0138】
次に、車載用動画像データ記録装置の動作について図11のフローチャートを用いて説明する。
【0139】
まず、車両の前後左右に備え付けられたカメラ部501、507、510、513で走行中の車両周辺状況を撮影する(ステップS1001)。
【0140】
そして、全カメラ部501、507、510、513の撮影映像をディスプレイに表示する(ステップS1002)。
【0141】
次に、車両前方に備え付けられたカメラ部501が撮影した画像を通常画質で圧縮する(ステップS1003)。
【0142】
また、通常画質で圧縮された動画像データを、通常画質データ記憶部503に保存する(ステップS1004)。
【0143】
さらに、すべてのカメラ部501、507、510、513が撮影した画像を通常画質より高画質コーデック、高ビットレート、高フレームレート、大画面を満たすような設定で圧縮する(ステップS1005)。
【0144】
ここで、車両接近、人体接近、急ブレーキ実施、衝撃といった異常トリガが発生したかを確認する(ステップS1006)。異常が発生した場合には、高画質で圧縮された高画質データを、全ての高画質データ記憶部506、509、512、515にそれぞれ保存し(ステップS1007)、異常が発生しなかった場合には、高画質データを破棄する(ステップS1008)。
【0145】
なお(ステップS1007)では、異常トリガを検出した一定時間手前に撮影した高画質データから保存する。
【0146】
次に、撮影画像表示部516で表示する画像の概念図を図12に示す。図12のように、ディスプレイを4分割してすべてのカメラ部501、507、510、513が撮影した前後左右の映像をそのまま並べて表示する。あるいは、図13のように、各カメラ部501、507、510、513の映像をパノラマ接続し、自分が乗っている車両を中心に周辺状況が視覚的にわかりやすくなるように表示してもよい。
【0147】
以上、本実施の形態によれば、複数のカメラ部を用いて車両周辺状況を記録することにより、事故発生直前および直後の車両周辺状況をあらゆる方向から高画質の映像で記録することができ、映像を通して事故発生の原因解析が容易となる。また、通常走行時は通常画質記録により記憶メモリの有効利用ができる。さらに、高画質記録時に単にフレームレートやGOP構造などを変えるだけでなく、圧縮コーデックやビットレート、画角なども変えることにより、より高画質の動画像データを得ることができる。また、あらかじめ複数のカメラが撮影した映像をディスプレイで表示することにより、運転手は道路通行状況を把握でき、事故を未然に防ぐ運転をすることができる。
【0148】
なお、本実施の形態によれば、カメラ部を車両前後左右の4個備え付けることとしているが、個数や設定場所に関してはこれらに限定するものではない。
【0149】
また、撮影画像表示部516での画像表示の一例を示したが、これらに限定するものではない。
【0150】
(その他の実施の形態)
上記実施の形態1〜5に基づいて本発明に係る車載用動画像データ記録装置を説明してきたが、本発明の実施の形態はこれらに限るものではない。以下にその変形例について述べていく。
【0151】
上記実施の形態において、本発明に係る車載用動画像データ記録装置を説明してきたが、ハードウェアあるいはソフトウェアいずれで実現してもよい。また、ハードウェアで処理する部分やソフトウェアで処理する部分が混在してもよい。
【0152】
上記実施の形態において、通常画質と高画質での符号化フォーマットの一例を示しているが、これらに限定するものではない。
【0153】
上記実施の形態において、トリガ検出部に用いる各種センサの一例を挙げているが、これらに限定するものではない。
【0154】
上記実施の形態において、異常トリガを検出し、高画質データを記録している間も低画質データ符号化を実施しているが、高画質データの記録中は低画質データの符号化を中断しても良い。
【0155】
上記実施の形態において、高画質データの記録は、記録開始してから一定時間経過後に終了しても良い。また、加速度センサなどで通常走行に復帰したと判断できるときに終了してもよい。
【0156】
上記各実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0157】
以上のように、本発明にかかる車載用動画像データ記録装置は、通常画質符号化部と高画質符号化部の両方を備えることにより、通常走行時は記憶メモリの有効利用ができ、かつ、事故発生直前直後は高画質の動画像データを得ることができ、ドライブレコーダーやイベントレコーダー等として有用である。
【符号の説明】
【0158】
101、201、301、401、501 カメラ部
102、202、302、304、402、502 通常画質符号化部
103、203、305、403、503 通常画質データ記憶部
104、204、306、404、504 トリガ検出部
105、307、406 高画質符号化部
106、308 高画質データ記憶部
201、401、501 第一カメラ部
205、406、505 第一高画質符号化部
206、407、506 第一高画質データ記憶部
207、408、507 第二カメラ部
208、409、508 第二高画質符号化部
209、410、509 第二高画質データ記憶部
210、411、510 第三カメラ部
211、412、511 第三高画質符号化部
212、413、512 第三高画質データ記憶部
213、414、513 第四カメラ部
214、415、514 第四高画質符号化部
215、416、515 第四高画質データ記憶部
302 加速度センサ部
303 ナンバープレート検出部
308 高画質データ記録部
405 危険警告部
516 撮影画像表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載用動画像データ記録装置であって、
カメラ部が撮影した前記車両の周辺画像を通常画質で圧縮する通常画質符号化部と、
前記通常画質符号化部が出力する動画像データを記録する通常画質データ記憶部と、
車両走行時に発生した異常状況をトリガとして検出するトリガ検出部と、
前記カメラ部が撮影した画像を前記通常画質よりも高画質で圧縮する高画質符号化部と、
前記トリガ検出部でのトリガ検出タイミングに基づいて、前記高画質符号化部が出力する動画像データを記録する高画質データ記憶部と、
を具備することを特徴とする車載用動画像データ記録装置。
【請求項2】
前記高画質データ記憶部は、前記トリガ検出タイミングより一定時間前に前記高画質符号化部が出力した動画像データから記録する、
ことを特徴とする請求項1記載の車載用動画像データ記録装置。
【請求項3】
前記カメラ部は、異なる方向に向けて複数個備え付けられ、
前記高画質符号化部は、前記カメラ部それぞれが撮影した画像を高画質でそれぞれ圧縮し、
前記高画質データ記憶部は、前記トリガ検出部でのトリガ検出タイミングに基づいて、前記高画質符号化部がそれぞれ出力する動画像データを記録する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の車載用動画像データ記録装置。
【請求項4】
車両に搭載される車載用動画像データ記録装置であって、
前記車両の走行状態から加速度を検出する加速度センサ部と、
カメラ部が撮影した前記車両の周辺画像から、前記加速度センサ部の情報を利用してナンバープレートの動き予測を行いながら車両のナンバープレートを検出するナンバープレート検出部と、
前記カメラ部が撮影した画像を通常画質で圧縮する通常画質符号化部と、
前記通常画質符号化部が出力する動画像データを記録する通常画質データ記憶部と、
車両走行時に発生した異常状況をトリガとして検出するトリガ検出部と、
前記ナンバープレート検出部でナンバープレートを検出した場合は、前記カメラ部が撮影した画像のナンバープレート部分を、前記通常画質よりも高画質で圧縮する高画質符号化部と、
前記トリガ検出部でのトリガ検出タイミングに基づいて、前記高画質符号化部が出力する動画像データを記録する高画質データ記憶部と、
を具備することを特徴する車載用動画像データ記録装置。
【請求項5】
前記高画質データ記憶部は、前記トリガ検出タイミングより一定時間前に前記高画質符号化部が出力した動画像データから記録する、
ことを特徴とする請求項4記載の車載用動画像データ記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−80518(P2013−80518A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−2700(P2013−2700)
【出願日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【分割の表示】特願2008−161289(P2008−161289)の分割
【原出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】