説明

車載用投影システム

【課題】車載用投影システムを提供する。
【解決手段】かかる車載用投影システムは、少なくとも一つの映像光束を提供する投影装置と、前記少なくとも一つの映像光束を第一部分の光束及び第二部分の光束に分ける分光モジュールと、前記第一部分及び前記第二部分の光束をそれぞれ受け入れる二つの投影スクリーンと、を含む。前記第一部分及び前記第二部分の光束は、それぞれ、各自が対応する投影スクリーンに映像画面を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影システムに関し、特に、車載用投影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の進歩に伴い、例えば、自動車の中央制御盤には、オーディオ・ビデオ、ナビゲーション及び電話等、様々な先進な機能が搭載されている。しかし、狭い中央制御盤に上述の各種の機能を制御するための従来の押しボタンや回転ボタンをたくさん設置すると、このようなボタンは、中央制御盤に押し合うようになってしまう。よって、これらの複雑な機能を制御するためのタッチスクリーン技術が多くの自動車メーカーにより導入され、これにより、中央制御盤の設計がより簡潔になる。
【0003】
いまのところ、自動車メーカーは、主に、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(TFT-LCD)を使用して自動車の中央制御盤を設計する。しかし、TFT-LCDは、半導体と同様に、その製造プロセスでは、真空気相メッキ及びエッチングを要するので、基板材料は、通常、強酸・強アルカリの腐食に耐え、且つ、高温に耐えるガラス材質を採用する。その同時に、気相メッキにおける均一性への要求があるため、ガラス材質は、非常に平坦な平面でなければならないので、その外形設計の可塑性は、大いに制限されている。また、比較的に新しい有機発光ダイオード(OLED)による表示技術は、可撓性の特徴を有し、また、広い視角及び良好な色飽和度をも有するが、克服されていない多くの技術問題が依然として存在する。例えば、量産の技術が足りず、使用寿命がLCDよりも短く、及び、大きいサイズの応用がまだ成熟していないなどのような欠点が存在する。
【0004】
今の主流であるスクリーン技術、例えば、LCD又はOLEDは、実用性が高く、サイズが大きく、及び使用寿命が長い曲面表示器を有効に達成することができない。よって、当面は、自動車メーカーは、車内のスクリーン表示器の外形を設計する時に、往々に、パネルの平面外形の制限に屈し、単調な表示インターフェースしか設計できない。また、単調過ぎるので、このような表示器は、通常、自動車メーカーに一種類の設計要素として見なされることがない。
【0005】
したがって、投影システムは、自動車のオーディオ・ビデオシステムに用いることができれば、その多様性を増大させることができるのにならず、そのコストを有効且つ実用に下げることもできる。また、運転時に、運転者の鑑賞したい画面への要求は、他の乗客と往々に異なるので、如何に投影システムを設計して運転者及び他の乗客の要求を同時に満たすことができるかは、一つの重要な課題となっている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、ともに、車載用投影システムの技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】台湾特許公開第2010/09473号
【特許文献2】米国特許第7777960号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、異なる鑑賞者のニーズを満足することができる投影システムを提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的及び利点については、本発明に開示されている技術的特徴から更なる理解を得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の一又は部分又は全部の目的若しくは他の目的を達成するために、本発明の一実施例では、車載用投影システムが提供される。この投影システムは、投影装置、分光モジュール、及び二つの投影スクリーンを含む。投影装置は、少なくとも一つの映像光束を提供する。分光モジュールは、少なくとも一つの映像光束を、第一部分の光束及び第二部分の光束に分ける。二つの投影スクリーンは、それぞれ、第一部分及び第二部分の光束を受け入れる。第一部分及び第二部分の光束は、それぞれ、各自が対応する投影スクリーンに映像画面を形成する。
【0010】
本発明の一実施例では、上述の映像光束は、第一映像データ及び第二映像データを含む。第一部分及び第二部分の光束は、それぞれ、第一及び第二映像データに対応する。
【0011】
本発明の一実施例では、上述の投影システムは、車両の中央制御盤の内部に設置される。
【0012】
本発明の一実施例では、上述の投影スクリーンは、中央制御盤の表面の形状に対応し、曲面を形成する。
【0013】
本発明の一実施例では、上述の第一及び第二映像データは、投影装置から外へ交錯して投射される。
【0014】
本発明の一実施例では、上述の分光モジュールは、分光鏡を含む。分光鏡は、少なくとも一つの映像光束を第一部分及び第二部分の光束に分ける。
【0015】
本発明の一実施例では、上述の分光モジュールは、第一光学シャッター(optical shutter)及び第二光学シャッターを含む。第一光学シャッターが開く時に、第一部分の光束を通過させ、二つの投影スクリーンのうちの一つに投射させ、且つ、第一光学シャッターが、第一映像データが投影装置から外へ投射されることに合わせて、開く又は閉まる。
【0016】
本発明の一実施例では、上述の第二光学シャッターが開く時に、第二部分の光束を通過させ、二つの投影スクリーンのうちのもう一つに投射させ、且つ、第二光学シャッターが、第二映像データが投影装置から外へ投射されることに合わせて、開く又は閉まる。
【0017】
本発明の一実施例では、上述の第一部分及び第二部分の光束は、それぞれ、異なる極性を有する。分光モジュールは、第一偏光片(polarizer)及び第二偏光片を含む。第一偏光片は、第一部分の光束を通過させ、二つの投影スクリーンのうちの一つに投射させるために用いられる。第二偏光片は、第二部分の光束を通過させ、二つの投影スクリーンのうちのもう一つに投射させるために用いられる。
【0018】
本発明の一実施例では、上述の投影装置は、光バルブ(light valve)を含む。光バルブの一領域は、第一映像データを有し、他の領域は、第二映像データを有し、第一部分及び第二部分の光束は、それぞれ、第一及び第二映像データに対応する。
【0019】
本発明の一実施例では、上述の第一映像データ及び第二映像データに対応する第一部分の光束及び第二部分の光束は、同時に、投影装置からこれらの投影スクリーンに投射される。
【0020】
本発明の一実施例では、上述の第一及び第二映像データに対応する第一部分の光束及び第二部分の光束は、各自が対応する映像画面が重なり合わない。
【0021】
本発明の一実施例では、上述の分光モジュールは、複数の反射素子を含む。反射素子は、少なくとも一つの映像光束を第一部分の光束及び第二部分の光束に分けるために用いられる。
【0022】
本発明の一実施例では、上述の分光モジュールは、複数の投射経路を含む。第一部分の光束は、複数の投射経路のうちの一つに伝播し、少なくとも一回の反射を経て、二つの投影スクリーンのうちの一つに投射する。
【0023】
本発明の一実施例では、上述の第二部分の光束は、複数の投射経路のうちもう一つに伝播し、少なくとも一回の反射を経て、二つの投影スクリーンのうちもう一つに投射する。
【0024】
本発明の他の実施例では、投影システムが提供される。この投影システムは、投影装置、分光モジュール、及び二つの投影スクリーンを含む。投影装置は、映像光束を提供する。分光モジュールは、映像光束を第一映像光束及び第二映像光束に分ける。二つの投影スクリーンは、それぞれ、第一及び第二映像光束を受け入れる。第一及び第二映像光束は、それぞれ、各自が対応する投影スクリーンに映像画面を形成する。
【0025】
本発明の一実施例では、上述の映像光束は、第一映像データ及び第二映像データを含む。第一及び第二映像光束は、それぞれ、第一及び第二映像データに対応する。
【0026】
本発明の一実施例では、上述の第一及び第二映像データに対応する第一映像光束及び第二映像光束は、投影装置から外へ交錯して投射される。
【0027】
本発明の一実施例では、上述の分光モジュールは、分光鏡を含む。分光鏡は、映像光束を第一部分及び第二部分の映像光束に分ける。
【0028】
本発明の一実施例では、上述の分光モジュールは、第一光学シャッター及び第二光学シャッターを含む。第一光学シャッターが開く時に、第一映像光束を通過させ、二つの投影スクリーンのうちの一つに投射させ、且つ、第一光学シャッターが、第一映像データに合わせて、開く又は閉まる。
【0029】
本発明の一実施例では、上述の第二光学シャッターが開く時に、第二映像光束を通過させ、二つの投影スクリーンのうちのもう一つに投射させ、且つ、第二光学シャッターが、第二映像データに合わせて、開く又は閉まる。
【0030】
本発明の一実施例では、上述の第一及び第二映像光束は、それぞれ、異なる極性を有する。分光モジュールは、第一偏光片及び第二偏光片を含む。第一偏光片は、第一映像光束を通過させ、二つの投影スクリーンのうちの一つに投射させるために用いられる。第二偏光片は、第二映像光束を通過させ、二つの投影スクリーンのうちのもう一つに投射させるために用いられる。
【0031】
本発明の他の実施例では、投影システムが提供される。この投影システムは、投影装置、分光モジュール、及び複数の投影スクリーンを含む。投影装置は、複数の映像光束を提供し、そのうち、複数の映像光束の各自は、異なる映像データを有する。分光モジュールは、これらの異なる映像データに従って、これらの映像光束を区分する。複数の投影スクリーンは、それぞれ、各自が対応するこれらの映像光束を受け入れ、複数の投影スクリーンに各自の映像画面を形成するために用いられる。
【0032】
本発明の一実施例では、上述の投影装置は、光バルブを含む。光バルブは、複数の領域を有し、複数の領域は、それぞれ、各自が対応する映像データを有する。
【0033】
本発明の一実施例では、上述の複数の映像光束は、同時に、投影装置により、各自が対応する投影スクリーンに投射される。
【0034】
本発明の一実施例では、上述の複数の映像光束は、各自が対応する映像画面が重なり合わない。
【0035】
本発明の一実施例では、上述の分光モジュールは、複数の反射素子を含み、これらの異なる映像データに従って、これらの映像光束を分ける。
【0036】
本発明の一実施例では、上述の分光モジュールは、複数の投射経路を含む。映像光束は、これらの投射経路のうちの一つに伝播し、少なくとも一回の反射を経て、これらの投影スクリーンのうちの一つに投射する。
【0037】
上述により、本発明の実施例は、次の利点又は機能・効果の少なくとも一つを達成することができる。本発明の例示的な実施例では、投影装置の電子信号を利用し、機械式の分光モジュールに合わせることで、投影システムは、二種類の画面の信号を異なるスクリーンにそれぞれ投射することができ、これにより、異なる鑑賞者のニーズを満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第一実施例における投影システムを示す図である。
【図2】第一実施例において投影装置及び第一、第二光学シャッターを制御する電子信号を示す図である。
【図3】本発明の第二実施例における投影システムを示す図である。
【図4】本発明の第二実施例における投影装置の光バルブを示す図である。
【図5】本発明の他の実施例における投影装置の光バルブを示す図である。
【図6】本発明の一実施例における投影システムが自動車の内部に応用される様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に、添付した図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0040】
なお、次の各実施例の説明は、添付した図面を参照して行われたものであり、本発明の実施可能な特定の実施例を例示するために用いられる。また、次の各実施例に言及した方向の用語、例えば、上、下、前、後、左、右などは、添付した図面の方向を参考するためのもののみである。よって、以下に使用された方向の用語は、説明のために用いられ、本発明を限定するためのものでない。
【実施例1】
【0041】
図1は、本発明の第一実施例における投影システムを示す図である。図1を参照する。本実施例の投影システム100は、投影装置110、分光モジュール120、及び二つの投影スクリーン130a、130bを含む。投影装置110は、映像光束A+Bを提供する。分光モジュール120は、映像光束A+Bを第一映像光束A及び第二映像光束Bを分ける。二つの投影スクリーン130b、130aは、それぞれ、第一及び第二映像光束A及びBを受け入れる。第一及び第二映像光束A及びBは、それぞれ、各自が対応する投影スクリーン130b、130aに映像画面を形成する。本実施例では、第一映像光束Aは、投影スクリーン130bに、例えば、運転者が鑑賞したい映像画面、例えば、ナビゲーション画面を形成し、第二映像光束Bは、投影スクリーン130aに、例えば、他の乗客が鑑賞したい映像画面、例えば、映画映像を形成し、これにより、異なる鑑賞者のニーズを満たすことができる。
【0042】
よって、少なくとも上述の目的を達成するために、第一映像光束Aは、第一映像データを有し、第二映像光束Bは、第二映像データを有し、両者は、例えば、それぞれ、異なる鑑賞者が鑑賞したい映像データ、例えば、運転データ、道路状況データ、及び娯楽プログラムなどのマルチメデア映像である。
【0043】
分光モジュール120は、分光鏡122、第一光学シャッター124a及び第二光学シャッター124bを含み、光学シャッターは、液晶パネル(LCD panel)又は機構式の回折格子装置であってもよい。分光鏡122は、例えば、光束の半光量を透過させて半光量を反射させる分光鏡であるので、映像光束A+Bを、第一部分の映像光束A+B、及び、第二部分の映像光束A+Bに分けることができる。よって、第一部分の映像光束A+B、及び、第二部分の映像光束A+Bは、分光前の映像光束A+Bに比べ、その輝度が例えば、元の50%であるが、これに限られない。第一部分の映像光束A+Bについて言えば、第一光学シャッター124aが開く時に、第一部分の映像光束A+B中の第一映像光束Aを透過させ、投影スクリーン130bに投射させることができ、これにより、第一映像画面を形成する。第二部分の映像光束A+Bについて言えば、第二光学シャッター124bが開く時に、第二部分の映像光束A+B中の第二映像光束Bを透過させ、投影スクリーン130aに投射させることができ、これにより、第二映像画面を形成する。
【0044】
図2は、第一実施例において投影装置及び第一、第二光学シャッターを制御する電子信号を示す図である。図1及び図2を参照する。本実施例では、少なくとも異なるスクリーンに異なる映像を投影する目的を達成するために、第一及び第二映像データを有する第一映像光束A及び第二映像光束Bは、投影装置110から外へ交錯して投射される。且つ、第一光学シャッター124aは、第一映像データが投影装置110から外へ投射される周波数に合わせて、開く又は閉まる。また、第二光学シャッター124bは、第二映像データが投影装置110から外へ投射される周波数に合わせて、開く又は閉まる。なお、光学シャッターの開閉は、映像データが外へ投射される周波数に合わせることに限られない。
【0045】
詳細に言えば、図2では、制御信号Sは、投影装置110が映像データを投射することを制御する電子信号である。制御信号Sのハイレベルに付けられる符号A及びBは、それぞれ、該時間序列における制御信号Sの制御により投影装置110から投射される映像光束A+Bを代表し、第一映像光束Aに対応する第一映像データを含み、又は、第二映像光束Bに対応する第二映像データを含む。
【0046】
制御信号S、Sは、それぞれ、第一及び第二光学シャッター124a、124bの開閉を制御する電子信号である。第一部分の映像光束A+Bが第一光学シャッター124aに伝播した時に、第一光学シャッター124aは、ハイレベルの制御信号Sの制御により開き、これにより、第一映像光束Aは、通過し、投影スクリーン130bに投影する。同様に、第二部分の映像光束A+Bが第二光学シャッター124bに伝播した時に、第二光学シャッター124bは、ハイレベルの制御信号Sの制御により開き、これにより、第二映像光束Bは、通過し、投影スクリーン130aに投影する。制御信号S、Sのハイレベルに付けられる符号A及びBは、それぞれ、該時間序列における第一又は第二光学シャッター124a、124bが開くことを代表する。
【0047】
よって、本実施例では、投影装置110の電子信号を利用して第一及び第二光学シャッター124a、124bの切り替えを行うことにより、一つの装置で複数の画面を生成できるという効果を達成することができる。投影装置110は、交錯の時間序列の形式で、映像光束A+Bの第一及び第二映像データを外へ投射する。さらに、分光モジュール120を利用して映像光束A+Bを二つに分割し、分割後の第一部分及び第二部分の光束A+B、A+Bは、それぞれ、第一及び第二光学シャッター124a、124bを通過した時に、投影スクリーン130b、130aが要する映像光束A、Bにフィルタリングされ、これにより、異なる鑑賞者のニーズを満たすことができる。
【0048】
一方、本実施例では、上述の第一及び第二映像光束A、Bは、それぞれ、異なる極性を有してもよい。例えば、第一映像光束Aは、P極性であり、且つ、第一映像データを有し、第二映像光束Bは、S極性であり、且つ、第二映像データを有する。この時に、第一及び第二光学シャッター124a、124bは、それぞれ、第一偏光片及び第二偏光片(図示せず)により置換されてもよい。第一偏光片は、第一映像光束Aを通過させ、投影スクリーン130bに投射させるために用いられる。第二偏光片は、第二映像光束Bを通過させ、投影スクリーン130aに投射させるために用いられる。
【実施例2】
【0049】
図3は、本発明の第二実施例における投影システムを示す図である。本実施例の投影システム300は、投影装置310、分光モジュール320、及び二つの投影スクリーン330a、330bを含む。投影装置310は、例えば、第一及び第二映像光束A、Bを含む複数の映像光束を提供し、第一及び第二映像光束A、Bの両者は、それぞれ、第一及び第二映像データに対応する。なお、本実施例では、少なくとも異なるスクリーンに異なる映像を同時に投影する目的を達成するために、第一及び第二映像光束A、Bは、投影装置310から外へ同時に投射され、これにより、異なる鑑賞者のニーズを満たすことができる。
【0050】
詳細に言えば、図4は、本発明の第二実施例における投影装置の光バルブを示す図である。図3及び図4を参照する。本実施例の投影装置310の内部は、光バルブ312を含む。図4に示すように、光バルブ312の右半分312aは、第一映像データに対応する映像画面を有し、左半分312bは、第二映像データに対応する映像画面を有する。よって、投影装置310が光バルブ312を経由して外へ投射した第一及び第二映像光束A、Bは、それぞれ、第一及び第二映像データに対応し、例えば、第一映像光束Aは、光バルブ312の右半分312aにより生成され、逆に、第二映像光束Bは、光バルブ312の左半分312bにより生成される。本実施例では、第一及び第二映像光束A、Bは、光バルブ312において、各自が対応する映像画面が重なり合わない。第一映像データ及び第二映像データは、例えば、それぞれ、異なる鑑賞者が鑑賞したい映像データ、例えば、運転データ、道路状況データ、及び娯楽プログラムなどのマルチメデア映像である。
【0051】
投影装置310が第一及び第二映像光束A、Bを外へ投射した後に、分光モジュール320は、第一及び第二映像光束A、Bを二つの経路に分け、また、それぞれを二つの投影スクリーンに投射させる。本実施例では、分光モジュール320は、複数の反射素子322a、322b、322c、322dを含む。これらの反射素子は、例えば、反射鏡であり、第一又は第二映像光束A、Bを反射するために用いられる。
【0052】
本実施例では、分光モジュール320は、投影経路P、Pを含む。第一映像光束Aを例とすると、それは、分光モジュール320の投影経路Pに伝播し、反射素子322a、322cのそれぞれの反射を経てから、投影スクリーン330aに投射する。言い換えると、第一映像光束Aは、少なくとも一回の反射を経てから、二つの投影スクリーンのうちの一つに投射する。同様に、第二映像光束Bは、分光モジュール320の投影経路Pに伝播し、反射素子322b、322dのそれぞれの反射を経てから、投影スクリーン330bに投射する。言い換えると、第二映像光束Bは、少なくとも一回の反射を経てから、二つの投影スクリーンのうちのもう一つに投射する。
【0053】
本実施例では、光バルブ312は、二つの部分に分け、即ち、右半分312aと左半分312bを含む。他の実施例では、光バルブは、複数の部分に分割してもよく、これにより、一つの装置で複数の画面を生成できるという効果を達成することができる。図5は、本発明の他の実施例における投影装置の光バルブを示す図である。図5を参照する。本実施例の光バルブ512は、四つの部分に分け、即ち、右上部分512a、左上部分512b、右下部分512c、及び左下部分512dを含み、これらの四つの部分は、それぞれ、異なる映像データに対応する。この光バルブの表示方式に合わせて、分光モジュール320は、例えば、複数の投影経路を含んでもよく、これにより、これらの部分の映像光束を異なる投影スクリーンに投射することができる。言い換えると、本実施例の光バルブが分割される数、及び、生成される映像光束及び投影スクリーンの数は、本発明において限定されない。
【0054】
よって、異なる映像画面を含む光バルブを利用することより、投影装置310は、一つの装置で複数の画面を形成できるという効果を達成することができる。投影装置310は、同時に、第一映像データを含む第一映像光束A、及び、第二映像データを含む第二映像光束Bを分光モジュール320に投射する。さらに、分光モジュール320を利用して第一及び第二映像光束A、Bを異なる反射経路に伝播させ、投影スクリーン330a、330bに所要の映像画面を投射させ、これにより、異なる鑑賞者のニーズを満たすことができる。
【0055】
以上述べたところを総合すれば、本発明の実施例は、次の利点又は機能・効果の少なくとも一つを達成することができる。本発明の例示的な実施例では、投影システムは、投影装置において異なる映像データを有する電子信号を利用し、又は、投影装置において画面が既に分割されている光バルブを利用し、機械式の分光モジュールに合わせることで、二種類の異なる画面の映像をそれぞれ異なるスクリーンに投射し、これにより、異なる鑑賞者のニーズを満たすことができる。
【0056】
図6は、本発明の一実施例における投影システムが自動車の内部に応用される様子を示す図である。図1及び図6を参照する。投影システム100は、例えば、自動車の内部に応用され、一つの装置で複数の画面を形成できるという効果を実現するものである。本実施例では、第一映像光束Aは、投影スクリーン130aに、例えば、運転者が鑑賞したい映像画面を形成し、第二映像光束Bは、投影スクリーン130bに、例えば、他の乗客が鑑賞したい映像画面を生成し、これにより、異なる鑑賞者のニーズを満足することができる。
【0057】
一方、第二実施例の投影システム300は、自動車の内部(図示せず)に応用されてもよく、この時は、図3中の第一及び第二映像光束A、Bは、それぞれ、異なる反射経路に伝播し、これにより、投影スクリーン330a、330bに、所要の映像画面を投射させることができる。
【0058】
本発明は、前述した好適な実施例に基づいて以上のように開示されたが、前述した好適な実施例は、本発明を限定するためのものでなく、当業者は、本発明の精神と範囲を離脱しない限り、本発明に対して些細な変更と潤色を行うことができるので、本発明の保護範囲は、添付した特許請求の範囲に定まったものを基準とする。また、本発明の何れの実施例又は特許請求の範囲は、本発明に開示された全ての目的又は利点又は特徴を達成する必要がない。また、要約の部分と発明の名称は、文献の検索を助けるためのみのものであり、本発明の権利範囲を限定するものでない。また、本明細書又は特許請求の範囲に言及している「第一」、「第二」等の用語は、素子(element)に名前を付け、または、異なる実施例又は範囲を区別するためのもののみであり、要素の数量上の上限又は下限を限定するためのものでない。
【符号の説明】
【0059】
100、300 投影システム
110、310 投影装置
120、320 分光モジュール
122 分光鏡
124a 第一光学シャッター
124b 第二光学シャッター
130a、130b、330a、330b 投影スクリーン
312、512 光バルブ
312a 光バルブの右半分
312b 光バルブの左半分
512a 光バルブの右上部分
512b 光バルブの左上部分
512c 光バルブの右下部分
512d 光バルブの左下部分
322a、322b、322c、322d 反射素子
、S、S 制御信号
、P 投射経路
A+B 映像光束
+B 第一部分の映像光束
+B 第二部分の映像光束
A、A 第一映像光束
B、B 第二映像光束


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載用投影システムであって、
少なくとも一つの映像光束を提供する投影装置と、
前記少なくとも一つの映像光束を第一部分の光束及び第二部分の光束に分ける分光モジュールと、
前記第一部分及び前記第二部分の光束をそれぞれ受け入れる二つの投影スクリーンであって、前記第一部分及び前記第二部分の光束は、それぞれ、各自が対応する投影スクリーンに映像画面を形成する、二つの投影スクリーンと、
を含む、車載用投影システム。
【請求項2】
前記映像光束は、第一映像データ及び第二映像データを含み、前記第一部分及び前記第二部分の光束は、それぞれ、前記第一及び前記第二映像データに対応する、
請求項1に記載の車載用投影システム。
【請求項3】
前記投影システムは、中央制御盤の内部に設置される、
請求項1に記載の車載用投影システム。
【請求項4】
前記二つの投影スクリーンは、前記中央制御盤の表面の形状に対応し、曲面を形成する、
請求項3に記載の車載用投影システム。
【請求項5】
前記第一及び前記第二映像データに対応する前記第一部分及び前記第二部分の光束は、前記投影装置から前記二つの投影スクリーンに交錯して投射される、
請求項2に記載の車載用投影システム。
【請求項6】
前記分光モジュールは、分光鏡を含み、前記分光鏡は、前記少なくとも一つの映像光束を前記第一部分及び前記第二部分の光束に分ける、
請求項2に記載の車載用投影システム。
【請求項7】
前記分光モジュールは、第一光学シャッター及び第二光学シャッターを含み、前記第一光学シャッターが開く時に、前記第一部分の光束を通過させ、前記二つの投影スクリーンのうちの一つに投射させ、且つ、前記第一光学シャッターは、前記第一映像データに合わせて開く又は閉まる、
請求項5に記載の車載用投影システム。
【請求項8】
前記第二光学シャッターが開く時に、前記第二部分の光束を通過させ、前記二つの投影スクリーンのうちのもう一つに投射させ、且つ、前記第二光学シャッターは、前記第二映像データに合わせて開く又は閉まる、
請求項7に記載の車載用投影システム。
【請求項9】
前記第一部分及び前記第二部分の光束は、それぞれ、異なる極性を有し、
前記分光モジュールは、第一偏光片及び第二偏光片を含み、前記第一偏光片は、前記第一部分の光束を通過させ、前記二つの投影スクリーンのうちの一つに投射させるために用いられ、前記第二偏光片は、前記第二部分の光束を通過させ、前記二つの投影スクリーンのうちのもう一つに投射させるために用いられる、
請求項2に記載の車載用投影システム。
【請求項10】
前記投影装置は、光バルブを含み、前記光バルブの一つの領域は、第一映像データを有し、もう一つの域は、第二映像データを有し、前記第一部分及び前記第二部分の光束は、それぞれ、前記第一及び前記第二映像データに対応する、
請求項1に記載の車載用投影システム。
【請求項11】
前記第一映像データ及び前記第二映像データに対応する前記第一部分の光束及び前記第二部分の光束は、同時に、前記投影装置から前記二つの投影スクリーンに投射される、
請求項10に記載の車載用投影システム。
【請求項12】
前記第一及び前記第二映像データに対応する前記第一部分及び前記第二部分の光束は、各自が対応する前記映像画面が重なり合わない、
請求項10に記載の車載用投影システム。
【請求項13】
前記分光モジュールは、複数の反射素子を含み、前記複数の反射素子は、前記少なくとも一つの映像光束を前記第一部分の光束及び前記第二部分の光束に分けるために用いられる、
請求項10に記載の車載用投影システム。
【請求項14】
前記分光モジュールは、複数の投射経路を含み、前記第一部分の光束は、前記複数の投射経路のうちの一つに伝播し、また、少なくとも一回の反射を経て、前記二つの投影スクリーンのうちの一つに投射する、
請求項13に記載の車載用投影システム。
【請求項15】
前記第二部分の光束は、前記複数の投射経路のうちのもう一つに伝播し、また、少なくとも一回の反射を経て、前記二つの投影スクリーンのうちのもう一つに投射する、
請求項14に記載の車載用投影システム。
【請求項16】
投影システムであって、
映像光束を提供する投影装置と、
前記映像光束を第一映像光束及び第二映像光束に分ける分光モジュールと、
前記第一及び前記第二映像光束をそれぞれ受け入れる二つの投影スクリーンであって、前記第一及び前記第二映像光束は、それぞれ、各自が対応する投影スクリーンに映像画面を形成する、二つの投影スクリーンと、
を含む、投影システム。
【請求項17】
前記映像光束は、第一映像データ及び第二映像データを含み、前記第一及び前記第二映像光束は、それぞれ、前記第一及び前記第二映像データに対応する、
請求項16に記載の投影システム。
【請求項18】
前記第一及び前記第二映像データに対応する前記第一及び前記第二映像光束は、投影装置から前記二つの投影スクリーンに交錯して投射される、
請求項16に記載の投影システム。
【請求項19】
前記分光モジュールは、分光鏡を含み、前記分光鏡は、前記映像光束を前記第一及び前記第二映像光束に分ける、
請求項16に記載の投影システム。
【請求項20】
前記分光モジュールは、第一光学シャッター及び第二光学シャッターを含み、前記第一光学シャッターが開く時に、前記第一映像光束を通過させ、前記二つの投影スクリーンのうちの一つに投射させ、且つ、前記第一光学シャッターは、前記第一映像データに合わせて開く又は閉まる、
請求項18に記載の投影システム。
【請求項21】
前記第二光学シャッターが開く時に、前記第二映像光束を通過させ、前記二つの投影スクリーンのうちのもう一つに投射させ、且つ、前記第二光学シャッターは、前記第二映像データに合わせて開く又は閉まる、
請求項20に記載の投影システム。
【請求項22】
前記第一及び前記第二映像光束は、それぞれ、異なる極性を有し、
前記分光モジュールは、第一偏光片及び第二偏光片を含み、前記第一偏光片は、前記第一映像光束を通過させ、前記二つの投影スクリーンのうちの一つに投射させるために用いられ、前記第二偏光片は、前記第二映像光束を通過させ、前記二つの投影スクリーンのうちのもう一つに投射させるために用いられる、
請求項17に記載の投影システム。
【請求項23】
投影システムであって、
複数の映像光束を提供し、前記複数の映像光束の各々は、異なる映像データを有する投影装置と、
前記異なる映像データに従って、前記複数の映像光束を分ける分光モジュールと、
各自の対応する前記複数の映像光束を受け入れ、各自の映像画面を形成するために用いられる複数の投影スクリーンと、
を含む、投影システム。
【請求項24】
前記投影装置は、光バルブを含み、前記光バルブは、複数の領域を有し、前記複数の領域は、各自が対応する映像データをそれぞれ有する、
請求項23に記載の投影システム。
【請求項25】
前記複数の映像光束は、同時に、前記投影装置により、各自が対応する前記複数の投影スクリーンに投射される、
請求項24に記載の投影システム。
【請求項26】
前記複数の映像光束は、各自が対応する前記複数の映像画面が重なり合わない、
請求項24に記載の投影システム。
【請求項27】
前記分光モジュールは、複数の反射素子を含み、前記複数の異なる映像データに従って、前記複数の映像光束を分ける、
請求項24に記載の投影システム。
【請求項28】
前記分光モジュールは、複数の投射経路を含み、前記複数の映像光束は、前記複数の投射経路のうちの一つに伝播し、少なくとも一回の反射を経て、前記複数の投影スクリーンのうちの一つに投射する、
請求項27に記載の投影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−88816(P2013−88816A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−229577(P2012−229577)
【出願日】平成24年10月17日(2012.10.17)
【出願人】(503133874)揚明光學股▲ふん▼有限公司 (16)
【Fターム(参考)】