説明

車載用真空引き装置

【課題】無意味な騒音の発生や車両のエンジンに対する負荷の増大および燃費の低下といった弊害を生じることなく必要なブロアのみを機能させる。
【解決手段】吸引管路109に対して並列に接続された2つのブロワ110,111のうち一方のブロワ110の吸気管路112上に第一の開閉バルブ2を設けると共に、ブロワ110の吸気口と第一の開閉バルブ2との間の吸気管路112aをブロワ110の排気管路115に接続する循環管路3を配備して、第二の開閉バルブ4を設ける。第一の開閉バルブ2を閉じて第二の開閉バルブ4を開くことでブロワ110の吸気口110aを吸引管路109から遮断してブロワ111のみを機能させ、かつ、ブロワ110で圧送される空気をブロワ側排気管路125,消音装置114,循環管路3,吸気管路112a,ブロワ110内部の空気経路で循環させることで、ブロワ110を無負荷状態で作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のエンジンで同期駆動される複数のブロワを備えた車載用真空引き装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車載用真空引き装置としては、真空引の作業対象となるホッパやホッパに接続した吸引管を利用して汚泥,土砂,廃液,粉粒体等を吸引回収する万能吸引車に搭載される車載用真空引き装置が公知である。
【0003】
図3は万能吸引車に搭載された車載用真空引き装置と其の周辺構造の一例を簡略化して示したブロック図である。
【0004】
図3に示される車載用真空引き装置101の主要部は、真空引の作業対象となるホッパ102に管路103,104を介して並列に接続されたサイクロン集塵器105,106の各々から延設された管路107,108を集合してなる吸引管路109と、図示しない車両のエンジンで同期駆動される2つのブロワ110,111と、一方のブロワ110の吸気口110aから延設された吸気管路112および他方のブロワ111の吸気口111aから延設された吸気管路113と、消音装置114を備えて一方のブロワ110の排気口110bに延設された排気管路115と、消音装置116を備えて他方のブロワ111の排気口111bに延設された排気管路117と、排気管路115および排気管路117を集合して接続した消音装置118によって構成される。
【0005】
図3に示される通り、一方のブロワ110の吸気口110aから延設された吸気管路112と他方のブロワ111の吸気口111aから延設された吸気管路113は、吸引管路109に対して並列に接続されている。
【0006】
また、サイクロン集塵器106とホッパ102を接続する管路104上には、管路104を大気に向けて開放する開放管路119と開放管路119を開閉操作するための開閉バルブ120が設けられ、非作業時におけるホッパ102や各管路の内圧を大気圧に維持できるようになっている。
【0007】
真空引の作業対象となるホッパ102の構造、汚泥,土砂,廃液,粉粒体等を吸引してホッパ102に導くための吸引管121の構造、サイクロン集塵器105,106の構造、ブロワ110,111の構造、および、消音装置114,116,118の構造については既に公知である。
つまり、ホッパ102は吸引回収された汚泥,土砂,廃液,粉粒体等を貯溜するためのタンクとして機能するもので、その一端部に開閉可能なハッチ122が設けられ、前述の吸引管121はハッチ122の表裏を貫通するようにして固設されている。
また、サイクロン集塵器105,106は、管路を流れる空気中に残留した比較的比重の小さな回収物を遠心力を利用して分離除去するためのものである。
ブロワ110,111は、特許文献1に開示される通り、管路を流れる空気中から粉塵を除去する機能を有するもので、その前段すなわちサイクロン集塵器105,106とブロワ110,111との間に設置が必要とされていた粉塵除去用の従来型の湿式集塵槽を不要化し、車載用真空引き装置101を搭載した車両の全備重量を軽減して、ホッパ102に回収できる汚泥,土砂,廃液,粉粒体等の重量を相対的に増加させられる点に特徴を有する。
消音装置114,116は、通常の消音機能の他、管路を流れる空気を内部の貯溜水123,124に接触させて此の空気中に最後まで残留した極微粉塵を除去する機能を備える。また、消音装置118は純粋な消音装置である。
【0008】
このように、2つのブロワを並列して備えた車載用真空引き装置は単一のブロワのみを備えた車載用真空引き装置と比べて大きな風量が得られるため、専ら、重作業に適するといった特徴がある。
【0009】
しかし、その反面、大きな風量を必要としない水等の低粘度の流体を吸引回収する際に、吸引管に接続された吸引ホースに振動が生じる等の不都合もある。
【0010】
そこで、この種の不都合を解消するための技術として、バルブの開閉により2つのブロワを並列に接続したり直列に接続したり、更には、一方のブロワのみを機能させられるようにしたブロワ構造が特許文献2として既に提案されている。
【0011】
特許文献2に開示されるブロワ構造の概略を図4に示す。このブロワ構造201は、ルーツブロワ202,203と、各種の管路204〜215、および、リリーフバルブ216と、排気バルブ217およびバイパスバルブ218と、吸気バルブ219によって構成される。なお、図4中では空気の流れについて吸気側をIで示し、排気側をOで示している。
【0012】
以上の構成において、ルーツブロワ202,203を並列に機能させて大きな風量を得たい場合には、吸気バルブ219と排気バルブ217を開いてバイパスバルブ218を閉じ、管路204,205,206,207,208,209に沿ってルーツブロワ202で圧送される空気と、管路204,215,214,212,211,209に沿ってルーツブロワ203で圧送される空気を併用することで、吸引管路として機能する管路204に接続された真空引きの作業対象たとえば湿式貯溜層に対して真空引き作業を行う。
【0013】
また、ルーツブロワ202,203を直列に接続して高い真空度を得たい場合には、吸気バルブ219と排気バルブ217を閉じてバイパスバルブ218を開き、管路204,215,214,212,210,207,208,209に沿ってルーツブロワ202,203で圧送される空気を利用することにより、吸引管路として機能する管路204に接続された真空引きの作業対象に対して高圧の真空引き作業を行うことになる。
【0014】
これに対し、一方のルーツブロワ202のみを機能させ、大きな風量や高い真空度を必要としない軽作業たとえば水等の低粘度の流体を吸引回収する場合においては、排気バルブ217とバイパスバルブ218を閉じて吸気バルブ219を開き、管路204,205,206,207,208,209に沿ってルーツブロワ202で圧送される空気を利用することにより、吸引管路として機能する管路204に接続された真空引きの作業対象に対して低出力の真空引き作業を行う必要がある。
【0015】
しかしながら、2つのルーツブロワ202,203を車両のエンジンで同期駆動する構成を適用した場合にあっては、排気バルブ217,バイパスバルブ218,吸気バルブ219の開閉状態を変化させても2つのルーツブロワ202,203は其のまま作動を続けるので、前述の様に排気バルブ217とバイパスバルブ218を閉じて吸気バルブ219を開いたとしても、実際には管路204,215,214,213,209に沿ってルーツブロワ203で空気が圧送され続けることになり、管路213上のリリーフバルブ216の作動圧力にもよるが、大きな風量を得るときの状態と殆ど同じ吸引力となってしまい、軽作業に適した風量や真空度が得られない。
【0016】
この不都合を回避するためには、ルーツブロワ203を車両のエンジンの動力取り出し軸(パワー・テイク・オフ軸)に対して接離可能に接続するためのクラッチ機構を設けてルーツブロワ203のみを非作動の状態とするか、あるいは、リリーフバルブ216に代わる開閉バルブを設置して管路213を閉鎖することによってルーツブロワ203から送出される空気の流れを止める以外に方法がない。
前者の方法を適用した場合では、機械的な構造の複雑化や装置の製造コストの増大、および、車両の全備重量の増加すなわち回収できる汚泥,土砂,廃液,粉粒体等の重量の減少といった問題が生じる。
また、後者の方法を適用した場合では、ルーツブロワ203の機能を実質的に停止させることは可能だが、ルーツブロワ203は排気口を封止された状態のまま依然として作動を継続するので、ルーツブロワ203自体の過負荷運転による無意味な騒音の発生や車両のエンジンに対する負荷の増大および燃費の低下といった弊害が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2003−237906号公報(段落0016−0019)
【特許文献2】特公平1−30978号公報(第2頁右欄第41行−第3頁左欄第17行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
そこで、本発明の目的は、機械的な構造の複雑化や装置の製造コストの増大、および、車両の全備重量の増加といった不都合を生じることなく、重作業に際しては重作業に適した数のブロワを並列して機能させることで大きな風量を利用した真空引き作業ができ、また、軽作業に際しては、無意味な騒音の発生や車両のエンジンに対する負荷の増大および燃費の低下といった弊害を生じることなく、軽作業に適した数のブロアのみを機能させて小さな風量を利用した真空引き作業をすることのできる車載用真空引き装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の車載用真空引き装置は、前記目的を達成するため、車両のエンジンで同期駆動される2つのブロワを備えた車載用真空引き装置にあっては、特に、
真空引きの作業対象に連絡した吸引管路に対して各ブロワの吸気口から延設された吸気管路の各々を並列に接続し、
一方のブロワの吸気管路上に第一の開閉バルブを設け、前記一方のブロワの吸気口と前記第一の開閉バルブとの間の吸気管路を前記一方のブロワの排気口に延設された排気管路に接続する循環管路を配備して、該循環管路上に第二の開閉バルブを設けると共に、
前記第一,第二の開閉バルブを排他的に開閉操作する開閉操作手段を設けたことを特徴とした構成を有する。
【0020】
以上の構成において、重作業に際して2つのブロワを並列して機能させる場合には、第一,第二の開閉バルブを排他的に開閉操作する開閉操作手段を操作し、第一の開閉バルブを開いて第二の開閉バルブを閉じた状態とする。
このようにして第一の開閉バルブが開かれることにより、一方のブロワの吸気口が其の吸気管路を介して吸引管路に接続した状態となる。同時に、この吸気管路に接続した循環管路が第二の開閉バルブによって閉じられることによって、一方のブロワの吸気口と吸引管路との間の密閉状態が保証される。
他方のブロワの吸気口は其の吸気管路を介して吸引管路に定常的に接続されているので、結果的に、車両のエンジンで同期駆動される2つのブロワの吸気口が各々の吸気管路を介して吸引管路に並列に接続されることになり、2つのブロワの並列接続による大きな風量を利用した真空引き作業が実現される。
また、軽作業に際して1つのブロワのみを機能させる場合には、第一,第二の開閉バルブを排他的に開閉操作する開閉操作手段を操作し、前記とは逆に、第一の開閉バルブを閉じて第二の開閉バルブを開いた状態とする。
このようにして第一の開閉バルブが閉じられることにより、一方のブロワの吸気口が吸引管路から遮断され、他方のブロワの吸気口のみが其の吸気管路を介して吸引管路に接続した状態となるので、他方のブロアのみによる小さな風量を利用した真空引き作業が実現される。
この際、2つのブロワは車両のエンジンで同期駆動されているので、一方のブロワの作動それ自体は継続することになるが、第二の開閉バルブが開かれることによって一方のブロワの吸気口が当該ブロワの吸気管路の一部(具体的には吸気管路と循環管路の接続部から吸気口に至る区間)と循環管路を介して当該ブロワの排気管路に接続した状態となり、当該ブロワで圧送される空気が、当該ブロワの排気口,当該ブロワの排気管路の一部(具体的には排気管路と循環管路の接続部から排気口に至る区間),循環管路,当該ブロワの吸気管路の一部(具体的には吸気管路と循環管路の接続部から吸気口に至る区間)および当該ブロワ内部の空気経路を介して循環的に流れることになり、当該ブロワが実質的な無負荷状態で作動することになる。
従って、当該一方のブロワの給排気を抑制した過負荷運転による無意味な騒音の発生や当該ブロワを駆動する車両のエンジンに対する負荷の増大および燃費の低下といった弊害が解消される。
しかも、一方のブロワの作動を選択的に停止させるためのクラッチ等をエンジンの動力取り出し軸や其の動力伝達系路上に設ける必要はないので、機械的な構造の複雑化や装置の製造コストの増大、および、車両の全備重量の増加といった不都合も生じない。
特に、一方のブロワで圧送される空気を当該ブロワの排気口,当該ブロワの排気管路の一部,循環管路,当該ブロワの吸気管路の一部および当該ブロワ内部の空気経路を介して循環させる構成であって、外部からの大気の取り込みや大気中への空気の放出といった動作が伴わないことから、騒音の軽減の面で有利である。
【0021】
あるいは、前記循環管路に代えて、一方のブロワの吸気口と第一の開閉バルブとの間の吸気管路を大気に向けて開放する開放管路を配備して、この開放管路上に前記第二の開閉バルブを設けた構成としてもよい。
【0022】
このような構成を適用した場合には、軽作業のために開閉操作手段を操作して第一の開閉バルブを閉じて第二の開閉バルブを開いた際に、一方のブロワが開放管路と当該ブロワの吸気管路の一部(具体的には吸気管路と開放管路の接続部から吸気口に至る区間)を介して大気を取り込み、当該ブロワの排気口と当該ブロワの排気管路を介して大気中に空気を放出することになるが、前記と同様、当該ブロワは実質的に無負荷状態で作動するので、当該一方のブロワの過負荷運転による無意味な騒音の発生や当該ブロワを駆動する車両のエンジンに対する負荷の増大および燃費の低下といった弊害が解消される。
機械的な構造の複雑化や装置の製造コストの増大、および、車両の全備重量の増加といった不都合が生じない点についても前記と同様である。
【0023】
なお、循環管路を採用した構成において、循環管路を一方のブロワの排気管路上の上流側の位置に接続した場合には、当該ブロワで圧送される空気の大半が、当該ブロワの排気口,当該ブロワの排気管路の一部(具体的には排気管路と循環管路の接続部から排気口に至る区間),循環管路,当該ブロワの吸気管路の一部(具体的には吸気管路と循環管路の接続部から吸気口に至る区間)および当該ブロワ内部の空気経路を介して循環的に流れるが、循環管路を一方のブロワの排気管路上の下流側の位置に接続した場合では、当該ブロワで圧送される空気の一部が当該ブロワの排気管路の下流側端部から大気中に放出されたり、当該ブロワの排気管路の下流側端部で取り込まれた大気を含んだ空気が循環管路および当該ブロワの吸気管路の一部(具体的には吸気管路と循環管路の接続部から吸気口に至る区間)を介して当該ブロワの吸気口に供給されるといった可能性もある。
しかし、前述した循環管路を採用した構成の説明と開放管路を採用した構成の説明の関係からも明らかなように、循環管路を一方のブロワの排気管路に接続する際の位置に違いがあっても、実質的な作用・効果の面で大きな差異が生じることはない。
【0024】
また、車両のエンジンで同期駆動される複数のブロワ、特に、3以上のブロワを備えた車載用真空引き装置においては、前記と同様の目的を達成するため、特に、
真空引きの作業対象に連絡した吸引管路に対して各ブロワの吸気口から延設された吸気管路の各々を並列に接続し、
少なくとも1つ以上のブロワの吸気管路上に第一の開閉バルブを設け、第一の開閉バルブを設けた吸気管路を有する各ブロワ毎の吸気口と当該ブロアにおける第一の開閉バルブとの間の吸気管路を当該ブロワ毎の排気口に延設された排気管路に接続する循環管路を、第一の開閉バルブを設けた吸気管路を有する各ブロワ毎に配備して、各循環管路上に第二の開閉バルブを設けると共に、
前記第一,第二の開閉バルブを各ブロア毎に排他的に開閉操作する開閉操作手段を設けるようにする。
【0025】
3以上のブロワを備えた車載用真空引き装置においては、各ブロワ毎に設けられた第一の開閉バルブを開いて第二の開閉バルブを閉じることにより、作業の程度に応じて必要とされる数のブロアのみを機能させる。そして、他のブロワつまり作業に必要とされないブロワの第一の開閉バルブを閉じ第二の開閉バルブを開くことで此れらのブロワを実質的な無負荷状態で作動させることにより、前記と同様、ブロワの給排気を抑制した過負荷運転による無意味な騒音の発生や当該ブロワを駆動する車両のエンジンに対する負荷の増大および燃費の低下といった弊害を解消できる。機械的な構造の複雑化や装置の製造コストの増大、および、車両の全備重量の増加といった不都合が生じない点についても前記と同様である。
なお、ブロワの数がn個(但し、n≧3)の場合、少なくとも、車載用真空引き装置を作動させる以上は、最低1つのブロワを機能させることが前提となるので、必ずしも全てのブロワに対応させて第一,第二の開閉バルブや開閉操作手段を設ける必要はなく、最低1つのブロワに関しては、基本的に、第一,第二の開閉バルブや開閉操作手段は不要である。
無論、このことはn−1(但し、n≧3)個のブロワの全てに第一,第二の開閉バルブや開閉操作手段を設ける必要があることを意味しない。つまり、第一,第二の開閉バルブや開閉操作手段は、最も軽い作業の実施に際して不要となるブロワの個数に合わせて各ブロワ毎に設ければよい。例えば、5個のブロワを併設し、最も軽い作業の実施に際して2つのブロワが必要とされるのであれば、残り3個のブロワの各々に第一,第二の開閉バルブや開閉操作手段を設ければよく、必ず作動する前提の2つのブロワには第一,第二の開閉バルブや開閉操作手段は不要である。
但し、重量の問題に支障がなければ、n(但し、n≧3)個のブロワの全てに第一,第二の開閉バルブや開閉操作手段を設けても構わない。このような構成を適用した場合、最も軽い作業の実施に際して必要とされるブロワに損傷が生じたような場合に、この損傷が生じたブロワに代替して、通常は最も軽い作業では使用しないブロワを転用できるといったメリットが生じる。損傷が生じたブロワの第二の開閉バルブを開くことで損傷が生じたブロワに作用する負荷を実質的に無負荷にすることができ、更に、第一の開閉バルブを閉じることにより損傷が生じたブロワの吸気管路が吸引管路から遮断されるので、仮に、ブロワの羽根に損傷が生じたような場合であっても、当該ブロワ内部の空気経路を逆行して外気が吸い込まれる等の理由で吸引力が低下するといった問題の発生を未然に防止できる。
【0026】
3以上のブロワを備えた車載用真空引き装置においても、前記と同様、循環管路に代えて、ブロワの吸気口と第一の開閉バルブとの間の吸気管路を大気に向けて開放する開放管路を配備し、この開放管路上に第二の開閉バルブを設けた構成を適用できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の車載用真空引き装置は、作業に適した数のブロワの吸気口のみを各々の吸気管路を介して吸引管路に並列に接続して真空引き作業を行い、その際に不要となるブロワについては、第二の開閉バルブを開いて当該ブロワの吸気口を当該ブロワの吸気管路の一部と循環管路を介してブロワの排気管路に接続した状態とし、当該ブロワで圧送される空気を当該ブロワの排気口,当該ブロワの排気管路の一部,循環管路,当該ブロワの吸気管路の一部および当該ブロワ内部の空気経路を介して循環的に流すこと、あるいは、第二の開閉バルブを開いて開放管路と当該ブロワの吸気管路の一部を介して大気を取り込み、当該ブロワの排気口と当該ブロワの排気管路を介して大気中に空気を放出することにより、実質的に無負荷状態で作動させるようにしているので、ブロワの給排気を抑制した過負荷運転によって生じる無意味な騒音の発生や当該ブロワを駆動する車両のエンジンに対する負荷の増大および燃費の低下といった不都合を解消することができる。
しかも、作業に際して不要となるブロワの作動を選択的に停止させるためのクラッチ等をエンジンの動力取り出し軸や其の動力伝達系路上に設ける必要がないので、機械的な構造の複雑化や装置の製造コストの増大、および、車両の全備重量の増加といった不都合も生じない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明を適用した車載用真空引き装置を万能吸引車に搭載した場合の一実施形態について2つのブロワを同時に機能させた状態で示したブロック図である。
【図2】本発明を適用した車載用真空引き装置を万能吸引車に搭載した場合の一実施形態について片側のブロワのみを機能させた状態で示したブロック図である。
【図3】万能吸引車に搭載される一般的な車載用真空引き装置と其の周辺構造の一例を簡略化して示したブロック図である。
【図4】2つのブロワを並列に接続したり直列に接続したり、更には、一方のブロワのみを機能させることができるようにした従来のブロワ構造の公知例について示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、発明を実施するための形態について幾つかの例を挙げ、図面を参照して具体的に説明する。
【実施例1】
【0030】
図1は本発明を適用した車載用真空引き装置を万能吸引車に搭載した場合の一実施例について示したブロック図である。
【0031】
この車載用真空引き装置1は、真空引の作業対象となるホッパ102に管路103,104を介して並列に接続されたサイクロン集塵器105,106の各々から延設された管路107,108を集合してなる吸引管路109を備える。
【0032】
真空引の作業対象となるホッパ102と吸引管路109との間には管路103,104およびサイクロン集塵器105,106と管路107,108が介在するので、吸引管路109は、真空引きの作業対象となるホッパ102に管路103,104およびサイクロン集塵器105,106と管路107,108を経由して連絡していることになる。
【0033】
車載用真空引き装置1は、更に、図示しない車両のエンジンで同期駆動される2つのブロワ110,111と、一方のブロワ110の吸気口110aから延設された吸気管路112と、他方のブロワ111の吸気口111aから延設された吸気管路113、および、消音装置114を備えて一方のブロワ110の排気口110bに延設された排気管路115と、消音装置116を備えて他方のブロワ111の排気口111bに延設された排気管路117、ならびに、排気管路115および排気管路117を集合して接続した消音装置118を備える。
【0034】
より具体的には、一方のブロワ110の排気管路115は、排気口110bと消音装置114とを接続するブロワ側排気管路125と、消音装置114、および、消音装置114と消音装置118とを接続する消音装置側排気管路126によって構成される。
同様に、他方のブロワ111の排気管路117も、排気口111bと消音装置116とを接続するブロワ側排気管路127と、消音装置116、および、消音装置116と消音装置118とを接続する消音装置側排気管路128によって構成されている。
【0035】
図1に示される通り、一方のブロワ110の吸気口110aから延設された吸気管路112と他方のブロワ111の吸気口111aから延設された吸気管路113は、吸引管路109に対して並列に接続されている。
【0036】
また、サイクロン集塵器106とホッパ102を接続する管路104には、管路104を大気に向けて開放する開放管路119と開放管路119を開閉操作するための開閉バルブ120が設けられ、非作業時におけるホッパ102や各管路の内圧を大気圧に維持できるようになっている。
【0037】
真空引の作業対象となるホッパ102、汚泥,土砂,廃液,粉粒体等を吸引してホッパ102に導くための吸引管121、サイクロン集塵器105,106、ブロワ110,111、消音装置114,116,118の構造については既に公知である。
つまり、ホッパ102は吸引回収された汚泥,土砂,廃液,粉粒体等を貯溜するためのタンクとして機能するもので、その一端部に開閉可能なハッチ122が設けられ、吸引管121はハッチ122の表裏を貫通するようにして固設されている。
また、サイクロン集塵器105,106は、管路を流れる空気中に残留した比較的比重の小さな回収物を遠心力を利用して分離除去するためのものである。
ブロワ110,111は、特開2003−237906号公報に開示されるように、管路を流れる空気中から粉塵を除去する機能を有するもので、その前段すなわちサイクロン集塵器105,106とブロワ110,111との間に設置が必要とされていた粉塵除去用の湿式集塵槽を不要化し、車両の全備重量を軽減して、ホッパ102に回収できる汚泥,土砂,廃液,粉粒体等の重量を相対的に増加させられる点に特徴を有する。
消音装置114,116は、消音機能の他、管路を流れる空気を内部の貯溜水123,124に接触させることにより此の空気中に最後まで残留した極微粉塵を除去する機能を備える。また、消音装置118は純粋な消音装置である。
【0038】
そして、この実施例では、更に、一方のブロワ110の吸気管路112上に第一の開閉バルブ2が設けられ、ブロワ110の吸気口110aと第一の開閉バルブ2との間の吸気管路112aをブロワ110の排気管路115の一部である消音装置114に接続するための循環管路3が配備され、この循環管路3上に、第二の開閉バルブ4が設けられている。
【0039】
第一の開閉バルブ2と第二の開閉バルブ4は排他的に、つまり、第一の開閉バルブ2が開いた場合には第二の開閉バルブ4が閉じ、また、第一の開閉バルブ2が閉じた場合には第二の開閉バルブ4が開くように、開閉操作手段5によって開閉操作される。
【0040】
この実施例の開閉操作手段5は、センタバイパス形の切換弁6と、第一の開閉バルブ2を開閉するためのシリンダ7と、第二の開閉バルブ4を開閉するためのシリンダ8によって構成され、図1からも明らかなように、切換弁6のスプールを図中下方に押し下げた状態ではシリンダ7,8のピストンロッドが共に縮退して第一の開閉バルブ2が開くと共に第二の開閉バルブ4が閉じ、また、切換弁6のスプールを図中上方に引き上げた状態では、シリンダ7,8のピストンロッドが共に突出して図2に示されるように第一の開閉バルブ2が閉じて第二の開閉バルブ4が開いた状態となる。
【0041】
以上の構成において、土砂等の回収といった重作業を行う場合にあっては、2つのブロワ110,111を並列して機能させる必要があるので、オペレータは切換弁6のスプールを下方に押し下げて図1に示されるような状態とし、シリンダ7,8のピストンロッドを共に縮退させて、第一の開閉バルブ2を開き、かつ、第二の開閉バルブ4を閉じた状態とする。
【0042】
このようにして第一の開閉バルブ2が開かれることにより、一方のブロワ110の吸気口110aが其の吸気管路112を介して吸引管路109に接続した状態となり、同時に、この吸気管路112に接続した循環管路3が第二の開閉バルブ4によって閉じられることにより、一方のブロワ110の吸気口110aと吸引管路109との間の管路の密閉状態が保証される。
また、他方のブロワ111の吸気口111aは其の吸気管路113を介して吸引管路109に定常的に接続されているので、結果的に、車両のエンジンで同期駆動される2つのブロワ110,111の吸気口110a,111aが各々の吸気管路112,113を介して吸引管路109に並列に接続されることになり、2つのブロワ110,111の並列接続による大きな風量を利用した真空引き作業を実現することができる。
【0043】
これに対し、水等の低粘度の流体を吸引回収する軽作業に際しては、1つのブロワのみを機能させれば十分であるので、オペレータは切換弁6のスプールを上方に引き上げて図2に示されるような状態とし、シリンダ7,8のピストンロッドを共に突出させて、第一の開閉バルブ2を閉じ、かつ、第二の開閉バルブ4が開いた状態とする。
【0044】
このようにして第一の開閉バルブ2が閉じられることにより、一方のブロワ110の吸気口110aが吸引管路109から遮断され、他方のブロワ111の吸気口111aのみが其の吸気管路113を介して吸引管路109に接続した状態となるので、他方のブロア111のみによる小さな風量を利用した真空引き作業が実現されることになる。
【0045】
この際、2つのブロワ110,111は車両のエンジンで同期駆動されているので、一方のブロワ110の作動それ自体は継続することになるが、第二の開閉バルブ4が開かれることによって一方のブロワ110の吸気口110aがブロワ110の吸気管路112aと循環管路3を介して排気管路115上の消音装置114に接続した状態となって、ブロワ110で圧送される空気が、ブロワ110の排気口110b,ブロワ側排気管路125,消音装置114,循環管路3,ブロワ110の吸気管路112aおよびブロワ110内部の空気経路を介して循環的に流れることになり、ブロワ110は実質的に無負荷状態で作動することになる。
【0046】
従って、一方のブロワ110の吸気口110aや排気口110bを塞いだままブロワ110を作動させるといった給排気の抑制に起因したブロワ110の過負荷運転による無意味な騒音の発生が未然に防止される共に、ブロワ110を駆動する車両のエンジンに対する負荷の増大や燃費の低下といった弊害が解消される。
【0047】
しかも、一方のブロワ110の作動を選択的に停止させるためのクラッチ等をエンジンの動力取り出し軸や其の動力伝達系路上に設ける必要がないので、機械的な構造の複雑化や装置の製造コストの増大、および、車両の全備重量の増加といった不都合がなく、従来型の車載用真空引き装置、たとえば、図3に示されるような車載用真空引き装置101に対しても、簡単な追加工によって第一,第二の開閉バルブ2,4や循環管路3および開閉操作手段5を実装するだけで、前記と同様の効果を得ることができる。
【0048】
この実施例にあっては、特に、一方のブロワ110で圧送される空気をブロワ110の排気口110b,ブロワ側排気管路125,消音装置114,循環管路3,ブロワ110の吸気管路112aおよびブロワ110内部の空気経路を介して循環させるようにしており、少なくともブロワ110に関しては外部からの大気の取り込みや大気中への空気の放出といった動作が全く行われることがないので、騒音の軽減の面で非常に有利である。
【実施例2】
【0049】
以上の実施例では、一方のブロワ110で圧送される空気をブロワ110の排気口110b,ブロワ側排気管路125,消音装置114,循環管路3,ブロワ110の吸気管路112aおよびブロワ110内部の空気経路を介して内部的に循環させる構成について述べたが、循環管路3に代えて、一方のブロワ110の吸気口110aと第一の開閉バルブ2との間の吸気管路112aを大気に向けて開放する開放管路(図示せず)を配備し、この開放管路上に第二の開閉バルブ4を設けた構成を適用することも可能である。
この開放管路は、たとえば、図1に示される循環管路3を消音装置114と接続する代わりに大気中に開放したものとして構成することができる。
当然、この場合、消音装置114はブロワ側排気管路125と消音装置側排気管路126のみに接続されて密閉された状態とする。
【0050】
このような構成を適用した場合には、軽作業のために切換弁6を操作して第一の開閉バルブ2を閉じて第二の開閉バルブ4を開いた際に、一方のブロワ110が開放管路と吸気管路112aを介して大気を取り込み、ブロワ110の排気口110b,ブロワ側排気管路125,消音装置114,消音装置側排気管路126,消音装置118を介して大気中に空気を放出することになるが、ブロワ110が実質的に無負荷状態で作動する点では前記と同様である。
従って、一方のブロワ110の過負荷運転による無意味な騒音の発生やブロワ110を駆動する車両のエンジンに対する負荷の増大および燃費の低下といった弊害を前記と同様にして解消することができる。
機械的な構造の複雑化や装置の製造コストの増大、および、車両の全備重量の増加といった不都合が生じない点についても前記と同様である。
【0051】
なお、循環管路3を採用した構成において、循環管路3を一方のブロワ110の排気管路115上の上流側の位置に接続した場合、たとえば、図1および図2に示されるように消音装置114に接続した場合には、ブロワ110で圧送される空気の大半が、ブロワ110の排気口110b,ブロワ側排気管路125,消音装置114,循環管路3,ブロワ110の吸気管路112aおよびブロワ110内部の空気経路を介して循環的に流れることになるが、循環管路3を一方のブロワ110の排気管路115上の下流側の位置たとえば消音装置側排気管路126等に接続した場合あっては、ブロワ110で圧送される空気の一部が消音装置118から大気中に放出されたり、あるいは、消音装置側排気管路126の下流側端部で大気が取り込まれ、この大気を含んだ空気が循環管路3およびブロワ110の吸気管路1ソ12aを介してブロワ110の吸気口110aに供給されるといった可能性もある。
しかし、前述した循環管路3を採用した構成の説明と開放管路を採用した構成の説明の関係から明らかなように、循環管路3を一方のブロワ110の排気管路115上に接続する際の位置に相違があっても、実質的な作用・効果の面で実質的な差異が生じることは殆どないので、循環管路3は排気管路115上のどの位置に接続しても特に問題はない。
【実施例3】
【0052】
更に、前述した実施例1からも明らかなように、車両のエンジンで同期駆動される3以上のブロワを備えた車載用真空引き装置においては、真空引きの作業対象に連絡した吸引管路109に対して各ブロワの吸気口から延設された吸気管路の各々を並列に接続し、少なくとも1つ以上のブロワの吸気管路上に実施例1のブロワ110と同様に第一の開閉バルブを設け、第一の開閉バルブを設けた吸気管路を有する各ブロワ毎の吸気口と当該ブロアにおける第一の開閉バルブとの間の吸気管路を当該ブロワ毎の排気口に延設された排気管路に接続する循環管路を、第一の開閉バルブを設けた吸気管路を有する各ブロワ毎に配備して、各循環管路上に第二の開閉バルブを設けると共に、これら第一,第二の開閉バルブを各ブロア毎に排他的に開閉操作する開閉操作手段を設けた構成を適用することができる。
【0053】
このように、3以上のブロワを備えた車載用真空引き装置においては、各ブロワ毎(全てのブロワとは限らない)に設けられた開閉操作手段を操作して各ブロワ毎に設けられた第一の開閉バルブを開いて第二の開閉バルブを閉じることにより、作業の程度に応じて必要とされる数のブロアのみを機能させる一方、他のブロワつまり作業に必要とされないブロワの第一の開閉バルブを閉じて第二の開閉バルブを開くことで此れらのブロワ(作業に必要とされないブロワ)を実質的な無負荷状態で作動させることによって、前記と同様、ブロワの給排気を抑制した過負荷運転による無意味な騒音の発生や当該ブロワを駆動する車両のエンジンに対する負荷の増大および燃費の低下といった弊害を解消できる。機械的な構造の複雑化や装置の製造コストの増大、および、車両の全備重量の増加といった不都合が生じない点についても前記と同様である。
【0054】
なお、ブロワの数がn個(但し、n≧3)の場合、少なくとも、車載用真空引き装置を作動させる以上は、最低1つのブロワを機能させることが前提となるので、必ずしも全てのブロワに対応させて第一,第二の開閉バルブや開閉操作手段を設ける必要はなく、最低1つのブロワ(車載用真空引き装置が起動されたときに定常的に機能するブロワ)に関しては、基本的に、第一,第二の開閉バルブや開閉操作手段は不要である。第一,第二の開閉バルブや開閉操作手段が不要なブロワの周辺構造は図1に示されるブロワ111の周辺構造と同様であり、また、第一,第二の開閉バルブや開閉操作手段を備えたブロワの周辺構造に関しては図1に示されるブロワ110の周辺構造(第一の開閉バルブ2,第二の開閉バルブ4,循環管路3,開閉操作手段5を含む)と同様である。
【0055】
但し、このことはn−1(但し、n≧3)個のブロワの全てに第一,第二の開閉バルブや開閉操作手段を設ける必要があることを意味しない。つまり、第一,第二の開閉バルブや開閉操作手段は、最も軽い作業の実施に際して不要となるブロワの個数に合わせて各ブロワ毎に設ければよい。
例えば、5個のブロワを併設し、最も軽い作業の実施に際して2つのブロワが必要とされるのであれば、これら2つのブロワが、車載用真空引き装置が起動されたときに定常的に機能するブロワとなるので、残り3個のブロワの各々に第一,第二の開閉バルブや開閉操作手段を設ければよく、必ず作動する前提の2つのブロワには第一,第二の開閉バルブや開閉操作手段は不要である。
【0056】
但し、重量の問題に支障がなければ、n(但し、n≧3)個のブロワの全てに第一,第二の開閉バルブや開閉操作手段を設けても構わない。
このような構成を適用した場合、最も軽い作業の実施に際して必要とされるブロワに損傷が生じたような場合に、この損傷が生じたブロワに代替して、通常は最も軽い作業では使用しないブロワを転用できるといったメリットが生じる。
例えば、全体として5個のブロワを備え、重作業,軽作業,最も軽い作業の各実施に際して5個,3個,1個のブロアが必要であるとした場合、定常的に機能するブロワつまり最も軽い作業に際して必ず利用されるブロワに第一,第二の開閉バルブや開閉操作手段が設けられていないとすれば、このブロワに損傷が生じた時点で最も軽い作業に適した吸引力の選択が難しくなる。
無論、損傷したブロワを無視して他の1つのブロワに設けられた第一の開閉バルブを開いて第二の開閉バルブを閉じることにより、他の1つのブロワを使用することは可能だが、そうした場合であっても、ブロワの損傷が羽根の損傷のように重大なものであった場合、損傷が生じたブロワ内部の空気経路を逆行して外気が吸い込まれ、代替して選択されたブロワが適切に機能していても、外気の吸い込みのために真空引きの作業対象に連絡した吸引管路に作用する吸引力が低下し、最も軽い作業に適した吸引力が得られなくなるといった不都合が生じる。
n(但し、n≧3)個のブロワの全てに第一,第二の開閉バルブや開閉操作手段を設けた構成を適用した場合にあっては、損傷が生じたブロワの第二の開閉バルブを開くことで損傷が生じたブロワに作用する負荷を実質的に無負荷にすることができ、特に、損傷が生じたブロワの第一の開閉バルブを閉じることによって損傷が生じたブロワの吸気管路が吸引管路から遮断されるので、仮に、ブロワの羽根に損傷が生じたような場合であっても、当該ブロワ内部の空気経路を逆行して外気が吸い込まれる等の理由で吸引力が低下するといったことはなく、損傷が生じたブロワに代替して機能する他のブロワによって、最も軽い作業に見合った適切な吸引力を真空引きの作業対象に連絡した吸引管路に作用させることができる。
【実施例4】
【0057】
車両のエンジンで同期駆動される3以上のブロワを備えた車載用真空引き装置においても、前述した実施例2の場合と同様、循環管路に代えて、ブロワの吸気口と第一の開閉バルブとの間の吸気管路を大気に向けて開放する開放管路を配備し、この開放管路上に第二の開閉バルブを設けた構成を適用することができる。
【0058】
以上、何れの実施例においても複数のブロワの吸引力は必ずしも同じものでなくともよい。特に、3以上のブロアを併設する場合にあっては、個々のブロワの吸引力の強弱を異なるものとすることで、実際に機能させるブロワの数や組み合わせを変えることにより、ブロワの個数を超えた数の吸引力のバリエーションを展開することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の車載用真空引き装置は、汚泥,土砂,廃液,粉粒体等を吸引回収する万能吸引車を始め、車両のエンジンで同期駆動される複数のブロワを備えた各種の車載用真空引き装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 車載用真空引き装置
2 第一の開閉バルブ
3 循環管路
4 第二の開閉バルブ
5 開閉操作手段
6 切換弁
7 シリンダ
8 シリンダ
101 車載用真空引き装置(従来例)
102 ホッパ(真空引の作業対象)
103,104 管路
105,106 サイクロン集塵器
107,108 管路
109 吸引管路
110 ブロワ
110a 吸気口
110b 排気口
111 ブロワ
111a 吸気口
111b 排気口
112 吸気管路
112a 一方のブロワの吸気口と第一の開閉バルブとの間の吸気管路
113 吸気管路
114 消音装置
115 排気管路
116 消音装置
117 排気管路
118 消音装置
119 開放管路
120 開閉バルブ
121 吸引管
122 ハッチ
123,124 貯溜水
125 ブロワ側排気管路
126 消音装置側排気管路
127 ブロワ側排気管路
128 消音装置側排気管路
201 ブロワ構造(従来例)
202,203 ルーツブロワ
204〜215 管路
216 リリーフバルブ
217 排気バルブ
218 バイパスバルブ
219 吸気バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンで同期駆動される2つのブロワを備えた車載用真空引き装置において、
真空引きの作業対象に連絡した吸引管路に対して各ブロワの吸気口から延設された吸気管路の各々を並列に接続し、
一方のブロワの吸気管路上に第一の開閉バルブを設け、前記一方のブロワの吸気口と前記第一の開閉バルブとの間の吸気管路を前記一方のブロワの排気口に延設された排気管路に接続する循環管路を配備して、該循環管路上に第二の開閉バルブを設けると共に、
前記第一,第二の開閉バルブを排他的に開閉操作する開閉操作手段を設けたことを特徴とする車載用真空引き装置。
【請求項2】
車両のエンジンで同期駆動される複数のブロワを備えた車載用真空引き装置において、
真空引きの作業対象に連絡した吸引管路に対して各ブロワの吸気口から延設された吸気管路の各々を並列に接続し、
少なくとも1つ以上のブロワの吸気管路上に第一の開閉バルブを設け、第一の開閉バルブを設けた吸気管路を有する各ブロワ毎の吸気口と当該ブロアにおける第一の開閉バルブとの間の吸気管路を当該ブロワ毎の排気口に延設された排気管路に接続する循環管路を、第一の開閉バルブを設けた吸気管路を有する各ブロワ毎に配備して、各循環管路上に第二の開閉バルブを設けると共に、
前記第一,第二の開閉バルブを各ブロア毎に排他的に開閉操作する開閉操作手段を設けたことを特徴とする車載用真空引き装置。
【請求項3】
前記循環管路に代えて、第一の開閉バルブを設けた吸気管路を有するブロワの吸気口と当該第一の開閉バルブとの間の吸気管路を大気に向けて開放する開放管路を配備して、この開放管路上に前記第二の開閉バルブを設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の車載用真空引き装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−91882(P2012−91882A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238306(P2010−238306)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000140719)株式会社加藤製作所 (29)
【Fターム(参考)】