説明

車載用電子機器及びプログラム

【課題】安価なカメラであっても、比較的確実に車間距離に基づく制御を行うことのできる車載用電子機器を提供する。
【解決手段】 ナンバープレートは、装着する車両の種別(大型/中型/小型)により、縦横比及びサイズが異なる。ナンバープレートを撮影した場合、同じサイズのナンバープレートであれば、ナンバープレートまでの距離が近いほど、大きく映る。そこで制御部は、車外撮影カメラから受け取った映像データから、その映像データ中に、ナンバープレートが存在する場合には、当該ナンバープレートのサイズ及び縦横比を求め、その縦横比とサイズに対応する自車両からそのナンバープレートを有する車両までの距離との関係をデータベースから読み出し、これに基づいて自車両からそのナンバープレートを有する車両までの車間距離を求め、その車間距離を車間距離表示部に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車間距離に基づく制御を行う車載用電子機器等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ナンバープレートを撮影して認識する画像撮影カメラでナンバープレートの文字の大きさを認識してその文字の大きさに基づいて車間距離を導出する車間距離検出装置が開示されている。この文献の中では、ナンバープレートの横方向の大きさを加味して車間距離を導出することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−271250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ナンバープレートの文字を認識するためには、高解像度のカメラが必要であり、また文字認識のための処理装置は高価であるという問題がある。また、文字認識を確実に行うのは困難であるという課題がある。また、ナンバープレートの横方向の大きさに基づくだけでは、確実な距離を算出することが困難であるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、係る問題を解決するためになされたもので、安価なカメラであっても、比較的確実に車間距離に基づく制御を行うことのできる車載用電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明に係る車載用電子機器は、(1)自車両前方を撮影する撮影手段と、前記撮影手段によって撮影された映像中のナンバープレートのサイズと、前記自車両から当該ナンバープレートを有する車両までの距離との関係を、前記ナンバープレートの縦横比ごとに記憶する記憶手段と、前記撮影手段によって撮影された自車両前方の映像中に、ナンバープレートが存在する場合には、当該ナンバープレートのサイズ及び縦横比を求め、当該縦横比とサイズに対応する前記自車両から当該ナンバープレートを有する車両までの距離を求め、当該距離に基づく制御を行う制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
ナンバープレートは、異なる縦横比のものが複数存在する。そして、その縦横比が異なるナンバープレートは、サイズも相違し、縦横比が同じナンバープレートは、サイズも同じである。そして、撮影して画像データに取り込んだナンバープレートの大きさは、ナンバープレートまでの距離により相対的な差が生じる(近いほど大きくなる)。そこで、ナンバープレートの縦横比に基づいてサイズを特定することができ、サイズごとに記憶した自車両から当該ナンバープレートを有する車両までの距離の関係に基づいて、自車両から当該ナンバープレートを有する車両までの距離を求めて、その距離に基づく制御を行う。
【0008】
このようにすれば、ナンバープレート上の文字の大きさを認識することなく、比較的確実に自車両から当該ナンバープレートを有する車両までの距離を求めて、その距離に基づく制御を行うことができる。異なる縦横比・サイズのナンバープレートは、車両の種別により振り分けられているので、ナンバープレートの縦横比に基づいて車両の種別を特定することもできる。
【0009】
(2)前記記憶手段は、ナンバープレートのサイズと前記自車両から当該ナンバープレートを有する車両までの距離との関係は、複数の距離別に記憶しており、前記制御手段は、前記撮影手段によって撮影された自車両前方の映像中のナンバープレートのサイズと、前記記憶手段に記憶されたナンバープレートのサイズを比較して、前記距離を算出する構成とするとよい。
【0010】
このようにすれば、より確実な距離を算出することができる。例えば、レンズ等の光学系や撮像素子の特性等により、距離によってサイズにばらつきがおきる場合であっても、複数の距離別に記憶し、これらと比較して距離を算出することで、距離の誤差を小さくすることが可能となる。
【0011】
(3) 前記記憶手段に記憶する前記ナンバープレートの縦横比は、大型、中型、小型の3種類を含むとよい。
【0012】
(4) 前記記憶手段は、複数の取付位置ごとに、前記撮影手段によって撮影された映像中のナンバープレートのサイズと、前記自車両から当該ナンバープレートを有する車両までの距離との関係を、前記ナンバープレートの縦横比ごとに記憶し、前記制御手段は、前記撮像手段の取付位置を設定する設定手段を備え、前記設定手段に設定された取付位置の前記記憶手段に記憶された前記関係に基づいて前記距離を求める構成とするとよい。
このようにすれば、設置位置による距離の誤差を小さくすることができ、より確実な制御を行うことができる。
【0013】
(5)前記制御手段は、前記撮像手段の取付位置を設定する設定手段を備え、前記距離を、前記撮像手段の取付位置ごとに記憶した前記距離の補正量を加味して、補正する構成としてもよい。
このようにすれば、設置位置による距離の誤差を小さくすることができ、より確実な制御を行うことができる。
【0014】
(6)(4)または(5)の構成を前提に、前記取付位置は、車両先端付近と車内先端付近とを含む構成とするとよい。このようにすれば、車両先端付近と車内先端付近での距離の誤差を小さくすることができ、より確実な制御を行うことができる。
【0015】
(7)報知手段を備え、前記制御手段は、前記距離が予め設定した距離以下になった場合、前記報知手段から報知を行う制御をする構成とするとよい。例えば、制御手段は、前記距離が予め設定した距離以下になった場合、前記報知手段から警報を音や光で報知するようにするとよい。
【0016】
このようにすれば、例えば、ドライバーは前方車両との車間距離が設定した距離以下になったことを知ることができ、追突等を避けたり、車間距離不保持による検挙や事故を予め避けたりすることができる。
【0017】
(8)前記制御手段は、求めたナンバープレートの縦横比に応じて前記距離に基づく制御の内容を異なるものとする構成とするとよい。このようにすれば、例えば大型車、中型車、小型車などナンバープレートの縦横比が異なる車両ごとに異なる制御を行うことができる。
【0018】
(9)なお、(1)〜(8)のいずれかに記載の車載用電子機器の機能は、コンピュータに実現させるためのプログラムとして実現できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、注意を要する車両への接近時に、注意を喚起する報知を行なうことが可能な車載用電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の好適な一実施形態であるレーダー探知機の構成を示す図である。
【図2】レーダー探知機のブロック図である。
【図3】待ち受け画面・レーダースコープ・GPS警報の表示例を示す図である。
【図4】レーダー波警報の表示例を示す図である。
【図5】ナンバープレートのサイズと縦横比を示す図である。
【図6】カメラの取付位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1,図2は、本発明の車載用電子機器として好適な一実施形態であるレーダー探知機の構成を示している。本レーダー探知機は通常ダッシュボード上に取り付けられる。本レーダー探知機は、図1に示すように、ケース本体1の上面にソーラーパネル2並びにスイッチ部3を配置し、ケース本体1の前面側(車両前方へ配置される側(フロントガラス側))に車両の前方へ赤外線を照射するための赤外線プロジェクタ21と車両の前方を撮影するための車外撮影カメラ23とを備え、前面側の内部に速度測定装置の発する周波数帯のマイクロ波を検知するマイクロ波受信器4を配置する。一方、ケース本体1の後面側(車両後方へ配置される側(ユーザ側(ドライバー側))には、表示部5と警報ランプ6と赤外線通信機7とリモコン受信器16を配置している。また、ケース本体1の上面側内部には、GPS受信器8を配置する。さらに、ケース本体1の一方の側面には、アダプタージャック9を配置し、他方の側面には電源スイッチ10並びに図示省略するDCジャックを配置する。また、ケース本体1内には、スピーカ20も内蔵している。本実施形態では、表示部5は2.4インチの小型液晶ディスプレイであり、ケース本体1の後面側(車両後方へ配置される側(ユーザ側(ドライバー側))を表示面としている。表示部5を実装するケース本体1の後方側の高さHは、その他の部位の高さH0よりも大きくしている。
【0022】
ケース本体1の底面中央部には下方へ立設する支柱31を設けている。支柱31の下端は、ボール構造となっており、台座33の支柱受け部33aの上面に有するボール受け構造と嵌めあい、ボールジョイント構造を構成している。このボールジョイント構造は、ボール構造の外径とボール受け構造の内径を、略一致ないしボール受け構造の内径をボール構造の外形より若干小さくすることで、ボール受け構造がボール構造を締め付けるように構成されており、両者の状態が所望の位置で、固定される構造となっている。そして、台座33は、支柱受け部33aと一体形成される板状の固定部33bを備える。固定部33bの底面は、ダッシュボード上に、両面テープやゲル材等でできた粘着マット等で固定される。車外撮影カメラ23は、固定部33によって、本レーダー探知機が車両のダッシュボードに固定された際に、他車両のナンバープレートを撮像可能な方向及び位置に配置している。一方、表示部5の表示面は、固定部33によって本レーダー探知機が車両のダッシュボードに固定された際に、自車両の運転者が表示の内容を認識可能なように配置している。本実施例では、表示部5をドライバー側に配置し、車外撮影カメラ23を前面側に配置するとともに、表示部5の表示面の法線ベクトルと、車外撮影カメラ23の撮影方向のベクトル(CCDカメラの撮像面の法線ベクトル)とが、逆方向を向くように配置している。このように構成したことで、自車両の運転者が報知の内容を認識可能な位置に表示部5の表示面を向けて固定部33を両面テープやゲル材等でできた粘着マット等で固定すれば、車外撮影カメラ23は車両前方の他車両のナンバープレートを撮像可能な方向を向くこととなる。したがって、本レーダー探知機の固定時には撮像部の方向を意識することなく、容易に設置することができるとともに、確実にナンバープレートのサイズや縦横比を取得できるようになる。
【0023】
図2に示すように、赤外線通信機7は携帯電話機12等の赤外線通信機を内蔵した通信装置との間でデータの送受を行なう。アダプタージャック9は、メモリカードリーダ13を接続する端子である。アダプタージャック9にメモリカードリーダ13を接続することで、そのメモリカードリーダ13に装着されたメモリカード14に格納されたデータを内部に取り込んだり、データベース19や制御部18のメモリの内容をメモリカード14に書き込んだりすることができる。より具体的には、メモリカード14に格納されたデータに、新規な目標物の情報(経度・緯度を含む位置情報,種別情報等)などの更新情報がある場合、その更新情報を制御部18が装置に内蔵されるデータベース19に格納(ダウンロード)し、データベース19のデータを更新する。なお、メモリカードリーダ13の機能は、本体ケース1内に内蔵するように構成してもよい。
【0024】
データベース19は、制御部18のマイコン内あるいはマイコンに外付けした不揮発性メモリ(たとえばEEPROM)である。データベース19には、出荷時に一定の目標物に関する情報と、車両のナンバープレートのサイズと自車両からそのナンバープレートを有する車両までの距離との関係をナンバープレートの縦横比ごとに記憶しており、その後に追加・変更されたデータ等が上記のようにしてデータ更新することができる。また、データ更新は、赤外線通信機7を介して行なうこともできる。
【0025】
DCジャックは、図示省略のシガープラグコードを接続するためのもので、そのシガープラグコードを介して車両のシガーソケットに接続して電源供給を受け得るようにする。無線受信器15は、飛来する所定周波数の無線を受信する。リモコン受信器16は、赤外線によりリモコン(携帯機:子機)17とデータ通信をし、装置に対する各種の設定を行なう。また、スイッチ部3も制御部18に接続され(図示省略)、リモコン17と同様の設定を行えるようになっている。リモコン17には、再生ボタン、待受切替ボタン、設定ボタン、選択ボタン、キャンセルボタン、決定ボタンと、上下左右の十字ボタンを備えている。
【0026】
また、制御部18は、CPU,ROM,RAM,不揮発性メモリ、I/O等を備えるマイコンであり、上記の各種の入力機器から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器を利用して所定の警報・メッセージや情報を出力する。なお、これらの基本構成は、基本的に従来のものと同様のものを用いることができる。
【0027】
本実施形態のレーダー探知機における機能は、制御部18に有するコンピュータが実行するプログラムとして制御部18のEEPROM上に格納され、これを制御部18に有するコンピュータが実行することで実現される。
【0028】
制御部18の有するプログラムによってコンピュータが実現する機能としては、GPSログ機能、映像表示機能、映像記録機能、映像再生機能、待ち受け画面表示機能、レーダースコープ表示機能、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能などがある。
【0029】
GPSログ機能は、制御部18が1秒ごとにGPS受信器8によって検出された現在位置をその検出した時刻および速度(車速)と関連づけて位置履歴として不揮発性メモリに記憶する機能である。この位置履歴は例えばNMEA形式で記録する機能である。
【0030】
映像表示機能は、制御部18が、リモコン17に設けた映像表示ボタンの押下を検出した場合に、車外撮影カメラ23から受け取った映像データを表示部5に表示させる機能である。映像記録機能は、制御部18が、リモコン17に設けた映像表示ボタンの押下を検出した場合に、車外撮影カメラ23から受け取った映像データを制御部18のマイコンに外付けした不揮発性メモリに圧縮して記録する機能である。映像再生機能は、制御部18が、リモコン17に設けた映像表示ボタンの押下を検出した場合に、マイコンに外付けした不揮発性メモリに圧縮して記録した映像データを伸張し、表示部5に表示する機能である。
【0031】
車外撮影カメラ23は、可視光線及び赤外線の帯域での撮影が可能なCCDカメラであり、制御部18のマイコンに備えるUSBポートに内部接続されている。車外撮影カメラ23は、CCDカメラで撮影した映像をA/D変換して映像データとして制御部18へ送る機能を備える。この機能は、いわゆるUSBカメラと同様の構成である。制御部18は、前方車両のナンバープレートの大きさの検出のために必要な照度が不足するか否かをCCDカメラで撮影した映像の映像データの明さから判定し、照度が不足する場合には、赤外線プロジェクタ21をオンにし、車両の前方へ赤外線を照射する。
待ち受け画面表示機能は、図3(a)に示すように、GPS受信器8によって検出した自車両と前方車両までの距離、緯度、経度、高度を表示部5に表示する機能である。
【0032】
レーダースコープ表示機能は、図3(b)に示すように、GPS受信器8によって検出した現在位置から所定の範囲内(例えば約1kmの範囲内)にある目標物をデータベース19に記憶された位置情報に基づいて検索し、自車位置と目標物の位置との相対的な位置関係を表示部5に表示させる機能である。図3(b)中の左側の「W」が西、右側の「E」が東、上側の「N」が北の方角を示し、「W」と「E」を結ぶ左右方向の線と「N」から下へ伸びる上下方向の線との交点にあるアイコンが自車位置を示している。また「L」「RD」「P」「N」等の文字を有するアイコンが目標物の種類と位置を示す。
【0033】
図3(a)に示すような待ち受け画面表示機能実行中にリモコン17に設けた待受切替ボタンの押下が検出された場合、図3(b)に示すようなレーダースコープ表示機能に切り替える。また、レーダースコープ表示機能実行中にリモコン17に設けた待受切替ボタンの押下が検出された場合、映像表示機能に切り替える。また、映像表示機能の実行中にリモコン17に設けた待受切替ボタンの押下が検出された場合、待ち受け画面表示機能に切り替える処理を行う。
【0034】
制御部18は、映像表示機能、待ち受け画面表示機能またはレーダースコープ表示機能(以下これらの機能を総称して待受機能と称する)の実行中に、発生したイベントに応じて、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能等の各機能を実現する処理を実行する。各機能の優先度は、高いほうから、レーダー波警報機能、無線警報機能、GPS警報機能の順に設定している。
【0035】
GPS警報機能は、制御部18に有するタイマーからのイベントにより所定時間間隔(1秒間隔)で実行される処理であり、データベース19に記憶された目標物の緯度経度とGPS受信器8によって検出した現在位置の緯度経度から両者の距離を求め、求めた距離が所定の接近距離(例えば500m以内)になった場合に、表示部5にその旨を表示し、スピーカ20からその旨を示す接近警告の音声を出力する処理である。
【0036】
こうした目標物としては、居眠り運転事故地点、レーダー、制限速度切替りポイント、取締エリア、検問エリア、駐禁監視エリア、Nシステム、交通監視システム、交差点監視ポイント、信号無視抑止システム、警察署、事故多発エリア、車上狙い多発エリア、急/連続カーブ(高速道)、分岐/合流ポイント(高速道)、ETCレーン事前案内(高速道)、サービスエリア(高速道)、パーキングエリア(高速道)、ハイウェイオアシス(高速道)、スマートインターチェンジ(高速道)、PA/SA内 ガソリンスタンド(高速道)、トンネル(高速道)、ハイウェイラジオ受信エリア(高速道)、県境告知、道の駅、ビューポイントパーキング等があり、これらの目標物の種別情報とその位置を示す緯度経度情報と表示部5に表示する模式図または写真のデータと音声データとを対応付けてデータベース19に記憶している。
【0037】
レーダー波警報機能は、マイクロ波受信器4によって速度測定装置(移動式レーダー等(以下、単に「レーダー」と称する))から発せられる周波数帯のマイクロ波に対応する信号が検出された場合に、表示部5に対して警報画面を表示するとともに、スピーカ20から警報音を出力する警報機能である。例えば、レーダーの発するマイクロ波の周波数帯のマイクロ波がマイクロ波受信器4によって検出された場合に、図4に示すように、データベース19に記憶されたレーダーの模式図または写真を表示部5に警報画面として表示するとともに、データベース19に記憶された音声データを読み出して「レーダーです。スピード注意」という音声をスピーカ20から出力する。音声出力中は、警報ランプ6を点燈させる。
【0038】
無線警報機能は、無線受信器15によって、緊急車両等の発する無線電波を受信した場合に、その走行等の妨げとならないよう、警報を発する機能である。無線警報機能においては、取締無線、カーロケ無線、デジタル無線、特小無線、署活系無線、警察電話、警察活動無線、レッカー無線、ヘリテレ無線、消防ヘリテレ無線、消防無線、救急無線、高速道路無線、警備無線等の周波数をスキャンし、スキャンした周波数で、無線を受信した場合には、データベース19に無線種別ごとに記憶されたその周波数に対応する無線を受信した旨の模式図を警報画面として表示部5に表示するとともに、データベース19に無線種別ごとに記憶された音声データを読み出して、スピーカ20からその無線の種別を示す警報音声を出力する。たとえば、取締無線を受信した場合には「取締無線です。スピード注意」のように音声を出力する。音声出力中は、警報ランプ6を点燈させる。
【0039】
待ち受け画面表示機能及びレーダースコープ表示機能における表示画面内には、図3(a)及び図3(b)に示すように、車間距離表示部51を設けており、所定の時間間隔(例えば1秒間隔)で車間距離の値を更新して表示する。この機能を車間距離表示機能と称する。
【0040】
車間距離表示機能は、制御部18が、車外撮影カメラ23から受け取った映像データから、その映像データ中に、ナンバープレートが存在する場合には、当該ナンバープレートのサイズ及び縦横比を求め、その縦横比とサイズに対応する自車両からそのナンバープレートを有する車両までの距離との関係をデータベース19から読み出し、これに基づいて自車両からそのナンバープレートを有する車両までの距離を求め、その距離を車間距離表示部51に表示する機能である。
【0041】
ナンバープレートの大きさ(サイズ)は、一部特殊車両(自衛隊等)を除き図5の大きさに規定されている。図5に示すように、大型番号標が縦220mm×横440mmで縦横比(横/縦)は2、中型番号標は縦165mm×横320mm で縦横比(横/縦)は1.94、小型番号標は縦125mm×横230mm で縦横比(横/縦)は1.84である。
【0042】
そして、前述のように、データベース19には、車両のナンバープレートのサイズと自車両からそのナンバープレートを有する車両までの距離との関係をナンバープレートの縦横比ごとに記憶しているが、距離によりナンバープレートの相対的な大きさに差がある事から、車両先端に車外撮影カメラ23と同等のカメラを取り付けて得た画像データより、距離L1、L2、・・、Ln時のナンバープレートの相対的な大きさ(画像データ中の縦横のドット数)をデータベース19に記憶させている。例えば、車間距離が1m〜100mまで1m間隔で、L1〜L100のナンバープレートの相対的な大きさを記憶させる。
【0043】
このデータベース19に記憶した相対的な大きさと、車外撮影カメラ23から取得した前方を走行する車のナンバープレートの相対的大きさとを比較して車間距離Lを求める。
【0044】
ナンバープレートには、車輌(大型・中型・小型)の違いにより、図5に示した様にナンバープレートの大きさに差がある。従って、データベース19には、車輌タイプ毎にこれらのデータを記憶している。制御部18は、画像データよりナンバープレートの縦横比(横/縦)から車輌を特定し、それにあったデータをデータベース19から読み出して、車間距離Lを求める。なお、本実施例のように、車外撮影カメラ23が車内取付けの場合は、車内先端部から車外先端部までの標準的な距離L0を、車間距離Lから減算して補正する、補正機能を設けている。そして補正機能によって補正された車間距離(L−L0)を車間距離表示部51に表示する。L0は例えば1mとする。例えば、車外撮影カメラ23から取得した前方を走行する車のナンバープレートの相対的大きさとデータベース19に記憶した相対的な大きさとを比較して求めた車間距離が図6におけるL3に相当する車間距離である場合、補正機能によって補正された車間距離はL3−L0となり、この補正された車間距離を車間距離表示部51に表示する。
【0045】
このように構成することで、ナンバープレート上の文字の大きさを認識することなく、安価なカメラでも比較的確実に自車両から当該ナンバープレートを有する車両までの距離を求めて、その距離を表示させることができる。
【0046】
また、データベース19は、ナンバープレートのサイズと自車両からそのナンバープレートを有する車両までの距離との関係を、複数の距離別に記憶しており、制御部18は、車外撮影カメラ23によって撮影された自車両前方の映像中のナンバープレートのサイズと、データベース19に記憶されたナンバープレートのサイズを比較して、車間距離を算出する構成にしているので、確実な距離を算出することができる。例えば、車外撮影カメラ23のレンズ等の光学系や撮像素子の特性等により、距離によってサイズにばらつきがおきる場合であっても、L1〜Lnの複数の距離別に記憶し、これらと比較して距離を算出しているため、距離の誤差を小さくすることが可能となる。
【0047】
本実施例では、車外撮影カメラ23は、レーダー探知機内に内蔵することとしたが、レーダー探知機内に内蔵せず、ケーブル等によって接続する外付けの構成としてもよい。外付けの構成とした場合には、データベース19には、複数の取付位置ごとに、車外撮影カメラ23によって撮影された映像中のナンバープレートのサイズと、自車両からナンバープレートを有する車両までの距離との関係を、ナンバープレートの縦横比ごとに記憶しておき、制御部18は、リモコン17の設定ボタンの押下を検出した場合に、この複数の取り付け位置を表示部5に一覧表示し、リモコン17の上下ボタン・確定ボタン等の押下を検出して一覧表示の中から実際の車外撮影カメラ23の取付位置を選択して設定(データベース19に記憶)する設定機能を備えるとよい。そして制御部18は、車間距離表示部51に表示する距離を求める際に、この設定機能によって設定された取付位置のデータベース19に記憶された車外撮影カメラ23によって撮影された映像中のナンバープレートのサイズと、自車両からナンバープレートを有する車両までの距離との関係に基づいて距離を求める構成としてもよいこのようにすれば、設置位置による距離の誤差を小さくすることができ、より確実な制御を行うことができる。
【0048】
また、データベース19には、複数の取付位置ごとに、車外撮影カメラ23によって撮影された映像中のナンバープレートのサイズと、自車両からナンバープレートを有する車両までの距離との関係を、ナンバープレートの縦横比ごとに記憶するのではなく、制御部18は、車間距離表示部51に表示する車間距離を、車外撮影カメラ23の取付位置ごとにデータベース19に記憶した車間距離の補正量を加味して、補正する構成としてもよい。
【0049】
また、データベース19には、複数の取付位置ごとに、車外撮影カメラ23によって撮影された映像中のナンバープレートのサイズと、自車両からナンバープレートを有する車両までの距離との関係を、ナンバープレートの縦横比ごとに記憶するとともに、制御部18は、車間距離表示部51に表示する車間距離を、車外撮影カメラ23の取付位置ごとにデータベース19に記憶した車間距離の補正量も加味して、補正する構成としてもよい。
【0050】
このようにすれば、設置位置による距離の誤差を小さくすることができ、より確実な制御を行うことができる。この取付位置は、車両先端付近と車内先端付近とを含む構成とするとよい。このようにすれば、車両先端付近と車内先端付近での距離の誤差を小さくすることができ、より確実な制御を行うことができる。
【0051】
本実施例では距離に基づく制御として前方車両との車間距離の値を表示することとしたが、制御部18は、求めた車間距離が予め設定した距離(例えば30m)以下になった場合、表示部5に「車間距離に注意!」といった表示を行うなど、警報を報知するようにしてもよい。また制御部18は、この表示とともに、アラーム音や音声による警報をスピーカ20から出力する制御を行うとよい。このようにすれば、ドライバーは前方車両との車間距離が設定した距離以下になったことを知ることができ、追突等を避けたり、車間距離不保持による検挙や事故を予め避けたりすることができる。
【0052】
また、制御部18は、求めたナンバープレートの縦横比に応じて制御の内容を異なるものとしてもよい。例えば大型番号標の縦横比が検出された場合には、前述した「車間距離に注意!」という表示に替えて「前方の大型車に注意!」という表示を行うようにしてもよい。また、例えば大型車は接近しすぎると、前方の信号などが大型車の影になって見えなくなることがあり、中型車や小型車よりも車間距離を大きくとる必要があるので、大型番号標の縦横比が検出された場合には、例えば、求めた車間距離が20m以下になった場合に「車間距離に注意!」といった表示を表示部5に行う一方、中型番号標や小型番号標の縦横比が検出された場合には、求めた車間距離が10m以下になった場合に「車間距離に注意!」といった表示を表示部5に行うようにしてもよい。
【0053】
また、本実施例では、レーダー探知機の例で説明したが、各種の車載用電子機器の機能として実施することができる。たとえば、ナビゲーション装置や、ドライブレコーダ、カーオーディオの機能として組み込んでもよい。また本実施例で記載した数値の値は、実験等を行って適宜、効果を奏する値に変更してもよい。また本実施例で記載した機能は、適宜組み合わせて構成することができる。
【0054】
例えば、ドライブレコーダとして実現する場合、車外撮影カメラ23に相当するカメラは車内先端付近であるフロントガラス上部に取り付けるようにするとよい。また、カメラは、車内先端付近である、バックミラー内にユニットを収めたり、バックミラーの裏に取り付けたりしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 ケース本体
2 ソーラーパネル
4 マイクロ波受信器
5 表示部
6 ランプ
7 赤外線通信機
8 GPS受信器
9 アダプタージャック
10 電源スイッチ
11 携帯電話機
12 メモリカードリーダ
14 メモリカード
15 無線受信器
16 リモコン受信器
17 リモコン
18 制御部
19 データベース
20 スピーカ
21 赤外線プロジェクタ
23 車外撮影カメラ
51 車間距離表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両前方を撮影する撮影手段と、
ナンバープレートのサイズと自車両から当該ナンバープレートを有する車両までの距離との関係を、前記ナンバープレートの縦横比と関連づけて記憶する記憶手段と、
前記撮影手段によって撮影された自車両前方の映像中に、ナンバープレートが存在する場合に、当該ナンバープレートの縦横比及びサイズに対応する前記自車両から当該ナンバープレートを有する車両までの距離との関係を前記記憶手段から読み出し、これに基づいて自車両から当該ナンバープレートを有する車両までの距離を求め、当該距離に基づく制御を行う制御手段と
を備えることを特徴とする車載用電子機器。
【請求項2】
前記記憶手段は、ナンバープレートのサイズと前記自車両から当該ナンバープレートを有する車両までの距離との関係は、複数の距離別に記憶しており、
前記制御手段は、前記撮影手段によって撮影された自車両前方の映像中のナンバープレートのサイズと、前記記憶手段に記憶されたナンバープレートのサイズを比較して、前記距離を算出すること
を特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器。
【請求項3】
前記記憶手段に記憶する前記ナンバープレートの縦横比は、大型、中型、小型の3種類を含むこと
を特徴とする請求項1または2に記載の車載用電子機器。
【請求項4】
前記記憶手段は、複数の取付位置ごとに、前記撮影手段によって撮影された映像中のナンバープレートのサイズと、前記自車両から当該ナンバープレートを有する車両までの距離との関係を、前記ナンバープレートの縦横比ごとに記憶し、
前記制御手段は、前記撮像手段の取付位置を設定する設定手段を備え、前記設定手段に設定された取付位置の前記記憶手段に記憶された前記関係に基づいて前記距離を求めること
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項5】
前記制御手段は、前記撮像手段の取付位置を設定する設定手段を備え、前記距離を、前記撮像手段の取付位置ごとに記憶した前記距離の補正量を加味して、補正すること
を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項6】
前記取付位置は、車両先端付近と車内先端付近とを含むこと
を特徴とする請求項4または5に記載の車載用電子機器。
【請求項7】
報知手段を備え、
前記制御手段は、前記距離が予め設定した距離以下になった場合、前記報知手段から報知を行う制御をすること
を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項8】
前記制御手段は、求めたナンバープレートの縦横比に応じて前記距離に基づく制御の内容を異なるものとすること
を特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の車載用電子機器としての機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−150417(P2011−150417A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9206(P2010−9206)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】