説明

車輌用灯具の製造方法及び車輌用灯具の製造装置。

【課題】 押さえ治具を使用することによりレンズの溶着部とハウジングの溶着部とを確実に接触させると共に、レンズとハウジングとの接合部におけるレーザー光照射時の照射エネルギーがほぼ一定になるようにする。
【解決手段】 前面が開口したハウジング2に上記前面開口を覆うようにレンズ3をレーザー溶着により固定する車輌用灯具の製造方法において、レンズの溶着部とハウジングの溶着部とが当接された箇所にレーザー光18を照射する際に、少なくともその一部において押さえ治具11のレーザー透過部16及びレンズのレーザー透過部を透過してレーザー光が照射され、上記押さえ治具のレーザー透過部及びレンズのレーザー透過部を透過してレーザー光が照射される部分の連続する区画において、上記押さえ治具のレーザー透過部の肉厚とレンズのレーザー透過部の肉厚との和がレーザー光走査方向においてほぼ一定である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な車輌用灯具の製造方法及び車輌用灯具の製造装置に関する。詳しくは、外観が良好であると共に、レンズとハウジングの間の結合を確実にする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌用灯具、例えば、自動車用灯具の製造において、ハウジングにその前面開口を覆うようにレンズを取り付ける工程が必要である。
【0003】
従来にあっては、レンズとハウジングとの間の取付には、レンズの周縁部にシール脚を突設し、ハウジングには上記シール脚を受け入れる溝を形成し、レンズのシール脚をハウジングの溝にシール材或いは接着材を介して受け入れる方法が一般的に採用されていたが、この取付方法にあっては、シール脚や溝はレンズやハウジングの周縁部から突出した部分に設けられるため、レンズを前方から眺めたときに、その周縁部に光を通さない部分、すなわち、暗い部分が出来てしまい、全体の大きさの割には発光面積が小さくなると言う問題があった。
【0004】
そこで、レンズのシール脚をハウジングの接合面に直接接合する方法が考えられた。レンズのシール脚をハウジングに直接接合するようにすれば、接合代はほんの僅かの幅があれば良く、レンズ周縁部の暗く見える部分は極めて狭い幅で足りることになる。そして、この直接接合する手段としては、熱板溶着、振動溶着等が一般的に採用されていた。これらの手段にあっては、レンズとハウジングとの接合部に互いの材料の溶融した部分が混合した状態で冷却固化されることによって接合されるのであるが、余分な溶融材料が接合箇所から脇にはみ出して、これが前方からレンズを通して視認されて外観を損ねるという問題がある。また、形状に制限がある(傾斜角度に制限がある;振動溶着では振動する方向に平坦でなければならないし、熱板溶着では熱板を押し当てる方向に対して極端な傾斜はできない、等)ので、昨今の立体的なデザインに対応できない。
【0005】
また、レンズとハウジングをレーザー溶着により接合する方法がある。レーザー溶着にあっては、レーザー出力と接合部におけるスポット径並びに走査スピードを制御することにより材料の溶融状態、すなわち、接合部における照射エネルギーを一定にコントロールすることが出来るので、溶融のしすぎによる溶融材料のはみ出しや溶融不良による接合不良を回避することが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、レーザー溶着にあっては、レンズの溶着部とハウジングの溶着部とが確実に接触していないと接合不良を起こす。そして、自動車用灯具には大型のものが多く、その全周に亘って、2〜5mm程度の幅の互いの溶着部(接合箇所)を確実に接触させておくことは、ハウジングの上にレンズを単に載置しただけでは困難である。
【0007】
そこで、押さえ治具を使用して、レンズをハウジングの方へと押圧しておくことが考えられるが、押さえ治具によってレンズの溶着部の上方の部分を押圧するようにすると、押さえ治具が邪魔をしてレンズを通してレーザー光を照射することが出来なくなってしまう。だからといって、レンズの周縁部(溶着部の上方の部分)を除いた部分を押圧しても、レンズの周縁部を除いた部分とハウジングとの間には空間が位置しているので、かえって、レンズの周縁部を除いた部分を押圧することによって、周縁部の全体に亘って不均一な応力がかかって、レンズの溶着部とハウジングの溶着部とが部分的に不接触となることを積極的に誘発する結果となりかねない。
【0008】
そこで、押さえ治具にレーザー光を透過することが出来る材料を使用して押さえ治具を透過させてレーザー光を照射することが考えられる。先に、レーザー出力と接合部におけるスポット径並びに走査スピードを制御することにより材料の溶融状態をコントロールすることが出来ると説明したが、接合部におけるレーザー光のスポット径は、押さえ治具の屈折率が原因して押さえ治具を透過する距離如何により、変化してしまい、これを一定にコントロールすることが困難である。特に、車輌用灯具のレンズは、全周に亘って同一の平面内にあることはほとんど無く、凹曲面及び/又は凸曲面を有しているものであるので、接合面における照射エネルギーを一定に保つことは極めて困難である。
【0009】
そこで、本発明は、押さえ治具を使用することによりレンズの溶着部とハウジングの溶着部とを確実に接触させると共に、レンズとハウジングとの接合部におけるレーザー光照射時の照射エネルギーがほぼ一定になるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明車輌用灯具の製造方法は、上記した課題を解決するために、全周に亘ってレーザー透過部及び溶着部が形成されたレンズの上記溶着部をハウジングの全周に亘って形成された溶着部に当接させ、レーザー透過部を備えた押さえ治具によってレンズを押圧してレンズの溶着部をハウジングの溶着部に当接させ、レンズの溶着部とハウジングの溶着部とが当接された箇所にレーザー光を照射する際に、少なくともその一部において押さえ治具のレーザー透過部及びレンズのレーザー透過部を透過してレーザー光が照射され、上記押さえ治具のレーザー透過部及びレンズのレーザー透過部を透過してレーザー光が照射される部分の連続する区画において、上記押さえ治具のレーザー透過部の肉厚とレンズのレーザー透過部の肉厚との和がレーザー光走査方向においてほぼ一定となるようにしたものである。
【0011】
また、本発明車輌用灯具の製造装置は、上記した課題を解決するために、全周に亘ってレーザー透過部及び溶着部が形成されたレンズの上記溶着部をハウジングの全周に亘って形成された溶着部に当接させる押さえ治具を備え、上記押さえ治具は、レンズの溶着部とハウジングの溶着部とが当接された箇所にレーザー光を照射する際に、少なくともその一部において押さえ治具のレーザー透過部及びレンズのレーザー透過部を透過してレーザー光が照射されるように成されると共に、上記押さえ治具のレーザー透過部及びレンズのレーザー透過部を透過してレーザー光が照射される部分の連続する区画において、押さえ治具のレーザー透過部の肉厚とレンズのレーザー透過部の肉厚との和がレーザー光走査方向においてほぼ一定となるようにされたものである。
【0012】
従って、本発明にあっては、押さえ治具のレーザー透過部及びレンズのレーザー透過部を透過してレーザー光が照射される部分の連続する区画において、レーザー光が押さえ治具のレーザー透過部及びレンズのレーザー透過部を透過する距離がレーザー光の走査方向においてほぼ一定となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明車輌用灯具の製造方法は、前面が開口したハウジングに上記前面開口を覆うようにレンズをレーザー溶着により固定する車輌用灯具の製造方法において、全周に亘ってレーザー透過部及び溶着部が形成されたレンズの上記溶着部をハウジングの全周に亘って形成された溶着部に当接させ、レーザー透過部を備えた押さえ治具によってレンズを押圧してレンズの溶着部をハウジングの溶着部に当接させ、レンズの溶着部とハウジングの溶着部とが当接された箇所にレーザー光を照射する際に、少なくともその一部において押さえ治具のレーザー透過部及びレンズのレーザー透過部を透過してレーザー光が照射され、上記押さえ治具のレーザー透過部及びレンズのレーザー透過部を透過してレーザー光が照射される部分の連続する区画において、上記押さえ治具のレーザー透過部の肉厚とレンズのレーザー透過部の肉厚との和がレーザー光走査方向においてほぼ一定であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明車輌用灯具の製造装置は、前面が開口したハウジングに上記前面開口を覆うようにレンズをレーザー溶着により固定する車輌用灯具の製造装置において、全周に亘ってレーザー透過部及び溶着部が形成されたレンズの上記溶着部をハウジングの全周に亘って形成された溶着部に当接させる押さえ治具を備え、上記押さえ治具は、レンズの溶着部とハウジングの溶着部とが当接された箇所にレーザー光を照射する際に、少なくともその一部において押さえ治具のレーザー透過部及びレンズのレーザー透過部を透過してレーザー光が照射されるように成されると共に、上記押さえ治具のレーザー透過部及びレンズのレーザー透過部を透過してレーザー光が照射される部分の連続する区画において、押さえ治具のレーザー透過部の肉厚とレンズのレーザー透過部の肉厚との和がレーザー光走査方向においてほぼ一定となるようにされたことを特徴とする。
【0015】
従って、本発明にあっては、押さえ治具のレーザー透過部及びレンズのレーザー透過部を透過してレーザー光が照射される部分の連続する区画において、レーザー光が押さえ治具のレーザー透過部及びレンズのレーザー透過部を透過する距離がレーザー光の走査方向においてほぼ一定となる。そのため、レーザー出力と走査スピードが一定であれば、レンズとハウジングとの接合部におけるレーザー光のスポット径が一定となる。すなわち、レンズとハウジングとの接合部における照射エネルギーが一定となる。従って、、レンズとハウジングとの接合部における照射エネルギーのコントロールが容易になり、品質の良好なレーザー溶着を行うことが出来る。また、ロボットを使用してレーザー光の照射工程を行う際のティーチングも容易になる。
【0016】
請求項2に記載した発明にあっては、曲面を備えているレンズ表面のほぼ全面が押さえ治具の面当て部によって面接触された状態で、レンズがハウジングの方へ押圧されて、レンズの溶着部がハウジングの溶着部に当接されるので、レンズの溶着とハウジングの溶着部とが確実に当接される。
【0017】
請求項3に記載した発明にあっては、押さえ治具の全周縁部に形成された位置決め部によってレンズの周縁部が位置決めされた状態で、レンズの溶着部がハウジングの溶着部に当接されるので、レンズの溶着部とハウジングの溶着部とが位置ズレを起こすことが無く、確実に当接される。
【0018】
請求項4に記載した発明にあっては、押さえ治具はレンズの材料と屈折率が近似した材料によって形成されているので、押さえ治具のレーザー透過部とレンズのレーザー透過部との相対肉厚がレーザー光走査方向において変化しても、両者の和がほぼ同じであれば、レンズとハウジングとの接合部におけるレーザー光のスポット径はほぼ同じになるので上記接合部における照射エネルギーのコントロールを行い易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明車輌用灯具の製造方法及び車輌用灯具の製造装置を実施するための最良の形態について添付図面を参照して説明する。
【0020】
車輌用灯具1は、ハウジング2にその前面開口を覆うようにレンズ3が取着され、ハウジング2とレンズ3とで囲まれた空間4内に図示しない光源体が配置されて構成される。
【0021】
上記ハウジング1とレンズ3とはレーザー溶着によって一体化される。すなわち、正面から見て(図1参照)下縁のほぼ直線的に左右に延びる部分においては、レンズ3から後方へ突出した突出部5が形成されており、該突出部5の後端面6が内側に行くに従って前方へ変位する傾斜平面とされ、該平面が溶着面とされている。それに伴い、レンズ3の上記突出部5(図4参照)に対応したハウジング1の前端縁は突出部5の前後幅に相当する分他の部分の前端縁より後方に後退されており、該前端縁の前面7は内側に行くに従って前方へ変位する傾斜平面とされ、該面7が溶着面とされている。そして、レンズの溶着面6とハウジングの溶着面7とは同じ傾斜角で傾斜している。
【0022】
そして、レンズ3の下縁部を除いた部分の周縁部の下面にはほぼ水平面とされた溶着面8が形成され、レンズ周縁部の該溶着面8より上方の部分9がレーザー透過部とされる。そして、ハウジング2の前端縁のうちレンズの溶着面8に対応した部分はほぼ水平面とされ、該面10が溶着面とされている。
【0023】
ハウジング2とレンズ3とは、溶着面6と7とが、また、溶着面8と10とが、互いに接触され、その状態でレーザー溶着により接合される。
【0024】
ハウジング2とレンズ3とをその周縁部でレーザー溶着する際に、押さえ治具11によってレンズ3をハウジング2の方へと押圧して、レンズ3の溶着面6、8がハウジング2の溶着面7、10に確実に当接するようにする。
【0025】
押さえ治具11はレンズ3の前面の全体を覆う大きさの厚手の板状をしており、下面12が面当て部とされ、該面当て部12がレンズ3の前面13の全面に当接するようになっている。このように、押さえ治具11の面当て部12がレンズ3の前面の全面に当接されるので、成形時にレンズ3の前面部にソリや撓みが出来た場合でも、該ソリや撓みを解消することが出来て、レンズ3の溶着面6、8の全面をハウジング2の溶着面7、10に確実に当接させることが出来る。また、押さえ治具11の下面の周縁部には全周に亘って下方へ突出した位置決め突縁14が突設されており、該位置決め突縁14がレンズ3の周縁部に外側から当接して、これによって、レンズ3が押さえ治具11に対して位置決めされる。従って、ハウジング2が押さえ治具11に対して位置決めされた状態で配置されれば、レンズ3がハウジング2に対して位置決めされ、レンズ3の溶着面6はハウジング2の溶着面7に、また、レンズ3の溶着面9はハウジング2の溶着面10に、確実に当接される。なお、ハウジング2は、押さえ治具11に対して位置決めが為されている載置台15上に載置されることによって、押さえ治具11に対して位置決めされる。
【0026】
そして、押さえ治具11の下縁部を除く部分の周縁部16はレーザー透過部とされる。すなわち、透明でレーザー光が透過可能な部分とされている。押さえ治具11はレーザー透過部16のみが透明に形成されていればよいが、押さえ治具11全体が透明な材料で形成されていても構わない。
【0027】
上記したように、ハウジング2、レンズ3及び押さえ治具11をセットした後、レーザー光を溶着面6、7、8、10に照射してレーザー溶着を行う。
【0028】
レンズ3の溶着面8とハウジング2の溶着面10とのレーザー溶着は、図5に矢印Aで示すようにレーザー光を走査して行う。この場合、図3に示すように、押さえ治具11のレーザー透過部16のほぼ真上に位置したレーザーヘッド17から照射されたレーザー光18は押さえ治具11のレーザー透過部16、レンズ3のレーザー透過部9を順次透過してハウジング2の溶着面10に所定のスポット径で集光される。これにより、ハウジング2の溶着面10がレーザー光18の照射エネルギーにより加熱溶融され、その溶融熱によりレンズ3の溶着面8も溶融して相溶状態となり、さらに、それが冷却することによりハウジング2の溶着面10とレンズ3の溶着面8とが接合される。
【0029】
そして、ハウジング2の溶着面10とレンズ3の溶着面8とのレーザー溶着を行う際に、上記押さえ治具11のレーザー透過部16の肉厚T16とレンズ3のレーザー透過部9の肉厚T9との和tT(=T16+T9)がレーザー光走査方向Aにおける全域においてほぼ一定であることが好ましい。すなわち、レーザー光18はレーザーヘッド17から射出された状態から径が絞られていって、ハウジング2の溶着面10で所定のスポット径となるように制御されているので、2つのレーザー透過部16、9を透過する距離が変化すると、溶着面10でのスポット径が変化してしまい、溶着面10が受けるレーザー光18の照射エネルギーが変化して、その溶融状態が一様でなくなってしまうからである。そのため、走査方向Aの全域において上記tTが一様であると、ロボットへのティーチングが容易となる利点がある。しかしながら、走査方向Aの全域においてtTが一様であることは必須ではなく、少なくとも一部の区間においてtTが一様であれば、その区間に対するロボットのティーチングが容易になる。
【0030】
以上のような観点から、レンズ3のレーザー透過部9の屈折率と押さえ治具11のレーザー透過部16の屈折率とが近似していることが好ましい。例えば、レンズ3がアクリル樹脂で形成されている場合は、押さえ治具11のレーザー透過部16がアクリル樹脂又はアクリル樹脂の屈折率に近似した屈折率を有する材料で形成されることが好ましい。すなわち、2つのレーザー透過部16、9の厚みの和tTがレーザー光走査方向Aにおいて同じであり、両者16、9の厚みがレーザー光走査方向Aにおいて異なっていて、しかも、両者16、9の屈折率が異なっていると、溶着面10におけるスポット径がレーザー光走査方向Aにおいて異なってきてしまうので、レーザー光18の照射エネルギー、走査スピード等を調整して、溶着面10における照射エネルギーがレーザー光走査方向Aにおいて一様になるように制御しなければならず、制御が複雑になる。
【0031】
次に、レンズ3の溶着面6とハウジング2の溶着面7とのレーザー溶着は、図4に示すように、レーザー光18をレンズ3の突出部5に対して斜め上方から斜めに照射してハウジング2の溶着面7に所定のスポット径で照射されるようにし、且つ、図5の矢印B方向へレーザー光18を走査して行う。この場合、レンズ3の突出部の一部5aがレーザー透過部となる。
【0032】
以上のようにして、ハウジング2の開口縁部にレンズ3の周縁部がレーザー溶着によって接合される。
【0033】
なお、上記した実施の形態において示した各部の具体的形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【産業上の利用可能性】
【0034】
車輌用灯具、特に大型の車輌用灯具におけるハウジングとレンズとの接合に適用して、外観を損ねること無しに、確実な接合を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図面は本発明車輌用灯具の製造方法及び車輌用灯具の製造装置の実施の形態を示すものであり、本図は車輌用灯具の一例を示す正面図である。
【図2】レンズと押さえ治具を離した状態で示す断面図である。
【図3】レーザー溶着工程の様子を図1のIII−III線で示す部位で切断した状態で示す断面図である。
【図4】レーザー溶着工程の様子を図1のIV−IV線で切断した状態で示す部位で示す断面図である。
【図5】レーザー光の走査方向の例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0036】
1…車輌用灯具、2…ハウジング、3…レンズ、8…溶着面(溶着部)、9…レーザー透過部、10…溶着面(溶着部)、11…押さえ治具、12…面当て部、13…前面、14…位置決め突縁(位置決め部)、16…レーザー透過部、18…レーザー光、T9…レンズのレーザー透過部の肉厚、T16…押さえ治具のレーザー透過部の肉厚、tT…レンズのレーザー透過部の肉厚と押さえ治具のレーザー透過部の肉厚との和

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開口したハウジングに上記前面開口を覆うようにレンズをレーザー溶着により固定する車輌用灯具の製造方法において、
全周に亘ってレーザー透過部及び溶着部が形成されたレンズの上記溶着部をハウジングの全周に亘って形成された溶着部に当接させ、
レーザー透過部を備えた押さえ治具によってレンズを押圧してレンズの溶着部をハウジングの溶着部に当接させ、
レンズの溶着部とハウジングの溶着部とが当接された箇所にレーザー光を照射する際に、少なくともその一部において押さえ治具のレーザー透過部及びレンズのレーザー透過部を透過してレーザー光が照射され、
上記押さえ治具のレーザー透過部及びレンズのレーザー透過部を透過してレーザー光が照射される部分の連続する区画において、上記押さえ治具のレーザー透過部の肉厚とレンズのレーザー透過部の肉厚との和がレーザー光走査方向においてほぼ一定である
ことを特徴とする車輌用灯具の製造方法。
【請求項2】
曲面を備えているレンズ表面のほぼ全面が押さえ治具の面当て部によって面接触された状態で、レンズがハウジングの方へ押圧されて、レンズの溶着部がハウジングの溶着部に当接される
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用灯具の製造方法。
【請求項3】
押さえ治具の全周縁部に形成された位置決め部によってレンズの周縁部が位置決めされた状態で、レンズの溶着部がハウジングの溶着部に当接される
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輌用灯具の製造方法。
【請求項4】
押さえ治具はレンズの材料と屈折率が近似した材料によって形成されている
ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の車輌用灯具の製造方法。
【請求項5】
前面が開口したハウジングに上記前面開口を覆うようにレンズをレーザー溶着により固定する車輌用灯具の製造装置において、
全周に亘ってレーザー透過部及び溶着部が形成されたレンズの上記溶着部をハウジングの全周に亘って形成された溶着部に当接させる押さえ治具を備え、
上記押さえ治具は、レンズの溶着部とハウジングの溶着部とが当接された箇所にレーザー光を照射する際に、少なくともその一部において押さえ治具のレーザー透過部及びレンズのレーザー透過部を透過してレーザー光が照射されるように成されると共に、上記押さえ治具のレーザー透過部及びレンズのレーザー透過部を透過してレーザー光が照射される部分の連続する区画において、押さえ治具のレーザー透過部の肉厚とレンズのレーザー透過部の肉厚との和がレーザー光走査方向においてほぼ一定となるようにされた
ことを特徴とする車輌用灯具の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−12502(P2006−12502A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185466(P2004−185466)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】