説明

軌道走行車両

【課題】車両の向きを限定することなく連結可能であり、作業目的地に移動するときにその後の作業に応じた車両の向きで連結させることができる軌道走行車両を提供する。
【解決手段】コントローラ51,151,251は、作業者によって入力された車両台数情報および連結位置情報と、自車両における前後連結情報と、他車両から伝達されてくる他車両における前後連結情報とに基づいて、複数の軌道走行車両の連結組合せ状態を検出し、その連結組合せ状態がメモリ52,152,252に予め記憶されている記憶連結組合せ状態のうちのいずれかと合致するか否かを判定し、合致すると判定したときには連結車両の走行を許可する制御を行い、合致しないと判定したときには連結車両の走行に対する警報作動を行うように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道上を走行可能な複数の軌道走行車両を連結させた状態で各車両において車輪駆動手段をそれぞれ駆動して軌道上を走行する軌道走行車両に関し、さらに詳しくは、この軌道走行車両の走行制御に関する。
【背景技術】
【0002】
軌道走行車両の一例である軌陸作業車は、道路走行用のトラックをベースとして構成されており、タイヤ等の道路走行用車輪および鉄輪等の軌道走行用車輪を有し、軌道走行時には軌道走行用車輪を油圧モータにより回転駆動して鉄道レール上を走行可能な構成としている。このような軌道走行車両では、作業目的地までの移動または架線作業において単独で鉄道レール上を走行する場合もあるが、複数の軌道走行車両を連結させた状態で鉄道レール上を走行する場合も多々ある。このように複数の車両を連結させる場合、従来の軌道走行車両では、連結方向が限定されており、その連結方向に従って複数の車両が連結される(例えば、全車両が同じ向きに連結される)ようになっている(例えば、特許文献1を参照)。また、従来の軌道走行車両では、複数の車両を連結させた状態で鉄道レール上を走行する場合、その走行操作を行うことが可能な操作装置を備える車両が限定されており、例えば、先頭車両でのみ走行操作が可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006‐199277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような軌道走行車両では、複数の車両を規定の連結方向で連結させた状態で鉄道レール上を走行して目的地まで移動し、鉄道レール上に張架されたトロリ線の張替え作業等の架線作業を行うが、この架線作業の際には何台かの車両の連結を解除し、当該車両では単独で鉄道レール上を走行して架線作業を行う場合がある。この場合、従来の軌道走行車両では連結方向が限定されているため、目的地に到着後、架線作業によっては車両の向きを変えなければならず、作業効率が悪いという問題があった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、車両の向きを限定することなく連結可能であり、作業目的地に移動するときにその後の作業に応じた車両の向きで連結させることができる軌道走行車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1の本発明に係る軌道走行車両(例えば、実施形態における軌陸作業車1)は、軌道上を走行可能な車輪(例えば、実施形態における軌道走行用車輪4)を備えた車体と、前記車輪を回転駆動する車輪駆動手段(例えば、実施形態における鉄輪駆動油圧モータ8)と、前記車体の走行方向における前記車体の前部および後部に設けられた連結手段とを備えた車両であって、前記連結手段により複数の前記車両を連結させた状態で各々の前記車輪駆動手段を駆動して軌道上を走行するように構成される。その上で、前記連結手段により連結される複数の前記軌道走行車両がそれぞれ、連結された合計車両数を示す車両台数情報および自車両の連結順序位置を示す連結位置情報を入力情報として入力可能な情報入力手段(例えば、実施形態における連結台数選択ボリューム37および連結順序選択ボリューム38)と、前記連結手段において他車両が連結されているか否か並びに前記他車両の前部および後部のいずれが連結されているかを検出する連結検出手段(例えば、実施形態における連結検出器85等)と、前記連結手段により検出された車両連結情報および前記情報入力手段により入力された入力情報を、前記連結手段により連結された前記複数の軌道走行車両間で伝達する通信手段(例えば、実施形態における連結棒70等)とを備え、複数の前記軌道走行車両が前記連結手段により連結された状態において、前記情報入力手段により入力された入力情報と、自車両における前記連結検出手段により検出された自車車両連結情報および他車両から伝達されてくる前記他車両における連結検出手段により検出された他車車両連結情報とに基づいて前記複数の軌道走行車両の連結組合せ状態を検出する連結状態検出手段(例えば、実施形態におけるコントローラ51)と、連結台数毎に、この連結台数での前記軌道走行車両の連結組合せ状態が予め記憶されている組合せ状態記憶手段(例えば、実施形態におけるメモリ52)と、前記連結状態検出手段により検出された連結組合せ状態が、前記組合せ状態記憶手段に記憶されている記憶連結組合せ状態のうちのいずれかと合致するか否かを判定し、合致すると判定したときには前記連結手段により連結された複数の前記軌道走行車両の走行を許可する制御を行い、合致しないと判定したときには前記複数の軌道走行車両の走行に対する警報作動を行う走行制御手段(例えば、実施形態におけるコントローラ51)とを備えて構成される。
【0007】
また、第2の本発明に係る軌道走行車両(例えば、実施形態における軌陸作業車1)は、軌道上を走行可能な車輪(例えば、実施形態における軌道走行用車輪4)を備えた車体と、前記車輪を回転駆動する車輪駆動手段(例えば、実施形態における鉄輪駆動油圧モータ8)と、前記車体の走行方向における前記車体の前部および後部に設けられた連結手段とを備えた車両であって、前記連結手段により複数の前記車両を連結させた状態で各々の前記車輪駆動手段を駆動して軌道上を走行するように構成される。その上で、前記連結手段により連結される複数の前記軌道走行車両がそれぞれ、前記連結手段において他車両が連結されているか否か並びに前記他車両の前部および後部のいずれが連結されているかを検出する連結検出手段(例えば、実施形態における連結検出器85等)と、前記連結検出手段により検出された車両連結情報を前記連結手段により連結された複数の前記軌道走行車両間で伝達する通信手段(例えば、実施形態における連結棒70等)とを備え、複数の前記軌道走行車両が前記連結手段により連結された状態において、自車両における前記連結検出手段により検出された自車車両連結情報と、他車両から伝達されてくる前記他車両における連結検出手段により検出された他車車両連結情報とに基づいて、前記複数の軌道走行車両の連結組合せ状態を検出する連結状態検出手段(例えば、実施形態におけるコントローラ51)と、連結台数毎に、この連結台数での前記軌道走行車両の連結組合せ状態が予め記憶されている組合せ状態記憶手段(例えば、実施形態におけるメモリ52)と、前記連結状態検出手段により検出された前記連結組合せ状態が、前記組合せ状態記憶手段に記憶されている記憶連結組合せ状態のうちのいずれかと合致するか否かを判定し、合致すると判定したときには前記連結手段により連結された複数の前記軌道走行車両の走行を許可する制御を行い、合致しないと判定したときには前記複数の軌道走行車両の走行に対する警報作動を行う走行制御手段(例えば、実施形態におけるコントローラ51)とを備えて構成される。
【0008】
なお、上記第2の本発明に係る軌道走行車両において、前記連結状態検出手段により検出された前記連結組合せ状態が前記組合せ状態記憶手段に記憶されている記憶連結組合せ状態のうちのいずれかと合致すると判定したときに、前記連結組合せ状態およびその連結組合せ状態における自車両の連結順序位置を表示する表示手段(例えば、実施形態における表示モニタ67)と、前記表示手段により表示された前記連結組合せ状態および前記自車両の連結順序位置が前記複数の軌道走行車両の連結状態(実際の連結状態)と合致するか否かを入力情報として入力可能な情報入力手段(例えば、実施形態における連結状態判定スイッチ68)とを備え、前記走行制御手段は、前記情報入力手段により前記表示手段に表示された前記連結組合せ状態および前記自車両の連結順序位置が前記複数の軌道走行車両の連結状態と合致すると入力されたときには前記複数の軌道走行車両の走行を許可する制御を行い、合致しないと入力されたときには前記複数の軌道走行車両の走行に対する警報作動を行うように構成することが好ましい。
【0009】
なお、上記構成の軌道走行車両において、前記車体に操作可能に設けられて操作に対応した目標速度で前記車体を走行させる指令値を出力する操作手段(例えば、実施形態における走行操作レバー34)を備え、前記操作手段の操作情報が前記通信手段を介して前記連結手段により連結された他車両に伝達可能であり、前記走行制御手段は、他車両における操作手段から指令値が伝達されてくると、前記連結状態検出手段により検出された前記連結組合せ状態から前記他車両に対する自車両の連結方向を認識し、この連結方向および前記他車両からの指令値に基づいて自車両の進行方向を判断するように構成することが好ましい。
【0010】
また、上記構成の軌道走行車両において、前記走行制御手段は、他車両における操作手段から指令値が伝達されてくると、自車両における前記操作手段により出力される前記指令値を受けつけないように構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
第1の本発明に係る軌道走行車両によれば、組合せ状態記憶手段に連結台数毎の連結組合せ状態が予め記憶されており、この記憶連結組合せ状態のうちのいずれかと、連結状態検出手段により検出された連結組合せ状態とが合致する場合に、連結車両の走行を許可するように構成されている。そのため、組合せ状態記憶手段に種々の連結組合せ状態を記憶させておくことにより、各車両の向きを限定することなく、複数の軌道走行車両を連結させて軌道上を走行することができる。したがって、作業目的地に移動するときにその後の作業に応じた向きで各車両を連結させることができるため、目的地到着後に車両の向きを変える必要がなく作業効率が向上する。また、検出された連結組合せ状態が組合せ状態記憶手段に記憶されている記憶連結組合せ状態のうちのいずれとも合致しない場合には、連結車両の走行に対する警報作動を行うように構成されている。本明細書において、警報作動とは、連結車両の走行を規制する作動や、警報ブザー、警報ランプ等を用いて警報報知を行う作動を含めた作動を意味する。上記のように組合せ状態が合致しない原因としては検出器の故障や作業者による情報入力ミスなどが考えられる。したがって、このような場合には、連結車両の走行規制もしくは警報ブザー等を用いた警報報知が行われる、または、走行規制および警報報知の両方が行われるため、検出器の故障や作業者の入力ミス等により正しく連結状態が認識されていない状態で連結車両を走行させようとして、連結車両が破損したり、連結車両が脱線したりするようなことを未然に防ぐことができる。
【0012】
第2の本発明に係る軌道走行車両によれば、組合せ状態記憶手段に連結台数毎の連結組合せ状態が予め記憶されており、この記憶連結組合せ状態のうちのいずれかと、連結状態検出手段により検出された連結組合せ状態とが合致する場合に、連結車両の走行を許可するように構成されている。そのため、組合せ状態記憶手段に種々の連結組合せ状態を記憶させておくことにより、各車両の向きを限定することなく、複数の軌道走行車両を連結させて軌道上を走行することができる。したがって、作業目的地に移動するときにその後の作業に応じた向きで各車両を連結させることができるため、目的地到着後に車両の向きを変える必要がなく作業効率が向上する。また、検出された連結組合せ状態が組合せ状態記憶手段に記憶されている記憶連結組合せ状態のうちのいずれとも合致しない場合には、連結車両の走行に対する警報作動を行うように構成されている。このように連結状態検出手段により連結状態を検出できない原因としては検出器の故障などが考えられる。したがって、このような場合には、連結車両の走行規制もしくは警報ブザー等を用いた連結車両の走行に対する警報報知が行われる、または、走行規制および警報報知の両方が行われるため、検出器の故障等により正しく連結状態が認識されていない状態で連結車両を走行させようとして、連結車両が破損したり、連結車両が脱線したりするようなことを未然に防ぐことができる。
【0013】
また、第2の本発明に係る軌道走行車両によれば、上記第1の本発明と比較して、作業者による連結台数や連結番号の入力操作が不要であり、連結する台数が増加するたびに最大選択台数や自車両の位置を選択するスイッチの選択可能範囲を増やすことが不要であるため、部品点数を低減することができ、コストダウンも可能となる。
【0014】
また、第2の本発明に係る軌道走行車両において、走行制御手段は、情報入力手段により表示手段に表示された連結状態が実際の連結状態と合致すると入力されたときには連結車両の走行を許可する制御を行い、合致しないと入力されたときには走行に対する警報作動を行うように構成することが好ましく、このように構成すると、作業者は、表示手段に表示された連結状態が実際の連結状態と合致するか否かの入力操作を行うだけで、煩雑な操作を行うことなく、連結状態を決定することができる。
【0015】
なお、上記軌道走行車両において、車体を走行させる指令値を出力する操作手段を備え、この操作手段の操作情報が他車両にも伝達可能であり、走行制御手段は、他車両における操作手段から指令値が伝達されてくると、連結状態検出手段により検出された連結組合せ状態から他車両に対する自車両の連結方向を認識し、この連結方向および他車両からの指令値に基づいて自車両の進行方向を判断するように構成することが好ましく、このように構成すると、操作車両からの指令値(走行操作信号)に対して自車両がどちらの方向に走行すればよいかを判断することができ、連結された全車両を確実に同じ進行方向に走行させることができる。また、操作車両が限定されず、連結されたいずれの車両からでも走行操作を行うことができる。
【0016】
また、上記軌道走行車両において、走行制御手段は、他車両における操作手段から指令値が伝達されてくると、自車両における操作手段により出力される指令値を受けつけないように構成することが好ましく、このように構成すると、複数の作業者によって同時に走行操作を行ういわゆる二重操作を防止することができ、複数の車両を連結して走行する際の安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る軌道走行車両の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る軌道走行車両を3台連結して走行する際の全体構成を示す側面図である。
【図3】自車両の前後連結状態を検出するための連結コネクタの構成を説明する図である。
【図4】自車両の前後連結状態の全パターンを示す前後連結状態テーブルである。
【図5】3台連結の場合の連結組合せ状態を示す連結組合せテーブルである。
【図6】本発明の第1実施形態に係る軌道走行車両における走行制御を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係る軌道走行車両の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る軌道走行車両を構成する表示モニタおよび連結状態判定スイッチの構成を示す平面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る軌道走行車両における走行制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、図2に示すように、3台の軌陸作業車1,100,200を連結して軌道上を走行する場合を例示して説明する。
【0019】
軌陸作業車1は、図2に示すように、車体2に設けられた運転キャブ2aを有するトラック車両をベースとして構成されており、車体2の前後左右の4箇所に取り付けられた道路走行用車輪3によって道路上を走行することができる。さらに、車体2の前後左右の4箇所(各道路走行用車輪3の後側)には、軌道走行用車輪4(以下、鉄輪4と称する)が、車体2に揺動自在に支持された鉄輪支持部材4aに回転自在に取り付けられている。
【0020】
鉄輪支持部材4aは、鉄輪張出格納シリンダ(図示せず)の伸縮作動により揺動可能であり、この鉄輪支持部材4aを揺動させることにより鉄輪4を下方に張り出したり上方に格納したりできるように構成されている。軌陸作業車1は、前側の2つ(左右)の鉄輪4にそれぞれ接続された鉄輪駆動油圧モータ8(油圧モータ)により鉄輪4を回転駆動して鉄道レールR(軌道)上を自走可能に構成されている。また、鉄輪4の近傍には、鉄輪4を制動するブレーキ装置9(図1を参照)が配設されている。
【0021】
車体2の中央下部には、軌陸作業車1を鉄道レールR上へ載せ換え移動させるための転車台6が設けられている。転車台6は、転車台張出格納シリンダ(図示せず)の伸縮作動により下方に張り出したり上方に格納したりできるように構成され、さらに、下方に張り出して車体2を持ち上げた状態で車体旋回モータ(図示せず)により車体2を転車台6に対して水平旋回させることができるように構成されている。なお、車体旋回モータに備えずに作業者の人力により車体2を水平旋回させるように構成してもよい。車体2の前端および後端には後述する連結手段80が配設されている。
【0022】
車体2の上部には、高所作業装置10、ドラム駆動装置20および中央キャビン30が設けられている。高所作業装置10は、運転キャブ2aの後側で垂直に立設された入れ子式に伸縮自在な昇降ポスト11と、この昇降ポスト11の上部に取り付けられた作業者搭乗用の作業台12とを有し、昇降ポスト11に内蔵された昇降シリンダ(図示せず)の伸縮作動により作業台12を昇降移動させることができるように構成されている。作業台12内には、作業台12の昇降移動を操作するための昇降操作装置(図示せず)が設けられている。
【0023】
ドラム駆動装置20は、外周部に架線を巻き付けることが可能なドラム25を回転駆動して架線の繰出し・巻取りを行うように構成されている。ドラム駆動装置20では、軌陸作業車1が前方に走行しながら、巻取り用のドラム25を巻取り方向(図2における時計方向)に回転させて、作業車1の前方上方からの架線をドラム25に巻き取るように作動する。このとき、ドラム駆動装置20は、軌陸作業車1の走行速度に応じた回転速度でドラム25を回転させ、これにより巻き取られる架線に所定範囲内の張力を作用させる。一方、架線を繰り出すときには、新設する架線が巻き付けられたドラム25を繰出し方向に対して逆方向(図2における反時計方向)に回転させて、架線をドラム25から作業車1の後方上方に繰り出すように作動する。このとき、ドラム駆動装置20は、軌陸作業車1の走行速度に応じた回転速度(所定のトルク)でドラム25を上記逆方向に回転させ、これによりドラム25から繰り出される架線に所定範囲内の張力を作用させる。
【0024】
中央キャビン30は、高所作業装置10とドラム駆動装置20の間に設けられた作業者が搭乗可能な箱状の操作室であり、その内部には作業者が着座するためのオペレータシート(図示せず)と、軌陸作業車1の鉄道レールR上での走行操作を行うための走行操作装置31(図1を参照)と、高所作業装置10やドラム駆動装置20などの車体2上に配設された各装置の作動操作を行うための作業操作装置(図示せず)とが配設されている。中央キャビン30は車体2上において180度の水平旋回が可能に設けられており、中央キャビン30に搭乗した作業者は、旋回モータ(図示せず)を作動させて中央キャビン30を水平旋回させることで、車体2の前方もしくは後方を向いた状態で各種操作入力を行うことができるようになっている。
【0025】
走行操作装置31は、中央キャビン30内に設けられているほかに、運転キャビン2a内にも設けられている。よって、軌陸作業車1では、鉄道レールR上を走行する際、中央キャビン30内の走行操作装置31によって走行操作を行うことができるほか、運転キャブ2a内の走行操作装置31によって走行操作を行うこともできる。ただし、一方の操作装置で操作を開始した時点で、他方の操作装置では後述する緊急停止スイッチ35による操作入力以外の操作入力が規制されるようになっている。なお、一般道路走行時の運転(走行操作)は、運転キャブ2a内に設けられた道路走行操作装置(図示せず)でのみ行うことができる。
【0026】
走行操作装置31は、図1に示すように、電源スイッチ32と、速度設定ボリューム33と、走行操作レバー34と、緊急停止スイッチ35と、走行モード切替スイッチ36と、連結台数選択ボリューム37と、連結順序選択ボリューム38とを有し、電源スイッチ32をON操作すると走行操作装置31が電源側と電気的に接続されて作業者による操作入力が可能となるように構成されている。
【0027】
速度設定ボリューム33は、走行時の最高速度(例えば0km/h〜45km/h)を選択可能な操作部であり、選択された最高速度を示す信号を走行制御装置50に出力する。走行操作レバー34は、手動により中立位置から前方もしくは後方へ傾動操作可能な中立位置自動復帰型の操作レバーであり、これを前方もしくは後方へ傾動操作すると走行操作信号(指令値)を走行制御装置50に出力する。この走行操作信号は、速度設定ボリューム33によって設定された速度範囲内(すなわち0km/h〜設定速度)において走行操作レバー34の操作量(傾動量)に応じた速度情報を含んでおり、より高速で走行させたいときには走行操作レバー34の操作量を大きくすればよい。すなわち、走行操作レバー34の操作量を最大としたときに速度設定ボリューム33によって設定した最高速度で走行させることが可能となる。また、走行操作レバー34が中立位置にあるときにはブレーキ装置9によって鉄輪4に制動力が働くようになっている。
【0028】
緊急停止スイッチ35は、軌陸作業車1を緊急停止させるためのスイッチであり、これをON操作すると緊急停止信号を走行制御装置50に出力する。走行モード切替スイッチ36は、移動走行モードと作業走行モードとに切替設定可能なスイッチである。走行モード切替スイッチ36を移動走行モードに切り替えると、速度設定ボリューム33および走行操作レバー34によって操作設定された速度に応じた走行操作信号を走行制御装置50に出力する。一方、作業走行モードに切り替えて走行操作レバー34を傾動操作すると、速度設定ボリューム33によって設定された最高速度に拘わらず、最高速度が所定の作業走行速度(例えば5km/h)に設定され、この作業走行速度の範囲内(例えば0〜5km/h)において走行操作レバー34の操作量に応じた走行操作信号を走行制御装置50に出力する。
【0029】
連結台数選択ボリューム37は、連結された合計車両数(連結台数)を示す車両台数信号を入力信号として入力可能な操作部であり、作業者によって選択入力された車両台数信号を走行制御装置50に出力する。連結順序選択ボリューム38は、自車両の連結順序位置(連結番号)を示す連結位置信号を入力信号として入力可能な操作部であり、作業者によって選択入力された連結位置信号を走行制御装置50に出力する。
【0030】
軌陸作業車1には、図1に示すように、鉄輪駆動油圧モータ8およびブレーキ装置9に作動油を供給する油圧ユニット40が設けられている。油圧ユニット40は、車載のエンジン(図示せず)により駆動されて作動油を吐出する油圧ポンプ41と、油圧ポンプ41から吐出される作動油を走行操作装置31の操作に応じた供給方向および供給量で鉄輪駆動油圧モータ8およびブレーキ装置9に供給する制御を行うコントロールバルブ42とを有して構成される。なお、走行操作装置31からの操作信号は上述のように走行制御装置50に入力され、走行制御装置50がこの操作信号に応じた指令信号をコントロールバルブ42に出力してこのバルブの作動を制御するように構成されている。
【0031】
図2に示すように、軌陸作業車100と軌陸作業車200は同じ構成の作業車である。軌陸作業車100,200は、上記軌陸作業車1と同様、車体102,202に設けられた運転キャブ102a,202aを有するトラック車両をベースとして構成されており、車体102,202の前後左右の4箇所に道路走行用車輪103,203および鉄輪支持部材104a,204aを介して軌道走行用車輪104,204(以下、鉄輪104,204と称する)がそれぞれ取り付けられている。軌陸作業車100,200は、前側の2つ(左右)の鉄輪104,204にそれぞれ接続された鉄輪駆動油圧モータ108,208により鉄輪104,204を回転駆動して鉄道レールR上を自走可能になっている。また、鉄輪104,204の近傍には、鉄輪104,204を制動するブレーキ装置109,209が配設されている。車体102,202には、中央下部に転車台106,206が設けられ、前端および後端に後述する連結手段180,280が配設されている。
【0032】
車体102,202の上部には高所作業装置110,210が設けられている。高所作業装置110,210は、車体102,202上に架装フレーム107,207を介して車幅方向に一対に設けられ、2つのリンクバーを交差させてその交点を回動自在に連結したシザースリンク機構(図示せず)と、シザースリンク機構の上端部に取り付けられた作業者搭乗用の作業台112,212とを有し、シザースリンク機構に設けられた昇降シリンダ(図示せず)の伸縮作動により作業台112,212を昇降移動させることができるように構成されている。作業台112,212内には、作業台112,212の昇降移動を操作するための作業操作装置113,213と、軌陸作業車100,200の鉄道レールR上での走行操作を行うための走行操作装置131,231とが設けられている。
【0033】
走行操作装置131,231は、作業台112,212内に設けられているほかに、運転キャビン102a,202a内にも設けられている。よって、軌陸作業車100,200でも、鉄道レールR上を走行する際、作業台112,212内の走行操作装置131,231によって走行操作を行うことができるほか、運転キャブ102a,202a内に設けられた走行操作装置131,231によって走行操作を行うこともできる。ただし、一方の操作装置で操作を開始した時点で、他方の操作装置では後述する緊急停止スイッチ135,235による操作入力以外の操作入力が規制されるようになっている。
【0034】
走行操作装置131,231は、図1に示すように、上記走行操作装置31と同様、電源スイッチ132,232と、速度設定ボリューム133,233と、走行操作レバー134,234と、緊急停止スイッチ135,235と、走行モード切替スイッチ136,236と、連結台数選択ボリューム137,237と、連結順序選択ボリューム138,238とを有し、作業者によって各操作部から入力された操作信号を走行制御装置150,250に出力するように構成されている。
【0035】
また、軌陸作業車100,200には、鉄輪駆動油圧モータ108,208およびブレーキ装置109,209に作動油を供給する油圧ユニット140,240が設けられている。油圧ユニット140,240は、上記油圧ユニット40と同様、車載のエンジン(図示せず)により駆動されて作動油を吐出する油圧ポンプ141,241と、油圧ポンプ141,241から吐出される作動油を走行操作装置131,231の操作に応じた供給方向および供給量で鉄輪駆動油圧モータ108,208およびブレーキ装置109,209に供給する制御を行うコントロールバルブ142,242とを有して構成される。なお、走行操作装置131,231からの操作信号は上述のように走行制御装置150,250に入力され、走行制御装置150,250がこの操作信号に応じた指令信号をコントロールバルブ142,242に出力してこのバルブの作動を制御するように構成されている。
【0036】
以上のように構成された軌陸作業車1と軌陸作業車100,200とは、図1および図2に示すように、連結棒70および各作業車の前後に配設された連結手段80,180,280を用いてそれぞれ連結される。連結棒70は、容易に曲がったり伸縮したりしない金属製の棒状部材からなり、軌陸作業車1に設けられた連結手段80と軌陸作業車100,200に設けられた連結手段180,280とに架設して固定される。連結棒70の内部には、車両間にて各々の車両情報を相互通信可能とするための通信ケーブル(図示せず)が設けられており、連結棒70を用いて軌陸作業車1と軌陸作業車100,200とが連結されると、この通信ケーブルを介して走行制御装置50(コントローラ51)と走行制御装置150,250(コントローラ151,251)とが各車両情報を相互通信可能になる。
【0037】
連結手段80,180,280は、連結棒70を固定するための固定金具と、この固定金具に連結棒70が取り付けられて他車両が連結されたか否かを検出する連結検出器85,185,285とを有して構成され、車体2,102,202の前部および後部にそれぞれ設けられている。連結検出器85,185,285は、上記通信ケーブルと接続可能な連結コネクタ86,186,286(図3を参照)を有して構成され、このコネクタに通信ケーブルが接続されると、他車両が連結された旨の検出信号(車両連結信号)を自車両の走行制御装置50,150,250に出力するようになっている。連結コネクタ86,186,286は、図3に示すように、自車両の前後に他車両の前部および後部のいずれが連結されているか(自車両の前後連結状態)を検出するために、前部検出用の第1ポートAと、後部検出用の第2ポートBと、その他の情報通信用の第3ポートCとを有して構成されている。なお、この3つのポートに対応して連結棒70内の通信ケーブルも3本の信号線を備えている。上記自車両の前後連結状態の検出方法については後述する。
【0038】
図1に示すように、軌陸作業車1,100,200には、鉄道レールR上を走行する際に、走行操作装置31,131,231の操作に応じて走行制御を行う走行制御装置50,150,250が設けられており、この走行制御装置50,150,250について以下に説明する。
【0039】
走行制御装置50は、走行操作装置31からの走行操作信号(指令値)を受けるコントローラ51と、自車両の前後連結状態、および、連結台数毎にその台数の連結組合せが予め記憶されているメモリ52とを備えて構成される。コントローラ51は、走行操作装置31(走行操作レバー34等)から入力された走行操作信号に応じた作動制御信号をコントロールバルブ42に出力してこのバルブの作動を制御する。
【0040】
また、コントローラ51は、車両前後の連結検出器85,85から入力される車両連結信号に基づいて、当該連結手段80において他車両が連結されているか否かを認識するとともに、連結を認識すると他車両の走行制御装置(コントローラ)に対して連結認識信号を出力する。このとき、車両前部の連結手段80においては連結コネクタ86の第1ポートAを介して連結認識信号が他車両に出力され、車両後部の連結手段80においては連結コネクタ86の第2ポートBを介して連結認識信号が他車両に出力されるようになっている。このポートの違いにより、他車両の走行制御装置では、相手の車両の前後いずれが連結されているかを認識することができる。同様に、コントローラ51では、他車両の走行制御装置から連結コネクタ86の第1ポートAもしくは第2ポートBを介して連結認識信号が入力され、このポートの違いにより自車両の前後に他車両の前後いずれが連結されているか(自車両の前後連結状態)を認識することができる。
【0041】
メモリ52には、自車両の前後連結状態の全パターンを示す前後連結状態テーブルBT(図4を参照)と、連結台数毎にその台数の連結組合せの全パターンを示す連結組合せテーブルVT(図5を参照)とが予め記憶されている。
【0042】
図4に示すように、前後連結状態テーブルBTは、自車両の前後連結状態の全パターンを示す表であり、表の最も右側(前後連結状態)の列に示すようにこの前後連結状態は全8通りである(前後連結状態=0〜7)。ここで、FF列は自車両の前部に他車両の前部が連結されているか否か、FR列は自車両の前部に他車両の後部が連結されているか否か、RF列は自車両の後部に他車両の前部が連結されているか否か、RR列は自車両の後部に他車両の後部が連結されているか否かを示す列である。コントローラ51は、上記のように自車両の前後連結状態を認識すると、この前後連結状態テーブルBTから前後連結状態=0〜7のいずれであるかを判断し、その状態ナンバーによって前後連結状態を認識する。例えば、自車両の前部に他車両の後部が連結され、自車両の後部に他車両の前部が連結されている場合、コントローラ51は前後連結状態=4と認識する。また、自車両の前部に他車両の前部が連結され、自車両の後部に他車両の前部が連結されている場合、コントローラ51は前後連結状態=7と認識する。
【0043】
図5に示すように、連結組合せテーブルVTは、連結台数が3台の場合の連結組合せの全パターンを示す表であり、3台連結の場合は全8種類の組合せである。ここで、連結組合せとは、上述の各車両における前後連結状態を車両連結順に組合せたものである。この表における連結方向の列は、各車両の向き(連結方向)の情報を符号の違い(「1」または「−1」)で示しており、同一符号の車両は同じ向きであり、符号の異なる車両は逆向きである。なお、メモリ52には、この3台連結のほか、2台連結(全4種類の組合せ)、4台連結(全16種類の組合せ)、5台連結(全32種類の組合せ)、および5台以上の連結の連結組合せテーブルもそれぞれ記憶されている。
【0044】
走行制御装置150,250は、図1に示すように、上記走行制御装置50と同様、走行操作装置131,231からの操作信号を受けるコントローラ151,251と、前後連結状態テーブルBTおよび連結組合せテーブルVTが予め記憶されているメモリ152,252とを備えて構成される。コントローラ151,252は、走行操作装置131,231から入力された走行操作信号に応じた作動制御信号をコントロールバルブ142,242に出力してこのバルブ142,242の作動を制御する。また、コントローラ151,251は、上記コントローラ51と同様に、自車両の前後に他車両の前後いずれが連結されているか(自車両の前後連結状態)を認識することができる。
【0045】
続いて、以上のように構成される軌陸作業車1,100,200を図2に示すように連結して鉄道レールR上を走行する際の走行制御装置50,150,250による走行制御について、図6を参照して説明する。連結棒70および連結手段80,180,280を用いて3台の軌陸作業車1,100,200を連結すると、まず、各作業車において自車両の前後連結状態が検出(認識)される(ステップS1)。
【0046】
このとき、軌陸作業車1においては、車両前後の連結検出器85,85からコントローラ51に車両連結信号がそれぞれ入力される。これと同時に、コントローラ51は、作業車100のコントローラ151に対して連結コネクタ86,186の第1ポートAを介して連結認識信号を出力し、作業車200のコントローラ251に対して連結コネクタ86,286の第2ポートBを介して連結認識信号を出力するとともに、コントローラ151から第2ポートBを介して連結認識信号が入力され、コントローラ251から第2ポートBを介して連結認識信号が入力される。このようにポートの違いによって、コントローラ51は、自車両の前部に作業車100の後部が連結され、自車両の後部に作業車200の後部が連結されていると認識し、メモリ52内の前後連結状態テーブルBTから前後連結状態=3であると認識する。
【0047】
また、軌陸作業車100においては、車両後部の連結検出器185からコントローラ151に車両連結信号が入力されるが、車両前部の連結検出器185からコントローラ151への信号入力はない。これと同時に、コントローラ151は、作業車1のコントローラ51に対して連結コネクタ186,86の第2ポートBを介して連結認識信号を出力するとともに、コントローラ51から第1ポートAを介して連結認識信号が入力される。これにより、コントローラ151は、自車両の前部には他車両の連結がなく、自車両の後部に作業車1の前部が連結されていると認識し、メモリ152内の前後連結状態テーブルBTから前後連結状態=1であると認識する。
【0048】
また、軌陸作業車200においては、車両後部の連結検出器285からコントローラ251に車両連結信号が入力されるが、車両前部の連結検出器285からコントローラ251への信号入力はない。これと同時に、コントローラ251は、作業車1のコントローラ51に対して連結コネクタ286,86の第2ポートBを介して連結認識信号を出力するとともに、コントローラ51から第2ポートBを介して連結認識信号が入力される。これにより、コントローラ251は、自車両の前部には他車両の連結がなく、自車両の後部に作業車1の後部が連結されていると認識し、メモリ252内の前後連結状態テーブルBTから前後連結状態=0であると認識する。
【0049】
次に、各作業車において、連結台数(連結された合計車両数)および連結番号(連結順序位置)をそれぞれ入力する(ステップS2)。このとき、各車両において作業者は、連結台数選択ボリュームによって連結台数(ここでは3台)を選択入力するとともに、連結順序選択ボリュームによって当該車両の連結番号を選択入力する。なお、この連結番号は、連結された全車両の先頭もしくは最後尾から順になるように入力される。以下の説明では、図4に示すように、軌陸作業車100を1号車、軌陸作業車1を2号車、軌陸作業車200を3号車と入力した場合について説明する。
【0050】
各作業車において、前後連結状態の検出と、連結台数および連結番号の入力とが終了すると、これらの情報に基づいて連結組合せ(前後連結状態の組合せ)を検出し(ステップS3)、この組合せがメモリに記憶されている連結組合せテーブルVTに存在するか否かを判定する(ステップS4)。各作業車のコントローラでは、各車両において検出された前後連結状態を、各車両の連結順序選択ボリュームから入力された連結番号順に組み合わせて連結組合せを検出し、その連結組合せがメモリ内の連結組合せテーブルVTに存在するか否かを判定する。ここでは、1号車(作業車100)から順に{1,3,0}という連結組合せとなり、図5において楕円Aで示すように、この組合せは連結組合せテーブルVTに存在している。
【0051】
このように組合せが連結組合せテーブルVTに存在する場合に、各作業車のコントローラは車両の走行を許可する(ステップS5)。このとき、作業者は、連結された作業車におけるいずれの走行操作装置からでも走行操作を行うことが可能となる。ただし、いずれかの走行操作装置で操作を開始した時点で、それ以外の操作装置による操作入力が規制される(なお、上述のように緊急停止スイッチの操作は有効である)。なお、各走行操作装置に優先スイッチを設け、この優先スイッチの操作された走行操作装置の操作のみが有効となるように構成してもよい。また、各作業車のコントローラでは、検出した連結組合せ情報(連結組合せテーブルVTの連結方向)から操作車両に対する自車両の向き(連結方向)を認識し、これより操作車両からの走行操作信号(指令値)に対して自車両がどちらに進めばよいかを判断することができ、全車両を確実に同じ進行方向に走行させることができる。
【0052】
なお、ステップS2において軌陸作業車200を1号車、軌陸作業車1を2号車、軌陸作業車100を3号車と入力した場合、1号車(作業車200)から順に{0,3,1}という組合せになるが、図5において楕円Bで示すように、この組合せも連結組合せテーブルVTに存在している。そのため、連結番号は、連結された全車両の先頭もしくは最後尾から順になるように入力すればよいことが分かる。
【0053】
例えば、上記の{1,3,0}という連結組合せにおいて、軌陸作業車1の走行操作装置31を操作して1号車(作業車100)が先頭となる方向(図2における左方)に連結車両を走行させる場合、コントローラ51,151,251は、上記連結組合せ情報(連結組合せテーブルVTの連結方向)から、「同符号」である作業車100(1号車)と作業車1(2号車)とは同じ向きに連結されており、「異なる符号」である作業車200(3号車)は作業車1,100と逆向きに連結されていると判断する。そして、走行モード切替スイッチ36および速度設定ボリューム33を操作して最高速度(走行モード)を設定し、走行操作レバー34を傾動操作する。このとき、移動走行モードを設定した場合には、速度設定ボリューム33および走行操作レバー34によって操作設定された速度に応じた走行操作信号がコントローラ51およびコントローラ151,251に入力される。一方、作業走行モードを設定した場合には、速度設定ボリューム33により設定された最高速度に拘わらず、所定の作業走行速度の範囲内(例えば0〜5km/h)において走行操作レバー34の操作量に応じた走行操作信号がコントローラ51およびコントローラ151,251に入力される。
【0054】
このように走行操作装置31からコントローラ51に走行操作信号が入力されると、コントローラ51は、コントロールバルブ42に作動制御信号を出力し、油圧ポンプ41から上記走行操作信号に応じた方向および流量の作動油が鉄輪駆動油圧モータ8に供給されて鉄輪4が回転駆動する。また、軌陸作業車100においても同様に、コントローラ151は、コントロールバルブ142に作動制御信号を出力し、油圧ポンプ141から上記走行操作信号に応じた方向および流量の作動油が鉄輪駆動油圧モータ108に供給されて鉄輪104が回転駆動する。また、軌陸作業車200においては、コントローラ251に走行操作信号が入力されると、コントローラ251は、コントロールバルブ242に作動制御信号を出力し、油圧ポンプ241から上記走行操作信号に応じた方向の逆方向(作業車200は作業車1,100と逆向き連結のため)および流量の作動油が鉄輪駆動油圧モータ208に供給されて鉄輪204が回転駆動する。このようにして、軌陸作業車1,100,200は連結された状態で鉄道レールR上を同じ方向に走行することができる。
【0055】
一方、ステップS4において、検出した連結組合せが連結組合せテーブルVTに存在しない場合には、走行に対する警報作動を行う(ステップS6)。このとき、各作業車のコントローラは、いずれの走行操作装置からの走行操作信号も受けつけず、連結車両の走行を規制するとともに、警報ブザーおよび警報ランプ(図示せず)を用いて警報報知を行う。このように連結組合せテーブルVTに存在しない連結状態の組合せとなる原因としては、連結検出器85,185,285の故障や、作業者による連結台数および連結番号の入力ミスなどが考えられる。しがたって、このような場合には、連結車両の走行が規制されるとともに、警報ブザー等を用いて警報報知が行われるため、検出器の故障や作業者の入力ミス等により正しく連結状態が認識されていない状態で連結車両を走行させようとして、連結車両が破損したり、連結車両が脱線したりするようなことを未然に防ぐことができる。
【0056】
次に、本発明の第2実施形態について図7〜9を用いて説明する。この第2実施形態に係る軌陸作業車は、走行操作装置の構成、および、走行制御装置による走行制御に関する構成以外は上述の実施形態と同一であるので、上述の実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその説明を省略し、ここでは上述の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0057】
軌陸作業車1の走行操作装置61は、図7に示すように、電源スイッチ32と、速度設定ボリューム33と、走行操作レバー34と、緊急停止スイッチ35と、走行モード切替スイッチ36と、表示モニタ67と、連結状態判定スイッチ68とを有し、電源スイッチ32をON操作すると走行操作装置61が電源側と電気的に接続されて作業者による操作入力が可能となるように構成されている。
【0058】
図8に示すように、表示モニタ67は、走行制御装置50において検出された連結組合せおよびその組合せにおける自車両の位置(連結順序位置)を表示する表示装置である。連結状態判定スイッチ68は、表示モニタ67に表示された連結組合せおよび自車両の連結順序位置が実際と合致するか否かを選択して入力可能な操作部であり、作業者によって選択入力される連結組合せ等が実際と合致するか否かを示す信号を走行制御装置50に出力するように構成されている。
【0059】
軌陸作業車100,200の走行操作装置161,261は、上記走行操作装置61と同様に、電源スイッチ132,232と、速度設定ボリューム133,233と、走行操作レバー134,234と、緊急停止スイッチ135,235と、走行モード切替スイッチ136,236と、表示モニタ167,267と、連結状態判定スイッチ168,268とを有し、作業者によって各操作部から入力される操作信号を走行制御装置150,250に出力するとともに、走行制御装置150,250において検出された連結組合せおよび自車両の連結順序位置を表示モニタ167,267に表示するように構成されている。
【0060】
続いて、このように構成される軌陸作業車1,100,200を図2に示すように連結して鉄道レールR上を走行する際の走行制御装置50,150,250による走行制御について、図9を参照して説明する。連結棒70および連結手段80,180,280を用いて3台の軌陸作業車1,100,200を連結すると、まず、各作業車において自車両の前後連結状態が検出(認識)される(ステップS101)。
【0061】
このとき、各作業車の走行制御装置(コントローラ)では、上述の実施形態と同様に、連結認識信号がコントローラに入力される際の連結コネクタにおけるポートの違いによって、自車両の前後に他車両の前後いずれが連結されているかを検出し、メモリ52,152,252内の前後連結状態テーブルBTから自車両の前後連結状態を認識する。ここでは、上述のように、軌陸作業車1では前後連結状態=3、軌陸作業車100では前後連結状態=1、軌陸作業車200では前後連結状態=0であるとそれぞれ認識する(図4を参照)。
【0062】
次に、各作業車において検出された前後連結状態に基づいて連結組合せ(前後連結状態の組合せ)を検出し(ステップS102)、この組合せがメモリに記憶されている連結組合せテーブルVTに存在するか否かを判定する(ステップS103)。各作業車のコントローラでは、各車両において検出された前後連結状態から組合せ可能なものを連結組合せとして検出するとともに、各車両において検出された前後連結状態の総数から連結台数(連結された合計車両数)を検出し、その連結台数の連結組合せテーブルVTに検出した連結組合せ(前後連結状態の組合せ)が存在するか否かを判定する。
【0063】
そして、連結組合せが連結組合せテーブルVTに存在すると判定した場合には、その連結組合せおよび自車両の位置(連結順序位置)を表示モニタに表示する(ステップS104)。各作業車のコントローラでは、各車両で検出された前後連結状態に基づいて検出した連結組合せが連結組合せテーブルVTに存在すると判定した場合に、その連結組合せにおいて自車両の前後連結状態が該当する位置を自車両の連結順序位置として検出する。そして、検出した連結組合せおよび自車両の連結順序位置を表示モニタに表示する(図8を参照)。一方、ステップS103において連結組合せが連結組合せテーブルVTに存在しないと判定した場合には、後述するステップS107に進み、走行に対する警報作動を行う。なお、このとき、検出した連結組合せが連結組合せテーブルVTに存在しない旨のメッセージを表示モニタに表示するように構成してもよい。
【0064】
なお、ステップS102において連結組合せを検出する際、各車両で検出された前後連結状態から組合せ可能なものは複数存在する場合がある。例えば、上述のように、軌陸作業車1の前後連結状態=3、軌陸作業車100の前後連結状態=1、軌陸作業車200の前後連結状態=0である場合、これらの前後連結状態から組合せ可能なものは、{1,3,0}と{0,3,1}との2つの連結組合せが存在する。この2つの連結組合せは、上述の実施形態における連結番号と同様、どちら側の車両を先頭車両(1号車)とみなすかの違いだけである。また、図5に示すように、連結組合せテーブルVTにおいても、楕円Aで示す{1,3,0}と、楕円Bで示す{0,3,1}との2つの連結組合せが存在している。そのため、コントローラでは、{1,3,0}と{0,3,1}のどちらを連結組合せとして検出してもよい。ただし、各作業車において同一の連結組合せを検出する。図8には、{1,3,0}の連結組合せを検出し、それを表示モニタに表示した場合を示している。
【0065】
このように各作業車において連結組合せおよび自車両の連結順序位置が表示モニタに表示されると、その連結組合せおよび自車両の連結順序位置が実際の連結状態と合致しているか否かを判定する(ステップS105)。このとき、各車両において作業者は、表示モニタに表示されている連結組合せおよび自車両の連結順序位置が実際の連結状態と合致するか否かを判断し、その結果を連結状態判定スイッチによって選択入力する。ここで、連結状態判定スイッチは、図8に示すように、表示モニタに表示されている連結組合せおよび自車両の連結順序位置が実際の連結状態と合致する場合には、連結状態判定スイッチにおける「OK」を選択して連結状態を認証し、実際の連結状態と合致しない場合には、連結状態判定スイッチにおける「Cancel」を選択して連結状態を認めないように構成されている。
【0066】
全作業車において連結組合せおよび自車両の連結順序位置が実際の連結状態と合致すると判定されると、各作業車のコントローラは車両の走行を許可する(ステップS106)。このとき、作業者は、連結された作業車におけるいずれの走行操作装置からでも走行操作を行うことが可能となる。ただし、上述のように、いずれかの走行操作装置で操作を開始した時点で、それ以外の操作装置による操作入力が規制される。また、各作業車のコントローラでは、検出した連結組合せ情報(連結組合せテーブルVTの連結方向)から操作車両に対する自車両の向き(連結方向)を認識し、これにより操作車両からの走行操作信号(指令値)に対して自車両がどちらに進めばよいかを判断することができ、全車両を確実に同じ進行方向に走行させることが可能となる。
【0067】
例えば、上述の{1,3,0}という連結組合せにおいて、軌陸作業車100の走行操作装置161を操作して作業車100が先頭となる方向(図2における左方)に連結車両を走行させる場合、コントローラ51,151,251は、連結組合せ情報(連結組合せテーブルVTの連結方向)から、同符号である作業車100と作業車1とは同じ向きに連結されており、異なる符号である作業車200は作業車1,100と逆向きに連結されていると判断する(図5を参照)。そして、走行モード切替スイッチ136および速度設定ボリューム133を操作して最高速度(走行モード)を設定し、走行操作レバー134を傾動操作する。このとき、移動走行モードを設定した場合には、速度設定ボリューム133および走行操作レバー134によって操作設定された速度に応じた走行操作信号がコントローラ151およびコントローラ51,251に入力される。一方、作業走行モードを設定した場合には、速度設定ボリューム133により設定された最高速度に拘わらず、所定の作業走行速度の範囲内(例えば0〜5km/h)において走行操作レバー134の操作量に応じた走行操作信号がコントローラ151およびコントローラ51,251に入力される。
【0068】
このように走行操作装置161からコントローラ151に走行操作信号が入力されると、コントローラ151は、コントロールバルブ142に作動制御信号を出力し、油圧ポンプ141から上記走行操作信号に応じた方向および流量の作動油が鉄輪駆動油圧モータ108に供給されて鉄輪104が回転駆動する。また、軌陸作業車1においても同様に、コントローラ51は、コントロールバルブ42に作動制御信号を出力し、油圧ポンプ41から上記走行操作信号に応じた方向および流量の作動油が鉄輪駆動油圧モータ8に供給されて鉄輪4が回転駆動する。また、軌陸作業車200においては、コントローラ251に走行操作信号が入力されると、コントローラ251は、コントロールバルブ242に作動制御信号を出力し、油圧ポンプ241から上記走行操作信号に応じた方向の逆方向(作業車200は作業車1,100と逆向き連結のため)および流量の作動油が鉄輪駆動油圧モータ208に供給されて鉄輪204が回転駆動する。このようにして、軌陸作業車1,100,200は連結された状態で鉄道レールR上を同じ方向に走行することができる。
【0069】
一方、ステップS105で、全作業車において連結組合せおよび自車両の連結順序位置が実際の連結状態と合致すると判定されない場合、または、ステップS103において連結組合せが連結組合せテーブルVTに存在しないと判定された場合には、走行に対する警報作動を行う(ステップS107)。このとき、各作業車のコントローラは、いずれの走行操作装置からの走行操作信号も受けつけず、連結車両の走行を規制するとともに、警報ブザーおよび警報ランプ(図示せず)を用いて警報報知を行う。なお、表示モニタにエラーメッセージを表示して警報報知を行うように構成してもよい。
【0070】
このように各作業車において検出した前後連結状態の組み合わせ(連結組合せ)が連結組合せテーブルVTに存在しない、または、表示モニタに表示された連結組合せおよび自車両の連結順序位置が実際の連結状態と異なる原因としては、連結検出器85,185,285の故障などが考えられる。したがって、このような場合には、連結車両の走行が規制されるとともに、警報ブザー等を用いて警報報知が行われるため、検出器の故障等により正しく連結状態が認識されていない状態で連結車両を走行させようとして、連結車両が破損したり、連結車両が脱線したりするようなことを未然に防ぐことができる。また、上述の実施形態と比較して、第2実施形態では、作業者による連結台数や連結番号の入力操作が不要であり、連結する台数が増加するたびに最大選択台数や自車両の位置を選択するスイッチの選択可能範囲を増やすことが不要であるため、部品点数を低減することができ、コストダウンも可能となる。また、第2実施形態では、コントローラが連結台数および連結組合せを検出して表示モニタに表示する構成であるため、作業者は、表示モニタに表示された連結状態が実際の連結状態と合致するか否かの入力操作を行うだけで、煩雑な操作を行うことなく、連結状態を決定することができる。
【0071】
なお、上述の第2実施形態では、コントローラが、各車両で検出された前後連結状態に基づいて検出した連結組合せが連結組合せテーブルVTに存在すると判定したときに、その連結状態(連結組合せおよび自車両の連結順序位置)を表示モニタに表示し、作業者により表示モニタに表示された連結状態が実際の連結状態と合致すると入力されたときには連結車両の走行を許可し、合致しないと入力されたときには連結車両の走行に対する警報作動を行う構成について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されない。すなわち、コントローラが、各車両で検出された前後連結状態に基づいて連結組合せを検出し、その連結組合せが連結組合せテーブルVTに存在するときには連結車両の走行を許可し、存在しないときには連結車両の走行に対する警報作動を行うように構成してもよい。このように構成すれば、上述の第2実施形態と同様に、検出器の故障等により正しく連結状態が認識されていない状態で連結車両を走行させようとして、連結車両が破損したり、連結車両が脱線したりするようなことを未然に防ぐことができる。
【0072】
なお、上述の実施形態においては、3台の軌陸作業車1,100,200を連結した場合について説明したが、2台,4台,…とさらに多くの車両を連結した場合においても上述のように走行制御を行うことが可能である。また、上述の実施形態においては、警報作動を行う際、連結車両の走行規制および警報ブザー等を用いた警報報知の両方を行うようになっているが、走行規制および警報報知のうちのいずれか一方だけを行うようにしてもよい。また、軌道走行車両としては、必ずしも道路走行も可能に構成された軌陸作業車である必要はなく、軌道走行のみを行う軌道走行用車両であってももちろんよい。
【符号の説明】
【0073】
R 鉄道レール(軌道)
1,100,200 軌陸作業車(軌道走行車両)
2,102,202 車体
4,104,204 軌道走行用車輪(車輪)
8,108,208 鉄輪駆動油圧モータ(車輪駆動手段)
34,134,234 走行操作レバー(操作手段)
37,137,237 連結台数選択ボリューム(第1の本発明における情報入力手段)
38,138,238 連結順序選択ボリューム(第1の本発明における情報入力手段)
50,150,250 走行制御装置
51,151,251 コントローラ(走行制御手段、連結状態検出手段)
52,152,252 メモリ(組合せ状態記憶手段)
67,167,267 表示モニタ(表示手段)
68,168,268 連結状態判定スイッチ(第2の本発明における情報入力手段)
70 連結棒(通信手段)
80,180,280 連結手段
85,185,285 連結検出器(連結検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道上を走行可能な車輪を備えた車体と、前記車輪を回転駆動する車輪駆動手段と、前記車体の走行方向における前記車体の前部および後部に設けられた連結手段とを備えた軌道走行車両であって、前記連結手段により複数の前記軌道走行車両を連結させた状態で各々の前記車輪駆動手段を駆動して軌道上を走行する前記軌道走行車両において、
前記連結手段により連結される複数の前記軌道走行車両がそれぞれ、連結された合計車両数を示す車両台数情報および自車両の連結順序位置を示す連結位置情報を入力情報として入力可能な情報入力手段と、前記連結手段において他車両が連結されているか否か並びに前記他車両の前部および後部のいずれが連結されているかを検出する連結検出手段と、前記連結検出手段により検出された車両連結情報および前記情報入力手段により入力された入力情報を、前記連結手段により連結された複数の前記軌道走行車両間で伝達する通信手段とを備え、
複数の前記軌道走行車両が前記連結手段により連結された状態において、
前記情報入力手段により入力された入力情報と、自車両における前記連結検出手段により検出された自車車両連結情報および他車両から伝達されてくる前記他車両における連結検出手段により検出された他車車両連結情報とに基づいて前記複数の軌道走行車両の連結組合せ状態を検出する連結状態検出手段と、
連結台数毎に、この連結台数での前記軌道走行車両の連結組合せ状態が予め記憶されている組合せ状態記憶手段と、
前記連結状態検出手段により検出された前記連結組合せ状態が、前記組合せ状態記憶手段に記憶されている記憶連結組合せ状態のうちのいずれかと合致するか否かを判定し、合致すると判定したときには前記連結手段により連結された複数の前記軌道走行車両の走行を許可する制御を行い、合致しないと判定したときには前記複数の軌道走行車両の走行に対する警報作動を行う走行制御手段とを備えて構成されることを特徴とする軌道走行車両。
【請求項2】
軌道上を走行可能な車輪を備えた車体と、前記車輪を回転駆動する車輪駆動手段と、前記車体の走行方向における前記車体の前部および後部に設けられた連結手段とを備えた軌道走行車両であって、前記連結手段により複数の前記軌道走行車両を連結させた状態で各々の前記車輪駆動手段を駆動して軌道上を走行する前記軌道走行車両において、
前記連結手段により連結される複数の前記軌道走行車両がそれぞれ、前記連結手段において他車両が連結されているか否か並びに前記他車両の前部および後部のいずれが連結されているかを検出する連結検出手段と、前記連結検出手段により検出された車両連結情報を前記連結手段により連結された複数の前記軌道走行車両間で伝達する通信手段とを備え、
複数の前記軌道走行車両が前記連結手段により連結された状態において、
自車両における前記連結検出手段により検出された自車車両連結情報と、他車両から伝達されてくる前記他車両における連結検出手段により検出された他車車両連結情報とに基づいて、前記複数の軌道走行車両の連結組合せ状態を検出する連結状態検出手段と、
連結台数毎に、この連結台数での前記軌道走行車両の連結組合せ状態が予め記憶されている組合せ状態記憶手段と、
前記連結状態検出手段により検出された前記連結組合せ状態が、前記組合せ状態記憶手段に記憶されている記憶連結組合せ状態のうちのいずれかと合致するか否かを判定し、合致すると判定したときには前記連結手段により連結された複数の前記軌道走行車両の走行を許可する制御を行い、合致しないと判定したときには前記複数の軌道走行車両の走行に対する警報作動を行う走行制御手段とを備えて構成されることを特徴とする軌道走行車両。
【請求項3】
前記連結状態検出手段により検出された前記連結組合せ状態が前記組合せ状態記憶手段に記憶されている記憶連結組合せ状態のうちのいずれかと合致すると判定したときに、前記連結組合せ状態およびその連結組合せ状態における自車両の連結順序位置を表示する表示手段と、
前記表示手段により表示された前記連結組合せ状態および前記自車両の連結順序位置が前記複数の軌道走行車両の連結状態と合致するか否かを入力情報として入力可能な情報入力手段とを備え、
前記走行制御手段は、前記情報入力手段により前記表示手段に表示された前記連結組合せ状態および前記自車両の連結順序位置が前記複数の軌道走行車両の連結状態と合致すると入力されたときには前記複数の軌道走行車両の走行を許可する制御を行い、合致しないと入力されたときには前記複数の軌道走行車両の走行に対する警報作動を行うことを特徴とする請求項2に記載の軌道走行車両。
【請求項4】
前記車体に操作可能に設けられて操作に対応した目標速度で前記車体を走行させる指令値を出力する操作手段を備え、前記操作手段の操作情報が前記通信手段を介して前記連結手段により連結された他車両に伝達可能であり、
前記走行制御手段は、他車両における操作手段から指令値が伝達されてくると、前記連結状態検出手段により検出された前記連結組合せ状態から前記他車両に対する自車両の連結方向を認識し、この連結方向および前記他車両からの指令値に基づいて自車両の進行方向を判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の軌道走行車両。
【請求項5】
前記走行制御手段は、他車両における操作手段から指令値が伝達されてくると、自車両における前記操作手段により出力される前記指令値を受けつけないことを特徴とする請求項4に記載の軌道走行車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−25908(P2011−25908A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284202(P2009−284202)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000116644)株式会社アイチコーポレーション (168)
【Fターム(参考)】