説明

軌道面吸音構造及びこれに用いる多層吸音材の成型法

【課題】非バラスト軌道の騒音対策としての軌道面吸音構造を提供するもので、軌道構造の建築限界を満たす厚さの吸音材とし、吸音性能が広帯域で残響室法吸音率が0.7(70%)以上となる吸音材を開発する。
【解決手段】非バラスト軌道面における騒音の反射を抑制する軌道面吸音構造であって、用いられる吸音材は、音響エネルギーの入射側から、ポリエステル繊維系不織布複数枚とポリエステル繊維系不織布母材を重ねて、熱圧縮・融着して複合化し、周波数帯域500Hz〜2kHzに対して、残響室法吸音率が0.7(70%)以上の吸音率を有する吸音材を軌道面の表面に敷設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省力化軌道としての非バラスト軌道(スラブ軌道)において、列車走行時に車輪がレール上を転動する際に生じる転動音や補器類の騒音がスラブ軌道面で反射し騒音を増幅することとなる。
本発明は、かかる騒音のスラブ軌道面での反射を抑えるための軌道面吸音構造、及びこれに用いる多層吸音材の成型法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道もメンテナンスなど省力化の一環として、新幹線鉄道はもとより在来線鉄道も非バラスト化が進み、スラブ軌道や弾性直結枕木軌道などが増えてきている。
【0003】
かかる時代の流れの中で、次世代での展開を目指した軌道構造の検討が進められている。即ち、省メンテナンス、優環境性をコンセプトに、締結装置におけるメンテナンスが省力化できるような軌道構造を有するものであって、図1にその一例を示す。即ち、レール1をコンクリート構造物2の中にゴムプレート3などを介して設置し、これをレール用押さえブロック4をもって連続支持する形態の軌道である。レール1をコンクリート構造物2の中に埋め込むことによって、レール1からの放射音が沿線に伝搬される量を低減し、環境にも優れた軌道となることが期待される。
【0004】
一方、列車の車輪がレール1上を転動するときに発生する騒音は、スラブ軌道面で反射し騒音を増幅する傾向にあるため、環境問題で問題を起こすことがあることも考えられ、沿線住民の生活環境を悪化させてしまうことも考えなくてはならない。そのために、軌道面に吸音材を敷設することは環境を守るためには必要不可欠である。
しかるに、レール1の頭部近くまでコンクリート部材が配置されているために、この軌道面に吸音材を敷設しようとする場合には、吸音材を建築限界内に収める必要がでてくる。そのためには、吸音材の厚さは、許容される25mm未満(安全を見て20mm以下)にする必要がある。
【0005】
このように、現在想定されるあらゆる軌道構造に適用可能な軌道面吸音構造を実現するためには、従来難しかった25mm未満の厚さで、高い吸音性能を実現する必要がでてきた。尚、レール埋め込み構造の軌道は路面電車では既に一部実用化されているが、この既設の軌道に吸音材を適用する場合にも、同様に建築限界を満たすために、25mm未満の厚さにすることが求められている。
【0006】
吸音の目的でいえば、従来技術としてバラストが散布される方法があるが、吸音性能を高めるためには、可なり細粒化したバラストとする必要がある。それでも細粒化には限度もあるので、500Hz〜2kHzという広帯域で残響室法吸音率を0.7(70%)以上を確保することは難しい。しかも、細粒化すると飛散するおそれも出てくるという問題も出てくる。又、バラストの採取には環境破壊にもつながる恐れもあり、メンテナンスの負担も大きく時流にあった手段ではない。
【0007】
その他の固形吸音材の適用が考えられるが、鉄道軌道では信号システムのための電気が流されており、軌道面に敷設する固形吸音材は良好な電気的絶縁性能を有することが求められる。このため、軌道面に敷設する固形吸音材として、グラスウールや軟質ウレタンフォームあるいはセラミックス系のものが考えられてはいる。
【0008】
しかし、前二つは、長期間屋外に暴露すると耐候性や耐水性に問題があり、表面から材料の一部が剥離され、周囲に飛散する恐れがある。又、経年変化のため吸音性能が低下するとともに、内部も切断・変形されるなどの危険性も想定される。更に、三つ目のセラミックス系は吸音性能、重量やコストの面などでそれぞれ問題を持っており、実用的な軌道面吸音材としては使いにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上のような従来技術が有している課題を解決するためになされたもので、次世代軌道構造やスラブ軌道など非バラスト軌道の騒音対策としての軌道面吸音構造及びこれに用いる多層吸音材を提供するものである。具体的には、あらゆる形式の軌道構造の建築限界を満たすような適用範囲の広い軌道面吸音構造とするために、吸音材の厚さは25mm未満に抑え、しかも、吸音性能が500Hz〜2kHzの帯域で残響室法吸音率が0.7(70%)以上となる、耐久性のある新しい吸音材の成型法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の要旨は、非バラスト軌道面における列車通過時の騒音の反射を抑制するための軌道面吸音構造であって、各種鉄道軌道に対する建築限界を満たすよう制御された形状であり、鉄道騒音の主要周波数帯域500Hz〜2kHzに対して、少なくとも厚さ20mmで残響室法吸音率が0.7(70%)以上の吸音率を有する吸音材を軌道面の表面に敷設したことを特徴とするものである。
【0011】
そして、前記吸音材は、音響エネルギーの入射側から、ポリエステル繊維系不織布複数枚とポリエステル繊維系不織布母材を重ねて、熱融着し複合化した多層吸音材が採用され、好ましくは、音波入射側の複数層の不織布の流れ抵抗が1×10〜3×10N・sec/m、母材の流れ抵抗が0.5×10〜3.5×10N・sec/m、複合化した多層吸音材の流れ抵抗が3.5×10〜7×10N・sec/mである軌道面吸音構造である。
【0012】
本発明の第2の要旨は、非バラスト軌道面における列車通過時の騒音の反射を抑制するための多層吸音材の成型法であって、音響エネルギーの入射側から、流れ抵抗が1×10〜3×10N・sec/mのポリエステル繊維系不織布(複数枚)と、流れ抵抗が0.5×10〜3.5×10N・sec/mのポリエステル繊維系不織布母材を重ね、建築限界を満たす厚さの120〜150%の厚さに形成し、各層間にホットメルト材を散布し、170〜220℃にて圧縮して熱融着し、厚さが建築限界を超えないよう永久歪を付与して複合化し、複合化した多層吸音材の流れ抵抗を3.5×10〜7×10N・sec/mとなし、かつ、周波数帯域500Hz〜2kHzに対して、残響室法吸音率が0.7(70%)以上の吸音率を備えたことを特徴とする成型法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の多層吸音材は、厚さが規定内に抑えられながら、吸音性能は従来のものを超える優れた特徴と備えたものであり、環境問題、リサイクル性、耐久性にも優れた材質からなっている。更に、これを軌道面に用いた吸音構造は軌道面での騒音の反射を防ぐことが可能となったものであり、従来の材料とは比較にならない特徴を有している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は次世代軌道構造の概略を示す図である。
【図2】図2は本発明の多層吸音材と騒音源である入射波との関係を示す図である。
【図3】図3は本発明の多層吸音材の残響室法吸音率を示す図である。
【図4】図4は本発明の多層吸音材と従来から用いられているグラスウールの残響室法吸音率を示す図である。
【図5】図5は本発明の多層吸音材を適用した軌道面吸音構造の吸音率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
さて、新幹線を含めて列車走行時に発生する騒音(転動音)は500Hz〜2kHzが主要帯域であり、スラブ面での反射を完全に無くすためには100%の吸音率が要求される。逆に、スラブ面で完全に反射すると(吸音率0%)少なくとも騒音は1回の反射で3dB、車両側あるいは壁などとの間で多重反射するとさらに数dB増幅する可能性がある。 しかるに、吸音率として70%を確保すれば1回の反射で1dB以下となり、多重反射での増幅は抑えられることから、本発明の吸音材の目的を残響室法吸音率を0.7(70%)以上としたものであり、しかも、厚さが20mm程度の吸音材で、500Hz〜2kHzで70%(特に500Hz〜800Hz)の吸音率を確保することは、従来の考えによる吸音材では極めて困難なことから、本発明はこの両立を狙ったものである。
【0016】
吸音材に用いられる材料はいろいろな種類、構造のものがあるが、中でも多孔質材料が最もよく使われる材料である。最近では、環境問題、リサイクル性、吸音性能や長期耐久性等の面からポリエステル繊維系吸音材が適用されるケースも増えてきている。このポリエステル繊維系吸音材は他の材料に比べて優れた特徴を有しており、かつ、環境に優しい高性能吸音材である。即ち、比較的シンプルな構造で優れた吸音性能を有すること、耐候性・耐久性に優れ・長期の使用に最適であること、リサイクル性が確立されており地球環境に優しいこと、など多くの特徴を有している。本発明はかかる特徴を利用し、特に、鉄道軌道の吸音性を狙って開発したものである。
【0017】
尚、本発明で用いるポリエステル繊維系吸音材は、好ましくはエンドレスの長繊維を利用したスパンボンド法によって得られるものが好適であるが、特にこれに限定されるものではなく、例えば、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法などによって得られるものであってもよい。尚、スパンボンドとは溶融押出成型により長繊維化・高密度化した不織布である。
【0018】
さて、図2は本発明の第1で用いる多層吸音材と騒音源である入射波との関係を示す図であり、多層吸音材20は、入射波側に対して2層のポリエステル繊維系不織布21、22(多層化)と、母材であるポリエステル繊維系不織布23とからなり、これらの間にホットメルトパウダー(図示しない)をもって熱融着したものである。かかる母材23は剛壁25に貼り付けられている。
【0019】
さて、入射波に対し、その波長の1/4の位置にポリエステル繊維系不織布21、22を配置するものであり、この位置は粒子速度が最大(音圧0)であり、剛壁25に至り粒子速度が0(音圧最大)となるように設計される。
【0020】
母材はポリエステル系の繊維を原料とする不織布である。かかる不織布は、繊維を織り込んで布状としたものではなく、単に集めて部分的に融着させて固形体としたものである。このような繊維の集合体においては繊維間に隙間があるために、その中に音波が進入し、進行する間に空気の粘性抵抗などにより音波の音響エネルギーが減衰される。即ち、入射してくる音響エネルギーが、吸音構造体の中で粘性抵抗を主体に熱エネルギーに変換される仕組みとなっている。このように、不織布を用いることで加工しやすく材料コストの低廉化が図れる。又、織り込んでないために空気の流れ抵抗の調整が容易となる。母材の繊維配向については、横、縦、ランダムいずれでもよいが圧縮強度面から縦配向が望ましい。
【0021】
一方、音響エネルギーの入射面である表層として、二層のポリエステル系繊維不織布(スパンボンド不織布)を配することによって吸音性能の向上を図ったものである。表層はスパンボンド不織布であり、スパンボンド不織布ー母材間に摩擦抵抗が生じるなどの理由から音波のエネルギーに対する減衰が増幅される。音波のエネルギーは振幅が大きな箇所で減衰が大きいとより大きく低減するが、スパンボンドを配した箇所はこの材料が音に影響を与えるエリアでは音の振幅が最大の箇所であり、この位置にスパンボンドを配することによって音波に対する減衰性能・吸音性能が高められることとなる。尚、スパンボンドは2種類適用し、外気側に溌水処理したものを用い、もう1種類は溌水処理しないものを用いるのがよい。
【0022】
このことから、母材及び表層の流れ抵抗をいかにコントロールし、それらを複合した多層吸音材としての流れ抵抗を最適に調整することがポイントとなる。即ち、表層近くで流れ抵抗を出来るだけ大きく取り、多層吸音材(二層スパンボンド不織布+母材)の流れ抵抗が特定の範囲に入るように組み合わせるのが本発明の狙いの一つである。
そのためには、それぞれの構成材料の流れ抵抗として、音波入射側の複数層のスパンボンド不織布の流れ抵抗が1×10〜3×10N・sec/m、母材の流れ抵抗が0.5×10〜3.5×10N・sec/mの範囲のものを組み合わせて、これらを熱融着した多層吸音材として総合的な流れ抵抗が3.5×10〜7×10N・sec/mに収まるように調整したものである。こうして得られた多層吸音材をさらに熱プレスで所定の厚さに成型して本発明の軌道用吸音構造が実現される。多層吸音材として、この下限値を下回ると500Hz〜800Hz位の帯域の吸音性能が低下し、この上限値を超えると2kHz前後の吸音率が低下してしまう結果となる。
【0023】
本発明の軌道面吸音構造(第1発明)の中核となる多層吸音材(第2発明)は、500Hz〜2kHzの広帯域に亘って残響室法吸音率を0.7(70%)以上の吸音率を得るものであって、ポリエステル繊維系からなる多層吸音材とし、総合的な流れ抵抗が3.5×10〜7×10N・sec/mとなるように調整すること、そして、多層吸音材を所定の厚さに仕上げるために、所定の厚さ以上の多層構造を先ず作り、これを熱プレス圧縮して永久歪をかけて所定の厚さに仕上げることとなる。
具体的には、ポリエステル繊維系の材料を用いることから、好ましくは、所定の厚さの120〜150%の厚さの多層吸音材を先ず製作し、その後所定の厚さまで熱プレスで圧縮成型することからなるもので、リサイクル性などの容易性から吸音材全体をポリエステル繊維系の材料で構成し、軌道面吸音材としての多くの課題を克服したものである。尚、各層をパウダー状ホットメルトで熱融着させるのが好適である。
【0024】
即ち、このスパンボンドを導入することによって、これまで実現が難しかった厚さ20mmでの高い吸音性能は実現されたのである。
そして、所定の厚さ、例えば、20mmに仕上げるためには、28〜30mmの厚さの複合品を作り、それをさらに熱圧縮して20mmの厚さに仕上げるのである。
【実施例】
【0025】
(実施例1・多層吸音材の特徴)
本発明の第2の多層吸音材を次のように成型した。表層はポリエステル繊維スパンボンド不織布を2層とし、母材をポリエステル繊維系不織布(縦配向)28mm厚さ、面密度800gr/mとして複合し、所定厚み例20mmに熱プレスで圧縮成型したもので、総合的な流れ抵抗が約4×10N・sec/mに調整した。表層の流れ抵抗は約1.5×10N・sec/m、母材の流れ抵抗は約0.5×10N・sec/mであり、これらを重ね合わせる際に各層間にホットメルトパウダーを散布し、180℃にて熱プレスを行った。
【0026】
図3に、得られた多層吸音材の残響室法吸音率を示した。尚、圧縮する前の多層吸音材のベース母材との対比とともに示したものである。この結果、圧縮後の多層吸音材にあっても、500Hz〜2kHzの広い帯域に亘って残響室法吸音率で0.7(70%)以上の吸音を達成した。
【0027】
更に、吸音材として最もよく用いられているグラスウール(かさ密度32kg/m)と比較して図4に示す。厚さが50mmグラスウールに対して、本発明品は20mmの厚さでグラスウールの吸音性能を凌駕した結果となっており、本発明品の軌道面吸音材としての優位性が立証されたものである。
【0028】
(実施例2・軌道面吸音構造としての特徴)
実際の適用例として、図1に示した次世代軌道へ実施例1にて得られた本発明の多層吸音材を適用した。多層吸音材は建築限界の関係から厚さ20mmとしたものである。図1に示す次世代軌道構造のA〜C面に多層吸音材を貼り付けて軌道面吸音構造としたものである。
【0029】
実車走行試験結果を、多層吸音材の非適用例とともに図5に示す。500Hz〜2kHzの広い帯域を含む315Hz以上で約3dBの低減効果となり、その結果、騒音レベルも敷設前の95dBが本発明品の敷設後は92dBとなり、約3dBの低減効果が得られ、本発明品により軌道面での反射成分が低減され、その有効性が証明された。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は以上の通りであり、鉄道や道路など交通分野、産業設備機器や建築設備機器分野など幅広い環境保全分野で利用可能で、環境、居住空間などの静粛化に貢献できる。
【符号の説明】
【0031】
1 レール
2 コンクリート構造物
3 ゴムプレート
4 押さえブロック
20 多層吸音材
21、22 表層(ポリエステル繊維系不織布)
23 母材(ポリエステル繊維系不織布)
25 剛壁
A〜C面 多層吸音材を貼り付ける軌道面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
非バラスト軌道面における列車通過時の騒音の反射を抑制するための軌道面吸音構造であって、各種鉄道軌道に対する建築限界を満たすよう制御された形状であり、鉄道騒音の主要周波数帯域500Hz〜2kHzに対して、少なくとも厚さ20mmで残響室法吸音率が0.7(70%)以上の吸音率を有する吸音材を軌道面の表面に敷設したことを特徴とする軌道面吸音構造。
【請求項2】
前記吸音材は、音響エネルギーの入射側から、ポリエステル繊維系不織布複数枚とポリエステル繊維系不織布母材を重ねて、熱融着し複合化した多層吸音材である請求項1記載の軌道面吸音構造。
【請求項3】
入射側のポリエステル繊維系不織布は、スパンボンド法によって得られたものである請求項2記載の軌道面吸音構造。
【請求項4】
各層間にホットメルト材を散布して熱融着させた請求項2又は3記載の軌道面吸音構造。
【請求項5】
音波入射側の複数層の不織布の流れ抵抗が、1×10〜3×10N・sec/mであり、母材の流れ抵抗が0.5×10〜3.5×10N・sec/mであり、複合化した多層吸音材の流れ抵抗が3.5×10〜7×10N・sec/mである請求項2乃至4いずれか1記載の軌道面吸音構造。
【請求項6】
多層吸音材は、建築限界を満たす厚さの120〜150%の厚さに形成しておき、厚さ方向に熱圧縮成型し、厚さが建築限界を超えないように永久歪を付与した請求項1乃至5いずれか1記載の軌道面吸音構造。
【請求項7】
熱圧縮成型は、170〜220℃にて永久歪を付与する請求項6記載の軌道面吸音構造。
【請求項8】
熱圧縮成型した多層吸音材の側面周囲を、額縁状にポリエステル繊維系不織布を熱融着した請求項1乃至7いずれか1記載の軌道面吸音構造。
【請求項9】
熱圧縮成型した多層吸音材の側面周囲を、額縁状に2枚以上のポリエステル繊維系不織布を熱融着し、少なくとも外気側のポリエステル繊維系不織布は溌水処理したものを用いた請求項8記載の軌道面吸音構造。
【請求項10】
非バラスト軌道面における列車通過時の騒音の反射を抑制するための多層吸音材の成型法であって、音響エネルギーの入射側から、流れ抵抗が1×10〜3×10N・sec/mのポリエステル繊維系不織布複数枚と、流れ抵抗が0.5×10〜3.5×10N・sec/mのポリエステル繊維系不織布母材を重ね、建築限界を満たす厚さの120〜150%の厚さに形成し、各層間にホットメルト材を散布し、170〜220℃にて圧縮して熱融着し、厚さが建築限界を超えないよう永久歪を付与して複合化し、複合化した多層吸音材の流れ抵抗を3.5×10〜7×10N・sec/mとなし、かつ、周波数帯域500Hz〜2kHzに対して、残響室法吸音率が0.7(70%)以上の吸音率を備えたことを特徴とする多層吸音材の成型法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−241550(P2011−241550A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112480(P2010−112480)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000173784)公益財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【出願人】(595122187)ブリヂストンケービージー株式会社 (36)
【Fターム(参考)】